JP4147072B2 - 電子源基板とその製造方法、並びに該電子源基板を用いた画像表示装置 - Google Patents

電子源基板とその製造方法、並びに該電子源基板を用いた画像表示装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子放出素子を2次元平面上に複数個配設した電子源基板及びその製造方法、並びに該電子源を用いた画像表示装置に関する。或いは、それら電子源や表示装置やトランジスタアレイなどの電子デバイスに用いられる配線基板とその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子放出素子としては、熱電子源と冷陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源には、電界放出型(以下、FEと記す)、金属/絶縁層/金属(以下、MIMと記す)や表面伝導型電子放出素子等がある。
【0003】
FE型の例としては、W.P.Dyke&W.W.Dolan,“Fieldemission”,Advance in Electron Physics,8,89,(1956)等が知られている。
【0004】
MIM型の例としては、C.A.Mead,“Tunnel−emission amplifier”,J,Appl.Phys,32,646(1961)等が知られている。
【0005】
表面伝導型電子放出素子の例としては、M.I.Elinson,RadioEng.Electron Phys.,10,(1965)等がある。
【0006】
表面伝導型電子放出素子は基板上に形成された小面積の薄膜に、膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる現象を利用するものである。この表面伝導型電子放出素子としては、前記Elinson等によるSnO2薄膜を用いたもの、Au薄膜によるもの[G.Dittmer:“Thin Solid Films”,9,317(1972)],In23/SnO2薄膜によるもの[M.Hartwell and C.G.Fonstad:“IEEE Trans.ED.Conf.”,519,(1975)]、カーボン薄膜によるもの[荒木 久 他:真空、第26巻、第1号、22ページ(1983)]等が報告されている。
【0007】
これらの表面伝導型電子放出素子の典型的な素子構成として、前述のM.Hartwellの素子構成を図16に示す。この図において901は、絶縁性基板である。902は導電性薄膜で、スパッタリングで形成されたH型形状の金属酸化物等からなり、後述のフォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部905が形成される。
【0008】
従来、これらの表面伝導型電子放出素子においては、電子放出を行う前に導電性薄膜902を予めフォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放出部905を形成するのが一般的であった。即ち、フォーミングとは、前記導電性薄膜902の両端に電圧を印加し導電性薄膜を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子放出部905を形成することである。
【0009】
電子源基板においては、前記電子放出素子を複数個配置し、行配線および列配線によってマトリクス状に配線する。この場合、各配線と素子電極の接続部の電気的導通が確保されていないと、配線によりフォーミング時各素子への均等な印加電圧が供給されず、その結果、素子特性のばらつきが発生する。
【0010】
上記のような理由から、各配線と素子電極の接続部の電気的導通が全素子に渡り完全に接続されているマトリクス配線が要求されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
図13に従来法による電子源基板における配線構造の上面模式図、図14に従来法による電子源基板の製造方法の工程フロー図、図15に従来法の場合に発生する体積収縮による膜浮きの概念図を示す。尚、図13及び図14においては、行方向配線の一部を切り欠いて示している。また、説明のために1素子分のエリアのみを抽出して図示しており、実際の装置においてはこれが縦横に複数個配列される。
【0012】
これらの図において、1は電子放出部を含む導電性膜、3は列方向配線、4は層間絶縁層、5は上部導電層としての行方向配線、6,7は下部導電層としての素子電極、8は層間絶縁層4に形成された抜けパターン(コンタクトホールやスルーホールまたはビアホール等と呼ばれる)である。
【0013】
ここで、行方向配線5と素子電極7の接続部は、行方向配線5が抜けパターン8に落ち込む構成で形成されるために、接続部においては行方向配線5の膜厚が厚くなる。さらに、低抵抗マトリクス配線を実現するに際しても、膜厚は厚くなる傾向にある。
【0014】
その結果、行方向配線5は厚膜材料で作製されるので、熱応力が大きくなり、場合によっては、行方向配線5と接続される素子電極7が、上記厚膜の保持する熱応力によって引き裂かれる現象が発生し、上記部分での電気的接続性を著しく阻害する場合があることが確認されている。
【0015】
また、図15に示すように、別の現象として、行方向配線5は厚膜材料で作製されるが、材料の乾燥状態の体積から高温焼成後の状態の体積が減少する。この体積収縮の際の力により、行方向配線5と接続される素子電極7との接続部分の界面に浮きが発生し、体積収縮の度合いによって結果的に上記部分での電気的接続性を著しく阻害することが確認されている。
【0016】
本発明の主たる目的は、上記問題を解決し、電子放出素子を用いた電子源基板、ひいては該電子源基板を用いた画像表示装置の信頼性を高め得る製造方法を提供することにある。
本発明の別の目的は、上下の導電層の電気的接続の信頼性を高めることができる配線基板及び配線基板の製造方法を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板上に、複数の電極対を形成する工程と、該電極対の一方に接続される複数の第一の配線層を形成する工程と、該第一の配線層上に層間絶縁層を形成する工程と、該層間絶縁層上に、厚膜ペーストを付与し、焼成して、該複数の第一の配線層と交差する複数の第二の配線層を形成する工程と、該電極対間に電子放出部を形成する工程とを有する電子源基板の製造方法において、
前記第二の配線層は、前記電極対よりも厚さが厚く、
前記厚膜ペーストを付与し、焼成して第二の配線層を形成する工程の前に、前記電極対の他方と前記第二の配線層とを電気的に接続するために前記層間絶縁層に設けられる抜けパターン部分に、導電性ペーストを充填し、焼成して導体材料を形成する工程を有することを特徴とする。
【0020】
本発明の電子源基板の製造方法によれば、単純マトリクス構成の配線構造(マトリクス配線)において、第二の配線層(上配線)と接続される素子の電極との界面の浮き現象もしくは亀裂現象を緩和し、かかる部分での電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0021】
また、本発明の配線基板の製造方法によれば、下部導電層と接続される上部導電層との界面の浮き現象もしくは亀裂現象を、より一層緩和し、かかる部分での電気的接続の信頼性を更に高めることができる。
【0022】
上述した本発明においては、
「前記抜けパターン部分を充填するための前記導体材料は、焼成時における体積減少率が10%以下の材料であること」、
「前記抜けパターン部分を充填するための前記導体材料は、導電体を主成分とし、体積減少抑止剤として炭化珪素を混合した材料であること」、
「前記炭化珪素の粒度上限値が20μm以下であること」、
「前記第二の配線層の構成成分であるガラス成分の比率が、0.1重量%以上、3重量%以下であること」、
が好ましいものである。
【0023】
また、上述した本発明においては、
「前記体積減少抑止剤は、多数の層状部材であること」、
「前記体積減少抑止剤は、炭化珪素からなること」、
「前記炭化珪素の粒度上限値が20μm以下であること」、
が好ましいものである。
【0024】
また、本発明は、上記本発明の電子源基板の製造方法により製造した電子源基板である。
【0025】
また、本発明は、上記本発明の電子源基板と、該電子源基板に対向する位置に配設され電子の照射により可視光を発する蛍光体とを備えることを特徴とする画像表示装置である。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に図面を参照して、本発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0027】
以下、電子源基板を例に挙げて説明するが、本発明は電子源基板に限定されるものではなく、PDP、LCD、ELなどの各種表示装置、トランジスタアレイを有するアクティブマトリクス基板などの電子デバイス用の配線基板にも適用できる。
【0028】
図1は、冷陰極電子ビーム源である表面伝導型電子放出素子を用いた本発明の電子源基板における配線構造の特徴を表す上面模式図である。同図において、1は導電性膜(電子放出部形成用薄膜)、3は列方向配線、4は層間絶縁層、5は上部導電層としての行方向配線、6、7は下部導電層としての素子電極、8は層間絶縁層4に形成された抜けパターン(コンタクトホール、スルーホール、ビアホール)、9は抜けパターン8に充填された導体材料である。
【0029】
なお、図1においては、行方向配線5の一部を切り欠いて示している。また、説明のために1素子分のエリアのみを抽出して図示しており、実際の装置においてはこれが縦横に複数個配列される。
【0030】
図2に、上記電子源基板の製造工程フロー図を示す。以下、図2を参照して本実施形態による電子源基板の製造方法を詳細に説明する。
【0031】
まず基板(不図示)上に、素子電極6、7及び列方向配線3を形成する(図2(a))。素子電極6、7は、導電性膜1と列方向配線3及び行方向配線5とのオーム性接触を良好にするために設けられるものである。
【0032】
素子電極6、7の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等の真空系を用いる方法や、溶媒にAg成分及びガラス成分を混合した厚膜ペーストを印刷、焼成することにより形成する厚膜印刷法、さらには、Ptペーストを用いたオフセット印刷法、等がある。
【0033】
列方向配線3の形成方法には、素子電極6、7の形成方法と同様の形成方法が適用可能ではあるが、列方向配線3の場合には、素子電極6、7とは異なり、膜厚は厚い方が電気抵抗を低減でき有利である。そこで、厚膜印刷法を用いるのが有利である。
【0034】
近年、厚膜ペースト印刷にフォトリソグラフィー技術を導入したフォトペースト法による膜形成技術も開発されており、フォトペースト法による形成も、もちろん可能であり、配線の幅が狭くなる場合、大型基板に対応して、位置精度が要求される場合などは、フォトペースト法が有利である。もちろん、薄膜配線の適用も可能であるが、配線抵抗値を下げる為に膜厚を厚くするには成膜に多大な時間が必要であり、膜の内部応力の問題で、配線抵抗を低く抑えたい場合など、膜を厚くできないのが現状である。
【0035】
次に、層間絶縁層4を形成する(図2(b))。層間絶縁層4は、列方向配線3の一部を覆う様にして、形成することが重要である。
【0036】
層間絶縁層4の構成材料は絶縁性を保てるものであればよく、例えば金属成分を含有しない厚膜ペーストである。もちろん、金属成分を含有しないフォトペーストの適用も可能である。特に、層間絶縁層4に形成する抜けパターン8をコンタクトホール形状とする場合には、パターン形成の容易さから、フォトペーストを適用するのが簡便である。
【0037】
次に、層間絶縁層4に設けられた抜けパターン8部を導体材料9で充填する(図2(c))。
【0038】
導電材料9として導電性ペーストを用いる場合には、その粘度は10Pa・s〜100Pa・s程度の範囲から選択できるが、現実には導体材料9の充填に際しては、ペーストの粘度は低いほうが好ましく、数十Pa・s程度がよい。
【0039】
スクリーン印刷法にて用いるスクリーン版のパターンは、層間絶縁層4に設けられた抜けパターン8の大きさよりも若干小さい寸法のペースト吐出部を設けて、注入するようにして印刷する方法が最も容易にかつ確実に充填可能である。もちろん、全パターン同時に充填することが可能である。
【0040】
充填後、乾燥して溶剤分を揮発させ、さらに高温で焼成することにより、充填部に導電性の膜が形成される。ここで重要な点は、充填される材料の乾燥から焼成にいたる過程での体積および膜厚の挙動である。
【0041】
導体材料は、抜けパターン内全部に充填されてもよいし、その一部であってもよい。
【0042】
従来より適用されていた配線材料用の導体材料、つまり、導電体としてAgを主成分とする材料は一般的に乾燥から焼成にいたる過程にて、体積及び膜厚は60%程度に収縮する。この過程で、Ag膜と素子電極との密着性が小さい場合、特に、抜けパターン8がコンタクトホール形状の場合、図15に示したように、膜の浮きが発生し電気導通が劣化する。
【0043】
本発明においては、この充填材料(導体材料)として、乾燥から焼成にいたる過程での体積(膜厚)の減少率が10%以下のものを用いることが好ましく、かかる焼成時において体積が増加するものが特に好ましい。具体的には、導電体としてAgなどを主成分とし、体積減少抑止剤として炭化珪素(SiC)、黒鉛などから選択されるものを混合した材料が好適である。特に、ひとつひとつの形状は微小な層状で、円又は楕円或いは多角形に近似した平面形状あることが好ましい。
【0044】
また、上記充填材料により、層間絶縁層4に設けられた抜けパターン部分への充填を容易にする為には、印刷性能を考慮してSiCの粒度上限値(最大直径)が20μm以下であることが望ましい。このSiCの粒度上限値が粒径が20μmを超えると、導体としての性能が著しく低下する場合がある。
【0045】
次に、行方向配線5を形成する(図2(d))。この行方向配線5の形成方法は、列方向配線3と同様の方法が適用可能である。
【0046】
本発明において、第二の配線層である行方向配線の材料としてガラス成分を混合した厚膜ペーストを用いる際、このガラス成分の比率は、0.1重量%以上、3重量%以下であることが望ましい。このガラス成分の比率が0.1重量%以下であると、焼成された膜と基板もしくは下層膜との密着力が低下する。また、このガラス成分の比率が3重量%を超えると、下層膜特に絶縁膜に対して熱応力もしくは熱収縮による力によって亀裂が発生する確率が著しく上昇する。
【0047】
最後に、導電性膜1を形成して冷陰極電子ビーム源用の素子(1素子分)が完成する(図2(e))。導電性膜1の成膜方法および電子放出部分(表面伝導型電子放出素子)の形成方法は、従来の方法をそのまま適用することが可能である(後述)。
【0048】
図3は、以上のようにして製造された電子源基板における、層間絶縁層4に形成された抜けパターン8部分の断面図を示している。図3に示されるように、行方向配線5を形成する前に、層間絶縁層4に形成された抜けパターン8に導体材料9を充填することにより、特に素子電極が金属膜として形成される場合において、素子電極7が行方向配線5の保持する熱応力によって引き裂かれる現象を抑制でき、かかる部分での電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0049】
また、特に、抜けパターン8を充填するための導体材料9として、高温焼成時における体積の減少率が10%以下である材料を用いることにより、焼成後に行方向配線5と接続される素子電極7との接続部分の界面に浮きが発生する現象を抑制でき、かかる部分での電気的接続の信頼性をより一層高めることができる。
【0050】
本発明の電子源基板に好適に用いられる表面伝導型電子放出素子の代表的な構成、製造方法および特性については、例えば特開平2−56822号公報に開示されている。
【0051】
以下に、本発明にかかわる表面伝導型電子放出素子の基本的な構成と製造方法および特性について概説する。図4は、典型的な表面伝導型電子放出素子の構成を示す図面である。図において、31は絶縁性基板、32と33は素子電極、34は導電性膜、35は電子放出部である。
【0052】
本実施形態における、電子放出部35を含む導電性膜34のうち電子放出部35としては、粒径が数nmの電気伝導性粒子からなり、電子放出部35を含む導電性膜34のうち電子放出部35以外の部分は、微粒子膜よりなる。なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒子が個々に分散した状態のみならず、微粒子が互いに隣接あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜をさす。
【0053】
電子放出部を含む導電性膜34の構成原子又は分子の具体例としては、Pd、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属、PdO、SnO2、In23、PbO、Sb23等の酸化物、HfB2、ZrB2、LaB6、CeB6、YB4、GdB4等のホウ化物、TiC、ZrC、HfC、TaC、SiC、WC等の炭化物、TiN、ZrN、HfN等の窒化物、Si、Ge等の半導体、さらにはカーボン、AgMg、NiCu、PbSn等である。
【0054】
また、導電性膜34の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、化学的気相成長法、分散塗布法、ディッピング法、スピナー法等がある。
【0055】
上記のような構成を有する表面伝導型電子放出素子の形成方法としては様々な方法があるが、以下にその一具体例を説明する。
【0056】
(1)絶縁性基板31を洗剤、純水および有機溶剤により十分に洗浄後、真空蒸着技術、フォトリソグラフィー技術により該絶縁性基板31の面上に素子電極32、33を形成する。素子電極32、33の材料としては電気伝導性を有するものであれば、どのようなものであってもかまわないが、たとえばニッケル金属が挙げられる。素子電極32、33の寸法については、例えば、素子電極間隔Lは10μm、素子電極長さWは300μm、膜厚dは100nmである。素子電極32、33の形成方法として、厚膜印刷法を用いても一向にさしつかえない。印刷法の場合の材料としては有機金属ペースト(MOD)等がある。
【0057】
(2)絶縁性基板31上に設けられた素子電極35と36との間に、有機金属溶液を塗布して放置することにより、有機金属薄膜を形成する。尚、有機金属溶液とは、前記Pd、Ru、Ag、Au、Ti、In、Cu、Cr、Fe、Zn、Sn、Ta、W、Pb等の金属を主元素とする有機化合物の溶液である。この後、有機金属薄膜を加熱焼成処理してリフトオフ、エッチング等によりパターニングし、導電性膜34を形成する。
【0058】
(3)続いて、フォーミングとよばれる通電処理により素子電極32、33間に電圧を印加することにより、導電性膜34の部分に構造の変化した電子放出部35が形成される。この通電処理により導電性膜34を局所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の変化した部位を電子放出部35と呼ぶ。先に説明したように電子放出部35は金属微粒子で構成されている事が観察された。
【0059】
フォーミング処理中の電圧波形を図5に示す。
【0060】
図5中、T1およびT2はそれぞれ電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、T1を1マイクロ秒〜10ミリ秒、T2を10マイクロ秒〜100ミリ秒、三角波の(フォーミング時のピーク電圧)は4Vから10V程度とし、フォーミング処理は真空雰囲気下で数十秒間で適宜設定した。
【0061】
電子放出部を形成する際に、素子電極間の三角波パルスを印加してフォーミング処理を行っているが、素子電極間に印加する波形は三角波に限定することはなく、矩形波など所望の波形を用いてもよく、その波高値およびパルス幅、パルス間隔等についても上述の値に限るものではなく、電子放出部が良好に形成されれば所望の値を選択することができる。
【0062】
通電フォーミング処理の終了は、パルス電圧印加中の素子に流れる電流を測定して抵抗値を求めて、例えば1MΩ以上の抵抗を示した時に通電フォーミングを終了させることができる。
【0063】
このフォーミング処理後の状態では電子発生効率は非常に低いものである。よって電子放出効率を上げるために、上記素子に活性化と呼ばれる処理を行うことが望ましい。
【0064】
(4)この活性化処理は、有機化合物が存在する適当な真空度のもとで、パルス電圧を素子電極32,33間に繰り返し印加することによって行うことができる。そして炭素原子を含むガスを導入し、それに由来する炭素あるいは炭素化合物を、前記フォーミング処理によって形成した電子放出部の近傍にカーボン膜として堆積させる。
【0065】
本工程の一例を説明すると、例えばカーボン源としてトルニトリルを用い、スローリークバルブを通して真空空間内に導入し、1.3×10-4Pa程度を維持する。導入するトルニトリルの圧力は、真空装置の形状や真空装置に使用している部材等によって若干影響されるが、1×10-5Pa〜1×10-2Pa程度が好適である。
【0066】
図6に、活性化工程で用いられる電圧印加の好ましい一例を示した。印加する最大電圧値は、10〜20Vの範囲で適宜選択される。
【0067】
図6(a)に於いて、T1は電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。また、図6(b)に於いて、T1およびT1’はそれぞれ電圧波形の正と負のパルス幅、T2はパルス間隔であり、T1>T1’、電圧値は正負の絶対値が等しく設定されている。
【0068】
このとき、約60分後に放出電流Ieがほぼ飽和に達した時点で通電を停止し、スローリークバルブを閉め、活性化処理を終了する。
【0069】
以上の工程により図4に示したような電子放出素子を作製することができる。
【0070】
上記の素子構成をもち、上記の製造方法によって作製された本実施形態にかかわる電子放出素子の基本特性について図7と図8を参照して説明する。
【0071】
図7は、図4で示した構成を有する素子の電子放出特性を測定する為の測定評価装置の概略構成図である。図7において、31は絶縁性基板、32、33は素子電極、34は導電性膜、35は電子放出部を示す。また、51は素子に素子電圧Vfを印加するための電源、50は素子電極32、33間の電子放出部35を含む導電性膜34を流れる素子電流Ifを測定するための電流計、54は素子の電子放出部より放出される放出電流Ieを捕捉するためのアノード電極、53はアノード電極54に電圧を印加するための高圧電源、52は素子の電子放出部35より放出される放出電流Ieを測定するための電流計である。電子放出素子の上記素子電流If、放出電流Ieの測定にあたっては、素子電極32、33に電源51と電流計50とを接続し、該電子放出素子の上方に電源53と電流計52を接続したアノード電極54を配置している。また、本電子放出素子およびアノード電極54は真空装置55内に設置され、その真空装置には排気ポンプ56および真空計等の真空装置に必要な機器が具備されており、所望の真空下にて本素子の測定評価を行えるようになっている。なお、アノード電極54の電圧は1〜10kV、アノード電極54と電子放出素子との距離Hは3〜8mmの範囲で測定した。
【0072】
図7に示した測定評価装置により測定された放出電流Ieおよび素子電流Ifと素子電圧Vfの関係の典型的な例を図8に示す。なお、図8は任意単位で示されており、放出電流Ieは素子電流Ifのおよそ1000分の1程度である。図8からも明らかなように、本電子放出素子は放出電流Ieに対して3つの特性を有する。
【0073】
第一に、本素子はある電圧(閾値電圧とよぶ、図8中のVth)以上の素子電圧を印加すると、急激に放出電流Ieが増加し、一方、閾値電圧以下では放出電流Ieがほとんど検出されない。即ち、放出電流Ieに対する明確な閾値電圧Vthを持った非線形素子である。
【0074】
第2に、放出電流Ieが素子電圧Vfに依存する為、放出電流Ieが素子電圧Vfで制御できる。
【0075】
第3に、アノード電極54に捕捉される電荷量は、素子電圧Vfを印加する時間により制御できる。
【0076】
以上のような特性を有する為、本発明にかかわる電子放出素子は、多方面への応用が期待される。また、素子電流Ifは素子電圧Vfに対して単調増加する(MI)特性の例を示したが、このほかにも、素子電流Ifが素子電圧Vfに対して電圧制御型負性抵抗(VCNR)特性を示す場合もある。この場合も電子放出素子は上述した3つの特性を有する。なお、予め電導性微粒子を分散して構成した表面伝導型電子放出素子においては、前記本実施形態の基本的な素子構成の、基本的な製造方法の一部を変更しても構成できる。
【0077】
また、本実施形態による電子源基板が適用されるカラー画像表示装置の代表的な構成としては、まず、図9に示すように上記特開平2−56822号公報に開示された製造方法により作製される電子放出素子を複数個、電子源基板80上に形成する。該電子源基板80をガラス基板からなるリアプレート81上に固定した後、電子源基板80の5mm上方にフェースプレート82(ガラス基板83の内面に蛍光体膜84とメタルバック85が形成されて構成される)を支持枠86を介して配置し、フェースプレート82、支持枠86、リアプレート81の接合部にフリットガラスを塗布し、大気中もしくは窒素雰囲気中にて400℃乃至500℃で10分間以上焼成することで封着した。また、リアプレート81への電子源基板80の固定もフリットガラスにて行った。
【0078】
図9において、87は電子放出素子、88はX方向配線(第二の配線層)、89はY方向配線(第一の配線層)である。
【0079】
なお、ここではフェースプレート82、支持枠86、リアプレート81で外囲器90を構成したが、リアプレート81は主に電子源基板80の強度を補強する目的で設けられるため、電子源基板80自体で十分な強度をもつ場合には、別体のリアプレート81は不要であり、電子源基板80に直接、支持枠86を封着し、フェースプレート82、支持枠86、電子源基板80にて外囲器90を構成する。
【0080】
また、蛍光体膜84の内面側には通常メタルバック85が設けられる。メタルバック85を設置する目的は、蛍光体のうち内面側への光をフェースプレート82側へ鏡面反射する事により輝度を向上すること、電子ビーム加速電圧を印加する為の電極として作用させること、外囲器内で発生した負イオンの衝突によるダメージからの蛍光体を保護することなどである。
【0081】
メタルバック85は、蛍光体膜作成後、蛍光体膜の内面の平滑処理(通常フィルミングとよばれる)を行い、その後Alを真空蒸着することで作成する。更に、フェースプレート82の蛍光体膜84の電気電導性を高めるため、蛍光体膜84の外面側に透明電極(図示せず)が設けられる場合もある。
【0082】
前述の封着を行う際、カラー画像表示装置の場合には、各色に対応する蛍光体と電子放出素子との位置合わせを十分に行う必要がある。
【0083】
このようにして作成されるガラス容器(外囲器90)内の雰囲気を十分に行う必要がある。外囲器90内の雰囲気を排気管(図示せず)を通じて真空ポンプにて排気し、十分な真空度に達した後、各配線に接続されている容器外端子を通じ各電子放出素子87の素子電極間に電圧を印加して前述のフォーミング処理以降の工程を実施し、電子放出部を形成し電子放出素子を作成する。最後に、約1.3×10-4Pa程度の真空度にて、排気管を熱して溶着し外囲器の封止を行い完成する。さらに、封止後に真空度を維持するために、ゲッター処理なる工程を実施する。これは、封止を行う直前あるいは封止後に、抵抗加熱あるいは高周波加熱等により、画像表示装置の所定の位置(図示せず)に配設されたゲッターを加熱してゲッター蒸着膜を形成する処理である。ゲッターとしては、通常、Ba等が主成分であり、該蒸着膜の吸着作用により真空度を維持するものである。
【0084】
以上のような製造方法により構成される画像表示装置於いて、各電子放出素子には各配線に接続された容器外端子を通じて電圧を印加することにより電子放出させる。
【0085】
すなわち、走査線に対応するX方向配線88に接続された容器外端子には画像信号の1水平期間づつ順次電圧が印加され、変調信号線に対応するY方向配線89に接続された容器外端子には水平期間に選択された走査線の画像信号の強度に応じた信号電圧が印加される。従って、選択されたX方向配線に接続される各電子放出素子の両端に画像信号の強度に応じた電圧が印加され、画像信号の強度に応じた電子が放出される。
【0086】
また、高圧端子Hvを通じメタルバック85または透明電極(不図示)に数kV以上の高圧を印加して電子ビームを加速し蛍光体膜84に衝突させて蛍光体を励起・発光させることにより画像が形成される。もちろん、これらの構成は画像表示装置を作成する上で必要な構成の概略であり、各部材の材料等は上述の内容に限るものではない。
【0087】
蛍光体膜84は、モノクローム表示の場合には蛍光体にのみからなるが、カラー表示の場合は、図10に示すように、蛍光体の配列によりブラックストライプあるいはブラックマトリクスと呼ばれる黒色部材91と蛍光体92とで構成される。黒色部材91を設ける目的は、カラー表示の場合に必要となる3原色蛍光体の、各蛍光体92の塗り分け部分を黒くすることで混色等を目立たなくすること、蛍光体膜84における外光反射によるコントラストの低下を抑制することである。該黒色部材としては、通常、黒鉛を主成分とするものが多いが、電気伝導性があり、光の透過および反射が少ない材料であれば、これに限るものではない。
【0088】
ガラス基板83に蛍光体を塗布する方法としては、モノクロームの場合には沈殿法、印刷法等がある。カラーでは、スラリー法等がある。もちろん、カラーにおいて印刷法を用いることも可能である。
【0089】
【実施例】
次に、実施例を示して、電子源基板、特に表面伝導型電子放出素子を用いた画像表示装置における電子源基板の本発明による製造方法について説明する。
【0090】
[実施例1]
第1の実施例を、図1及び図2を参照して説明する。図1は電子源基板における配線構造の特徴を表す上面模式図であり、図2は電子源基板の製造工程フロー図である。これらの図は、説明のために1素子分のエリアのみを抽出して図示しており、実際の装置においてはこれが縦横に複数個配列される。
【0091】
本実施例は、絶縁層4に形成される抜けパターン8部分のみに導電性ペーストを充填させるようにした、最も典型的、かつ形状の優れた実施例であり、本発明の特徴をもっとも良好に実現できるものである。
【0092】
まず、素子電極6、7を形成した。本実施例では、Ptのターゲットによりスパッタリング法により膜を真空形成した。膜厚は、〜0.08μmであった。スパッタリング法により基板全面に膜を形成後、フォトリソグラフィーにより、所望のパターンを形成した。素子電極6,7のパターンは、左右非等長パターンとした。(図2(a))。
【0093】
次に、列方向配線3を形成した(図2(a))。形成方法は、スクリーン印刷法を用いた。印刷に使用した材料は、導体成分としてAgを含有したスクリーン印刷用ペーストである。
【0094】
次に、行方向配線5との接触を実現する抜けパターン8の形状をコンタクトホールとした層間絶縁層4を形成した(図2(b))。ペースト材料はPbOを主成分としてガラスバインダーと樹脂及び感光成分を混合した感光性絶縁ペーストである。焼成温度は480℃で、ピーク保持時間は10分である。また、通常、層間絶縁層4は上下層間の絶縁性を十分確保するために、全面印刷、パターン露光、現像、乾燥、焼成を繰り返す。パターン形成方法は種々可能であるが、本実施例では、(1)全面印刷、(2)IR乾燥を2回繰り返し実施し、(3)パターン露光、(4)現像、(5)焼成、の順番で工程を実施した。尚、膜層数は、絶縁性を考慮して増減される。
【0095】
次に、層間絶縁層4に形成した抜けパターン8部分に、導体材料9を充填した。充填に際しては、ペーストの粘度は低いほうが好ましく、数十Pa・s程度がよい。スクリーン印刷法にて用いるスクリーン版のパターンは、層間絶縁膜4に設けられた抜けパターン8の大きさよりも若干小さい寸法のペースト吐出部を設けて、注入するようにして印刷する方法が最も容易にかつ確実に充填可能であり、本実施例をそれに従った。もちろん、全パターン同時に充填することが可能である。
【0096】
本実施例では、導体材料9として、上述した多数の層状炭化珪素からなる体積減少抑止剤と、主成分として多数の銀粒子からなる導電体とを含むペースト状の材料を用いた。このSiCの粒度としては最大10μmの直径をもつものであった。
【0097】
層間絶縁層4に形成した抜けパターン8部分に導体材料9を充填後、110℃20分熱風循環炉にて乾燥し溶剤分を揮発させ、さらに、450℃で10分保持するプロファイルにて高温焼成することにより、充填部に導電性の膜(導体材料9)を形成した。
【0098】
このとき充填材料は、乾燥から焼成にいたる過程での体積および膜厚の変化が、約95%(約5%の減少)となった。このことにより、焼成時の膜収縮が極めて小さいため、導体材料9と素子電極7との電気的接続が確実に保たれた。
【0099】
次に、行方向配線5を形成した(図2(d))。形成方法は厚膜スクリーン印刷法を用いた。
【0100】
以上で、マトリクス配線の部分が完成する。もちろん、ペースト材料、印刷方法等は、ここに記したものに限るものではない。
【0101】
配線完成後、電子放出部形成用の導電性膜1を形成した(図2(e))。具体的には、上記配線基板上に有機パラジウム(CCP4230、奥野製薬工業(株)製)をスピンナーにより回転塗布後、300℃で10分間の加熱処理を実施しPdからなる薄膜を形成した。このようにして形成された薄膜は、Pdを主元素とする微粒子から構成され、その膜厚は10nm、シート抵抗値は5×104Ω/□であった。シート抵抗値は長さと幅が等しい導体の単位長さ換算の抵抗値として定義される。このPd薄膜をフォトリソグラフィー法を用いて、パターニングすることにより導電性膜1を形成した。これにより、フォーミング前までの素子の製造工程が完了する。
【0102】
もちろん、導電性膜1の製造方法は、本実施例に記したものに限るものではなく、種々の製造方法が可能である。
【0103】
次に、フォーミング処理を施す。フォーミング方法は、従来の方法を導入する事が可能であり、本実施例では、以下の条件とした(図5(a)参照)。図5(a)中、T1およびT2は電圧波形のパルス幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1を1ミリ秒、T2を10ミリ秒とし、三角波の波高値(フォーミング時のピーク電圧)は14Vとしフォーミング処理は約1.3×10-4Paの真空雰囲気下で60秒間実施した。このようにして作製された電子放出部は、パラジウム元素を主成分とする微粒子が分散配置された状態となり、その微粒子の平均粒径は3nmであった。
【0104】
次に、すべての表面伝導型電子放出素子のフォーミングが終了後、この電子源基板を用いて図9に示したような画像表示装置の外囲器90を組み立てた。そして、1.3×10-4Pa程度の真空度で排気管(図示せず)をガスバーナーで熱して溶着し外囲器の封止を行った。
【0105】
尚、封止後の真空度を維持するために、ゲッター処理を実施した。これは、封止を行う直前に高周波加熱等の加熱法により、表示パネル(外囲器90)内の所定の位置(図示せず)に配置されたゲッターを加熱し、蒸着膜を形成する処理である。ゲッターはBa等を主成分とするものである。
【0106】
以上のようにして完成した本実施例の画像表示装置において、各電子放出素子には、各配線88,89に接続している容器外端子を通じて、走査信号および変調信号を信号発生手段(図示せず)により、それぞれ印加することにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じて、メタルバック85に数kVの高圧を印加し、電子ビームを加速して蛍光体膜に衝突、励起、発光させることで画像を表示させた。
【0107】
[実施例2]
第2の実施例を、図11及び図12を参照して説明する。図11は、本実施例の画像表示装置で用いられる、表面伝導型電子放出素子を単純マトリクス方式配線してなる電子源基板の構成図であり(行方向配線5の一部を切り欠いて示している)、両方向配線の交差部近傍のみを示している。また、図12は、電子源基板の作製プロセスを説明する工程図である。
【0108】
本実施例は、層間絶縁層4に形成される抜けパターン部分を充填する方法として、導電性ペーストの印刷パターンを線状にし、簡略化した印刷版を用いた。本実施例の方法にても、十分に抜けパターン部分を充填させるように膜を形成することが可能である。
【0109】
まず、素子電極6,7を形成した。本実施例では、Ptのターゲットによりスパッタリング法により膜を真空形成した。膜厚は、〜0.08μmであった。スパッタリング法により基板全面に膜を形成後、フォトリソグラフィーにより、所望のパターンを形成した。素子電極6,7のパターンは、左右非等長パターンである(図12(a))。
【0110】
次に、列方向配線3を形成した(図12(a))。形成方法は、感光性を付与したペーストを全面印刷し、フォトリソグラフィー法によりパターン形成する方法を用いた。全面印刷に使用した材料は、導体成分としてAgを含有したフォトペーストである。
【0111】
次に、行方向配線5との接触を実現する抜けパターン8の形状をコンタクトホールとした層間絶縁層4を形成した(図12(b))。ペースト材料はPbOを主成分としてガラスバインダーと樹脂及び感光成分を混合した感光性絶縁ペーストである。焼成温度は480℃で、ピーク保持時間は10分である。また、通常、層間絶縁層4は上下層間の絶縁性を十分確保するために、全面印刷、パターン露光、現像、乾燥、焼成を繰り返す。パターン形成方法は種々可能であるが、本実施例では、(1)全面印刷、(2)IR乾燥を2回繰り返し実施し、(3)パターン露光、(4)現像、(5)焼成、の順番で工程を実施した。膜層数は、絶縁性を考慮して増減される。
【0112】
次に、層間絶縁層4に形成した抜けパターン8部分に、実施例1と同様の導体材料9を充填した。本実施例では、充填する際に用いるスクリーン版のパターンを線状とした。線状にすることは、スクリーン印刷法にて充填を実施する場合、特に印刷性の面で有利であり、また膜の形成上の信頼性は高い。しかしながら、本来必要でない部分にも膜が充填材料により形成される。もちろん充填性の問題はなく、電気的接続を信頼性よく確保された。
【0113】
次に、行方向配線5を形成した(図12(d))。形成方法は厚膜スクリーン印刷法を用いた。以上で、マトリクス配線の部分が完成する。
【0114】
配線完成後、実施例1と同様にして電子放出部形成用の導電性膜1を形成した(図12(e))。
【0115】
さらに、実施例1と同様に、フォーミング処理を施した後、この電子源基板を用いて図9に示したような画像表示装置を作製した。
【0116】
以上のようにして完成した本実施例の画像表示装置において、各電子放出素子には、容器外端子を通じて、走査信号および変調信号を信号発生手段(図示せず)により、それぞれ印加することにより、電子放出させ、高圧端子Hvを通じて、メタルバック85に数kVの高圧を印加し、電子ビームを加速して蛍光体膜に衝突、励起、発光させることで画像を表示させた。
【0117】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、配線基板において、第二の配線層(上部導電層)を形成する前に、層間絶縁層に形成された抜けパターンに導体材料を充填することにより、第二の配線層に電気的に接続される電極が、この第二の配線層の保持する熱応力によって引き裂かれる現象を抑制でき、かかる部分での電気的接続の信頼性を高めることができる。
【0118】
また、特に、層間絶縁層に形成された抜けパターンを充填するための導体材料として、焼成時における体積の減少率が10%以下である材料を用いることにより、焼成後に第二の配線層に電気的に接続される電極との接続部分の界面に浮きが発生する現象を抑制でき、かかる部分での電気的接続の信頼性をより一層高めることができる。
【0119】
この結果、単純マトリクス方式配線された電子源及び画像表示装置などの電子デバイスの信頼性を高めることができると共に、これらを高歩留まりで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係わる電子源基板の一部を模式的に示す平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係わる電子源基板の製造方法の工程フロー図である。
【図3】本発明における作用効果の説明図であり、電子源基板の層間絶縁層に形成された抜けパターン部分の断面図である。
【図4】本発明の電子源基板に好適に用いられる表面伝導型電子放出素子の典型的な構成を示す図である。
【図5】フォーミング処理に用いる典型的な波形を示す図である。
【図6】活性化処理に用いる典型的な波形を示す図である。
【図7】本発明に好適な表面伝導型電子放出素子の特性評価装置を示す図である。
【図8】本発明に好適な表面伝導型電子放出素子の典型的な特性を示す図である。
【図9】本発明の一実施形態に係わる画像表示装置の一部を切り欠いて示す斜視図である。
【図10】蛍光体膜のパターン図である。
【図11】本発明の実施例2に係わる電子源基板の一部を模式的に示す平面図である。
【図12】本発明の実施例2に係わる電子源基板の製造方法の工程フロー図である。
【図13】従来例の電子源基板の一部を模式的に示す平面図である。
【図14】従来例の電子源基板の製造方法の工程フロー図である。
【図15】従来例の電子源基板の製造方法における問題点を説明するための断面図である。
【図16】従来例の表面伝導型電子放出素子を示す平面図である。
【符号の説明】
1 電子放出部形成用薄膜(導電性膜)
3 第一の配線層(列方向配線)
4 層間絶縁層
5 第二の配線層(行方向配線)
6、7 素子電極(電極対)
8 抜けパターン(コンタクトホール)
9 導体材料
31 絶縁性基板
32、33 素子電極
34 電子放出部形成用薄膜(導電性膜)
35 電子放出部
50 素子電流Ifを測定するための電流計
51 素子に素子電圧Vfを印加するための電源
52 放出電流Ieを測定するための電流計
53 高圧電源
54 アノード電極
55 真空装置
56 排気ポンプ
80 電子源基板
81 リアプレート
82 フェースプレート
83 ガラス基板
84 蛍光体膜
85 メタルバック
86 支持枠
87 電子放出素子
88 第二の配線層(行方向配線)
89 第一の配線層(列方向配線)
90 外囲器
91 黒色部材
92 蛍光体

Claims (7)

  1. 基板上に、複数の電極対を形成する工程と、該電極対の一方に接続される複数の第一の配線層を形成する工程と、該第一の配線層上に層間絶縁層を形成する工程と、該層間絶縁層上に、厚膜ペーストを付与し、焼成して、該複数の第一の配線層と交差する複数の第二の配線層を形成する工程と、該電極対間に電子放出部を形成する工程とを有する電子源基板の製造方法において、
    前記第二の配線層は、前記電極対よりも厚さが厚く、
    前記厚膜ペーストを付与し、焼成して第二の配線層を形成する工程の前に、前記電極対の他方と前記第二の配線層とを電気的に接続するために前記層間絶縁層に設けられる抜けパターン部分に、導電性ペーストを充填し、焼成して導体材料を形成する工程を有することを特徴とする電子源基板の製造方法。
  2. 前記抜けパターン部分を充填するための前記導体材料は、焼成時における体積減少率が10%以下の材料であることを特徴とする請求項に記載の電子源基板の製造方法。
  3. 前記抜けパターン部分を充填するための前記導体材料は、導電体を主成分とし、体積減少抑止剤として炭化珪素を混合した材料であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子源基板の製造方法。
  4. 前記炭化珪素の粒度上限値が20μm以下であることを特徴とする請求項に記載の電子源基板の製造方法。
  5. 前記第二の配線層の構成成分であるガラス成分の比率が、0.1重量%以上、3重量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子源基板の製造方法。
  6. 請求項1乃至5のいずれかに記載の製造方法により製造した電子源基板。
  7. 請求項に記載の電子源基板と、該電子源基板に対向する位置に配設され電子の照射により可視光を発する蛍光体とを備えることを特徴とする画像表示装置。
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