JP4522275B2 - 電子線装置及びそれを用いた表示パネル - Google Patents

電子線装置及びそれを用いた表示パネル Download PDF

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Description

本発明は、平面型の画像形成装置に適用される電子放出素子を用いた電子線装置及びそれを用いた表示パネルに関する。
従来、電子放出素子の利用形態としては、画像形成装置が挙げられ、例えば、冷陰極電子放出素子を多数形成した電子源基板(リアプレート)と、電子放出素子から放出された電子を加速するアノード電極及び発光部材としての蛍光体を具備した対向基板(フェースプレート)とを平行に対向させ、真空に排気した平面型の電子線表示パネルが知られている。平面型の電子線表示パネルは、現在広く用いられている陰極線管(CRT)表示装置に比べ、軽量化、大画面化を図ることができ、また、液晶を利用した平面型表示パネルやプラズマ・ディスプレイ、エレクトロルミネッセント・ディスプレイ等の他の平面型表示パネルに比べて、より高輝度、高品質な画像を提供することができる。
このように、冷陰極電子放出素子から放出された電子を加速するために、アノード電極と素子との間に電圧を印加するタイプの画像形成装置においては、発光輝度を最大限得るために高電圧を印加するのが有利である。素子の種類によって放出される電子線は対向電極に到達するまでに発散するので、高解像度のディスプレーを実現しようとすると、リアプレートとフェースプレートとの基板間距離が短いのが好ましい。
しかしながら、基板間距離が短くなると必然的に該基板間が高電界となるため、放電により電子放出素子が破壊される現象が生じ易くなる。特許文献1には、アノード電極と電子放出素子間で生じる放電によって、他の電子放出素子に及ぶ影響を防止するため、電子放出素子を構成する素子電極と配線との接続経路に抵抗素子を配置した表示装置が開示されている。
特開2003−157757号公報
アノード電極と電子放出素子間で放電が生じた場合、該放電によって生じる電極の溶融、断線に伴って、沿面放電が生じる恐れがある。この沿面放電について、図13を用いて説明する。
図13において、130は配線、131,132は素子電極、139は絶縁層である。尚、上面にはアノード電極(不図示)が備えられ、高電圧が印加されている。
配線130は、素子電極131,132より厚膜で低抵抗の金属材料で形成されており、GND(グランド)に接続されている。また、素子電極131,132は絶縁層139の下を通り、配線130まで延びて配線130と電気的に接続されている。
図13の構成において、先ず、素子電極131で放電133が発生する〔図13(a)〕。すると、放電の進行に伴って陰極点134が発生する〔図13(b)〕。陰極点134とは、放電時に発生する電子放出点のことであり、アノード電極からの放電電流の注入点である〔参考文献:J.Appl.Phys.,vol.51,No.3,1414(1980)〕。陰極点134はマイナス電位側に移動するため、ここではGNDに近い配線130に向かって陰極点134が進む。素子電極131は、放電電流が増加すると共に加熱されて溶融部136が生成される〔図13(c)〕。そのため、陰極点134と配線130間の抵抗が急激に上昇し、その結果、素子電極131の電位が上昇する。つまり、素子電極131と132との間に電位差が生じ、沿面放電138(電界による電子放出が爆発的に増大することに起因する放電)が発生する〔図13(d)〕。尚、陰極点134の経路と溶融部136とは沿面放電後にダメージ137として残る。
また、図13(c)とは異なるケースとしては、陰極点134が絶縁層139の端部まで達し、該絶縁層139端部に留まり〔図13(e)、陰極点134はアノード電極から露出している部分にのみ発生する〕、素子電極131を溶融、断線させ、沿面放電138を発生させる〔図13(f)〕場合もある。
実際の電子線装置では、電子放出素子を有しており、電子放出素子の電界増強係数が高いため、隣接する電子放出素子への沿面放電が発生しやすく、電位上昇を低く抑える必要がある。
特許文献1に開示された構成は、放電電流の流れ方向を制御するだけで、沿面放電自体を防止するものではない。
本発明の課題は、アノード電極と電子放出素子間に発生した放電によって新たに生じる沿面放電を防止し、信頼性の高い電子線装置を提供することにあり、さらには、該電子線装置を煩雑な製造工程を付加することなく提供することにある。
本発明の電子線装置は、一対の素子電極を備えた複数の電子放出素子と、該電子放出素子の一対の素子電極のうちの一方の素子電極に接続された複数の第一配線と、他方の素子電極に接続され、第一配線とは絶縁層を介して交差する複数の第二配線と、を備えたリアプレートと、
アノード電極を備え、上記リアプレートに対向配置して上記電子放出素子から放出された電子が照射されるフェースプレートと
を備えた電子線装置であって、
上記一対の素子電極の少なくとも一方が上記第一または第二配線との接続側において一部が上記絶縁層に覆われており、該絶縁層に覆われた素子電極端部に付加電極が電気的に接続されており、該付加電極が下記式(a)〜(c)を満たすことを特徴とする。
Ee=P×Cp×ρ×Tm (a)
Ea=R×I2×t1 (b)
Ee>Ea (c)
P:体積[m3
Cp:定圧比熱[J/kgK]
ρ:密度[kg/m3
Tm:融点[K]
R:抵抗[Ω]
I:許容電流値[A]
1:放電持続時間[sec]
本発明においては、素子電極に接続付加した付加電極に放電電流を流すことによって該素子電極の溶融、断線を防止し、沿面放電を防止した電子線装置が提供される。さらに、付加電極は配線の作製工程において同時に作り込むことができるため、新たに工程を加える必要が無く、製造工程におけるコスト上昇や効率の低下を伴わずに製造することができる。
本発明の電子線装置は、一対の素子電極を備えた複数の電子放出素子と、該電子放出素子の一対の素子電極のうちの一方の素子電極と電気的に接続された複数の第一配線と、前記第一配線の下に位置し、該第一配線に沿って延びる帯状の絶縁層と、他方の素子電極に電気的に接続され、第一配線とは前記絶縁層を介して交差する複数の第二配線とを備えたリアプレートと、
アノード電極を備え、前記リアプレートに対向配置されて、前記電子放出素子から放出された電子が照射されるフェースプレートと
を備えた電子線装置であって、
前記第一配線は、周囲が前記絶縁層で囲まれた貫通孔として前記絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して前記一方の素子電極と電気的に接続されており、前記一方の素子電極は、前記第一配線との接続側の端部が前記帯状の絶縁層で覆われていると共に、該絶縁層で覆われた部分に隣接して、前記絶縁層で覆われていない部分を有しており、前記一方の素子電極の前記絶縁層で覆われていない部分及び前記絶縁層で覆われた部分の両者に跨る範囲に、前記一方の素子電極に電気的に接続されしかも前記一方の素子電極を全幅に亘って覆う付加電極が形成されており、該付加電極が下記式(a)〜(c)を満たすことを特徴とする。
Ee=P×Cp×ρ×Tm (a)
Ea=R×I2×t1 (b)
Ee>Ea (c)
P:体積[m3
Cp:定圧比熱[J/kgK]
ρ:密度[kg/m3
Tm:融点[K]
R:抵抗[Ω]
I:許容電流値[A]
1:放電持続時間[sec]
また、本発明の表示パネルは、上記本発明に係る電子線装置のフェースプレートに、発光部材である蛍光膜及びアノード電極であるメタルバックを設けたことを特徴とする。
Ee=P×Cp×ρ×Tm (a)
Ea=R×I2×t1 (b)
Ee>Ea (c)
P:体積[m3
Cp:定圧比熱[J/kgK]
ρ:密度[kg/m3
Tm:融点[K]
R:抵抗[Ω]
I:許容電流値[A]
1:放電持続時間[sec]
本発明において用いられる電子放出素子としては、電界放出型素子、MIM型素子、表面伝導型電子放出素子のいずれでも用いることができ、特に放電が発生しやいという点から、数kV以上の電圧が印加される、一般に高電圧型と呼ばれる電子線装置に適用される。
以下、本発明に好ましく用いられる表面伝導型電子放出素子を用いた装置を例に挙げて本発明を具体的に説明する。
本発明の電子線装置は、基本的構成として図6に示すように、リアプレート61と、該リアプレート61に対向配置するフェースプレート62と、これらプレートの周縁部に固定されて、これらプレートと共に外囲器を構成する枠部64とを備えている。また、通常は、リアプレート61及びフェースプレート62との間に配置し、これらのプレート間の距離を保持すると同時に耐大気圧構造体として働くスペーサ63を備えている。
図1に、本発明の電子線装置の好ましい実施形態のリアプレートにおける電子放出素子と配線の構成を模式的に示す。図中、1は走査信号素子電極、2は情報信号素子電極、3は付加電極、4は情報信号配線(第二配線)、5は絶縁層、6は走査信号配線(第一配線)、7は素子膜、8は素子膜7に形成された電子放出部である。尚、図1の通り、走査信号素子電極1と情報信号素子電極2とで、一対の素子電極を形成している。
図2に、図1のリアプレートの電子放出素子及び配線の製造工程を示す。以下に各工程を示す。
先ず、基板(不図示)に走査信号素子電極1と情報信号素子電極2とを形成する〔図2(a)〕。これら素子電極1,2は、配線6,4と素子膜7とのオーム性接触を良好にするために設けられている。素子電極1,2の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法等の真空系が好ましく用いられる。また、素子電極1,2は、電子放出素子精度、素子膜7との段差が小さいという観点から薄膜が好ましい。
次に、情報信号配線4及び付加電極3を形成する〔図2(b)〕。付加電極3は走査信号素子電極1に接続されており、本実施形態では、走査信号素子電極1と走査信号配線6とが該付加電極3によって電気的に接続されている。付加電極3は、走査信号配線6と素子膜7を接続する走査信号素子電極の一部であり、同じ材料であっても、情報信号が流れる情報信号配線4や走査信号の流れる走査信号配線6とは機能が異なる。情報信号配線4及び付加電極3は膜厚を厚くして電流耐性(ジュール熱による熱耐性)を上げる必要がある。形成方法としては、溶媒にAg成分及びガラス成分を混合した厚膜ペーストを印刷、焼成する厚膜印刷法や、Ptペーストを用いたオフセット印刷法等がある。また、厚膜ペースト印刷にフォトリソグラフィー技術を導入した、フォトペースト法を適用することも可能である。
次に、絶縁層5を形成する〔図2(c)〕。絶縁層5は、情報信号配線4を部分的に覆い、この後に形成される走査信号配線6とのショートを防ぐために設けられる。また、付加電極3と走査信号配線6の接続を確保するために、コンタクトホール形式の開口部を設ける。絶縁層5の構成材料は、情報信号配線4と走査信号配線6の電位差を保てるものであれば良く、例えば、絶縁性の厚膜ペースト、フォトペーストである。
次に、走査信号配線6を形成する〔図2(d)〕。走査信号配線6の形成方法は、情報信号配線4と同様の方法が適用可能である。本例では、走査信号配線6は情報信号配線4より太い配線幅を有しており、よって、抵抗も低く、走査信号素子電極1〜走査信号配線6間の抵抗は、情報信号素子電極2〜情報信号配線4間の抵抗よりも低い。
最後に、素子膜7を形成し、電子放出部8を形成する〔図2(e)〕。表面伝導型電子放出素子の代表的な構成、製造方法、特性については、例えば特開2−56822号公報に開示されている。
一般に、パネル(外囲器)内での放電には、主に素子放電、異物放電、突起放電が考えられる。素子放電とは、電子放出素子が過電圧等で破壊され、それがトリガーとなって発生する放電である。異物放電とは、パネル内に異物が混入し、それが移動中に発生する放電である。突起放電とは、パネル内の不要な突起から電子放出が過剰に行われて生じる放電である。
本発明はいずれの放電に対しても効果を奏する。異物放電、突起放電は多くの場合、放電発生後に電子放出素子または素子電極(後述)に放電が移動し、実質的に素子放電と同様の過程を辿る。そこで、ここでは素子放電を例にとって説明を行う。図3に素子放電における典型的な放電進行過程を示す。先ず、素子膜7に過電圧が印加されて素子膜7の一部が破壊されると、素子放電20が発生する〔図3(a)〕。これをトリガーとして、アノード電極からの放電電流が流れ込み、放電が進行する。放電電流は、素子膜7からそれに接続された素子電極1,2に流れ込むが、走査信号素子電極1側が情報信号素子電極2側よりも抵抗が低いため、放電電流は主に走査信号素子電極1に流れ込み、放電に伴って発生する陰極点21も走査信号素子電極1を走査信号配線6に向かって進行する〔図3(b)〕。
さらに時間が経過すると、陰極点21は付加電極3に達し、アノード電極からの放電電流は付加電極3に直接流れる〔図3(c)〕。アノード電極に蓄積された電荷が全て流れると、放電は終了する。その際、走査信号素子電極1には、陰極点21や素子電極1が溶融したことによるダメージ23が残る〔図3(d)〕。
付加電極3が十分な電流耐性を持つためには、付加電極3が下記の条件を満たす必要がある。
Ee=P×Cp×ρ×Tm (1)即ち(a)
Eh=∫R×Ih 2dt (2)
Ee>Eh (3)
P:体積[m3
Cp:定圧比熱[J/kgK]
ρ:密度[kg/m3
Tm:融点[K]
R:抵抗[Ω]
h:放電電流値[A]
上記Eeは付加電極3が溶融して消失するエネルギーに当たり、Ehは付加電極3に流れる放電電流のエネルギーに当たる。つまり、上記式(3)を満たすことで、放電電流が流れる期間に付加電極3が消失しないで陰極点21を吸収し、素子膜7と走査信号配線6との電気的導通を保つ条件が満たされる。
上記式(2)を導出するためには、放電電流波形を測定し、取得する必要がある。しかし、波形に高周波成分が含まれると、放電電流最大値Imを取得することは容易でも、全体の波形が不明瞭になる。そこで、式(2)を下記式(4)に置き換える。
Eh=∫R×Ih 2dt
≒R×Im 2×t1=Et (4)
1:放電持続時間
この場合、どのような放電波形であっても、式(4)を超える値にはならず、式(3)に基づいて、
Ee>Et (5)
とすれば、放電電流が流れる期間に付加電極3が消失しないで陰極点21を吸収し、走査信号配線6或いは情報信号配線4との電気的導通を保つ条件が常に成立することになる。
放電持続時間t1を測定で求めることができない場合には、下記のように考える。
放電時にフェースプレートからリアプレートに流れる電荷量Q[C]は、下記式(6)で示される。
Q=C×V=∫Ihdt (6)
C:フェースプレートとリアプレート間の容量[F]
V:印加電圧[V]
∫Ihdt≒Im×t1×0.5 (7)
として、
1=2C×V/Im (8)
という式で放電持続時間t1を与える。式(7)で0.5をかける理由は、放電電流波形は一般に三角波に近い形状が多いからである。尚、フェースプレートとリアプレート間の容量Cは、後述する図10に記載されているように、フェースプレートのアノード電極が分割され、電流制限抵抗が挿入される場合には、パネル全面の容量ではなく、一部の容量だけが放電電流に寄与する場合もある。その値はパネル構成から電気回路的な計算により容易に算出できる。
ここで、許容電流値Iを定義する。許容電流値Iとは、放電電流Ihが流れて走査信号配線6或いは情報信号配線4から外部のGNDに排出するまでの経路のうち、最も電流耐性が低い部材に流すことができる最大電流値である。許容電流値Iを超える放電電流最大値Imが流れる場合には、本発明に係わらずその部材に放電ダメージが入ってしまうので、本発明の効果が得られない。
そこで、前記式(4)及び(5)は、下記式(9)、(10)に置き換える。
Ea=R×I2×t1 (9)即ち(b)
Ee>Ea (10)即ち(c)
本発明において、I>Imであり、式(10)は式(3)及び式(5)よりも厳しい条件であるが、放電電流の変動不安定性を考慮すると妥当な条件と言える。尚、式(8)についても、下記式(11)に置き換える。
1=2C×V/I (11)
式(11)における容量Cは、下記式(d)で置き換えることができる。
1=2ε×S×V/(D×I) (d)
ε:リアプレートとフェースプレート間の誘電率[F/m]
S:リアプレートとフェースプレートの対向面積[m2
V:リアプレートとフェースプレートのアノード電極間に印加される電圧[V]
D:リアプレートとフェースプレート間の距離[m]
放電電流Ihが走査信号配線6から外部のGNDに排出されるまでの模式的な経路を図4に示す。図中、40は配線6に走査信号を伝送するフレキシブル基板、41は駆動波形を作成するドライバーIC、42はドライバーIC41と電源43を接続するバス基板(またはドライバー基板)、43はドライバーICを駆動する電源、44は外部グランド(GND)である。放電電流Ihは、走査信号配線6からフレキシブル基板40、ドライバーIC41を流れ、バス基板42に達する。放電電流Ihは高周波電流のため、大部分はバス基板42からGND44へ流れる。一部は電源43を介してGND44に流れる。図4中、最も電流耐性が低い部材は一般的にはドライバーICであり、それ以上の放電電流が発生した場合はドライバーが破壊され、ラインダメージが発生する。このような構成の場合、ドライバーIC41に流すことのできる電流値Idが許容電流値Iとなる。通常、Idの範囲は0.01〜5.0[A]程度である。尚、ドライバーIC41の設計値として、電流値Idの持続時間tdを設計する場合もあり、その場合はtdを放電持続時間t1と置き換える。
また、フェースプレートに電流制限抵抗を導入し、放電電流を抑制する場合、Idに比べて放電電流最大値Imがはるかに小さくなる場合がある。その場合、許容電流値Iを放電電流最大値Imとしても良い。
また、数kV〜10kV強程度の高電圧を印加する薄型フラットパネルディスプレイにおいては、不慮の放電電流を2A程度に抑えないと、放電発生と同時に、つまり陰極点の移動現象の発生前に隣接する素子へと放電が広がる傾向にあることが確認された。この場合、付加電極の能力によらず、放電によるパネル破壊が生じる。よって、許容電流値Iは、3A程度に設定すれば十分である。この点で、フェースプレートに電流制限抵抗を導入する場合、放電電流最大値Imは0.1〜3.0A程度に抑制される。例えば、アノード電極を分割し、電流制限抵抗のある高抵抗部材を用いることで実現できる。アノード電極を数10〜数100μm幅の短冊、或いはドット状に分割し、数100〜数MΩ/□の部材を用いると、上記の値となる。設計値は前記構成のモデルより、容量、抵抗値を算出し、SPICEによる回路計算等を用いることで容易に導くことができる。即ち、許容電流値Iは0.1〜3.0Aとしても良い。
上記したように、付加電極3を走査信号素子電極1より厚膜或いは幅広に形成し、電流耐性を高くすると、断線することなく放電電流を走査信号配線6に流すことができる。よって、素子電極1の溶融、断線に伴う沿面放電を抑制することができる。
図3の放電進行過程からわかるように、付加電極3の位置も重要である。図3の素子放電の場合、陰極点21は走査信号素子電極1の走査信号配線6に最も近い絶縁層5の端部に滞留するため、電流耐性を有する付加電極3はその位置に配置する必要がある。走査信号素子電極1上の絶縁層5の端部はいわゆる三重点となることもあり、付加電極3は走査信号素子電極1に絶縁層5の端部で電気的に接していることが重要であり、さらには、絶縁層5の端部で走査信号素子電極1全面を覆っていることが好ましい。また、絶縁層5の端部から走査信号配線6までを付加電極3で接続すると、途中で断線する危険性がなくなるので、より好ましい。
また、付加電極3は走査信号素子電極1或いは情報信号素子電極2のうち、電子放出部8から配線6或いは4の端部を通り、GNDまでの抵抗が低い側にのみ付与する構成でよい。その理由は、本実施形態でも示したように、高抵抗側には陰極点21が進行しがたいからである。
本実施形態では、情報信号素子電極12が情報信号配線4と直接接続しており、付加電極が設けられていないが、情報信号素子電極12が絶縁層5で覆われる構成では、該絶縁層5の端部において情報信号素子電極12に付加電極を配置しても良い。
また、付加電極を設けた素子電極1,2の該付加電極近傍に抵抗が不連続に変化する部位(キンク部)を設けることで、陰極点21の制御をより効果的に行うことができる。図5にキンク部を設けた場合の素子放電進行過程を示す。図5中、走査信号素子電極1の電極幅が変化している部位がキンク部51である。尚、図3と同じ部材には同じ符号を付して説明を省略する。
素子膜7に過電圧が印加されて素子膜7の一部が破壊されると、素子放電20が発生する〔図5(a)〕。これをトリガーとして、アノード電極から放電電流が流れ込む。放電に伴って発生する陰極点21が走査信号素子電極1を走査信号配線6に向かって進行する。この時、キンク部51には電流集中が生じるため、他の場所よりも早い段階で溶融が始まり、陰極点21はキンク部51に移動する〔図5(b)〕。そして、陰極点21はキンク部51から付加電極3に向かって進行する〔図5(c)〕。アノード電極に蓄積された電荷が消費されると、放電は終了する。その際、走査信号素子電極1には、陰極点21や素子電極1が溶融したことによりダメージ23が残る〔図5(d)〕。このように、キンク部51が存在すると、陰極点21をより早く付加電極3に移動させることができる。キンク部51としては、特にその形状が限定されるものではなく、通常は、電極幅や電極厚みを変化させることで形成することができる。
また、1画素を複数の電子放出素子により構成する場合、1画素を1個の電子放出素子で構成する場合よりも沿面放電しきい値がより低いため、本発明の効果がより顕著に得られる。
以下に具体的な実施例を挙げて本発明を詳しく説明するが、本発明がこれら実施例の形態に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示す構成のリアプレートを図2に示す工程に従って作製した。本例では、基板としてアルカリ成分の少ないPD−200(旭硝子社製)の2.8mm厚ガラスを用い、さらにこのガラス基板上にナトリウムブロック層として膜厚100nmのSiO2膜を塗布形成した。
[素子電極形成]
上記ガラス基板上にスパッタ法によって、膜厚20nmのPt膜を成膜した後、全面にフォトレジストを塗布し、露光、現像、エッチングの一連のフォトリソグラフィー技術によってパターニングして、走査信号素子電極1と情報信号素子電極2とを形成した〔図2(a)〕。これら素子電極1,2の電気抵抗率は0.25×10-6[Ωm]であった。また、走査信号素子電極1は、幅30μm、長さ150μmとした。
[情報信号配線及び付加電極形成]
銀Agフォトペーストインキを用い、スクリーン印刷した後、乾燥させてから所定のパターンに露光し、現像した。その後、約480℃で焼成して情報信号配線4及び付加電極3を形成した〔図2(b)〕。付加電極3の厚さは約10μm、幅は30μm、長さは150μmとし、長さ方向において素子電極1を部分的に覆った。情報信号配線4の厚さは約10μm、幅は20μmとした。作製された付加電極3の電気抵抗率を測定したところ、0.03×10-6[Ωm]であった。尚、付加電極3の終端部(素子電極1を覆っていない側)は走査信号配線6の取り出し電極として用いるため、幅を広く形成した。
[絶縁層形成]
後工程で形成する走査信号配線6の下に、PbOを主成分とする感光性ペーストをスクリーン印刷した後、露光、現像し、最後に約460℃で焼成して厚さ30μm、幅200μmの絶縁層5を形成した〔図2(c)〕。該絶縁層5には、付加電極3の終端部に相当する領域に開口部を設けた。
[走査信号配線形成]
Agペーストインキをスクリーン印刷した後、乾燥し、その後450℃前後で焼成し、厚さ10μm、幅150μmの走査信号配線6を、上記絶縁層5上に形成した[図2(d)]。尚、当該工程で外部駆動回路への引き出し配線、引き出し端子も同様に形成した。本例では付加電極3と走査信号配線6とが直接接続しており、且つ、絶縁層5端部において走査信号素子電極1が付加電極3によって全面覆われている。
本例の配線群の抵抗を測定したところ、素子膜7が形成される走査信号素子電極1から走査信号配線6を通り、外部駆動回路までの抵抗は約70Ω、情報信号素子電極2から情報信号配線4を通り、外部駆動回路までの抵抗は約700Ωであった。
[素子膜及び電子放出部形成]
上記基板を十分にクリーニングした後、撥水剤を含む溶液で表面を処理し、疎水性にした。水とイソプロピルアルコール(IPA)の85:15(v/v)混合水溶液に、パラジウム−プロリン錯体を該水溶液中の含有量が0.15質量%となるように溶解し、有機パラジウム含有溶液を調整した。ピエゾ素子を用いたインクジェット塗布装置により上記有機パラジウム含有溶液をドット径が50μmとなるように調整して上記素子電極1,2間に付与した。その後、空気中で350℃で10分間の加熱焼成処理を施し、厚みが最大で10nmの酸化パラジウム(PdO)膜を得た。
若干の水素ガスを含む真空雰囲気下で上記酸化パラジウム膜に通電加熱することにより、酸化パラジウムを還元してパラジウムからなる素子膜7を形成すると同時に、該素子膜7の一部に電子放出部8を形成した。
次いで、トリニトリルを真空雰囲気に導入し、1.3×10-4Paの真空雰囲気で上記素子膜7に通電処理を施し、電子放出部近傍に炭素或いは炭素化合物を堆積させた。
[表示パネル形成]
上記のようにして得られたリアプレートと、ガラス基板上に発光部材としての蛍光膜とアノード電極としてのメタルバックを積層してなるフェースプレートとを図6に示すように周縁部に枠部を配置し、プレート間の距離をスペーサにより2mmに維持して封止し、画素数3072×768、画素ピッチ200×600μmのマトリクス表示パネルを得た。本例の走査ドライバーの許容電流値Idは5Aとした。
また、比較例1として、付加電極3を設けない以外は同じ構成の表示パネルを作製した。
[評価]
以上のようにして得られた実施例1、比較例1の表示パネルについて、通常通りの画像表示を行ったところ、いずれの表示パネルにおいても良好な表示が得られた。
次いで、本発明の効果を確認するため、電子放出素子に過電圧を印加して人工的に素子放電を誘発させる放電実験を行った。先ず、パネル中央でスペーサから離れた位置の適当なアドレス(X,Y)の画素とその周辺3画素分以外の電子放出素子を除去した。これは、放電実験において駆動する配線上に電子放出素子が接続されていると、電圧を印加した際に、素子特性に応じた電流が放電電流に加算されてしまうからである。電子放出素子の除去方法としては、リアプレートの裏面からYAGレーザーを素子膜7に照射することで実現した。素子膜7は非常に薄い膜であるため、低出力でも除去が可能である。
次に、フェースプレートのアノード電極に3kVの電圧を印加し、走査信号、情報信号としてそれぞれ−17V、+17Vを印加した。同時に、電圧プローブ及び電流プローブを用いて、電圧印加ラインの電圧、電流波形をモニターした。
本例では、走査信号側が情報信号側より電圧印加経路の抵抗が低いため、放電電流は大半が走査信号配線へと流れる。電気回路的には走査信号側:情報信号側=10:1の分流比となるが、図3で示したように、陰極点21が走査信号素子電極1上を移動し、素子膜7が破壊されて高抵抗化するため、情報信号側に流れる電流はほぼゼロと見なして良い。実際に、情報信号配線4からの放電電流は20mA以下であった。図7に、本実施例の走査信号配線6から出力された放電電流波形の模式図を示す。本実施例では図7のI(1)が4A、t(1)が0.2μsec、t(2)が0.8μsecであった。尚、比較例では安定した放電電流測定はできなかった。
放電実験後に画素ダメージを観察したところ、実施例1の表示パネルでは放電を生じた画素のみが素子放電によるダメージを受けていたのに対して、比較例1の表示パネルでは、走査信号配線6に沿って、隣接1画素にも素子放電ダメージが及んでいた。
ここで、本例の走査信号素子電極及び付加電極の構成を式(a)〜(c)に従って確認する。尚、許容電流値は走査ドライバーの許容電流値Id=5Aとする。
〈実施例1〉
付加電極(Ag):
P=(10×30×150)×10-18=4.5×10-14[m3
Cp=230[J/kgK]
ρ=1.05×104[kg/m3
Tm=1235[K]
式(a)より、
Ee1=P×Cp×ρ×Tm=1.3×10-4[J]
電気抵抗率は0.03×10-6[Ωm]なので、
1=0.03×10-6×150×10-6/(10×10-6×30×10-6
=0.015[Ω]
式(b)より、
Ea1=R1×Id 2×t(2)
=0.015×25×0.8×10-6=3.0×10-7[J]
よって、Ee1≫Ea1
〈比較例1〉
走査信号素子電極(Pt):
P=(0.02×30×150)×10-18=9.0×10-17[m3
Cp=120[J/kgK]
ρ=2.14×104[kg/m3
Tm=2045[K]
式(a)より、
Eec1=P×Cp×ρ×Tm=4.7×10-7[J]
電気抵抗率は0.25×10-6[Ωm]なので、
c1=0.25×10-6×150×10-6/(2×10-8×30×10-6
=62.5[Ω]
式(b)より、
Eac1=Rc1×Id 2×t(2)
=62.5×25×0.8×10-6=1.3×10-3[J]
よって、Eec1≪Eac1
以上のように、実施例1の表示パネルにおいては、式(c)を満たす付加電極が設けられているのに対して、比較例1の表示パネルでは、付加電極がなく、走査信号素子電極では式(c)を満たさない。
尚、放電持続時間t1については、式(12)より、
1=2ε×S×V/(d×I)
=2×8.85×10-12×(3072×200×768×600×10-12
×3000/(2×10-3×5)
=1.5×10-6[μsec]
を用いても同様の結果が得られる。
(実施例2)
図8に示すように、付加電極3の幅が走査信号素子電極1よりも狭く、また、絶縁層5が情報信号線4を覆っている以外は実施例1と同じ構成のリアプレートを作製した。
本実施例の付加電極3は厚さが約5μm、幅が20μm、長さは150μmとした。また、情報信号配線4上に延長した絶縁層5は幅30μmとした。図9に図8中のA−A’断面図を示す。尚、本例では情報信号配線4が絶縁層5で覆われているが、走査信号側が情報信号側よりGNDまでの抵抗が10倍低く、放電電流が走査信号側に流れるため、情報信号素子電極2に付加電極を設けなくてもよい。
図10に、本例で用いたフェースプレートの平面構成を模式的に示す。図中、100はガラス基板、101は共通電極、102は電極間抵抗、103はアノード電極であるメタルバック、104はブラックストライプである。本フェースプレートの作製工程を以下に説明する。
先ず、ガラス基板100上に、Agフォトペーストをスクリーン印刷した後、乾燥させてから、所定のパターンに露光、現像し、共通電極101を形成した。次に、導電性ブラックマトリクス材料をスクリーン印刷し、所定のパターンに露光、現像し、電極間抵抗102を形成した。次に、電極間抵抗102とは異なる導電性ブラックマトリクス材料を用いて、スクリーン印刷によりブラックストライプ104を形成した。画素部には蛍光体を印刷(不図示、メタルバック103とガラス基板100との間に形成)し、蛍光体面をフィルミング処理し、アルミニウム膜をメタルマスクでパターニングしてメタルバック103を形成した。メタルバック103は、走査信号配線6に沿ったライン状の電極であり、幅が400μmである。最後に、フェースプレートを500℃で焼成した。
このようにして形成されたフェースプレートの電極間抵抗102の抵抗値は、共通電極101とメタルバック103間で200kΩ、ブラックストライプ104の抵抗値はメタルバック103間で20kΩであった。電気回路的な考察により、数kVのアノード電圧を印加した際に、あるメタルバック103で放電が発生した場合、共通電極101からはほとんど電荷が流れ込まず、メタルバック103数ライン程度の電荷のみが放電に寄与することがわかる。
上記リアプレートとフェースプレートを用いて画素数3840×768、画素ピッチ200×600μmのマトリクス表示パネルを得た。また、付加電極を設けない以外は実施例2と同様の構成の比較例2の表示パネルも作製した。
[評価]
実施例2、比較例2の表示パネルについて放電実験を行った。メタルバック103に10kVの電圧を印加し、走査信号、情報信号としてそれぞれ、−15V、+15Vを印加した。同時に、電圧プローブ及び電流プローブを用いて、電圧印加ラインの電圧、電流波形をモニターした。
本実施例の走査信号配線6から出力された放電電流波形は実施例1と同様に図7で示される波形で、本例ではI(1)が1A、t(1)が0.15μsec、t(2)が0.4μsecであった。また、フェースプレート側の電流電圧測定結果から、メタルバック103のうち、10ライン分が放電電流に寄与していることがわかった。また、情報信号配線4側に流れ込む放電電流は20mA以下であった。
放電実験後に画素ダメージを観察したところ、実施例2の表示パネルでは放電を生じた画素のみが素子放電によるダメージを受けていたのに対して、比較例2の表示パネルでは、走査信号配線6に沿って、隣接1画素にも素子放電ダメージが及んでいた。
ここで、本例の走査信号素子電極及び付加電極の構成を式(a)〜(c)に従って確認する。尚、許容電流値は実測の放電電流最大値I(1)=1Aとする。
〈実施例2〉
付加電極(Ag):
P=(5×20×150)×10-18=1.5×10-14[m3
Cp、ρ、Tmは実施例1と同じ
式(a)より、
Ee2=P×Cp×ρ×Tm=4.5×10-5
電気抵抗率は0.03×10-6[Ωm]なので、
2=0.03×10-6×150×10-6/(5×10-6×20×10-6
=0.045[Ω]
式(b)より、
Ea2=R2×I(1)2×t(2)
=0.045×1×0.4×10-6=1.8×10-8
よって、Ee2≫Ea2
〈比較例2〉
走査信号素子電極(Pt):
実施例2と構成が同じであるので、
Eec2=P×Cp×ρ×Tm=4.7×10-7
Eac2=Rc1×I(1)2×t(2)
=62.5×1×0.4×10-6=2.5×10-5
よって、Eec2≪Eac2
実施例1と同様に、本実施例2は式(c)を満たす付加電極が付設されているが、比較例2には付加電極がなく、走査信号電極は式(c)を満たさない。本実施例のように、情報信号配線4を絶縁層5で覆うことにより、情報信号配線4に放電電流が流れるのを抑制し、隣接画素へのダメージも防止することができる。
(実施例3)
図11に示すように、走査信号電極1にキンク部51を形成した以外は実施例1と同様にして表示パネルを作製した。本例の走査信号電極1は、素子膜7と接する部分の幅が10μm、長さが80μmで、付加電極3に接する部分の幅が30μm、長さが100μmとした。画素数は3072×768、画素ピッチは200×600μmとした。
事前検討として、本実施例3の走査信号素子電極1と実施例1の走査信号素子電極1に三角波の波形の電流を印加(走査信号配線6と素子膜7にプローブを立てた)して、素子電極ダメージを確認したところ、実施例1の走査信号素子電極1は約300mAで付加電極3に陰極点が移動したのに対して、実施例3の走査信号素子電極1は約150mAで付加電極3に陰極点が移動した。即ち、キンク部51を設けることで、より低い電流で放電電流を付加電極に流すことができ、電位上昇を抑えて沿面放電を防止することができる。
[評価]
実施例1と同様に、本例の表示パネルについて放電実験を行った。アノード電極に3kVの電圧を印加し、走査信号、情報信号としてそれぞれ、−17V、+17Vを印加した。放電実験後に画素ダメージを観察したところ、本例の表示パネルは放電を生じた画素のみが素子放電によるダメージを受けており、隣接画素のダメージは観察されなかった。尚、本例の付加電極が実施例1と同様に式(c)を満たしていることは明らかであるので、説明を省略する。
(実施例4)
図12に示すように、1画素内に2個の電子放出素子を有し、且つ、付加電極3と走査信号素子電極1との間にバリア層121を設けた表示パネルを作製した以外は実施例1と同様にして画素数が3072×768、画素ピッチが200×600μmの表示パネルを作製した。
バリア層121は、付加電極3の構成材料であるAgがPtで構成された走査信号素子電極1内に拡散して、抵抗特性を変化させないように両者の間に介在させる。バリア層121は、ITO(インジウム・チン・オキサイド)をターゲットに、O2を導入しながら反応性スパッタリング法によりITOを真空成膜し、フォトリソグラフィーにより所望のパターンに形成した。膜厚は0.2μm、幅40μm、長さ190μmとした。
[評価]
実施例1と同様に、本例の表示パネルについて放電実験を行った。アノード電極に3kVの電圧を印加し、走査信号、情報信号としてそれぞれ、−17V、+17Vを印加した。放電実験後に画素ダメージを観察したところ、本例の表示パネルは放電を生じた画素のみが素子放電によるダメージを受けており、隣接画素のダメージは観察されなかった。尚、本例の付加電極が実施例1と同様に式(c)を満たしていることは明らかであるので、説明を省略する。
本発明の実施形態のリアプレートにおける電子放出素子と配線の構成を模式的に示す平面図である。 図1のリアプレートの電子放出素子及び配線の製造工程図である。 素子放電における典型的な放電進行過程を示す図である。 本発明において、放電電流が走査信号配線から外部のGNDに排出されるまでの模式的な経路を示す図である。 走査信号素子電極にキンク部を設けた場合の素子放電進行過程を示す図である。 本発明の基本的構成を示す模式図である。 実施例において走査信号配線から出力された放電電流波形を示す図である。 実施例2で作製したリアプレートの画素の構成を模式的に示す平面図である。 図8中の情報信号配線の幅方向の断面模式図である。 実施例2で作製したフェースプレートの構成を模式的に示す平面図である。 実施例3で作製したリアプレートの画素の構成を模式的に示す平面図である。 実施例4で作製したリアプレートの画素の構成を模式的に示す平面図である。 沿面放電の説明図である。
符号の説明
1 走査信号素子電極
2 情報信号素子電極
3 付加電極
4 情報信号配線
5 絶縁層
6 走査信号配線
7 素子膜
8 電子放出部
20 素子放電
21 陰極点
23 ダメージ
40 フレキシブル基板
41 ドライバーIC
42 バス基板
43 電源
44 外部グランド(GND)
51 キンク部
61 リアプレート
62 フェースプレート
63 スペーサ
64 枠部
100 ガラス基板
101 共通電極
102 電極間抵抗
103 メタルバック(アノード電極)
104 ブラックストライプ
121 バリア層
130 配線
131,132 素子電極
133 放電
134 陰極点
136 溶融部
137 ダメージ
138 沿面放電
139 絶縁層

Claims (7)

  1. 一対の素子電極を備えた複数の電子放出素子と、該電子放出素子の一対の素子電極のうちの一方の素子電極と電気的に接続された複数の第一配線と、前記第一配線の下に位置し、該第一配線に沿って延びる帯状の絶縁層と、他方の素子電極に電気的に接続され、第一配線とは前記絶縁層を介して交差する複数の第二配線とを備えたリアプレートと、
    アノード電極を備え、前記リアプレートに対向配置されて、前記電子放出素子から放出された電子が照射されるフェースプレートと
    を備えた電子線装置であって、
    前記第一配線は、周囲が前記絶縁層で囲まれた貫通孔として前記絶縁層に設けられたコンタクトホールを介して前記一方の素子電極と電気的に接続されており、前記一方の素子電極は、前記第一配線との接続側の端部が前記帯状の絶縁層で覆われていると共に、該絶縁層で覆われた部分に隣接して、前記絶縁層で覆われていない部分を有しており、前記一方の素子電極の前記絶縁層で覆われていない部分及び前記絶縁層で覆われた部分の両者に跨る範囲に、前記一方の素子電極に電気的に接続されしかも前記一方の素子電極を全幅に亘って覆う付加電極が形成されており、該付加電極が下記式(a)〜(c)を満たすことを特徴とする電子線装置。
    Ee=P×Cp×ρ×Tm (a)
    Ea=R×I2×t1 (b)
    Ee>Ea (c)
    P:体積[m3
    Cp:定圧比熱[J/kgK]
    ρ:密度[kg/m3
    Tm:融点[K]
    R:抵抗[Ω]
    I:許容電流値[A]
    1:放電持続時間[sec]
  2. 前記放電持続時間t1は、下記式(d)で示される請求項1に記載の電子線装置。
    1=2ε×S×V/(D×I) (d)
    ε:リアプレートとフェースプレート間の誘電率[F/m]
    S:リアプレートとフェースプレートの対向面積[m2
    V:リアプレートとフェースプレートのアノード電極間に印加される電圧[V]
    D:リアプレートとフェースプレート間の距離[m]
  3. 前記許容電流値Iは、当該電子線装置に付設されたドライバーICの許容電流値Idである請求項1または2に記載の電子線装置。
  4. 前記フェースプレートがリアプレートに対向する面内においてアノード電極に電圧を印加する経路に電流制限抵抗を有しており、前記許容電流値Iが該電流制限抵抗値によって決まる最大電流値Imである請求項1または2に記載の電子線装置。
  5. 前記許容電流値Iが0.1〜3.0[A]である請求項4に記載の電子線装置。
  6. 前記付加電極が接続された素子電極が、該付加電極の近傍に抵抗が不連続に変化する部位を有する請求項1〜のいずれか1項に記載の電子線装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電子線装置のフェースプレートに、発光部材である蛍光膜及びアノード電極であるメタルバックを設けたことを特徴とする表示パネル。
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