JP4145383B2 - サイズ剤組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紙のインク滲みの防止に用いられるサイズ剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、環境保全に対処すべく、抄紙のサイジングには、ケン化ロジン、アニオン系界面活性剤あるいはカゼインをサイズ剤用の分散剤として用いた水分散型のサイズ剤組成物が、水溶解型のサイズ剤に代わって多用されている。
【0003】
しかしながら、ケン化ロジンやアニオン系界面活性剤をサイズ剤用の分散剤として使用した場合、抄紙工程での発泡や凝集物を生じ易く、サイズ効果の低下を招来する。また、天然物より抽出されたカゼインをサイズ剤用の分散剤として使用した場合、抄紙工程での発泡性は改善されるものの、細かい粒子のエマルジョンが得られないため、サイズ性が不十分となる。しかも、腐敗を生じるため、貯蔵安定性に問題がある。
【0004】
そこで、サイズ剤用の分散剤としてスチレン−アクリル酸系共重合体またはスチレン−メタクリル酸系共重合体の部分または完全ケン化物からなる合成高分子系分散剤を用いたサイズ剤組成物が提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の合成高分子系分散剤を用いたサイズ剤組成物もエマルジョン粒子が微細であるとは言い難く、機械的剪断力を受けた場合の安定性や、硬水あるいは白水希釈時の安定性、貯蔵安定性等に問題を残している。しかも、上記の合成高分子系合成剤を用いたサイズ剤組成物は、十分な消泡性を有していないため、作業性が悪く、また、満足できるサイズ性を有しているとは言い難い。
【0006】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、安定性、サイズ性、並びに消泡性に優れたサイズ剤組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記従来の問題点を解決すべく鋭意検討した結果、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を含むモノエチレン性不飽和単量体成分をポリエーテル化合物にグラフト重合してなる水溶性グラフト重合体が、サイジング時における泡立ちが少なく、消泡性に優れると共に、サイズ剤の分散性に優れていることを見い出し、この水溶性グラフト重合体をサイズ剤用の分散剤として用いることで、安定性、サイズ性、並びに消泡性に優れたサイズ剤組成物を得ることができることを見い出して本発明を完成させるに至った。
【0008】
即ち、発明のサイズ剤組成物は、上記の課題を解決するために、サイズ剤と該サイズ剤を水性溶媒に分散させる分散剤とを含むサイズ剤組成物において、上記分散剤が、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を含むモノエチレン性不飽和単量体成分をポリエーテル化合物にグラフト重合してなる水溶性グラフト重合体を含み、上記水溶性グラフト重合体は、親水基に対する疎水基の割合が、重量比で0.01〜0.7の範囲内であることを特徴としている。
【0009】
本発明にかかるサイズ剤組成物は、上記構成の水溶性グラフト重合体を分散剤として含むことで、従来よりもサイズ剤の水性溶媒への分散性に優れている。このため、上記の構成によれば、エマルジョン粒子が微細で、機械的安定性、硬水希釈安定性、白水希釈安定性、および貯蔵安定性等の安定性に優れると共に、サイズ性に優れたサイズ剤組成物を提供することができる。しかも、上記サイズ剤組成物は、泡立ちが少なく、消泡性に優れることから、作業性にも優れている。
【0010】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかるサイズ剤組成物は、サイズ剤を主成分として含むと共に、該サイズ剤を水性溶媒に分散させる分散剤を含む水分散型のサイズ剤組成物であり、ポリエーテル化合物(A)に、上記分散剤がモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を必須成分として含むモノエチレン性不飽和単量体成分(B)をグラフト重合してなる水溶性グラフト重合体を含むことを特徴としている。
【0011】
本発明において用いられる上記のサイズ剤としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ロジン、強化ロジン、石油系樹脂等が挙げられる。上記強化ロジンとしては、ウッドロジン、ガムロジン、およびトール油ロジン等のロジンを、そのまま、あるいは、既知の方法でホルムアルデヒド変性させた後、α,β−不飽和多塩基酸等と反応させたものが挙げられる。また、上記石油系樹脂としては、極性または無極性の石油系樹脂が用いられ、具体的には、例えば、ナフサ分解油のC5〜C9留分の混合物の重合物等が挙げられる。上記サイズ剤は、一種類のみを用いてもよく、適宜、二種類以上を混合して用いてもよい。上記サイズ剤のなかでも強化ロジンが特に好ましい。
【0012】
また、本発明にかかる水溶性グラフト重合体の原料として用いられる上記のポリエーテル化合物(A)は、特に限定されるものではないが、好ましくは、エチレンオキサイドを主な構成単位として含む数平均分子量100以上の化合物であり、より好ましくは、エチレンオキサイドを80モル%以上、構成単位として含む化合物である。
【0013】
上記のポリエーテル化合物(A)は、例えば、エチレンオキサイドおよび該エチレンオキサイドと共重合可能なアルキレンオキサイド(以下、その他のアルキレンオキサイドと記す)を、アルコールを開始点として公知の方法で重合することにより、容易に得ることができる。
【0014】
上記その他のアルキレンオキサイドとしては、特に限定されるものではないが、プロピレンオキサイドまたはブチレンオキサイドが好ましい。
【0015】
上記ポリエーテル化合物(A)におけるエチレンオキサイドからなる構成単位とその他のアルキレンオキサイドからなる構成単位の割合、即ち、上記ポリエーテル化合物(A)を製造する際のエチレンオキサイドと、その他のアルキレンオキサイドとの使用割合は、エチレンオキサイドが全体の80モル%以上、上記その他のアルキレンオキサイドの量が全体として20モル%未満とする。上記その他のアルキレンオキサイドの量が20モル%以上であれば、該ポリエーテル化合物(A)を用いて得られる水溶性グラフト重合体のグラフト率が低下する虞れがあり、この結果、上記サイズ剤の水性溶媒への分散性が低下する虞れがある。
【0016】
また、上記ポリエーテル化合物(A)を得るためのアルコールとしては、具体的には、例えば、炭素数〜22の1級または2級アルコール;炭素数〜18の2級アルコール;炭素数5以上の3級アルコール;炭素数5以上のジオール類;炭素数5以上のトリオール類;ソルビトール等のポリオール類;フェノール、ナフトール等の芳香族アルコール類;等が挙げられる。
【0017】
本発明において、上記水溶性グラフト重合体をサイズ剤用分散剤として用いるためには、親水基と疎水基とのバランスを調整することが重要である。本発明において、親水基に対する疎水基の割合(疎水基/親水基)は、重量比で、0.01〜0.7の範囲内である。また、親水基に対する疎水基の割合は、0.05〜0.5の範囲内であることがより好ましい。このため、上記のアルコールとしては、炭素数5以上のアルコールであり、炭素数12〜15のアルコール、フェノール、ナフトールが最も好ましい。
【0018】
このようにして得られた上記ポリエーテル化合物(A)の数平均分子量は100以上であり、500以上であることがより好ましい。また、上記ポリエーテル化合物(A)の数平均分子量の上限は、1,000以下である。尚、上記ポリエーテル化合物(A)の数平均分子量が100よりも小さい場合には、グラフト化されないポリエーテル化合物(A)が多くなるので、サイズ剤の水性溶媒への分散性を十分に発揮させるためには、上記ポリエーテル化合物(A)の数平均分子量は100以上であることが好ましい。
【0019】
尚、上記ポリエーテル化合物(A)としては、全ての末端または一部の末端の水酸基を炭素数2〜22の脂肪酸、コハク酸、無水コハク酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アジピン酸等のジカルボン酸でエステル化したものも含まれる。
【0020】
また、上記水溶性グラフト重合体の原料のうち、上記のモノエチレン性不飽和単量体成分(B)は、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を必須成分として含むものである。
【0021】
本発明において、上記モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体としては、(メタ)アクリル酸が特に好ましく、上記モノエチレン性不飽和単量体成分(B)中には、(メタ)アクリル酸が、40モル%〜100モル%の範囲内で含まれることが好ましい。
【0022】
また、本発明において、上記ポリエーテル化合物(A)に対するモノエチレン性不飽和単量体成分(B)のグラフト率としては、ポリエーテル化合物(A)100重量%に対してモノエチレン性不飽和単量体成分(B)が25重量%以上グラフト重合されていることが好ましく、モノエチレン性不飽和単量体成分(B)のなかでも、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体として、(メタ)アクリル酸が、ポリエーテル化合物(A)100重量%に対して20重量%以上グラフト重合されていることがより好ましい。上記ポリエーテル化合物(A)に対するモノエチレン性不飽和単量体成分(B)の割合が25重量%未満であれば、得られる水溶性グラフト重合体のカルボン酸量(カルボン酸密度)が少なく、サイズ剤の水性溶媒への分散性が十分に発揮されない虞れがある。また、モノエチレン性不飽和単量体成分(B)の使用量が100重量%以上の場合には、得られる水溶性グラフト重合体のカルボン酸量(カルボン酸密度)が高くなりすぎ、ゲル化し易くなる。
【0023】
上記(メタ)アクリル酸と共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体、即ち、上記(メタ)アクリル酸以外のモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体並びにこれらモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体以外のモノエチレン性不飽和単量体(以下、これらをまとめてその他のモノエチレン性不飽和単量体と記す)としては、特に限定されるものではないが、上記(メタ)アクリル酸以外のモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体としては、具体的には、例えばマレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等が挙げられる。また、これらモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体以外のモノエチレン性不飽和単量体としては、具体的には、例えば、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル等のマレイン酸のアルキルエステル類;フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル等のフマル酸のアルキルエステル類;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メア)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のハイドロキシアルキル(メタ)アクリレート;酢酸ビニル等の酢酸アルケニルエステル類;スチレン等の芳香族ビニル類;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクロレイン、(メタ)アクリルアミド;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等が挙げられる。これらその他のモノエチレン性不飽和単量体は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。これらその他のモノエチレン性不飽和単量体のなかでも、得られる水溶性グラフト重合体のカルボン酸密度や分散能を高める点から、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸を上記(メタ)アクリル酸と共用することが好ましい。
【0024】
上記モノエチレン性不飽和単量体成分(B)における(メタ)アクリル酸と共重合可能なその他のモノエチレン性不飽和単量体との割合は、水溶性グラフト重合体へのカルボン酸の導入率や残存単量体量から、(メタ)アクリル酸40モル%〜100モル%に対し、その他のモノエチレン性不飽和単量体0モル%〜60モル%の範囲内(但し、両者の合計は100モル%とする)であることが好ましい。特に、サイズ剤用分散剤としての機能向上の目的で、マレイン酸を20モル%〜50モル%の範囲内で使用することがより好ましく、30モル%〜45モル%の範囲内で使用することが最も好ましい。
【0025】
そして、上記モノエチレン性不飽和単量体成分(B)が、その他のモノエチレン性不飽和単量体のなかでも、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体以外のモノエチレン性不飽和単量体を含む場合には、該不飽和カルボン酸系単量体以外のモノエチレン性不飽和単量体(即ち、カルボキシル基を持たないモノエチレン性不飽和単量体)の含有量は、20モル%以下であることが好ましい。上記不飽和カルボン酸系単量体以外のモノエチレン性不飽和単量体の含有量が20モル%を超えると、得られる水溶性グラフト重合体へのカルボン酸の導入率が低下し、残存する単量体量が多くなると共に、カルボン酸密度が低くなり、分散能が低下するため好ましくない。
【0026】
尚、上記その他のモノエチレン性不飽和単量体として(メタ)アクリル酸以外のモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を用いる場合には、(メタ)アクリル酸の含有量が40モル%未満であっても、得られる水溶性グラフト重合体のカルボン酸密度は低下しない。しかしながら、この場合には、(メタ)アクリル酸の含有量が40モル%未満であれば、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等の上記水溶性グラフト重合体への導入率が低下し、残存する単量体量が多くなるので、サイズ剤の水性溶媒への分散性が低下する虞れがある。
【0027】
本発明において、上記ポリエーテル化合物(A)とモノエチレン性不飽和単量体成分(B)とのグラフト重合は、重合開始剤の存在下、実質的に触媒並びに溶媒を用いずに行われる。
【0028】
上記ポリエーテル化合物(A)とモノエチレン性不飽和単量体成分(B)とを、水、あるいは、アルコール、トルエン等の有機溶媒の存在下にてグラフト重合した場合、ポリエーテル化合物(A)へのモノエチレン性不飽和単量体(B)のグラフト効率が低下するため好ましくない。従って、重合開始剤やモノエチレン性不飽和単量体成分(B)の添加のために溶媒を使用する場合には、その量を極力少なくすることが好ましい。具体的には、重合反応系の全量に対して5重量%以下の量とするか、溶媒添加後、重合反応系から直ちに留去することが好ましい。
【0029】
上記の重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤を用いることができるが、そのなかでも有機過酸化物が特に好ましい。本発明においてラジカル重合開始剤として用いることができる上記の有機過酸化物としては、具体的には、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ)p−ジイソプロピルベンゼンのジアルキルパーオキサイド類;t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等のパーオキシエステル類;n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン等のパーオキシケタール類;ジベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;等が挙げられる。
【0030】
これら重合開始剤の使用量は特に限定されるものではないが、モノエチレン性不飽和単量体成分(B)に対して、0.1重量%〜15重量%の割合で使用することが好ましく、0.5重量%〜10重量%の割合で使用することがさらに好ましい。重合開始剤の使用量が上記の範囲を逸脱する場合には、ポリエーテル化合物(A)に対するモノエチレン性不飽和単量体成分(B)のグラフト重合効率が低下する。尚、重合開始剤は、予めポリエーテル化合物(A)に添加しておいてもよいし、モノエチレン性不飽和単量体成分(B)と同時に添加してもよい。
【0031】
また、重合温度は100℃以上であり、サイズ剤用分散剤としての機能向上の面から、好ましくは110℃〜160℃の範囲内であり、より好ましくは110℃〜140℃の範囲内である。重合温度が100℃よりも低ければ、ポリエーテル化合物(A)へのモノエチレン性不飽和単量体成分(B)のグラフト効率が低下する。一方、重合温度が160℃を超えると、ポリエーテル化合物(A)および得られる水溶性グラフト重合体が熱分解する虞れがある。
【0032】
本発明において、上記グラフト重合を行う際には、上記ポリエーテル化合物(A)の一部、または全量を初期に仕込んでおくことが好ましい。また、モノエチレン性不飽和単量体成分(B)において、前記その他のモノエチレン性不飽和単量体として、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等のモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を用いる場合には、これらその他のモノエチレン性不飽和単量体の半量以上を予めポリエーテル化合物(A)とともに初期に仕込んで混合し、得られた混合物を100℃以上になるまで加熱した後、この混合物に残りのモノエチレン性不飽和単量体成分(B)と重合開始剤とを各々別々に添加してグラフト重合する方法が特に好ましい。上記モノエチレン性不飽和単量体成分(B)と重合開始剤とを各々別々に添加する方法としては、例えば、滴下装置を用いて、上記モノエチレン性不飽和単量体成分(B)と重合開始剤とを同時に別々の滴下装置から上記混合物に滴下する方法等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0033】
上記の方法を採用することにより、マレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸等のモノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体の水溶性グラフト重合体への導入率を大幅に向上させることができる。尚、ポリエーテル化合物(A)の一部を初期に仕込む場合には、残りのポリエーテル化合物(A)は、重合開始剤またはモノエチレン性不飽和単量体成分(B)と混合して添加してもよい。
【0034】
このようにして得られた水溶性グラフト重合体は、ポリエチレングリコール鎖にグラフトしたモノエチレン性カルボン酸系単量体によるカルボキシル基を多数有するポリアニオン構造であり、泡が立ちにくく、また、消泡性にも優れている。
【0035】
上記の水溶性グラフト重合体は、そのままサイズ剤用の分散剤として用いることができるが、上記グラフト重合反応終了後、塩基性化合物を添加して中和することにより、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等の1価金属塩;カルシウム塩等の2価金属塩;アルミニウム塩等の3価金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等の有機アミン塩;等の塩にして用いてもよく、重合前に部分中和または完全中和して用いてもよい。上記塩基性化合物を添加する際に用いられる溶媒としては水が好ましいが、特に限定されるものではない。
【0036】
また、上記水溶性グラフト重合体の重量平均分子量は、500〜6,800の範囲内である。上記重量平均分子量が500未満であれば、サイズ剤の分散性が十分に発揮されず、粒子の細かなエマルジョンが得られなくなる虞れがある。一方、上記重量平均分子量が6,800を超えると、水性溶媒に対する溶解性が低下する虞れがある。
【0037】
本発明において、サイズ剤と上記水溶性グラフト重合体との混合割合は、サイズ剤80重量部〜99重量部に対し、上記水溶性グラフト重合体20〜1重量部(但し、両者の合計は100モル%とする)であることが好ましい。
【0038】
上記水溶性グラフト重合体の配合割合が1重量部未満であれば、上記サイズ剤を水性溶媒に分散させたときに均質なエマルジョンが得られない虞れがある。一方、上記水溶性グラフト重合体の配合割合が20重量部を越えると、サイズ剤の分散性の低下は見られないが、発泡性が増大し、サイズ性や作業性が低下する虞れがある。
【0039】
また、本発明にかかる上記分散剤としては、サイズ剤80重量部〜99重量部に対する分散剤の総添加量が20〜1重量部を越えない範囲内、かつ、上記水溶性グラフト重合体の性能を阻害しない範囲内で、従来のアニオン性界面活性剤、カゼイン等を上記水溶性グラフト重合体と一部併用することができる。さらに、本発明にかかる上記水性溶媒としては、水が特に好ましい。
【0040】
上記サイズ剤と分散剤とを用いて本発明にかかる水分散型のサイズ剤組成物を得る方法としては、具体的には、例えば、▲1▼サイズ剤を有機溶剤に溶解し、必要に応じて少量の塩基性化合物を含む水と共にホモジナイザーで乳化してエマルジョンを調製した後、減圧下でエマルジョン中の有機溶剤を留去し、分散剤を添加して70℃以下で熱処理する方法、▲2▼溶融させたサイズ剤に水不溶性溶媒を添加して溶解させた後、分散剤を添加、混合し、さらに水(熱水)を徐々に添加してサイズ剤を水中に微細分散した後、減圧下に水不溶性溶媒を留去する方法、▲3▼サイズ剤を水不溶性溶媒に溶解し、分散剤と水とを添加、混合した後、ピストン型高圧乳化機等でサイズ剤を水に微細分散し、減圧下に水不溶性溶媒を留去する方法、▲4▼溶融させたサイズ剤を分散剤と混合し、撹拌下で必要に応じて塩基性化合物を含む水(熱水)を徐々に添加してサイズ剤を微細分散させて油中水型(W/O)エマルジョンを形成させた後、更に水を添加して転相させ、水中油型(O/W)のエマルジョンを得る方法(転相乳化法)等が挙げられる。尚、上記▲1▼の方法を採用する場合、分散剤は、上記サイズ剤を乳化する前に添加してもよい。また、上記▲4▼の方法を採用する場合には、ホモジナイザーを使用して転相させてもよい。上記した各方法のなかでも、製造コスト面から、転相乳化法が有利である。
【0041】
上記の方法によれば、上記サイズ剤を水溶性グラフト重合体により水性溶媒中に分散させてなる水分散型のサイズ剤組成物を得ることができる。
【0042】
このようにして得られた上記サイズ剤組成物の固形分濃度は、25重量%〜60重量%が好ましい。上記固形分濃度が25重量%未満では生産性、コスト面で望ましくない。一方、上記固形分濃度が60重量%を越えると、サイズ剤の分散性が低下し、この結果、分散系の安定性が低下する虞れがある。
【0043】
上記サイズ剤組成物を用いたサイジングは、パルプの微細繊維や紙力剤、硫酸バンド等を混入して系のpHが弱酸性から中性の状態にされている紙料に上記サイズ剤組成物を添加してよく混和し、常法に従って抄紙することによって達成される。
【0044】
以上のように、本発明にかかるサイズ剤組成物は、上記構成の水溶性グラフト重合体を分散剤として含むことで、水溶性が高く、また、従来よりもサイズ剤の水性溶媒への分散性に優れている。このため、上記のサイズ剤組成物は、エマルジョン粒子が微細で、硬度の高い工業用水で希釈し、保存しても長時間凝集、沈降物を生じず、抄紙系の白水と混合されたり、機械的剪断力が与えられても良好な分散状態を保つことができる。しかも、上記サイズ剤組成物は、泡立ちが少なく、消泡性に優れている。このため、上記のサイズ剤組成物を用いれば、凝集物や発泡カスによる紙、抄紙系の汚れが少なくなり、サイジング時にサイズ剤を繊維に均質に分布させることができるので、サイズ性を向上させることができ、少ない使用量で、優れたサイズ効果を発揮することができる。また、上記サイズ剤組成物は、泡立ちが少なく、しかも、消泡性に優れていることから、作業性にも優れている。
【0045】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、サイズ剤組成物としての各水性分散液の機械的安定性、貯蔵安定性、耐硬水希釈安定性、サイズ性、消泡性、および白水希釈安定性は、以下に示す方法により測定した。また、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示しており、「%」は、「重量%」を示している。
【0046】
(a)機械的安定性
水性分散液50gを試験用容器に入れ、マーロン式安定性試験機を用いて、上記水性分散液に、温度25℃、荷重10kg、回転数1,000rpmにて、5分間、機械的剪断力を与え、析出した凝集物を200メッシュの金網で濾別し、水性分散液中の全固形分に対する凝集物の析出量(%)を算出した。
【0047】
(b)貯蔵安定性
所定量の水性分散液を25℃で2カ月間貯蔵し、水性分散液中の全固形分に対する凝集物の析出量(%)を算出した。
【0048】
(c)耐硬水希釈安定性
100DH、150DH、250DHの硬度を有する各合成硬水に水性分散液1滴を入れ、分散状態を観察した。○は分散、△は一部分散、×は凝集を示す。
【0049】
(d)サイズ性
パルプ(L/NBKP)とCSF(カナジアンスタンダードフリーネス)420ml(L剤とN剤との比は8:2)とを含む2.5%パルプスラリーに、タルクをパルプに対し15%添加して撹拌した。次いで、このスラリーを撹拌しながら、硫酸バンドを、パルプに対し2%となるように添加し、1分後に水性分散液を、絶乾パルプ重量に対する水性分散液の固形分の重量が0.15%または0.3%となるように添加した。その後、さらに2分間撹拌した後、常法に従って手抄試験器を用いて75g/m2 となるように手抄紙を抄紙した。定着抄造時の温度は35℃、pHは4.5であった。
【0050】
得られた手抄紙は、温度20℃、湿度65%の恒温高湿室にて1日放置後、JIS P 8122に基づいて、ステキヒトサイズ度(秒)を測定することにより評価した。
【0051】
(e)白水希釈安定性
イオン交換水1,000mlに液体硫酸アルミニウム0.235g(アルミニウム含有量10ppm)を加え、硫酸でpHを4.5に調整した後、硫酸ナトリウムを用いて電気伝導度1,000μΩ-1・cm-1に調整して得られた合成白水に、水性分散液1滴を入れ、30℃、40℃、50℃における分散状態を観察した。○は分散、△は一部分散、×は凝集を示す。また、△−×は、一部は分散したものの一部は凝集したものを示す。
【0052】
(f)消泡性
上記合成白水にて、水性分散液を固形分換算で濃度0.5%まで希釈し、この希釈した水性分散液100ml(25℃)を200mlメスシリンダーに入れて密栓し、10回強く上下に振り、静置した後、1分間経過後、3分間経過後、5分間経過後における泡容積(ml)を測定した。
【0053】
また、以下の実施例および比較例では、サイズ剤として、以下の製造例1で得られた強化ロジンを用いた。
【0054】
〔製造例1〕
フマル酸8部を溶融ホルムアルデヒド処理トール油ロジン92部中に溶解し、200℃で3時間付加反応を行って強化ロジンを得た。
【0055】
〔実施例1〕
温度計、撹拌機、窒素ガス導入管、二つの滴下装置、および還流冷却器を備えたガラス製反応器に、ポリエーテル化合物(A)としての数平均分子量530のフェノキシポリエチレングリコール100部と、モノエチレン性不飽和単量体成分(B)としてのマレイン酸51.8部およびp−トルエンスルホン酸・1水和物4.5部を仕込んだ。また、一方の滴下装置に、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体であるアクリル酸48.2部を仕込み、他方の滴下装置に、重合開始剤としてのパーブチルI(商品名;日本油脂株式会社製、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート95%含有物)8部を仕込んだ。上記フェノキシポリエチレングリコールにおけるフェノールへのエチレンオキサイド(EO)平均付加モル数は10モルである。
【0056】
次に、上記反応器内の内容物を窒素ガス気流下で撹拌しながら加熱して溶解させ、128℃まで昇温した。続いて、上記反応器内の内容物の温度を126℃〜131℃の温度範囲に保持して上記アクリル酸およびパーブチルIを1時間かけて連続的に滴下し、その後、さらに1時間撹拌してグラフト重合を行った。
【0057】
この結果、本発明にかかるグラフト重合体として、重量平均分子量5,000、グラフト率80%、純度85%、疎水基/親水基(重量比)が0.079の水溶性グラフト重合体(1)を得た。続いて、この水溶性グラフト重合体(1)に所定量の水を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和して上記水溶性グラフト重合体(1)の水溶液のpHを8に調整し、本発明にかかる分散剤として上記水溶性グラフト重合体(1)のナトリウム塩(以下、分散剤(1)と記す)を得た。
【0058】
次に、製造例1で得られた強化ロジン200部を180℃に加熱して完全に溶融させた後、130℃に冷却し、上記分散剤(1)111部を約5分間かけて添加して混合物を得た。添加終了時の上記混合物の温度は95℃であった。
【0059】
続いて、95℃に調整した熱水42部を上記混合物に徐々に添加し、約63%の固形分を含有するW/O型の滑らかなクリーム状白色エマルジョンを得た。その後、このW/O型のエマルジョンを激しく撹拌しながら、該エマルジョンに95℃に調整した熱水140部を素早く添加してO/W型に反転(転相)させた後、内温30℃まで急冷して本発明にかかるサイズ剤組成物として水性分散液を得た。得られた水性分散液の固形分は45%であり、体積平均粒子径は0.3μmであった。上記水性分散液の主な製造条件および体積平均粒子径を合わせて表1に示す。また、上記水性分散液の諸性能を前述した方法により測定した。この結果を表2に示す。
【0060】
〔実施例2〕
実施例1において、数平均分子量530のフェノキシポリエチレングリコールの代わりに、ポリエーテル化合物(A)としての数平均分子量600のナフトキシポリエチレングリコール100部を用いた以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って水溶性グラフト重合体(2)を得た。上記ナフトキシポリエチレングリコールにおけるナフトールへのEO平均付加モル数は10モルである。また、得られた水溶性グラフト重合体(2)の重量平均分子量は5,500であり、グラフト率は82%であり、純度は86%であり、疎水基/親水基(重量比)は0.145であった。続いて、この水溶性グラフト重合体(2)に所定量の水を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和して上記水溶性グラフト重合体(2)の水溶液のpHを8に調整し、本発明にかかる分散剤として水溶性グラフト重合体(2)のナトリウム塩(以下、分散剤(2)と記す)を得た。
【0061】
次に、実施例1において、分散剤(1)に代えて、上記分散剤(2)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、本発明にかかるサイズ剤組成物として水性分散液を得た。得られた水性分散液の固形分は45%であり、体積平均粒子径は0.2μmであった。上記水性分散液の主な製造条件および体積平均粒子径を合わせて表1に示す。また、上記水性分散液の諸性能を実施例1と同様の方法により測定した。この結果を表2に示す。
【0062】
〔実施例3〕
実施例1において、数平均分子量530のフェノキシポリエチレングリコールの代わりに、ポリエーテル化合物(A)としての数平均分子量1,000のナフトキシポリエチレングリコール200部を用いた以外は、実施例1と同様にして水溶性グラフト重合体(3)を得た。上記ナフトキシポリエチレングリコールにおけるナフトールへのEO平均付加モル数は20モルである。また、得られた水溶性グラフト重合体(3)の重量平均分子量は4,300であり、グラフト率は80%であり、純度は83%であり、疎水基/親水基(重量比)は0.113であった。続いて、この水溶性グラフト重合体(3)に所定量の水を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和して上記水溶性グラフト重合体(3)の水溶液のpHを8に調整し、本発明にかかる分散剤として水溶性グラフト重合体(3)のナトリウム塩(以下、分散剤(3)と記す)を得た。
【0063】
次に、実施例1において、分散剤(1)に代えて、上記分散剤(3)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、本発明にかかるサイズ剤組成物として水性分散液を得た。得られた水性分散液の固形分は45%であり、体積平均粒子径は0.2μmであった。上記水性分散液の主な製造条件および体積平均粒子径を合わせて表1に示す。また、上記水性分散液の諸性能を実施例1と同様の方法により測定した。この結果を表2に示す。
【0064】
〔実施例4〕
実施例1において、数平均分子量530のフェノキシポリエチレングリコールの代わりに、ポリエーテル化合物(A)として、炭素数12〜15のアルコールへのEO7モル付加物200部を用いた以外は、実施例1と同様にして水溶性グラフト重合体(4)を得た。得られた水溶性グラフト重合体(4)の重量平均分子量は6,800であり、グラフト率は78%であり、純度は82%であり、疎水基/親水基(重量比)は0.351であった。続いて、この水溶性グラフト重合体(4)に所定量の水を加え、水酸化ナトリウム水溶液で中和して上記水溶性グラフト重合体(4)の水溶液のpHを8に調整し、本発明にかかる分散剤として水溶性グラフト重合体(4)のナトリウム塩(以下、分散剤(4)と記す)を得た。
【0065】
次に、実施例1において、分散剤(1)に代えて、上記分散剤(4)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、本発明にかかるサイズ剤組成物として水性分散液を得た。得られた水性分散液の固形分は45%であり、体積平均粒子径は0.2μmであった。上記水性分散液の主な製造条件および体積平均粒子径を合わせて表1に示す。また、上記水性分散液の諸性能を実施例1と同様の方法により測定した。この結果を表2に示す。
【0066】
〔比較例1〕
温度計、撹拌機、および還流冷却器等を備えた反応容器にアクリル酸30部、n−ブチルアクリレート26.7部、スチレン43.3部、ドデシルメルカプタン2部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム10部、ポリオキシエチレン(重合度40)ノニルフェニルエーテル10部、水350部、および過硫酸カリウム1.5部を仕込んだ。
【0067】
次に、上記反応器内の内容物を撹拌、混合しながら85℃で5時間保持して共重合反応を行って比較用の共重合体を得た。次いで、得られた共重合体を50℃まで冷却し、20%水酸化カリウム75部を徐々に添加した後、さらに水を添加し、比較用の分散剤として、上記共重合体のケン化物からなる、固形分20%、ケン化率90%の乳白色水溶液(以下、分散剤(5)と記す)を得た。
【0068】
次に、実施例1において、分散剤(1)に代えて、上記分散剤(5)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、比較用の水性分散液を得た。得られた比較用の水性分散液の固形分は45%、体積平均粒子径は0.5μmであった。上記比較用の水性分散液の主な製造条件および体積平均粒子径を合わせて表1に示す。また、上記比較用の水性分散液の諸性能を実施例1と同様の方法により測定した。この結果を表2に示す。
【0069】
〔比較例2〕
温度計、撹拌機、滴下装置および還流冷却器等を備えた反応容器にイソプロピルアルコール100部を仕込み、撹拌しながら還流温度まで加熱した。一方、滴下装置に、メタクリル酸25.1部、スチレン36部、n−ブチルメタクロレート38.9部、イソプロピルアルコール100部、およびアゾイソブチロニトリル2部からなる混合物を仕込んだ。
【0070】
次いで、上記の混合物を、上記反応容器内に2時間かけて滴下した後、さらに4時間、上記還流温度で保持して共重合反応を行い、その後、イソプロピルアルコール100部を留去した。次いで、得られた共重合体を50℃まで冷却し、20%水酸化ナトリウム62.5部および水300部を添加して混合した後、沸点まで加熱しながらイソプロピルアルコールを留去し、その後、水を添加して比較用の分散剤として、上記共重合体のケン化物からなる、固形分20%、ケン化率100%の淡黄色透明水溶液(以下、分散剤(6)と記す)を得た。
【0071】
次に、実施例1において、分散剤(1)に代えて、上記分散剤(6)を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、比較用の水性分散液を得た。得られた比較用の水性分散液の固形分は45%、体積平均粒子径は0.5μmであった。上記比較用の水性分散液の主な製造条件および体積平均粒子径を合わせて表1に示す。また、上記比較用の水性分散液の諸性能を実施例1と同様の方法により測定した。この結果を表2に示す。
【0072】
【表1】
Figure 0004145383
【0073】
【表2】
Figure 0004145383
【0074】
上記の結果から、本発明にかかる分散剤を用いれば、比較例で得られた従来の分散剤よりも、エマルジョン粒子を細かくすることができ、硬水、抄紙系白水中での上記エマルジョン粒子の凝集・沈降を防止することができ、この結果、機械的安定性や貯蔵安定性、耐硬水希釈安定性、および白水希釈安定性に優れたサイズ剤組成物が得られることが判った。また、本発明にかかるサイズ剤組成物は、比較例で得られた従来の分散剤を用いたサイズ剤組成物と比較して、サイズ性、消泡性に優れていることが判った。
【0075】
【発明の効果】
本発明のイズ剤組成物は、以上のように、サイズ剤と該サイズ剤を水性溶媒に分散させる分散剤とを含むサイズ剤組成物において、上記分散剤が、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を含むモノエチレン性不飽和単量体成分をポリエーテル化合物にグラフト重合してなる水溶性グラフト重合体を含み、上記水溶性グラフト重合体は、親水基に対する疎水基の割合が、重量比で0.01〜0.7の範囲内である。
【0076】
上記の構成によれば、エマルジョン粒子が微細で、機械的安定性、硬水希釈安定性、白水希釈安定性、および貯蔵安定性等の安定性に優れると共に、サイズ性に優れたサイズ剤組成物を提供することができる。しかも、上記サイズ剤組成物は、泡立ちが少なく、消泡性に優れることから、作業性にも優れているという効果を奏する。

Claims (6)

  1. サイズ剤と該サイズ剤を水性溶媒に分散させる分散剤とを含むサイズ剤組成物において、
    上記分散剤が、モノエチレン性不飽和カルボン酸系単量体を含むモノエチレン性不飽和単量体成分をポリエーテル化合物にグラフト重合してなる水溶性グラフト重合体を含み、
    上記ポリエーテル化合物は、炭素数5以上のアルコール、フェノール、ナフトールを開始点として、エチレンオキサイドおよび該エチレンオキサイドと共重合可能なアルキレンオキサイドを重合して得られたものであり、
    上記ポリエーテル化合物の数平均分子量は、100以上、1,000以下であり、
    上記ポリエーテル化合物における上記エチレンオキサイドからなる構成単位と上記アルキレンオキサイドからなる構成単位の割合は、該エチレンオキサイドからなる構成単位が全体の80モル%以上であり、
    上記水溶性グラフト重合体の重量平均分子量は、500〜6,800の範囲内であることを特徴とするサイズ剤組成物。
  2. 上記サイズ剤と上記水溶性グラフト重合体との混合割合が、両者の合計を100モル%とした場合に、上記サイズ剤80重量部〜99重量部に対し、上記水溶性グラフト重合体20〜1重量部であることを特徴とする請求項1に記載のサイズ剤組成物。
  3. 固形分濃度が、25重量%〜60重量%の範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載のサイズ剤組成物。
  4. 上記水溶性グラフト重合体は、ポリエーテル化合物100重量%に対して、モノエチレン性不飽和単量体成分が25重量%以上グラフト重合したものであることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載のサイズ剤組成物。
  5. 上記水溶性グラフト重合体の重量平均分子量が、500〜50,000の範囲内であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載のサイズ剤組成物。
  6. 上記ポリエーテル化合物は、炭素数5以上のアルコールを開始点として得られたものであり、エチレンオキサイドを80モル%以上、構成単位として含む化合物であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載のサイズ剤組成物。
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