JP2657500B2 - 製紙用サイズ剤組成物 - Google Patents

製紙用サイズ剤組成物

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は製紙用サイズ剤組成物、詳しくは、強化ロジ
ン分散型内添サイズ剤の改良に関するものである。
(従来技術とその問題点) 従来から一般に行われている酸性抄紙における内添サ
イズ剤としては、ロジン系サイズ剤のケン化型サイズ剤
が多く用いられてきたが、近年の抄紙系のクローズド化
に伴う水温の上昇や、硫酸バンド使用量減少によって中
性に近づいた抄紙系においてサイズ効果が著しく低下す
ることが知られている。
このためこのようなケン化型ロジン系サイズ剤の欠点
を改良するため、強化ロジンの分散液型が見出され使用
されてきた。しかし、これも分散剤としてケン化ロジ
ン、アニオン系界面活性剤あるいはカゼインを用いてい
るため、抄紙工程での分散安定性の悪化による発泡や凝
集物を生じやすく、サイズ効果の低下要因となってお
り、必ずしも満足できるものではない。そこで、高分子
系分散剤であるスチレン−アクリ酸共重合体またはスチ
レン−メタアクリル酸共重合体の部分または完全ケン化
物を使用した強化ロジン系分散型サイズ剤が提案される
に至っている(特開昭61−108796号)が、特に硬水およ
び抄紙系白水中での分散安定性についてはアニオン系界
面活性剤を使用する場合となんらかわりなく、不十分で
あるという問題点を残している。
(発明が解決しようとする問題点) そこで、本発明は、従来の分散型ロジン系サイズ剤の
抄紙系での発泡や凝集によるサイズ効果の低下は、本質
的に従来の分散剤の分散安定性に起因するものであるこ
とに鑑み、製紙工程での抄紙水に対する分散安定性、機
械的安定性が高く、発泡性の低い分散型ロジン系サイズ
剤を提供することを目的とする。
(課題を解決する手段) すなわち本発明は、強化ロジン80〜99重量部と、親水
性モノマーとして不飽和多塩基酸および/または不飽和
多塩基酸部分エステルと疎水性モノマーとしてアクリル
酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルの共重
合体部分ケン化物または完全ケン化物20〜1重量部とを
水に分散せしめ、固形分濃度25〜60%とした分散型ロジ
ン系サイズ剤である。
本発明に用いる強化ロジンとしては、ウッドロジン、
ガムロジンおよびトール油ロジンなどのロジンを既知の
方法でホルムアルデヒド変性せしめた後、または変性せ
しめずにα、β−不飽和多塩基酸などと反応したものが
使用できる。
本発明で用いる高分子系分散剤である、親水性モノマ
ーとして不飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸
部分エステルと疎水性モノマーとしてアクリル酸エステ
ルおよび/またはメタアクリル酸エステルの共重合体部
分ケン化物または完全ケン化物としては、各原料モノマ
ーを溶媒中においてラジカル重合開始剤の存在下で共重
合せしめ、重合反応の後、水酸化ナトリウムまたは水酸
化カリウム水溶液を添加し、ケン化水溶化を行い、減圧
下に溶媒を留去し、共重合体ケン化水溶液としたものを
用いることができる。
ここで、不飽和多塩基酸としてはフマル酸、マレイン
酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸など
を使用でき、 不飽和多塩基酸部分エステルとしては、マレイン酸エ
チル半エステル、マレイン酸イソプロピル半エステル、
マレイン酸ブチル半エステル、マレイン酸ヘキシル半エ
ステル、マレイン酸2エチルヘキシル半エステル、イタ
コン酸エチル半エステル、イタコン酸イソプロピル半エ
ステル、イタコン酸ブチル半エステル、イタコン酸2エ
チルヘキシル半エステルなどが使用できる。
他方、(メタ)アクリル酸エステルとしては、 一般式 (R1はHまたはCH3、R2は炭素数1〜18のアルキル基
で、OH基を含むことができる。) を用いることができる。
なお、アクリル酸エステルおよびメタアクリル酸エス
テルの一部を不飽和多塩基酸および/または不飽和多塩
基酸部分エステルと共重合可能な他のモノマーに置き換
えることが可能であり、他のモノマーとしてはアクリロ
ニトリル、スチレン、ビニルトルエン、イソブチレン、
アリルエステル、アクリル酸、メタアクリル酸等が挙げ
られる。反応系の溶媒としては、イソプロパノール、t
−ブタノール、iso−ブタノール、n−ブタノール、メ
チルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が使用で
き、重合開始剤としてアゾブチロニトリル、ベンゾイル
パーオキサイド、t−ブチルパーオキシン2エチルヘキ
サノエート、t−ブチルパーオキシアセテートなどが適
当で、必要により連鎖移動剤としてアルキルメルカプタ
ンを添加する。
得られる共重合体の重量平均分子量1000〜500000、好
ましくは1000〜100000であって、共重合体中の不飽和多
塩基酸は20〜55モル%、不飽和多塩基酸部分エステルは
0〜30モル%、(メタ)アクリル酸エステルは50〜80モ
ル%が好ましい。不飽和多塩基酸が20モル%未満では水
溶化困難で、55モル%以上では共重合性が悪いため好ま
しくない。(メタ)アクリル酸エステル50モル%未満で
は強化ロジン分散時の分散性が悪い。
本発明における強化ロジンと高分子系分散剤の配合割
合は、強化ロジン80〜99重量部に対し、不飽和多塩基酸
および/または不飽和多塩基酸部分エステルとアクリル
酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルとの共
重合体部分ケン化または完全ケン化物を20〜1重量部と
を水に分散せしめるのが好ましい。
上記高分子系分散剤1重量部以下と強化ロジン99重量
部以上では水分散時均質な分散物となり得ず、また、分
散剤20重量部以上と強化ロジン80重量部以下では分散性
は良いが、サイズ剤全体の疎水部減少によるサイズ性の
低下、発泡性の増大などが発現して好ましくないからで
ある。
また、水分散液中の固形分濃度は25〜60%が好まし
い。サイズ剤固形分が25%未満では生産性、コスト面で
望ましくない、60%以上では分散性が充分行われなく、
分散系の安定性が悪くなるからである。
本発明の分散型ロジン系サイズ剤の分散方法は、例え
ば、特開昭57−167349の如く溶融強化ロジン中へ分散剤
を混合し、ついで熱水を徐々に添加して微細分散するい
わゆる反転乳化法や、特開昭57−111355の如く溶融強化
ロジンに水不性溶媒を添加溶解し、ついで分散剤を添加
混合し、熱水を徐々に添加し微細分散した後、減圧下に
水不溶性溶媒を留去する方法、また他の方法として強化
ロジンを水不溶性溶媒に溶解し、分散剤と水とを混合し
た後、ピストン型高圧乳化機などで微細分散し、減圧下
に水不溶性溶媒を留去するなど各種の方法で製造するこ
とができる。なお、分散剤としては本発明にかかる上記
共重合体部分ケン化物または完全ケン化物の他に従来の
アニオン性界面活性剤、カゼインなどを一部併用しても
さしつかえない。
(発明の効果) 本発明による分散型ロジン系サイズ剤によれば硬度の
高い工業用水で希釈し、保存しても長時間凝集、沈降物
を生じず、抄紙系の白水と混合されても分散状態を保
ち、凝集物、発泡カスによる紙、抄紙系の汚れが少なく
なり、均質な分散状態と繊維上へ均質な分布で歩留るた
め、低サイズ剤添加領域でのサイズ度が従来のアニオン
性界面活性剤使用の分散型ロジン系サイズ剤に比べ優れ
ている。
なお、同様の高分子系分散剤を使用した分散型サイズ
剤が提案されているが、多塩基酸部をアクリル酸又はメ
タクリル酸とした分散剤を使用したものが硬水、抄紙系
白水中での分散安定性が従来のアニオン性界面活性剤と
大差なく、またスチレン・アクリル酸共重合体ケン化物
を分散剤としたものが乳化分散力の低く安定な分散サイ
ズ剤が得難く、また硬水、抄紙系白水中で凝集沈降し易
いことを見ても本発明に係るサイズ剤の分散安定性が著
しく優れていることがわかる。
(実施例) 以下、本発明を実施例に基づいて説明する。以下の場
合特に記載のない限り「部」は重量部を表す。
〈強化ロジンの調整〉 フマル酸8部を溶融ホルムアルデヒド処理トール油ロ
ジン92部中に溶解し、200℃で3時間付加反応を行い、
強化ロジンを得た。
〈共重合体ケン化物の合成〉 (合成例1) メチルエチチルケトン100部と無水マレイン酸29.2部
を撹拌機、温度計、還流冷却器および滴下漏斗を備えた
500cc四つ口フラスコに仕込み、撹拌しながら窒素ガス
で充分脱気した後還流温度まで昇温する。
アクリル酸ブチル70.8部およびアゾビスイソブチロニ
トリル1部の混合液を2時間かけて滴下漏斗より滴下す
る。さらに4時間その温度に保った後50℃まで冷却し、
48%水酸化ナトリウム水溶液44.8部、水260部を30分間
で滴下した。沸点まで昇温し、メチルエチルケトンを留
去した後、水を添加し、固形分濃度を調整して固形分25
%の共重合体ケン化物水溶液を得た。このケン化率は90
%であった。
(合成例2) 合成例1と同様にして無水マレイン酸30.8部とメチル
エチルケトン中へアクリル酸ブチル40.3部、アクリル酸
2エチルヘキシル28.9部にアゾビスイソブチロニトリル
を混合したものを滴下重合し、48%水酸化ナトリウム水
溶液47.1部と水を加えケン化した後、メチルエチルケト
ンを留去し、固形分25%、ケン化率90%の共重合体ケン
化合物水溶液を得た。
(合成例3) イソプロピルアルコール100部を撹拌機、温度計、還
流冷却器および滴下漏斗を備えた500cc四つ口フラスコ
に仕込み、撹拌しながら窒素ガスで充分脱気し、還流温
度まで昇温する。
イタコン酸23.2部、アクリル酸ブチル41.2部、アクリ
ル酸2エチルヘキシル26.3部、メタアクリル酸2ヒドロ
キシエチル9.3部、イソプロピルアルコール100部とアゾ
ビスイソブチロニトリル1部の混合物を2時間で滴下す
る。さらに4時間その温度に保った後イソプロピルアル
コール100部を留去する。50℃まで冷却した後、48%水
酸化ナトリウム水溶液28.3と水302部を30分間で滴下す
る。次に沸点まで昇温しながらイソプロピルアルコール
を留去し、水を添加して固形分濃度を調整し、固形分20
%の共重合体ケン化物水溶液を得た。このケン化率は95
%であった。
(合成例4) 合成例1と同様にして、無水マレイン酸41.1部とメチ
ルエチルケトン中へアクリル酸ブチル48.3部、メタアク
リル酸ラウリル10.6部にアゾビスイソブチロニトリルを
混合したものを滴下重合し、48%水酸化ナトリウム水溶
液55.8部と水を加えケン化した後メチルエチルケトンを
留去し、固形分20%、ケン化率80%の共重合体ケン化物
水溶液を得た。
(合成例5) 合成例1と同様にして、無水マレイン酸13.7部、マレ
イン酸ブチル半エステル30.1部とメチルエチルケトン中
へメタアクリル酸ブチルおよびアクリル酸2エチルヘキ
シル6.5部とアゾビスイソブチロニトリルを混合したも
のを滴下重合し、48%水酸化ナトリウム水溶液36.0部と
水を加え、ケン化した後メチルエチルケトンを留去し、
固形分25%、ケン化率95%の共重合体ケン化物水溶液を
得た。
(比較合成例1) 合成例3と同様にして、イソプロピルアルコール中へ
アクリル酸31.6部、スチレン68.4部とアゾビスイソブチ
ロニトリル、イソプロピルアルコールの混合物を滴下重
合し、イソプロピルアルコール半量を留去した後、48%
水酸化ナトリウム水溶液34.8部と水適当量を加え、ケン
化した後イソプロピルアルコールを留去し、固形分20
%、ケン化率95%の共重合体ケン化物水溶液を得た。
(比較合成例2) 合成例3と同様にして、イソプロピルアルコール中へ
メタアクリル酸25.1部、スチレン36.0部、メタアクリル
酸ブチル38.9部とアゾビスイソブチロニトリルとイソプ
ロピルアルコールの混合物を滴下重合し、イソプロピル
アルコールの半量を留去した後48%水酸化ナトリウム水
溶液23.1部と水適当量を加え、ケン化した後イソプロピ
ルアルコールを留去し、固形分25%、ケン化率95%の共
重合体ケン化物水溶液を得た。
(実施例1) 合成例Aの強化ロジン200部を180℃に加熱して完全に
溶解した後、130℃に冷却し、合成例1の共重合物の水
溶液88.8部を約5分間かけて添加した。添加終了時に混
合物の温度は95℃であった。追加の熱水(95℃)59.2部
を徐々に添加し、約63%固形分含有量の容易に反転でき
るw/o型エマルジョンの典型的で滑らかなクリーム状白
色外観を示す混合物を得た。その後、激しく撹拌しなが
ら200部の熱水をすばやく加えて反転させた後、内温30
℃まで急冷する。得られた水性分散液は固形分40.5%を
含有し、優れた貯蔵安定性を有していた。
(実施例2) 合成例Aの強化ロジン200部をトルエン200部に溶解
し、合成例2の共重合物水溶液88.8部とイオン交換水21
1.2部を添加し、40℃にてホモミキサーで混合する。つ
づいて、この分散物をピストン型高圧乳化機(200kg/cm
2)に1回通して微細分散物を得た。その後、減圧蒸留
によりトルエンを留去する。この時水も留出する。
得られた水性分散液は固形分51%を含有し、優れた貯
蔵安定性を有していた。
(実施例) 合成例Aの強化ロジン200部をトルエン200部に溶解
し、合成例3の共重合物水溶液52.6部とイオン交換水24
7.4部を添加し、実施例2と同様に操作を行う。
得られた水性分散液は固形分49%を含有し、優れた貯
蔵安定性を有していた。
(実施例4) 合成例Aの強化ロジン200部を180℃に加熱して完全に
溶解した後130℃に冷却し、合成例4の共重合物水溶液5
2.6部を約5分間かけて添加した。添加終了時混合物の
温度は95℃であった。追加の熱水(95℃)81.5部を徐々
に添加し、約63%固形分含有量の容易に反転できるw/o
型エマルジョンを得た。その後、激しく撹拌しながら13
4部の熱水をすばやく加えて反転させた後、内温30℃ま
で急冷する。
得られた水性分散液は固形分45%を含有し、優れた貯
蔵安定性を示した。
(実施例5) 合成例Aの強化ロジン200部をトルエン200部に溶解
し、合成例5の共重合物水溶液20部とイオン交換水280
部を添加し、実施例2と同様に操作を行う。
得られた水性分散液は固形分49%を含有し、優れた貯
蔵安定性を示した。
(実施例6) 合成例Aの強化ロジン200部をトルエン200部に溶解
し、合成例1の共重合物水溶液171.6部とイオン交換水8
00部を添加し、実施例2と同様操作を行う。
得られた水性分散液は固形分26.3%を含有し、優れた
貯蔵安定性を有していた。
(比較例1) 合成例Aの強化ロジン200部をトルエン200部に溶解
し、比較合成例1の共重合物水溶液111.1部とイオン交
換水188.9部を添加し、実施例2と同様に操作を行う。
得られた水性分散液は、固形分50%を含有した。
(比較例2) 合成例Aの強化ロジン200部を180℃に加熱して完全に
溶解した後130℃に冷却し、比較合成例2の共重合物水
溶液88.8部を約5分間かけて添加した。添加終了時、混
合物の温度は95℃であった。追加の熱水(95℃)81.5分
を徐々に添加し、約63%固形分含有量の容易に反転でき
るw/o型エマルジョンを得た。その後、激しく撹拌しな
がら134部の熱水をすばやく加えて反転させた後内温度3
0℃まで急冷する。得られた水性分散液は、固形分45%
を含有した。
(比較例3) 合成例Aの強化ロジン200部を180℃に加熱して完全に
溶解した後、130℃に冷却し、ノニルフェノールエトキ
シレートのスルホコハク酸半エステルジナトリウム塩35
%水溶液22.9部を約5分間かけて添加した。添加終了時
に混合物の濃度は95℃であった。追加の熱水(95℃)12
5部を徐々に添加し、約60%固形分含有量の容易に反転
できるw/o型エマルジョンを得た。その後、激しく撹拌
しながら134部の熱水をすばやく加えて反転させた後、
内温30℃まで急冷する。
得られた水性分散液は固形分43.1%を含有した。
(サイズ性能試験) 実施例1〜6で得られた水性分散物を用いて、製紙サ
イズ剤としての性能評価を行った。
〈試験方法〉 パルプL/NBKP csf420ml(L:N,8:2)の2.5%パルプス
ラリーにタルクを対パルス15%加え撹拌する。撹拌下で
硫酸バンド(対パルプ2%)を加えて、1分後にサイズ
剤を添加する。2分撹拌後、常法に従い手抄試験器を用
いて手抄紙(75g/m2に相当)を調製した。
得られた手抄紙は、温度20℃、湿度65%の恒温恒湿室
にて1日放置後サイズ試験に供した。
定着抄造時 温度35℃、pH4.5 ただし、サイズ剤添加量%は絶乾パルプ重量に対する
サイズ剤固形を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−58006(JP,A) 特開 昭50−107202(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強化ロジン80〜99重量部と、親水性モノマ
    ーとして不飽和多塩基酸および/または不飽和多塩基酸
    部分エステルと疎水性モノマーとしてアクリル酸エステ
    ルおよび/またはメタクリル酸エステルとの共重合体部
    分ケン化または完全ケン化物20〜1重量部とを水に分散
    せしめ、固形分濃度25〜60%とした分散型ロジンサイズ
    剤。
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