JP4144784B2 - 半導体記憶装置の読み出し回路、そのリファレンス回路および半導体記憶装置 - Google Patents

半導体記憶装置の読み出し回路、そのリファレンス回路および半導体記憶装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体記憶装置の読み出し回路、リファレンス回路およびそれらを用いた半導体記憶装置に関し、特に、一つのメモリセルに1ビット以上の情報を記憶することができる多値型の不揮発性半導体記憶装置などの半導体記憶装置の読み出し回路、そのリファレンス回路およびそれらを用いた半導体記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、半導体記憶装置の読み出し回路は、情報が記憶されているメモリセルに電流を供給し、そのメモリセルを通って流れる電流(セル電流)と、基準電流(リファレンス電流)とを比較して、リファレンス電流に対してセル電流が大きいか小さいかを判断することによって、メモリセルに書き込まれた情報を取り出すという操作を行っている。このように、セル電流を比較して情報を取り出す読み出し方式は、電流センス方式と称されている。
【0003】
例えば、一つのメモリセルに1ビットの情報が格納されている、いわゆる2値型の半導体記憶装置においては、図9(b)に示すように、セル電流が多い状態(情報”1”に相当する)とセル電流が少ない状態(情報”0”に相当する)との2状態を用意して、リファレンス電流値を両状態の中間の値に設定することにより、1ビットの情報を読み出すことができる。なお、実際には、セル電流およびリファレンス電流のそれぞれに電流−電圧変換を行って、それぞれの電位を比較するようになっている。
【0004】
また、近年では、記憶容量の拡大、半導体チップの製造コスト削減を図るために、一つのメモリセルに2ビット以上の情報を格納可能な多値型の半導体記憶装置が検討されている。
【0005】
例えば、一つのメモリセルに2ビットの情報を格納する多値型の半導体記憶装置では、図9(a)に示すように、セル電流が取り得る状態を4種類用意して、それぞれのデータ領域の間に3種類のリファレンス電流値を設定することにより、2ビットの情報を読み出すことができる。このような多値型の半導体記憶装置において、一つのメモリセルにnビットの情報を格納する場合には、セル電流値が取り得る状態を2種類用意し、リファレンス電流値を2−1種類設定することが必要である。
【0006】
上記図9(a)および図9(b)から分かるように、一般に、多値型の半導体記憶装置においては、2値型の半導体記憶装置と比較して、セル電流とリファレンス電流との間に十分な電流差を確保することが物理的に困難である。このようにセル電流とリファレンス電流との間の電流差が少ない場合には、特に、読み出し回路において動作マージンを大きくすることが容易ではない。また、メモリセルに格納されている情報を取り出すには多数の電流比較を行う必要があるため、例えば2ビットのデータを読み出す場合には3種類の電流比較を行う必要がある。このため、読み出し時間が遅くなる虞がある。
【0007】
これらの事情を踏まえて、多値型の半導体記憶装置からデータ読み出しを行う際には、いくつかの方式が提案されている。その一つとして、1度に1種類の電流比較を行い、その結果に応じて別の状態について電流比較を行うなど、時分割で順次電流比較を行う時分割センス方式が挙げられる。
【0008】
以下に、この時分割センス方式の一例として、図9(a)に示す2ビット/セルのデータを読み出す際の動作について、図10を用いて簡単に説明する。
【0009】
図10は、従来の半導体装置における時分割センス方式の読み出し回路J100の構成例を示す回路図である
図10において、この時分割センス方式を用いた読み出し回路J100は、データ読み出しが行われるメモリセルである選択セルJ7のドレイン(ドレイン電極)に電圧を与えて読み出し電流(セル電流)を得る電流負荷回路J1と、リファレンス電流を得るための電流負荷回路J2とを備えている。選択セルJ7のドレインと電流負荷回路J1との間にはセンス線J9が接続されており、電流負荷回路J2にはリファレンス線J10が接続されている。センス線J9およびリファレンス線J10は、センス線J9とリファレンス線J10との電位差を増幅出力するためのセンスアンプJ3の入力部と接続されている。また、センスアンプJ3の出力部には、1回目のセンス結果をラッチする第1のデータラッチ回路J4と、2回目のセンス結果をラッチする第2のデータラッチ回路J5とが接続されている。第1のデータラッチ回路J4からのセンス結果J11は、選択回路J6と接続されており、選択回路J6は、第1のデータラッチ回路J4からのセンス結果J11によって、リファレンス電流のリソースJ80〜J82を切り替えてリファレンス線J10と接続させるように構成している。
【0010】
このように構成された時分割センス方式の読み出し回路J100において、選択セルJ7からのデータ読み出しは、以下のようにして行われる。
【0011】
まず、選択セルJ7のゲート(ゲート電極)とドレイン(ドレイン電極)とに適切な電圧を印加することによって、選択セルJ7を通って流れるセル電流が発生する。電流負荷回路J1との引き合い(電流負荷回路J1による電圧降下)により、センス線J9にセンス電圧が発生する。
【0012】
これと同様に、選択回路J6によって選択されたリファレンス電流のリソースJ80を通って流れるリファレンス電流と電流電流負荷回路J2との引き合いにより、リファレンス線J10にリファレンス電圧が発生する。
【0013】
このようにして発生したセンス電圧とリファレンス電圧との電位差がセンスアンプJ3にて増幅出力され、その出力結果が第1のセンス結果J11として第1のデータラッチ回路J4に記憶される。ここで、第1のセンス結果J11を得るための第1のセンス時に選択回路J6によって選択されるリファレンス電流のリソースJ80は、図9(a)に示す三つのリファレンス電流のうち、データ領域”01”と”10”との間のリファレンス電流値”M”を得るためのものである。通常、リファレンス電流のリソースJ80〜J82としては、適切なリファレンス電流を得ることができるように、閾値が厳密に調整されたメモリセルと同じ構造および同じ特性を有するリファレンスセルが用いられる。
【0014】
次に、第1のデータラッチ回路J4に記憶された第1のセンス結果J11に基づいて、選択回路J6によってリファレンス電流のリソースがJ80からJ81またはJ82に切り替えられる。このとき、第1のデータラッチ回路J4に記憶されている第1のセンス結果が”0”であった場合にはリファレンス電流のリソースがJ81に切り替えられ、第1のセンス結果が”1”であった場合にはリファレンス電流のリソースがJ82に切り替えられる。ここで、リファレンス電流のリソースJ81は、図9(a)に示す三つのリファレンス電流のうち、データ領域”00”と”01”との間のリファレンス電流値”H”を得るためのものであり、リファレンス電流のリソースJ82は、データ領域”10”と”11”との間のリファレンス電流値”L”を得るためのものである。
【0015】
その後、第1のセンス時と同様にセンス動作を行い、第2のデータラッチ回路J5に第2のセンス結果J12を記憶する。以上のようにして、一つのメモリセルJ7に記憶された2ビットのデータをセンス結果J11およびJ12として得ることが可能である。同様に、一つのメモリセルにNビットの情報を格納した場合に、時分割センス方式を用いると、最低N回のセンス動作を行うことによってNビットの情報を読み出すことが可能である。
【0016】
この時分割センス方式によれば、最低1つのセンスアンプによって多ビットの情報を読み出すことができるため、センス回路が占有するチップ面積、瞬時に必要とされる消費電流などを最小に抑えることが可能である。また、電流負荷回路J1,J2の回路定数等を含めて切り替えを行うことにより、それぞれのセンス時に、より大きな動作マージンを容易に得ることが可能である。
【0017】
しかしながら、時分割センス方式では、それぞれのセンス時にセンス結果をデータラッチ回路J4,J5にラッチするためのセットアップ/ホールド時間を確保する必要があり、各センス動作の間に切り替え時間が必要であることから、データ読み出しを高速に行うことが容易ではない。
【0018】
さらに他の読み出し方式として、1度に複数種類の電流比較を行う並列センス方式が挙げられる。
【0019】
以下に、この並列センス方式の一例として、図9(a)に示す2ビット/セルのデータを読み出す際の動作について、図11を用いて簡単に説明する。
【0020】
図11は、従来の半導体記憶装置における並列センス方式の読み出し回路H100の構成例を示す回路図である。
【0021】
図11において、この並列センス方式を用いた読み出し回路H100は、データ読み出しが行われるメモリセルである選択セルH8のドレイン(ドレイン電極)に電圧を与えて読み出し電流(セル電流)を得る電流負荷回路H1と、リファレンス電流のリソースH80〜H82に電圧を与えてリファレンス電流を得るための電流負荷回路H2〜H4とを備えている。選択セルH8のドレインと電流負荷回路H1との間にはセンス線H9が接続されており、リファレンス電流のリソースH80〜H82との間には、それぞれリファレンス線H10〜H12が接続されている。センス線H9およびリファレンス線H10は、センス線H9とリファレンス線H10との電位差を増幅出力するためのセンスアンプH5の各入力部と接続され、センス線H9およびリファレンス線H11は、センス線H9とリファレンス線H11との電位差を増幅出力するためのセンスアンプH6の各入力部と接続され、センス線H9およびリファレンス線H12は、センス線H9とリファレンス線H12との電位差を増幅出力するためのセンスアンプH7の各入力部と接続されている。また、センスアンプH5〜H7の出力部には、論理回路H13が接続されており、論理回路H13の出力部から2ビットの読み出しデータH14およびH15が出力されるように構成されている。
【0022】
このように構成された並列センス方式の読み出し回路H100において、選択セルH8からのデータ読み出しは、以下のようにして行われる。
【0023】
まず、選択セルH8のゲート(ゲート電極)とドレイン(ドレイン電極)とに適切な電圧を印加することによって、選択セルH8を通って流れるセル電流が発生する。電流負荷回路H1との引き合い(電流負荷回路H1による電圧降下)により、センス線H9にセンス電圧が発生する。
【0024】
これと同様に、リファレンス電流のリソースH80〜H82を通って流れるリファレンス電流と電流負荷回路H2〜H4との引き合いにより、リファレンス線H10〜H12にリファレンス電圧がそれぞれ発生する。ここで、リファレンス電流のリソースH80は、図9(a)に示す3つのリファレンス電流のうち、データ領域”00”と”01”との間のリファレンス電流値”H”を得るためのものであり、リファレンス電流のリソースH81は、データ領域”01”と”10”との間のリファレンス電流値”M”を得るためのものであり、リファレンス電流のリソースH82は、データ領域”10”と”11”との間のリファレンス電流値”L”を得るためのものである。通常、リファレンス電流のリソースH80〜H82としては、適切なリファレンス電流を得ることができるように、閾値が厳密に調整されたメモリセルと同じ構造および同じ特性を有するリファレンスセルが用いられる。
【0025】
このようにして発生したセンス電圧とリファレンス電圧との電位差がセンスアンプH5〜H7にて並列に増幅出力され、3ビットのセンスアンプ出力として論理回路H13に入力される。この論理回路H13では、3ビットのセンスアンプ出力から、実際の読み出しデータとなる2ビットのデータH14およびH15に変換される。
【0026】
図12および図13は、図11の論理回路H13における具体的な変換例を示す図である。
【0027】
図12および図13において、リファレンス電流のリソースH80によるリファレンス電流をデータ領域”00”と”01”との間のリファレンス電流値”H”、リファレンス電流のリソースH81によるリファレンス電流をデータ領域””01”と”10”との間のリファレンス電流値”M”、リファレンス電流のリソースH82によるリファレンス電流をデータ領域”10”と”11”との間のリファレンス電流”L”とそれぞれ定義する。このとき、センスアンプH5〜H7の出力が図12に示すようなものであるとすると、論理回路H13は、図13に示すような真理値表を実現するような3ビット入力2ビット出力の論理回路とすることができる。同様に、一つのメモリセルにNビットの情報を格納した場合には、論理的には2−1個のセンスアンプを設ける必要がある。
【0028】
この並列センス方式によれば、複数のセンスアンプ(図11ではセンスアンプH5〜H7)を並列に動作させることにより、1回でNビットの情報を読み出すことが可能であるため、データ読み出しの高速化を図るためには非常に有利である。
【0029】
しかしながら、並列センス方式では、多くのセンスアンプが必要とされるため、センス回路が占有するチップ面積、瞬時に必要とされる消費電流などが大きくなり、その点では不利である。また、動作点の異なるセンスアンプを一つの電流負荷回路(同じ特性)によって動作させるため、それぞれの動作点が含まれる広い領域で、均一の動作マージンを得る必要がある。このため、各々の動作点での絶対的な動作マージンを大きくすることが容易ではない。
【0030】
以下に、上記各方式における読み出し回路の動作マージンについて説明する。ここで、セル電流とリファレンス電流との差であるセル電流差と、センス電圧とリファレンス電圧との差であるセンス電圧差との比率であるセンス電圧差/セル電流差の絶対値をセンス電圧変換効率と定義すると、このセンス電圧変換効率が大きいほど、読み出し回路の動作マージンが大きいと言うことができる。例えば、セル電流差が同じ場合でも、センス電圧差が大きい方が、十分にマージンが確保された読み出し回路を構成することができる。動作マージンが大きい方が、読み出し時間の短縮化のために有利であることは言うまでもない。
【0031】
以下に、動作マージンおよびセンス電圧変換効率について説明するために、読み出し回路の負荷特性をセル電流とセンス電圧との関係によって示す。
【0032】
図14(a)は、一般的な電流負荷として、抵抗を用いた場合の読み出し回路の構成を示す回路図である。
【0033】
図14(a)において、この読み出し回路では、メモリセルL5と電流負荷である抵抗L1との引き合いにより、センス線L3にセンス電圧が発生する。同様に、リファレンス電流のリソースであるリファレンスセルL6と電流負荷である抵抗L2との引き合いにより、リファレンス線L4にリファレンス電圧が発生する。
【0034】
この読み出し回路において、セル電流とセンス電圧との関係は、図14(b)に示すグラフのような関係になる。この図14(b)において、グラフの傾きの絶対値がセンス電圧変換効率を示すことは、言うまでもない。このように線形的な負荷特性を有する読み出し回路では、センス電圧変換効率は、セル電流が取り得る領域全てにおいて均一(一定)である。
【0035】
上述した並列センス方式では、複数の動作点でセンス動作を行う必要があるため、どの動作点でも平均して動作マージンを確保することができる図14(b)に示すような線形的な負荷特性を有する読み出し回路を用いることが望ましい。但し、この場合のセンス電圧変換効率は、後述する非線形の負荷特性を有する読み出し回路に比べて小さいため、セル電流差がより少ない多値型の半導体記憶装置には適していない。
【0036】
一方、時分割センス方式のように一度のセンス動作における動作点が限定される場合には、動作点の付近でセンス電圧変換効率が高くなるような非線形の負荷特性を有する読み出し回路を用いることができる。
【0037】
図15(a)は、非線形特性を有する電流負荷回路の一例として、PMOSトランジスタをカレントミラー接続した読み出し回路の構成を示す回路図である。
【0038】
図15(a)において、この読み出し回路では、リファレンス電流のリソースであるリファレンスセルK6と電流負荷であるPMOSトランジスタK2との引き合いにより、リファレンス線K4にリファレンス電圧が発生する。また、リファレンス線K4がゲート電極に接続されたPMOSトランジスタK1とメモリセルK5との引き合いにより、センス線K3にセンス電圧が発生する。
【0039】
この読み出し回路において、セル電流とセンス電圧との関係は、図15(b)に示すグラフのような関係になる。このように非線形の負荷特性を有する読み出し回路では、セル電流とリファレンス電流とが等しい点を中心とした領域のセンス電圧変換効率(グラフの傾きで示される)をより高くすることができる。センス電圧変換効率が高いほど、少ないセル電流差での読み出し動作マージンを大きくすることができるため、多値型の半導体記憶装置に適している。但し、リファレンス電流の付近以外の領域では、センス電圧変換効率が低くなるため、複数の動作点で動作させることは容易ではない。
【0040】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、電流センス方式を採用している多値型の半導体記憶装置において、時分割センス方式を用いた場合には、動作点を中心とした領域の動作マージンをより大きくするために、非線形の負荷特性を有する読み出し回路を用いることが適しているが、それぞれのセンス時にセンス結果をラッチするためのセットアップ/ホールド時間を確保することが必要であり、読み出し時間の高速化を図ることは容易ではない。
【0041】
一方、並列センス方式を用いた場合には、複数の動作点で平均して動作マージンを確保する必要があるため、絶対的な動作マージンを大きくすることができず、多値型の半導体記憶装置には適していない。
【0042】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、多値型の半導体記憶装置において読み出し動作マージンを大きくすることが可能で、かつ、読み出し動作の高速化を図ることができる半導体記憶装置の読み出し回路、そのリファレンス回路およびそれらを用いた半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【0043】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体記憶装置の読み出し回路は、メモリセルアレイに含まれる複数のメモリセルのうち、選択されたメモリセルにビット線を介してセル電流を供給し、該メモリセルに流れるセル電流を電流−電圧変換して得られる電圧とリファレンス電圧とを比較することによって、該メモリセルに記憶されたデータを読み出す半導体記憶装置の読み出し回路において、選択されたメモリセルに流れるセル電流を複数に分割した分割セル電流のそれぞれをビット線に供給する複数のセンス線を有し、該ビット線と複数のセンス線とを電気的に接続または分離するセル電流分割手段と、一つのセンス線に接続され、分割セル電流を当該センス線に供給する電流負荷回路および、当該センス線の電圧と第1のリファレンス電圧群に含まれる第1のリファレンス電圧との電位差を増幅出力するセンスアンプをそれぞれ含む複数の分割センス回路と、該複数の分割センス回路のそれぞれに対応した第1のリファレンス電圧群を出力する第1のリファレンス回路とを具備し、該分割センス回路毎に含まれる各電流負荷回路のうち少なくとも一つが、他の電流負荷回路と異なる電流供給能力を有し、該第1のリファレンス回路から供給される第1のリファレンス電圧によって、該電流負荷回路の電流供給能力が制御可能とされており、そのことにより上記目的が達成される。
【0045】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路における電流負荷回路は、第1のリファレンス電圧がゲート電極に接続されたPMOSトランジスタを含む。
【0046】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路において、複数の分割センス回路のそれぞれに対応した第2のリファレンス電圧群を出力する第2のリファレンス回路をさらに具備し、第2のリファレンス回路から供給される第2のリファレンス電圧によって、電流負荷回路の電流供給能力を制御可能とされている。
【0047】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路における電流負荷回路は、第2のリファレンス電圧がゲート電極に接続されたPMOSトランジスタを含む。
【0048】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路における第1のリファレンス回路と前記第2のリファレンス回路とが、前記第1のリファレンス電圧によって前記第2のリファレンス回路の電流供給能力を制御するように電気的に接続されている。
【0049】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路において、分割セル電流を、その分割セル電流に対応する電圧に変換する電流−電圧変換回路をさらに具備する。
【0050】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路におけるセル電流分割手段は、ゲート電極同士とソース電極同士それぞれ接続された複数のNMOSトランジスタを含む。
【0051】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路において、セル電流分割手段に含まれる複数のNMOSトランジスタの電流供給能力が、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力に応じて異なっている。
【0052】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路において、セル電流分割手段に含まれる複数のNMOSトランジスタの電流供給能力は、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が大きいほど小さく、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が小さいほど大きく設定されている。
【0053】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路における複数の分割センス回路が並列に動作する。
【0054】
本発明の半導体記憶装置は、請求項1〜11のいずれかに記載の半導体記憶装置の読み出し回路を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0055】
また、好ましくは、本発明の半導体記憶装置におけるメモリセルは、記憶されるデータが複数ビットである。
【0056】
本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路は、複数のリファレンス素子のうち、選択されたリファレンス素子にリファレンスビット線を介してリファレンス電流を供給し、該リファレンス素子に流れるリファレンス電流をリファレンス電圧に変換する半導体記憶装置のリファレンス回路において、選択されたリファレンス素子に流れるリファレンス電流を複数に分割した分割リファレンス電流のそれぞれをリファレンスビット線に供給する複数のサブリファレンス線を有し、該リファレンスビット線と複数のサブリファレンス線とを電気的に接続または分離する第1のリファレンス電流分割手段と、それぞれ一つのサブリファレンス線に接続され、分割リファレンス電流を当該サブリファレンス線に供給する複数の第1の電流負荷回路とを含み、それぞれ一つのリファレンス電圧を出力する複数の第1のリファレンス電圧設定回路を具備し、該複数の第1のリファレンス電圧設定回路のうち一つから出力される第2のリファレンス電圧によって、他の第1のリファレンス電圧設定回路に含まれる第1の電流負荷回路の少なくとも一つの電流供給能力を制御可能とされており、そのことにより上記目的が達成される。
【0057】
また、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路におけるリファレンス電圧設定回路は、分割リファレンス電流を、その分割リファレンス電流に対応する電圧に変換する電流−電圧変換回路をさらに含む。
【0058】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路におけるリファレンス電流分割手段は、ゲート電極同士とソース電極同士それぞれ接続された複数のNMOSトランジスタを含む。
【0059】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路において、リファレンス電流分割手段に含まれる複数のNMOSトランジスタの電流供給能力が、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力に応じて異なっている。
【0060】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路において、リファレンス電流分割手段に含まれる複数のNMOSトランジスタの電流供給能力は、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が大きいほど小さく、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が小さいほど大きく設定されている。
【0061】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路におけるリファレンス素子はメモリセルと同じ構造の素子である。
【0062】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路における電流負荷回路はPMOSトランジスタを含む。
【0063】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路において、リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタの少なくとも一つが、他のリファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタとカレントミラー接続されている。
【0064】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路において、リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタの少なくとも一つが、読み出し回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタとカレントミラー接続されている。
【0065】
さらに、好ましくは、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路は、複数のリファレンス素子のうち、選択されたリファレンス素子にリファレンスビット線を介してリファレンス電流を供給し、該リファレンス素子に流れるリファレンス電流をリファレンス電圧に変換する半導体記憶装置のリファレンス回路において、選択されたリファレンス素子に流れるリファレンス電流を複数に分割した分割リファレンス電流のそれぞれをリファレンスビット線に供給する複数のサブリファレンス線を有し、該リファレンスビット線と複数のサブリファレンス線とを電気的に接続または分離する第2のリファレンス電流分割手段と、それぞれ一つのサブリファレンス線に接続され、分割リファレンス電流を当該サブリファレンス線に供給する複数の第2の電流負荷回路を含み、それぞれ一つの第1のリファレンス電圧を出力する複数の第2のリファレンス電圧設定回路を具備し、請求項13〜21のいずれかに記載の半導体記憶装置のリファレンス回路から供給される前記第2のリファレンス電圧によって、該第2の電流負荷回路の電流供給能力を制御可能とされており、そのことにより上記目的が達成される。
【0066】
本発明の半導体記憶装置は、請求項14〜23のいずれかに記載の半導体記憶装置のリファレンス回路を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0067】
本発明の半導体記憶装置の読み出し回路は、第1のリファレンス回路として請求項14〜22に記載の半導体記憶装置のリファレンス回路を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0068】
また、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路は、第1のリファレンス回路として請求項23記載の半導体記憶装置のリファレンス回路を備え、第2のリファレンス回路として請求項14〜22のいずれかに記載の半導体記憶装置のリファレンス回路を備えており、そのことにより上記目的が達成される。
【0069】
以下に、本発明の作用について説明する。
【0070】
本発明の半導体記憶装置の読み出し回路にあっては、選択されたメモリセルに流れるセル電流をセル電流分割手段で複数に分割し、分割セル電流のそれぞれを電流−電圧変換したセンス電圧と第1のリファレンス電圧群に含まれる第1のリファレンス電圧との電位差を、複数の分割センス回路に含まれるセンスアンプによってそれぞれ増幅出力することによって、複数の異なる動作点で並列にセンス動作を行うことができる。また、分割セル電流を複数のセンス線のそれぞれに供給する電流負荷回路の電流供給能力を異ならせることによって、それぞれの動作点でセンス電圧変換効率が高くなるような電流供給能力とすることができ、複数の動作点で負荷特性を均一にした従来の半導体記憶装置の読み出し回路に比べて、動作マージンを大きくすることができる。
【0071】
例えば、電流負荷回路をPMOSトランジスタによって構成し、ゲート電極に第1のリファレンス電圧を接続することによって、電流負荷回路の電流供給能力を第1のリファレンス電圧によって制御することができる。また、センス動作に用いられる第1のリファレンス電圧を生成する第1のリファレンス回路とは別に第2のリファレンス回路を設けて、電流負荷回路のPMOSトランジスタのゲート電極に第2のリファレンス電圧を接続して、電流供給能力を制御するようにしてもよい。この場合、第2のリファレンス回路を第1のリファレンス回路と電気的に接続することによって、第1のリファレンス電圧によって第2のリファレンス回路の電流供給能力を制御することができる。このように、電流負荷回路をPMOSトランジスタで構成することによって、動作点の付近のみセンス電圧変換効率が高くなるような非線形の負荷特性を得ることができる。
【0072】
また、セル電流分割手段を、ゲート電極とソース電極とが接続された複数のNMOSトランジスタによって構成し、その電流供給能力を、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力に応じて異ならせることによって、さらに動作マージンを大きくすることができる。例えば、セル電流分割手段に含まれるNMOSトランジスタの電流供給能力を、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が大きいほど小さく、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が小さいほど大きく設定することによって、セル電流が小さい領域においても、その境界判断を行う分割センス回路に対して、より多くの分割セル電流を供給することができる。
【0073】
また、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路にあっては、選択されたリファレンス素子に流れるリファレンス電流をリファレンス電流分割手段で複数に分割し、分割リファレンス電流を複数のサブリファレンス線のそれぞれに供給する電流負荷回路の電流供給能力を、他のリファレンス電圧設定回路の電流負荷回路から出力されるリファレンス電圧によって制御することによって、読み出し回路を構成する電流負荷回路と同様の非線形の負荷特性を有するリファレンス回路を実現することができる。また、読み出し回路とリファレンス回路に含まれるトランジスタのレイアウトパターンを同等にすることができるため、同じトランジスタ特性のものを作製することが容易となり、トランジスタ特性のばらつきなどによる影響を受け難くなる。
【0074】
例えば、電流負荷回路をPMOSトランジスタによって構成し、他のリファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタとカレントミラー接続することによって、電流負荷回路の電流供給能力を他のリファレンス電圧設定回路の電流負荷回路から出力されるリファレンス電圧によって制御することができる。
【0075】
また、リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタを、読み出し回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタとカレントミラー接続することによって、読み出し回路における電流負荷回路の電流供給能力を、リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路から出力されるリファレンス電圧によって制御することができる。
【0076】
また、他のリファレンス回路(第2のリファレンス回路)から供給されるリファレンス電圧を、リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタのゲート電極と接続することによって、電流負荷回路の電流供給能力を制御することもできる。
【0077】
リファレンス素子は、メモリセルと同じ構造の素子を用いて、閾値を調整して同じ特性とすることによって、適切なリファレンス電流を容易に得ることができる。
【0078】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について、図面に基づいて説明する。以下では、一例として、不揮発性半導体記憶装置の読み出し動作について説明するが、本発明は、読み出しのために電流センス方式を採用している半導体記憶装置一般に適用可能なものであり、不揮発性半導体記憶装置または揮発性半導体記憶装置に限定されるものではない。また、以下では、読み出し動作に関する部分についてのみ説明を行っており、書き込み回路、消去回路、制御回路などについては、その説明を省略している。
(実施形態1)
図1は、本発明の一実施形態である半導体記憶装置における読み出し回路1000の構成を示す回路図である。
【0079】
図1において、この半導体記憶装置の読み出し回路1000は、メモリセルアレイに含まれる複数のメモリセルのうち、選択されたメモリセル9にビット線8を介してセル電流を供給し、そのメモリセル9に流れるセル電流を電流−電圧変換して得られる電圧とリファレンス電圧とを比較することによって、そのメモリセル9に記憶されたデータを読み出すようになっている。
【0080】
この選択されたメモリセル9に流れるセル電流は、セル電流分割手段1によって複数に分割される。本実施形態において、セル電流分割手段1は、インバータ101を介してゲート電極とソース電極とが接続された複数のNMOSトランジスタ10〜1nを含み、NMOSトランジスタ10〜1nのそれぞれによって、分割セル電流のそれぞれをビット線8に供給する複数のセンス線50〜5nとビット線8とがそれぞれ電気的に接続または分離自在に構成されている。上記インバータ101およびセル電流分割手段1によって、分割セル電流を、その分割セル電流に対応する電圧に変換する電流−電圧変換回路100が構成されている。
【0081】
複数のセンス線50〜5nのそれぞれは、複数の分割センス回路20〜2nのそれぞれと接続されている。分割センス回路20〜2nのそれぞれは、分割セル電流を各センス線に供給する電流負荷回路30〜3nのそれぞれと、センス線50〜5nの各電圧とリファレンス電圧線群(第1のリファレンス電圧群)6のリファレンス電圧(第1のリファレンス電圧)60〜6nとの電位差を増幅出力するセンスアンプ40〜4nのそれぞれとを含んでいる。リファレンス電圧線群6は、リファレンス電圧60〜6nの各々を個別に供給できるようになっている。
【0082】
本実施形態では、電流負荷回路30〜3nはそれぞれ、PMOSトランジスタ70〜7nを含んでおり、PMOSトランジスタ70〜7nのそれぞれのゲート電極には、リファレンス電圧線群6からのリファレンス電圧60〜6nがそれぞれ入力されている。このリファレンス電圧60〜6nのそれぞれによって、電流負荷回路30〜3nのそれぞれの電流供給能力が制御され、複数の分割センス回路20〜2nに含まれる複数の電流負荷回路30〜3nの少なくとも一つが、他の電流負荷回路と異なる電流供給能力を有するようになっている。
【0083】
複数の分割センス回路20〜2nのそれぞれに対応した第1のリファレンス電圧線群6は、リファレンス回路(第1のリファレンス回路)110から引き出されている。
【0084】
図2は、本発明の半導体記憶装置の一実施形態である不揮発性半導体記憶装置におけるメモリセルアレイの一部を示す回路図である。
【0085】
図2において、このメモリセルアレイは、複数のメモリセルCELL11〜CELL44がマトリックス状に設けられている。メモリセルアレイに含まれる各メモリセルのゲートは行単位で共通にワード線WL1〜WL4と接続されており、各メモリセルのドレインは列単位で共通にビット線BL1〜BL4と接続されている。ワード線WL1〜WLとビット線BL1〜BL4とは、互いに直交するように設けられている。また、各メモリセルのソースは、ブロック単位で共通化されて共通ソース線SRCと接続されている。
【0086】
各メモリセルは、隣接するメモリセルと、ドレイン同士が互いに接続されてビット線と接続され、ソース同士が互いに接続されて共通ソース線と接続されている。例えば、メモリセルCELL11とCELL21とは、ドレイン同士が接続されて、それらのドレインがビット線BL1と接続されている。また、メモリセルCELL21とCELL31とは、ソース同士が接続されて、それらのソースが共通ソース線SRCと接続されている。また、メモリセルCELL31とCELL41とは、ドレイン同士が接続されて、それらのドレインがビット線BL1と接続されている。
【0087】
各ビット線の先には、図示しないデコーダ回路や上記図1に示す電流電圧変換回路100を介して例えば分割センス回路40や電流負荷回路30などが接続されている。また、これらのメモリセルアレイとは別に、上記メモリセルと同様のメモリセルが、リファレンスセルとしてリファレンス回路110内に配置されている。
【0088】
上記構成により、以下に、本実施形態の読み出し回路1000の動作について説明する。ここでは、図9(a)に示す2ビット/セルのデータ読み出し動作を実現する回路構成について説明するため、図1中の符号に含まれるnを2と定義する。したがって、図1に示すセル電流分割手段1を構成するNMOSトランジスタ1nを12、分割センス回路2nを22、電流負荷回路3nを32、センスアンプ回路4nを42、センス線5nを52、リファレンス電圧6nを62、電流負荷回路32を構成するPMOSトランジスタ7nを72として説明する。なお、mビット/セルのデータ読み出し動作を実現する場合には、nを2−1に設定すればよい。また、以下の説明では、センス線の電位のことをセンス電圧、リファレンス線の電位のことをリファレンス電圧と称し、同様の符号を付して説明を行う。
【0089】
まず、多値での読み出し動作を補足し、説明を容易にするために、本実施形態の半導体記憶装置の読み出し回路1000を用いて図9(b)に示す2値(1ビット/セル)のデータ読み出しを行った場合の動作について説明する。この場合、リファレンス電圧60〜62が同電位とする。また、この例では、NMOSトランジスタ10〜12の電流供給能力を決定するトランジスタサイズがそれぞれ等しいものとする。同様に、PMOSトランジスタ70〜72の電流供給能力(トランジスタサイズ)がそれぞれ等しいものと仮定する。なお、NMOSトランジスタおよびPMOSトランジスタの電流供給能力は、主にトランジスタサイズとゲート電位とによって決定される。
【0090】
選択されたメモリセル9のゲート電極に適切な電圧が印加されると、ビット線8の電位が低くなり、電流−電圧変換回路100に含まれるインバータ101の出力が高電位になる。これによって、セル電流分割手段1に含まれるNMOSトランジスタ10〜12が導通状態になる。
【0091】
NMOSトランジスタ10〜12が導通状態になると、ビット線8の電位によってセンス線50〜52の電位が低くなり、電流負荷回路30〜32に含まれるPMOSトランジスタ70〜72のソース−ドレイン間に十分な電位差が生じる。
【0092】
この状態でPMOSトランジスタ70〜72が導通状態になると、センス線50〜52およびNMOSトランジスタ10〜12を介してビット線8が充電される。ビット線8の電位が高くなると、メモリセル9のドレイン−ソース間に電位差が生じて、セル電流が流れる。正しくセンス動作を行う為には、リファレンス電圧60〜62はセル電流が図9(b)のリファレンス電流と等しいときにセンス電圧50〜52と等しくなるように設定する。
【0093】
さらに、ビット線8が充電されて所定の電位になると、電流−電圧変換回路100に含まれるインバータ101の出力が低電位になり、NMOSトランジスタ10〜12の電流供給能力が低くなる。ビット線8の電位、メモリセル9に流れるセル電流、およびNMOSトランジスタ10〜12に流れる電流の3者が釣り合ったときに、読み出し回路1000内の各電位および各電流が安定する。
【0094】
ここで、リファレンス電圧60〜62が同電位である場合には、NMOSトランジスタ10〜12のゲート電位およびドレイン−ソース間の電位がそれぞれ等しいため、NMOSトランジスタ10〜12のそれぞれに、同じドレイン−ソース間電流を流すことができる。したがって、NMOSトランジスタ10〜12にはそれぞれ、セル電流の1/3の電流が流れることになる。このとき、センス線50〜52には、PMOSトランジスタ70〜72との引き合いにより、それぞれ等しいセンス電圧が生じる。
【0095】
このセンス電圧50〜52とリファレンス電圧60〜62との電位差をセンスアンプ40〜42にてそれぞれ増幅出力することにより、データ読み出し動作が行われる。このとき、上述したように各センス線50〜52が同じ電位になるため、センスアンプ40〜42は同じ動作を行い、同じ読み出し結果を出力することになる。したがって、リファレンス電圧60〜62が同電位の場合には、メモリセル9からは”1”または”0”の1ビットの情報が取り出される。
【0096】
次に、前記2値での読み出し動作を踏まえて、本実施形態の半導体記憶装置の読み出し回路1000を用いて多値(2ビット/セル;4値)のデータ読み出しを行った場合の動作について説明する。ここでは、NMOSトランジスタ10〜12の電流供給能力(トランジスタサイズ)は、2値の読み出し動作の場合と同様に、それぞれ等しいものとする。これと同様に、PMOSトランジスタ70〜72の電流供給能力(トランジスタサイズ)はそれぞれ等しいものとする。また、正しく読み出し動作を行うためには、セル電流が各リファレンス電流と等しいときに、センス線50〜52の電位が各リファレンス線の電位(リファレンス電圧60〜62)と等しくなるように、トランジスタサイズなどの回路定数と、リファレンス電圧とを決定する必要がある。リファレンス電圧60〜62は、2値での読み出し動作の場合と異なって同電位ではなく、以下のように設定する。
【0097】
リファレンス電圧60(相対的に高電位に設定)は、セル電流が図9(a)中のデータ領域”00”と”01”との間のリファレンス電流値”H”と等しいときにセンス電圧50と等しくなるように設定する。また、リファレンス電圧61(同じく中電位に設定)は、セル電流が図9(a)中のデータ領域”01”と”10”との間のリファレンス電流値”M”と等しいときにセンス電圧51と等しくなるように設定する。同様に、リファレンス電圧62(同じく低電位に設定)は、セル電流が図9(a)中のデータ領域”10”と”11”との間のリファレンス電流値”L”と等しいときにセンス電圧52と等しくなるように設定する。この結果、リファレンス電圧60〜62の電位はそれぞれ、相対的に高電位/中電位/低電位となる。
【0098】
選択されたメモリセル9のゲート電極に適切な電圧が印加されると、ビット線8の電位が低くなり、電流−電圧変換回路100に含まれるインバータ101の出力が高電位になる。これによって、セル電流分割手段1に含まれるNMOSトランジスタ10〜12が導通状態になると、ビット線8の電位によってセンス線50〜52の電位が低くなり、電流負荷回路30〜32に含まれるPMOSトランジスタ70〜72のソース−ドレイン間に十分な電位差が生じる。
【0099】
この状態でPMOSトランジスタ70〜72が導通状態になると、センス線50〜52およびNMOSトランジスタ10〜12を介してビット線8が充電される。ビット線8の電位が高くなると、メモリセル9のドレイン−ソース間に電位差が生じて、セル電流が流れる。
【0100】
さらに、ビット線8が充電されて所定の電位になると、電流−電圧変換回路100に含まれるインバータ101の出力が低電位になり、NMOSトランジスタ10〜12の電流供給能力が低くなる。ビット線8の電位、メモリセル9に流れるセル電流、およびNMOSトランジスタ10〜12に流れる電流の3者が釣り合ったときに、読み出し回路1000内の各電位および各電流が安定する。
【0101】
ここで、NMOSトランジスタ10〜12が飽和領域(五極管領域)で動作している場合には、NMOSトランジスタ10〜12のゲート電位が等しいため、NMOSトランジスタ10〜12はドレイン−ソース間電位に大きく依存すること無く、ほぼ同じドレイン−ソース間電流を流すことができる。
【0102】
一方、リファレンス電圧60〜62の電位がそれぞれ相対的に異なるため、PMOSトランジスタ70の電流供給能力は、他のPMOSトランジスタ71および72に比べて低くなる。したがって、NMOSトランジスタ10〜12にほぼ同じ電流が流れると、センス線50の電位はセンス線51および52の電位と比較して、相対的に低い電位になる。センス線51とセンス線52との関係も同様であり、センス線51はセンス線52と比較して、相対的に低い電位になる。
【0103】
ここで、リファレンス電圧とセンス電圧との関係について考える。セル電流とリファレンス電流とが等しいときにリファレンス電圧とセンス電圧とが等しくなるようにリファレンス電圧を設定しているため、セル電流がリファレンス電流よりも大きいときには、セル電流分割手段1に含まれるNMOSトランジスタ10〜12の電流供給能力が高くなり、センス電圧はリファレンス電圧よりも低くなる。また、セル電流がリファレンス電流よりも小さいときには、センス電圧はリファレンス電圧よりも高くなる。このセンス電圧50〜52とリファレンス電圧60〜62との電位差をセンスアンプ40〜42にて増幅出力することにより、データ読み出し動作が行われることになる。センスアンプは、センス電圧がリファレンス電圧よりも高い時に”0”を出力し、センス電圧がリファレンス電圧よりも低い時に”1”を出力するように設定される。
【0104】
例えば、メモリセル9のセル電流が図9(a)中のデータ領域”00”にあった場合には、セル電流は三つのどのリファレンス電流よりも少なく、センス線50〜52はリファレンス線60〜62と比較してそれぞれ高い電位になる。このとき、センスアンプ40〜42は、センス線50〜52がリファレンス線60〜62よりもそれぞれ高い電位であるため、それぞれ”0”を出力する。センスアンプ40〜42から出力された3ビットの情報”000”を、図13に示すような論理を実現する図示しない論理回路を用いてデコードすることにより、”00”という2ビットの情報を取り出すことができる。
【0105】
これと同様に、メモリセル9のセル電流が図9(a)中のデータ領域”10”にあった場合には、セル電流はリファレンス電流値”H”および”M”よりも多く、センス線50および51はリファレンス線60および61と比較してそれぞれ低い電位になる。また、セル電流はリファレンス電流値”L”よりも少なく、センス線52はリファレンス線62と比較して高い電位になる。このとき、センスアンプ40〜42は、3ビットの情報”110”を出力する。センスアンプ40〜42から出力された3ビットの情報”110”を、図13に示すような論理を実現する図示しない論理回路を用いてデコードすることにより、”10”という2ビットの情報を取り出すことができる。
【0106】
これと同様に、メモリセル9のセル電流が図9(a)中のデータ領域”01”および”11”にあった場合についても、同様に、情報を取り出すことができる。
【0107】
以上のように、本実施形態の半導体記憶装置の読み出し回路1000によれば、分割センス回路20〜2nを並列動作させることによって、並列センス方式により多値の情報を読み出すことができる。
【0108】
さらに、本実施形態の半導体記憶装置の読み出し回路1000においては、電流負荷回路30〜3nにPMOSトランジスタ70〜7nを用いているため、分割センス回路20〜2nのそれぞれを、図15(b)に示すような非線形の特性を有する回路として動作させることができる。
【0109】
図3は、図1の半導体記憶装置の読み出し回路1000におけるセンス電圧とセル電流との関係を示すグラフである。
【0110】
図3に示すように、半導体記憶装置の読み出し回路1000は、非線形特性を有しており、セル電流とリファレンス電流とが等しい点を中心とした領域のセンス電圧変換効率を高くして、読み出し動作マージンを大きくすることができる。
【0111】
このように、非線形特性を有し、かつ、並列センス方式も実現することができる理由は、セル電流分割手段1にてセル電流を分割することにより、一つの読み出し回路において複数の異なる動作点を持たせることが可能となったからである。
【0112】
以上のように、半導体記憶装置の読み出し回路1000によれば、読み出し時間の高速化に有利な並列センス方式と、多値型の半導体記憶装置に適した高い動作マージンを得ることができる非線形特性とを両立させることができるため、高速動作が可能で、より高い動作マージンを有する多値型の半導体記憶装置に適した読み出し回路を実現することができる。
(実施形態2)
本実施形態2では、上記実施形態1の半導体記憶装置の読み出し回路1000に用いられるリファレンス回路110の一例について説明する。なお、上記実施形態1の半導体記憶装置の読み出し回路1000では、リファレンス回路の構成については特に説明しなかったが、本実施形態2では、リファレンス回路110を一例を挙げて説明する。
【0113】
図4は、図1のリファレンス回路110の構成例を示す回路図である。
【0114】
図4において、この半導体記憶装置のリファレンス回路110は、複数のリファレンス電圧設定回路110−0〜110−nを有しており、複数のリファレンス素子のうち、選択されたリファレンス素子9−r0〜9−rnにリファレンスビット線8−r0〜8−rnを介してリファレンス電流を供給し、そのリファレンス素子9−r0〜9−rnに流れるリファレンス電流をリファレンス電圧に変換するようになっている。
【0115】
通常、リファレンス素子9−r0〜9−rnは、適切なリファレンス電流を得ることができるように、閾値が厳密に調整されたメモリセルと同じ構造および同じ特性を有するリファレンスセルが用いられる。
【0116】
リファレンス電圧設定回路110−0〜110−nにおいて、選択されたリファレンス素子9−r0〜9−rnに流れるリファレンス電流は、リファレンス電流分割手段1−r0〜1−rnによって複数に分割される。本実施形態において、リファレンス電流分割手段1−r0〜1−rnは、インバータを介してゲート電極とソース電極とが接続された複数のNMOSトランジスタ(10−r0〜1n−r0)〜(10−rn〜1n−rn)をそれぞれ含み、NMOSトランジスタ(10−r0〜1n−r0)〜(10−rn〜1n−rn)のそれぞれによって、分割リファレンス電流のそれぞれをリファレンスビット線8−r0〜8−rnに供給する複数のサブリファレンス線(50−r0〜5n−r0)〜(50−rn〜5n−rn)とリファレンスビット線8−r0〜8−rnとがそれぞれ電気的に接続または分離される。また、上記インバータおよびリファレンス電流分割手段1−r0〜1−rnによって、分割リファレンス電流を、その分割リファレンス電流に対応する電圧に変換する電流−電圧変換回路100−r0〜100−rnが構成されている。なお、図4中では、リファレンス電流分割手段1−r0〜1−rnを含む電流−電圧変換回路100−r1〜100−rnの内部を省略しているが、電流−電圧変換回路100−r0と同じ構成である。
【0117】
複数のサブリファレンス線(50−r0〜5n−r0)〜(50−rn〜5n−rn)のそれぞれは、分割リファレンス電流を各サブリファレンス線に供給する電流負荷回路(30−r0〜3n−r0)〜(30−rn〜3n−rn)のそれぞれと接続されている。
【0118】
リファレンス電圧設定回路110−0〜110−nからはそれぞれ、一つのリファレンス電圧60r〜6nrが出力される。例えばリファレンス電圧設定回路110−0においては、電流負荷回路30−r0からリファレンス電圧60rが出力され、リファレンス電圧設定回路110−1においては電流負荷回路30−r1からリファレンス電圧が61r出力され、リファレンス電圧設定回路110−nにおいては電流負荷回路3n−rnからリファレンス電圧6nrが出力される。このように複数のリファレンス電圧設定回路のうちの一つから出力されるリファレンス電圧によって、他のリファレンス電圧設定回路に含まれる電流負荷回路の少なくとも一つの電流供給能力を制御可能とされている。
【0119】
本実施形態では、電流負荷回路(30−r0〜3n−r0)〜(30−rn〜3n−rn)はそれぞれ、PMOSトランジスタ(70−r0〜7n−r0)〜(70−rn〜7n−rn)を含んでおり、各リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタの少なくとも一つが、他のリファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタとカレントミラー接続されている。例えば、リファレンス電圧設定回路110−0において電流負荷回路30−r0に含まれるPMOSトランジスタ70−r0から出力されるリファレンス電圧60rは、他のリファレンス電圧設定回路110−1〜110−nにおいて電流負荷回路30−r1〜30−rnに含まれるPMOSトランジスタ70−r1〜70−rnのゲート電極に入力されてカレントミラー回路が構成されており、これによって電流負荷回路30−r1〜30−rnの電流供給能力を制御することができる。リファレンス電圧61r〜6nrについても、同様に、それが生成されたリファレンス電圧設定回路以外のリファレンス電圧設定回路に含まれる電流負荷回路の電流供給能力を制御可能な構成になっている。例えば、リファレンス電圧設定回路110−1から出力されるリファレンス電圧61rは電流負荷回路31−r1に含まれるPMOSトランジスタ71−r1によってカレントミラー回路が構成され、リファレンス電圧設定回路110−nから出力されるリファレンス電圧6nrは電流負荷回路3n−rnに含まれるPMOSトランジスタ7n−rnによってカレントミラー回路が構成されている。
【0120】
さらに、各リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタの少なくとも一つが、読み出し回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタともカレントミラー接続されている。例えば、リファレンス電圧設定回路110−0において電流負荷回路30−r0に含まれるPMOSトランジスタ70−r0から出力されるリファレンス電圧60rは、図1に示す半導体記憶装置の読み出し回路1000において電流負荷回路30に含まれるPMOSトランジスタ70のゲート電極に入力されてカレントミラーが構成されており、これによって電流負荷回路30の電流供給能力を制御することができる。リファレンス電圧61r〜6nrについても、同様に、半導体記憶装置の読み出し回路に含まれる電流負荷回路の電流供給能力を制御可能な構成になっている。例えば、リファレンス電圧設定回路110−1から出力されるリファレンス電圧61rは電流負荷回路31−r1に含まれるPMOSトランジスタ71−r1と電流負荷回路31に含まれるPMOSトランジスタ71とがカレントミラー接続され、リファレンス電圧設定回路110−nから出力されるリファレンス電圧6nrは電流負荷回路3n−rnに含まれるPMOSトランジスタ7n−rnと電流負荷回路3nに含まれるPMOSトランジスタ7nとがカレントミラー接続されている。
【0121】
上記構成により、以下、本実施形態2のリファレンス回路110の動作について説明する。ここでは、図9(a)に示す2ビット/セルのデータ読み出し動作を実現する回路構成について説明するため、図4中の符号に含まれるnを2と定義する。したがって、例えば、図4に示すリファレンス電流分割手段1を構成するNMOSトランジスタ1n−r0を12−r0、電流負荷回路3n−r0を32−r0、サブリファレンス線5n−r0を52−r0、リファレンス電圧6nrを62r、電流負荷回路32−r0を構成するPMOSトランジスタ7n−r0を72−r0、リファレンスビット線8−rnを8−r2、リファレンス素子9−rnを9−r2として説明する。なお、mビット/セルのデータ読み出し動作を実現する場合には、nを2−1に設定すればよい。
【0122】
また、図1の読み出し回路1000および図4のリファレンス回路110において、リファレンス電圧線群6と6r、リファレンス電圧60〜62と60r〜62rとは同じものとして、それぞれをリファレンス電圧線群6、リファレンス電圧60〜62として説明を行う。
【0123】
また、リファレンス素子9−r0により、図9(a)に示すデータ領域”00”と”01”との間のリファレンス電流値”H”が得られ、リファレンス素子9−r1により、図9(a)に示すデータ領域”01”と”10”との間のリファレンス電流値”M”が得られ、リファレンス素子9−r2により、図9(a)に示すデータ領域”10”と”11”との間のリファレンス電流値”L”が得られるものとする。
【0124】
さらに、PMOSトランジスタ70−r0〜72−r0、70−r1〜72−r1および70−r2〜72−r2の電流供給能力(トランジスタサイズ)は、それぞれ等しいものとする。同様に、NMOSトランジスタ10−r0〜12−r0、10−r1〜12−r1および10−r2〜12−r2の電流供給能力(トランジスタサイズ)もそれぞれ等しいものとする。
【0125】
リファレンス電流設定回路110−0〜110−2において、選択されたリファレンス素子9−r0〜9−r2のゲート電極に適切な電圧が印加されると、リファレンスビット線8−r0〜の8−r2の電位が低くなり、電流−電圧変換回路100−r0〜100−r2に含まれるインバータ101−r0〜101−r2の出力が高電位になる。これによって、リファレンス電流分割手段1−r0〜1−r2に含まれるNMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)が導通状態になる。
【0126】
NMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)が導通状態になると、リファレンスビット線8−r0〜8−r2の電位によってサブリファレンス線(50−r0〜52−r0)〜(50−r2〜52−r2)の電位が低くなり、電流負荷回路(30−r0〜32−r0)〜(30−r2〜32−r2)に含まれるPMOSトランジスタ(70−r0〜72−r0)〜(70−r2〜72−r2)のソース−ドレイン間に十分な電位差が生じる。
【0127】
これによって、ゲート電極とドレイン電極とが接続されたPMOSトランジスタ70−r0、71−r1および72−r2が導通状態になると、それぞれに接続された70−r1、70−r2、71−r0、71−r2、72−r0および72−r1も導通状態になり、サブリファレンス線(50−r0〜52−r0)〜(50−r2〜52−r2)およびNMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)を介してリファレンスビット線8−r0〜8−r2が充電される。ビット線8−r0〜8−r2の電位が高くなると、リファレンス素子9−r0〜9−r2のドレイン−ソース間に電位差が生じて、リファレンス電流が流れる。
【0128】
さらに、リファレンスビット線8−r0〜8−r2が充電されて所定の電位になると、電流−電圧変換回路100−r0〜100−r2に含まれるインバータ101−r0〜101−r2の出力が低電位になり、NMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)の電流供給能力が低くなる。リファレンスビット線8−r0〜8−r2の電位、リファレンス素子9−r0〜9−r2に流れるリファレンス電流、およびNMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)に流れる電流の3者が釣り合ったときに、リファレンス回路110内の各電位および各電流が安定する。
【0129】
ここで、リファレンス素子9−r0は、図9(a)に示すデータ領域”00”と”01”との間のリファレンス電流値”H”が得られるように設定され、リファレンス素子9−r1は、図9(a)に示すデータ領域”01”と”10”との間のリファレンス電流値”M”が得られるように設定され、リファレンス素子9−r2は、図9(a)に示すデータ領域”10”と”11”との間のリファレンス電流値”L”が得られるように設定されているため、リファレンス電圧60r、61rおよび62rは、相対的に高電位、中電位および低電位となる。
【0130】
図1に示す分割センス回路20に着目して説明を行うと、PMOSトランジスタ70と図4に示すリファレンス電圧設定回路110−0のPMOSトランジスタ70−r0とがカレントミラー接続されており、分割センス回路20には、リファレンス電圧設定回路110−0から出力されるリファレンス電圧60(図4のリファレンス電圧60r)が入力される。
【0131】
一方、リファレンス電圧設定回路110−0には、三つの電流負荷回路30−r0〜32−r0が含まれている。リファレンス電圧60を決定するために能動的に動作する電流負荷回路30−r0を除いて、電流負荷回路31−r0および32−r0にはそれぞれ、リファレンス電圧61を決定するために能動的に動作する電流負荷回路31−r1から出力されるリファレンス電圧61およびリファレンス電圧62を決定するために能動的に動作する電流負荷回路32−r1から出力されるリファレンス電圧62が入力されて、電流供給能力が制御されている。同様に、図1に示す分割センス回路21および22に含まれる電流負荷回路31および32にも、同様のリファレンス電圧61および62が入力されている。
【0132】
したがって、電流負荷回路31と31−r0は同じリファレンス電圧61によってその電流供給能力が制御され、同様に、電流負荷回路32と32−r0は同じリファレンス電圧62によってその電流供給能力が制御されており、メモリセル9を通って流れるセル電流およびリファレンス素子9−r0を通って流れるリファレンス電流に与える影響は、ほぼ等価であり、特に両電流が等しい場合においては、完全に等価であると言える。
【0133】
これらの影響を読み出し回路およびリファレンス回路から相殺すると、電流負荷回路30に含まれるPMOSトランジスタ70と、電流負荷回路30−r0に含まれるPMOSトランジスタ70−r0とは、図15(a)に示すようなカレントミラー接続された関係にあり、図15(b)に示すように、より大きな動作マージンを得ることができる非線形の負荷特性を示すことが判る。
【0134】
したがって、分割センス回路20のセンスアンプ40では、リファレンス電流値”H”に設定されたリファレンス素子9−r0から生成されるリファレンス電圧60によって、データ領域”00”と”01”との境界に関する判定を行うことが可能である。これと同様に、分割センス回路21のセンスアンプ41では、リファレンス電流値”M”に設定されたリファレンス素子9−r1から生成されるリファレンス電圧61によって、データ領域”01”と”10”との境界に関する判定を行うことが可能であり、分割センス回路22のセンスアンプ42では、リファレンス電流値”L”に設定されたリファレンス素子9−r2から生成されるリファレンス電圧62によって、データ領域”10”と”11”との境界に関する判定を行うことが可能である。
【0135】
以上のように、本実施形態のリファレンス回路110によれば、図1に示す半導体記憶装置の読み出し回路1000に必要とされるリファレンス電圧を容易に生成できると共に、読み出し回路1000およびリファレンス回路110に含まれる各トランジスタのレイアウトパターンを同等にすることができるため、同じトランジスタ特性を有する回路を容易に作製することができる。したがって、製造工程において生じるトランジスタ特性バラツキなどへの耐性が比較的強く、多値型の半導体記憶装置に適したリファレンス回路を実現することができる。
(実施形態3)
本実施形態3では、リファレンス回路を二つ設けている半導体記憶装置の読み出し回路について説明する。
【0136】
図5は、本実施形態の半導体記憶装置の読み出し回路2000の構成を示す回路図である。なお、この図5以降において、上記実施形態1,2と同様の機能を有する部分については同じ番号を付し、相違点について説明を行う。
【0137】
この半導体記憶装置の読み出し回路2000は、分割センス回路20〜2nに、それぞれ、2種類のリファレンス電圧が入力されている。センスアンプ40〜4nには、第1のリファレンス回路120から出力される第1のリファレンス電圧群5(第1のリファレンス50r〜5nrを含む)が入力されている。また、電流負荷回路30〜3nには、第2のリファレンス回路110から、各電流負荷回路30〜3nの電流供給能力を制御するための第2のリファレンス電圧群(第2のリファレンス60〜6nを含む)6が入力されている。
【0138】
図6は、図5のリファレンス回路120の要部構成を示す回路図である。
【0139】
図6において、このリファレンス回路120は、複数のリファレンス電圧設定回路120−0〜120−nを有しており、複数のリファレンス素子のうち、選択されたリファレンス素子9−r0〜9−rnにリファレンスビット線8−r0〜8−rnを介してリファレンス電流を供給し、そのリファレンス素子9−r0〜9−rnに流れるリファレンス電流をリファレンス電圧に変換するようになっている。
【0140】
通常、リファレンス素子9−r0〜9−rnは、適切なリファレンス電流を得ることができるように、閾値が厳密に調整されたメモリセルと同じ構造および同じ特性を有するリファレンスセルが用いられる。
【0141】
リファレンス電圧設定回路120−0〜120−nにおいて、選択されたリファレンス素子9−r0〜9−rnに流れるリファレンス電流は、リファレンス電流分割手段1−r0〜1−rnによって複数に分割される。本実施形態において、リファレンス電流分割手段1−r0〜1−rnは、インバータを介してゲート電極とソース電極とが接続された複数のNMOSトランジスタ(10−r0〜1n−r0)〜(10−rn〜1n−rn)をそれぞれ含み、NMOSトランジスタ(10−r0〜1n−r0)〜(10−rn〜1n−rn)のそれぞれによって、分割リファレンス電流のそれぞれをリファレンスビット線8−r0〜8−rnに供給する複数のサブリファレンス線(50−r0〜5n−r0)〜(50−rn〜5n−rn)とリファレンスビット線8−r0〜8−rnとがそれぞれ電気的に接続・分離される。また、上記インバータおよびリファレンス電流分割手段1−r0〜1−rnによって、分割リファレンス電流を、その分割リファレンス電流に対応する電圧に変換する電流−電圧変換回路100−r0〜100−rnが構成されている。なお、図6中では、リファレンス電流分割手段1−r0〜1−rnを含む電流−電圧変換回路100−r1〜100−rnの内部を省略しているが、電流−電圧変換回路100−r0と同じ構成である。
【0142】
複数のサブリファレンス線(50−r0〜5n−r0)〜(50−rn〜5n−rn)のそれぞれは、分割リファレンス電流を各サブリファレンス線に供給する電流負荷回路(30−r0〜3n−r0)〜(30−rn〜3n−rn)のそれぞれと接続されている。
【0143】
リファレンス電圧設定回路120−0〜120−nからは、それぞれ、一つのリファレンス電圧50r〜5nrが出力される。リファレンス回路120とリファレンス回路110との違いは、リファレンス回路110では、リファレンス電圧設定回路から出力されるリファレンス電圧が、他のリファレンス電圧設定回路に含まれる電流負荷回路の少なくとも一つの電流供給能力を制御するためにカレントミラー接続されているのに対して、リファレンス回路120では、リファレンス電位50r〜5nrが、リファレンス電圧群5rとして外部に出力されていることである。
【0144】
また、リファレンス回路120において、リファレンス電圧設定回路120−0〜120−nは、それぞれ、リファレンス回路110から出力されるリファレンス電圧60r〜6nrによって電流供給能力が制御される。
【0145】
本実施形態では、電流負荷回路(30−r0〜3n−r0)〜(30−rn〜3n−rn)は、それぞれ、PMOSトランジスタ(70−r0〜7n−r0)〜(70−rn〜7n−rn)を含んでおり、リファレンス回路110を構成するリファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタの少なくとも一つが、リファレンス回路120のリファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタとカレントミラー接続されている。例えば、リファレンス回路110のリファレンス電圧設定回路110−0において電流負荷回路30−r0に含まれるPMOSトランジスタ70−r0から出力されるリファレンス電圧60rは、リファレンス回路120のリファレンス電圧設定回路120−0〜120−nにおいて電流負荷回路30−r0〜30−rnに含まれるPMOSトランジスタ70−r0〜70−rnのゲート電極に入力されてカレントミラーが構成されており、これによって電流負荷回路30−r0〜30−rnの電流供給能力を制御することができる。リファレンス回路110から出力されるリファレンス電圧61r〜6nrについても、同様に、リファレンス回路120のリファレンス電圧設定回路120−0〜120−nに含まれる電流負荷回路の電流供給能力を制御可能な構成になっている。
【0146】
以下に、このように構成された本実施形態の半導体記憶装置のリファレンス回路120の動作について、説明する。ここでは、図9(a)に示す2ビット/セルのデータ読み出し動作を実現する回路構成について説明するため、図6中の符号に含まれるnを2と定義する。従って、例えば、図6に示すリファレンス電流分割手段1を構成するNMOSトランジスタ1n−r0を12−r0、電流負荷回路3n−r0を32−r0、サブリファレンス線5n−r0を52−r0、リファレンス電圧5nrを52r、リファレンス電圧6nrを62r、電流負荷回路32−r0を構成するPMOSトランジスタ7n−r0を72−r0、リファレンスビット線8−rnを8−r2、リファレンス素子9−rnを9−r2として説明する。なお、mビット/セルのデータ読み出し動作を実現する場合には、nを2−1に設定すればよい。
【0147】
また、リファレンス回路120のリファレンス素子9−r0により、図9(a)に示すデータ領域”00”と”01”との間のリファレンス電流値”H”が得られ、リファレンス素子9−r1により、図9(a)に示すデータ領域”01”と”10”との間のリファレンス電流値”M”が得られ、リファレンス素子9−r2により、図9(a)に示すデータ領域”10”と”11”との間のリファレンス電流値”L”が得られるものとする。これによって、リファレンス電圧群5に含まれるリファレンス電圧50r〜52rと、リファレンス電圧群6に含まれるリファレンス電圧60〜62とは、それぞれ、同じ電圧になる。
【0148】
さらに、リファレンス回路120において、PMOSトランジスタ70−r0〜72−r0、70−r1〜72−r1および70−r2〜72−r2の電流供給能力(トランジスタサイズ)は、それぞれ等しいものとする。同様に、NMOSトランジスタ10−r0〜12−r0、10−r1〜12−r1および10−r2〜12−r2の電流供給能力(トランジスタサイズ)は、それぞれ等しいものとする。
【0149】
リファレンス電流設定回路120−0〜120−2において、選択されたリファレンス素子9−r0〜9−r2のゲート電極に適切な電圧が印加されると、リファレンスビット線8−r0〜の8−r2の電位が低くなり、電流−電圧変換回路100−r0〜100−r2に含まれるインバータ101−r0〜101−r2の出力が高電位になる。これによって、リファレンス電流分割手段1−r0〜1−r2に含まれるNMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)が導通状態になる。
【0150】
NMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)が導通状態になると、リファレンスビット線8−r0〜8−r2の電位によってサブリファレンス線(50−r0〜52−r0)〜(50−r2〜52−r2)の電位が低くなり、電流負荷回路(30−r0〜32−r0)〜(30−r2〜32−r2)に含まれるPMOSトランジスタ(70−r0〜72−r0)〜(70−r2〜72−r2)のソース−ドレイン間に十分な電位差が生じる。
【0151】
これによって、同様に動作しているリファレンス回路110に含まれるPMOSトランジスタ70−r0、71−r1および72−r2が導通状態になると、それぞれに接続された(70−r0〜72−r0)〜(70−r2〜72−r2)も導通状態になり、サブリファレンス線(50−r0〜52−r0)〜(50−r2〜52−r2)およびNMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)を介してリファレンスビット線8−r0〜8−r2が充電される。ビット線8−r0〜8−r2の電位が高くなると、リファレンス素子9−r0〜9−r2のドレイン−ソース間に電位差が生じて、リファレンス電流が流れる。
【0152】
さらにリファレンスビット線8−r0〜8−r2が充電されて所定の電位になると、電流−電圧変換回路100−r0〜100−r2に含まれるインバータ101−r0〜101−r2の出力が低電位になり、NMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)の電流供給能力が低くなる。そして、リファレンスビット線8−r0〜8−r2の電位、リファレンス素子9−r0〜9−r2に流れるリファレンス電流、およびNMOSトランジスタ(10−r0〜12−r0)〜(10−r2〜12−r2)に流れる電流の3者が釣り合ったときに、リファレンス回路110内の各電位および各電流が安定する。
【0153】
ここで、リファレンス素子9−r0は、図9(a)に示すデータ領域”00”と”01”との間のリファレンス電流値”H”が得られるように設定され、リファレンス素子9−r1は、図9(a)に示すデータ領域”01”と”10”との間のリファレンス電流値”M”が得られるように設定され、リファレンス素子9−r2は、図9(a)に示すデータ領域”10”と”11”との間のリファレンス電流値”L”が得られるように設定されているため、リファレンス電圧50r、51rおよび52rは、相対的に高電位、中電位および低電位となる。
【0154】
図5に示す分割センス回路40〜42には、それぞれ、リファレンス回路120のリファレンス電圧設定回路120−0〜120−2から出力されるリファレンス電圧50r〜52rが入力される。そして、分割センス回路20のセンスアンプ40では、リファレンス回路120においてリファレンス電流値”H”に設定されたリファレンス素子9−r0から生成されるリファレンス電圧50rによって、データ領域”00”と”01”との境界に関する判定が行われる。同様に、分割センス回路21のセンスアンプ41では、リファレンス回路120においてリファレンス電流値”M”に設定されたリファレンス素子9−r1から生成されるリファレンス電圧51によって、データ領域”01”と”10”との境界に関する判定が行われ、分割センス回路22のセンスアンプ42では、リファレンス回路120においてリファレンス電流値”L”に設定されたリファレンス素子9−r2から生成されるリファレンス電圧52によって、データ領域”10”と”11”との境界に関する判定が行われる。
【0155】
以上のように、本実施形態の半導体記憶装置の読み出し回路2000では、リファレンス電圧群5およびリファレンス電圧群6が分離独立している。これによって、以下のような効果が得られる。
【0156】
図1に示す実施形態1の半導体記憶装置の読み出し回路1000において、センスアンプ40の両入力端子に接続されるリファレンス電圧60およびセンス線50の容量に注目すると、リファレンス電圧60には、リファレンス回路110に含まれるPMOSトランジスタ70−r0のゲート容量とドレイン容量、サブリファレンス線50−r0の配線容量、PMOSトランジスタ70のゲート容量およびセンスアンプ入力端子容量等が付加される。一方、センス線50には、センス線50の配線容量およびセンスアンプ入力端子容量等が付加される。従って、センス線50に付加される容量よりも、リファレンス電圧60に付加される容量の方が大きくなることが多い。この容量の差によって、リファレンス電圧およびセンス電圧の両信号が電気的に安定するまでの時間、電源にノイズが伝播した場合の揺れなどに差が生じることが考えられる。他のセンスアンプ41〜4nに注目した場合についても、同様である。これは、読み出し回路1000を用いて半導体記憶装置の読み出しを行う際の読み出し時間に大きな影響を与えることが考えられる。
【0157】
これに対して、本実施形態の半導体記憶装置の読み出し回路2000では、電流負荷回路の電流供給能力を制御するためのリファレンス電圧60〜6nと、センスアンプの入力となるリファレンス電圧50r〜5nrとを分割することにより、センスアンプ40〜42の両入力端子に接続される信号の容量差を低減することができ、上述したようなノイズ等による影響を最小限に抑えることができる。
これにより、読み出し動作マージンの拡大を図ることが可能となり、多値型の半導体記憶装置により適した読み出し回路を実現する事ができる。
(実施形態4)
上記実施形態1〜3では、セル電流分割手段1に含まれるNMOSトランジスタ10〜1nの電流供給能力(トランジスタサイズ)およびリファレンス電流分割手段1r−0〜1r−nに含まれるNMOSトランジスタ(10−r0〜1r−0)〜(10−rn〜1r−n)の電流供給能力(トランジスタサイズ)を等しく設定した例について説明したが、本実施形態4では、これらのNMOSトランジスタの電流供給能力を最適化することにより、さらに動作マージンを増やすことが可能になる。
【0158】
以下に、上記図4、図7および図8を用いて、本実施形態の半導体記憶装置の読み出し回路およびリファレンス回路について、上記実施形態との相違点について説明を行う。本実施形態でも、図9(a)に示す2ビット/セルのデータ読み出し動作を実現する回路構成について説明するため、図中の符号に含まれるnを2と定義する
本実施形態において、読み出し回路は、電流供給能力(トランジスタサイズ)が異なるNMOSトランジスタ10〜12を含むセル電流分割手段1を備えている。また、リファレンス回路110内のNMOSトランジスタ10−r0〜12−r0、10−r1〜12−r1および10−r2〜12−r2についても、それぞれに対応するNMOSトランジスタ10〜12と同様に電流供給能力が設定されている。
【0159】
上述したように、リファレンス電圧60〜62の電圧の関係は、
リファレンス電圧60>リファレンス電圧61>リファレンス電圧62
であり、それらに制御される電流負荷回路30〜32の電流供給能力の関係は、電流負荷回路30<電流負荷回路31<電流負荷回路32
となる。これは、リファレンス電圧60がリファレンス電流”H”を示し、リファレンス電圧62がより電流量が多いリファレンス電流”L”を示しているからである。
【0160】
図7は、NMOSトランジスタ10〜12が同じ電流供給能力(トランジスタサイズ)を有する場合について、セル電流とNMOSトランジスタ10〜12のソース〜ドレイン間電流との関係を示すグラフである。
【0161】
セル電流はセル電流分割手段1によって分割されたものであるので、NMOSトランジスタ10〜12のソースドレイン間電流の総和は、セル電流と等しくなる。
【0162】
セル電流がリファレンス電流”L”付近にある点C付近では、セル電流分割手段1によってNMOSトランジスタ12により多くの電流が分配される。これは、電流負荷回路30〜32の電流供給能力が異なるためであり、NMOSトランジスタ10および11は、図7に示すように、電流供給能力以上の電流を供給することができない。そのため、最も電流供給能力が高いNMOSトランジスタ12に、より多くの電流が分配される。しかしながら、この場合には、電流負荷回路30〜32に含まれるPMOSトランジスタ70〜72によって電流制限がかかるため、NMOSトランジスタ10〜12によるセンス線50〜52の電位への影響はほとんど生じない。
【0163】
一方、セル電流がリファレンス電流”H”付近にある点A付近では、NMOSトランジスタ10〜12のソース〜ドレイン間電流は、それぞれ、ほぼ同じ値を取る。この理由は、以下のように考えられる。セル電流が少なくなることにより、電流負荷回路30〜32に含まれるPMOSトランジスタ70〜72によって電流が制限されることがなくなり、センス線50〜52がいずれも高電位になる。そして、NMOSトランジスタ10〜12のソース〜ドレイン間の電位差が大きくなることにより、それぞれが飽和領域(5極間領域)で動作して、ほぼ同じ電流に飽和する。従って、NMOSトランジスタ10〜12により、セル電流がほぼ等しく3分割される。
【0164】
上述したように、リファレンス電流”L”による領域境界の判定にはNMOSトランジスタ12のドレインが接続されているセンスアンプ42が対応し、リファレンス電流”H”による領域境界の判定にはNMOSトランジスタ10のドレインが接続されているセンスアンプ40が対応している。
【0165】
図7に示す点C付近においては、セル電流分割手段1によって、その境界判定を行う分割センス回路22に最も多くのセル電流が割り当てられるが、点A付近においては、その境界判定を行う分割センス回路20にはセル電流の1/3が割り当てられるに過ぎない。その結果、セル電流がリファレンス電流”L”付近にある場合と、リファレンス電流”H”付近にある場合とでは、相対的な動作マージンに差が生じることになる。
【0166】
そこで、本実施形態では、セル電流が小さくなった場合でも、境界判定を行う分割センス回路に対してより多くの電流が割り当てられるように、セル電流分割手段1に含まれるNMOSトランジスタ10〜12の電流供給能力を、それぞれに接続される電流負荷回路30〜32の電流供給能力が大きいほど小さく、それぞれに接続される電流負荷回路30〜32の電流供給能力が小さいほど大きく設定する。本実施形態では、電流負荷回路30〜32の電流供給能力の関係が
電流負荷回路30<電流負荷回路31<電流負荷回路32
であるので、NMOSトランジスタ10〜12の電流供給能力(トランジスタサイズ)の関係を
NMOSトランジスタ10>NMOSトランジスタ11>NMOSトランジスタ12
のように設定する。また、リファレンス回路110内のNMOSトランジスタ10−r0〜12−r0、10−r1〜12−r1および10−r2〜12−r2についても、それぞれに対応するNMOSトランジスタ10〜12と同様に、電流供給能力の関係を、
NMOSトランジスタ10−r0〜10−r2>NMOSトランジスタ11−r0〜11−r2>NMOSトランジスタ12−r0〜12−r2
のように設定する。
【0167】
図8は、NMOSトランジスタ10〜12の電流供給能力(トランジスタサイズ)の関係を
NMOSトランジスタ10>NMOSトランジスタ11>NMOSトランジスタ12
のように設定した場合について、セル電流とNMOSトランジスタ10〜12のソース〜ドレイン間電流との関係を示すグラフである。
【0168】
セル電流が大きい場合には、電流負荷回路30〜32によって電流制限がかかるため、図7に示す場合と同様であり、動作は特に変わらない。
【0169】
一方、セル電流が小さい場合には、NMOSトランジスタ10〜12が飽和領域で動作したとしても、それぞれの電流供給能力に差があるため、異なる電流値に飽和する。例えば、NMOSトランジスタ10〜12の電流能力を3:2:1の比に設定した場合、点A’付近では、分割センス回路20に接続されているNMOSトランジスタ10にはセル電流の3/6が分配され、NMOSトランジスタ11にはセル電流の2/6が分配され、NMOSトランジスタ12にはセル電流の1/6が分配される。このように、セル電流が小さい場合においても、その境界判定を行う分割センス回路20に対してより多くの電流を分配することができる。その結果、セル電流の多少による相対的な動作マージンの差を少なくすることができ、より高速動作が可能で精度が高い読み出し回路を実現することができる。
【0170】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路によれば、読み出し時間の高速化に有利な並列センス方式と、多値型の半導体記憶装置に適し、高い動作マージンを得ることができる非線形の負荷特性とを両立させることができ、高速動作が可能で、かつより高い動作マージンを有する半導体記憶装置の読み出し回路を得ることができる。
【0171】
また、本発明の半導体記憶装置のリファレンス回路によれば、本発明の半導体記憶装置の読み出し回路に必要とされるリファレンス電圧を容易に生成することができると共に、読み出し回路およびリファレンス回路に含まれる各トランジスタのレイアウトパターンを同等にすることができるため、製造工程上で生じるトランジスタ特性のばらつき等に対する耐性が比較的強い、多値型の半導体記憶装置に適した半導体記憶装置のリファレンス回路を提供することができる。
【0172】
さらに、セル電流分割手段およびリファレンス電流分割手段に含まれるNMOSトランジスタの電流供給能力を最適化することにより、セル電流の多少による相対的な動作マージンの差を少なくすることができるため、より高速動作が可能で、精度が高い半導体記憶装置の読み出し回路を提供することができる。
【0173】
本発明の半導体記憶装置の読み出し回路およびリファレンス回路を用いることにより、高速動作が可能で、より高い動作マージンが得られ、精度が高い読み出しを行うことができる半導体記憶装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1である半導体記憶装置の読み出し回路の構成を示す回路図である。
【図2】本発明の実施形態1である半導体記憶装置のメモリセルアレイの構成を示す回路図である。
【図3】本発明の実施形態1の半導体記憶装置の読み出し回路の特性の一例を示すグラフである。
【図4】本発明の実施形態2の半導体記憶装置のリファレンス回路の構成を示す図である。
【図5】本発明の実施形態3の半導体記憶装置の読み出し回路の構成を示す回路図である。
【図6】本発明の実施形態3の半導体記憶装置のリファレンス回路の構成を示す図である。
【図7】本発明の実施形態1の半導体記憶装置の読み出し回路におけるセル電流分割手段の特性の一例を示すグラフである。
【図8】本発明の実施形態4の半導体記憶装置の読み出し回路におけるセル電流分割手段の特性の一例を示すグラフである。
【図9】(a)は従来の多値型の半導体記憶装置におけるセル電流とデータ領域との関係の一例を示す図であり、(b)は従来の2値型の半導体記憶装置におけるセル電流とデータ領域との関係の一例を示す図である。
【図10】従来の時分割型読み出し回路の一例を示す回路図である。
【図11】従来の並列型読み出し回路の一例を示す回路図である。
【図12】2ビット/セルのデータ読み出し動作を行う場合のデータ領域とセンスアンプの出力との関係の一例を示す図である。
【図13】センスアンプ出力を入力とする論理回路の真理値表の一例を示す図である。
【図14】(a)は線形的な負荷特性を有する読み出し回路の構成を示す回路図であり、(b)はその特性の一例を示す図である。
【図15】(a)は非線形の負荷特性を有する読み出し回路の構成を示す回路図であり、(b)はその特性の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 セル電流分割手段
6、6r リファレンス電圧群
8 ビット線
8−r0〜8−rn リファレンスビット線
9 メモリセル
9−r0〜9−rn リファレンス素子
10〜1n、(10−r0〜1n−r0)〜(10−rn〜1n−rn) NMOSトランジスタ
20〜2n 分割センス回路
30〜3n、(30−r0〜3n−r0)〜(30−rn〜3n−rn) 電流負荷回路
40〜4n センスアンプ
50〜5n センス線
(50−r0〜5n−r0)〜(50−rn〜5n−rn) サブリファレンス線
50r〜5nr、60〜6n、60r〜6nr リファレンス電圧
70〜7n、(70−r0〜7n−r0)〜(70−rn〜7n−rn) PMOSトランジスタ
100、100−r0〜100−rn 電流−電圧変換回路
101、101−r0〜101−rn インバータ
110、120 リファレンス回路
110−0〜110−n、120−0〜120−n リファレンス電圧設定回路
1000、2000 読み出し回路

Claims (25)

  1. メモリセルアレイに含まれる複数のメモリセルのうち、選択されたメモリセルにビット線を介してセル電流を供給し、該メモリセルに流れるセル電流を電流−電圧変換して得られる電圧とリファレンス電圧とを比較することによって、該メモリセルに記憶されたデータを読み出す半導体記憶装置の読み出し回路において、
    選択されたメモリセルに流れるセル電流を複数に分割した分割セル電流のそれぞれをビット線に供給する複数のセンス線を有し、該ビット線と複数のセンス線とを電気的に接続または分離するセル電流分割手段と、
    一つのセンス線に接続され、分割セル電流を当該センス線に供給する電流負荷回路および、当該センス線の電圧と第1のリファレンス電圧群に含まれる第1のリファレンス電圧との電位差を増幅出力するセンスアンプをそれぞれ含む複数の分割センス回路と、
    該複数の分割センス回路のそれぞれに対応した第1のリファレンス電圧群を出力する第1のリファレンス回路とを具備し、
    該分割センス回路毎に含まれる各電流負荷回路のうち少なくとも一つが、他の電流負荷回路と異なる電流供給能力を有し、
    該第1のリファレンス回路から供給される第1のリファレンス電圧によって、該電流負荷回路の電流供給能力が制御可能とされている半導体記憶装置の読み出し回路。
  2. 前記電流負荷回路は、第1のリファレンス電圧がゲート電極に接続されたPMOSトランジスタを含む請求項記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  3. 前記複数の分割センス回路のそれぞれに対応した第2のリファレンス電圧群を出力する第2のリファレンス回路をさらに具備し、
    該第2のリファレンス回路から供給される第2のリファレンス電圧によって、前記電流負荷回路の電流供給能力を制御可能とされている請求項1記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  4. 前記電流負荷回路は、第2のリファレンス電圧がゲート電極に接続されたPMOSトランジスタを含む請求項記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  5. 前記第1のリファレンス回路と前記第2のリファレンス回路とが、前記第1のリファレンス電圧によって前記第2のリファレンス回路の電流供給能力を制御するように電気的に接続されている請求項3または4記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  6. 前記分割セル電流を、その分割セル電流に対応する電圧に変換する電流−電圧変換回路をさらに具備する請求項1〜のいずれかに記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  7. 前記セル電流分割手段は、ゲート電極同士とソース電極同士それぞれ接続された複数のNMOSトランジスタを含む請求項1〜のいずれかに記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  8. 前記セル電流分割手段に含まれる複数のNMOSトランジスタの電流供給能力が、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力に応じて異なっている請求項記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  9. 前記セル電流分割手段に含まれる複数のNMOSトランジスタの電流供給能力は、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が大きいほど小さく、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が小さいほど大きく設定されている請求項記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  10. 前記複数の分割センス回路が並列に動作する請求項1〜のいずれかに記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の半導体記憶装置の読み出し回路を備えている半導体記憶装置。
  12. 前記メモリセルは、記憶されるデータが複数ビットである請求項11記載の半導体記憶装置。
  13. 複数のリファレンス素子のうち、選択されたリファレンス素子にリファレンスビット線を介してリファレンス電流を供給し、該リファレンス素子に流れるリファレンス電流をリファレンス電圧に変換する半導体記憶装置のリファレンス回路において、
    選択されたリファレンス素子に流れるリファレンス電流を複数に分割した分割リファレンス電流のそれぞれをリファレンスビット線に供給する複数のサブリファレンス線を有し、該リファレンスビット線と複数のサブリファレンス線とを電気的に接続または分離する第1のリファレンス電流分割手段と、
    それぞれ一つのサブリファレンス線に接続され、分割リファレンス電流を当該サブリファレンス線に供給する複数の第1の電流負荷回路とを含み、それぞれ一つのリファレンス電圧を出力する複数の第1のリファレンス電圧設定回路を具備し、
    該複数の第1のリファレンス電圧設定回路のうち一つから出力される第2のリファレンス電圧によって、他の第1のリファレンス電圧設定回路に含まれる第1の電流負荷回路の少なくとも一つの電流供給能力を制御可能とされている半導体記憶装置のリファレンス回路。
  14. 前記リファレンス電圧設定回路は、分割リファレンス電流を、その分割リファレンス電流に対応する電圧に変換する電流−電圧変換回路をさらに含む請求項第13記載の半導体記憶装置のリファレンス回路。
  15. 前記リファレンス電流分割手段は、ゲート電極同士とソース電極同士それぞれ接続された複数のNMOSトランジスタを含む請求項第13または14に記載の半導体記憶装置のリファレンス回路。
  16. 前記リファレンス電流分割手段に含まれる複数のNMOSトランジスタの電流供給能力が、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力に応じて異なっている請求項第15記載の半導体記憶装置のリファレンス回路。
  17. 前記リファレンス電流分割手段に含まれる複数のNMOSトランジスタの電流供給能力は、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が大きいほど小さく、それぞれに接続される電流負荷回路の電流供給能力が小さいほど大きく設定されている請求項16記載の半導体記憶装置のリファレンス回路。
  18. 前記リファレンス素子は、メモリセルと同じ構造の素子である請求項13〜17のいずれかに記載の半導体記憶装置のリファレンス回路。
  19. 前記電流負荷回路はPMOSトランジスタを含む請求項13〜18のいずれかに記載の半導体記憶装置のリファレンス回路。
  20. 前記リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタの少なくとも一つが、他のリファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタとカレントミラー接続されている請求項第19記載の半導体記憶装置のリファレンス回路。
  21. 前記リファレンス電圧設定回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタの少なくとも一つが、読み出し回路の電流負荷回路に含まれるPMOSトランジスタとカレントミラー接続されている請求項20記載の半導体記憶装置のリファレンス回路。
  22. 複数のリファレンス素子のうち、選択されたリファレンス素子にリファレンスビット線を介してリファレンス電流を供給し、該リファレンス素子に流れるリファレンス電流をリファレンス電圧に変換する半導体記憶装置のリファレンス回路において、
    選択されたリファレンス素子に流れるリファレンス電流を複数に分割した分割リファレンス電流のそれぞれをリファレンスビット線に供給する複数のサブリファレンス線を有し、該リファレンスビット線と複数のサブリファレンス線とを電気的に接続または分離する第2のリファレンス電流分割手段と、
    それぞれ一つのサブリファレンス線に接続され、分割リファレンス電流を当該サブリファレンス線に供給する複数の第2の電流負荷回路を含み、それぞれ一つの第1のリファレンス電圧を出力する複数の第2のリファレンス電圧設定回路を具備し、
    請求項13〜21のいずれかに記載の半導体記憶装置のリファレンス回路から供給される前記第2のリファレンス電圧によって、該第2の電流負荷回路の電流供給能力を制御可能とされている半導体記憶装置のリファレンス回路。
  23. 請求項13〜22のいずれかに記載の半導体記憶装置のリファレンス回路を備えている半導体記憶装置。
  24. 前記第1のリファレンス回路として請求項13〜21に記載の半導体記憶装置のリファレンス回路を備えている請求項1、2および4〜10のいずれかに記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
  25. 前記第1のリファレンス回路として請求項22に記載の半導体記憶装置のリファレンス回路を備え、前記第2のリファレンス回路として請求項13〜21のいずれかに記載の半導体記憶装置のリファレンス回路を備えている請求項3〜10のいずれかに記載の半導体記憶装置の読み出し回路。
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