以下、この発明の実施形態につき図面を参照して説明する。この説明に際し、全図にわたり、共通する部分には共通する参照符号を付す。なお以下では、電荷蓄積層に電荷が蓄えられた状態を「書き込み状態(“0”データ)」、電荷が抜けた状態を「消去状態(“1”データ)」と定義する。
[第1の実施形態]
この発明の第1の実施形態に係る半導体記憶装置について、図1を用いて説明する。図1は、本実施形態に係るNOR型フラッシュメモリのブロック図である。図示するようにフラッシュメモリ10は、メモリセルアレイ11、ロウデコーダ12、カラムデコーダ13、カラムゲート14、ソース線ドライバ15、書き込み回路16、及び読み出し回路17を備えている。
メモリセルアレイ11は、マトリクス状に配置された複数のNOR型フラッシュメモリセル(以下、単にメモリセルMCと呼ぶ)を備えている。各メモリセルMCは、ビット線BL、ワード線WL、及びソース線SLに接続されている。ロウデコーダ12は、メモリセルアレイ11のロウ方向を選択する。すなわち、ワード線WLを選択する。カラムデコーダ13は、メモリセルアレイ11のカラム方向を選択する。カラムゲート14は、カラムデコーダ13の選択動作に基づいてビット線BLを選択し、ビット線BLをデータ線に接続する。ソース線ドライバ15はソース線SLに電圧を与える。書き込み回路16は、データ線に対して書き込みデータに応じた電圧を印加する。読み出し回路17は、データ線に読み出されたデータをセンスして増幅する。
次に図2を用いてメモリセルアレイ11及びカラムゲート14の構成について説明する。図2はメモリセルアレイ11及びカラムゲート14の回路図である。
まずメモリセルアレイ11について説明する。図示するように、メモリセルアレイ11は((m+1)×(n+1))個(m、nは自然数)のメモリセルMCを備えている。メモリセルMCは、電荷蓄積層(例えば浮遊ゲート)と制御ゲートとを含む積層ゲートを備えたMOSトランジスタである。電荷蓄積層は、半導体基板上にゲート絶縁膜を介在して、例えば多結晶シリコンを材料に用いて形成される。また制御ゲートは、電荷蓄積層上にゲート間絶縁膜を介在して、例えば多結晶シリコン、金属、またはそれらの多層膜を材料に用いて形成される。そして、同一行にあるメモリセルMCの制御ゲートは、同一のワード線WL0〜WLmのいずれかに共通接続される。また同一列にあるメモリセルMCのドレインは、同一のビット線BL0〜BLnのいずれかに共通接続される。更にメモリセルMCのソースは、同一のソース線SLに共通接続される。なお以下では説明の便宜上、ワード線WL0〜WLmをワード線WL、ビット線BL0〜BLnをビット線BLと一括して呼ぶことがある。
またメモリセルアレイ11は、ビット線BL毎に設けられたリセットトランジスタ20を備えている。リセットトランジスタ20は、ドレインが各ビット線BLに接続され、ソースに電圧VSS(例えば0V)が印加されたnチャネルMOSトランジスタである。リセットトランジスタ20のゲートには、信号BLRSTが例えば図示せぬ制御回路によって与えられる。リセットトランジスタ20は、ビット線BLの電位を0Vにリセットするために設けられ、信号BLRSTはリセット時に“H”レベルとされる。
次にカラムゲート14について説明する。図示するようにカラムゲート14は、ビット線BL0〜BLn毎に設けられたnチャネルMOSトランジスタ21を備えている。MOSトランジスタ21の電流経路の一端はそれぞれビット線BL0〜BLnに接続され、他端はデータ線DLに共通接続されている。またゲートはカラム選択線CSLに接続されている。データの書き込み時及び読み出し時において、カラムデコーダによっていずれかのカラム選択線CSLが選択されて、いずれかのビット線BLがデータ線DLに接続される。なお図2ではデータ線DLを1本のみ図示しているが、勿論、複数のデータ線DLが設けられていても良い。
次に読み出し回路17について、図3を用いて説明する。図示するように読み出し回路17は、大まかには参照電位発生回路30、nチャネルMOSトランジスタ40、及びセンスアンプ50を備えている。
参照電位発生回路30は、参照セル31、及びリセットトランジスタ32を備えている。参照セル31は、データの読み出し時において、メモリセルMCから読み出したデータを判別する際の基準となる参照データを保持する。参照セル31は、メモリセルMCと同一の構造を有する例えば直列接続された2つのMOSトランジスタを含んでいる。参照セルのソースにはVSSが与えられ、ドレインは参照ビット線BLRに接続され、ゲートは参照ワード線WLRに接続される。参照ワード線WLRは、読み出し時においてワード線WLと同一のタイミングで選択される。リセットトランジスタ32は、ドレインが参照ビット線BLRに接続され、ソースに電圧VSSが印加されたnチャネルMOSトランジスタである。リセットトランジスタ32のゲートには信号BLRSTが与えられる。リセットトランジスタ32は、参照ビット線BLRの電位を0Vにリセットするために設けられている。
MOSトランジスタ40は、参照ビット線BLRを参照データ線DLRに接続する。すなわち、MOSトランジスタ40の電流経路の一端は参照ビット線BLRに接続され、他端は参照データ線DLRに接続されている。そして、ゲートにはカラム選択線CSLRが接続されている。カラム選択線CSLRはデータの読み出し時において選択され、これにより参照セル31から読み出された参照データが参照データ線DLRに転送される。
センスアンプ50は、大まかにはプリチャージ回路51、差動増幅部52、出力部53、及び制御部54を備えている。
プリチャージ回路51は、pチャネルMOSトランジスタ60、61を備えている。MOSトランジスタ60のソースは電源電位VDDに接続され、ゲート及びドレインはデータ線DLに接続されている。MOSトランジスタ61のソースは電源電位VDDに接続され、ゲート及びドレインは参照データ線DLRに接続されている。MOSトランジスタ60、61はそれぞれ、データの読み出し時においてビット線BL(及びデータ線DL)及び参照ビット線BLR(及び参照データ線DLR)をプリチャージするために設けられている。
差動増幅部52は、参照セル31から参照データ線DLRに読み出された参照データを基にして得られる基準レベルを用いて、メモリセルMCからデータ線DLに読み出されたデータを判別・増幅する。出力部53は、差動増幅部52で判別・増幅されたデータを外部へ出力する。制御部54は、信号S1、S2を生成することにより、差動増幅部52における基準レベルを制御する。
以下、差動増幅部52、出力部53、及び制御部54の構成について説明する。まず差動増幅部52について説明する。
図示するように差動増幅部52は、pチャネルMOSトランジスタ70〜74及びnチャネルMOSトランジスタ75〜83を備えている。MOSトランジスタ70、71は、ソースが共にVDDに接続され、図示せぬ制御回路から与えられるセンスアンプイネーブル信号SENがゲートに共に入力され、ドレインがそれぞれノードN1、N2に接続されている。以下、ノードN1、N2の電位をそれぞれVL、VRと呼ぶ。
MOSトランジスタ72は、ソースがVDDに接続され、ドレインがノードN1に接続され、ゲートがMOSトランジスタ73のドレインに接続されている。MOSトランジスタ73は、ソースがVDDに接続され、ドレインがノードN2に接続され、ゲートがMOSトランジスタ72のドレインに接続されている。MOSトランジスタ75は、ドレインがMOSトランジスタ72のドレイン、すなわちMOSトランジスタ73のゲートに接続され、ゲートがMOSトランジスタ72のゲート、すなわちMOSトランジスタ73のドレインに接続されている。MOSトランジスタ76は、ドレインがMOSトランジスタ73のドレイン、すなわちMOSトランジスタ72のゲートに接続され、ゲートがMOSトランジスタ73のゲート、すなわちMOSトランジスタ72のドレインに接続されている。MOSトランジスタ74は、ゲートに信号SENが入力され、ソースまたはドレインのいずれか一方がMOSトランジスタ75のゲートに接続され、いずれか他方がMOSトランジスタ76のゲートに接続されている。
MOSトランジスタ77は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ75のソースに接続されている。MOSトランジスタ78は、ゲートに信号S1が入力され、ドレインがMOSトランジスタ75のソースに接続されている。MOSトランジスタ79は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ78のソースに接続されている。MOSトランジスタ80は、ゲートが参照データ線DLRに接続され、ドレインがMOSトランジスタ76のソースに接続されている。MOSトランジスタ81は、ゲートに信号S2が入力され、ドレインがMOSトランジスタ76のソースに接続されている。MOSトランジスタ82は、ゲートが参照データ線DLRに接続され、ドレインがMOSトランジスタ81のソースに接続されている。MOSトランジスタ83は、ゲートに信号SENが入力され、ドレインがMOSトランジスタ77、79、80、82のソースに接続され、ソースがVSSに接続されている。
すなわち、本実施形態に係る差動増幅部52は、第1ゲート(MOSトランジスタ77、79のゲート)にメモリセルMCから読み出されたデータが入力され、第2ゲート(MOSトランジスタ80、82のゲート)に参照セル31から読み出された参照データが入力されるラッチ型差動アンプである。そして、第1ゲートの電位によって制御される電流経路の数と、第2ゲートの電位によって制御される電流経路の数とが、信号S1、S2によって制御される。つまり、MOSトランジスタ77、80の電流経路に対して、MOSトランジスタ78、79によって形成される電流経路とMOSトランジスタ81、82によって形成される電流経路とがオフセット用の電流経路として機能する。なお図中において「OFL」なる符号と共に破線で示した箇所がメモリセル側のオフセットを示し、「OFR」なる符号と共に破線で示した箇所が参照セル側のオフセットを示している。
次に出力部53について説明する。出力部53は、NANDゲート90、91、インバータ92〜97、及びnチャネルMOSトランジスタ98〜101を備えている。NANDゲート90は、ノードN1の電位(VL)と、NANDゲート91の出力とのNAND演算を行う。NANDゲート91は、ノードN2の電位(VR)と、NANDゲート90の出力とのNAND演算を行う。インバータ92、93はそれぞれ、NANDゲート90、91の出力を反転させる。インバータ96は、インバータ93の出力を反転させ、反転結果を信号SOUT2として出力する。
インバータ97は、図示せぬ制御回路から与えられる信号/SEN1stを反転させる。信号/SEN1stは、第1センス動作において“L”レベルとされ、第2センス動作において“H”レベルとされる信号である。第1センス動作及び第2センス動作については後述する。
MOSトランジスタ98、100は、それぞれゲートがインバータ92、93の出力ノードに接続され、それぞれソースがMOSトランジスタ99、101のドレインに接続されている。MOSトランジスタ99、101は、ゲートがインバータ97の出力ノードに接続され、ソースがVSSに接続されている。インバータ94は、入力ノードがMOSトランジスタ98のドレインに接続され、出力ノードがMOSトランジスタ100のドレインに接続されている。インバータ95は、入力ノードがMOSトランジスタ100のドレイン、すなわちインバータ94の出力ノードに接続され、出力ノードがMOSトランジスタ98のドレイン、すなわちインバータ94の入力ノードに接続されている。そして、インバータ94の出力ノードとインバータ95の入力ノードにおけるレベルが、信号SOUT1として出力される。
次に制御部54について説明する。制御部54は、2つのNANDゲート110、111を備えている。NANDゲート110は、信号/SEN1stと、インバータ94の入力ノードとインバータ95の出力ノードとの接続ノードにおける信号とのNAND演算を行う。そして、NANDゲート110における演算結果が、信号S1として差動増幅部52へ与えられる。NANDゲート111は、信号/SEN1stと、インバータ95の入力ノードとインバータ94の出力ノードとの接続ノードにおける信号(すなわち信号SOUT1)とのNAND演算を行う。そして、NANDゲート111における演算結果が、信号S2として差動増幅部52へ与えられる。
次に、上記構成のフラッシュメモリ10におけるメモリセルMC及び参照セル31について説明する。
メモリセルMCの各々は、4種のデータ(2進数2ビットデータ)を保持出来る。図4はメモリセルの閾値分布を示すグラフであり、横軸が閾値電圧Vthを示し、縦軸がメモリセルの存在確率を示す。図示するようにメモリセルは、閾値電圧Vthの低い順に“11”、“10”、“01”、“00”の4つのデータを保持出来る。“11”データを保持するメモリセルMCの閾値電圧Vthは、Vth<Vth0である。“10”データを保持するメモリセルMCの閾値電圧Vthは、Vth0<Vth<Vth1である。“01”データを保持するメモリセルMCの閾値電圧Vthは、Vth1<Vth<Vth2である。“00”データを保持するメモリセルMCの閾値電圧Vthは、Vth2<Vth<Vth3である。以下、“10”データを保持するメモリセルMCの閾値分布の中央の値となる電圧を、Vth(10)と呼び、“01”データを保持するメモリセルMCの閾値分布の中央の値となる電圧を、Vth(01)と呼ぶ。
図5は、参照セル31の閾値分布を示すグラフであり、横軸が閾値電圧Vthを示し、縦軸がメモリセルの存在確率を示す。図示するように参照セル31の閾値電圧Vthは、Vth(10)<Vth<Vth(01)とされる。より好ましくは、“10”データを保持するメモリセルMCの閾値分布の最大値より高く、“01”データを保持するメモリセルMCの閾値分布の最小値より低い値である。
図6は、メモリセルMCから4種のデータをビット線BLに読み出した際にビット線BLに流れる電流と、参照セル31から参照データを参照ビット線BLRに読み出した際に参照ビット線BLRに流れる電流を示すグラフである。縦軸が電流を示し、横軸が時間を示し、電流値はメモリセルMCが保持する4種のデータと対応づけて示してある。
図示するように、“00”、“01”、“10”、“11”データが読み出された際にビット線BLに流れる電流をそれぞれIcell(00)、Icell(01)、Icell(10)、Icell(11)とすると、Icell(00)<Icell(01)<Icell(10)<Icell(11)である。また、参照データが読み出された際に参照ビット線BLRに流れる電流は、Ircell=Icell(11)/2である。但し、Icell(00)〜Icell(11)及びIrcellは閾値電圧Vthと同様にある一定の分布を有する。従ってIrcellは、Icell(01)の分布の中央の値と、Icell(10)の分布の中央の値との間の値であれば良い。より好ましくは、Icell(01)の分布の最大値より高く、Icell(10)の分布の最小値より低い値である。
上記の2ビットデータがメモリセルMCから読み出されると、その上位ビット及び下位ビットがそれぞれ、信号SOUT1、SOUT2としてセンスアンプ50から出力される。
図7は、メモリセルMCから4種のデータをビット線BLに読み出した際にデータ線DLに発生する電圧と、参照セル31から参照データを参照ビット線BLRに読み出した際に参照データ線DLRに発生する電圧とを示すグラフである。縦軸が電圧電流を示し、横軸が時間を示し、電圧値はメモリセルMCが保持する4種のデータと対応づけて示してある。
図示するように、“00”、“01”、“10”、“11”データが読み出された際にデータ線DLに発生する電圧をそれぞれVDL(00)、VDL(01)、VDL(10)、VDL(11)とすると、VDL(00)>VDL(01)>VDL(10)>VDL(11)である。また、参照データが読み出された際に参照データ線DLRに発生する電圧は、VDLR=VDL(00)/2である。但し、VDL(00)〜VDL(11)、VDLRは閾値電圧Vthと同様にある一定の分布を有する。従ってVDLRは、VDL(01)の分布の中央の値と、VDL(10)の分布の中央の値との間の値であれば良い。より好ましくは、VDL(10)の分布の最大値より高く、VDL(01)の分布の最小値より低い値である。
次に、本実施形態に係るフラッシュメモリ10における、データの読み出し方法について、特に読み出し回路17における動作に着目して、図3、図8、及び図9を用いて説明する。図8は、データの読み出し時における読み出し回路17のフローチャートであり、図9はカラム選択線CSL、CSLR、信号BLRST、ワード線WL、WLR、信号/SEN1st、及び信号SENの電位変化、ビット線BL及び参照ビット線BLRにおける電流の変化、並びにデータ線DL及び参照データ線DLRの電位変化を示すタイミングチャートである。
まず読み出しにあたって、MOSトランジスタ60、61によってデータ線DL及び参照データ線DLRが、所定のプリチャージ電位にプリチャージされる。前述のVDL(00)はプリチャージ電位に等しい。また、時刻t0においてカラム選択線CSL、CSLRに“H”レベルが与えられ、ビット線BL及び参照ビット線BLRが、それぞれデータ線DL及び参照データ線DLRに接続される。更に時刻t1において信号BLRSTが“L”レベルとされ、リセットトランジスタ20、32はオフ状態となる。また、信号/SEN1stが“L”レベルとされる。
そして、メモリセルMCからビット線BLにデータが読み出され、参照セル31から参照ビット線BLRに参照データが読み出される(図8のステップS10、時刻t2)。すなわち、ロウデコーダ12によってワード線WL、WLRに“H”レベルが与えられる。その結果、ビット線BLには選択メモリセルMCが保持するデータに応じて、電流Icell(00)〜Icell(11)のいずれかが流れ、データ線DLの電位はVDL(00)〜VDL(11)のいずれかとなる。また参照ビット線BLRには、電流Ircellが流れ、これにより参照データ線DLRの電位はVDLRとなる。
その後、データ線DLの電位が安定するのを待つ(ステップS11、時刻t2〜t3)。そして、データ線DL安定化期間が経過した後、制御回路が信号/SEN1stを“L”レベルとして、第1センス動作を行う。第1センス動作とは、メモリセルMCから読み出したデータの上位ビットにつき、“0”であるか“1”であるかを判別する動作のことである。第1センス動作にあたって、/SEN1stが“L”レベルとされるため、信号S1、S2が共に“H”レベルとされる。そのため、メモリセルMC側のオフセット用の電流経路(MOSトランジスタ78、79によって形成される電流経路)がオンされ、また参照セル31側のオフセット用の電流経路(MOSトランジスタ81、82によって形成される電流経路)がオンされる。これにより、差動増幅部52は第1基準レベルを得る(ステップS12)。そして、差動増幅部52は第1基準レベルを基準にして、データの上位ビットを判定する(ステップS13、時刻t3〜t4)。すなわち、図7で説明したように、データ線DLの電位が、VDL(01)とVDL(10)との間の電位(VDLR)よりも高ければ“0”データと判定し、低ければ“1”データと判定する。
第1センス動作が終了すると、制御回路は信号/SEN1stを“H”レベルとする(時刻t5)。そして、ステップS13の結果、上位ビットが“0”データであった場合(ステップS14、YES)、差動増幅部52においてMOSトランジスタ81がオン状態とされ、MOSトランジスタ78がオフ状態とされる。つまり、メモリセルMC側のオフセット用の電流経路がオフされ、参照セル31側のオフセット用の電流経路がオンされる。これにより、差動増幅部52は第1基準レベルよりも高いレベルの第2基準レベルを得る(ステップS16)。この第2基準レベルは、図7においてVDL(00)とVDL(01)との間の電位である。そして、差動増幅部52は第2基準レベルを基準にして、データの上位ビットを判定する(ステップS17、時刻t6〜t7)。
ステップS14の結果、上位ビットが“1”データであった場合(ステップS14、NO)、差動増幅部52においてMOSトランジスタ81がオフ状態とされ、MOSトランジスタ78がオン状態とされる。つまり、メモリセルMC側のオフセット用の電流経路がオンされ、参照セル31側のオフセット用の電流経路がオフされる(ステップS18)。これにより、差動増幅部52は第1基準レベルよりも低いレベルの第2基準レベルを得る(ステップS19)。この第2基準レベルは、図7においてVDL(11)とVDL(10)との間の電位である。そして、差動増幅部52は第2基準レベルを基準にして、データの上位ビットを判定する(ステップS17、時刻t6〜t7)。
その後、カラム選択線CSL、CSLRが“L”レベルとされて、データの読み出し動作が終了する。
上記読み出し動作時の読み出し回路17の動作の具体例について、以下説明する。まず、“00”データを読み出す場合について説明する。
<“00”データ読み出し>
図10は読み出し回路17の回路図であり、“00”データを読み出す際の第1センス動作時の様子を示している。図示するように、ビット線BLには電流Icell(00)が流れ、データ線DLの電位はVDL(00)である。また参照ビット線BLRには電流Ircell=Icell(11)/2が流れ、参照データ線DLRの電位はVDLR=VDL(00)/2である。更に、信号SEN=“H”レベル、信号/SEN1st=“L”レベルである。
従って、制御部54におけるNANDゲート110、111の出力(信号S1、S2)は共に“H”レベルとなるため、差動増幅部52におけるMOSトランジスタ78、79、81、82はオン状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルを得る。第1基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<第1基準レベル<VDL(01)<VDL(00)である。すると、VDL(00)>>VDLR、すなわちVDL(00)>第1基準レベルであるから、ノードN1における電位VLは“L”レベルとなり、ノードN2における電位VRは“H”レベルとなる。
よって、出力部53においてNANDゲート90、91の出力はそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとなる。すると、MOSトランジスタ100がオン状態となり、インバータ95の入力ノード及びインバータ94の出力ノードの電位は“L”レベルとなる。その結果、信号SOUT1=“L”レベルとなり、上位ビット=“0”が出力される。
次に第2センス動作を行って下位ビットの判定を行う。図11は読み出し回路17の回路図であり、“00”データを読み出す際の第2センス動作時の様子を示している。図示するように、第2センス動作を行うにあたって信号/SEN1stは“H”レベルとされる。また、インバータ94の入力ノード及び出力ノードは“H”レベル及び“L”レベルである。
そのため、制御部54においてNANDゲート110、111の出力はそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルとなる。よって、差動増幅部52においてはMOSトランジスタ81がオン状態となり、MOSトランジスタ78がオフ状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルよりも高い第2基準レベルを得る。第2基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)である。すると、VDL(00)>>VDLRでありVDL(00)>第2基準レベルであるから、MOSトランジスタ77に流れる電流は、MOSトランジスタ80に流れる電流とMOSトランジスタ81、82に流れる電流との総和よりも大きい。よって、電位VL、VRは依然として“L”レベル及び“H”レベルのままである。
従って、出力部53におけるNANDゲート90、91の出力も依然として“H”レベル及び“L”レベルのままである。その結果、信号SOUT2=“L”レベルとなり、下位ビット=“0”が読み出される。なお第2センス動作時には信号/SEN1st=“H”レベルであるので、MOSトランジスタ99、101はオフ状態とされる。従って、インバータ94、95は、第1センス動作時にラッチした上位ビットデータを、第2センス動作時においても保持する。
以上の動作によって、上位ビット=“0”、下位ビット=“0”が判別される。
<“01”データ読み出し>
次に“01”データを読み出す場合について説明する。“01”データを読み出す際の第1センス動作は、上記した“00”データ読み出し時と同じであるので説明は省略する。但し、ビット線BLに流れる電流は電流Icell(01)であり、データ線DLの電位はVDL(01)である。そして、VDL(01)>VDLRである。
図12は読み出し回路17の回路図であり、“01”データを読み出す際の第2センス動作時の様子を示している。
図10の場合と同様に、NANDゲート110、111の出力はそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルとなる。よって、差動増幅部52においてはMOSトランジスタ81がオン状態となり、MOSトランジスタ78がオフ状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルよりも高い第2基準レベルを得る。第2基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)である。すると、VDL(01)>VDRLであるがVDL(01)<第2基準レベルであるから、図10の場合とは逆に、MOSトランジスタ77に流れる電流は、MOSトランジスタ80に流れる電流とMOSトランジスタ81、82に流れる電流との総和よりも小さい。従って、電位VL、VRはそれぞれ “H”レベル及び“L”レベルに変化する。
従って、出力部53におけるNANDゲート90、91の出力はそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルに変化する。その結果、信号SOUT2=“H”レベルとなり、下位ビット=“1”が読み出される。
以上の動作によって、上位ビット=“0”、下位ビット=“1”が判別される。
<“10”データ読み出し>
図13は読み出し回路17の回路図であり、“10”データを読み出す際の第1センス動作時の様子を示している。図示するように、ビット線BLには電流Icell(10)が流れ、データ線DLの電位はVDL(10)である。
第1センス動作時には、図10の場合と同様にNANDゲート110、111の出力(信号S1、S2)は共に“H”レベルとなる。よって、差動増幅部52におけるMOSトランジスタ78、81はオン状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルを得る。第1基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<第1基準レベル<VDL(01)<VDL(00)である。すると、VDL(10)<VDLR、すなわちVDL(10)<第1基準レベルであるから、電位VLは“H”レベルとなり、電位VRは“L”レベルとなる。
よって、出力部53においてNANDゲート90、91の出力はそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルとなる。すると、MOSトランジスタ98がオン状態となり、インバータ95の出力ノード及びインバータ94の入力ノードの電位は“L”レベルとなる。その結果、信号SOUT1=“H”レベルとなり、上位ビット=“1”が出力される。
次に第2センス動作を行って下位ビットの判定を行う。図14は読み出し回路17の回路図であり、“10”データを読み出す際の第2センス動作時の様子を示している。図示するように、第2センス動作を行うにあたって信号/SEN1stは“H”レベルとされる。また、インバータ94の入力ノード及び出力ノードは“L”レベル及び“H”レベルである。
そのため、制御部54においてNANDゲート110、111の出力はそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとなる。よって、差動増幅部52においてはMOSトランジスタ78がオン状態となり、MOSトランジスタ81がオフ状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルよりも低い第2基準レベルを得る。第2基準レベルは、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)である。すると、VDL(10)<VDLRであるが、VDL(10)>第2基準レベルであるから、MOSトランジスタ80に流れる電流は、MOSトランジスタ77に流れる電流とMOSトランジスタ78、79に流れる電流との総和よりも小さい。従って、電位VL、VRはそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルとなる。
従って、出力部53におけるNANDゲート90、91の出力は、それぞれ“H”レベル及び“L”レベルに変化する。その結果、信号SOUT2=“L”レベルとなり、下位ビット=“0”が読み出される。
以上の動作によって、上位ビット=“1”、下位ビット=“0”が判別される。
<“11”データ読み出し>
次に“11”データを読み出す場合について説明する。“11”データを読み出す際の第1センス動作は、上記した“10”データ読み出し時と同じであるので説明は省略する。但し、ビット線BLに流れる電流は電流Icell(11)であり、データ線DLの電位はVDL(11)である。そして、VDL(11)>>VDLRである。
図15は読み出し回路17の回路図であり、“11”データを読み出す際の第2センス動作時の様子を示している。
図14の場合と同様に、NANDゲート110、111の出力はそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとなる。よって、差動増幅部52においてはMOSトランジスタ78がオン状態となり、MOSトランジスタ81がオフ状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルよりも低い第2基準レベルを得る。第2基準レベルは、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)である。すると、VDL(11)<<VDLRでありVDL(11)<第2基準レベルであるから、図14の場合とは逆に、MOSトランジスタ80に流れる電流は、MOSトランジスタ77に流れる電流とMOSトランジスタ78、79に流れる電流との総和よりも大きい。従って、電位VL、VRはそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルに変化する。
従って、出力部53におけるNANDゲート90、91の出力はそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルに変化する。その結果、信号SOUT2=“H”レベルとなり、下位ビット=“1”が読み出される。
以上の動作によって、上位ビット=“0”、下位ビット=“1”が判別される。
上記のように、この発明の第1の実施形態に係る半導体記憶装置であると、下記(1)の効果が得られる。
(1)チップサイズの増加を抑制しつつ動作速度を向上出来る。
本実施形態に係る構成であると、上位ビットの値に応じて、下位ビット判別時におけるセンスアンプ50の動作点を変えている。そして動作点の変更を、センスアンプ50内の差動増幅部52における電流経路のオフセット量を変えることによって行っている。従って、チップサイズの大型化を招くことなく、フラッシュメモリの読み出し速度を向上出来る。以下、本効果について説明する。
背景技術で説明したように、多値フラッシュメモリのデータ読み出し方法には、ワード線電圧変動方式、リファレンス線変動方式、アンプ多重方式の3つの方法が知られている。ワード線電圧方式は、複数の値の電圧をワード線に印加してメモリセルがオンするかオフするかを見ることによってデータを判別する。従って、センスアンプの構成は、メモリセルが1ビット(2値)データを保持する場合と同様で良く、小さい面積で実現可能である。しかし、ワード線の電圧を遷移しなければならず、またビット線の電圧が十分にスイングするまでの待ち時間が必要である。従って、動作速度はμ秒オーダーと非常に遅く、特にランダムアクセスには向いていない。
次にリファレンス線変動方式は、参照セルを複数用意し、これらの組み合わせによって参照データ線に流れる電流を複数種類に変化させる。そして、これらの電流と、データ線に流れる電流とを比較することによってデータを判別する。本手法であると、ワード線電圧方式に比べれば比較的高速動作が可能である。しかし、参照データ線に流れる電流を変える度に、データ線の電位が安定するのを待たなければならず、例えば2ビットデータを判別する場合には、参照データ線の電流を3度、変えなければならない。従って、やはり動作速度の点で十分ではなかった。
アンプ多重方式は、各データの判別用に参照データ線及びアンプを用意する方法である。この場合、データ線の安定待ち及びセンス動作が1回で済むため、非常に高速な読み出しが可能となる。しかし、アンプを多重化しているため、チップ面積が大きくなる。また、参照セルを複数有することから、テスト時に参照セルの調整に時間を要し、スループットの低下を招くという問題があった。
しかし、本実施形態に係る構成であると、同一のセンスアンプ(差動増幅部52)50によって、データの判別を行っている。そのために、まず差動増幅部52は第1基準レベルを用いて上位ビットの判別を行う。次に、第1基準レベルを上下させた第2基準レベルを用いて下位ビットの判別を行う。この第2基準レベルは、差動増幅部52自身がその内部において、第1基準レベルを基にして生成する。より具体的には、データ線DLの電位に応じて電流を流す電流経路のオフセット量と、参照データ線DLRの電位に応じて電流を流す電流経路のオフセット量とを変える。
従って、ワード線やデータ線及び参照データ線の電位または電流を変動させる必要が無く、これらの安定化待ちの時間が不要である。また、ワード線やデータ線及び参照データ線を変動させるためには数十nsオーダーの時間が必要であるが、本実施形態ではこの必要が無く、且つ、オフセット量を変化させる時間は数nsオーダーで終了する。従って、1ビットデータを保持するメモリセルからデータを読み出す際と同等の速度で、多値フラッシュメモリの読み出しが可能となる。
更に、センスアンプの構成は、オフセット用の電流経路と制御部54を追加するのみで良く、また参照セルもメモリセルが1ビットデータを保持する場合と同じである。従って、チップサイズの増加を極めて少なく抑えることが出来る。
[第2の実施形態]
次に、この発明の第2の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態において、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路を一定とし、データ線DLの電位によって制御される電流経路のオフセット量を変えることによって第2基準レベルを得るものである。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、以下では第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。図16は、本実施形態に係るNOR型フラッシュメモリの備えるセンスアンプ50の構成の一部を示す回路図である。
図示するようにセンスアンプ50の差動増幅部52は、第1の実施形態で説明した図3の構成において、次の変形を行ったものである。まず、差動増幅部52におけるMOSトランジスタ81のゲートがVDDに接続される。従って、第1センス動作時及び第2センス動作時において、MOSトランジスタ81は常時オン状態とされる。
更に、nチャネルMOSトランジスタ84、85が追加される。MOSトランジスタ84は、ドレインがMOSトランジスタ75のソースに接続され、ソースがMOSトランジスタ85のドレインに接続され、ゲートに信号S2が入力される。MOSトランジスタ85は、ソースがMOSトランジスタ83のドレインに接続され、ゲートがデータ線DLに接続される。すなわち、データ線DLの電位に応じて電流を流す電流経路のオフセットとして、MOSトランジスタ84、85の電流経路が追加されている。
また制御部54は、図17に示す通りに信号S1、S2を発生する。図17は、第1、第2センス動作時における信号S1、S2を示す表である。図示するように制御部54は、第1センス動作時には信号S1を“H”レベル、信号S2を“L”レベルとする。第2センス動作時には、上位ビットが“0”であった場合には信号S1、S2を共に“L”レベルとし、下位ビットが“1”であった場合には信号S1、S2を共に“H”レベルとする。
次に、本実施形態に係るフラッシュメモリ10における、データの読み出し方法について、特に読み出し回路17のセンスアンプ50における動作に着目して、図18を用いて説明する。図18は、データの読み出し時における読み出し回路17のフローチャートである。
まず第1の実施形態と同様にステップS11までの処理を行う。引き続き、制御部54が信号S1、S2をそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ78がオン状態、MOSトランジスタ84がオフ状態となる。その結果、データ線DLの電位によって制御される電流経路は2本(MOSトランジスタ77による電流経路とMOSトランジスタ78、79による電流経路)となり、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路も2本(MOSトランジスタ80による電流経路とMOSトランジスタ81、82による電流経路)である。これにより、第1基準レベルが得られる(ステップS20)。第1基準レベルは、第1の実施形態で説明したとおりVDL(11)<VDL(10)<第1基準レベル<VDL(01)<VDL(00)である。そして、第1基準レベルを用いてデータの上位ビットが判別される(ステップS13)。
ステップS13の結果、上位ビットが“0”データであった場合(ステップS14、YES)、制御部54は信号S1、S2を共に“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ78、84はオフ状態となる(ステップS21)。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は1:2となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS16)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを上昇させたレベルであり、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
ステップS13の結果、上位ビットが“1”データであった場合(ステップS14、NO)、制御部54は信号S1、S2を共に“H”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ78、84はオン状態となる(ステップS22)。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は3:2となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS19)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを低下させたレベルであり、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
本実施形態に係る構成であっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
[第3の実施形態]
次に、この発明の第3の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態において、データ線DLの電位によって制御される電流経路を一定とし、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路のオフセット量を変えることによって第2基準レベルを得るものである。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので、以下では第1の実施形態と異なる点についてのみ説明する。図19は、本実施形態に係るNOR型フラッシュメモリの備えるセンスアンプ50の構成の一部を示す回路図である。
図示するようにセンスアンプ50の差動増幅部52は、第1の実施形態で説明した図3の構成において、次の変形を行ったものである。まず、差動増幅部52におけるMOSトランジスタ78のゲートがVDDに接続される。従って、第1センス動作時及び第2センス動作時において、MOSトランジスタ78は常時オン状態とされる。
更に、nチャネルMOSトランジスタ86、87が追加される。MOSトランジスタ86は、ドレインがMOSトランジスタ76のソースに接続され、ソースがMOSトランジスタ87のドレインに接続され、ゲートに信号S1が入力される。MOSトランジスタ87は、ソースがMOSトランジスタ83のドレインに接続され、ゲートがデータ線DLRに接続される。すなわち、参照データ線DLRの電位に応じて電流を流す電流経路のオフセットとして、MOSトランジスタ86、87の電流経路が追加されている。
また制御部54は、図20に示す通りに信号S1、S2を発生する。図20は、第1、第2センス動作時における信号S1、S2を示す表である。図示するように制御部54は、第1センス動作時には信号S1を“H”レベル、信号S2を“L”レベルとする。第2センス動作時には、上位ビットが“0”であった場合には信号S1、S2を共に“H”レベルとし、下位ビットが“1”であった場合には信号S1、S2を共に“L”レベルとする。
データの読み出し時におけるセンスアンプ50の動作は、第2の実施形態で説明した図18とほぼ同様であり、制御部54における制御方法が異なるのみである。すなわち、ステップS11の後、制御部54が信号S1、S2をそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ86がオン状態、MOSトランジスタ81がオフ状態となる。その結果、データ線DLの電位によって制御される電流経路は2本(MOSトランジスタ77による電流経路とMOSトランジスタ78、79による電流経路)であり、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路も2本(MOSトランジスタ80による電流経路とMOSトランジスタ86、87による電流経路)である。これにより、第1基準レベルが得られる(ステップS20)。そして、第1基準レベルを用いてデータの上位ビットが判別される(ステップS13)。
ステップS13の結果、上位ビットが“0”データであった場合(ステップS14、YES)、制御部54は信号S1、S2を共に“H”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ81、86はオン状態となる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は2:3となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS16)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを上昇させたレベルであり、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
ステップS13の結果、上位ビットが“1”データであった場合(ステップS14、NO)、制御部54は信号S1、S2を共に“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ81、86はオフ状態となる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は2:1となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS19)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを低下させたレベルであり、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
本実施形態に係る構成であっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
[第4の実施形態]
次に、この発明の第4の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態で説明したセンスアンプ50における差動増幅部52のゲート入力を、nチャネルMOSトランジスタからpチャネルMOSに置き換えたものである。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。図21は、本実施形態に係るNOR型フラッシュメモリの備えるセンスアンプ50の一部領域の回路図である。
図示するようにセンスアンプ50の差動増幅部52は、nチャネルMOSトランジスタ120〜124、pチャネルMOSトランジスタ125〜133、及びインバータ134〜136を備えている。インバータ134は、制御回路から与えられる信号SENを反転する。MOSトランジスタ120、121は、ソースが共にVSSに接続され、ゲートにインバータ134の出力(/SEN)が入力され、ドレインがそれぞれノードN3、N4に接続されている。以下、ノードN3、N4の電位をそれぞれVL、VRとする。
MOSトランジスタ122は、ソースがVSSに接続され、ドレインがノードN3に接続され、ゲートがMOSトランジスタ123のドレインに接続されている。MOSトランジスタ123は、ソースがVSSに接続され、ドレインがノードN4に接続され、ゲートがMOSトランジスタ122のドレインに接続されている。MOSトランジスタ125は、ドレインがMOSトランジスタ122のドレイン、すなわちMOSトランジスタ123のゲートに接続され、ゲートがMOSトランジスタ122のゲート、すなわちMOSトランジスタ123のドレインに接続されている。MOSトランジスタ126は、ドレインがMOSトランジスタ123のドレイン、すなわちMOSトランジスタ122のゲートに接続され、ゲートがMOSトランジスタ123のゲート、すなわちMOSトランジスタ122のドレインに接続されている。MOSトランジスタ124は、ゲートにインバータ134の出力が入力され、ソースまたはドレインのいずれか一方がMOSトランジスタ125のゲートに接続され、いずれか他方がMOSトランジスタ126のゲートに接続されている。
MOSトランジスタ127は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ125のソースに接続されている。MOSトランジスタ128は、ゲートに信号S1が入力され、ドレインがMOSトランジスタ125のソースに接続されている。MOSトランジスタ129は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ128のソースに接続されている。MOSトランジスタ130は、ゲートが参照データ線DLRに接続され、ドレインがMOSトランジスタ126のソースに接続されている。MOSトランジスタ131は、ゲートに信号S2が入力され、ドレインがMOSトランジスタ126のソースに接続されている。MOSトランジスタ132は、ゲートが参照データ線DLRに接続され、ドレインがMOSトランジスタ131のソースに接続されている。MOSトランジスタ133は、ゲートにインバータ134の出力が入力され、ドレインがMOSトランジスタ127、129、130、132のソースに接続され、ソースがVDDに接続されている。
インバータ135、136はそれぞれ、ノードN3、N4における電位VL、VRを反転させる。そしてインバータ135、136の出力が、出力部53におけるNANDゲート90、91にそれぞれ入力される。出力部53の構成は第1の実施形態と同様である。
すなわち、本実施形態に係る差動増幅部52は、第1ゲート(MOSトランジスタ127、129のゲート)にメモリセルMCから読み出されたデータが入力され、第2ゲート(MOSトランジスタ130、132のゲート)に参照セルから読み出された参照データが入力されるラッチ型差動アンプである。そして、第1ゲートの電位によって制御される電流経路の数と、第2ゲートの電位によって制御される電流経路の数とが、信号S1、S2によって制御される。つまり、MOSトランジスタ127、130の電流経路のそれぞれに対して、MOSトランジスタ128、129によって形成される電流経路とMOSトランジスタ131、132によって形成される電流経路とがオフセット用の電流経路として機能する。
また制御部54は、図22に示す通りに信号S1、S2を発生する。図22は、第1、第2センス動作時における信号S1、S2を示す表である。図示するように制御部54は、第1センス動作時には信号S1、S2を共に“H”レベルとする。第2センス動作時には、上位ビットが“0”であった場合には信号S1、S2をそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルとし、下位ビットが“1”であった場合には信号S1、S2をそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとする。
その他の構成は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
データの読み出し時におけるセンスアンプ50の動作は、第2の実施形態で説明した図18とほぼ同様であり、制御部54における制御方法が異なるのみである。すなわち、ステップS11の後、制御部54が信号S1、S2を共に“H”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ128、131がオフ状態となる。その結果、データ線DLの電位によって制御される電流経路は1本(MOSトランジスタ127による電流経路)であり、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路も1本(MOSトランジスタ130による電流経路)である。これにより、第1基準レベルが得られる(ステップS20)。そして、第1基準レベルを用いてデータの上位ビットが判別される(ステップS13)。
ステップS13の結果、上位ビットが“0”データであった場合(ステップS14、YES)、制御部54は信号S1、S2をそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ128がオン状態とされ、MOSトランジスタ131はオフ状態とされる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は2:1となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS16)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを上昇させたレベルであり、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
ステップS13の結果、上位ビットが“1”データであった場合(ステップS14、NO)、制御部54は信号S1、S2をそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ128はオフ状態となり、MOSトランジスタ131はオン状態となる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は1:2となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS19)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを低下させたレベルであり、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
本実施形態に係る構成であっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、制御部54は、図22の代わりに図23に示すようにして信号S1、S2を制御しても良い。図23は、第1、第2センス動作時における信号S1、S2を示す表である。図示するように制御部54は、第1センス動作時には信号S1、S2を共に“L”レベルとする。第2センス動作時には、上位ビットが“0”であった場合には信号S1、S2をそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルとし、下位ビットが“1”であった場合には信号S1、S2をそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとする。
この方法によっても、第2センス動作時における、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率を、上位ビット=“0”の場合には2:1に、上位ビット=“1”の場合には1:2に出来る。
[第5の実施形態]
次に、この発明の第5の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。本実施形態は、上記第4の実施形態において、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路を一定とし、データ線DLの電位によって制御される電流経路のオフセット量を変えることによって第2基準レベルを得るものである。その他の構成は第4の実施形態と同様である。換言すれば、本実施形態は上記第2の実施形態において、差動増幅部52のゲート入力部を、nチャネルMOSトランジスタからpチャネルMOSトランジスタに置き換えたものである。図24は、本実施形態に係るNOR型フラッシュメモリの備えるセンスアンプ50の構成の一部を示す回路図である。
図示するようにセンスアンプ50の差動増幅部52は、第4の実施形態で説明した図21の構成において、次の変形を行ったものである。まず、差動増幅部52におけるMOSトランジスタ131のゲートがVSSに接続される。従って、第1センス動作時及び第2センス動作時において、MOSトランジスタ131は常時オン状態とされる。
更に、pチャネルMOSトランジスタ137、138が追加される。MOSトランジスタ137は、ドレインがMOSトランジスタ125のソースに接続され、ソースがMOSトランジスタ138のドレインに接続され、ゲートに信号S2が入力される。MOSトランジスタ138は、ソースがMOSトランジスタ133のドレインに接続され、ゲートがデータ線DLに接続される。すなわち、データ線DLの電位に応じて電流を流す電流経路のオフセットとして、MOSトランジスタ137、138の電流経路が追加されている。
また制御部54は、第2の実施形態で説明した図17に示す通りに信号S1、S2を発生する。すなわち制御部54は、第1センス動作時には信号S1を“H”レベル、信号S2を“L”レベルとする。第2センス動作時には、上位ビットが“0”であった場合には信号S1、S2を共に“L”レベルとし、下位ビットが“1”であった場合には信号S1、S2を共に“H”レベルとする。
データの読み出し時におけるセンスアンプ50の動作は、第2の実施形態で説明した図18とほぼ同様であり、制御部54における制御方法が異なるのみである。すなわち、ステップS11の後、制御部54が信号S1、S2をそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ128がオフ状態となり、MOSトランジスタ137がオン状態となる。その結果、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は2:2となり、第1基準レベルが得られる(ステップS20)。そして、第1基準レベルを用いてデータの上位ビットが判別される(ステップS13)。
ステップS13の結果、上位ビットが“0”データであった場合(ステップS14、YES)、制御部54は信号S1、S2を共に“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ128、137がオン状態とされる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は3:2となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS16)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを上昇させたレベルであり、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
ステップS13の結果、上位ビットが“1”データであった場合(ステップS14、NO)、制御部54は信号S1、S2を共に“H”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ128、137はオフ状態となる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は1:2となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS19)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを低下させたレベルであり、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
本実施形態に係る構成であっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
[第6の実施形態]
次に、この発明の第6の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。本実施形態は、上記第4の実施形態において、データ線DLの電位によって制御される電流経路を一定とし、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路のオフセット量を変えることによって第2基準レベルを得るものである。その他の構成は第4の実施形態と同様である。換言すれば、本実施形態は上記第3の実施形態において、差動増幅部52のゲート入力部を、nチャネルMOSトランジスタからpチャネルMOSトランジスタに置き換えたものである。図25は、本実施形態に係るNOR型フラッシュメモリの備えるセンスアンプ50の構成の一部を示す回路図である。
図示するようにセンスアンプ50の差動増幅部52は、第4の実施形態で説明した図21の構成において、次の変形を行ったものである。まず、差動増幅部52におけるMOSトランジスタ128のゲートがVSSに接続される。従って、第1センス動作時及び第2センス動作時において、MOSトランジスタ128は常時オン状態とされる。
更に、pチャネルMOSトランジスタ139、140が追加される。MOSトランジスタ139は、ドレインがMOSトランジスタ126のソースに接続され、ソースがMOSトランジスタ140のドレインに接続され、ゲートに信号S1が入力される。MOSトランジスタ140は、ソースがMOSトランジスタ133のドレインに接続され、ゲートが参照データ線DLRに接続される。すなわち、参照データ線DLRの電位に応じて電流を流す電流経路のオフセットとして、MOSトランジスタ139、140の電流経路が追加されている。
また制御部54は、第3の実施形態で説明した図20に示す通りに信号S1、S2を発生する。すなわち制御部54は、第1センス動作時には信号S1を“H”レベル、信号S2を“L”レベルとする。第2センス動作時には、上位ビットが“0”であった場合には信号S1、S2を共に“H”レベルとし、下位ビットが“1”であった場合には信号S1、S2を共に“L”レベルとする。
データの読み出し時におけるセンスアンプ50の動作は、第2の実施形態で説明した図18とほぼ同様であり、制御部54における制御方法が異なるのみである。すなわち、ステップS11の後、制御部54が信号S1、S2をそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ139がオフ状態となり、MOSトランジスタ131がオン状態となる。その結果、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は2:2となり、第1基準レベルが得られる(ステップS20)。そして、第1基準レベルを用いてデータの上位ビットが判別される(ステップS13)。
ステップS13の結果、上位ビットが“0”データであった場合(ステップS14、YES)、制御部54は信号S1、S2を共に“H”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ139、131がオフ状態とされる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は2:1となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS16)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを上昇させたレベルであり、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
ステップS13の結果、上位ビットが“1”データであった場合(ステップS14、NO)、制御部54は信号S1、S2を共に“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ139、131はオン状態となる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は2:3となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS19)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを低下させたレベルであり、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
本実施形態に係る構成であっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
[第7の実施形態]
次に、この発明の第7の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。本実施形態は上記第1の実施形態において、センスアンプ50にカレントミラー型差動アンプを適用したものである。従って、センスアンプ50以外の構成については第1の実施形態と同様であるので、その説明は省略する。図26は、本実施形態に係るNOR型フラッシュメモリの備えるセンスアンプ50の回路図である。
図示するようにセンスアンプ50は、プリチャージ回路51、差動増幅部52、出力部53、及び制御部54を備えている。プリチャージ回路51は、第1の実施形態で説明した図3と同様である。
差動増幅部52は、pチャネルMOSトランジスタ150〜152、nチャネルMOSトランジスタ153〜165、及びインバータ166〜168を備えている。インバータ166は、図示せぬ制御回路から与えられるセンスアンプイネーブル信号SENを反転する。MOSトランジスタ150は、ソースがVDDに接続され、ゲートにインバータ166の出力が入力される。MOSトランジスタ151は、ソースがMOSトランジスタ150のドレインに接続され、ゲートがMOSトランジスタ152のゲートに接続されている。MOSトランジスタ152は、ソースがMOSトランジスタ150のドレインに接続され、ゲートとドレインが共通接続されている。
MOSトランジスタ153は、ゲートにVDDが与えられ、ドレインがMOSトランジスタ151のドレインに接続される。MOSトランジスタ154は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ153のソースに接続される。MOSトランジスタ155は、ゲートに制御部54から与えられる信号S3が入力され、ドレインがMOSトランジスタ151のドレインに接続される。MOSトランジスタ156は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ155のソースに接続される。MOSトランジスタ157は、ゲートに制御部54から与えられる信号S4が入力され、ドレインがMOSトランジスタ151のドレインに接続される。MOSトランジスタ158は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ157のソースに接続される。以下、MOSトランジスタ151のドレインと、MOSトランジスタ153、155、157のドレインとの接続ノードをノードN5と呼ぶ。
MOSトランジスタ159、161は、ゲートにVDDが与えられ、ドレインがMOSトランジスタ152のドレインに接続される。MOSトランジスタ160、162は、ゲートが参照データ線DLRに接続され、ドレインがそれぞれMOSトランジスタ159、161のソースに接続される。MOSトランジスタ163は、ゲートにVSSが与えられ、ドレインがMOSトランジスタ152のドレインに接続される。MOSトランジスタ164は、ゲートが参照データ線DLRに接続され、ドレインがMOSトランジスタ163のソースに接続される。
MOSトランジスタ165は、ゲートに信号SENが入力され、ドレインがMOSトランジスタ154、156、158、160、162、164のソースに接続され、ソースにVSSが与えられる。インバータ167は、ノードN5の電位を反転し、インバータ168はインバータ167の出力を反転させる。
すなわち、本実施形態に係る差動増幅部52は、第1ゲート(MOSトランジスタ154、156、158のゲート)にメモリセルMCから読み出されたデータが入力され、第2ゲート(MOSトランジスタ160、162のゲート)に参照セルから読み出された参照データが入力されるカレントミラー型差動アンプである。そして、第1ゲートの電位によって制御される電流経路の数が、信号S3、S4によって制御される。つまり、MOSトランジスタ153、154の電流経路に対して、MOSトランジスタ155、156によって形成される電流経路とMOSトランジスタ157、158によって形成される電流経路とがオフセット用の電流経路として機能する。
出力部53は、インバータ169〜176、NORゲート178、179、及びnチャネルMOSトランジスタ180〜187を備えている。
インバータ169は、信号SENを反転させる。インバータ170は、図示せぬ制御回路から与えられる信号SEN1stを反転させる。信号SEN1stは、第1センス動作時に“H”レベルとされ、第2センス動作時に“L”レベルとされる信号である。NORゲート178は、インバータ169の出力とインバータ170の出力とのNOR演算を行う。NORゲート179は、インバータ169の出力と信号SEN1stとのNOR演算を行う。
MOSトランジスタ180、182は、それぞれゲートがインバータ167、168の出力ノードに接続され、それぞれソースがMOSトランジスタ181、183のドレインに接続されている。MOSトランジスタ181、183は、ゲートがNORゲート178の出力ノードに接続され、ソースがVSSに接続されている。インバータ171は、入力ノードがMOSトランジスタ182のドレインに接続され、出力ノードがMOSトランジスタ180のドレインに接続されている。インバータ172は、入力ノードがMOSトランジスタ180のドレイン、すなわちインバータ171の出力ノードに接続され、出力ノードがMOSトランジスタ182のドレイン、すなわちインバータ171の入力ノードに接続されている。
インバータ175は、インバータ172の出力ノードとインバータ171の入力ノードとの接続ノードにおけるレベルを反転させて、反転結果を信号SOUT1(上位ビットデータ)として出力する。
MOSトランジスタ184、186は、それぞれゲートがインバータ167、168の出力ノードに接続され、それぞれソースがMOSトランジスタ185、187のドレインに接続されている。MOSトランジスタ185、187は、ゲートがNORゲート179の出力ノードに接続され、ソースがVSSに接続されている。インバータ173は、入力ノードがMOSトランジスタ186のドレインに接続され、出力ノードがMOSトランジスタ184のドレインに接続されている。インバータ174は、入力ノードがMOSトランジスタ184のドレイン、すなわちインバータ173の出力ノードに接続され、出力ノードがMOSトランジスタ186のドレイン、すなわちインバータ173の入力ノードに接続されている。
インバータ176は、インバータ174の出力ノードとインバータ173の入力ノードとの接続ノードにおけるレベルを反転させて、反転結果を信号SOUT2(下位ビットデータ)として出力する。
次に制御部54について説明する。制御部54は、インバータ188、NANDゲート189、NORゲート190を備えている。インバータ188は、信号SEN1stを反転させる。NANDゲート189は、インバータ188の出力と、出力部53におけるインバータ172の出力とのNAND演算を行い、演算結果を信号S3として差動増幅部52へ出力する。NORゲート190は、信号SEN1stと、出力部53におけるインバータ172の出力とのNAND演算を行い、演算結果を信号S4として差動増幅部52へ出力する。
次に、本実施形態に係るフラッシュメモリ10における、データの読み出し方法について、特に読み出し回路17における動作に着目して、図27及び図28を用いて説明する。図27は、データの読み出し時における読み出し回路17のフローチャートであり、図28はカラム選択線CSL、CSLR、信号BLRST、ワード線WL、WLR、信号SEN1st、及び信号SENの電位変化、ビット線BL及び参照ビット線BLRにおける電流の変化、並びにデータ線DL及び参照データ線DLRの電位変化を示すタイミングチャートである。
まず読み出しにあたって、データ線DL及び参照データ線DLRが、所定のプリチャージ電位にプリチャージされる。また、時刻t0においてカラム選択線CSL、CSLRに“H”レベルが与えられ、信号SENが“H”レベルとされる。更に時刻t1において、信号BLRSTが“L”レベルとされ、信号SEN1stが“H”レベルとされる。
そして、メモリセルMCからビット線BLにデータが読み出され、参照セル31から参照ビット線BLRに参照データが読み出される(ステップS10、時刻t2)。
その後、データ線DLの電位が安定するのを待つ(ステップS11、時刻t2〜t3)。また差動増幅部52は、メモリセル側のオフセット用の電流経路を1つだけオンさせて、第1基準レベルを得る(ステップS30)。すなわち、信号SEN1stが“H”レベルとされているため、信号S3、S4がそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとなる。これにより、MOSトランジスタ155がオン状態、MOSトランジスタ157がオフ状態となる。つまり、オフセット用の2本の電流経路(MOSトランジスタ155、156による電流経路と、MOSトランジスタ157、158による電流経路)のうちの、1本のみが有効とされる。この結果、データ線DLによって制御される電流経路の数と、参照データ線DLRによって制御される電流経路の数との比率は2:2となる。そして、データ線DL安定化期間が経過した後、第1センス動作が行われる。
第1センス動作が終了すると、制御回路は信号SEN1stを“L”レベルとする。そして、ステップS13の結果、上位ビットが“0”データであった場合(ステップS14、YES)、制御部54は信号S3、S4を共に“L”レベルとする。これにより、オフセット用の2つの電流経路が共に無効とされ、データ線DLによって制御される電流経路の数と、参照データ線DLRによって制御される電流経路の数との比率は1:2となる(ステップS31)。その結果、差動増幅部52は第1基準レベルよりも高いレベルの第2基準レベルを得る(ステップS16)。この第2基準レベルは、図7においてVDL(00)とVDL(01)との間の電位である。そして、差動増幅部52は第2基準レベルを基準にして、データの上位ビットを判定する(ステップS17、時刻t5〜t6)。
ステップS14の結果、上位ビットが“1”データであった場合(ステップS14、NO)、制御部54は信号S3、S4を共に“H”レベルとする。これにより、オフセット用の2つの電流経路が共に有効とされ、データ線DLによって制御される電流経路の数と、参照データ線DLRによって制御される電流経路の数との比率は3:2となる(ステップS32)。その結果、差動増幅部52は第1基準レベルよりも低いレベルの第2基準レベルを得る(ステップS19)。この第2基準レベルは、図7においてVDL(11)とVDL(10)との間の電位である。そして、差動増幅部52は第2基準レベルを基準にして、データの上位ビットを判定する(ステップS17、時刻t5〜t6)。
上記読み出し動作時の読み出し回路17の動作の具体例について、以下説明する。
<“00”データ読み出し>
図29は読み出し回路17の回路図であり、“00”データを読み出す際の第1センス動作時の様子を示している。図示するように、ビット線BLには電流Icell(00)が流れ、データ線DLの電位はVDL(00)である。また参照ビット線BLRには電流Ircell=Icell(11)/2が流れ、参照データ線DLRの電位はVDLR=VDL(00)/2である。更に、信号SEN=“H”レベル、信号SEN1st=“H”レベルである。
従って、制御部54におけるNANDゲート189及びNORゲート190の出力(信号S1、S2)はそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとなる。よって、MOSトランジスタ155、157はそれぞれオン状態及びオフ状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルを得る。第1基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<第1基準レベル<VDL(01)<VDL(00)である。すると、VDL(00)>>VDLR、すなわちVDL(00)>第1基準レベルであるから、ノードN5は“L”レベルとなる。
出力部53においては、NORゲート178、179の出力が、それぞれ“H”レベル及び“L”レベルとなる。そのため、MOSトランジスタ181、183はオン状態となり、MOSトランジスタ185、187はオフ状態となる。つまり、インバータ171、172の形成するラッチ回路が、データ取り込み可能な状態とされる。
そしてインバータ167、168の出力がそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルであるので、MOSトランジスタ180がオン状態となり、MOSトランジスタ182がオフ状態となる。その結果、インバータ171の入力ノード及びインバータ172の出力ノードの電位は“H”レベルとなる。その結果、信号SOUT1=“L”レベルとなり、上位ビット=“0”が出力される。
次に第2センス動作を行って下位ビットの判定を行う。図30は読み出し回路17の回路図であり、“00”データを読み出す際の第2センス動作時の様子を示している。図示するように、第2センス動作を行うにあたって信号SEN1stは“L”レベルとされる。また、インバータ172の出力ノードは“H”レベルである。
そのため、制御部54においてNANDゲート189及びNORゲート190の出力は共に“L”レベルとされる。よって、差動増幅部52においてMOSトランジスタ156、158はオフ状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルよりも高い第2基準レベルを得る。第2基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)である。すると、VDL(00)>>VDLRでありVDL(00)>第2基準レベルであるから、MOSトランジスタ153、154に流れる電流は、MOSトランジスタ159、160に流れる電流とMOSトランジスタ161、162に流れる電流との総和よりも大きい。従って、ノードN5は“L”レベルを維持する。
出力部53においては、NORゲート178、179の出力が、それぞれ“L”レベル及び“H”レベルとなる。そのため、MOSトランジスタ181、183はオフ状態となり、MOSトランジスタ185、187はオン状態となる。つまり、インバータ173、174の形成するラッチ回路が、データ取り込み可能な状態とされる。
そしてインバータ167、168の出力がそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルであるので、MOSトランジスタ184がオン状態となり、MOSトランジスタ186がオフ状態となる。その結果、インバータ173の入力ノード及びインバータ174の出力ノードの電位は“H”レベルとなる。その結果、信号SOUT2=“L”レベルとなり、上位ビット=“0”が出力される。
以上の動作によって、上位ビット=“0”、下位ビット=“0”が判別される。
<“11”データ読み出し>
図31は読み出し回路17の回路図であり、“11”データを読み出す際の第1センス動作時の様子を示している。図示するように、ビット線BLには電流Icell(11)が流れ、データ線DLの電位はVDL(11)である。
第1センス動作時には、図29の場合と同様にNANDゲート189及びNORゲート190の出力(信号S3、S4)はそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとなる。よって、差動増幅部52は第1基準レベルを得る。第1基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<第1基準レベル<VDL(01)<VDL(00)である。すると、VDL(11)<<VDLR、すなわちVDL(11)<<第1基準レベルであるから、ノードN5は“H”レベルとなる。
出力部53においては、NORゲート178、179の出力が、それぞれ“H”レベル及び“L”レベルとなる。そのため、インバータ171、172の形成するラッチ回路が、データ取り込み可能な状態とされる。そしてインバータ167、168の出力がそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルであるので、MOSトランジスタ182がオン状態となり、MOSトランジスタ180がオフ状態となる。その結果、インバータ171の入力ノード及びインバータ172の出力ノードの電位は“L”レベルとなる。その結果、信号SOUT1=“H”レベルとなり、上位ビット=“1”が出力される。
次に第2センス動作を行って下位ビットの判定を行う。図32は読み出し回路17の回路図であり、“11”データを読み出す際の第2センス動作時の様子を示している。図示するように、第2センス動作を行うにあたって信号SEN1stは“L”レベルとされる。また、インバータ172の出力ノードは“L”レベルである。
そのため、制御部54においてNANDゲート189及びNORゲート190の出力は共に“H”レベルとされる。よって、差動増幅部52においてMOSトランジスタ156、158は共にオン状態となる。すなわち、差動増幅部52は第1基準レベルよりも低い第2基準レベルを得る。第2基準レベルは、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)である。すると、VDL(11)<<VDLRでありVDL(11)<第2基準レベルであるから、ノードN5は“H”レベルを維持する。
出力部53においては、NORゲート178、179の出力が、それぞれ“L”レベル及び“H”レベルとなる。よって、インバータ173、174の形成するラッチ回路が、データ取り込み可能な状態とされる。そしてインバータ167、168の出力がそれぞれ“L”レベル及び“H”レベルであるので、MOSトランジスタ186がオン状態となり、MOSトランジスタ184がオフ状態となる。その結果、インバータ173の入力ノード及びインバータ174の出力ノードの電位は“L”レベルとなる。よって、信号SOUT2=“H”レベルとなり、上位ビット=“1”が出力される。
以上の動作によって、上位ビット=“1”、下位ビット=“1”が判別される。
本実施形態に係る構成であっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
[第8の実施形態]
次に、この発明の第8の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。本実施形態は、上記第7の実施形態で説明したセンスアンプ50における差動増幅部52のゲート入力を、nチャネルMOSトランジスタからpチャネルMOSに置き換えたものである。その他の構成は第7の実施形態と同様であるので説明は省略する。図33は、本実施形態に係るNOR型フラッシュメモリの備えるセンスアンプ50の一部領域の回路図である。
図示するように差動増幅部52は、nチャネルMOSトランジスタ200〜202、pチャネルMOSトランジスタ203〜210、及びインバータ212〜214を備えている。インバータ212は信号SENを反転する。MOSトランジスタ200は、ソースがVSSに接続され、ゲートに信号SENが入力される。MOSトランジスタ201は、ソースがMOSトランジスタ200のドレインに接続され、ゲートがMOSトランジスタ202のゲートに接続されている。MOSトランジスタ202は、ソースがMOSトランジスタ200のドレインに接続され、ゲートとドレインが共通接続されている。
MOSトランジスタ203は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ201のドレインに接続される。MOSトランジスタ204は、ゲートに制御部54から与えられる信号S3が入力され、ドレインがMOSトランジスタ201のドレインに接続される。MOSトランジスタ205は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ204のソースに接続される。MOSトランジスタ206は、ゲートに制御部54から与えられる信号S4が入力され、ドレインがMOSトランジスタ201のドレインに接続される。MOSトランジスタ207は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ206のソースに接続される。以下、MOSトランジスタ201のドレインと、MOSトランジスタ203、204、206のドレインとの接続ノードをノードN6と呼ぶ。
MOSトランジスタ208は、ゲートに参照データ線DLRが接続され、ドレインがMOSトランジスタ202のドレインに接続される。MOSトランジスタ209は、ゲートがVSSに接続され、ドレインがMOSトランジスタ202のドレインに接続される。MOSトランジスタ210は、ゲートに参照データ線DLRが接続され、ドレインがMOSトランジスタ209のソースに接続される。
MOSトランジスタ211は、ゲートにインバータ212の出力が入力され、ドレインがMOSトランジスタ203、205、207、208、210のソースに接続され、ソースにVDDが与えられる。インバータ213は、ノードN6の電位を反転し、インバータ214はインバータ213の出力を反転させる。そして、インバータ213の出力は、MOSトランジスタ180、184のゲートに入力され、インバータ214の出力は、MOSトランジスタ182、186のゲートに入力される。
すなわち、本実施形態に係る差動増幅部52は、第1ゲート(MOSトランジスタ203、205、207のゲート)にメモリセルMCから読み出されたデータが入力され、第2ゲート(MOSトランジスタ208、210のゲート)に参照セルから読み出された参照データが入力されるカレントミラー型差動アンプである。そして、第1ゲートの電位によって制御される電流経路の数が、信号S3、S4によって制御される。つまり、MOSトランジスタ203の電流経路に対して、MOSトランジスタ204、205によって形成される電流経路とMOSトランジスタ206、207によって形成される電流経路とがオフセット用の電流経路として機能する。
その他の構成は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。
データの読み出し時におけるセンスアンプ50の動作は、第6の実施形態で説明した図27とほぼ同様であり、制御部54における制御方法が異なるのみである。すなわち、ステップS11の後、制御部54が信号S3、S4をそれぞれ“H”レベル及び“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ204がオフ状態となり、MOSトランジスタ206がオン状態となる。これにより、第1基準レベルが得られる(ステップS20)。そして、第1基準レベルを用いてデータの上位ビットが判別される(ステップS13)。
ステップS13の結果、上位ビットが“0”データであった場合(ステップS14、YES)、制御部54は信号S3、S4を共に“L”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ204、206がオン状態とされる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は3:2となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS16)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを上昇させたレベルであり、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
ステップS13の結果、上位ビットが“1”データであった場合(ステップS14、NO)、制御部54は信号S3、S4を共に“H”レベルとする。これにより、MOSトランジスタ204、206はオフ状態となる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は1:2となる。これにより、第2基準レベルが得られる(ステップS19)。この第2基準レベルは、第1基準レベルを低下させたレベルであり、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)なる関係がある。そして、この第2基準レベルを用いて下位ビットが判別される(ステップS17)。
本実施形態に係る構成であっても、上記第1の実施形態と同様の効果が得られる。
[第9の実施形態]
次に、この発明の第9の実施形態に係る半導体記憶装置について説明する。本実施形態は、上記第1の実施形態において、参照セル31の閾値を変更すると共に、それに伴ってセンスアンプ50の差動増幅部52の構成を変更したものである。その他の構成は第1の実施形態と同様であるので説明は省略する。図34は、本実施形態に係る参照セル31の閾値分布を示すグラフである。
図示するように、本実施形態に係る参照セル31の保持する参照データは“11”データに等しく、参照セル31の閾値電圧は、“11”データを保持するメモリセルMCの閾値電圧に等しい。つまり、参照セル31の閾値電圧Vthは、0V<Vth<Vth0である。従って、参照データが読み出された際に参照ビット線BLRに流れる電流は、Ircell=Icell(11)である。但しIrcellは、Icell(10)の分布の中央の値より小さい値であれば良い。より好ましくは、Icell(01)の分布の最小値より低い値である。または、IrcellはIcell(11)の分布内に含まれる値である。
また、参照データが読み出された際に参照データ線DLRに発生する電圧は、VDLR=VDL(11)である。但しVDLRは、VDL(10)の分布の中央の値より小さい値であれば良い。より好ましくは、VDL(01)の分布の最小値より低い値である。または、VDLRはVDL(11)の分布内に含まれる値である。
図35は、本実施形態に係るセンスアンプ50の備える差動増幅部52の回路図である。図示するように差動増幅部52は、第1の実施形態で説明した図3の構成において、MOSトランジスタ220〜223を更に備えている。
MOSトランジスタ220は、ゲートにVDDが与えられ、ドレインがMOSトランジスタ75のドレインに接続されている。MOSトランジスタ221は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ220のソースに接続され、ソースがMOSトランジスタ83のドレインに接続されている。MOSトランジスタ222は、ゲートに信号S2が与えられ、ドレインがMOSトランジスタ75のドレインに接続されている。MOSトランジスタ223は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ222のソースに接続され、ソースがMOSトランジスタ83のドレインに接続されている。また、MOSトランジスタ81のゲートには、制御部54から与えられる信号S3が入力される。
制御部54は、図36に示す通りに信号S1〜S3を発生する。図36は、第1、第2センス動作時における信号S1〜S3を示す表である。図示するように制御部54は、第1センス動作時には信号S1〜S3を全て“H”レベルとする。第2センス動作時には、上位ビットが“0”であった場合には信号S1、S2を共に“H”レベルとし、信号S3を“L”レベルとする。下位ビットが“1”であった場合には信号S1、S3を共に“H”レベルとし、信号S2を“L”レベルとする。
従って、第1センス動作時にはMOSトランジスタ78、222、81がオン状態となる。すなわち、データ線DLの電位によって制御される電流経路は、MOSトランジスタ77による電流経路、MOSトランジスタ78、79による電流経路、MOSトランジスタ220、221による電流経路、及びMOSトランジスタ222、223による電流経路の4つである。他方、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路は、MOSトランジスタ80による電流経路と、MOSトランジスタ81、82による電流経路の2つである。つまり、電流経路の比率は4:2となる。これにより、VDLR=VDL(11)であるが、差動増幅部52の第1基準レベルはVDL(11)<VDL(10)<第1基準レベル<VDL(01)<VDL(00)となる。つまり、第1の実施形態の場合に比べて本実施形態のIrcellは2倍であるから、参照セル側の電流経路をメモリセル側の電流経路の1/2とすることで、第1基準レベルが得られる。
第2センス動作時には、上位ビットが“0”である場合、MOSトランジスタ78、222がオン状態とされ、MOSトランジスタ81がオフ状態とされる。すなわち、第1センス動作時に比べて、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路が1本減少するから、その比率は4:1となる。これにより、差動増幅部52の第2基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)となる。
第2センス動作時には、上位ビットが“1”である場合、MOSトランジスタ78、81がオン状態とされ、MOSトランジスタ222がオフ状態とされる。すなわち、第1センス動作時に比べて、データ線DLの電位によって制御される電流経路が1本減少するから、その比率は3:2となる。これにより、差動増幅部52の第2基準レベルは、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)となる。
本実施形態に係る構成であると、上記第1の実施形態で説明した(1)の効果に加えて、下記(2)の効果を併せて得られる。
(2)読み出し動作信頼性を向上出来る。
参照セル31は、そのサイズが縮小されるに従って、駆動可能な電流量も減少する。つまり、Ircellの絶対値が小さくなる。そして、Ircellが小さくなると、データの誤判定が起こりやすくなる。しかし本実施形態であると、上記第1の実施形態に比べて2倍の大きさのIrcellを参照データ線DLRに流すことが出来る。従って、データの誤判定の発生を抑制し、読み出し動作の信頼性を向上出来る。
なお、本実施形態では上記第1の実施形態で説明した構成において、IrcellをIrcell(11)にした場合について説明したが、勿論、第2乃至第8の実施形態に係る構成についても適用可能である。図37は、一例として第2の実施形態に適用した場合の、センスアンプ50の差動増幅部52の回路図である。
図示するように差動増幅部52は、第2の実施形態で説明した図16の構成において、MOSトランジスタ220、221、224、225を更に備えている。MOSトランジスタ220は、ゲートにVDDが与えられ、ドレインがMOSトランジスタ75のドレインに接続されている。MOSトランジスタ221は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ220のソースに接続され、ソースがMOSトランジスタ83のドレインに接続されている。MOSトランジスタ224は、ゲートにVDDが与えられ、ドレインがMOSトランジスタ75のドレインに接続されている。MOSトランジスタ225は、ゲートがデータ線DLに接続され、ドレインがMOSトランジスタ224のソースに接続され、ソースがMOSトランジスタ83のドレインに接続されている。制御部54は、第3の実施形態で説明した図20に示す通りに信号S1、S2を発生する。
従って、第1センス動作時には、データ線DLの電位によって制御される電流経路と、参照データ線DLRの電位によって制御される電流経路との比率は4:2となる。これにより、差動増幅部52の第1基準レベルはVDL(11)<VDL(10)<第1基準レベル<VDL(01)<VDL(00)となる。
第2センス動作時には、上位ビットが“0”である場合、電流経路の比率は5:2となる。これにより、差動増幅部52の第2基準レベルは、VDL(11)<VDL(10)<VDL(01)<第2基準レベル<VDL(00)となる。第2センス動作時には、上位ビットが“1”である場合、電流経路の比率は3:2となる。これにより、差動増幅部52の第2基準レベルは、VDL(11)<第2基準レベル<VDL(10)<VDL(01)<VDL(00)となる。
以上のように、この発明の第1乃至第9の実施形態に係るフラッシュメモリであると、差動増幅部52は、参照セル31から読み出された参照データを基準にして得られる第1基準レベルと、この第1基準レベルを内部において上昇または下降させて得た第2基準レベルとを用いて、データの判別を行っている。より具体的には、第1基準レベルを用いて2ビットデータのうちの上位ビットを判別し、第2基準レベルを用いて下位ビットを判別している。
また参照セル31の閾値電圧は、“10”データを保持するメモリセルMCの閾値電圧と“01”データを有するメモリセルMCの閾値電圧との間の値であっても良いし、“11”データを保持するメモリセルMCの閾値電圧と同じであっても良い。
そして、第2基準レベルを得る方法としては、例えば以下の手法が挙げられる。つまり、センスアンプは、第1ゲートにデータが入力され、第2ゲートに参照データが入力されるラッチ型差動アンプを備え、且つ第1ゲートの電位によって制御される電流経路と、第2ゲートによって制御される電流経路との少なくともいずれか一方を増減させる。または、センスアンプは、第1ゲートにデータが入力され、第2ゲートに参照データが入力されるカレントミラー型アンプを備え、且つ第1ゲートの電位によって制御される電流経路を増減させる。
上記構成とすることで、参照データ線DLRの電位を変更することなく、2ビット以上のデータを判別することが出来、フラッシュメモリの動作速度を向上出来る。
なお、上記実施形態ではメモリセルの各々が2ビットデータを保持する場合について説明した。しかし、3ビット以上のデータを保持する場合にも適用出来ることは言うまでもない。図38は、メモリセルMCの閾値分布を示すグラフである。
図示するようにメモリセルMCは、閾値電圧の低い順に“111”、“110”、“101”、“100”、“011”、“010”、“001”、“000”の8値のデータを保持可能である。この際、まず第1センス動作において最上位ビットを判別し、第2センス動作において中位ビットを判別し、第3センス動作において最下位ビットを判別する。そして、第1センス動作時には第1基準レベルをVth3に設定して、最上位ビットが“0”であるか“1”であるかを判別する。第2センス動作は、最上位ビットが“0”である場合には第2基準レベルをVth5に設定し、最上位ビットが“1”である場合には第2基準レベルをVth1に設定して行う。第3センス動作は、最上位ビット及び中位ビットが“0”である場合には第3基準レベルをVth6に設定し、最上位ビットが“0”で中位ビットが“1”である場合には第3基準レベルをVth4に設定して行う。また最上位ビット及び中位ビットが“1”である場合には第3基準レベルをVth0に設定し、最上位ビットが“1”で中位ビットが“0”である場合には第3基準レベルをVth2に設定して行う。
参照セル31の閾値電圧は、“100”データを保持するメモリセルMCの閾値分布の中央値と、“011”データを保持するメモリセルMCの閾値分布の中央値との間の値(Vth3付近)とされる。すなわち、メモリセルMCがm値(mは4以上の自然数)のデータを保持可能な場合、参照データを読み出すことによって参照データ線DLRに発生する電位は、閾値電圧が最も低いデータ(8値の場合には“111”)から(m/2)番目に高いデータ(8値の場合には“100”)を読み出した際にデータ線DLに発生する電位分布の中央値と、((m/2)+1)番目に高いデータ(8値の場合には“011”)を読み出した際にデータ線DLに発生する電位分布の中央値との間の値とされる。
また、上記実施形態ではNOR型フラッシュメモリを例に挙げて説明したが、例えばNAND型フラッシュメモリや、NAND型フラッシュメモリの構成においてメモリセルトランジスタの数を1個とした3Tr−NAND型フラッシュメモリ、また3Tr−NAND型フラッシュメモリの構成においてビット線側の選択トランジスタを廃した2Trフラッシュメモリ等にも適用出来る。
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせにより種々の発明が抽出されうる。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題の欄で述べた課題が解決でき、発明の効果の欄で述べられている効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出されうる。
10…フラッシュメモリ、11…メモリセルアレイ、12…ロウデコーダ、13…カラムデコーダ、14…カラムゲート、15…ソース線ドライバ、16…書き込み回路、17…読み出し回路、20、21、32、40、75〜87、98〜101、120〜124、153〜165、180〜187、200〜202、220〜225…nチャネルMOSトランジスタ、30…参照電位発生回路、31…参照セル、50…センスアンプ、51…プリチャージ回路、52…差動増幅部、53…出力部、54…制御部、60、61、70〜74、127〜133、150〜152、203〜211…pチャネルMOSトランジスタ、90、91、110、111、189…NANDゲート、92〜97、134〜140、166〜176、188、212〜214…インバータ、178、179、190…NORゲート