JP4140799B2 - 電子写真感光体とそれを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ - Google Patents
電子写真感光体とそれを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジ Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体とそれを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタル信号処理されたデータを書き込むため、感光体上にドット光露光して静電潜像を形成し、トナー現像により画像形成を行う電子写真画像形成方法が盛んに行われるようになった。
【0003】
このような方式に用いられる電子写真感光体には長期の使用にわたって安定で、かつ高い解像度を要する書き込みにも対応できることが要求される。通常、有機感光体は無機感光体に比べて材料選択の幅が広いために種々の露光光源への対応が容易で、かつ電位安定性に優れる点から特に高画質を要求されるプロセスには必須の技術とされてきた。
【0004】
一方で有機感光体は強度的に弱く、感光層の減耗や傷による欠陥が発生し易く、耐久性の面で改良が求められてきた。表面強度に優れる有機ケイ素化合物を架橋させて得られる表面保護層は、有機感光体(OPCということもある)で、従来問題とされてきた傷や摩耗に対する耐久性を向上させることができる技術として注目されている。
【0005】
例えば特開平9−319130号公報には表面層に硬化性の高分子とコロイダルシリカの縮合物を含有させる技術などが報告されている。しかしながら、硬化性の感光性塗布液は保存性に問題があり、経時で塗布液の状態が変化するため安定して均質な塗膜が得られないことから、塗布液の保存性の改良が求められてきた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、有機ケイ素化合物を含有する硬化性の感光体構成層塗布液の保存性を改良し、経時で塗布液の状態が変化すること無く安定した均質な塗膜が得られ、塗膜形成後は傷や摩耗に対する強度が極めて高い構成層を持つ電子写真感光体を得ること、及びそれを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記問題を解決するために検討したところ、シラン化合物の珪素原子に置換された有機残基に水酸基やアルコキシ基を含有させることで常温でのシラン化合物の反応を抑制でき、かつ加熱時には安定した縮合反応物が得られることを見出し本発明に至った。
【0008】
更にコロイダルシリカとの縮合反応によって得られた感光体構成層は表面強度を大幅に向上させることができた。
【0009】
即ち、本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることにより達成される。
【0010】
〔1〕 電荷輸送性能を有する構成単位を含むものであって、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する表面保護層を有する電子写真感光体において、該シロキサン系樹脂が下記一般式(2)で表される化合物、水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と、水酸基と電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物とを反応させて得られる架橋性化合物から形成されることを特徴とする電子写真感光体。
一般式(2)
(R1O)3Si(R3)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R3は水酸基またはアルコキシ基を含む全体の炭素数が3〜9の有機残基である。)
【0011】
〔2〕 前記水酸基と電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物が下記構造を有することを特徴とする〔1〕記載の電子写真感光体。
X−(R−OH) m m≧1
ここにおいて、
X:電荷輸送性能を有する構造単位
R:単結合子、各々置換又は非置換のアルキレン、アリーレン基
【0012】
〔3〕 前記電子写真感光体の表面保護層がコロイダルシリカを含有することを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の電子写真感光体。
【0014】
〔4〕 酸化防止剤を含有することを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか1項記載の電子写真感光体。
【0015】
〔5〕 前記酸化防止剤がヒンダードアミン系又はヒンダードフェノール系化合物であることを特徴とする〔4〕記載の電子写真感光体。
【0021】
〔6〕 〔1〕〜〔5〕の何れか1項記載の電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニングの工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【0022】
〔7〕 〔1〕〜〔5〕の何れか1項記載の電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニングの工程を有する工程を経て画像形成することを特徴とする画像形成装置。
【0023】
〔8〕 電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニングの工程を経る画像形成に使用するプロセスカートリッジにおいて、〔1〕〜〔5〕の何れか1項記載の電子写真感光体と、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、クリーニング器の少なくとも何れか1つとを組み合わせて造られていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
【0024】
本発明の架橋性化合物のように炭素数3以上の有機残基を含む場合、これを含有する架橋シロキサン系樹脂層とその下層との接着性が向上し、外部から受ける力に対する耐傷性を向上させることができる。更に、架橋シロキサン系樹脂の電荷輸送性物質や酸化防止剤に対する溶解性が向上し、従来相溶性に問題があった電荷輸送性物質や酸化防止剤を含有させることも可能となり、これらを含有させることによって電位安定性を向上できるようになった。
【0025】
本発明の架橋性化合物、即ち一般式(2)で表される化合物を具体的に挙げれば、下記のごときものがある。
【0026】
【化1】
【0027】
【化2】
【0028】
シロキサン樹脂層中の本発明の架橋性化合物の含有比率は、特に限定されない。
【0029】
尚、表面保護層とは、通常よく用いられる意味であり、本発明においては架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する層である。
【0030】
本発明の樹脂層又は表面保護層に含まれる加水分解性基もしくは水酸基を含有するシロキサン樹脂の具体例としては、特に限定されるものではない。例えばアルコキシ基変性アクリル系樹脂、アルコキシ変性メタアクリレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ブチラール系樹脂、ホルマール系樹脂、フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等が挙げられる。
【0031】
架橋構造を有するシロキサン樹脂としては、予め構造単位内にシロキサン結合を有するモノマー、オリゴマー、ポリマーに触媒や架橋剤を加えて新たな化学結合を形成させ三次元網目構造を形成した、或いはシロキサン結合でモノマー、オリゴマー、ポリマーから三次元網目構造を形成したものである。ここで用いられる構造単位は、例えば一般的にはアルコキシシランの縮合反応やシラノールの縮合反応により三次元網目構造を形成することができるものであり、又、三次元網目構造にはコロイダルシリカのような粒子を含ませても良い。
【0032】
本発明において、水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物における加水分解性基とは、メトキシ基、エトキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。中でも好ましくは−ORで表される加水分解性基が良く、R1がアルコキシ基を形成する原子団であり、炭素数が1〜6である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、メトキシエチル基等が挙げられる。
【0033】
本発明におけるシロキサン結合を有する樹脂の原料として用いられる有機ケイ素化合物は、一般にはケイ素原子に結合している加水分解性基の数nが1のとき、有機ケイ素化合物の高分子化反応は抑制される。nが2、3又は4のときは高分子化反応が起こりやすく、特に3或いは4では高度に架橋反応を進めることが可能である。従って、これらをコントロールすることにより得られる塗布層液の保存性や塗布層の硬度等を制御することが出来る。
【0034】
電荷輸送性能を有する構造単位とは、単独で電子或いは正孔のドリフト移動度を有する性質を示すものである。又、本発明の電荷輸送性を有する構造単位を有する化合物の別の定義としては、通常のTime−Of−Flight法などの電荷輸送性能を検知できる公知の方法により電荷輸送に起因する検出電流が得られる化合物として表現することもできる。
【0035】
例えば正孔輸送型としてはオキサゾール、オキサジアゾール、チアゾール、トリアゾール、イミダゾール、イミダゾロン、イミダゾリン、ビスイミダゾリジン、スチリル、ヒドラゾン、ベンジジン、ピラゾリン、スチルベン、アミン、オキサゾロン、ベンゾチアゾール、ベンズイミダゾール、キナゾリン、ベンゾフラン、アクリジン、フェナジン、アミノスチルベン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセンなどの構造単位を有する化合物及びこれらの誘導体が挙げられる。
【0036】
又、電子輸送型としては無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水ピロメリット酸、無水メリット酸、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、テトラニトロベンゼン、ニトロベンゾニトリル、ピクリルクロライド、キノンクロルイミド、クロラニル、ブロマニル、ベンゾキノン、ナフトキノン、ジフェノキノン、トロポキノン、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、4−ニトロベンゾフェノン、4,4′−ジニトロベンゾフェノン、4−ニトロベンザルマロンジニトリル、α−シアノ−β−(p−シアノフェニル)−2−(p−クロロフェニル)エチレン、2,7−ジニトロフルオレン、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン、9−フルオレニリデンジシアノメチレンマロノニトリル、ポリニトロ−9−フルオロニリデンジシアノメチレンマロノジニトリル、ピクリン酸、o−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、3,5−ジニトロ安息香酸、ペンタフルオロ安息香酸、5−ニトロサリチル酸、3,5−ジニトロサリチル酸、フタル酸、メリット酸などの構造単位を有する化合物及びこれらの誘導体が挙げられるが、これらの構造に限定されるものではない。
【0037】
即ち、代表的には硬化性有機ケイ素化合物と結合して、樹脂層を形成することが出来る下記一般式で示される電荷輸送性化合物である。
【0038】
X−(R−OH)m m≧1
ここにおいて、
X:電荷輸送性能を有する構造単位、
R:単結合子、各々置換又は非置換のアルキレン、アリーレン基、
m:好ましくは1〜5である。
【0039】
その中でも代表的なものを挙げれば下記のごときものがある。例えばトリアリールアミン系化合物とは、トリフェニルアミン等のトリアリールアミン構造を含み、該基を構成する炭素原子を介して炭素原子と結合する水酸基を有する化合物である。
【0040】
1.トリアリールアミン系化合物
【0041】
【化3】
【0042】
2.ヒドラゾン系化合物
【0043】
【化4】
【0044】
3.スチルベン系化合物
【0045】
【化5】
【0046】
4.ベンジジン系化合物
【0047】
【化6】
【0048】
5.ブタジエン系化合物
【0049】
【化7】
【0050】
6.その他の化合物
【0051】
【化8】
【0052】
本発明の構成層あるいは表面保護層には、酸化防止剤、特にヒンダードフェノール化合物又はヒンダードアミン化合物を含有させることが望ましい。これらの化合物を含有させることにより、本発明の効果がより顕著になるからである。
【0053】
次に本発明の具体的な化合物例を示す。
【0054】
【化9】
【0055】
【化10】
【0056】
【化11】
【0057】
【化12】
【0058】
【化13】
【0059】
【化14】
【0060】
【化15】
【0061】
【化16】
【0062】
【化17】
【0063】
【化18】
【0064】
【化19】
【0065】
【化20】
【0066】
【化21】
【0067】
【化22】
【0068】
【化23】
【0069】
【化24】
【0070】
【化25】
【0071】
【化26】
【0072】
本発明の電子写真感光体の層構成は、特に限定はないが、電荷発生層、電荷輸送層、或いは電荷発生・電荷輸送層等の感光層とその上に本発明の樹脂層を塗設した構成をとるのが好ましい。
【0073】
本発明の感光層に含有される電荷発生物質(CGM)は単独で又は適当なバインダー樹脂と共に層形成が行われる。電荷発生物質の代表的なものの例としては、ピリリウム系染料、チオピリリウム系染料、フタロシアニン系顔料、アントアントロン系顔料、ジベンズピレンキノン系顔料、ピラントロン系顔料、アゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、ジスアゾ系顔料、インジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、シアニン系顔料等がある。
【0074】
前記感光層に含有される電荷輸送物質(CTM)としては、例えばオキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ベンジジン化合物、ピラゾリン誘導体、スチルベン化合物、アミン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリ−1−ビニルピレン、ポリ−9−ビニルアントラセン等が挙げられこれらの電荷輸送物質(CTM)は通常バインダーと共に層形成が行われる。
【0075】
単層構成の感光層、及び積層構成の場合の電荷発生層(CGL)、電荷輸送層(CTL)に含有されるバインダー樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、メタクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、塩化ビニリデン−アクリロニトリル共重合体樹脂、塩化ビニル−無水マレイン酸共重合体樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン−アルキッド樹脂、フェノール樹脂、ポリシラン樹脂、ポリビニルカルバゾール等が挙げられる。
【0076】
本発明に於いて電荷発生層中の電荷発生物質とバインダー樹脂との割合は重量比で1:5〜5:1が好ましい。また電荷発生層の膜厚は5μm以下が好ましく、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0077】
又、電荷輸送層は前記の電荷輸送物質とバインダー樹脂を適当な溶剤に溶解し、その溶液を塗布乾燥することによって形成される。電荷輸送物質とバインダー樹脂との混合割合は重量比で3:1〜1:3が好ましい。
【0078】
電荷輸送層の膜厚は5〜50μm、特には10〜40μmが好ましい。また、電荷輸送層が複数設けられている場合は、電荷輸送層の上層の膜厚は10μm以下が好ましく、かつ、電荷輸送層の上層の下に設けられた電荷輸送層の全膜厚より小さいことが好ましい。
【0079】
本発明に用いられる溶媒又は分散媒としては、n−ブチルアミン、ジエチルアミン、エチレンジアミン、イソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソプロピルケトン、シクロヘキサノン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジクロロプロパン、1,1,2−トリクロロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、ジオキサン、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルスルホキシド、メチルセロソルブ等が挙げられる。本発明はこれらに限定されるものではないが、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、メチルエチルケトン等が好ましく用いられる。また、これらの溶媒は単独或いは2種以上の混合溶媒として用いることもできる。
【0080】
次に本発明の電子写真感光体の導電性支持体(基体ともいう)としては、
1)アルミニウム板、ステンレス板などの金属板、
2)紙或いはプラスチックフィルムなどの支持体上に、アルミニウム、パラジウム、金などの金属薄層をラミネート若しくは蒸着によって設けたもの、
3)紙或いはプラスチックフィルムなどの支持体上に、導電性ポリマー、酸化インジウム、酸化錫などの導電性化合物の層を塗布若しくは蒸着によって設けたもの等が挙げられる。
【0081】
次に本発明の電子写真感光体を製造するための塗布加工方法としては、浸漬塗布、スプレー塗布、円形量規制型塗布等の塗布加工法が用いられるが、感光層の上層側の塗布加工は下層の膜を極力溶解させないため、又、均一塗布加工を達成するためスプレー塗布又は円形量規制型(円形スライドホッパ型がその代表例)塗布等の塗布加工方法を用いるのが好ましい。なお前記スプレー塗布については例えば特開平3−90250号及び特開平3−269238号公報に詳細に記載され、前記円形量規制型塗布については例えば特開昭58−189061号公報に詳細に記載されている。
【0082】
本発明においては導電性支持体と感光層の間に、バリヤー機能を備えた中間層を設けることもできる。
【0083】
中間層用の材料としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン−アクリル酸共重合体、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂ポリアミド類(ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、共重合ナイロン、アルコキシメチル化ナイロン等)、ポリウレタン、ゼラチン及び酸化アルミニウムを用いた中間層、或いは特開平9−68870号公報の如く金属アルコキシド、有機金属キレート、シランカップリング剤による硬化型中間層等が挙げられる。中間層の膜厚は、0.1〜10μmが好ましく、特には0.1〜5μmが好ましい。
【0084】
又、導電性支持体の形状はドラム状でもシート状でもベルト状でもよく、適用する電子写真装置に適した形状であればよい。
【0085】
本発明の電子写真感光体は、複写機、レーザープリンター、LEDプリンター、液晶シャッター式プリンター等の電子写真装置一般に適用し得るものであるが、更には電子写真技術を応用したディスプレイ、記録、軽印刷、製版、ファクシミリ等の装置にも広く適用し得るものである。
【0086】
図1に本発明の電子写真感光体を搭載する画像形成装置の断面図を示す。
【0087】
図1において10は像担持体である感光体ドラム(感光体)で、有機感光層をドラム上に塗布し、その上に本発明の樹脂層を塗設した感光体で、接地されて時計方向に駆動回転される。12はスコロトロンの帯電器で、感光体ドラム10周面に対し一様な帯電をコロナ放電によって与えられる。この帯電器12による帯電に先だって、前画像形成での感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いた露光部11による露光を行って感光体周面の除電をしてもよい。
【0088】
感光体への一様帯電の後、像露光器13により画像信号に基づいた像露光が行われる。この図の像露光器13は図示しないレーザーダイオードを露光光源とする。回転するポリゴンミラー131、fθレンズ等を経て反射ミラー132により光路を曲げられた光により感光体ドラム上の走査がなされ、静電潜像が形成される。
【0089】
その静電潜像は次いで現像器14で現像される。感光体ドラム10周縁にはイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒色(K)等のトナーとキャリアとから成る現像剤をそれぞれ内蔵した現像器14が設けられていて、先ず1色目の現像がマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ141によって行われる。現像剤は、例えばフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、ポリエステルを主材料として色に応じた顔料と荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等を加えたトナーとからなるもので、現像剤は図示していない層形成手段によって現像スリーブ141上に100〜600μmの層厚に規制されて現像域へと搬送され、現像が行われる。この時通常は感光体ドラム10と現像スリーブ141の間に直流及び/又は交流バイアス電圧をかけて現像が行われる。
【0090】
カラー画像形成に於いては、1色目の顕像化が終った後2色目の画像形成行程にはいり、再びスコロトロン帯電器12による一様帯電が行われ、2色目の潜像が像露光器13によって形成される。3色目、4色目についても2色目と同様の画像形成行程が行われ、感光体ドラム10周面上には4色の顕像が形成される。
【0091】
一方モノクロの電子写真装置では現像器14は黒トナー1種で構成され、1回の現像で画像を形成することができる。
【0092】
記録紙Pは画像形成後、転写のタイミングの整った時点で給紙ローラ17の回転作動により転写域へと給紙される。
【0093】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム10の周面に転写ローラ(転写器)18が圧接され、給紙された記録紙Pを挟着して多色像が一括して転写される。
【0094】
次いで記録紙Pは転写ローラとほぼ同時に圧接状態とされた分離ブラシ(分離器)19によって除電がなされ、感光体ドラム10の周面により分離して定着装置20に搬送され、熱ローラ201と圧着ローラ202の加熱、加圧によってトナーを溶着したのち排紙ローラ21を介して装置外部に排出される。なお前記の転写ローラ18及び分離ブラシ19は記録紙Pの通過後感光体ドラム10の周面より退避離間して次なるトナー像の形成に備える。
【0095】
一方記録紙Pを分離した後の感光体ドラム10は、クリーニング器22のブレード221の圧接により残留トナーを除去・清掃し、再び露光部11による除電と帯電器12による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。なお感光体上にカラー画像を重ね合わせて形成する場合には、前記のブレード221は感光体面のクリーニング後直ちに移動して感光体ドラム10の周面より退避する。
【0096】
尚、30は感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なカートリッジである。
【0097】
電子写真画像形成装置としては、上述の感光体と、現像器、クリーニング器等の構成要素をプロセスカートリッジとして一体に結合して構成し、このユニットを装置本体に対して着脱自在に構成しても良い。又、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、及びクリーニング器の少なくとも1つを感光体とともに一体に支持してプロセスカートリッジを形成し、装置本体に着脱自在の単一ユニットとし、装置本体のレールなどの案内手段を用いて着脱自在の構成としても良い。
【0098】
像露光は、画像形成装置を複写機やプリンターとして使用する場合には、原稿からの反射光や透過光を感光体に照射すること、或いはセンサーで原稿を読み取り信号化し、この信号に従ってレーザービームの走査、LEDアレイの駆動、又は液晶シャッターアレイの駆動を行い感光体に光を照射することなどにより行われる。
【0099】
尚、ファクシミリのプリンターとして使用する場合には、像露光器13は受信データをプリントするための露光を行うことになる。
【0100】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。
【0101】
実施例1
下記のごとくして感光体を作製した。
【0102】
<中間層>
ポリアミド樹脂(CM8000:東レ社製) 60g
メタノール 1600ml
1−ブタノール 400ml
を混合し、溶解して中間層塗布液を調製した。この塗布液を円筒状アルミニウム基体上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.3μmの中間層を形成した。
【0103】
<電荷発生層>
Y型チタニルフタロシアニン 60g
シリコーン樹脂(KR5240:信越化学工業社製) 700g
酢酸t−ブチル 2000ml
を混合し、サンドミルを用いて30時間分散し、電荷発生層塗布液を調製した。この塗布液を前記中間層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
【0104】
<電荷輸送層>
電荷輸送物質(D1) 200g
ビスフェノールZ型ポリカーボネート 300g
(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製)
1,2−ジクロロエタン 2000ml
を混合し、溶解して電荷輸送層塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層の上に浸漬塗布法で塗布し、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
【0105】
<表面保護層>
この上に架橋性化合物(S−5)4重量部をメタノール−ブタノール混合溶媒50重量部に溶解し、これにメチルトリメトキシシラン10重量部、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン1重量部、ジブチル錫アセテート0.2重量部、コロイダルシリカ1重量部を加え均一な溶液にした。
【0106】
これにジヒドロキシメチルトリフェニルアミン6重量部、ヒンダードアミン(2−1)0.6重量部を加えて混合し、この溶液を乾燥膜厚1μmの表面保護層として塗布して130℃、30分の加熱硬化を行い、実施例1の感光体を作製した。
【0107】
【化27】
【0108】
実施例2
実施例1において表面保護層を次のように変更した。
【0109】
<表面保護層>
電荷輸送層の上に架橋性化合物(S−7)5重量部をメタノール−ブタノール混合溶媒50重量部に溶解し、これにメチルトリメトキシシラン10重量部、ジブチル錫アセテート0.2重量部、コロイダルシリカ1重量部を加え均一な溶液にした。
【0110】
これにジヒドロキシメチルトリフェニルアミン6重量部、ヒンダードアミン(2−1)0.6重量部を加えて混合し、この溶液を乾燥膜厚1μmの表面保護層として塗布して130℃、30分の加熱を行い、実施例2の感光体を作製した。
【0111】
実施例3
実施例1において表面保護層を次のように変更した。
【0112】
<表面保護層>
電荷輸送層の上に前記構造式で表わされる架橋性化合物(S−5)15重量部をメタノール−ブタノール混合溶媒50重量部に溶解し、これにジブチル錫アセテート0.2重量部、コロイダルシリカ1重量部を加え均一な溶液にした。
【0113】
これにジヒドロキシメチルトリフェニルアミン6重量部、ヒンダードアミン(2−1)を加えて混合し、この溶液を乾燥膜厚1μmの表面保護層として塗布して130℃、30分の加熱を行い、実施例3の感光体を作製した。
【0114】
実施例4
実施例1においてヒンダードアミン(2−1)の代わりにヒンダードフェノール(1−1)を用いた他は実施例1と同様にして実施例4の感光体を作製した。
【0115】
実施例5
実施例1において表面保護層のヒンダードアミンを除いた他は実施例1と同様にして実施例5の感光体を作製した。
【0116】
実施例6
実施例1において表面保護層のコロイダルシリカを除いた他は実施例1と同様にして実施例6の感光体を作製した。
【0117】
実施例7
実施例1においてジヒドロキシメチルトリフェニルアミンの代わりに4−[2−(トリエトキシシリル)エチル]トリフェニルアミンを用いた他は実施例1と同様にして実施例7の感光体を作製した。
【0118】
比較例1
実施例1において表面保護層を用いない以外は実施例1と同様にして比較例1の感光体を作製した。
【0119】
比較例2
実施例1において表面保護層を次のように変更した。
【0120】
<表面保護層>
電荷輸送層の上にシリルアクリレート化合物である3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン15重量部をメタノール−ブタノール混合溶媒50重量部に溶解し、これに、ジブチル錫アセテート0.2重量部、コロイダルシリカ1重量部を加え均一な溶液にした。
【0121】
これにジヒドロキシメチルトリフェニルアミン6重量部を加えて混合し、この溶液を乾燥膜厚1μmの表面保護層として塗布して120℃、1時間の加熱を行い、比較例2の感光体を作製した。
【0122】
<評価>
1.液保存性評価
実施例、比較例で用いた表面保護層用塗布液を調液10日後に塗布した感光体の塗膜の状態を目視で比較した。
【0123】
2.電位安定性評価
評価は本感光体をコニカ社製デジタル複写機Konica7050を改造し、露光量を適正化した評価機に搭載し、初期帯電電位を−650Vに設定し、高温高湿環境(HH:30℃、80%RH)及び低温低湿環境(LL:10℃、20%RH)の露光部電位を測定した。また5万コピーの実写評価を行い、5万コピー後の画像の目視評価及び感光体の膜厚減耗量を測定した。
【0124】
結果を表1及び表2に示す。
【0125】
【表1】
【0126】
【表2】
【0127】
上記表1、2の結果から明らかなごとく、本発明内の実施例1〜7の感光体は、いずれも少なくとも実用化可能な特性を有しているが、本発明外の比較例1、2は、実用上問題があることがわかる。
【0147】
【発明の効果】
本発明により、有機ケイ素化合物を含有する硬化性の感光体構成層塗布液の保存性を改良し、経時で塗布液の状態が変化すること無く安定した均質な塗膜が得られ、塗膜形成後は傷や摩耗に対する強度が極めて高い構成層を持つ電子写真感光体を得ること、及びそれを用いた画像形成装置、画像形成方法及びプロセスカートリッジを提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる画像形成装置の断面図である。
【符号の説明】
10 感光体ドラム(又は感光体)
11 発光ダイオード等を用いた露光部
12 帯電器
13 像露光器
14 現像器
17 給紙ローラ
18 転写ローラ(転写器)
19 分離ブラシ(分離器)
20 定着装置
21 排紙ローラ
22 クリーニング器
30 感光体、帯電器、転写器・分離器及びクリーニング器が一体化されている着脱可能なプロセスカートリッジ
Claims (8)
- 電荷輸送性能を有する構成単位を含むものであって、且つ架橋構造を有するシロキサン系樹脂を含有する表面保護層を有する電子写真感光体において、該シロキサン系樹脂が下記一般式(2)で表される化合物、水酸基或いは加水分解性基を有する有機ケイ素化合物と、水酸基と電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物とを反応させて得られる架橋性化合物から形成されることを特徴とする電子写真感光体。
一般式(2)
(R1O)3Si(R3)
(式中、R1は炭素数1〜6のアルキル基、R3は水酸基またはアルコキシ基を含む全体の炭素数が3〜9の有機残基である。) - 前記水酸基と電荷輸送性能を有する構造単位を含む化合物が下記構造を有することを特徴とする請求項1記載の電子写真感光体。
X−(R−OH) m m≧1
ここにおいて、
X:電荷輸送性能を有する構造単位
R:単結合子、各々置換又は非置換のアルキレン、アリーレン基 - 前記電子写真感光体の表面保護層がコロイダルシリカを含有することを特徴とする請求項1又は2記載の電子写真感光体。
- 酸化防止剤を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の電子写真感光体。
- 前記酸化防止剤がヒンダードアミン系又はヒンダードフェノール系化合物であることを特徴とする請求項4記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜5の何れか1項記載の電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニングの工程を有することを特徴とする画像形成方法。
- 請求項1〜5の何れか1項記載の電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニングの工程を有する工程を経て画像形成することを特徴とする画像形成装置。
- 電子写真感光体を用い、帯電、像露光、現像、転写・分離、クリーニングの工程を経る画像形成に使用するプロセスカートリッジにおいて、請求項1〜5の何れか1項記載の電子写真感光体と、帯電器、像露光器、現像器、転写又は分離器、クリーニング器の少なくとも何れか1つとを組み合わせて造られていることを特徴とするプロセスカートリッジ。
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