JP4138019B2 - 吸入器 - Google Patents
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Description
従来、空気流に一服の散薬を投入する異なる装置を用いた種々の散薬吸入器が知られている。典型的な例として、散薬は、例えば喘息を治療するために患者の肺に吸入される。
欧州特許出願EP−A−0237507号に、ある1つの散薬吸入器が開示されている。この吸入器は、吸入チャンネルと、空気チャンバおよび出口ノズルを有するマウスピースとを備えており、これらは共にユーザによる吸入の際に空気流が通る流路を形成する。この吸入器はさらに、吸入チャンネルに一服の散薬を供給する投薬機構を備えている。吸入の際、空気は、まず、散薬を取り込むように吸入チャンネル内を通って吸引される。その後、散薬を含んだ空気流は、空気チャンバを通って、マウスピースの出口ノズルから流出する。
図1は、このような散薬吸入器を示す。この吸入器は、出口ノズル4を有するマウスピース2、吸引器本体6、および吸入用の複数服の散薬を供給するための投薬機構を操作する回転グリップ部8を備えている。吸入器本体6には窓12を形成する開口部10が設けられており、吸入器の用法についての指示を与えるために前記窓12を介して指示ホイール42が見えるようになっている。
図2は、吸入器本体6の内部および周囲に配置される構成部品の分解図である。吸入器本体6には、分割部材14が固定的にかぶせられている。美観的理由から、吸入器本体6は不透明の成形品である。分割部材14は舌状部15を有する透明成形品であり、その部分が前記窓12を形成する。
吸入器本体6内には、投薬機構の構成部品が収容されている。構成部品には、複数の投薬部18が設けられた平面とその中心から軸方向に延びるシャフト20とを有する部材16、吸入チャンネル24を有する吸入ユニット22、および、散薬を貯蔵する貯蔵チャンバ28を有する貯蔵ユニット26が含まれる。投薬機構の前記構成部品は、貯蔵ユニット26の開口部30に吸入チャンネル24を挿入するとともに、吸入ユニット22および貯蔵ユニット26の各中央開口部32,34にシャフト20を挿入することにより組み立てられる。このように組み立てられると、吸入チャンネル24および貯蔵チャンバ28の各上端部は、分割部材14の第1および第2の開口部36,38にそれぞれ挿入されることになる。このようにして、吸入ユニット22と貯蔵ユニット26は互いに所定位置に取り付けられ、投薬ユニット16はそれらに対して回転可能になっている。
この吸入器では、使用時に散薬が重力の作用で投薬ユニット16に供給されるように貯蔵チャンバ28の底部が開放している。また、吸入ユニット22は、投薬部18が設けられた投薬ユニット16の部材17の表面に弾力的に付勢される複数のスクレーパ40を備えている。これにより、投薬ユニット16を回転させると、投薬部18(この吸入器では複数の貫通孔)にはスクレーパによって散薬が充填される。投薬ユニット16の下には、散薬が投薬部18を通過してしまうのを防止するプレート(図示せず)が配置されている。
図2に示すように、分割部材14はさらに、指示ホイール42を回転可能に支持する支持手段41を備えている。指示ホイール42は、その周囲に配置され、かつ投薬ユニット16のシャフト20の端面上の螺旋溝または突出部46に係合する複数の歯44を有している。支持手段41は、指示ホイール42の周囲の一部が窓12の内面近傍に配置されるように、指示ホイール42を位置決めするべく形成されている。使用の際、投薬ユニット16を回転させると、螺旋溝または突出部46が指示ホイール42の1つ以上の歯44に係合し、これにより指示ホイール42が回転する。このように、指示ホイール42の周囲に色づけしたマークをつけることにより、吸入器の用法についての可視的な指示を窓12を介してユーザに提供することができる。
図4に示すように、マウスピース2は分割部材14に取り付けられている。マウスピース2は第1および第2の部分48,50を有する。第1の部分48はユーザの唇によってくわえられる部分であり、第2の部分50は第1の部分48の内部に取り付けられた挿入物である。第2の部分50は、管状部分52とほぼ径方向に向いたフランジ56を備えている。管状部分52は、吸引される空気を偏向させ、これにより浮遊して運ばれる散薬の大きな粒子の塊をくずすための螺旋状突出部54を有している。フランジ56は、ユーザにより吸引される散薬を含む空気が通る吸入チャンネル24と連通する空気チャンバ58を、分割部材14の上面と協働して形成する表面を有する。
使用の際、上述したように、散薬は貯蔵チャンバ28から投薬部18の1つに移動し、投薬ユニット16の回転によりその1つの投薬部18は吸引チャンネル24に一服の散薬を供給する。この吸引器では、第1と第2の角度的に離れた位置の間で上から見て時計回り方向にグリップ部8を回転させることにより投薬ユニット16が回転する。このために、投薬ユニット16は部材17の周囲に配置されたくさび状部60を備えており、グリップ部8は、各くさび状部60を押すことにより投薬ユニット16を回転させるように、くさび状部60のそれぞれの軸方向に向いた表面60aに係合するべく形成された弾力部材(図示せず)を備えている。第2と第1の角度的に離れた位置の間でグリップ部8を反対方向すなわち反時計回り方向に回転させることにより、投薬ユニット16は静止した状態にとどまり、弾力部材は近接するくさび状部60の軸方向に向いた表面60aの後方に位置する(すなわち弾力部材は近接するくさび状部60の傾斜面60bの上に載った状態になる)。
国際出願WO−A−94/14492号は、主本体およびねじ式取付キャップを備えた、吸入により散薬を投与する散薬吸入器を開示する。主本体は、貯蔵位置と一服の散薬が吸入用流路に供給される操作位置との間で回転可能で、かつキャップを取り付けることにより貯蔵位置に回転し、キャップを取り外すことにより操作位置に回転する部分を有している。
欧州特許出願EP−A−0424790号は、一服の散薬を吸入用流路に運ぶための、一服の散薬が供給される少なくとも1つのカップを有するコンベヤと、前記少なくとも1つのカップへの完全な充填を促進するためにコンベヤに振動を起こす機構とを備えた、吸入により散薬を投与する散薬吸入器を開示する。
上述の散薬吸入器では、流路を形成する表面に散薬が蓄積する可能性があることが認められている。
そこで、本発明の目的は、流路の表面に散薬が蓄積する可能性を減ずるようにした構成を有する散薬吸入器を提供することにある。
本発明は、複数の表面により形成され、使用時にユーザの吸入で吸い込まれる空気が通り、かつ、入口および出口をもつチャンバを有する流路と、空気流で運ぶために前記流路に一服の散薬を供給する投薬手段とを備えた、吸入により散薬を投与する散薬吸入器において、
前記チャンバの少なくとも一部を形成する表面に接触するようになっていて、かつ、前記投薬手段の下流側の前記流路の表面に蓄積した散薬を除去する除去手段をさらに備えたことを特徴とする吸入器を提供する。
好ましくは、前記除去手段が、前記チャンバ内に配置され、ユーザの吸入により前記チャンバを通って吸い込まれる空気流を妨げないように形成された自由移動可能部材を備えている。
前記自由移動可能部材は、リングからなってもよい。
前記自由移動可能部材は、金属で構成されてもよい。
好ましくは、前記除去手段が前記チャンバの入口に配置された複数の柔軟部材を備え、前記柔軟部材はユーザによる吸入時に前記チャンバの少なくとも一部を形成する表面に接触するような長さおよび柔軟性を有する。
好ましくは、前記チャンバの入口および出口が、互いに対して相対的に回転可能なそれぞれ対向する面に形成され、前記除去手段が、前記対向する面の一方に関して固定され、前記対向する面の相対的な回転により前記対向する面の他方の上に蓄積した散薬を除去するために前記対向する面の他方に接触して形成された部材を備えている。
前記部材は、スクレーパまたはブラシからなってもよい。
好ましくは、前記吸入器は、複数服の散薬を貯蔵する貯蔵チャンバをさらに備え、前記貯蔵チャンバは前記チャンバの対向する面の一方に充填入口を有するとともに前記充填入口をふさぐプラグを有し、前記部材は前記プラグの部分として、または前記プラグに取り付けられた部分として形成されている。
好ましくは、前記吸入器は、前記流路の少なくとも1つの表面を有するマウスピースをさらに備えている。
前記吸入器は、ねじやまを有するハウジングと、前記ハウジングに相対的に回転可能なように取り付けられるマウスピースと、少なくともマウスピースを覆うとともに前記ハウジングのねじやまに係合するねじやまを有するキャップとをさらに備え、
前記マウスピースおよび前記キャップは、前記マウスピースの少なくとも一部が前記キャップの一方への回転により前記ハウジングに対して回転し、前記マウスピースのその部分が前記キャップの他方への回転により前記ハウジングに対してほぼ固定位置に留まるようになっていてもよい。
好ましくは、前記マウスピースおよび前記キャップは、前記マウスピースの少なくとも前記部分を回転させるように、前記キャップの前記一方への回転により係合する部分をそれぞれ備えている。
前記係合部分が少なくとも1つの弾力的に付勢される部材と少なくとも1つの突出部または凹部とを備え、前記少なくとも1つの弾力的に付勢される部材は、前記キャップの前記一方への回転により前記少なくとも1つの突出部または凹部に係合するように形成されていてもよい。
好ましくは、前記マウスピースの少なくとも前記部分が前記キャップの回転により前記ハウジングに対して回転する。
前記ハウジングは、使用時に吸入用の一服の散薬を供給するために回転させる回転可能なグリップ部を備え、前記マウスピースの少なくとも前記部分を回転させるために前記キャップを回転させる方向と同じ方向に前記グリップ部を回転させて吸入用の一服の散薬を供給してもよい。
好ましくは、前記吸入器は、前記マウスピースの少なくとも前記部分および前記ハウジングの相対的な回転に抵抗を与えるための手段をさらに備えている。
好ましくは、前記回転抵抗手段は、前記一方に前記キャップを回転させるのに必要な力よりも大きな力で前記キャップを前記他方に回転させることにより、前記ハウジングに対する前記マウスピースの回転を可能にする。
好ましくは、前記回転抵抗手段がラチェット機構からなる。
好ましくは、前記吸入器は、前記キャップの前記他方への回転により起こる前記ハウジングに対する前記マウスピースの少なくとも前記部分の回転が前記マウスピースに損傷を与えないように構成されている。
本発明は、その好適な実施形態において、前記流路を形成する表面に蓄積した散薬が次の吸入前にそれらの表面から除去されることを提供する。したがって、1回の使用を超えて吸入器内に散薬が蓄積するのが防止される。このように、投与される一服の散薬における変化は、1回の使用後に残った散薬の量に制限される。しかしながら、この量は非常に少なく、全く影響がない。また、キャップを取り外すときにマウスピースが自動的に回転するように吸入器を構成することにより、各吸入の前にマウスピースを回転させるのを覚えていることをユーザに期待する必要がない。
本発明の散薬吸入器は、いかなる適当な形態の散薬を使用してもよく、これには未処理状態(raw state)で空気流に導入される散薬や、塊状または微粉状または整理された(ordered)混合粒子としての散薬などが含まれる。さらに、散薬の活性成分は、ラクトースのような1つ以上の物質で希釈されていてもよいし、必ずしも呼吸系の状態でなくても種々の状態を治療するための物質を含んでいてもよい。実際、散薬は遺伝子材料を含むこともできるし、人間への使用に限定される必要もない。
本発明の散薬吸入器による投与に適した薬剤は、吸入により送り込むことができるものであればよく、例えばサルブタモール、テルブタリン、リミテロール、フェノラロール、シプロテロール、アドレナリン、ピルブテロール、イソプレナリン、オルシプレナリン、ビトルテロール、サルメテロール、フォルモテロール、クレンブテロール、プロカテロール、ブロクサテロール、ピクメテロール、TA−2005、マブテロールなどのβ2−アドレナリン受容体作用薬、それらの薬理学的受容エステルおよび塩として例えばイプラトロピウム臭化物などの抗コリン作用性気管支拡張薬や例えばベクロメタゾン、フルチカゾン、ブデゾニド、チプレダン、デクサメタゾン、ベタメゾン、フルオシノロン、トリアミシノロンアセトニド、モメタゾンなどのグルココルチコイド、それらの薬理学的受容エステルおよび塩として例えばナトリウムクロモグリケイトおよびネドクロミルナトリウムなどの抗アレルギー薬、去痰薬、ムコ多糖類を加水分解する酵素、抗ヒスタミン薬、シクロオキシゲナーゼ抑制剤、ロイコトリエン合成抑制剤、ロイコトリエン拮抗薬、ホスホリパーゼ−A2(PLA2)抑制剤、血小板集合因子(PAF)拮抗薬および喘息予防薬、抗不整脈薬、トランキライザ、強心配糖体、ホルモン、抗高血圧薬、抗糖尿病薬、抗寄生虫薬、抗癌剤、鎮静剤、鎮痛薬、抗生物質、抗リウマチ薬、免疫療法、抗真菌薬、抗低血圧薬、ワクチン、抗ウイルス薬、タンパク質、例えばペプチドホルモンや成長因子などのポリペプチドおよびペプチド、ポリペプチドワクチン、酵素、エンドルフィン、血液凝固カスケードに含まれるリポタンパク質およびポリペプチド、ビタミン、例えば細胞表面受容遮断薬、酸化防止剤、遊離基殺菌剤およびN,N’−ジアセチルシスチンなどの他の物質を含む。
以下において、本発明の好適な実施の形態が添付図面を参照して例示の方法により説明される。
図1は、公知の散薬吸入器の斜視図である。
図2は、図1に示す吸入器の構成部品の分解斜視図である。
図3は、図1に示す吸入器のマウスピースの下側を示す。
図4は、図1の吸入器の部分断面を含む側面図である。
図5は、(透視画法で描いたマウスピースを有する)本発明の第1実施形態の散薬吸入器の斜視図である。
図6(a)は、(透視画法で描いたマウスピースを有する)本発明の第2実施形態の散薬吸入器の斜視図である。
図6(b)は、図6(a)の吸入器のマウスピースおよび自由移動可能部材の下側を示す。
図7は、(透視画法で描いたマウスピースを有する)本発明の第3実施形態の散薬吸入器の斜視図である。
図8は、本発明の第4実施形態の散薬吸入器の分解斜視図である。
図9は、本発明の第5実施形態の散薬吸入器の分解斜視図である。
図10は、本発明の第6実施形態の散薬吸入器の分解斜視図である。
図11は、本発明の第7実施形態の散薬吸入器の分解斜視図である。
図12は、(透視画法で描いたマウスピースを有する)本発明の第8実施形態の散薬吸入器の斜視図である。
図13は、本発明の第9実施形態の散薬吸入器の分解斜視図である。
図14は、図13に示す吸入器のマウスピースの構成部品の分解斜視図である。
図15は、図13に示す吸入器のカバープレートの拡大部分平面図である。
図16は、図13に示す吸入器用のキャップを示す。
図17は、(透視画法で描いたキャップを有する)本発明の第10実施形態の散薬吸入器のキャップおよび主本体の分解斜視図である。
図18は、(透視画法で描いたマウスピースを有する)本発明の第11実施形態の散薬吸入器のキャップおよび主本体の分解斜視図である。
構造において、本発明の好適な実施形態の散薬吸入器は、図1〜4を参照して上記で説明した公知の散薬吸入器と共通する多くの特徴を有している。よって、重複説明を避けるために、構成上異なる点についてのみ詳細に説明することとし、共通部分については公知の散薬吸入器の上述の説明を参照する。
図5は、本発明の第1実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態は、空気チャンバ58の周囲すなわち吸入チャンネル24の周囲に配置された指状の複数の柔軟部材62をさらに備えている点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。柔軟部材62は、ユーザの吸入で吸入器を通って吸い込まれる空気流によって動かされるときに、流路を形成する表面の少なくとも一部に接触するように形成されている。好適な実施形態では、柔軟部材62は、動く際にマウスピース2の第2の部分50のフランジ56の下面により形成される空気チャンバ58の表面に接触し、これによりその表面に蓄積している散薬を除去するような長さになっている。
図6(a)および図6(b)は、本発明の第2実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態は、空気チャンバ58内で自由に移動可能に配置された自由移動可能部材64をさらに備えるとともに、分割部材14の上面が切れ目のほとんど又は全くないほぼ平坦な表面として形成されている点において、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。この実施形態の分割部材14を、上面が不規則な上述した公知の散薬吸入器の分割部材14と対比することができる。分割部材14の上面をほぼ平坦な表面に形成してあることにより、散薬が蓄積するところや自由移動可能部材64が接触できないところがほとんどないということが理解されるであろう。自由移動可能部材64は、適当な形状および材料のものでよい。しかしながら、空気流を妨げることなく空気チャンバ58の上下面の両方との接触面積を大きくとれることから、リングがその形状として特に適していることは明らかである。使用の際、吸入器の動きにより自由移動可能部材64は空気チャンバ58内で移動し、これによりその内面に蓄積している散薬が除去される。好適な実施形態では、自由移動可能部材64は例えば金属のような比較的重い材料で形成されおり、そのため自由移動可能部材64が空気チャンバ58の内面に衝突することにより吸入器内、特にマウスピース2の第2の部分50に振動が起こり、この振動が流路の表面に蓄積している散薬を除去するのにさらに役立つ。
図7は、本発明の第3実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態は、マウスピース2が第1、第2および第3の部分66,68,70と、第1および第2の部分66,68を互いに向かって軸方向に付勢する付勢手段72、好ましくは圧縮スプリングとを備えている点において、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。第1の部分66は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50と同様に、管状部分52とほぼ径方向に向いたフランジ56とを備えている。管状部分52は、吸い込まれる空気を偏向させ、これにより浮遊して運ばれる散薬の比較的大きな粒子の塊をくずすように作用する1つ以上の螺旋状突出部54を含む。フランジ56の下面は、分割部材14の上面と共に、ユーザの吸入により吸い込まれる散薬を含む空気が通る吸入チャンネル24と連通する空気チャンバ58を形成する。第1の部分66は、フランジ56の上面に軸方向に向いた複数の突出部74が設けてある点で、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50とは異なる。三角断面の本実施形態では、各突出部74は、一方向(本実施形態では上から見たときに時計回り方向)に向いた第1側面74aと、反対方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に向いた第2側面74bとを有している。本実施形態では、突出部74がフランジ56の周囲に配置されている。他の実施形態では、突出部74が径方向扇形部(radial sector)としてそれぞれ形成されていてもよい。第2の部分68は、第1の部分66に対して回転可能で、かつ、第3の部分70に対して回転可能に取り付けられている。第2の部分68は、第1の部分66のフランジ56とほぼ同じ径方向寸法のプレートを備えている。第2の部分68の下面には、軸方向に向いた複数の突出部78が設けてあり、その断面は本実施形態では第1の部分66のフランジ56上の突出部74に対応している。この実施形態では、突出部78は三角断面のもので、一方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に向いた第1側面78aと、反対方向(本実施形態では上から見たときに時計回り方向)に向いた第2側面78bとをそれぞれ有している。この実施形態では、突出部78が第2の部分68の周囲に配置されている。他の実施形態では、突出部78が径方向扇形部としてそれぞれ形成されていてもよい。第3の部分70は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第1の部分48と同様に、分割部材14に取り付けられるとともに、ユーザの唇でくわえられる部分である。使用の際、第3の部分70の回転によって付随的に回転する第2の部分68は第1の部分66から離れるように軸方向に移動し、そのとき第2の部分68の突出部78の第1側面78aが第1の部分66のフランジ56上の突出部74のそれぞれの第1側面74aに沿って載っている。第3の部分70の回転が続くことにより、第2の部分68は、第2の部分68上にある突出部78の第1側面78aの後縁部が第1の部分66のフランジ56上にあるそれぞれの突出部74の第1側面74aの前縁部を通り越す位置に達するまで、第1の部分66のフランジ56から離れるように軸方向にさらに移動する。そして、第2の部分68上にある突出部78の第1側面78aの後縁部が第1の部分66のフランジ56上にあるそれぞれの突出部74の第1側面74aの前縁部を通り越すと、第2の部分68は付勢手段72の作用により急激に動かされて、第1の部分66のフランジ56に接触する。このときの第2の部分68の突出部78と第1の部分66のフランジ56上の突出部74との激しい接触により、吸入器内、特に第1の部分66に振動が起き、これにより空気チャンバ58の上面を形成するフランジ56の下面上に蓄積している散薬が除去される。この実施形態では三角断面で、かつ軸方向に向いた突出部74,78を用いたが、吸入器内、特に第1の部分66に振動を起こす効果を達成できる他の断面も同様に用いることができる。
図8は、本発明の第4実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態は、マウスピース2が第1、第2および第3の部分80,82,84を備えている点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。第1の部分80は、上述した公知の散薬吸入器におけるマウスピース2の第2の部分50と同様に、管状部分52を備えている。管状部分52は1つ以上の螺旋状突出部54とほぼ径方向に向いたフランジ56とを有している。突出部54は、吸い込まれる空気を偏向させ、これにより浮遊して運ばれる散薬の比較的大きな粒子の塊をくずすように作用する。フランジ56は、分割部材14の上面と共に、ユーザの吸入により吸い込まれる散薬を含む空気が通る吸入チャンネル24と連通する空気チャンバ58を形成する表面を有する。第1の部分80は、第1の部分80を分割部材14に取り付けるためにフランジ56の周囲に配置された下方に向いた延長部86と、フランジ56の上面上であって管状部分52の外周に配置され、かつ本実施形態ではそれぞれ三角断面を有する軸方向に向いた複数の突出部88とをさらに備えている点で、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50とは異なる。この実施形態では、各突出部88は、一方向(本実施形態では上から見たときに時計回り方向)に向いた第1側面88aと、反対方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に向いた第2側面88bとを有する。第2の部分82は、第1の部分80の管状部分52を覆って配置される管状部分90、管状部分90から径方向に延びるフランジ92、および弾力アーム96によりフランジ92に連結され、かつ突出部88上に載るように形成された部材94を備えている。フランジ92は、各フランジ56,92が固定軸を有する関係になるように第2の部分82を第1の部分80に取り付けるための下方に向いた周囲延長部98を有している。第2の部分82は、第1の部分80に対して一方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に回転可能なように、第1の部分80に取り付けられる。第3の部分84は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第1の部分48と同様に、ユーザの唇でくわえられる部分である。この実施形態では、第3の部分84は、第2の部分82と共に回転するように、第2に部分82に対して固定される。これにより、第3の部分84が一方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に回転すると、第2の部分82の部材94が突出部88の第1側面88aに沿って載り、第1の部分80のフランジ56から離れるように軸方向に移動する。部材94が移動するにつれて、弾性アーム96が次第に反ってくる。部材94は、それぞれの突出部88の第1側面88aの前縁部を通り越すまで、軸方向にさらに移動する。前縁部を通り越したとき、部材94は負荷のかかったアーム96の作用により急激に動かされて、第1の部分80のフランジ56に接触する。この急激な移動により達成される部材94と第1の部分80のフランジ56との間の激しい接触は、吸入器内、特に第1の部分80に振動を起こし、これにより空気チャンバ58の上面を形成するフランジ56の下面上に蓄積している散薬が除去される。
図9は、本発明の第5実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態では、マウスピース2が第1および第2の部分100,102を備えている。第1の部分100は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50と同様に、管状部分52とほぼ径方向に向いたフランジ56とを備えている。管状部分52は、吸い込まれる空気を偏向し、これにより浮遊して運ばれる散薬の比較的大きな粒子の塊をくずすように作用する1つ以上の螺旋状突出部54を有する。フランジ56は、分割部材14の上面と共に、ユーザの吸入で吸い込まれる散薬を含む空気が通る吸入チャンネル24と連通する空気チャンバ58を形成する表面を与えている。第1の部分100は、フランジ56の周囲に配置され、第1の部分100を分割部材14に取り付けるための下方に向いた延長部104と、管状部分52の外周に配置され、本実施形態では三角断面を有する径方向に向いた複数の突出部106とをさらに有する点で、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50とは異なる。第2の部分102は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第1の部分48と同様に、ユーザの唇でくわえられる部分である。この実施形態では、第2の部分102は、先端部が管状部分52の周囲の突出部106と係合するように形成された内側に向いた部材108を備えている。これにより、第1の部分100に対して第2の部分102が(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向に)回転すると、部材108は突出部106の第1側面106aの上に載ることにより、径方向外側に反る。部材108は、突出部106の第1側面106aの前縁部を通り越すまで、次第に反っていく。そして、その前縁部を通過したとき、負荷のかかった状態にあった部材108の先端部は急激に動いて、隣接する突出部106の第1側面106aに接触する。このような部材108の先端部と管状部分52との激しい接触は、吸入器内、特に第1の部分100に振動を起こし、これにより空気チャンバ58の上面を形成するフランジ56の下面上に蓄積している散薬が除去される。この実施形態では、部材108は弾力性のある材料で形成されている。しかしながら、硬い材料で形成した部材108をスプリングなどの付勢手段で管状部分52に対して付勢するようにしてもよいことが理解されるであろう。
図10は、本発明の第6実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態は、マウスピースが第1、第2および第3の部分110,112,114を備えている点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。第1の部分110は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50と同様に、管状部分52とほぼ径方向に向いたフランジ56とを備えている。管状部分52は、吸い込まれる空気を偏向し、これにより浮遊して運ばれる散薬の比較的大きな粒子の塊をくずすように作用する1つ以上の螺旋状突出部54を有する。フランジ56は、分割部材14の上面と共に、ユーザの吸入で吸い込まれる散薬を含む空気が通る吸入チャンネル24と連通する空気チャンバ58を形成する表面を与えている。第1の部分110は、フランジ56の周囲に配置され、第1の部分110を分割部材14に取り付けるための下方に向いた延長部116と、管状部分52の外周に所定距離をおいて配置され、本実施形態では円形断面を有する短い突出部の形状をした上方に向いた複数の軸方向突出部118とをさらに備えている点で、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50とは異なる。この実施形態では、突出部118は管状部分52の周囲の円上に等間隔に配置されている。第2の部分112は、第1の部分110の管状部分52を覆って配置される管状部分120と、少なくとも一部が管状部分120から径方向外側に延びる複数の部材122とを備えている。第3の部分114は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第1の部分48と同様に、ユーザの唇でくわえられる部分である。この実施形態では、第2の部分112は一緒に回転するように第3の部分114に固定され、第3の部分114は第1の部分110に対して回転するように第1の部分110に取り付けられる。これにより、第3の部分114が一方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に回転すると、部材122は各突出部118の上にそれぞれ載って、径方向内側に反る。その回転を続けると、部材122はその先端部が突出部118を通り越すまで次第に反って付勢される。突出部118を通り越すと、部材122の先端部は径方向外側に急激に動いて、隣接する突出部118に接触する。急激な移動により達成される部材122および突出部118間の激しい接触は、吸入器内、特に第1の部分110に振動を起こし、これにより空気チャンバ58の上面を形成するフランジ56の下面上に蓄積している散薬が除去される。
図11は、本発明の第7実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態は、マウスピース2が第1、第2および第3の部分124,126,128を備えている点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。第1の部分124は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50と同様に、管状部分52とほぼ径方向に向いたフランジ56とを備えている。管状部分52は、吸い込まれる空気を偏向し、これにより浮遊して運ばれる散薬の比較的大きい粒子の塊をくずすように作用する1つ以上の螺旋状突出部54を有している。フランジ56は、分割部材14の上面と共に、ユーザの吸入で吸い込まれる散薬を含む空気が通る吸入チャンネル24に連通する空気チャンバ58を形成する表面を与えている。第1の部分124は、フランジ56の周囲に配置され、第1の部分124を分割部材14に取り付けるための下方に向いた延長部130と、管状部分52の外周に配置され、本実施形態では三角断面をそれぞれ有する軸方向に向いた複数の突出部132とをさらに備えている点で、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50とは異なる。この実施形態では、各突出部132は、一方向(本実施形態では上から見たときに時計回り方向)に向いた第1側面132aと、反対方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に向いた第2側面132bとを有している。第1の部分124はさらに、フランジ56の少なくとも一部が弾力性のある材料で形成されているため、管状部分52が周囲延長部130に対して移動可能で、これによりフランジ56が弾力的に変形する点で、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第2の部分50とは異なる。好適な実施形態では、フランジ56は、変形を可能にする必要な弾力性を示すために十分に薄く形成されている。この実施形態では、第2の部分126は、第1の部分124の管状部分52を覆って配置される管状部分134と、管状部分134から径方向に延びるフランジ136と、フランジ136の周囲に配置され、第2の部分126を第1の部分124に回転可能の取り付けるための下方に向いた延長部138とを有している。延長部138の外周には、ユーザ用グリップとして機能する径方向に向いた複数の突出部140が形成されている。第2の部分126はフランジ136の下面に配置された軸方向に向いた複数の突出部(図示せず)をさらに有しており、この突出部の断面は第1の部分124の管状部分52の周囲に配置された突出部132と一致している。この実施形態では、フランジ136の下面の突出部は三角断面を有し、一方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に向いた第1側面と、反対方向(本実施形態では上から見たときに時計回り方向)に向いた第2側面とをそれぞれ持つ。第2の部分126は、第1の部分124に対して一方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に回転可能に取り付けられる。第3の部分128は、上述した公知の散薬吸入器のマウスピース2の第1の部分48と同様に、ユーザの唇でくわえられる部分である。この実施形態では、第3の部分128は、一緒に回転するように第2の部分126に固定される。これにより、第2および第3の部分126,128が一方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に回転すると、フランジ136の下面にある突出部の第1側面が管状部分52の突出部132の第1側面132に載るために、管状部分52は延長部130に対して軸方向下方に移動する。管状部分52は、フランジ136の下面にある突出部の第1側面の後縁部が管状部分52の突出部132の第1側面132の前縁部を通り越すまで、軸方向にさらに移動する。フランジ136の下面にある突出部の第1側面の後縁部が管状部分52の突出部132の第1側面132の前縁部を通り越したとき、管状部分52は元の軸方向位置に急激に戻り、管状部分52の突出部132がフランジ136の下面の突出部に接触する。急激な移動により達成される管状部分52の突出部132およびフランジ136下面の突出部間の激しい接触は吸入器内、特に第1の部分124に振動を起こし、これにより空気チャンバ58の上面を形成するフランジ56の下面上に蓄積している散薬が除去される。
図12は、本発明の第8実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態は、空気チャンバ58の上面を形成するマウスピース2の第2の部分50の下面に接触する分割部材14の上面に配置された部材142をさらに備えている点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。好適な実施形態では、部材142はスクレーパまたはブラシからなる。この実施形態はさらに、マウスピース2は吸入器本体6に対して回転可能である点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。使用の際、本実施形態ではマウスピース2を回転させることにより部材142に対して第2の部分50を回転させると、部材142は第2の部分50の下面上に蓄積している散薬を除去するように機能する。好適な実施形態では、貯蔵チャンバ28の上部に分離プラグで閉じられる入口がある場合、部材142はそのプラグの一体的部分として形成されてもよいし、そのプラグに取り付けられていてもよい。この実施形態では部材142が空気チャンバ58の上面を形成する第2の部分50の下面に接触するように形成されたが、代わりの実施形態では部材142が空気チャンバ58の下面を形成する分割部材14の上面に接触するように形成されてもよいことが理解されるであろう。別の実施形態では、第2の部分50の下面および分割部材14の上面の両方に接触するように形成された1つ以上の部材142を設けてもよい。
図13は、本発明の第9実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態は、分割部材14が吸入器本体6の周囲壁にある開口部144に連通する補足空気入口142を備える点、および、分割部材14の上に配置されるカバープレート146をさらに備える点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。カバープレート146は、吸入チャンネル24および補足空気入口142にそれぞれ対応する第1および第2の開口部148,150を有している。カバープレート146はさらに、弾力アーム154によってその本体に連結された外側に付勢された部材152を有している。この実施形態では、部材152はほぼ径方向に向いた端面152aを有している。カバープレート146はまたさらに、空気チャンバ58の上面を形成するフランジ56の下面の一部に接触するように形成された部材156を備えている。好適な実施形態では、部材156はスクレーパまたはブラシからなる。この実施形態では、部材156は、カバープレート146と一体的に形成され、弾性のある材料で形成されたアームを備え、スクレーパとして機能する。この実施形態では、上述した公知の散薬吸入器と同様に、マウスピース2は第1および第2の部分158,160を備えている。この実施形態はさらに、第1の部分158が径方向内側に向いた複数の突出部162と径方向外側に向いた複数の突出部164とをさらに備えている点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。内側に向いた突出部162はそれぞれ、一方向(本実施形態では上から見たときに反時計回り方向)に向いた第1側面162aと、反対方向(本実施形態では上から見たときに時計回り方向)に向いた第2側面162bを有している。この実施形態では、内側に向いた突出部162の第2側面162bはほぼ径方向に向いている。このように吸入器は、ユーザが唇でマウスピース2をくわえようとするときに、マウスピース2が吸入器本体6に対して自由に回転できないように構成されている。この実施形態では、マウスピース2は、分割部材14の周囲に形成された隆起部168に係合するクリップ166によって吸入器本体6に取り付けられる。この実施形態の吸入器は、マウスピース2を一方向(上から見て反時計回り方向)へは比較的小さな力で回転させることができるが、マウスピース2を反対方向(上から見て時計回り方向)へ回転させるには大きな抵抗があって強い力で回転させることはできるように構成されている。マウスピース2を反時計回り方向へ回転させると、部材152は比較的小さな力で内側に向いた突出部162の第1側面162aの上に載り、弾力アーム154が径方向内側に反る。マウスピース2を時計回り方向へ回転させると、部材152の端面152aが内側に向いた突出部162の第2側面162bに当接し、これにより端面152aおよび第2側面162は径方向に対して小さい角度の表面をなすように形成される。内側に向いた各突出部162を越えて部材152を回転させるには、部材152の端面152aと内側に向いた突出部162の第2側面162bとの間の抵抗に打ち勝つように、比較的強い力を加えなければならない。吸入器は、部材152の端面152aおよび内側に向いた突出部162の第2側面162bを径方向に向いた面として形成してあることによって、一方向へのマウスピース2の回転を妨げるように構成されているが、この実施形態では、ユーザが、部材152、弾力アーム154または内側に向いた突出部162を変形させることによって起こる損傷につながるかもしれないその方向へマウスピース2を強いて回転させようとすることもできるということが認められる。使用の際、吸入器本体6に対してマウスピース2を回転させると、第2の部分160のフランジ56の下面が部材156に対して回転し、これにより回転方向において部材156の直ぐ上流側にあるフランジ56の下面の部分に蓄積している散薬が除去される。
好適な実施形態では、吸入器は、取り外すときにマウスピース2を回転させるキャップ169をさらに備えている。この実施形態では、キャップ169は、その内周に配置され、マウスピース2の第1の部分158上の外側に向いた突出部164と係合する複数の弾力部材170を有する。弾力部材170は軸方向に延びるとともにキャップ169の内周に対して鋭角をなし、弾力部材170の先端部は上から見たときに反時計回り方向に向いている。軸方向の長さを有することにより、弾力部材170は、上から見たときに反時計回り方向にねじを緩めてキャップ169を取り外す間中、第1の部分158の外側に向いた突出部164に係合する。使用の際にキャップ169を取り外すとき、1つ以上の弾力部材170が第1の部分158の外側に向いた突出部164に係合してマウスピース2を吸入器本体6に対して回転させ、これにより部材156に対して回転方向上流側にある第2の部分の160のフランジ56の下面のその部分に蓄積している散薬が部材156により除去される。このように、ユーザがキャップ169を取り外すときには常にマウスピース2が自動的に回転する。また、マウスピース2はキャップ169が取り外されるときだけに一方向にのみ回転する。この構成はいくつかの利点を有する。具体的には、吸入の直前に、蓄積した散薬が除去される。また、キャップ169を取り外すとき、グリップ部8は、吸入チャンネル24に一服の散薬を供給する際の方向とは反対方向に回転する傾向にある。したがって、キャップ169の取り外しにより吸入器が装填される危険がない。この実施形態では上から見て時計回り方向にねじ込んでキャップ169を取り付ける際、弾力部材170は反って第1の部分158の外側に向いた突出部164の上に載る。好適な実施形態では、第1の部分158に設けられている外側に向いた突出部164よりも多数の弾力部材170がキャップ169に設けられている。これにより、1つ以上の外側に向いた突出部164に弾力部材170を係合させるのに必要なキャップ169の回転角度が最小になる。また、キャップ169を取り付けるとき、弾力部材170が外側に向いた突出部164上を同時に1つだけ通過し、これにより取り付けられたキャップ169では僅かに1つの弾力部材170が変形した状態のままになる。変形状態が長く続くことは、弾力部材170の材料を弛緩させるという観点からして好ましくない。好適な実施形態では、キャップ169および弾力部材170は、一体成形品として形成されている。
図17は、本発明の第10実施形態による散薬吸入器を示す。この実施形態は、キャップ169を取り外すときにマウスピース2を回転させるための代わりの構成を組み込んである。この実施形態では、軸方向に向いた複数の溝172がマウスピース2の周囲に設けてあり、キャップ169にはその上部に配置された挿入部174が設けてある。挿入部174は、リング形状をなし、マウスピース2の溝172に係合するように形成された径方向内側に付勢する複数の部材176を備えている。内側に付勢する部材176の先端は、上から見たときに反時計回り方向に向いている。使用の際、上から見て反時計回り方向にねじを緩めてキャップ169を取り外すとき、内側に付勢する部材176は溝172内にそれぞれ位置し、吸入器本体6に対してマウスピース2を回転させる。このように、ユーザがキャップ169を取り外すときは常に、マウスピース2が自動的に回転する。上から見て時計回り方向にねじ込んでキャップ169を取り付けるとき、内側に付勢する部材176は反って溝172の上に載る。
図18は、本発明の第11実施形態の散薬吸入器を示す。この実施形態は、上述した公知の散薬吸入器を改良したものである。この実施形態では、上述した公知の散薬吸入器と同様に、マウスピース2が、吸い込まれる空気を偏向し、これにより浮遊して運ばれる散薬の比較的大きな粒子の塊をくずすように作用する1つ以上の螺旋状突出部52を備えている。この実施形態は、上端部の下面から延びるブラシ178を有するキャップ169を備える点で、上述した公知の散薬吸入器とは異なる。ブラシ178はキャップ169の縦軸に沿って配置されているため、上から見て時計回り方向にねじ込みながらキャップ169を取り付けるとき、ブラシ178は管状部分52の内部に延びる。このように、キャップ169を取り付けたり外したりするときは常に、ブラシ178は管状部分52内に蓄積している散薬を除去するように作用する。好適な実施携帯では、ブラシ178は、管状部分52内の螺旋状突出部54の表面をより効果的にきれいにするように螺旋状に形成されている。他の実施形態として、ブラシ178をキャップ169に相対的に回転可能なように取り付けてもよい。
さらに別の実施形態として、本発明は、協働する部品によって振動を発生させる吸入器を提供することができる。1つの実施形態では、マウスピースと吸入器本体との間に移動止め表面(detented surface)を設け、その相対的な軸方向移動により振動を起こすようにしてもよい。また、別の実施形態では、キャップとマウスピースとの間、または、キャップと吸入器本体との間に移動止め表面を設け、これによりキャップを押し込むか、またはねじ込んで取り付けるときに振動を起こすようにしてもよい。
最後に、本発明は好適な実施形態により説明されており、添付の請求の範囲で規定される本発明の範囲から外れることなく種々の異なる変形が可能であることが当業者に理解されるであろう。
Claims (18)
- 複数の表面により形成され、使用時にユーザの吸入で吸い込まれる空気が通り、かつ、前記空気の入口および出口をもつチャンバ(58)を有する流路と、
空気流で運ぶために前記流路に一服の散薬を供給する投薬手段(18)とを備えている、吸入により散薬を投与する散薬の吸入器において、
前記チャンバ(58)の少なくとも一部を形成する表面に接触するようになっていて、かつ、前記投薬手段(18)の下流側の前記流路の表面に蓄積した散薬を除去する、前記チャンバ(58)内に配置された除去手段をさらに備えていることを特徴とする吸入器。 - 前記除去手段が、ユーザの吸入により前記チャンバ(58)を通って吸い込まれる空気流を妨げないように形成された自由移動可能部材(64)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の吸入器。
- 前記自由移動可能部材(64)がリングからなることを特徴とする請求項2に記載の吸入器。
- 前記自由移動可能部材(64)が金属で構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の吸入器。
- 前記除去手段が前記チャンバ(58)の入口に配置された複数の柔軟部材(62)を備え、前記柔軟部材(62)はユーザによる吸入時に前記チャンバ(58)の少なくとも一部を形成する表面に接触するような長さおよび柔軟性を有するものであることを特徴とする請求項1に記載の吸入器。
- 前記チャンバ(58)の入口および出口が、互いに対して相対的に回転可能なそれぞれ対向する面に形成され、前記除去手段が、前記対向する面の一方に関して固定され、前記対向する面の相対的な回転により前記対向する面の他方の上に蓄積した散薬を除去するために前記対向する面の他方に接触して形成された部材(142;156)を備えていることを特徴とする請求項1に記載の吸入器。
- 前記部材(142;156)は、スクレーパまたはブラシからなることを特徴とする請求項6に記載の吸入器。
- 複数服の散薬を貯蔵する貯蔵チャンバ(28)をさらに備え、前記貯蔵チャンバ(28)は前記チャンバ(58)の対向する面の一方に充填入口を有するとともに前記充填入口をふさぐプラグを有し、前記部材(142)は前記プラグの部分として、または前記プラグに取り付けられた部分として形成されていることを特徴とする請求項6または7に記載の吸入器。
- 前記流路の少なくとも1つの表面を有するマウスピース(2)をさらに備えていることを特徴とする前記請求項のいずれかに記載の吸入器。
- ねじやまを有するハウジングと、前記ハウジングに相対的に回転可能なように取り付けられるマウスピース(2)と、少なくともマウスピース(2)を覆うとともに前記ハウジングのねじやまに係合するねじやまを有するキャップ(169)とをさらに備え、
前記マウスピース(2)および前記キャップ(169)は、前記マウスピース(2)の少なくとも一部が前記キャップ(169)の一方への回転により前記ハウジングに対して回転し、前記マウスピース(2)のその部分が前記キャップ(169)の他方への回転により前記ハウジングに対してほぼ固定位置に留まるようになっていることを特徴とする請求項6,7,8のいずれかに記載の吸入器。 - 前記マウスピース(2)および前記キャップ(169)は、前記マウスピース(2)の少なくとも前記部分を回転させるように、前記キャップ(169)の前記一方への回転により係合する部分をそれぞれ備えていることを特徴とする請求項10に記載の吸入器。
- 前記係合部分が少なくとも1つの弾力的に付勢される部材(170;176)と少なくとも1つの突出部(164)または凹部(172)とを備え、前記少なくとも1つの弾力的に付勢される部材(170;176)は、前記キャップ(169)の前記一方への回転により前記少なくとも1つの突出部(164)または凹部(172)に係合するように形成されていることを特徴とする請求項11に記載の吸入器。
- 前記マウスピース(2)の少なくとも前記部分が前記キャップ(169)の回転により前記ハウジングに対して回転することを特徴とする請求項10ないし12のいずれかに記載の吸入器。
- 前記ハウジングが、使用時に吸入用の一服の散薬を供給するために回転させる回転可能なグリップ部(8)を備え、前記マウスピース(2)の少なくとも前記部分を回転させるために前記キャップ(169)を回転させる方向と同じ方向に前記グリップ部(8)を回転させて吸入用の一服の散薬を供給することを特徴とする請求項10ないし13のいずれかに記載の吸入器。
- 前記マウスピース(2)の少なくとも前記部分および前記ハウジングの相対的な回転に抵抗を与えるための手段をさらに備えたことを特徴とする請求項10ないし14のいずれかに記載の吸入器。
- 前記回転抵抗手段は、前記一方に前記キャップ(169)を回転させるのに必要な力よりも大きな力で前記キャップ(169)を前記他方に回転させることにより、前記ハウジングに対する前記マウスピース(2)の回転を可能にするものであることを特徴とする請求項15に記載の吸入器。
- 前記回転抵抗手段がラチェット機構からなることを特徴とする請求項15または16に記載の吸入器。
- 前記吸入器は、前記キャップ(169)の前記他方への回転により起こる前記ハウジングに対する前記マウスピース(2)の少なくとも前記部分の回転が前記マウスピース(2)に損傷を与えないように構成されていることを特徴とする請求項16または17に記載の吸入器。
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