JP4137451B2 - 多層基板製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多層基板製造方法に関し、例えば2枚の基板を積層して多層基板を製造する多層基板製造方法に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、多層基板製造方法においては、製造用のサイズでなる製造用基板上に、当該製造用基板とほぼ同サイズ及び同材質の積層用基板を積層し、当該製造用基板及び積層用基板の一面に対してほぼ垂直にスルーホールを貫通形成して層間接続することにより、多層基板を製造するようになされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、かかる多層基板製造方法においては、互いに同サイズ及び同材質の製造用基板及び積層用基板を用いているものの、製造用基板及び積層用基板の一面に対する配線占有率が異なるので、製造工程中の熱処理や冷却処理によって製造用基板の有機材料における収縮量と、積層用基板の有機材料における収縮量とが大幅に相違することになる。
【0004】
従って多層基板製造方法においては、製造用基板及び積層用基板の一面に対してほぼ垂直にスルーホールを貫通形成した場合であっても、当該製造用基板及び積層用基板に本来形成されるべきスルーホールの形成位置が収縮量の相違によって大幅にずれてしまっているので、電気的接続が十分に行えず、電気的耐性が弱いという問題があった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、従来に比して簡易な方法で電気的耐性の強い多層基板を製造し得る多層基板製造方法を提案しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するため本発明は、第1の基板に対して電子部品を接合する接合工程と、第1の基板よりも大きい面積でなる第2の基板上に、電子部品に対する収容空間が設けられた板状プリプレグを積層するプリプレグ積層工程と、電子部品が接合された第1の基板を、該電子部品が収容空間に収容されるように第2の板状プリプレグに積層する基板積層工程と、板状プリプレグを加熱する加熱工程とをもつ多層基板製造方法を採用した。
【0007】
従ってこの多層基板製造方法では、加熱工程での加熱により第1の基板及び第2の基板が収縮しても、第2の基板に対する第1の基板の位置ずれが、第1の基板の収縮量の範囲内に収まるようにすることが可能となるため、当該位置ずれに起因する、第1の基板及び第2の基板の電気的耐性の低下を抑えることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下図面について、本発明の一実施の形態を詳述する。
【0009】
本発明においては、完成品である多層基板51〜53(図5)を製造するための多層基板製造方法について、図1〜図5を用いて説明する。
【0010】
第1段階(図1(A)上段)として、多層基板製造装置(図示せず)は、基板製造用のワークシートサイズ(面積)でなるガラスエポキシ材質の両面銅張板1aをほぼ1/3以下の面積を有する3枚の基板に切り分けた後、当該切り分けた3枚の基板の一面2A、3A及び4Aに対してエッチングレジスト処理及び湿式エッチング処理を順次施して1本の配線パターンでなる配線wir1、wir2及びwir3を形成することにより、積層用基板2、3及び4を作製する。
【0011】
一方、多層基板製造装置は、両面銅張板1aと同サイズ同材質の両面銅張板1b(図1(A)下段)の一面5Aに対して、当該両面銅張板1aから積層用基板2、3及び4を作製した際の配線wir1、wir2及びwir3と対応する位置に上述と同様の処理を施して配線W1、W2及びW3を形成することにより、製造用基板5を作製する。
【0012】
これにより多層基板製造装置は、製造用基板5の一面5Aにおける面積のほぼ1/3以下の面積を有する積層用基板2、3及び4を選定すると共に、製造用基板5の配線W1、W2及びW3を互いに所定間隔離した状態で形成し得るようになされている。
【0013】
なお積層用基板2、3及び4を製造用基板5の一面5Aにおける面積のほぼ1/3以下の面積に選定した理由については後述する。
【0014】
また、多層基板製造装置は、製造用基板5の配線W1、W2及びW3に対して端子めっき処理を行うことにより、当該製造用基板5に対して積層用基板2、3及び4を積層した後に行うマスキング処理等の追加工程を省略し得るようになされている。
【0015】
第2段階(図1(B)上段)として、多層基板製造装置は、半導体メモリ等でなるベアチップ11aの回路形成面における所定位置へ形成したスタットバンプ12aと、積層用基板2の一面2Aに形成した内周側の配線wir1とを異方性導電膜13aを介して接合(いわゆるフリップチップ実装)する。
【0016】
同様に多層基板製造装置は、ベアチップ11b及び11cの回路形成面における所定位置へ形成したスタットバンプ12b及び12cと、積層用基板3及び4の一面3A及び4Aに形成した内周側の配線wir2及びwir3とを異方性導電膜13b及び13cを介してフリップチップ実装する。
【0017】
第3段階(図2(C))として、多層基板製造装置は、製造用基板5の配線W1上へ、積層用基板2の一面2Aとほぼ同面積でなるガラスエポキシ材質の介挿プリプレグ25a及び覆蓋プリプレグ26aを順次積層し、さらに当該配線W1に配線wir1を対向させて位置決めした状態で、ベアチップ11aが実装された積層用基板2を積層する。
【0018】
同様に多層基板製造装置は、製造用基板5の配線W2及びW3上へ、積層用基板3及び4の一面3A及び4Aとほぼ同面積でなるガラスエポキシ材質の介挿プリプレグ25b及び25c及び覆蓋プリプレグ26b及び26cを順次積層し、さらに当該配線W2及びW3に配線wir2及びwir3を対向させて位置決めした状態で、ベアチップ11b及び11cが実装された積層用基板3及び4を積層する。
【0019】
ここで介挿プリプレグ25a、25b及び25cとは、製造用基板5と積層用基板2、3及び4との間における厚さを所定の厚さに選定するためのものであり、覆蓋プリプレグ26a、26b及び26cとは、ベアチップ11a、11b及び11cを被覆するためのものである。
【0020】
この場合、多層基板製造装置は、介挿プリプレグ25a、25b又は25cの厚さを適宜変更し得るようになされており、これにより製造用基板5に対して積層用基板2、3又は4を積層した際の高さを、最終的な製品の一部として用いられるマザーボード基板へ実装した際に必要な高さとほぼ一致させ得るようになされている。
【0021】
従って多層基板製造装置は、製造用基板5と積層用基板2、3又は4との間における厚さを搭載機器へ実装する際の高さの制約に対して柔軟に対応し得るようになされている。
【0022】
また多層基板製造装置は、覆蓋プリプレグ26a、26b又は26cの一部をベアチップ11a、11b又は11cの体積に応じて除去することにより、ベアチップ覆蓋空間v1、v2及びv3を形成し得るようになされている。
【0023】
これにより多層基板製造装置は、ベアチップ覆蓋空間v1、v2及びv3を介してベアチップ11a、11b及び11cを収容し得ることにより、当該ベアチップ11a、11b及び11cが実装された積層用基板2、3及び4を覆蓋プリプレグ26a、26b及び26cに対して互いに干渉することなく積層し得ると共に、当該積層した状態で覆蓋プリプレグ26a、26b及び26cを熱硬化した際にベアチップ11a、11b及び11cの周囲へ速やかに拡散させ得るようになされている。
【0024】
従って第4段階(図2(D))として、多層基板製造装置は、介挿プリプレグ25a〜25c及び覆蓋プリプレグ26a〜26c(図2(C))を真空雰囲気中で所定温度に加熱すると、当該介挿プリプレグ25a〜25c及び覆蓋プリプレグ26a〜26cが熱硬化する際の拡散によってベアチップ11a〜11cの周囲を被覆すると共に、積層用基板2〜4と製造用基板5とを気密性を保って一体化形成した層間部31、32、33となる。
【0025】
その後、多層基板製造装置は常温常圧に戻すと、熱硬化性を有する介挿プリプレグ25a〜25c及び覆蓋プリプレグ26a〜26cとは逆に、積層用基板2、3、4及び製造用基板5は、当該積層用基板2、3、4及び製造用基板5のうちの有機部材がその特性に従って硬化することになるので結果的に収縮してしまうことになる。
【0026】
この場合、例えば図3に示すように、製造用基板5と積層用基板2、3及び4とは互いに同材質であるので収縮率が同じであるが、積層用基板2、3及び4は、その他面2B、3B及び4Bの面積がワークサイズでなる製造用基板5の他面5Bよりも小さい(すなわち積層用基板2、3及び4を所定間隔sp1及びsp2ずつ離すことで配線W1、W2及びW3が独立した構成とされている)ことにより、積層用基板2、3及び4の収縮量sh3及びsh4、sh5及びsh6、sh7及びsh8については製造用基板5の収縮量sh1及びsh2よりも格段に少なくなる。
【0027】
これに加えて積層用基板2、3及び4は、製造用基板5上に積層された状態で保持されているので、当該製造用基板5の収縮動作に対する積層用基板2、3及び4の位置ずれについては殆ど起こらない。すなわち製造用基板5に対して積層用基板2、3及び4の位置関係はほぼ保持された状態のまま製造用基板5が収縮されるからである。
【0028】
従って製造用基板5の配線W1、W2及びW3に対する積層用基板2、3及び4の配線wir1、wir2及びwir3のずれ量は、積層用基板2、3及び4の収縮量sh3及びsh4、sh5及びsh6、sh7及びsh8の範囲内に収まることになり、その結果多層基板製造装置は、製造用基板5に対する積層用基板2、3及び4の位置ずれが最小限に収まっている状態で電気的な接続を実行し得るようになされている。
【0029】
ここで、上述の第1段階(図1(A)上段)で積層用基板2、3及び4を製造用基板5のほぼ1/3の面積に選定した理由としては、ワークシートサイズでなる1枚の製造用基板5上へ一度に積層して多数の製品を製造し得る生産性の観点からすれば、積層用基板2、3及び4の一面2A、3A及び4Aの面積を極力小さくすることが望ましいが、ベアチップ11a、11b及び11cを実装することの必要性を加味しつつ、積層用基板2、3及び4の収縮量sh3及びsh4、sh5及びsh6、sh7及びsh8(図4)の範囲内に収縮量が収まるようにすることを考慮すれば、一般的には少なくとも製造用配線板5の一面5Aの面積に対してほぼ1/3の面積であることが理想的と考えられるからである。
【0030】
従って多層基板製造装置は、第1段階(図1(A)上段)で積層用基板2、3及び4の一面2A、3A及び4Aを製造用基板5の一面5Aにおける面積のほぼ1/3の面積となるように切り分けていることにより、生産性を必要最大限に確保し得ると共に、製造用基板5に対する積層用基板2、3及び4の位置ずれを最小限に収え得るようになされている。
【0031】
この状態において、第5段階(図4(E))として多層基板製造装置は、積層用基板2〜4の他面2B〜4Bの所定位置から配線wir1〜wir3及び配線W1〜W3を順次介して製造用基板5の他面5Bにかけてほぼ垂直に貫通孔を形成した後、当該貫通孔の内周面に対して銅めっき処理を行ってスルーホール35A及び36A、35B及び36B、35C及び36Cを形成する。
【0032】
これにより多層基板製造装置は、積層用基板2〜4の他面2B〜4B及び一面2A〜4Aと、製造用基板5の一面5A及び他面5Bとをスルーホール35A及び36A、35B及び36B、35C及び36Cを介して接続し、積層用基板2〜4の他面2B〜4Bから製造用基板5の他面5Bまでの各層をそれぞれ強固に電気的及び機械的に層間接続する。
【0033】
第6段階(図4(F))として、多層基板製造装置は、積層用基板2、3及び4の他面2B、3B及び4Bに所定パターンの配線41、42及び43を形成することにより、製造用多層基板50を作製する。
【0034】
第7段階として、図5に示すように、多層基板製造装置は、製造用多層基板50(図4(F))の製造用基板5を所定位置で切断することにより、多層基板51、52及び53を製造し得るようになされている。
【0035】
かかる多層基板51、52及び53は、製造工程中の熱処理や冷却処理によって製造用基板5及び積層用基板2、3及び4の有機材料が収縮した場合においても、製造用基板5に対する積層用基板2、3及び4の位置ずれが最小限に収まっている状態でスルーホール35A及び36A、35B及び36B、35C及び36Cを介して電気的に接続されていることにより、全体として電気的耐性が強化されている。
【0036】
以上の多層基板製造方法において、多層基板製造装置は、まず、ワークシートサイズ(面積)でなるガラスエポキシ材質の両面銅張板1a(図1(A)上段)を製造用基板5の一面5Aにおける面積に対してほぼ1/3の面積となるように切り分けて積層用基板2を予め作製しておくことにより、製造用基板5の収縮量に比して少ない収縮量でなる積層用基板2を選定する。
【0037】
そして多層基板製造装置は、製造用基板5の一面5A(図2(C))に形成した配線W1上に、介挿プリプレグ25a及び覆蓋プリプレグ26aを介して積層用基板2の配線wir1を対向させて位置決めした状態で積層用回路基板15を積層する。
【0038】
ここで多層基板製造装置は、介挿プリプレグ25a(図2(D))及び覆蓋プリプレグ26aを加熱硬化して製造用基板5、介挿プリプレグ25a、覆蓋プリプレグ26a及び積層用基板2を一体化させた後に常温に戻すと、当該積層用基板2及び製造用基板5は有機部材の特性に従って硬化する際に収縮(図3)してしまうことになる。
【0039】
しかしながら、積層用基板2はその他面2Bがワークサイズでなる製造用基板5の他面5Bよりも小さいので、その収縮量sh3及びsh4については製造用基板5の収縮量sh1及びsh2よりも格段に少ないと共に、製造用基板5に対して積層用基板2の位置関係はほぼ保持された状態のまま製造用基板5が収縮されることにより、製造用基板5の配線W1に対する積層用基板2の配線wir1のずれ量は、積層用基板2の収縮量sh3及びsh4の範囲内に収まる。
【0040】
この状態において多層基板製造装置は、積層用基板2(図4(E))の他面2Bの所定位置から配線wir1及び配線W1を介して製造用基板5の他面5Bにかけてほぼ垂直にスルーホール35A及び36Aを形成するようにした。
【0041】
従って多層基板製造装置は、製造用基板5及び積層用基板2が収縮しても、製造用基板5の配線W1に対する配線wir1の位置ずれが当該積層用基板2の収縮量sh3及びsh4の範囲内に収まっているので、製造用基板5に対する積層用基板2の位置ずれを最小限に収えた状態で電気的な接続を確実に実行することができる。
【0042】
また、多層基板製造装置は、製造用基板5(図3)の一面5Aに配線W2及びW3を所定間隔sp1及びsp2ずつ離して独立させた構成とし、積層用基板2と同様の工程によってスルーホール35B及び36B(図4(E))、35C及び36Cを形成していることにより、製造用基板5の配線W1に対する積層用基板2、3及び4の配線wir1、wir2及びwir3のずれ量を積層用基板2、3及び4の収縮量sh3及びsh4、sh5及びsh6、sh7及びsh8の範囲内に収まるようにすることを1つの製造用基板5上で一度に実現することができる。
【0043】
以上のような多層回路基板製造方法によれば、多層基板製造装置は、製造用基板5及び積層用基板2の有機部材の特性により当該製造用基板5及び積層用基板2が収縮しても、製造用基板5の配線W1に対する積層用基板2の配線wir1のずれ量が当該積層用基板2の収縮量sh3及びsh4の範囲内に収まるようにしたことにより製造用基板5に対する積層用基板2の位置ずれを最小限に収えた状態で電気的な接続を確実に実行することができ、かくして、従来に比して簡易な方法で電気的耐性の強い多層基板を製造することができる。
【0044】
なお上述の実施の形態においては、第1段階(図1(A)上段)で製造用基板5の一面5Aにおける面積に対してほぼ1/3の面積となるように両面銅張板1aを切り分けて積層用基板2、3及び4を予め作製しておくことにより選定する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、製造用基板5と同サイズであっても製造用基板5よりも収縮量が少ない積層用基板を用いていれば良く、要は、第2段階(図1(B))の工程へ移行する際に製造用基板の収縮量に比して少ない収縮量でなる積層用基板が選定されていれば、この他種々の積層用基板を幅広く用いることができる。
【0045】
また上述の実施の形態においては、接続仲介部としてのガラスエポキシ材質でなる介挿プリプレグ25a〜25c及び覆蓋プリプレグ26a〜26c(層間部31〜33)を用いる場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ポリフェニレンエーテル又はビスマレイミドトリアジン材質等、この他種々の材質でなる接続仲介部を用いるようにしても良い。
【0046】
この場合、特に、ポリフェニレンエーテル又はビスマレイミドトリアジンの含有量が多い材質でなる接続仲介部は、ガラスエポキシ材質でなる覆蓋プリプレグ26a〜26c及び介挿プリプレグ25a〜25cに比して熱膨張係数が低いので加熱後の硬化による反りを効果的に低減し得ることにより、製造用基板5に対する積層用基板2の位置ずれを一段と収えた状態で電気的な接続を一段と確実に実行することができる。
【0047】
さらに上述の実施の形態においては、表面実装部品としてのベアチップ11a、11b及び11cを積層用基板2、3及び4に実装する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、ベアチップ11a、11b及び11cを製造用基板5に実装するようにしても良い。この場合上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらに上述の実施の形態においては、表面実装部品としてのベアチップ11a、11b及び11cを実装する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、トランジスタやダイオード等の部品でなるこの他種々の表面実装部品を実装することができる。この場合上述の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
さらに上述の実施の形態においては、介挿プリプレグ25a、25b又は25cの厚さを適宜変更する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該介挿プリプレグ25a、25b又は25cの厚さの変更に加えて、積層用基板2、3又は4のサイズを最終製品への実装用面積とほぼ同面積となるようにそれぞれ選定し、最終製品の実装用の配線パターンにそれぞれ配線41、42又は43を形成するようにしても良い。
【0050】
この場合、多層基板製造装置は、多層基板51〜53を製造する工程前に、最終製品へ実装し得る実装空間に対応させたものとしてそれぞれ製造でき、多層基板51〜53として切断した後には、最終製品への実装を円滑に行わせることができると共に、最終製品への実装時における冗長な工程を省略することができる。
【0051】
さらに上述の実施の形態においては、スルーホール35A及び36A、35B及び36B、35C及び36Cを形成する際に、製造用基板5と積層用基板2〜4とを介挿プリプレグ25a〜25c及び覆蓋プリプレグ26a〜26cによって一体化した後に貫通孔を形成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、当該一体化する前に貫通孔を形成するようにしても良い。
【0052】
この場合、上述の第3段階を示した図2(C)との対応部分に同一符号を付して示す図6のように、多層基板製造装置は、導電ペースト、はんだ又はスタッドバンプ等でなる棒状の導通用部材62A及び63A、62B及び63B、62C及び63Cを製造用基板5の配線W1、W2及びW3上のスルーホール形成位置に予め突設しておくと共に、介挿プリプレグ25a〜25c及び覆蓋プリプレグ26a〜26cに対して当該導通用部材62A及び63A、62B及び63B、62C及び63Cにそれぞれ対応する位置に貫通孔64A及び65A、64B及び65B、64C及び65Cを形成しておく。
【0053】
そして多層基板製造装置は、貫通孔64A及び65A、64B及び65B、64C及び65Cに導通用部材62A及び63A、62B及び63B、62C及び63Cを挿通させて介挿プリプレグ25a〜25c及び覆蓋プリプレグ26a〜26cを順次積層し、続いてベアチップ11a、11b及び11cが実装された積層用基板2、3及び4を積層した後、介挿プリプレグ25a〜25c及び覆蓋プリプレグ26a〜26cを加熱することにより製造用基板5と積層用基板2、3及び4とを一体化する。
【0054】
このようにすれば、多層基板製造装置は、上述の第5段階(図4(E))における銅めっき処理工程を削除することができると共に、製造用基板5に対する積層用基板2の収縮量を当該積層用基板2の収縮量sh2の範囲内に収めることに伴って位置ずれを一段と低減した状態で電気的な接続を一段と確実に実行することができる。
【0055】
さらに上述の実施の形態においては、製造用基板5の一面5Aへ介挿プリプレグ25a及び覆蓋プリプレグ26aを介して積層用基板2を積層する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、製造用基板5の他面5Bに積層用基板を積層するようにしても良い。
【0056】
例えば図4(D)との対応部分に同一符号を付した図7(A)に示す具体例のように、多層基板製造装置は、上下反転された製造用基板5の他面5Bに所定の配線70を形成し、その形成部分にベアチップ71をフリップチップ実装する。
【0057】
続いて多層基板製造装置は、製造用基板5の一面5B上へ、ベアチップ71実装部分を囲むような(コの字状のように一部が空いていても良い)介挿プリプレグ72を積層した後、当該配線70と、製造用基板5の収縮量に比して少ない収縮量でなる積層用基板73の配線とを位置決めさせた状態で当該積層用基板73を積層する。
【0058】
この状態において多層基板製造装置は、介挿プリプレグ72を加熱硬化することにより、製造用基板5、介挿プリプレグ72及び積層用基板73を一体化させた後にスルーホール75A、75Bを形成する。
【0059】
また、例えば図4(D)との対応部分に同一符号を付した図7(B)に示す具体例のように、多層基板製造装置は、上下反転された製造用基板5の他面5Bに所定の配線80を形成し、その配線80上へ介挿プリプレグ82を積層した後、当該配線80と、製造用基板5の収縮率に比して少ない収縮率でなる積層用基板83の配線とを位置決めさせた状態で当該積層用基板83を積層する。
【0060】
この状態において多層基板製造装置は、介挿プリプレグ82を加熱硬化することにより、製造用基板5、介挿プリプレグ82及び積層用基板83を一体化させた後にスルーホール85を形成する。
【0061】
かかる具体例の場合、上述の実施の形態と同様に、製造用基板5の配線70及び80と積層用基板73及び83の配線との位置関係は、ほぼ保持された状態のまま収縮することにより、製造用基板5の配線70及び80に対する積層用基板73及び83の配線のずれ量は当該積層用基板73及び83の収縮量の範囲内に収まるので、多層基板製造装置は、製造用基板5に対する積層用基板2(3、4)の位置ずれと、当該製造用基板5に対する積層用基板73及び83の位置ずれとの双方とも最小限に収えた状態で電気的な接続を確実に実行することができる。
【0062】
これに加えて、積層用基板73及び83の一面及び介挿プリプレグ72及び82の面積を最終製品(マザー基板)への実装用のサイズに選定すると共に、製造用基板5に対して積層用基板73又は83を積層した際の高さが最終製品へ実装する際の高さにほぼ一致するように介挿プリプレグ72及び82の厚みを選定させておけば、最終製品への実装空間が複雑な場合でも、それに対応させたものを1つの製造用基板5上で製造でき、その結果、最終製品への実装を円滑に行わせることができると共に、最終製品への実装時における冗長な工程を省略することができる。
【0063】
【発明の効果】
上述のように本発明は、第1の基板に対して電子部品を接合する接合工程と、第1の基板よりも大きい面積でなる第2の基板上に、電子部品に対する収容空間が設けられた板状プリプレグを積層するプリプレグ積層工程と、電子部品が接合された第1の基板を、該電子部品が収容空間に収容されるように第2の板状プリプレグに積層する基板積層工程と、板状プリプレグを加熱する加熱工程とをもつ多層基板製造方法を採用した。
【0064】
従ってこの多層基板製造方法では、加熱工程での加熱により第1の基板及び第2の基板が収縮しても、第2の基板に対する第1の基板の位置ずれが、第1の基板の収縮量の範囲内に収まるようにすることが可能となるため、当該位置ずれに起因する、第1の基板及び第2の基板の電気的耐性の低下を抑えることができ、かくして電気的耐性の強い多層基板製造方法を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】多層基板の製造工程(1)を示す略線的断面図である。
【図2】多層基板の製造工程(2)を示す略線的断面図である。
【図3】各基板における収縮の様子を示す略線的断面図である。
【図4】多層基板の製造工程(3)を示す略線的断面図である。
【図5】多層基板を示す略線的断面図である。
【図6】他の実施の形態によるスルーホールの形成を示す略線的断面図である。
【図7】他の実施の形態による多層基板の製造工程を示す略線的断面図である。
【符号の説明】
2、3、4、73、83……積層用基板、5……製造用基板、11a、11b、11c、71……ベアチップ、15、16、17……積層用回路基板、25a、25b、25c……覆蓋プリプレグ、26a、26b、26c、72、82……介挿プリプレグ、31、32、33……層間部、35A、35B、35C、36A、36B、36C、75A、75B、85……スルーホール、50……製造用多層基板、51、52、53……多層基板、62A、62B、62C、63A、63B、63C……導通用部材、64A、64B、64C、65A、65B、65C……貫通孔。

Claims (2)

  1. 第1の基板に対して電子部品を接合する接合工程と、
    上記第1の基板よりも大きい面積でなる第2の基板上に、上記電子部品に対する収容空間が設けられた板状プリプレグを積層するプリプレグ積層工程と、
    上記電子部品が接合された第1の基板を、該電子部品が上記収容空間に収容されるように上記板状プリプレグに積層する基板積層工程と、
    上記板状プリプレグを加熱する加熱工程と
    を具えることを特徴とする多層基板製造方法。
  2. 上記プリプレグ積層工程では、
    上記第2の基板に対して、高さ調整用の板状プリプレグ及び上記電子部品に対する収容空間が設けられた板状プリプレグを順次積層し、
    上記加熱工程では、
    上記高さ調整用の板状プリプレグ及び上記電子部品に対する収容空間が設けられた板状プリプレグを加熱する
    ことを特徴とする請求項1に記載の多層基板製造方法。
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