JP4134835B2 - 高誘電率低誘電正接複合材料組成物、硬化性フィルム,硬化物とその製法 - Google Patents

高誘電率低誘電正接複合材料組成物、硬化性フィルム,硬化物とその製法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高周波信号に対応し、高密度実装を可能とするため受動素子であるキャパシタを多層配線板内に形成するのを容易とする高誘電率低誘電損失複合材料組成物,硬化物及び硬化性フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
高密度表面実装を実現させるため、基板においてはバイアホールの微細化,配線ピッチの狭隘化,ビルドアップ方式の採用等の検討が行われている。さらにICパッケージの小型化,多ピン化、及びコンデンサや抵抗等の受動部品の小型化,表面実装化も行われている。一方、受動素子の小型化の進展とともに製造や実装時の取扱がより困難となりつつあり、従来のやり方ではその限界が明らかになってきた。その解決方法として、受動素子を直接、プリント配線板の表面或いは内部に形成することが提案されている。これによって、受動素子のチップ部品をプリント配線板状に搭載する必要が無くなり、高密度化とともに信頼性の向上も図ることができる。セラミック基板で行われているような、金属や絶縁体のペーストを用いと負傷決する方法は、特に耐熱性に劣る有機基板上にはそのまま適用できない。
【0003】
上記のような受動素子を有機基板上に形成する方法としては、既に有機高分子と高誘電率フィラとの混合物を塗布する方法(下記非特許文献1及び2),チタン酸バリウム等の無機フィラを有機高分子中に高充填化する方法がある(下記特許文献1乃至3)。更に、高誘電率化した複合材料として、μmオーダーの金属粉を有機高分子中に充填する技術も提案されている(下記特許文献4)。
【0004】
一方、PHS,携帯電話等の情報通信機器の信号帯域,コンピュータのCPUクロックタイムはGHz帯に達し、高周波が進行している。電気信号の誘電損失は、回路を形成する絶縁体の比誘電率の平方根と、誘電正接、使用される信号の周波数との積に比例する。そのため高周波信号ほど誘電損失が大きくなる。誘電損失は、電気信号を減衰させて信号の信頼性を損なうので絶縁体には誘電率,誘電正接の小さな材料を選定する必要があった。
【0005】
誘電体の低誘電率,低誘電正接化には構造中の極性基の除去が有効であり、フッ素樹脂,硬化性ポリオレフィン,シアネートエステル系樹脂,硬化性ポリフェニレンオキサイド,アリル変性ポリフェニレンエーテル,ジビニルベンゼン又はジビニルナフタレンで変性したポリエーテルイミド等が提案されている。
【0006】
ポリテトラフロロエチレン(PTFE)に代表されるフッ素樹脂は、誘電率,誘電正接がともに低く、高周波信号を扱う基板材料に使用されている。しかし、PTFEは熱可塑性樹脂であるため、成形加工字の膨張収縮が大きく、扱いにくい材料であった。
【0007】
また、フッ素樹脂に架橋性,溶解性を付与する提案も種々あるがそれらの材料は総じて高価で、特性的にはPTFEに及ばないものが多い。
【0008】
これに対し、有機溶剤に可溶で取り扱いやすい非フッ素系の低誘電率,低誘電制接樹脂が種々検討されてきた。
【0009】
例えば、ポリブタジエン等のジエンケイポリマーを、ガラスクロスに含漬して過酸化物で硬化する技術(下記特許文献5)、ノルボルネン系付加型重合体にエポキシ基を導入し、硬化性を付与した環状ポリオレフィンを用いる技術(下記特許文献6),シアネートエステル,ジエン系ポリマー,トリアリルイソシアネートからなる変性樹脂を用いた技術(下記特許文献7)がある。
【0010】
また、ポリフェニレンオキサイド,ジエン系ポリマー,トリアリルイソシアネートからなる変性樹脂の例、アリル化ポリフェニレンエーテル,トリアリルイソシアネート等からなる樹脂組成物を用いた技術(下記特許文献8)、ポリエーテルイミドとスチレン及びジビニルベンゼン,ジビニルナフタレンとをアロイ化した技術(下記特許文献9)、ジヒドロキシ化合物とクロロメチルスチレンからウィリアムソン反応で合成したヒドロキノンビス(ビニルベンジル)エーテルとノボラックフェノール樹脂からなる樹脂組成物に関する技術(下記特許文献10特開平5−78552号公報)が上げられる。
【0011】
上記の例の多くは、架橋剤又は架橋助剤としてジビニルベンゼンを含んでも良いとの記述があった。これはジビニルベンゼンが構造中に極性基を有しておらず、その硬化物が低誘電率,低誘電正接で、熱分解温度が350℃以上と高いことに起因する。
【0012】
しかし、ジビニルベンゼン硬化物は非常に脆いため、硬化時に硬化物にひび割れが生じやすいという欠点を有していた。そのため通常ジビニルベンゼンの添加量は、他の樹脂成分にくらべて低く設定されていた。
【0013】
ジビニルベンゼンを主たる架橋材に使用している下記特許文献9でも、樹脂全体の9wt%程度の添加量である。このジビニルナフタレンも、硬化物の脆さという点ではジビニルベンゼンと同様の問題を有している。
【0014】
これに対し、下記特許文献10ではヒドロキノンビス(ビニルベンジル)エーテル等のビススチレン化合物が不揮発性であり、柔軟性の高い硬化物を与えることを明らかにしている。
【0015】
しかし、一般的にアルキレンエーテル基はアルキレン基,アリレン基に比べて誘電率,誘電正接,耐熱性の点で不利である。
【0016】
また、スチレン基間を結合する骨格構造にはアルキレン基,アリレン基等の炭化水素系の骨格が好ましい。スチレン基間をエチレン基で結合した多官能スチレン化合物に関する技術としては、1,2−ビスビニルフェニルエタンに関する技術が下記特許文献11に、側鎖にビニル基を有するジビニルベンゼンオリゴマーが下記非特許文献3にある。
【0017】
【特許文献1】
特開平6−172618号公報
【特許文献2】
特開2001−15918号公報
【特許文献3】
特開2001−15928号公報
【特許文献4】
特開2001−338813号公報
【特許文献5】
特開平8−208856号公報
【特許文献6】
特開平10−158337号公報
【特許文献7】
特開平11−124491号公報
【特許文献8】
特開平9−246429号公報
【特許文献9】
特開平5−156159号公報
【特許文献10】
特開平5−78552号公報
【特許文献11】
特開平9−208625号公報
【非特許文献1】
P.Chanel 他、第46回 Electric Components and Technology Conference、1996年、第125頁−132頁
【非特許文献2】
Y.Rao 他、2000 Electric Components and Technology Conference、2000年、第615頁−618頁
【非特許文献3】
Makromol Chem.Vol187、23頁、1986年
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
有機樹脂との複合材として誘電率を高めるにはフィラを高充填しなくてはならない。しかし、樹脂中に上記無機フィラを高充填化すると、無機フィラと樹脂との相溶性が悪いため、樹脂硬化の際空隙が発生しやすい。また、無機フィラと樹脂との界面の接着性が低いため、界面での剥離が発生し易い。そのため無機フィラを高充填化した樹脂複合材料を絶縁材料として使用する際に絶縁耐圧またはリーク電流の観点から信頼性に乏しいという問題がある。
【0019】
また、高誘電率化する方法として、平均粒径がμmオーダーの金属粉末を有機樹脂中に充填する方法がある。それら複合材料の誘電率は数十以上の値と良好な数値を示すものの、有機樹脂/金属の複合材は絶縁性が極めて悪いことと渦電流による誘電損失が0.1 以上の大きな値を示すという問題がある。また、有機樹脂と金属との混合性が無機材料と同様に悪い。
【0020】
一方、低誘電正接な架橋剤として使用されていたジビニルベンゼンには揮発性、硬化物が脆いと云う欠点があった。
【0021】
本発明の目的は、受動素子を直接、プリント配線板の表面あるいは内部に形成することが可能であり、電気的絶縁信頼性が高く、加工性が良好で、硬化後の耐熱性,柔軟性が良い金属粉を必須成分とする無機フィラを分散させた有機樹脂との高誘電率低誘電正接複合材料組成物,硬化性フィルム,その硬化物を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するためには周波数が数十GHzオーダーでも渦電流損によるエネルギー損失が発生しない金属粉を用いることが必須であり、そのためには金属粉のサイズがμm以下であることとその金属粉1つ1つの絶縁性を確保することが望ましい。個々の金属粉の絶縁処理には種々の方法があるが良好な絶縁性を得るにはリン酸塩,クロム酸塩等の無機塩による化成処理が有効である。また、有機樹脂を用いた複合材料として誘電率を大きくするには、該金属粉の有機樹脂への高充填化が重要であるが、そのためには該金属粉と有機樹脂との相溶性を向上させることが必須である。それには金属表面及び金属上の絶縁被膜表面と化学結合が形成可能で、また、有機樹脂とも化学結合の形成が可能なカップリング処理が有効である。
【0023】
一方、複合化する有機樹脂については加工性が良好で、硬化後の耐熱性,柔軟性が良いことの他に低誘電正接材料であるためには、有機樹脂中の配向分極を低減化するため、高分子鎖中の極性基の密度を極力低くすることが重要である。
【0024】
上記目的を達成する本発明の要旨は次のとおりである。
【0025】
(1)重量平均分子量が1000以下の一般式〔1〕
【0026】
【化1】
Figure 0004134835
【0027】
(但し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素骨格、R1 は水素,メチル、またはエチルを示し、mは1〜4、nは2以上の整数を示す。)で表される複数のスチレン基を有する架橋成分を含み、さらに、重量平均分子量5000以上の高分子量体の少なくとも一方を含有した樹脂に金属粉を必須成分とした無機フィラ中の各成分の平均粒径が5μm以下である無機フィラを分散してなる、100MHzから80GHzの周波数領域で誘電正接が0.05 以下であり、誘電率が15以上である高誘電率低誘電正接複合材料組成物である。
【0028】
また、前記高分子量体がフィルム形成能を有する高分子量体である高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0029】
また、スチレン基を重合,架橋し得る硬化触媒、または、スチレン基の重合,架橋を抑制する重合禁止剤を含む高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0030】
また、前記高分子量体がブタジエン,イソプレン,スチレン,エチルスチレン,ジビニルベンゼン,N−ビニルフェニルマレイミド,アクリル酸エステル,アクリロニトリルの1種以上の単独または共重合体、置換基を有していてもよいポリフェニレンオキサイド,環構造を有するポリオレフィン,ポリシロキサン,ポリエーテルイミドの少なくとも一つを含む高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0031】
また、前記金属粉を必須成分とする無機フィラが凝集体を含み、該金属粉を必須成分とする無機フィラの凝集体の平均粒径が5μm以下である高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0032】
また、前記金属粉表面に厚さ1000〜1nmのCr,Cd,Zn,Mn,Feの内少なくとも1種類以上の金属被覆膜が形成されている高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0033】
また、絶縁処理がなされた前記金属粉を必須成分とする無機フィラを用いる高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0034】
また、前記絶縁処理が無機塩を用いた化成処理である高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0035】
また、前記無機フィラの一部として金属酸化物を併用する高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0036】
また、前記金属がAl,Mn,Si,Mg,Cr,Nb,Ni,Mo,Cu,Fe,W,Zn,Sn,Pb,Ag,Ti,Zr,Ta,Pt,Sbである高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0037】
また、硬化触媒の添加量が0.0005 〜10重量部、重合禁止剤の添加量が0.0005 〜5重量部を含むものが好ましい。
【0038】
また、前記硬化触媒が有機過酸化物またはビスアジド化合物、前記重合禁止剤がキノン類,芳香族ジオール類である高誘電率低誘電正接複合材料組成物にある。
【0039】
また、前記高誘電率低誘電正接複合材料組成物を硬化した硬化物が0.05 以下であることにある。
【0040】
また、重量平均分子量1000以下の一般式〔1〕
【0041】
【化2】
Figure 0004134835
【0042】
(但し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素骨格、R1 は水素,メチル,エチルを示し、mは1〜4、nは2以上の整数を示す。)で表される複数のスチレン基を有する架橋成分を含み、さらにフィルム形成能を有する高分子量体と金属粉を必須成分とした無機フィラ中の各成分の平均粒径が5μm以下である無機フィラを均一分散状態で含み、100MHzから80GHzの周波数領域で誘電正接が0.05 以下であり、誘電率が15以上である硬化性フィルムにある。
【0043】
【発明の実施の形態】
本発明の低誘電正接樹脂成分および複合材料硬化物は、重量平均分子量1000以下の前記一般式〔1〕で表される複数のスチレン基を有する架橋成分を含み、重量平均分子量5000以上の高分子量体、充填剤の少なくとも一方を含有するものであることは、既述のとおりである。なお、本発明における重量平均分子量は、GPC(Gel Permeation Chromatography)によるスチレン換算重量平均分子量を云う。
【0044】
高周波信号を取り扱う電気部品の絶縁層は、電気信号の損失を低減する観点から誘電正接が小さいことが望ましい。その値は、用いられる電気信号の周波数帯における誘電正接が0.05 以下である。本複合材料硬化物を絶縁層として用いることによって誘電損失の小さな効率の良い電気回路を形成することができる。
【0045】
本発明の架橋成分としては、重量平均分子量1000以下の複数のスチレン基を有する多官能モノマーが好ましい。スチレン基は反応性が高く、誘電正接が非常に低い硬化物あるいは重合物を与える。
【0046】
架橋成分のスチレン基間を結合する骨格には誘電正接の観点からメチレン,エチレンと云ったアルキレン基を含む炭化水素骨格を採用することが好ましい。これによって、スチレン基の低誘電正接性を損なうことなく、架橋成分に不揮発性,柔軟性を付与することができる。
【0047】
また、重量平均分子量1000以下の架橋成分を選択することにより、比較的低い温度で溶融流動性を示し、有機溶媒への溶解性も良くなるため、成形加工やワニス化が容易になる。
【0048】
架橋成分の重量平均分子量が大き過ぎると溶融流動性が低くなり、成形加工の際に架橋が生じて成形不良となる場合がある。架橋成分の好ましい例としては、1,2−ビス(p−ビニルフェニル)エタン、1,2−ビス(m−ビニルフェニル)エタンおよびその類似体、側鎖にビニル基を有するジビニルベンゼンの単独重合体、スチレン等との共重合体等のオリゴマーが挙げられる。
【0049】
本発明に好ましい架橋成分の合成方法としては、特開平11−60519号公報に記載の方法で作成されたハロゲノアルキルスチレンをグリニャール反応によって種々のハロゲン化物とカップリングする方法、Makromol Chem.Vol.187,23頁(1986)記載の、側鎖にビニル基を有するジビニルベンゼンオリゴマーの合成方法が挙げられる。
【0050】
このようにして得られた架橋成分および合成原料の例を表1に示した。これら架橋成分は、複合して用いてもよい。また、絶縁層の誘電率,誘電正接,機械強度に著しい特性低下を招かない範囲で未反応成分および副生成物を含有してもよい。
【0051】
【表1】
Figure 0004134835
【0052】
本発明中の樹脂材料の架橋成分は、硬化触媒を添加しなくとも180℃以下の比較的低温度で架橋して耐熱性が高く、誘電正接の低い硬化物を与える。しかし、架橋成分は、単独で使用すると十分な成膜性やフィルム化した際のタックフリー性や、硬化後十分な機械的強度を得られない場合がある。
【0053】
本発明では前記の架橋成分に、さらに、重量平均分子量5000以上の高分子量体,充填剤を添加することによって、成膜性,フィルム形成能,機械強度の向上を図ることを特徴としている。
【0054】
さらに高分子量体、金属粉を必須成分とした無機フィラの特性によって誘電率のコントロール、低熱膨張化等の特性を付与することもできる。
【0055】
本発明に使用される高分子量体としては特に制限はないが、重量平均分子量5000以上、より好ましくは10000〜100000、さらに好ましくは15000〜60000の高分子量体が好ましい。
【0056】
分子量が大き過ぎるとワニス粘度が上昇し、低誘電正接樹脂成分の攪拌混合および塗膜の形成が困難になる。逆に、分子量が小さ過ぎると乾燥後の塗膜のタックフリー性の低下、及び、硬化後の機械強度が向上しない場合がある。
【0057】
低誘電正接樹脂成分を硬化性フィルムの形態で用いる場合には、高分子量体はフィルム形成能を有している必要がある。こうした高分子量体の具体的な例としては、ブタジエン,イソプレン,スチレン,エチルスチレン,ジビニルベンゼン,N−ビニルフェニルマレイミド,アクリル酸エステル,アクリロニトリルから選ばれる1種以上の単独または共重合体,置換基を有していてもよいポリフェニレンオキサイド,環構造を有するポリオレフィン,ポリシロキサン,ポリエーテルイミド等が挙げられる。
【0058】
ブタジエン,イソプレン,アクリル酸エステル等からなるゴム状ポリマーは、硬化物に柔軟性と接着性,塗膜の平滑性を付与し、スチレン,エチルスチレン,アクリロニトリルは先のゴム状成分と共重合することによって、その耐熱性を向上する働きを有するものである。
【0059】
ジビニルベンゼン,N−ビニルフェニルマレイミドは、スチレン,エチルスチレン等の単官能モノマーと公知のイオン重合法によって、側鎖に官能基を有する高分子量体を合成する成分である。側鎖に官能基を有する高分子量体は架橋成分と反応するため、硬化後の相分離が少なく、強固な硬化物を与える。
【0060】
ポリフェニレンオキサイド,環構造を有するポリオレフィン,ポリシロキサン,ポリエーテルイミドは熱分解温度が高い耐熱性ポリマーであり、架橋成分とアロイ化することによって、柔軟性,接着性の付与、機械強度の向上等を図ることができる。
【0061】
これらの高分子量体は複合して用いてもよい。例えば、極性基を全く含まない環状ポリオレフィンとポリシロキサンまたはポリブタジエンを併用することによって、絶縁層と導体層間の接着性を向上することができる。
【0062】
本発明の樹脂成分中の架橋成分,高分子量体,金属粉を必須成分とした無機フィラの添加量に関しては特に制限はないが、架橋成分が5〜95重量部、高分子量体が95〜5重量部、高分子量成分と架橋成分の合計量を100重量部として金属粉を必須成分とした無機フィラが70〜5重量部の範囲が好ましい。
【0063】
本組成範囲で成膜性の付与,強度の向上,熱膨張係数の低減,誘電率の調整の目的に応じて、その組成を調整することができる。より好ましい組成範囲としては架橋成分が50〜95重量部、高分子量体が50〜5重量部、高分子量成分と架橋成分の合計量を100重量部として金属粉を必須成分とした無機フィラが70〜5重量部である。これにより架橋性の官能基を持たない高分子量体を用いた際にも、硬化後の低誘電正接樹脂成分の耐溶剤性が保たれる。
【0064】
本発明の樹脂成分は、硬化触媒を添加しなくとも加熱のみによって硬化することができるが、硬化効率の向上を目的としてスチレン基を重合,架橋し得る硬化触媒を添加することができる。その添加量には特に制限はないが、硬化触媒の残基が誘電特性に悪影響を与える恐れがあるので、全樹脂成分を100重量部として、0.0005 〜10重量部とすることが望ましい。本範囲においてスチレン基の重合,架橋反応を促進して、低温で強固な硬化物を得ることができる。
【0065】
熱によってスチレン基を重合,架橋し得るカチオン,ラジカル活性種を生成する硬化触媒の例を以下に示す。
【0066】
カチオン系触媒としては、BF4,PF6,AsF6,SbF6を対アニオンとするジアリルヨードニウム塩,トリアリルスルホニウム塩,脂肪族スルホニウム塩が挙げられ、旭電化工業製SP−70,172,CP−66、日本曹達製CI−2855,2823、三新化学工業製SI−100L,SI−150L等の市販品を使用することができる。
【0067】
ラジカル重合触媒としては、ベンゾイン,ベンゾインメチルのようなベンゾイン系化合物、アセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノンのようなアセトフェノン系化合物、チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントンのようなチオキサンソン系化合物、4,4−ジアジドカルコン、2,6−ビス(4−アジドベンザル)シクロヘキサノン、4,4−ジアジドベンゾフェノンのようなビスアジド化合物、アゾビスイソブチルニトリル、2,2−アゾビスプロパン、m,m−アゾキシスチレン、ヒドラゾンのようなアゾ化合物、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジクミルパーオキシドのような有機過酸化物等が挙げられる。
【0068】
特に、官能基を持たない化合物の水素引き抜きを生じさせ、高分子量体間の架橋をなし得る有機過酸化物や、ビスアジド化合物を添加することが望ましい。これにより、硬化後の低誘電正接樹脂成分の耐溶剤性が向上できる。
【0069】
本発明の樹脂成分には、保存安定性を増すために重合禁止剤を添加することができる。その添加量は誘電特性や、硬化時の反応性を著しく阻害しない範囲が好ましく、全樹脂成分を100重量部に対し0.0005 〜5重量部とすることが望ましい。本範囲において保存時の不要な架橋反応を抑制することができ、硬化時には著しい硬化障害をもたらすことなく硬化物が得られる。
【0070】
重合禁止剤の例としてはハイドロキノン,p−ベンゾキノン,クロラニル,トリメチルキノン,4−t−ブチルピロカテコール等のキノン類,芳香族ジオール類が挙げられる。
【0071】
次に金属粉を必須成分とした無機フィラについて説明する。周波数が数十GHzオーダーでも15以上の誘電率を有する有機樹脂成分を含む複合材料を得るには、無機塩による化成処理を用いた絶縁処理を施し、更に、カップリング処理を施した数ミクロン以下のサイズの金属粉を有機樹脂に充填することが有効であることを見出した。
【0072】
ここで数ミクロン以下のサイズの金属粉を用いるのは数十GHzオーダーの周波数での渦電流によるエネルギー損失を小さくするためで、無機塩を用いた化成処理により個々の金属粉の絶縁性を確保することが重要なのも同様の理由である。絶縁処理を施した金属粉に対してカップリング処理を行うのは、樹脂との相溶性を向上させることが重要であるからである。これは樹脂への金属粉の高充填化のみならず、混合物の加工性の向上と金属粉の沈降を抑制するためである。
【0073】
本発明の複合材料組成物中の樹脂成分、特に高分子量体を含有する系は、離型フィルム,銅箔等の導体箔に塗布し、乾燥した硬化性フィルムとして用いることができる。
【0074】
架橋成分とフィルム形成能を有する高分子量体を配合することによってフィルム化することもできる。本硬化性フィルムは、プレス加工することによって簡便に両面銅張フィルムあるいは基板に加工することができる。また、フレキシブルプリント板の基材、多層配線板の層間接着剤としても使用できる。
【0075】
また、本発明の複合材料組成物は、成形材料としても使用することができる。特に架橋成分と充填剤とからなる樹脂成分は溶融温度が低く、粘度が低いので複雑な形状の型にも比較的低温で容易に注入することができる。
【0076】
次に、本発明を実施例並びに比較例に基づき具体的に説明する。なお、以下の説明中に部とあるのは、特に断りのない限り重量部を指す。
【0077】
まず、実施例において用いた低誘電正接樹脂成分に使用した試薬の名称,合成方法,ワニスの調製方法、硬化物の評価方法について説明する。
【0078】
▲1▼ 1,2−ビス(ビニルフェニル)エタン(BVPE)の合成
BVPEの合成は公知の方法で行った。500mlの三つ口フラスコにグリニャール反応用粒状マグネシウム(関東化学製)5.36g(220mmol)を採り、滴下ロート,窒素導入管,セプタムキャップを取り付けた。窒素気流下,スターラによってマグネシウム粒を攪拌しながら、系全体をドライヤーで加熱脱水した。
【0079】
乾燥テトラヒドロフラン300mlをシリンジに採り、セプタムキャップを通じて注入した。溶液を−5℃に冷却した後、滴下ロートを用いてビニルベンジルクロライド(VBC,東京化成製)30.5g(200ml)を約4時間かけて滴下した。滴下終了後、0℃/20時間、攪拌を続けた。反応終了後、反応溶液をろ過して残存マグネシウムを除き、エバポレータで濃縮した。
【0080】
濃縮溶液をヘキサンで希釈し、3.6 %塩酸水溶液で1回、純水で3回洗浄し、次いで硫酸マグネシウムで脱水した。
【0081】
脱水溶液をシリカゲル(和光純薬製ワコーゲルC300)/ヘキサンのショートカラムに通して精製し、真空乾燥してBVPEを得た。得られたBVPEはm体(液状),p体(結晶)の混合物であり、収率は90%であった。1H−NMRによって構造を調べたところ、その値は文献値と一致した(6H−ビニル:α−2H,6.7、β−4H,5.7,5.2;8H−アロマティック:7.1−7.35;4H−メチレン:2.9)。本BVPEを架橋成分として用いた。
【0082】
▲2▼ その他の試薬の名称
Zeonex:日本ゼオン製、環状ポリオレフィン(Zeonex480);高分子量体
(重量平均分子量約60000)
25B:日本油脂製2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)
ヘキシン−3(パーヘキシン25B);硬化触媒
トルエン:和光純薬製;ワニス化溶媒。
【0083】
(実施例1)
本発明の第1の実施例である高誘電率低誘電正接複合材料の作製方法を以下に説明する。本実施例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、95重量部の高分子量体であるZeonex 480、5重量部の架橋成分であるBVPE、0.05重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。高誘電率化の複合材料用原料として、平均粒径0.3μm の鉄粉を用いた。鉄粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の鉄粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)平均粒径0.3μmの鉄粉1kgに対して絶縁処理液250ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。絶縁処理後の鉄粉の断面図を図1に示す。
(2)水で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施した鉄粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。表面処理後の鉄粉の断面図を図2に示す。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施した鉄粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え,3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した高誘電率低誘電正接複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPa の多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。得られた高誘電率低誘電正接複合材料の断面図を図3に示す。
【0084】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の誘電率及び誘電正接について説明する(表1)。1GHzから40GHzの周波数域では、空洞共振法(アジレントテクノロジー製,8722ES型ネットワークアナライザー,関東電子応用開発製空洞共振器)で、本発明の高誘電率低誘電正接複合材料を1mm×1mm×100mmの角柱上の試料を用いて測定した。
【0085】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の体積固有抵抗について説明する。本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の樹脂板上に主電極外形50mm,ガード電極内径52mm,外形80mm,対向電極外形80mmの電極を作製し,LCRメータ(HP4248A)を用いて周波数100kHzで行った(表2)。
【0086】
【表2】
Figure 0004134835
【0087】
(実施例2)
本発明の第2の実施例である高誘電率低誘電正接複合材料の作製方法を以下に説明する。本実施例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、85重量部の高分子量体であるZeonex 480、15重量部の架橋成分であるBVPE、0.15重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。高誘電率化の複合材料用原料として、平均粒径1μmの亜鉛粉を用いた。亜鉛粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の亜鉛粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)平均粒径1μmの亜鉛粉1kgに対して絶縁処理液250ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。絶縁処理後の亜鉛粉の断面図を図1に示す。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した3wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施した亜鉛粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。表面処理後の亜鉛粉の断面図を図2に示す。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施した亜鉛粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え,3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した高誘電率低誘電正接複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPa の多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。得られた高誘電率低誘電正接複合材料の断面図を図3に示す。
【0088】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0089】
(実施例3)
本発明の第3の実施例である高誘電率低誘電正接複合材料の作製方法を以下に説明する。本実施例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、70重量部の高分子量体であるZeonex 480、30重量部の架橋成分であるBVPE、0.3重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。高誘電率化の複合材料用原料として、平均粒径5μmの亜鉛粉を用いた。亜鉛粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の亜鉛粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)平均粒径5μmの亜鉛粉1kgに対して絶縁処理液150ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。絶縁処理後の亜鉛粉の断面図を図1に示す。
(2)水で希釈した4wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施した亜鉛粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。表面処理後の亜鉛粉の断面図を図2に示す。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施した亜鉛粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した高誘電率低誘電正接複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPa の多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。得られた高誘電率低誘電正接複合材料の断面図を図3に示す。
【0090】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0091】
(実施例4)
本発明の第4の実施例である高誘電率低誘電正接複合材料の作製方法を以下に説明する。本実施例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、50重量部の高分子量体であるZeonex 480、50重量部の架橋成分であるBVPE、0.5重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。高誘電率化の複合材料用原料として、ボールミルを用いて粉砕した平均粒径0.1μmの亜鉛粉を用いた。この亜鉛粉は凝集していたため目開き5μmのふるいを用いて、最大粒径5μm以下の凝集した亜鉛粉を用いた。亜鉛粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt%含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の亜鉛粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)最大粒径5μmの亜鉛粉凝集物1kgに対して絶縁処理液250ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。絶縁処理後の亜鉛粉の断面図を図4に示す。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施した亜鉛粉凝集物の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。表面処理後の亜鉛粉の断面図を図5に示す。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施した亜鉛粉凝集物を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した高誘電率低誘電正接複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPa の多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。得られた高誘電率低誘電正接複合材料の断面図を図6に示す。
【0092】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0093】
(実施例5)
本発明の第5の実施例である高誘電率低誘電正接複合材料の作製方法を以下に説明する。本実施例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、30重量部の高分子量体であるZeonex 480、70重量部の架橋成分であるBVPE、0.7重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。高誘電率化の複合材料用原料として、平均粒径5μmの銅粉を用いた。クロムめっきした銅粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の金属粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)銅粉表面のクロムめっきには回転式水平バレル装置を用いた電気めっきを行った。平均めっき膜厚は10nmとした。めっき後の金属粉の断面図を図7に示す。
(2)(1)で作製した平均粒径5μmのクロムめっきした銅粉1kgに対して絶縁処理液250ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。絶縁処理後の金属粉の断面図を図8に示す。
(3)水で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、(2)で絶縁処理を施した金属粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。表面処理後の金属粉の断面図を図9に示す。
(4)低誘電正接樹脂ワニスに対して(3)で表面処理を施した金属粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(5)(4)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した高誘電率低誘電正接複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPa の多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。得られた高誘電率低誘電正接複合材料の断面図を図10に示す。
【0094】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0095】
(実施例6)
本発明の第6の実施例である高誘電率低誘電正接複合材料の作製方法を以下に説明する。本実施例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、50重量部の高分子量体であるZeonex 480、50重量部の架橋成分であるBVPE、0.5重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。高誘電率化の複合材料用原料として、平均粒径1μmのクロム粉及び平均粒径0.1μmのAl23粉を用いた。クロム粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt%含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後のクロム粉とAl2O3粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)平均粒径1μmのクロム粉1kgに対して絶縁処理液250ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。絶縁処理後のクロム粉の断面図を図11に示す。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施したクロム粉及びAl23粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。表面処理後のクロム粉及びAl23粉の断面図を図12に示す。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施したクロム粉及び
Al23粉を樹脂硬化後の体積で60%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した高誘電率低誘電正接複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPa の多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。得られた高誘電率低誘電正接複合材料の断面図を図13に示す。
【0096】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0097】
(実施例7)
本発明の第7の実施例である高誘電率低誘電正接複合材料の作製方法を以下に説明する。本実施例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、30重量部の高分子量体であるZeonex 480、70重量部の架橋成分であるBVPE、0.7重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。高誘電率化の複合材料用原料として、ナノレベルで混合した偏平状のFe−Al23金属無機複合材粉を用いた。尚、金属無機複合材粉の短軸の平均サイズは0.2μmであり、FeのAl23に対する体積割合は7:3である。用いたFe−Al2O3金属無機複合材粉の断面図を図14に示す。Fe−Al23金属無機複合材粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の鉄粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)Fe−Al23金属無機複合材粉1kgに対して絶縁処理液200ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。絶縁処理後のFe−Al23金属無機複合材粉の断面図を図15に示す。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施したFe−Al23金属無機複合材粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。表面処理後のFe−Al23金属無機複合材粉の断面図を図16に示す。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施したFe−Al23金属無機複合材粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した高誘電率低誘電正接複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPa の多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。得られた高誘電率低誘電正接複合材料の断面図を図17に示す。
【0098】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0099】
(実施例8)
本発明の第8の実施例である高誘電率低誘電正接複合材料の作製方法を以下に説明する。本実施例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、70重量部の高分子量体であるZeonex 480、30重量部の架橋成分であるBVPE、0.3重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。高誘電率化の複合材料用原料として、ナノレベルで混合した偏平状のCd−BaTiO3金属無機複合材粉を用いた。尚、金属無機複合材粉の短軸の平均サイズは0.2μmであり、CdのBaTiO3に対する体積割合は7:3である。用いたFe−BaTiO3金属無機複合材粉の断面図を図14に示す。Cd−BaTiO3金属無機複合材粉高誘電率材料の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt%含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の鉄粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)Cd−BaTiO3 金属無機複合材粉1kgに対して絶縁処理液200ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。絶縁処理後のFe−BaTiO3金属無機複合材粉の断面図を図15に示す。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施したCd−BaTiO3 金属無機複合材粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。表面処理後のCd−BaTiO3金属無機複合材粉の断面図を図16に示す。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施したCd−BaTiO3金属無機複合材粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した高誘電率低誘電正接複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPa の多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。得られた高誘電率低誘電正接複合材料の断面図を図17に示す。
【0100】
次に本発明の高誘電率低誘電正接複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0101】
実施例1から8の結果から、本高誘電率低誘電正接複合材料を用いた基板は高い誘電率と低い誘電正接を有し、かつ高い体積固有抵抗を有することから、フィルター,A/D変換,末端,デカップリングコンデンサー,エネルギー貯蔵用コンデンサー内蔵基板として良好な特性を有していることが分かった。
【0102】
(比較例1)
第1の比較例である有機樹脂金属複合材料の作製方法を以下に説明する。本比較例では、エポキシ樹脂としてEP828((株)油化シェル製)を、エポキシ樹脂の硬化剤としてメタフェニレンジアミン(和光純薬(株)製)を、及び硬化促進剤として2E4MZ−CN(四国化成(株)製)を用いる。有機樹脂金属複合材料用原料として、平均粒径0.3μm の鉄粉を用いた。鉄粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の鉄粉の表面処理液としてS510(チッソ(株)製)を用いる。
(1)平均粒径0.3μm の鉄粉1kgに対して絶縁処理液200ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した1wt%含有のS510処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施した鉄粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。
(3)液状エポキシ樹脂のEP828に対して(2)で表面処理を施した鉄粉を体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。次にその混合物にメタフェニレンジアミンを硬化反応に関してエポキシ樹脂と当量になるように加え、更に2E4MZ−CNをエポキシ樹脂に対して0.5重量部加えて同様に3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物を80℃、4時間及び180℃、4時間加熱硬化することにより、本比較例の有機樹脂金属複合材料を得ることができる。
【0103】
次に本比較例の有機樹脂金属複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0104】
この結果、本比較例の有機樹脂金属複合材料は誘電率、及び体積固有抵抗は良好な値が得られたものの、誘電正接が大きな値となり高誘電率低誘電正接基板材料としては不適であることが分かった。
【0105】
(比較例2)
第2の比較例である有機樹脂金属複合材料の作製方法を以下に説明する。本比較例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、95重量部の高分子量体であるZeonex480、5重量部の架橋成分であるBVPE、0.05 重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。有機樹脂金属複合材料用原料として、平均粒径1μmの亜鉛粉を用いた。亜鉛粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、亜鉛粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。
(2)低誘電正接樹脂ワニスに対して(1)で表面処理を施した亜鉛粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(3)(2)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した有機樹脂金属複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPaの多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。
【0106】
次に本比較例の有機樹脂金属複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0107】
この結果、本比較例の有機樹脂金属複合材料は誘電率について良好な値が得られたものの、誘電正接は大きく、体積固有抵抗は小さな値となり高誘電率低誘電正接基板材料としては不適であることが分かった。
【0108】
(比較例3)
第3の比較例である有機樹脂金属複合材料の作製方法を以下に説明する。本比較例では、エポキシ樹脂としてEP806((株)油化シェル製)を、エポキシ樹脂の硬化剤としてメタフェニレンジアミン(和光純薬(株)製)を、及び硬化促進剤として2E4MZ−CN(四国化成(株)製)を用いる。有機樹脂金属複合材料用原料として、平均粒径30μmの亜鉛粉を用いた。亜鉛粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の亜鉛粉の表面処理液としてS510(チッソ(株)製)を用いる。
(1)平均粒径30μmの亜鉛粉1kgに対して絶縁処理液200ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS510処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施した亜鉛粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。
(3)液状エポキシ樹脂のEP806に対して(2)で表面処理を施した亜鉛粉を体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。次にその混合物にメタフェニレンジアミンを硬化反応に関してエポキシ樹脂と当量になるように加え、更に2E4MZ−CNをエポキシ樹脂に対して0.5重量部加えて同様に3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物を80℃、4時間及び180℃、4時間加熱硬化することにより、本比較例の有機樹脂金属複合材料を得ることができる。
【0109】
次に本比較例の有機樹脂金属複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0110】
この結果、本比較例の有機樹脂金属複合材料は体積固有抵抗と誘電率については良好な値が得られたものの、誘電正接は大きな値となり高誘電率低誘電正接基板材料としては不適であることが分かった。
【0111】
(比較例4)
第4の比較例である有機樹脂金属複合材料の作製方法を以下に説明する。本比較例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、85重量部の高分子量体であるZeonex480、15重量部の架橋成分であるBVPE、0.15 重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。有機樹脂金属複合材料用原料として、ボールミルを用いて粉砕した平均粒径0.1μm の亜鉛粉を用いた。この亜鉛粉は凝集していたため目開き50μmのふるいを用いて、最大粒径50μm以下の凝集した亜鉛粉を用いた。亜鉛粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の亜鉛粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)最大粒径50μmの亜鉛粉凝集物1kgに対して絶縁処理液200ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した3wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施した亜鉛粉凝集物の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施した亜鉛粉凝集物を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した有機樹脂金属複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPaの多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。
【0112】
次に本比較例の有機樹脹金属複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0113】
この結果、本比較例の有機樹脂金属複合材料は体積固有抵抗については良好な値が得られたものの、誘電率については値が小さく、誘電正接は大きな値となり高誘電率低誘電正接基板材料としては不適であることが分かった。
【0114】
(比較例5)
第5の比較例である有機樹脂金属複合材料の作製方法を以下に説明する。本比較例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、70重量部の高分子量体であるZeonex480、30重量部の架橋成分であるBVPE、0.30 重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。有機樹脂金属複合材料用原料として、平均粒径5μmの銅粉を用いた。クロムめっきした銅粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)銅粉表面のクロムめっきには回転式水平バレル装置を用いた電気めっきを行った。平均めっき膜厚は10nmとした。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、(1)でクロムめっきした銅粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施した金属粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した有機樹脂金属複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPaの多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。
【0115】
次に本比較例の有機樹脂金属複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0116】
この結果、本比較例の有機樹脂金属複合材料は誘電率について良好な値が得られたものの、誘電正接が大きく、体積固有抵抗は小さな値となり高誘電率低誘電正接基板材料としては不適であることが分かった。
【0117】
(比較例6)
第6の比較例である有機樹脂金属複合材料の作製方法を以下に説明する。本比較例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、50重量部の高分子量体であるZeonex480、50重量部の架橋成分であるBVPE、0.50 重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。有機樹脂金属複合材料用原料として、平均粒径1μmのクロム粉及び平均粒径0.1μmのAl23粉を用いた。クロム粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt%含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。
(1)平均粒径1μmのクロム粉1kgに対して絶縁処理液200ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。
(2)低誘電正接樹脂ワニスに対して(1)で絶縁処理を施したクロム粉及びAl23粉(体積割合3:1)を体積で60%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。しかし、本比較例で作製した有機樹脂金属複合材料は均一に混合することができなかった。
【0118】
この結果、本比較例の有機樹脂金属複合材料は高誘電率低誘電正接基板用として用いるには不適であることが分かった。
【0119】
(比較例7)
第7の比較例である有機樹脂金属複合材料の作製方法を以下に説明する。本比較例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、50重量部の高分子量体であるZeonex480、50重量部の架橋成分であるBVPE、0.50 重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。有機樹脂金属複合材料用原料として、球状のFe−Al23金属無機複合材粉を用いた。尚、金属無機複合材粉の平均サイズは10μmであり、FeのAl23に対する体積割合は7:3である。Fe−Al23金属無機複合材粉の絶縁処理液には防錆剤としてベンゾトリアゾール0.4mol/l、界面活性剤としてEF104(トーケムプロダクツ製)0.1wt% 含有させたリン酸塩化成処理液を用いた。絶縁処理後の鉄粉の表面処理液としてS510(チッソ(株)製)を用いる。
(1)Fe−Al23金属無機複合材粉1kgに対して絶縁処理液200ml加え、Vミキサーで30分攪拌した後、180℃,60分の熱処理を行う。
(2)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、(1)で絶縁処理を施したFe−Al23金属無機複合材粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。
(3)低誘電正接樹脂ワニスに対して(2)で表面処理を施したFe−Al23金属無機複合材粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(4)(3)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した有機樹脂金属複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPaの多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。
【0120】
次に本比較例の有機樹脂金属複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0121】
この結果、本比較例の有機樹脂金属複合材料は誘電率、及び体積固有抵抗は良好な値が得られたものの、誘電正接が大きな値となり高誘電率低誘電正接基板材料としては不適であることが分かった。
【0122】
(比較例8)
第8の比較例である有機樹脂金属複合材料の作製方法を以下に説明する。本比較例では、低誘電正接化の複合材料用原料として、30重量部の高分子量体であるZeonex480、70重量部の架橋成分であるBVPE、0.70 重量部の硬化触媒である25B、トルエンをワニスの溶媒として用いる。有機樹脂金属複合材料用原料として、ナノレベルで混合した偏平状のCr−BaTiO3 金属無機複合材粉を用いた。尚、金属無機複合材粉の短軸の平均サイズは0.2μm であり、CrのBaTiO3 に対する体積割合は7:3である。絶縁処理後の鉄粉の表面処理液としてS210(チッソ(株)製)を用いる。
(1)水とエタノールの混合溶媒で希釈した2wt%含有のS210処理液を用いて、Cr−BaTiO3 金属無機複合材粉の表面処理を行った。処理条件は150℃,1時間とした。
(2)低誘電正接樹脂ワニスに対して(1)で表面処理を施した、Cr−BaTiO3金属無機複合材粉を樹脂硬化後の体積で50%になるように加え、3本ロールを用いて混錬する。
(3)(2)でできた混合物ワニスを真空乾燥する。ポリテトラフルオロエチレン製のスペーサ内に所定量の乾燥した有機樹脂金属複合材料組成物を入れ、ポリイミドフィルムと鏡板を介して真空下、加熱,加圧して作成した。加熱条件は120℃/30分,150℃/30分,180℃/100分、プレス圧力は1.5MPaの多段階加熱とした。なお、樹脂板サイズは100mm×100mm×1mmとした。
【0123】
次に本比較例の有機樹脂金属複合材料の誘電率,誘電正接、及び体積固有抵抗については実施例1同様にして測定した(表2)。
【0124】
この結果、本比較例の有機樹脂金属複合材料は誘電率について良好な値が得られたものの、誘電正接及び体積固有抵抗が大きな値となり高誘電率低誘電正接基板材料としては不適であることが分かった。
【0125】
【発明の効果】
本発明により得られた高誘電率複合材料は無機塩による化成処理を用いた絶縁処理を施し、更に、有機樹脂と相溶性向上のための表面処理を施したμm以下のサイズの金属粉を有機樹脂に充填した材料であるため、周波数が数十GHzオーダーでも15以上の誘電率かつ0.05以下の誘電正接を有する。
【0126】
本高誘電複合材料を用いた基板は高い誘電率と低い誘電正接を有し、かつ高い体積固有抵抗を有することから、フィルター,A/D変換,末端,デカップリングコンデンサー,エネルギー貯蔵用コンデンサー内蔵基板として良好な特性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明第1,2及び3の実施例である絶縁処理後の金属粉の断面図。
【図2】本発明第1,2及び3の実施例である表面処理後の金属粉の断面図。
【図3】本発明第1,2及び3の実施例である高誘電複合材料の断面図。
【図4】本発明第4の実施例である絶縁処理後の凝集した金属粉の断面図。
【図5】本発明第4の実施例である表面処理後の凝集した金属粉の断面図。
【図6】本発明第4の実施例である高誘電複合材料の断面図。
【図7】本発明第5の実施例であるめっき後の凝集した金属粉の断面図。
【図8】本発明第5の実施例である絶縁処理後の金属粉の断面図。
【図9】本発明第5の実施例である表面処理後の金属粉の断面図。
【図10】本発明第5の実施例である高誘電複合材料の断面図。
【図11】本発明第6の実施例であるめっき後の凝集した金属粉の断面図。
【図12】本発明第6の実施例である表面処理後の金属無機複合材粉の断面図。
【図13】本発明第6の実施例である高誘電複合材料の断面図。
【図14】本発明第7及び8の実施例に用いた金属無機複合材粉の断面図。
【図15】本発明第7及び8の実施例である絶縁処理後の金属無機複合材粉の断面図。
【図16】本発明第7及び8の実施例である表面処理後の金属無機複合材粉の断面図。
【図17】本発明第7及び8の実施例である高誘電複合材料の断面図。

Claims (13)

  1. 重量平均分子量が1000以下の一般式〔1〕
    Figure 0004134835
    (但し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素骨格、R1 は水素,メチル、またはエチルを示し、mは1〜4、nは2以上の整数を示す。)で表される複数のスチレン基を有する架橋成分と、重量平均分子量5000以上の高分子量体を含有した樹脂に、平均粒径が5μm以下の絶縁処理及びカップリング処理が施された金属粉を必須成分とする無機フィラを分散してなる、100MHzから80GHzの周波数領域で誘電正接が0.05 以下であり、誘電率が15以上であることを特徴とする高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  2. 前記高分子量体がフィルム形成能を有する高分子量体である請求項1に記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  3. スチレン基を重合,架橋し得る硬化触媒、または、スチレン基の重合,架橋を抑制する重合禁止剤を含む請求項1または2に記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  4. 前記高分子量体がブタジエン,イソプレン,スチレン,エチルスチレン,ジビニルベンゼン,N−ビニルフェニルマレイミド,アクリル酸エステル,アクリロニトリルの1種以上の単独または共重合体、置換基を有していてもよいポリフェニレンオキサイド,環構造を有するポリオレフィン,ポリシロキサン,ポリエーテルイミドの少なくとも一つを含む樹脂である請求項1または2に記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  5. 前記金属粉を必須成分とする無機フィラが凝集体を含み、該金属粉を必須成分とする無機フィラの凝集体の平均粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項1記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  6. 前記金属粉表面に厚さ1000〜1nmのCr,Cd,Zn,Mn,Feの内少なくとも1種類以上の金属被覆膜が形成されていることを特徴とする請求項1または記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  7. 前記絶縁処理が無機塩を用いた化成処理であることを特徴とする請求項1,5,6のいずれかに記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  8. 前記無機フィラの一部として金属酸化物を併用することを特徴とする請求項1,5〜7のいずれかに記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  9. 前記金属がAl,Mn,Si,Mg,Cr,Nb,Ni,Mo,Cu,Fe,W,Zn,Sn,Pb,Ag,Ti,Zr,Ta,Pt,Sbであることを特徴とする請求項1,5〜7のいずれかに記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  10. 硬化触媒の添加量が0.0005〜10重量部、重合禁止剤の添加量が0.0005〜5重量部を含む請求項3に記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  11. 前記硬化触媒が有機過酸化物またはビスアジド化合物、前記重合禁止剤がキノン類,芳香族ジオール類である請求項10に記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物。
  12. 請求項1または2に記載の高誘電率低誘電正接複合材料組成物を硬化し、かつ硬化後の誘電正接が0.05 以下であることを特徴とする硬化物。
  13. 重量平均分子量1000以下の一般式〔1〕
    Figure 0004134835
    (但し、Rは置換基を有していてもよい炭化水素骨格、R1 は水素,メチル,エチルを示し、mは1〜4、nは2以上の整数を示す。)で表される複数のスチレン基を有する架橋成分と、フィルム形成能を有する高分子量体と、平均粒径が5μm以下の絶縁処理及びカップリング処理が施された金属粉を必須成分とする無機フィラを含み、100MHzから80GHzの周波数領域で誘電正接が0.05以下であり、誘電率が15以上であることを特徴とする硬化性フィルム。
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