JP4132782B2 - パチンコ遊技機の球払出装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ遊技機やそれに付随する球貸出装置等に設けられる球払出装置の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図9に例示した従来のパチンコ遊技機の球払出装置は、作動体aが支軸bにより鉛直面内で回転し得るように支持され、ソレノイドcを作動させることによって該作動体aの嘴状に尖った先端部dがパチンコ球eの払出流路fの一側に形成された窓孔gから該払出流路中に突出することでパチンコ球eの流下を制止し得るように構成されたものである。
【0003】
ところで、従来のこのような球払出装置では、例えば停電時等に作動体aが払出流路f中に突出したときその先端部dが偶然にもパチンコ球eの真中心を突くと、図10に示したように該パチンコ球eがその先端部dと相対する側壁との間に挟まって架橋状態となり、該パチンコ球eは中途半端な状態となって球センサの検知に異常をもたらすとともにソレノイドに過大な負荷が掛り故障の原因となることがあった。
【0004】
また、従来の球払出装置は、払出流路中にてパチンコ球が連なって流下するので、通過球検出センサに払出球数を検出させる際に検出ミスが生じ、過剰にパチンコ球を払出してしまうおそれがあった。
【0005】
なお、同様の問題は、モータによってスプロケットを回転させることによりパチンコ球を払い出す構造のスプロケット式球払出装置、および、モータによってスクリューを回転させることによりパチンコ球を払い出す構造のスクリュー式球払出装置においても生じるものであった。
【0006】
なお、特許第3143025号に係る賞球払出装置は、上記払出流路fに設けられた作動体aと相対する側壁にスプロケットを設けたものであったが、そのスプロケットの位置,形状は、先端部dにて押圧されたパチンコ球eを依然として相対する側壁に圧接させてしまうものであったので、図10に示したようにパチンコ球eを架橋状態にするという問題点を何ら解消させるものではない。
【0007】
また、一般に球払出装置の上部には整流器が設けられ、球タンクに貯留されたパチンコ遊技機が該整流器を通ることにより一列に整列され球払出装置に導かれるようにしているが、一列に整列させる過程で球詰りが生じ易いという問題があるとともに、一列の球払出では払い出し能力(単位時間当りの払出球数)が小さいために、一時の多量に払出す要請に間に合わないという問題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解消し、十分な払い出し能力を持つとともに、常に円滑に作動し得る球払出装置を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
そのために本発明の球払出装置は、パチンコ球が複数列または半複数列に並んで流下し得る内幅を持つ払出流路を形成し、複数の歯列が並設されたスプロケットを該払出流路の一側に回転自在に設け、該払出流路を流下してきたパチンコ球が該スプロケットの歯間に一個ずつ咥えられ該パチンコ球の自重により該スプロケットが回転せられるようにするとともに、該払出流路の他側で該スプロケットの回転軸より下部位置にアクチュエータの作動によって該払出流路中に出没する作動体を設け、該作動体を該払出流路中に突出させたとき該作動体の先端部と該スプロケットの各歯列の歯底面との間にパチンコ球が静止されるようにしたことを特徴とする。
また本発明は上記球払出装置において、作動体の先端部が払出流路中に突出する途中過程で、スプロケットの中心とパチンコ球と該先端部とが略々一直線に並ぶ際も該パチンコ球の外周面と歯底面との間にはなおも隙間が形成されるように設定したことを特徴とする。
また本発明は上記球払出装置において、スプロケットの各歯列の歯先面は回転方向に向けてより大径となる斜面状に形成されていて該歯先面に当接したパチンコ球の重量が該スプロケットに回転トルクを及ぼすものであることを特徴とする。
また本発明は上記球払出装置において、スプロケットの各歯列の歯先面は並設されている他の歯列の歯底面に向けて小径状となるように互いに斜面状に形成されていて該各歯先面に当接したパチンコ球が該歯底面に向けて自重で移動する傾向にあるようにしたことを特徴とする。
また本発明は上記球払出装置において、スプロケットの各歯列は払出流路内にて連なっているパチンコ球どうしを非接触状態に離間させる歯厚を持つものであることを特徴とする。
また本発明は上記球払出装置において、スプロケットの各歯列は互いに半ピッチずつ位相をずらして並設したものであることを特徴とする。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に図面に従い本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係る球払出装置の縦断面図、図2はそのA−A線断面図、図3はそのB−B線断面図である。1はパチンコ遊技機の裏側に設けられた球タンク等に連通し、パチンコ球pが図2に示されるように千鳥状に左右に交互に並んで流下し得る内幅(24mm程度)を持つようにケーシング2に形成された払出流路である。
【0011】
3は該払出流路の一側に回転軸4によって鉛直面内で回転自在なるように支持されたスプロケットで、該スプロケットは、図4にも示したように、夫々3つの歯を持つ歯列3aと歯列3bが互いに半ピッチずつ位相をずらして並設され、払出流路1を流下してきたパチンコ球pが該スプロケットの歯間に一個ずつ咥えられ該パチンコ球の自重により該スプロケットが矢印の方向に回転せられる。なお、各歯列3a,3bの歯先面5a,5bは回転方向に向けてより大径となる斜面状に形成されていて該歯先面に当接したパチンコ球pの重量によっても該スプロケットを矢印の方向に回転させる回転トルクが及ぼされるようにしている。また、該各歯先面5a,5bは互いに並設された他の歯列の歯底面6a,6bに向けて小径状となるように僅かながら斜面状に形成されていて該各歯先面に当接したパチンコ球pが該歯底面に向けて自重で移動する傾向にあるようにしている。また、該各歯列3a,3bの歯厚tは払出流路内1にて連なっているパチンコ球pどうしを非接触状態に離間し得るものに設定されている。なお、7a,7bは該歯列3a,3bの両外側面に一体に形成されたフランジである。
【0012】
また、8は払出流路1の他側で前記回転軸4より下部位置にて窓孔9から該払出流路中に先端部10が出没するように支軸11に回転自在に軸支された作動体、12は支軸13に回転自在に軸支された連動片で、該作動体の後端部に該連動片12が係合され、該連動片にアクチュエータたるソレノイド14のプランジャーヘッド15を係止させている。このため該ソレノイド14が励磁されることによってプランジャーヘッド15がコイルバネ16の弾性に抗して牽引され、該作動体8は支軸11を中心として回転し、先端部10を払出流路1中に出没させる。そして、図1に示されるように、払出流路1中に突出させたとき該先端部10とスプロケット3の歯底面6a,6bとの間にパチンコ球pが静止されるようにしている。
【0013】
即ち、この装置では、パチンコ球pの直径dとスプロケット3の歯底面6a,6bの半径rとの和が払出流路1中に突出した先端部10と該スプロケット3の中心との距離mよりも大である(d+r>m)ように設定することで、該先端部10が払出流路1中に突出することにより、パチンコ球pを該先端部10と歯底面6a,6bとの間に静止させることができ、これによって該パチンコ球の払出が停止される。また該先端部10が没して、パチンコ球pの直径dとスプロケット3の歯底面6a,6bの半径rとの和が払出流路1中に突出した先端部10と該スプロケット3の中心との距離mよりも小となる(d+r<m)ことで該パチンコ球の払出が開始される。
【0014】
また、この払出装置では、図5に示したように、払出流路1中に先端部10が突出する途中過程で、スプロケット3の中心とパチンコ球pと該先端部10とが略々一直線に並ぶときも該パチンコ球pの外周面とスプロケット3の歯底面6a,6bとの間に常に隙間gが形成されるように、該歯底面の形状,寸法および回転軸4の位置が決められる。この隙間gがあると先端部10が突出する際パチンコ球pが該先端部によって押されても該パチンコ球pは該スプロケット3を回転させつつこの隙間gに逃げ込む余裕があることとなり架橋状態となるおそれがない。
【0015】
また、スプロケットの各歯列の歯先面は並設されている他の歯列の歯底面に向けて小径状となるように互いに斜面状に形成されている。即ち、歯列3aの歯先面5aは歯列3bの歯底面6bに向けて小径状となる斜面状に形成され、歯列3bの歯先面5bは歯列3aの歯底面6aに向けて小径状となる斜面状に形成されている。このため、該各歯先面に当接したパチンコ球は互いに他の歯列の歯底面に向けて自重で移動する傾向を持つようにしている。これは仮にパチンコ球が1球だけ歯先面5aまたは5b上に残された場合でも該パチンコ球は隣合う歯底面に転動し該スプロケットをその自重で回転させて確実に排出されるようにするためである。
【0016】
また、該スプロケットの各歯先面5a,5bはいわゆる巴形に形成されていることから、この歯先と払出流路1の側壁との間でパチンコ球pが架橋状態となることが可及的に防止されるようにしている。
【0017】
なお、17は球計数用センサで、該センサは作動体6により静止されるパチンコ球pの僅かに下流位置で該作動体6から開放された直後のパチンコ球を検出する。
【0018】
このように構成した球払出装置では、常態ではコイルバネ16の弾性により作動体8の先端部10が払出流路1中に突出することから、図1に示したように最下のパチンコ球pが歯底面6aまたは6bと該先端部10の間に挟まれて該スプロケット3の回転および該パチンコ球pの流下が止められる。そして球払出制御装置からの指令によりソレノイド14が励磁されプランジャーヘッド15が牽引され該先端部10が払出流路1中から没すると該パチンコ球pはその静止が解除され自重により落下しスプロケット3を回転させることから払出流路1に並んだパチンコ球を複数列にて高速で一気に払出すことができる。
【0019】
そして停電時、或いは、所定数のパチンコ球が払い出されたところでソレノイド14が消磁されコイルバネ16の弾性により先端部10が払出流路1中に突出すると、該先端部とスプロケット3の歯底面6a,6bとの間で該パチンコ球pが静止されその流下が止められる。このようにスプロケット3は歯列3a,3bをパチンコ球間に挟入して回転するものでありその歯底面6a,6bが常に動くために、該歯底面と先端部8との間で球噛みを起すおそれがない。しかも該先端部8が払出流路1中に突出する途中過程で、仮に図5に示したように、パチンコ球pに突き当たり、スプロケット3の中心とパチンコ球pと該先端部8とが略々一直線に並ぶ状況があったとしても該パチンコ球pと歯底面3aとの間に隙間gが存するようにすることで、該パチンコ球pが逃げ込む余裕があることから架橋状態となり球噛み,球詰りを起すようなおそれは一層確実に解消される。
【0020】
そして歯列3a,3bは払出流路1内にて連なっているパチンコ球p間に介入しパチンコ球どうしを非接触状態に離間させるので、球計数用センサ17による検知が容易となり検知ミスがなくなって払出球数に過不足が生じるのを確実に防止する。なお、パチンコ球が払出されてからセンサに検知されるまでのタイムラグを踏まえ過剰払出を防止するためはスプロケット3の歯厚tを調節することでも対処できる。
【0021】
一方、図6に示した実施形態は、スプロケット3の上流に緩傾斜状の払出流路1を形成するとともに図7に示したようにその横断面を山形に形成することで隣り合うパチンコ球どうしがなるべく離間し両サイド寄りを流れるように配慮するとともに、作動体8の先端部10についても図8に示したように山形に形成することで、隣り合うパチンコ球どうしが干渉することのないように配慮したものである。これによって、パチンコ球が複数列または半複数列に並んで流下させる際の互いのパチンコ球の干渉による球詰りのおそれを解消させる。なお、払出流路1の横断面を山形に形成することによってはパチンコ球pが両サイド寄りを流れスプロケット3の中央部に落下するのを防ぐことから、パチンコ球が歯先面5a,5bの角に当って衝撃でその角を破損,磨耗させるようなことが防がれるとともに、パチンコ球が両サイドからより確実にスプロケットの歯間に咥えられるようになり、スプロケットの回転をスムースにする。なお、同様の趣旨で払出流路1に仕切壁を設けてもよい。
【0022】
また、上記スプロケット3を金属製等にして外周面を導電性材料で形成するようにし回転軸4にアースコードを接触させ外部へ導電すれば、パチンコ球pの静電気がその接触によって逃がされ、帯電による誤作動等を防止できるようになる。
【0023】
また、球計数用センサ17には光学式や磁気式等種々のセンサを使用可能であるとともに、その取付位置についてもこの実施形態に限られるものではない。また、スプロケット3の回転をセンサによって検出することで払出球を計数するようにしてもよい。
【0024】
また、図示しないが、スプロケット3が回転する際にその動力で回転するようにファンを設け、該ファンが回転するときに起きる風でソレノイド14等が冷却されるようにし、その焼き付きを防止するようにすることも可能である。
【0025】
また、上記実施形態ではパチンコ球の流下を静止する作動体を回転自在に軸支した例を説明したが、作動体はスライド移動する形態に設けられていてもよい。また、作動体の形態も図示したものの他、スプロケット状のもの、或いはスクリュー状のもの等、他の形態のものにも適用できる。
【0026】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の球払出装置は、パチンコ球が複数列または半複数列に並んで流下し得る内幅を持つ払出流路を形成し、複数の歯列が並設されたスプロケットを該払出流路の一側に回転自在に設け、該払出流路を流下してきたパチンコ球が該スプロケットの歯間に一個ずつ咥えられ該パチンコ球の自重により該スプロケットが回転せられるようにするとともに、該払出流路の他側で該スプロケットの回転軸より下部位置にアクチュエータの作動によって該払出流路中に出没する作動体を設け、該作動体を該払出流路中に突出させたとき該作動体の先端部と該スプロケットの各歯列の歯底面との間にパチンコ球が静止されるようにしたので、パチンコ球を複数列にて高速で払出すことができるとともに、スプロケットの常なる回転によりパチンコ球が架橋状態になることなく球詰りを確実に防ぐことができ、トラブルなく常に円滑にパチンコ球を払出せる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るパチンコ遊技機の球払出装置の実施形態を示した縦断面図。
【図2】図1のA−A線断面図。
【図3】図1のB−B線断面図。
【図4】図1の球払出装置のスプロケットの斜視図。
【図5】図1の作動状態図。
【図6】本発明に係るパチンコ遊技機の球払出装置の他の実施形態を示した縦断面図。
【図7】図6のC−C線断面図。
【図8】図6の球払出装置の作動体の斜視図。
【図9】従来の球払出装置の縦断面図。
【図10】図9の作動状態図。
【符号の説明】
p パチンコ球
g 隙間
1 払出流路
3 スプロケット
3a,3b 歯列
4 回転軸
5a,5b 歯先面
6a,6b 歯底面
8 作動体
10 先端部
14 ソレノイド(アクチュエータ)

Claims (1)

  1. パチンコ球が複数列または半複数列に並んで流下し得る内幅を持つ払出流路を形成し、複数の歯列が並設されたスプロケットを該払出流路の一側に回転自在に設け、該スプロケットの各歯列の歯先面は並設されている他の歯列の歯底面に向けて小径状となるように互いに斜面状に形成されていて該各歯先面に当接したパチンコ球が該歯底面に向けて自重で移動する傾向にあるようにし、該払出流路を流下してきたパチンコ球が該スプロケットの歯間に一個ずつ咥えられ該パチンコ球の自重により該スプロケットが回転せられるようにするとともに、該払出流路の他側で該スプロケットの回転軸より下部位置にアクチュエータの作動によって該払出流路中に出没する作動体を設け、該作動体を該払出流路中に突出させたとき該作動体の先端部と該スプロケットの各歯列の歯底面との間にパチンコ球が静止されるようにしたことを特徴とするパチンコ遊技機の球払出装置。
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