JP4132603B2 - シート状部材の保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状部材をドラムの周面に巻き付けて保持し、この保持状態で前記ドラムを軸回転させながら、シート状部材の表面を処理する処理装置に用いられ、前記シート状部材の端部を前記ドラムの周面に密着保持するためのシート状部材の保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、印刷には、アルミニウムの薄板などのシート状の支持体に感光層を形成した感光性印刷版(以下「印刷版」と言う)が用いられる。このような印刷版には、印刷物のサイズに応じて縦横の寸法の異なるものが用いられる。
【0003】
印刷版に画像露光を施す画像露光装置には、印刷版を回転ドラムに巻き付け、回転ドラムと一体で印刷版を回転しながら画像データに応じた光ビームを印刷版に照射することにより、印刷版を走査露光するものがある。
【0004】
回転ドラムに印刷版を巻き付ける場合、回転ドラムの周方向に沿った印刷版の両端をチャック等の保持部材によって回転ドラムとの間で挟持して固定する。
【0005】
すなわち、印刷版におけるドラム周方向に沿う何れか一方の端部(例えば巻き付け方向先端側の端部)に対応するチャックを回転ドラムの所定の位置に取り付けておき、印刷版の他方の端部(ここでは、巻き付け方向後端部の端部)に対応するチャックを、回転ドラムに印刷版を巻き付けた後に、印刷版のサイズにあわせた位置に装着する。
【0006】
ここで、印刷版のサイズに合わせて回転ドラムに取り付けるためのチャックの構造として、回動ドラムの周面に周方向に亘って形成された装着溝の任意の位置に挿入可能な固定コマ(支柱)を備えたものがある(以下、クランプという)。このクランプに取り付けられた固定コマは、装着溝の何れにも移動可能であり、サイズの異なる印刷版に対応して適正位置で印刷版の端部を挟持することができる。
【0007】
ところで、回転ドラムに巻き付けた印刷版を露光するときには、回転ドラムの周面に印刷版を密着させ、回転ドラムと共に印刷版を高速で回転させるようにしている。
【0008】
このとき、遠心力によってクランプのチャック部によって固定した印刷版の端部に浮きが生じるのを防止するため、固定コマの位置を挟んで、印刷版チャック位置と反対側の位置に、チャック部による印刷版の挟持力を助長する部材を設けている。この部材は、ばね等の付勢部材であり、、この付勢部材の付勢力でチャックによる挟持力を高める構造となっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記クランプ等の保持装置と回転ドラムとの間で付勢力が付与されるためには、保持装置に設けている付勢部材を回転ドラムの周面に接触させる必要がある。このため、回転ドラムの周面に傷等による凹凸が形成されてしまうことがある。
【0010】
この凹凸が形成された位置に異なるサイズの印刷版が密着すると、凹凸により印刷版に浮きが生じ、光ビームを走査して画像記憶を行うときの、ピントずれや画像の歪みが発生して、画質に悪影響を及ぼすことになる。
【0011】
また、保持部材による挟持力が弱いと、印刷版の回転ドラムへの密着性が低下し、ピントずれ等を発生させる原因となる。これは、印刷版の腰の強さに起因するものであり、特に印刷版の回転ドラム周方向の端部(挟持位置)での印刷版の圧縮方向のずれにより発生する。
【0012】
本発明は上記事実を考慮し、ドラムの周面へのシート状部材の密着保持する際に、ドラム周面に傷等による凹凸を形成することなく、当該シート状部材の端部を確実に保持し、かつドラム周面に対して浮き等を防止して、画質の低下を防止することができるシート状部材の保持装置を得ることが目的である。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、シート状部材をドラムの周面に巻き付けて保持し、この保持状態で前記ドラムを軸回転させながら、シート状部材の表面を処理する処理装置に用いられ、前記シート状部材の前記ドラムの周方向に沿った端部をドラムの周面に密着保持するためのシート状部材の保持装置であって、前記ドラムの周面に所定の溝幅で溝方向が周方向へ沿うように形成された溝部と、前記溝部の溝方向に沿った任意の位置に対向可能とされ、ドラムの半径方向に沿って配置される軸を中心に回転されることにより溝部の前記溝幅方向に沿った寸法が広幅又は狭幅となりうることで、溝部へ挿入可能でかつ挿入された状態で抜け止め可能とされ、抜け止めされた状態でドラムに固定される支柱と、前記ドラムに固定された前記支柱を支点としてドラムの周方向の端部が周面との接離方向に回動可能とされたプレートと、前記プレートの前記ドラムの周方向に沿った一端部に設けられ、前記シート状部材の前記端部が対向され、プレートの前記支柱を中心とする回動に応じて、シート状部材の挟持及び挟持解除の2位置を取り得ると共に、プレートに対してドラムの周方向にスライド可能とされたクランプ部と、前記支柱が前記ドラムの周面に固定された状態で、前記プレートを、前記クランプ部がドラムの周面に接近する方向へ回動させ、クランプ部とドラムの周面とで前記シート状部材を挟持する回動手段と、前記回動手段による前記シート状部材の挟持状態で、前記ドラムの回転により発生する遠心力に応じて、前記クランプ部を前記シート状部材が緊張される方向へスライドさせるスライド手段と、を有している。
【0014】
請求項1記載の発明によれば、ドラムの周面にシート状部材を配置し、その巻き付け方向端部を保持装置によって保持する。
【0015】
ドラムの周面には、溝部が形成されており、支柱は、この溝部に挿入されて軸回転されることにより、溝部からの抜け止めが施され、ドラムの周面の任意の位置に固定される。その後、回動手段による前記支柱を支点とするプレートの回動により、クランプ部がドラム周面方向へ移動し、このクランプ部とドラム周面とでシート状部材の端部を挟持する。これにより、シート状部材がドラムの周面に保持される。
【0016】
シート状部材は、ドラム周面に巻きつけられ、その巻き付け方向両端部がそれぞれ保持されることで、ドラムの周面に密着保持される。この場合、シート状部材の腰の強さ等によりドラムの周方向の端部がめくれ上がることは防止されるが、ドラム周面との相対移動(ずれ)により、ドラムの周方向に沿ったシート状部材の中間に浮きが生じることがある。この浮きは、シート状部材の表面までの距離が均一な状態であることが好ましい処理(例えば、レーザービーム等による画像走査記録処理)において、不都合となる。
【0017】
そこで、請求項1に記載の発明では、クランプ部をドラム周方向に沿ってスライド可能としておく。この状態で、スライド手段によりドラムの回転に応じて発生する遠心力を利用してこのクランプ部をシート状部材が緊張する方向にスライドさせる。このとき、クランプ部がシート状部材を追従させることになるため、シート状部材に浮きが生じていてもこれをドラムの回転によって解消することができる。すなわち、ドラムの回転中が、シート状部材の表面への処理時期であるため、少なくとも処理中のシート状部材の浮きを防止することができる。
【0018】
請求項2に記載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記回動手段が、前記支柱が前記ドラムへ固定された状態で、前記プレートを前記クランプ部による前記シート状部材の端部の挟持位置へ向けて回動される付勢力を付与することが可能なプレート回動用付勢手段であり、ドラムの回転時に生じる遠心力によって前記プレート回動用付勢手段の付勢力が助長されることを特徴としている。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、プレートは、支柱がドラムに固定されることで、プレート回動用付勢手段の付勢力により回転し、クランプ部をドラムの周面に接近させ、このクランプ部とドラムの周面との間にシート状部材を挟持可能となる。また、プレートは、ドラムが回転すると遠心力により支柱を中心に回転する。このプレートの回転方向と、前記プレート回動用付勢手段によるプレートの回動方向とが同一方向であるため、ドラム回転中は、クランプ部にプレート回動用付勢手段の付勢力と、遠心力との両方の力が加算されるため、ドラム周面との間でシート部材を挟持する力を増加することができる。
【0020】
請求項3に記載の発明は、前記請求項1又は請求項2に記載の発明において、前記スライド手段が、前記ドラムの回転に応じて発生する遠心力で軸回転されるフラップと、前記フラップと前記クランプ部を連結すると共にフラップの軸回転をクランプ部が前記シート状部材の緊張方向へスライドされるように変換して伝達可能な連結部材と、で構成されていることを特徴としている。
【0021】
請求項3に記載の発明によれば、例えば、ドラムの軸方向に沿うように設けられている回転軸から半径方向に板材が延設されたフラップを用い、このフラップが遠心力によりあおられることで、回転軸を回転させ、この回転によって連結部材を介してクランプ部をスライドさせる。このクランプ部のスライド方向は、シート状部材を緊張させる方向であるため、ドラム回転中は、クランプ部に、常にシート状部材を緊張方向に引っ張る力が働き、浮き等を生じさせることを防止できる。
【0022】
請求項4に記載の発明は、前記請求項3に記載の発明において、前記連結部材が、前記シート状部材の前記緊張方向及び緊張方向と反対方向の両方向へ前記クランプ部をスライド可能とする剛体であることを特徴としている。
【0023】
請求項4に記載の発明によれば、前記連結部材として、一方を引張る(緊張)ことで他方に連結された部材を同量引張り可能であり、かつ一方を押圧(圧縮)することで、他方に連結された部材を同量押圧可能である剛体を用いることで、力のロスがない状態でフラップの回転力による変位量をクランプ部のスライド量に付与することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1から請求項4の何れか1項記載の発明において、前記クランプ部による前記シート状部材の前記挟持解除位置で、前記スライド手段によるクランプ部のシート状部材の緊張方向へのスライドのストローク量が最大となる原位置に位置決めする位置決め手段を、さらに有することを特徴としている。
【0027】
請求項5に記載の発明によれば、クランプ部は、シート状部材と非接触状態である挟持解除位置で、シート状部材と接触してからの移動ストロークを稼ぐために、この移動可能なストローク量が最大となる原位置に戻しておく必要がある。そこで、位置決め手段により、少なくともクランプ部がシート状部材を押圧していない状態では、原位置に位置決めする。
【0028】
請求項6に記載の発明は、前記請求項5に記載の発明において、前記位置決め手段が、前記ドラムが回転されたときの遠心力による前記クランプ部のスライド力よりも弱い付勢力でクランプ部を前記シート状部材の緊張方向と反対方向へ付勢するクランプ部スライド用付勢手段であることを特徴としている。
【0029】
請求項6に記載の発明によれば、請求項6の位置決め手段として、クランプ部を前記遠心力による前記シート状部材の緊張方向へのスライドよりも弱い付勢力で反対方向へ付勢するクランプ部スライド用付勢手段を用いることが、簡便な構造となる。
【0031】
このように、本発明では、ドラムに対して支柱を着脱可能とする。このときに、少なくともドラムの周方向に沿ったシート状部材の一方の端部に対向される第1の支柱が予め固定され、他方の端部に対向される第2の支柱が着脱可能であれば良く、これにより、例えば、ドラムの接線方向から搬送されてくるシート状部材の先端がドラムの周面の所定位置にきたときに、予めドラムに固定している第1の支柱のクランプ部をドラムへ接近させて、シート状部材の搬送方向先端部をクランプする。このとき、シート状部材の後端部に対応させる第2の支柱がドラム上に存在しないため、シート状部材を順次ドラムに巻き付けていくときに、後端部を保持する機構がシート状部材と干渉することがない。また、ドラムの周面にシート状部材が巻き付けられると、その後端部に対応する位置に、後端部に対応させるべき第2の支柱を固定した後クランプする。これにより、シート状部材の両端をクランプすることができる。なお、第1の支柱と第2の支柱とは、シート状部材の前後端においてクランプする向きが異なるため、便宜上区別したのみであり、異なる構造を持つ必要はない。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1には、本実施の形態に適用した画像露光装置10の概略構成を示している。この画像露光装置10は、シート体として例えばアルミニウム等によって形成したの矩形薄板状(例えば肉厚が0.3mm程度)の支持体に感光層を形成した感光性平版印刷版(以下「印刷版12」という)を用い、この印刷版12に画像データに基づいて変調した光ビームを照射して走査露光する。画像露光装置10で画像露光の終了した印刷版12は、図示しない自動現像装置等によって現像処理等が施される。
【0033】
この画像露光装置10には、機枠14内にカセット装填部18、給版搬送部20、記録部22及び排出バッファ部24等が設けられている。カセット装填部18は、機枠14内の図1紙面右下側に配置されており、それぞれに多数枚の印刷版12を収容している複数のカセット16が、所定角度で傾斜された状態で装填される。
【0034】
画像露光装置10では、縦横の寸法が異なる複数サイズの印刷版12の処理が可能となっており、カセット16には、何れかのサイズの印刷版12が、感光層を上側にし、一端が所定の位置となるように位置決めされて収容されている。また、カセット装填部18には、複数のカセット16が所定間隔で、かつそれぞれに収容している印刷版12の一端が略一定の高さとなるように装填される。
【0035】
給版搬送部20は、カセット装填部18の上方に配置され、記録部22は、カセット装填部18に隣接して、装置の中央下部に配置されている。給版搬送部20には、一対の側板26(図1では一方のみを図示)が設けられており、この側板26に反転ユニット28及び枚葉ユニット30が取付けられている。
【0036】
反転ユニット28は、所定の外径寸法の反転ローラ32を備え、この反転ローラ32の周囲に複数の小ローラ(本実施の形態では、一例として小ローラ34A、34B、34C、34Dの4個)が設けられている。小ローラ34A〜34Dは、カセット装填部18側から反転ローラ32の上方を経て記録部22側に亘って配置され、無端の搬送ベルト36が巻き掛けられている。これにより、搬送ベルト36は、小ローラ34Aと小ローラ34Dの間の約半周に亘って反転ローラ32に巻き掛けられている。
【0037】
一方、枚葉ユニット30は、カセット16内の印刷版12の上端部を吸着する複数の吸盤38を備えており、吸盤38を下方移動させてカセット装填部18に装填されているカセット16内の印刷版12の上端部に対向させて印刷版12を吸着する。また、枚葉ユニット30は、印刷版12を吸着した吸盤38を略上方へ移動させることにより、カセット16から印刷版12を引き出すと共に、引き出した印刷版12の先端を、反転ローラ32と搬送ベルト36の間へ挿入する。なお、図1では、吸盤38の移動位置の概略を二点鎖線で示している。
【0038】
反転ユニット28では、反転ローラ32と搬送ベルト36がカセット16からの印刷版12の引き出し方向(図1の矢印A方向)に回転する。これにより、印刷版12は、反転ローラ32と搬送ベルト36に挟持されてカセット16から引き出されると共に、反転ローラ32の周面に巻き掛けられることにより、湾曲されながら搬送されて反転される。なお、反転ローラ32の半径寸法は、印刷版12を湾曲させたときに、印刷版12に折れや曲がりを生じさせない寸法(例えば100mm以上)となっている。
【0039】
図1に実線及び二点鎖線で示すように、側板26は、印刷版12を取出すカセット16の位置に応じて水平移動する。これにより、枚葉ユニット30の吸盤38は、選択されたカセット16内の印刷版12に対向される。
【0040】
また、側板26には、小ローラ34Dの下方にガイド40が設けられており、反転ローラ32によって反転された印刷版12は、小ローラ34D側で反転ローラ32と搬送ベルト36の間から、このガイド40へ向けて送り出される。また、記録部22の上方には、搬送コンベア42が配置されており、反転ユニット28から送り出された印刷版12は、ガイド40によって搬送コンベア42へ案内される。
【0041】
なお、ガイド40は、常に印刷版12の案内方向を搬送コンベア42へ向けるように、側板26の移動に伴って揺動する。また、記録部22側の小ローラ34Dは、側板26の移動に伴って反転ユニット28からの印刷版12の送出し方向を換えるように移動し、小ローラ34Cは、小ローラ34Dが移動したときに搬送ベルト36に略一定の張力を付与するように移動する。これにより、反転ユニット28から送り出される印刷版12がガイド40によって緩やかに湾曲されるようにしている。
【0042】
搬送コンベア42は、給版搬送部20の下方に隣接したローラ44と、記録部22の上方に隣接したローラ46との間に搬送ベルト48が巻き掛けられ、ローラ46側が下方となるように傾斜されている。
【0043】
図1及び図2に示されるように、搬送コンベア42には、ローラ46に対向してローラ50が配置されており、搬送コンベア42上に送り込まれた印刷版12は、搬送ベルト48上を搬送されてローラ46、50に挟持される。また、記録部22には、架台52上に回転ドラム54及び記録ヘッド部56が取付けられている。また、回転ドラム54の上方には、パンチャー58が配置されている。
【0044】
図2に示されるように、パンチャー58には、銜え口60が形成されており、搬送コンベア42は、ローラ46、50によって印刷版12を挟持し、印刷版12の先端をパンチャー58の銜え口60に挿入して保持する。パンチャー58は、銜え口60に印刷版12の先端が挿入されると、印刷版12の先端の所定の位置に、位置決め用として例えば切り欠きを穿設する。
【0045】
搬送コンベア42は、印刷版12に切り欠きが穿設されると、搬送ベルト48と共にローラ46、50を逆転駆動して、印刷版12の先端をパンチャー58の銜え口60から引き出す。また、搬送コンベア42には、図示しない揺動手段が設けられており、この揺動手段によってローラ44側を軸にしてローラ46側が記録部22の回転ドラム54に接近するように下方移動される(図1及び図2に二点鎖線で示す)。これにより、搬送ベルト48上の印刷版12は、先端が回転ドラム54の外周面の所定位置に向けられて、搬送ベルト48上を回転ドラム54へ向けて搬送される。
【0046】
回転ドラム54は、図示しない駆動手段によって、印刷版12の装着露光方向(図1及び図2の矢印B方向)及び装着露光方向と反対方向となる印刷版12の取外し方向(図1及び図2の矢印C方向)へ回転される。
【0047】
図2に示されるように、記録部22に設けられている回転ドラム54には、外周面の所定の位置に、先端チャック62が取付けられている。記録部22では、この回転ドラム54に印刷版12を装着するときに、先ず、先端チャック62が、搬送コンベア42によって送り込まれる印刷版12の先端に対向する位置(印刷版装着位置)で回転ドラム54を停止させる。
【0048】
記録部22には、印刷版装着位置で先端チャック62に対向して装着カム64が設けられている。先端チャック62は、この装着カム64が回動して一端側が押圧されることにより、回転ドラム54の周面との間に印刷版12の挿入が可能となる。記録部22では、印刷版12の先端が先端チャック62と回転ドラム54の間に挿入された状態で、装着カム64を戻して先端チャック62への押圧を解除することにより、印刷版12の先端を先端チャック62と回転ドラム54の周面との間で挟持して保持する。なお、このときに、印刷版12は、パンチャー58によって穿設された切り欠きに、回転ドラム54の周面の所定の位置に突設されている図示しない位置決めピンが入り込むことにより、回転ドラム54に対して位置決めされる。
【0049】
記録部22では、回転ドラム54に印刷版12の先端が固定されると、回転ドラム54を装着露光方向へ回転する。これにより、搬送コンベア42から送り込まれる印刷版12は、回転ドラム54の周面に巻き付けられる。
【0050】
回転ドラム54の周面近傍には、印刷版装着位置よりも装着露光方向の下流側にスクイズローラ66が配置されている。このスクイズローラ66は、回転ドラム54に向けて移動することにより回転ドラム54に巻き付けられる印刷版12を回転ドラム54へ向けて押圧し、印刷版12を回転ドラム54の周面に密着させる。
【0051】
また、記録部22には、スクイズローラ66よりも回転ドラム54の装着露光方向上流側近傍に後端チャック着脱ユニット68が設けられ、装着露光方向の下流側近傍に取外しカム70が配置されている。後端チャック着脱ユニット68には、回転ドラム54へ向けて突出されたシャフト72の先端に後端チャック74が装着されている。
【0052】
記録部22では、回転ドラム54に巻き付けた印刷版12の後端が、後端チャック着脱ユニット68に対向すると、シャフト72を突出させて、後端チャック74を回転ドラム54の所定の位置に装着する。これにより、後端チャック74が、回転ドラム54との間で印刷版12の後端を挟持して保持する。
【0053】
記録部22では、印刷版12の先端及び後端を回転ドラム54に保持させるとスクイズローラ66を離間させる。この後、記録部22では、回転ドラム54を所定の回転速度で高速回転させながら、この回転ドラム54の回転に同期させて、記録ヘッド部56から画像データに基づいて変調した光ビームを照射する。これにより、印刷版12が画像データに基づいて走査露光される。
【0054】
記録部22では、印刷版12への走査露光が終了すると、印刷版12の後端を保持している後端チャック74が後端チャック着脱ユニット68に対向する位置で回転ドラム54を一時停止すると共に、スクイズローラ66によって回転ドラム54との間で印刷版12を挟持する。後端チャック着脱ユニット68は、後端チャック74が対向して回転ドラム54の回転が停止すると、回転ドラム54から後端チャック74を取り外す。これにより、印刷版12の後端が開放される。
【0055】
記録部22では、回転ドラム54から後端チャック74を取り外すと、回転ドラム54を印刷版12の取出し方向へ回転する。これにより、スクイズローラ66と回転ドラム54の間から印刷版12が送出される。
【0056】
図1に示されるように、排出バッファ部24は、スクイズローラ66の上方側に設けられており、回転ドラム54が印刷版12の取外し方向へ回転することにより、印刷版12は、後端側から排出バッファ部24へ向けて送り出される。また、回転ドラム54は、印刷版12の取出し方向に回転して、先端チャック62が取外しカム70に対向する印刷版取外し位置で停止する。記録部22では、この位置で取外しカム70を回動することにより先端チャック62を押圧して、先端チャック62と回転ドラム54との間での印刷版12の先端の挟持を解除する。これにより、印刷版12が回転ドラム54から取り外される。
【0057】
一方、排出バッファ部24は、機枠14に形成されている排出口76の内方側に設けられており、排出ローラ78を備えている。この排出ローラ78の周囲には、複数の小ローラ(一例として小ローラ80A、80B、80C、80D、80E)が配置されており、これらの小ローラ80A〜80Eの間に無端の搬送ベルト82が巻き掛けられている。これにより、排出ローラ78には、小ローラ80Aと小ローラ80Eの間の1/2周から3/4周の範囲で搬送ベルト82が巻き掛けられている。
【0058】
小ローラ80Aは、記録部22のスクイズローラ66側へ向けて突設されており、ローラ84が対向して配置されている。記録部22から送出された印刷版12は、小ローラ80Aとローラ84の間へ向けて案内され、小ローラ80Aとローラ84とに挟持される。
【0059】
排出バッファ部24では、排出ローラ78を印刷版12の引き入れ方向(矢印D方向)に回転駆動することにより、小ローラ80Aとローラ84に挟持した印刷版12を記録部22から引き出しながら排出ローラ78と搬送ベルト82の間に案内し、排出ローラ78と搬送ベルト82で挟持して排出ローラ78に巻き掛ける。このとき、排出バッファ部24では、印刷版12の先端部(記録部22から送出されるときの後端側)を小ローラ80Aとローラ84に挟持することにより、排出ローラ78に巻き掛けた印刷版12を一次的に保持する。
【0060】
一方、図1に二点鎖線で示されるように、排出バッファ部24では、小ローラ80Aとローラ84が排出口76に対向する位置へ移動する。このとき、小ローラ80Aとアイドルローラ84が一体で回動することにより、印刷版12の先端が排出口76へ向けられる。なお、小ローラ80Aの上方の小ローラ80Bは、小ローラ80Aの移動に追従して移動し、搬送ベルト82に一定の張力を付与するようになっている。
【0061】
排出バッファ部24では、印刷版12の先端を排出口76へ向けると、排出ローラ78を、排出口76に隣接して配置している自動現像装置などの処理装置での印刷版12の搬送速度に応じた回転速度で、印刷版12の送出し方向(矢印D方向と反対方向)へ回転駆動する。これにより、印刷版12が排出口76から送り出される。
【0062】
ところで、回転ドラム54には、印刷版12を回転ドラム54に巻き付けたときに、印刷版12の先端を回転ドラム54の周面の所定の位置に固定する先端チャック62が取付けられており、また、この印刷版12の後端を固定する後端チャック74が装着されるようになっている。
【0063】
図3に示されるように、先端チャック62は、所定長さの帯板状に形成されたプレート150を備えており、このプレート150が所定間隔で回転ドラム54の軸線方向に沿って並べて配置されている。また、後端チャック74は、所定長さの帯板状のプレート150を備えて、このプレート150が回転ドラム54の周面に所定間隔で並べられて装着されるようになっている。なお、先端チャック62と、後端チャック74の機能的な構造の違いはないが、プレート150の向きが異なるのと、この実施の形態においては、先端チャック62が回転ドラム54に対して常に取り付け状態であること、後端チャック74が回転ドラム54に対して着脱可能であること、が異なっている。
【0064】
以下、先端チャック62及び後端チャック74の構造を図4及び図5に従い説明する。なお、回転ドラム54に対して着脱可能な機構が設けられた後端チャック74を例にとり説明する。
【0065】
後端チャック74のプレート150は、その長手方向に沿う所定の3箇所における幅方向略中間部に、貫通孔152が形成され、支柱154が挿入されている。支柱154は、矩形ブロック状の基部154A(詳細は後述)と、この基部154Aの上面に立設された円柱状の支持部154Bとで構成されている。支持部154Bの根元側には、円筒形のスペーサ156が挿通されており、プレート150を基部154Aから所定の高さで支持することができるようになっている。
【0066】
一方、図3に示されるように、回転ドラム54の周面には、複数本の溝部90が所定間隔で形成されており、後端チャック74は、支柱154の基部154Aが溝部90に収容された状態で回転ドラム54に取付けられる。この収容状態では、支柱154が、装着溝90と支柱154との接触点を中心に、ドラム周方向に回転可能となっている。
【0067】
ここで、図6に示される如く、溝部90の断面形状は略台形となっており、開口端の幅寸法W1が底部の幅寸法W2よりも小さく形成されている。これに対して支柱154における溝部90への収容部分は、矩形状であり、対向する一対の辺の一方の寸法W3は前記溝部90の開口部の幅寸法W1よりも小さく、他方の寸法W4は溝部90の底部90Aの幅寸法W2よりも小さく、かつ開口部90Bの幅寸法W1よりも大きく形成されている。このため、支柱154を溝部90に挿入する際には、細幅の辺を溝部90の幅方向に合わせておくことで挿入可能となり、挿入後に略90°回転させることで、抜け止めが施されることになる。
【0068】
ここで、先端チャック62の場合には、着脱が不要であるため、上記のような構造である必要はなく、例えば、ボルト締め等で固定してもよいが、同一の構造を適用し、常に固定状態としてもよい。
【0069】
なお、このプレート150は、全ての部品が取り付いた状態で、その重心位置が、支柱154の軸線よりも図7及び図8の右方向とされている。
【0070】
後端チャック74のプレート150には、幅方向の一端側にクランプ部160が形成されている。クランプ部160は、少なくとも回転ドラム54と対向する平面(挟持面)160Aが存在する薄板棒状の挟持部材162と、この挟持部材162とにより後述する金属プレート158を挟んで固定する薄板棒状の補助部材164と、で構成されている。
【0071】
クランプ部160は、プレート150の肉厚方向(以下、上下方向という)に移動可能とされており、1枚のプレート150に対して長手方向に3個連続して設けられている。図9に示される如く、それぞれのクランプ部160の長手方向(回転ドラム54の軸線方向)両端部は、前記補助部材164の方が挟持部材162よりも長く形成され、舌片部164Aとなっている。この舌片部164Aは、プレート150の長手方向両端部及び中央部に取付けられた支持プレート166のフック部166Aに支持されている。フック部166Aは、略コ字型に屈強され、その内方に舌片部164Aが収容されている。これにより、クランプ部160は、フック部166Aの上下壁によって上下方向の移動量が制限されると共に、下壁によって抜け落ちることが防止される。
【0072】
また、このクランプ部160は、プレート150内に形成された案内溝(図示省略)に案内されて、プレート150の幅方向(以下、スライド方向という)に所定量移動可能となっている。
【0073】
各クランプ部160の図7及び図8の右側面(図4及び図5において切欠部160Bが形成される側面)には、圧縮コイルばね168の一端部が当接されている。この圧縮コイルばね168の他端は、プレート150内部の壁面に設けられた円溝(図示省略)に挿入保持されており、これにより、クランプ部160は、圧縮コイルばね168の付勢力により、印刷版12が挿入してくる方向側のスライド範囲の端部へ付勢され保持されるようになっている(以下、この位置を原位置という)。
【0074】
また、前述したように、クランプ部160を構成する挟持部材162と補助部材164との間には、薄肉で可撓性を有する金属プレート158の一端部が挟持されている。
【0075】
金属プレート158は、平面視でロ字型(枠型)とされており、前記挟持された辺と直交する2辺がプレート150の図7及び図8の右端部まで延設されている。なお、金属プレート158が枠状であるのは機能的な理由ではなく、他の部品との干渉を防止するためである。従って、この干渉がなければ平板状であってもよい。
【0076】
前記プレート150の図7及び図8の右端部には、支持体170を介して断面が略正方形の棒状の回転部材172が取り付けられている。この回転部材172は、断面が略正方形の矩形ブロック状の前記支持体170に軸支されており、支持体170に対して回転可能となっている。なお、支持体170には取付フランジ170Aが一体形成されており、プレート150に固着されている。
【0077】
回転部材172には、一端部が、当該回転部材172の下端面に形成された切欠部172Aに緊密に収容されるようにフラップ174が取り付けられている。フラップ174は、前記切欠部172Aに収容される基部174Aから一対の翼体174Bがクランプ部160方向に延設されており、この翼体174Bの先端部には錘176が固着されている。このような構造において、後端チャック74が回転ドラム54へ固定されて回転すると、フラップ174に対して遠心力が加わり、かつ錘176によってその遠心力が有効に作用し、回転部材172を回転させることができる。
【0078】
この回転部材172の上端面には、前記金属プレート158の他端部が配置され、この上端面と、薄板棒状の固定部材178によって挟持固着されている。
【0079】
このため、金属プレート158には、回転部材172の回転によって、緊張力(引張力)が付与されることになる。なお、回転部材172の回転力が引張力に変換されるのは、金属プレート158の撓み、すなわち、回転部材172への金属プレート158の巻き付きによるものである。なお、移動力が僅かであるため、見掛け上は、金属プレート158はほとんど平面移動となる。
【0080】
ここで、前記金属プレート158の引張力は、前記圧縮コイルばね168付勢力に抗してクランプ部160を原位置から図7及び図8の右方向(矢印C方向)へ移動させることが可能となっている。
【0081】
また、プレート150の図7及び図8の右端部の下面側(金属プレート158の枠内)には、略くの字型に屈曲された板ばね180の一端部が固着されている。この板ばね180は、その屈曲方向が、回転ドラム54に接近する方向であり、その他端部には錘182が取り付けられている。錘182の先端面は円弧面とされている。
【0082】
この板ばね180及び錘182は、回転ドラム54に取り付けられるときには、回転ドラム54に設けられた溝部90に収容されることになる。すなわち、後端チャック74が回転ドラム54に接近すると、まず、溝部90の底面に錘182が当接し、さらに接近すると、板ばね180が弾性変形することになる。この弾性変形により発生した付勢力は、プレート150を支柱154をに支点として回動させる力となり、これにより、クランプ部160による押圧力が形成される。なお、上記板ばねの弾性変形時に錘182が溝部90の底面を摺動するが、この摺動面が円弧面となっているので、比較摩擦係数が小さく、円滑に摺動させることができるようになっている。
【0083】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0084】
画像露光装置10では、印刷版12に露光する画像データが入力され、画像露光を行う印刷版12のサイズ及び露光枚数が設定されて、画像露光の開始が指示されると、印刷版12への画像露光処理を開始する。なお、これらの処理は、画像露光装置10に操作パネルを設け、この操作パネルのスイッチ操作によって指示するものであっても良く、画像露光装置10に画像データを出力する画像処理装置等からの信号によって画像露光装置10の処理開始を指示するものであっても良い。
【0085】
画像露光装置10では、処理の開始が指示されると、指定されたサイズの印刷版12を収容しているカセット16に対応する位置へ反転ユニット28と共に枚葉ユニット30を移動させ、吸盤38によって該当するカセット16内の印刷版12を吸着して取出し、反転ユニット28の反転ローラ32と搬送ベルト36の間へ送り込む。これにより、印刷版12は、反転ローラ32と搬送ベルト36に挟持搬送され、搬送コンベア42へ送られる。
【0086】
搬送コンベア42は、まず、この印刷版12の先端をパンチャー58の銜え口60に挿入する。パンチャー58は、挿入された印刷版12の所定の位置に位置決め用の切り欠きを穿設する。搬送コンベア42は、印刷版12に切り欠きが穿設されると、この印刷版12をパンチャー58の銜え口60から引き出して、回転ドラム54の周面へ向けて送り出す。
【0087】
記録部22では、この印刷版12の先端を先端チャック62によって回転ドラム54に保持させると、スクイズローラ66によってスクイズしながら印刷版12を回転ドラム54に巻き付け、印刷版12の後端を後端チャック74によって回転ドラム54に保持させる。この保持の手順については、後述する。
【0088】
この後、記録部22では、回転ドラム54を高速回転しながら記録ヘッド部56から画像データに基づいた光ビームを印刷版12に照射して、印刷版12を走査露光する。この高速回転時、前記先端チャック62及び後端チャック74は、回転ドラム54の回転による遠心力の作用で、印刷版12を挟持する力、並びに印刷版12を緊張させる力(浮き防止)が働くようになっている。この詳細な作用については、保持の手順と共に後述する。
【0089】
印刷版12の走査露光が終了すると、先端チャック62を取外して、印刷版12を排出バッファ部24へ送り出す。
【0090】
排出バッファ部24では、印刷版12を小ローラ80Aとローラ84によって挟持搬送して排出ローラ78に巻き掛けた後、小ローラ80Aとローラ84を排出口76に対向させて、排出口76から所定の搬送速度で送り出す。
【0091】
次に、先端チャック62と後端チャック74とによる印刷版12の回転ドラム54への挟持並びに緊張の手順、並びに維持について説明する。なお、以下では、先端チャック62と後端チャック74とは、同じ作用であるため、後端チャック74を例にとり説明する。
(後端チャック74の着脱)
まず、後端チャック74を回転ドラム54に装着する場合、支柱154の基部154Aが回転ドラム54の溝部90に収容するべく、溝部90の開口幅方向に対して、短辺側を対応させる。これにより、基部154Aは円滑に溝部90に収容される。収容後は、支柱154全体を略90°回転させることで、基部154Aの長辺側が溝部90の開口幅方向に沿うようになり、抜け止めが施される。
【0092】
なお、後端チャック74を回転ドラム54から取外す場合には、基部154Aを略90°回転させ、ひき抜けばよい。
(印刷版12の挟持(クランプ))
印刷版12の端部が回転ドラム54とプレート150との間にくると、先端チャック62では、カム64による回転阻止を解除することで、板ばね180の付勢力でプレート150が支柱を支点として回動する。この回動により、クランプ部160が回転ドラム54の周面方向へ移動するため、このクランプ部160と、回転ドラム54の周面とで印刷版12を挟持することができる。
【0093】
また、後端チャック74では、印刷版12が所定位置にきた時点で、回転ドラム54への装着がなされるため、この装着移動に伴なって、板ばね180の付勢力が働き(板ばね180の先端の錘182が最先に溝部90の底面に到達する)、徐々にプレート150を支柱154を支点として回動させ、位置決めされていた印刷版12を回転ドラム54の周面との間で挟持することができる。
【0094】
印刷版12の先端チャック62及び後端チャック74による保持が整うと、回転ドラム54は、画像記録のために高速で回転を開始する。
【0095】
この回転により、プレート150は、遠心力によって支柱を支点として回動する。このとき、プレート150の重心が支柱154を挟んでクランプ部160と相反する方向にあるため、遠心力による回動は、前記板ばね180の付勢力による回動と同一方向となる。このため、回転ドラム54の高速回転中、すなわち画像記録中は、印刷版12の先後端の挟持力を増大させることができる。
(印刷版12の緊張)
回転ドラム54の高速回転による遠心力は、フラップ174にも作用する。このフラップ174の翼体174Bには錘176が取り付けられているため、遠心力による翼体174Bの軸回転のモーメントが増大し、この力によって回転部材172を回転させることになる。回転部材172は、フラップ174が下面側に取り付けられているため、図7及び図8の時計回り方向の回転となる。ここで、回転部材172が図7及び図8の時計回り方向に回転すると、回転部材172の上端部に取り付けられた金属プレート158が回転部材172に巻き付くように移動する。これにより、金属プレート158には、緊張方向(引張方向)の力が作用する。
【0096】
この金属プレート158の引張方向の移動は、圧縮コイルばね168の付勢力に抗して、クランプ部160を原位置からスライドさせる力となる。
【0097】
クランプ部160が原位置からスライドすると、回転ドラム54との間で挟持していた印刷版12を緊張方向へ引っ張ることになる。この場合、クランプ部160の印刷版12への接触が面接触であるため、摩擦係数が大きく、確実に印刷版12を緊張させることができる。
【0098】
この作用が、印刷版12の先後端で同時に起きるため、印刷版12の中間部が回転ドラム54の周面に対して浮きが発生することがなくなる。
【0099】
仮に浮きが発生すると、印刷版12の表面への画像記録時のレーザビームの焦点位置からずれることになるが、本実施の形態では、クランプ部160によって印刷版12の先後端を回転ドラム54との間に挟持し(板ばね180とプレート150に加わる遠心力との双方の力を合力)、かつ印刷版12を緊張させる(フラップ174に加わる遠心力)ようにしたため、印刷版12の中間部が浮くようなことがなく、画質の劣化を防止することができる。
【0100】
以上説明したように、本実施の形態では、プレート150に設けたクランプ部160における印刷版12との接触を面接触するようにしたので、印刷版12の保持力を大きくすることができる。また、印刷版12に緊張力を付与するための機構として、印刷版12のクランプ部160による保持機構とは別に、フラップの遠心力によるあおりを利用してクランプ部160をスライドさせるようにしたため、プレート150の回動による傾きが小さくなり、回転ドラム54からの突出量を軽減することができる。
【0101】
さらに、クランプ部160をプレート150の幅方向一端部の先端に配置したため、印刷版12の咥え代が短くなり、画像記録可能領域を大きくとることができる。
【0102】
また、印刷版12のプレート150(クランプ部160)と回転ドラム54との間への挟持(保持)と、印刷版12のクランプ部160のスライドによる緊張との機構をそれぞれ独立に設計できるため、最適設計が容易となる。
【0103】
なお、本実施の形態では、印刷版12の回転ドラム54への巻き付け保持の手順を、先端チャック62を固定、後端チャック74を着脱可能としたが、巻き付けの手順に応じて、双方を着脱可能、又は固定、或いは先端チャック62を着脱可能、後端チャック74を固定としてもよい。また、固定されるチャック位置も限定されるものではない。
【0104】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明は、ドラムの周面にシート状部材を巻き付けて密着保持する際に、ドラム周面に傷等による凹凸を生じさせることなく、当該シート状部材の端部を確実に保持し、かつドラム周面に対して浮き等を防止して、画質の低下を防止することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像露光装置を示す概略構成図である。
【図2】画像露光装置の記録部を示す概略構成図である。
【図3】回転ドラムへの先端チャックと後端チャックの配置を示す概略斜視図である。
【図4】保持装置の1つである後端チャックの一部分解斜視図である。
【図5】図4の一部の拡大図(分解斜視図)である。
【図6】回転ドラムに設けられた溝部と、支柱との寸法関係を示す斜視図である。
【図7】図4のVII−VII線断面図である。
【図8】図4のIIX−IIX線断面図である。
【図9】クランプ部の端部の構造を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 画像露光装置(処理装置)
12 印刷版(シート状部材)
22 記録部
54 回転ドラム(ドラム)
62 先端チャック(保持装置)
74 後端チャック(保持装置)
150 プレート
154 支柱
158 金属プレート(連結部材)
160 クランプ部
162 挟持部材
168 圧縮コイルばね(クランプ部スライド用付勢手段)
172 回転部材
174 フラップ
174B 翼体
180 板ばね(回動手段、プレート
Claims (6)
- シート状部材をドラムの周面に巻き付けて保持し、この保持状態で前記ドラムを軸回転させながら、シート状部材の表面を処理する処理装置に用いられ、前記シート状部材の前記ドラムの周方向に沿った端部をドラムの周面に密着保持するためのシート状部材の保持装置であって、
前記ドラムの周面に所定の溝幅で溝方向が周方向へ沿うように形成された溝部と、
前記溝部の溝方向に沿った任意の位置に対向可能とされ、ドラムの半径方向に沿って配置される軸を中心に回転されることにより溝部の前記溝幅方向に沿った寸法が広幅又は狭幅となりうることで、溝部へ挿入可能でかつ挿入された状態で抜け止め可能とされ、抜け止めされた状態でドラムに固定される支柱と、
前記ドラムに固定された前記支柱を支点としてドラムの周方向の端部が周面との接離方向に回動可能とされたプレートと、
前記プレートの前記ドラムの周方向に沿った一端部に設けられ、前記シート状部材の前記端部が対向され、プレートの前記支柱を中心とする回動に応じて、シート状部材の挟持及び挟持解除の2位置を取り得ると共に、プレートに対してドラムの周方向にスライド可能とされたクランプ部と、
前記支柱が前記ドラムの周面に固定された状態で、前記プレートを、前記クランプ部がドラムの周面に接近する方向へ回動させ、クランプ部とドラムの周面とで前記シート状部材を挟持する回動手段と、
前記回動手段による前記シート状部材の挟持状態で、前記ドラムの回転により発生する遠心力に応じて、前記クランプ部を前記シート状部材が緊張される方向へスライドさせるスライド手段と、
を有するシート状部材の保持装置。 - 前記回動手段が、前記支柱が前記ドラムへ固定された状態で、前記プレートを前記クランプ部による前記シート状部材の端部の挟持位置へ向けて回動される付勢力を付与することが可能なプレート回動用付勢手段であり、ドラムの回転時に生じる遠心力によって前記プレート回動用付勢手段の付勢力が助長されることを特徴とする請求項1記載のシート状部材の保持装置。
- 前記スライド手段が、
前記ドラムの回転に応じて発生する遠心力で軸回転されるフラップと、
前記フラップと前記クランプ部を連結すると共にフラップの軸回転をクランプ部が前記シート状部材の緊張方向へスライドされるように変換して伝達可能な連結部材と、
で構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のシート状部材の保持装置。 - 前記連結部材が、前記シート状部材の前記緊張方向及び緊張方向と反対方向の両方向へ前記クランプ部をスライド可能とする剛体であることを特徴とする請求項3記載のシート状部材の保持装置。
- 前記クランプ部による前記シート状部材の前記挟持解除位置で、前記スライド手段によるクランプ部のシート状部材の緊張方向へのスライドのストローク量が最大となる原位置に位置決めする位置決め手段を、さらに有することを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1項記載のシート状部材の保持装置。
- 前記位置決め手段が、前記ドラムが回転されたときの遠心力による前記クランプ部のスライド力よりも弱い付勢力でクランプ部を前記シート状部材の緊張方向と反対方向へ付勢するクランプ部スライド用付勢手段であることを特徴とする請求項5記載のシート状部材の保持装置。
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