JP4034484B2 - 固定部構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転ドラムに形成した溝の任意の位置に被固定部材を固定する固定部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、印刷には、アルミニウムの薄板などのシート状に形成した支持体に感光層を形成した感光性印刷版(以下「印刷版」と言う)が用いられる。このような印刷版には、印刷物のサイズに応じて縦横の寸法の異なるものが用いられる。
【0003】
このような印刷版に画像露光を施す画像露光装置には、印刷版を回転ドラムに巻き付け、回転ドラムと一体で印刷版を回転しながら画像データに応じた光ビームを印刷版に照射することにより、印刷版を走査露光するものがある。
【0004】
回転ドラムに印刷版を巻き付ける場合、回転ドラムの周方向に沿った印刷版の両端をチャックによって回転ドラムとの間で挟持して固定するが、多数サイズの印刷版の何れも回転ドラムに巻き付けて固定するようにした場合、印刷版の何れか一方の端部に対応するチャックを回転ドラムの所定の位置に取り付けておき、印刷版の他方の端部に対応するチャックを、回転ドラムに印刷版を巻き付けたときに、印刷版のサイズに合わせて回転ドラムに装着するようにしている。
【0005】
回転ドラムに巻き付けた印刷版の後端位置に合わせて、回転ドラムにチャックを装着する場合、回転ドラムの外周面に、回転ドラムの周方向に沿って溝を形成し、この溝にチャックを装着する。
【0006】
ところで、回転ドラムに形成した溝にチャックなどの被固定部材を取付ける場合、図11に示されるように、回転ドラム210に形成する溝212の内部に断面が矩形形状に開口された拡幅部214を形成し、被固定部材の支軸の先端に取付けられた略矩形ブロック形状の固定コマ216を挿入し、支軸218と共に固定コマ216を溝212の拡幅部214内で略90°回転させる。この固定コマ216は、幅寸法が、溝の開口幅より短くなっており、また、長手方向の寸法が拡幅部214の幅寸法と略同じになっている。また、固定コマ216は、長手方向の両端部が円弧状に形成されている。
【0007】
この固定コマ216は、拡幅部214内で約90°回転されることにより、長手方向の両端部が拡幅部214の内壁面に当接し、溝212の開口幅が拡幅部214内の幅寸法よりも狭められていることから、固定コマ216の溝212内からの抜き出しが不可能となり、この固定コマ216に取付けられているチャック(被固定部材)が回転ドラム210に固定される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、回転ドラム210を回転させたときには、チャックや固定コマ216に遠心力が作用し、溝212の開口部周縁を捲り上げようとする力を加える。このために、開口部周縁の肉厚が薄く脆弱となっていると、開口部周縁が捲りあがり、しいては固定コマ216が外れて溝212内から飛び出してしまう。また、開口部周縁が捲りあがると、この部分に印刷版を載せたときに回転ドラム210の周面に印刷版との間に隙間が生じ、印刷版の密着不良を引き起こしてしまう。
【0009】
このような溝の周縁部の損傷を防止するためには、溝212の周縁部の肉厚を厚くする必要があるが、これにより回転ドラム210の肉厚が厚くなり、回転ドラム210の重量が増加してしまう。
【0010】
また、固定コマ216は、拡幅部214内で回し過ぎると、長手方向の両端部が拡幅部214の内壁面から離れてしまうため、固定コマ216を正確に90°だけ回転させる必要が生じ、高精度の回転機構が必要となる。
【0011】
本発明は上記事実に鑑みてなされたものであり、簡単な構成で溝の開口部周縁の変形を防止して被固定部材を回転ドラムの周面に形成している溝内に固定することができる固定部構造を提案することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための発明は、回転ドラムの周面に周方向に沿って形成された溝の任意の位置で、溝に挿入される被固定部材の固定コマの溝からの抜き出しを阻止して、被固定部材を前記回転ドラムの周面に固定する固定部構造であって、前記固定コマが、前記被固定部材から突設された支軸に設けられて、幅方向の寸法が前記溝の開口幅よりも小さく、幅方向と直交する長手方向の寸法が、溝の開口幅よりも長い略矩形ブロック形状に形成されると共に、前記回転ドラムの前記溝が、開口部から内部の溝幅を拡幅する方向に所定角度で傾斜された斜面が設けられることにより溝内部に拡幅部が形成されて断面形状が略台形状とされて前記固定コマが前記溝内に挿入され回動されることにより、前記固定コマの長手方向の両端部前記斜面に当接されて前記回転ドラムに固定されるようにしたことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、回転ドラムの、幅方向に沿った断面が略台形形状に開口されるように拡幅部を形成する。溝の開口部から挿入された固定コマは、長手方向が溝の幅方向に沿うように回動されることにより、長手方向の両端部が拡幅部の側面である斜面に当接する。この拡幅部は、斜面によって上方へ向けた開口幅が狭められているので、固定コマは、長手方向の両端部が斜面に当接することにより、溝からの抜き出しが阻止される。
【0014】
このように溝の内部に拡幅部に斜面を形成することにより溝の開口部周縁の肉厚が薄くなっても、肉厚を徐々に厚くし、肉厚が厚くなっている領域に固定コマが当接するようにできる。すなわち、肉厚の厚くなっている領域で固定コマを保持できるので、固定コマにより溝の開口部周縁が変形してしまうのを防止できる。
【0015】
このときの溝の内部に形成する斜面の角度回転ドラムの表面と略平行となる溝の底面に対して45°以上、90°未満であることが好ましい。このような拡幅部を形成することにより、固定コマに溝からの抜き出し方向へ力を加えたときに、固定コマによって溝の開口部周縁の薄肉部を捲り上げる方向に作用する力を抑えることができる。
【0016】
請求項2に係る発明は、前記固定コマの長手方向の両端部に、幅方向の一端側に直線状部が形成され、他端側に前記直線状部側から所定半径で円弧状に湾曲した円弧状部が形成され、前記固定コマが前記円弧状部側から前記拡幅部の斜面へ向けて回動されて固定されることを特徴とする。
【0017】
この発明によれば、固定コマの長手方向の両端部には、幅方向の一端側に直線状部が形成され他端側に円弧状部が形成されており、固定コマを溝に挿入して円弧状部側から回動させる。これにより、溝内の斜面に円弧状部が対向しているときには、固定コマが斜面に当接することなく回動し、直線状部が斜面に対向したときに、固定コマの長手方向の両端部が斜面に当接するようにしている
【0018】
ここで、固定コマは、直線状部が斜面に当接することにより、それ以上の回動が阻止される。したがって、固定コマを正確に90°回した位置で停止させる機構を用いることなく、固定コマが90°回動した位置で停止させることができる。
【0019】
請求項3に係る発明は、前記被固定部材に前記固定コマが前記溝内に挿入されたときに、該固定コマの長手方向の両端部が前記溝の斜面に当接される方向へ回動するように付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする。
【0020】
この発明によれば、付勢手段によって固定コマが溝への固定方向へ回動するように付勢する。これにより、例えば、予め固定コマを溝へ挿入する向きに固定しておき、固定コマを溝へ挿入した後に、この固定を解除することにより、付勢手段によって固定コマが回動して溝内に固定される。
【0021】
請求項4に係る発明は、前記固定コマの長手方向の両端部に前記溝の斜面に対向される傾斜部形成され傾斜部が前記斜面に面接触されることを特徴とする。
【0022】
この発明によれば、固定コマに溝内の斜面に対向する傾斜部を形成する。これにより、固定コマを斜面に面接触させて固定することができる。
【0023】
これにより本発明では、回転ドラムの周面に形成した溝へ、印刷版等のシート体をクランプするチャックを固定するように用いることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1には、本実施の形態に適用した画像露光装置10の概略構成を示している。この画像露光装置10は、シート体として例えばアルミニウム等によって形成したの矩形薄板状(例えば肉厚が0.3mm程度)の支持体に感光層を形成した感光性平版印刷版(以下「印刷版12」という)を用い、この印刷版12に画像データに基づいて変調した光ビームを照射して走査露光する。画像露光装置10で画像露光の終了した印刷版12は、図示しない自動現像装置等によって現像処理等が施される。
【0025】
この画像露光装置10には、機枠14内にカセット装填部18、給版搬送部20、記録部22及び排出バッファ部24等が設けられている。カセット装填部18は、機枠14内の図1紙面右下側に配置されており、それぞれに多数枚の印刷版12を収容している複数のカセット16が、所定角度で傾斜された状態で装填される。
【0026】
画像露光装置10では、縦横の寸法が異なる複数サイズの印刷版12の処理が可能となっており、カセット16には、何れかのサイズの印刷版12が、感光層を上側にし、一端が所定の位置となるように位置決めされて収容されている。また、カセット装填部18には、複数のカセット16が所定間隔で、かつそれぞれに収容している印刷版12の一端が略一定の高さとなるように装填される。
【0027】
給版搬送部20は、カセット装填部18の上方に配置され、記録部22は、カセット装填部18に隣接して、装置の中央下部に配置されている。給版搬送部20には、一対の側板26(図1では一方のみを図示)が設けられており、この側板26に反転ユニット28及び枚葉ユニット30が取付けられている。
【0028】
反転ユニット28は、所定の外径寸法の反転ローラ32を備え、この反転ローラ32の周囲に複数の小ローラ(本実施の形態では、一例として小ローラ34A、34B、34C、34Dの4個)が設けられている。小ローラ34A〜34Dは、カセット装填部18側から反転ローラ32の上方を経て記録部22側に亘って配置され、無端の搬送ベルト36が巻き掛けられている。これにより、搬送ベルト36は、小ローラ34Aと小ローラ34Dの間の約半周に亘って反転ローラ32に巻き掛けられている。
【0029】
一方、枚葉ユニット30は、カセット16内の印刷版12の上端部を吸着する複数の吸盤38を備えており、吸盤38を下方移動させてカセット装填部18に装填されているカセット16内の印刷版12の上端部に対向させて印刷版12を吸着する。また、枚葉ユニット30は、印刷版12を吸着した吸盤38を略上方へ移動させることにより、カセット16から印刷版12を引き出すと共に、引き出した印刷版12の先端を、反転ローラ32と搬送ベルト36の間へ挿入する。なお、図1では、吸盤38の移動位置の概略を二点鎖線で示している。
【0030】
反転ユニット28では、反転ローラ32と搬送ベルト36がカセット16からの印刷版12の引き出し方向(図1の矢印A方向)に回転する。これにより、印刷版12は、反転ローラ32と搬送ベルト36に挟持されてカセット16から引き出されると共に、反転ローラ32の周面に巻き掛けられることにより、湾曲されながら搬送されて反転される。なお、反転ローラ32の半径寸法は、印刷版12を湾曲させたときに、印刷版12に折れや曲がりを生じさせない寸法(例えば100mm以上)となっている。
【0031】
図1に実線及び二点鎖線で示すように、側板26は、印刷版12を取出すカセット16の位置に応じて水平移動する。これにより、枚葉ユニット30の吸盤38は、選択されたカセット16内の印刷版12に対向される。
【0032】
また、側板26には、小ローラ34Dの下方にガイド40が設けられており、反転ローラ32によって反転された印刷版12は、小ローラ34D側で反転ローラ32と搬送ベルト36の間から、このガイド40へ向けて送り出される。また、記録部22の上方には、搬送コンベア42が配置されており、反転ユニット28から送り出された印刷版12は、ガイド40によって搬送コンベア42へ案内される。
【0033】
なお、ガイド40は、常に印刷版12の案内方向を搬送コンベア42へ向けるように、側板26の移動に伴って揺動する。また、記録部22側の小ローラ34Dは、側板26の移動に伴って反転ユニット28からの印刷版12の送出し方向を換えるように移動し、小ローラ34Cは、小ローラ34Dが移動したときに搬送ベルト36に略一定の張力を付与するように移動する。これにより、反転ユニット28から送り出される印刷版12がガイド40によって緩やかに湾曲されるようにしている。
【0034】
搬送コンベア42は、給版搬送部20の下方に隣接したローラ44と、記録部22の上方に隣接したローラ46との間に搬送ベルト48が巻き掛けられ、ローラ46側が下方となるように傾斜されている。
【0035】
図1及び図2に示されるように、搬送コンベア42には、ローラ46に対向してローラ50が配置されており、搬送コンベア42上に送り込まれた印刷版12は、搬送ベルト48上を搬送されてローラ46、50に挟持される。また、記録部22には、架台52上に回転ドラム54及び記録ヘッド部56が取付けられている。また、回転ドラム54の上方には、パンチャー58が配置されている。
【0036】
図2に示されるように、パンチャー58には、銜え口60が形成されており、搬送コンベア42は、ローラ46、50によって印刷版12を挟持し、印刷版12の先端をパンチャー58の銜え口60に挿入して保持する。パンチャー58は、銜え口60に印刷版12の先端が挿入されると、印刷版12の先端の所定の位置に、位置決め用として例えば切り欠きを穿設する。
【0037】
搬送コンベア42は、印刷版12に切り欠きが穿設されると、搬送ベルト48と共にローラ46、50を逆転駆動して、印刷版12の先端をパンチャー58の銜え口60から引き出す。また、搬送コンベア42には、図示しない揺動手段が設けられており、この揺動手段によってローラ44側を軸にしてローラ46側が記録部22の回転ドラム54に接近するように下方移動される(図1及び図2に二点鎖線で示す)。これにより、搬送ベルト48上の印刷版12は、先端が回転ドラム54の外周面の所定位置に向けられて、搬送ベルト48上を回転ドラム54へ向けて搬送される。
【0038】
回転ドラム54は、図示しない駆動手段によって、印刷版12の装着露光方向(図1及び図2の矢印B方向)及び装着露光方向と反対方向となる印刷版12の取外し方向(図1及び図2の矢印C方向)へ回転される。
【0039】
図2に示されるように、記録部22に設けられている回転ドラム54には、外周面の所定の位置に、先端チャック62が取付けられている。記録部22では、この回転ドラム54に印刷版12を装着するときに、先ず、先端チャック62が、搬送コンベア42によって送り込まれる印刷版12の先端に対向する位置(印刷版装着位置)で回転ドラム54を停止させる。
【0040】
記録部22には、印刷版装着位置で先端チャック62に対向して装着カム64が設けられている。先端チャック62は、この装着カム64が回動して一端側が押圧されることにより、回転ドラム54の周面との間に印刷版12の挿入が可能となる。記録部22では、印刷版12の先端が先端チャック62と回転ドラム54の間に挿入された状態で、装着カム64を戻して先端チャック62への押圧を解除することにより、印刷版12の先端を先端チャック62と回転ドラム54の周面との間で挟持して保持する。なお、このときに、印刷版12は、パンチャー58によって穿設された切り欠きに、回転ドラム54の周面の所定の位置に突設されている図示しない位置決めピンが入り込むことにより、回転ドラム54に対して位置決めされる。
【0041】
記録部22では、回転ドラム54に印刷版12の先端が固定されると、回転ドラム54を装着露光方向へ回転する。これにより、搬送コンベア42から送り込まれる印刷版12は、回転ドラム54の周面に巻き付けられる。
【0042】
回転ドラム54の周面近傍には、印刷版装着位置よりも装着露光方向の下流側にスクイズローラ66が配置されている。このスクイズローラ66は、回転ドラム54に向けて移動することにより回転ドラム54に巻き付けられる印刷版12を回転ドラム54へ向けて押圧し、印刷版12を回転ドラム54の周面に密着させる。
【0043】
また、記録部22には、スクイズローラ66よりも回転ドラム54の装着露光方向上流側近傍に後端チャック着脱ユニット68が設けられ、装着露光方向の下流側近傍に取外しカム70が配置されている。後端チャック着脱ユニット68には、回転ドラム54へ向けて突出されたシャフト72の先端に後端チャック74が装着されている。
【0044】
記録部22では、回転ドラム54に巻き付けた印刷版12の後端が、後端チャック着脱ユニット68に対向すると、シャフト72を突出させて、後端チャック74を回転ドラム54の所定の位置に装着する。これにより、後端チャック74が、回転ドラム54との間で印刷版12の後端を挟持して保持する。
【0045】
記録部22では、印刷版12の先端及び後端を回転ドラム54に保持させるとスクイズローラ66を離間させる。この後、記録部22では、回転ドラム54を所定の回転速度で高速回転させながら、この回転ドラム54の回転に同期させて、記録ヘッド部56から画像データに基づいて変調した光ビームを照射する。これにより、印刷版12が画像データに基づいて走査露光される。
【0046】
記録部22では、印刷版12への走査露光が終了すると、印刷版12の後端を保持している後端チャック74が後端チャック着脱ユニット68に対向する位置で回転ドラム54を一時停止すると共に、スクイズローラ66によって回転ドラム54との間で印刷版12を挟持する。後端チャック着脱ユニット68は、後端チャック74が対向して回転ドラム54の回転が停止すると、回転ドラム54から後端チャック74を取り外す。これにより、印刷版12の後端が開放される。
【0047】
記録部22では、回転ドラム54から後端チャック74を取り外すと、回転ドラム54を印刷版12の取出し方向へ回転する。これにより、スクイズローラ66と回転ドラム54の間から印刷版12が送出される。
【0048】
図1に示されるように、排出バッファ部24は、スクイズローラ66の上方側に設けられており、回転ドラム54が印刷版12の取外し方向へ回転することにより、印刷版12は、後端側から排出バッファ部24へ向けて送り出される。また、回転ドラム54は、印刷版12の取出し方向に回転して、先端チャック62が取外しカム70に対向する印刷版取外し位置で停止する。記録部22では、この位置で取外しカム70を回動することにより先端チャック62を押圧して、先端チャック62と回転ドラム54との間での印刷版12の先端の挟持を解除する。これにより、印刷版12が回転ドラム54から取り外される。
【0049】
一方、排出バッファ部24は、機枠14に形成されている排出口76の内方側に設けられており、排出ローラ78を備えている。この排出ローラ78の周囲には、複数の小ローラ(一例として小ローラ80A、80B、80C、80D、80E)が配置されており、これらの小ローラ80A〜80Eの間に無端の搬送ベルト82が巻き掛けられている。これにより、排出ローラ78には、小ローラ80Aと小ローラ80Eの間の1/2周から3/4周の範囲で搬送ベルト82が巻き掛けられている。
【0050】
小ローラ80Aは、記録部22のスクイズローラ66側へ向けて突設されており、ローラ84が対向して配置されている。記録部22から送出された印刷版12は、小ローラ80Aとローラ84の間へ向けて案内され、小ローラ80Aとローラ84とに挟持される。
【0051】
排出バッファ部24では、排出ローラ78を印刷版12の引き入れ方向(矢印D方向)に回転駆動することにより、小ローラ80Aとローラ84に挟持した印刷版12を記録部22から引き出しながら排出ローラ78と搬送ベルト82の間に案内し、排出ローラ78と搬送ベルト82で挟持して排出ローラ78に巻き掛ける。このとき、排出バッファ部24では、印刷版12の先端部(記録部22から送出されるときの後端側)を小ローラ80Aとローラ54に挟持することにより、排出ローラ78に巻き掛けた印刷版12を一次的に保持する。
【0052】
一方、図1に二点鎖線で示されるように、排出バッファ部24では、小ローラ80Aとローラ84が排出口76に対向する位置へ移動する。このとき、小ローラ80Aとアイドルローラ84が一体で回動することにより、印刷版12の先端が排出口76へ向けられる。なお、小ローラ80Aの上方の小ローラ80Bは、小ローラ80Aの移動に追従して移動し、搬送ベルト82に一定の張力を付与するようになっている。
【0053】
排出バッファ部24では、印刷版12の先端を排出口76へ向けると、排出ローラ78を、排出口76に隣接して配置している自動現像装置などの処理装置での印刷版12の搬送速度に応じた回転速度で、印刷版12の送出し方向(矢印D方向と反対方向)へ回転駆動する。これにより、印刷版12が排出口76から送り出される。
【0054】
ところで、回転ドラム54には、印刷版12を回転ドラム54に巻き付けたときに、印刷版12の先端を回転ドラム54の周面の所定の位置に固定する先端チャック62が取付けられており、また、この印刷版12の後端を固定する後端チャック74が装着されるようになっている。
【0055】
図3に示されるように、先端チャック62は、所定長さの帯板状に形成されたクランプ100を備えており、このクランプ100が所定間隔で回転ドラム54の軸線方向に沿って並べて配置されている。また、後端チャック74は、所定長さの帯板状のクランプ140を備えて、このクランプ140が回転ドラム54の周面に所定間隔で並べられて装着されるようになっている。
【0056】
図4及び図5には、後端チャック74の一例を示している。後端チャック74のクランプ140には、幅方向の一端側にクランプ部142が形成されている。クランプ部142は、クランプ140の幅方向と直行する方向に突設された先端部が円弧状に湾曲されている。
【0057】
後端チャック74は、このクランプ部142が回転ドラム54に巻き付けられた印刷版12の後端部に対向されるようになっており、クランプ部142を印刷版12の後端部に対向した状態で回転ドラム54に装着されることにより、回転ドラム54に巻き付けられた印刷版12の後端部周縁をクランプ部142と回転ドラム54との間で挟持して保持する(図示省略)。
【0058】
クランプ140には、回転ドラム54に対向する面と反対側の面(図4及び図5の紙面上方側の面)に複数の凹部146が形成されている。凹部146は、平面形状が略T字状となっており、クランプ部142側に偏寄して形成されている。後端チャック74には、凹部146のそれぞれに支持部材148が取り付けられている。
【0059】
図3に示されるように、回転ドラム54の周面には、複数本の装着溝90が所定間隔で形成されており、後端チャック74は、支持部材148が装着溝90に装着されて回転ドラム54に取付けられる(図示省略)。なお、本実施の形態では、一例として、2本の装着溝90が一組で後端チャック74の一つのクランプ140に対応しており、支持部材148は、クランプ140に2個ずつ設けられている。
【0060】
図4及び図5に示されるように、支持部材148は、シャフト150の軸線方向に沿った中間部から基板152が延設されており、この基板152に脚154が取り付けられている。
【0061】
クランプ140には、凹部146のクランプ部142側に、溝方向がクランプ140の長手方向に沿う溝156が形成されている。また、クランプ140には、凹部146内に溝156に隣接して矩形孔158が穿設されている。支持部材148は、シャフト150が溝156に嵌め込まれると共に、基板152が矩形孔158に嵌め込まれてクランプ140に取付けられる。これにより、クランプ140は、シャフト150を軸に、支持部材148に対して揺動可能となっている。
【0062】
図5及び図6に示されるように、支持部材148に取り付けられている脚154は、矩形ブロック形状に形成された固定コマ160と、この固定コマ160から立設された支軸162とによって形成されており、支軸162から突設された小径部164(図6参照)が支持部材148の基板152に形成された貫通孔(図示省略)に挿入されて連結されている。
【0063】
図4及び図5に示されるように、支軸162と基板152の間には、座板166が介在されており、また、基板152の上側には、ハンドル板168が座板166に挟まれて配置されている。ハンドル板168及びハンドル板168を挟持している座板166は、シャフト164に螺合されているネジ170によって取り付けられている。
【0064】
図6に示されるように、支軸162の小径部164には、外周部に軸線方向に沿った切欠き164Aが形成されている。ハンドル板168には、小径部164の外形形状に合わせた貫通孔168Aが形成されており、この貫通孔168Aに小径部164が挿入されている。これにより、脚154の固定コマ160は、ハンドル板168と一体で支軸162を中心に回動するようになっている。
【0065】
図4及び図5に示されるように、ハンドル板168は、クランプ140の凹部146内に配置されており、後端チャック74では、ハンドル板168を回動させることにより、固定コマ160を回動させるようにしている。なお、図5に示されるように、基板152には、シャフト150と反対側の端部に段差部172が形成されており、この段差部172とハンドル板168の間で、クランプ140の矩形孔158の周縁部を挟んでおり、これによって、支持部材148に対してクランプ140が不必要に揺動してしまうのを防止している。
【0066】
図4及び図5に示されるように、支持部材148には、脚154の支軸162と支持部材148の基板152との間に、板ばね174の一端が挟持されて取付けられている。この板ばね174の他端側は、回転ドラム54側(図4及び図5の紙面下方側)へ向けて屈曲されている。
【0067】
後端チャック74は、クランプ部142を印刷版12の後端部に対向させた状態で、回転ドラム54に装着されたときに、この板ばね174が回転ドラム54に当接して弾性変形し、クランプ部142と回転ドラム54の周面との間に印刷版12を挟持する挟持力を付与するようになっている。
【0068】
図6に示されるように、固定コマ160は、一方に長い矩形ブロック形状となっている。なお、以下では、固定コマ160の短辺方向を固定コマ160の幅方向とし、長辺方向を固定コマ160の長手方向として説明する。
【0069】
支軸162は、この固定コマ160の幅方向及び長手方向の中心となる位置が軸心となるように設けられている。
【0070】
図6及び図7に示されるように、この固定コマ160には、長手方向の両端部のそれぞれに円弧状部176及び直線状部178が形成されている。図7に示されるように、この円弧状部176は、幅方向の一端側を、支軸162を中心とした所定の半径で湾曲して形成しており、固定コマ160は、外形が固定コマ160の幅方向の中間点P1から、固定コマ160の幅方向の一端部の長手方向の点P2の間が円弧状に形成されている。また、固定コマ160は、長手方向の両端部に、中間点P1から幅方向の他端部の点P3の間が幅方向に沿った直線状に形成された直線状部178となっている。
【0071】
これにより、固定コマ160は、中心点Qから点P2までの距離r2、中間点P1までの距離r1、点P3までの距離r3が、この順で長くなっている(r2<r1<r3)。
【0072】
また、図6に示されるように、固定コマ160には、長手方向の両端部に傾斜部180が設けられている。この傾斜部180は、固定コマ160の上部側を所定の角度で切欠いた形状となっており、これにより、直線状部178に、後述する装着溝90の内面に合わせた傾斜面182を形成している。なお、円弧状部176側の傾斜面182は、中心点Qを中心とした円弧となっている。
【0073】
一方、図8には、回転ドラム54の軸線方向に沿った、装着溝90の近傍の断面を示している。この装着溝90は、回転ドラム54の表面近傍の開口幅W1が、固定コマ160の幅方向に沿った寸法W0(図7参照)よりも僅かに大きくなっており、また、開口幅W1は、固定コマ160の長手方向に沿った寸法L0(図7参照)より狭くなっている。これにより、固定コマ160の長手方向を装着溝90の溝方向に沿わせたときにのみ、装着溝90内への固定コマ160の挿入及び抜き出しが可能となっている。
【0074】
また、回転ドラム54内には、装着溝90内に拡幅部92が形成されている。この拡幅部92は、装着溝90の幅方向に沿った両側内面が、装着溝90の底面94に対して所定の角度θで傾斜されている(以下「斜面96」と言う)。角度θは、45°以上から90°未満の範囲とすることができ、本実施の形態では、一例として角度θを約45°としている。
【0075】
拡幅部92は、角度θの斜面96の形成されることにより、装着溝90の開口幅を開口部側から底面94へ向けて徐々に広げている。この拡幅部92によって装着溝90は、幅方向に沿った断面が略台形形状となる開口として回転ドラム54に形成されている。
【0076】
図6に示されるように、固定コマ160は、幅方向を装着溝90の溝幅方向に沿わせた状態で装着溝90内に挿入された後、長手方向を装着溝90の幅方向に沿わせるように、円弧状部176側から矢印E方向へ回動される(図6に二点鎖線で示す)。
【0077】
図7に示されるように、この装着溝90の拡幅部92は、斜面96の間隔が所定の位置で、固定コマ160の長手方向に沿った寸法L0と一致するようになっている。これにより、装着溝90に挿入した固定コマ160の長手方向を、装着溝90の溝幅方向に沿わせることにより、固定コマ160の両端部の中間点P1が斜面96に当接する。これにより、固定コマ160の装着溝90からの抜き出しが不可能となるようにしている。
【0078】
一方、図5及び図6に示されるように、脚154には、捩りばね184が設けられている。この捩りばね184は、支軸162の周囲に配置され、一端が固定コマ160に係止され、他端が支持部材148の基板152に係止されており、これにより、固定コマ160が支軸162を軸にして矢印E方向へ付勢されている。
【0079】
クランプ140には、捩りばね184の付勢力に抗して、固定コマ160を幅方向が装着溝90の溝幅方向に沿うようにハンドル板168を係止する突起などの係止手段が凹部146に形成されている。後端チャック74は、固定コマ160を装着溝90内へ挿入した状態で、この係止手段によるハンドル板168の係止を解除することにより、ハンドル板168と共に固定コマ160が捩りばね184の付勢力によって矢印E方向へ回動される。これにより、固定コマ160の長手方向の両端部が装着溝90の斜面96に当接される。
【0080】
また、後端チャック74は、捩りばね184の付勢力に抗してハンドル板168を回動させて、図示しない係止手段へ係止させることにより、固定コマ160の装着溝90からの抜き出し、すなわち、回転ドラム54からの取外しが可能となる。なお、後端チャック74の回転ドラム54への着脱を行う後端チャック着脱ユニット68としては、任意の構成を用いることができ、本実施の形態では、詳細な説明を省略する。
【0081】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0082】
画像露光装置10では、印刷版12に露光する画像データが入力され、画像露光を行う印刷版12のサイズ及び露光枚数が設定されて、画像露光の開始が指示されると、印刷版12への画像露光処理を開始する。なお、これらの処理は、画像露光装置10に操作パネルを設け、この操作パネルのスイッチ操作によって指示するものであっても良く、画像露光装置10に画像データを出力する画像処理装置等からの信号によって画像露光装置10の処理開始を指示するものであっても良い。
【0083】
画像露光装置10では、処理の開始が指示されると、指定されたサイズの印刷版12を収容しているカセット16に対応する位置へ反転ユニット28と共に枚葉ユニット30を移動させ、吸盤38によって該当するカセット16内の印刷版12を吸着して取出し、反転ユニット28の反転ローラ32と搬送ベルト36の間へ送り込む。これにより、印刷版12は、反転ローラ32と搬送ベルト36に挟持搬送され、搬送コンベア42へ送られる。
【0084】
搬送コンベア42は、まず、この印刷版12の先端をパンチャー58の銜え口60に挿入する。パンチャー58は、挿入された印刷版12の所定の位置に位置決め用の切り欠きを穿設する。搬送コンベア42は、印刷版12に切り欠きが穿設されると、この印刷版12をパンチャー58の銜え口60から引き出して、回転ドラム54の周面へ向けて送り出す。
【0085】
記録部22では、この印刷版12の先端を先端チャック62によって回転ドラム54に保持させると、スクイズローラ66によってスクイズしながら印刷版12を回転ドラム54に巻き付け、印刷版12の後端を後端チャック74によって回転ドラム54に保持させる。
【0086】
この後、記録部22では、回転ドラム54を高速回転しながら記録ヘッド部56から画像データに基づいた光ビームを印刷版12に照射して、印刷版12を走査露光する。印刷版12の走査露光が終了すると、先端チャック62を取外して、印刷版12を排出バッファ部24へ送り出す。
【0087】
排出バッファ部24では、印刷版12を小ローラ80Aとローラ84によって挟持搬送して排出ローラ78に巻き掛けた後、小ローラ80Aとローラ84を排出口76に対向させて、排出口76から所定の搬送速度で送り出す。
【0088】
ところで、回転ドラム54には、先端チャック62が設けられており、印刷版12は、先端が先端チャック62によって回転ドラム54の周面の所定の位置に固定されて、回転ドラム54の周面に巻き付けられる。また、回転ドラム54には、後端チャック74が装着されるようになっており、回転ドラム54に巻き付けられた印刷版12は、後端部が後端チャック74によって回転ドラム54に固定される。
【0089】
ここで、回転ドラム54への後端チャック74の着脱を説明する。
【0090】
後端チャック74は、ハンドル板168をクランプ140の凹部146上の所定の位置に係止されることにより、脚154の固定コマ160が、回転ドラム54の装着溝90に対向した状態で、かつ、捩りばね184の付勢力に抗して幅方向を装着溝90の溝幅方向に沿わせた状態で保持される。
【0091】
後端チャック着脱ユニット68は、回転ドラム54に巻き付けられた印刷版12の後端が後端チャック74に対向した位置で回転ドラム54の回転が一旦停止すると、後端チャック74を回転ドラム54の周面へ向けて移動する。これにより、後端チャック74のクランプ部142が印刷版12の後端に当接し、図9(A)及び図9(D)に示されるように、脚154の固定コマ160が回転ドラム54の周面に形成されている装着溝90内へ挿入される。
【0092】
このとき、後端チャック74に設けられている板ばね174が回転ドラム54の周面に当接して弾性変形する。板ばね174の弾性変形によって生じる付勢力に抗して固定コマ160を装着溝90に挿入することにより、クランプ部142と回転ドラム54との間で印刷版12を挟持する付勢力が付与される。
【0093】
後端チャック74は、固定コマ160が回転ドラム54の装着溝90に挿入されると、例えばハンドル板168が矢印E方向へ回動されるなどして、図示しない係止手段によるハンドル板168の係止が解除される。
【0094】
これにより、装着溝90に挿入された固定コマ160は、捩りばね184の付勢力によって、装着溝90の拡幅部92内で矢印E方向へ回動される。固定コマ160は、幅方向を装着溝90の溝幅方向に沿わせた状態から矢印E方向へ回動されることにより、先ず、図9(B)及び図9(E)に示されるように、長手方向の両端部に形成している円弧状部176側から拡幅部92内の斜面96に接近する。このとき、固定コマ160の長手方向の両端部が拡幅部92の斜面96から離間しているので、固定コマ160は、さらに捩りばね184の付勢力によって矢印E方向へ回動される。
【0095】
図9(C)及び図9(F)に示されるように、固定コマ160は、装着溝90に挿入された状態から捩りコイルばね184の付勢力によって約90°まで回動すると、長手方向の両端部(中間点P1)が拡幅部92の斜面96に当接する。このとき、固定コマ160に形成しているに直線状部178と傾斜部180との角部が拡幅部92の斜面96に当接し、捩りばね184の付勢力による固定コマ160の回動が停止される。
【0096】
すなわち、固定コマ160は、長手方向の両端部に円弧状部176を形成することにより、中間点P1が拡幅部92の斜面96に当接するまで、捩りばね184の付勢力によって矢印E方向へ回動する。また、固定コマ160は、長手方向の両端(中間点P1)が斜面96に当接すると、この中間点P1よりも矢印E方向と反対側(点P3側)が、中心点Qから離れているために、90°以上回動されることなく、捩りばね184の付勢力によって保持される。
【0097】
これにより、固定コマ160を正確に回動させる機構を用いることなく、固定コマ160と共に固定コマ160が設けられている後端チャック74を回転ドラム54に装着することができる。また、固定コマ160は、捩りばね184の付勢力によって矢印E方向へ付勢されているために、装着溝90から外れてしまうことがない。
【0098】
回転ドラム54に装着された固定コマ160には、板ばね174の付勢力及び回転ドラム54が回転したときの遠心力等によって装着溝90からの抜き出し方向へ付勢される。
【0099】
このとき、固定コマ160は、長手方向の両端部が斜面96に当接しているので、装着溝90内から抜け出すことなく確実に保持される。なお、固定コマ160では、円弧状部176側の傾斜面182を支軸162を中心にした円弧として形成しているため、捩りばね184の付勢力が適切に固定コマ160に作用せずに、固定コマ160が約90°まで回動しなくても、円弧状部176が装着溝90の斜面96に対向すれば、固定コマ160の装着溝90からの抜き出しを確実に阻止することができるようになっている。
【0100】
一方、回転ドラム54は、固定コマ160が斜面96に当接することにより、斜面96が固定コマ160に作用する付勢力及び遠心力を受ける。このとき、斜面96を装着溝90の底面94に対して45°以上、90°未満の間の所定の角度θで傾斜させていることにより、固定コマ160に当接する位置の肉厚を比較的厚くすることができる。
【0101】
すなわち、従来は、図11に示されるように、拡幅部214の開口断面を略矩形形状に形成しているため、開口周縁の肉厚が薄くなっており、この肉厚が薄い部分で固定コマ216からの力を受けることになる。また、この肉厚を厚くするためには、溝212を深くする必要があり、これに伴って回転ドラム210の外周部の肉厚も厚くする必要が生じる。
【0102】
これに対して、本実施の形態に適用した回転ドラム54の装着溝90は、拡幅部92を形成するときに、比較的大きな角度θで傾斜させた斜面96を設けているために、比較的肉厚が厚い位置で固定コマ160からの力を受けることができる。したがって、装着溝90の周縁部を強固にするために回転ドラム54の外周部の肉厚を厚くする必要がない。
【0103】
回転ドラム54の肉厚を比較的薄くできることにより、回転ドラム54を支持する機構の簡素化や軽量化が可能であると共に、回転ドラム54の慣性力が小さくなるため、回転ドラム54を回転するための駆動力や制動力が比較的小さくて済む。
【0104】
一方、斜面96の角度θを45°以上、90°未満とすることにより、斜面96が固定コマ160から溝幅方向へ受ける力が大きくなり、装着溝90の周面部を捲り上げる方向の力を小さくすることができる。これにより、回転ドラム54の肉厚を厚くすることなく、固定コマ160による装着溝90の変形を防止することができる。
【0105】
また、装着溝90は、断面形状を略台形状とした簡単な形状となっているため、回転ドラム54に装着溝90を形成する時の加工が容易となっている。
【0106】
このように、本実施の形態では、装着溝90を形成するときに所定の角度θで傾斜した斜面96を設けることにより、回転ドラム54の肉厚を厚くすることなく、装着溝90の開口部周縁の変形を防止して、開口部周縁が変形することによる印刷版12の浮きなどの印刷版12の装着不良が生じるのを防止することができる。
【0107】
また、本実施の形態では、固定コマ160の幅方向の一端側にのみ円弧状部176を形成することにより、簡単な機構で固定コマ160を所定の向きまで回動させることができる。
【0108】
なお、以上説明した本実施の形態は、本発明の一例を示すものであり、本発明の構成を限定するものではない。本実施の形態では、装着溝90の断面形状を略台形形状に形成したが、本発明は、これに限定するものではなく、少なくとも45°以上、90°未満の所定の角度θで傾斜させた斜面が形成されるものであれば良い。
【0109】
例えば、図10(A)に示す装着溝188のように、開口側に立壁189を設けて、所定深さまで開口幅を一定とし、底面190側に角度θで傾斜させた斜面191を回転ドラム54に形成しても良い。
【0110】
また、図10(B)に示す装着溝193のように、底面194側にさらに立壁195を設けることにより、立壁189、195の間に角度θで傾斜させた斜面196を回転ドラム54に形成しても良い。この場合、底面194側の立壁195に固定コマ160の長手方向の端面(直線状部178)が当接するように構成することがより好ましい。
【0111】
また、本実施の形態では、固定コマ160の直線状部178の上端が装着溝90の斜面96に当接するようにしたが、これに限らず、少なくとも固定コマ160の一部が装着溝内に形成した斜面に当接するようにしたものであれば良い。すなわち、図10(C)に示されるように、斜面197の底部198側に立壁199を設けた装着溝200を回転ドラム54に形成し、装着溝200に挿入された固定コマ160の直線状部178の上端が斜面197の立壁199側の端部または斜面197と立壁199の間の屈曲部分に当接するようにしても良い。
【0112】
さらに、図10(A)及び図10(B)に示されるように、固定コマ160の傾斜面182が、装着溝188、193の斜面191、196に当接するようにしても良い。
【0113】
また、本実施の形態では、固定コマ116の幅方向の中間点から一端側の間で円弧状部176を形成したが、例えば、図10(D)に示されるように、幅方向の他端側から一端側へ向けて大きく円弧状に湾曲させた円弧状部204を形成して、円弧状部204に対して直線状部206の領域を狭めた固定コマ202などのように、円弧状部を少なくとも幅方向の一端側にのみ形成したものであれば良く、円弧状部に隣接して幅方向の他端側に、短くとも直線部分が形成されることがより好ましい。
【0114】
なお、本実施の形態では、印刷版12を露光する画像露光装置10を例にして回転ドラム54と後端チャック74の間に本発明を適用して説明したが、本発明は、印刷版に限らずフィルムや印画紙などの感光材料を露光する種々の露光装置に用いることができる。また、本発明は、画像露光装置に限らず回転ドラムなどの固定部材の任意の位置に後端チャック74などの被固定部材を固定する任意の装置に適用することができる。
【0115】
また、本実施の形態では、固定部材として回転ドラム54を用いたが、本発明は、回転ドラムなどの円筒状または円柱状の部材や板状体などの任意の形状を固定部材に、後端チャック74などの固定部材に応じた任意の被固定部材の間に用いることができる。
【0116】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、開口の断面形状を略台形形状として、固定コマが溝の内壁を形成する斜面に当接するように溝を形成することにより、固定部材の肉厚を厚くすることなく、溝の開口周縁部に捲れが生じるのを防止することができる。
【0117】
また、固定コマの幅方向の一端側にのみ円弧状部を形成することにより、固定コマを正確に回転させることなく、固定こまを確実に溝の斜面へ当接させて固定することができると言う優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した画像露光装置を示す概略構成図である。
【図2】画像露光装置の記録部を示す概略構成図である。
【図3】回転ドラムへの先端チャックと後端チャックの配置を示す概略斜視図である。
【図4】本実施の形態に適用した後端チャックの要部を示す概略斜視図である。
【図5】後端チャックの要部を示すクランプの幅方向に沿った概略断面図である。
【図6】本発明を適用した固定コマが設けられた後端チャックの脚を示す概略斜視図である。
【図7】固定コマの平面形状を示す概略図である。
【図8】回転ドラムに形成した装着溝を示す回転ドラムの軸線方向に沿った要部断面図である。
【図9】(A)乃至(C)は装着溝での固定コマの回動を示す概略平面図であり、(A)は固定コマを装着溝に挿入した状態を示し、(B)は挿入溝に挿入した固定コマの回動途中を示し、(C)は固定コマを装着溝に装着した状態を示している。また、(D)、(E)、(F)は、それぞれ(A)、(B)、(C)における回転ドラムの軸線方向に沿った概略断面図である。
【図10】(A)乃至(C)はそれぞれ固定コマを装着する装着溝の変形例を示す溝方向から見た概略図、(D)は固定コマの一変形例を示す概略平面図である。
【図11】従来例を示す固定コマと回転ドラムの溝の要部斜視図である。
【符号の説明】
10 画像露光装置
12 印刷版
22 記録部
54 回転ドラム(固定部材)
74 後端チャック(被固定部材)
90 装着溝(溝)
92 拡幅部
96 斜面
150 脚
160 固定コマ
162 支軸
176 円弧状部
178 直線状部
180 傾斜部
184 捩りばね(付勢手段)

Claims (4)

  1. 回転ドラムの周面に周方向に沿って形成された溝の任意の位置で、溝に挿入される被固定部材の固定コマの溝からの抜き出しを阻止して、被固定部材を前記回転ドラムの周面に固定する固定部構造であって、
    前記固定コマが、
    前記被固定部材から突設された支軸に設けられて、幅方向の寸法が前記溝の開口幅よりも小さく、幅方向と直交する長手方向の寸法が、溝の開口幅よりも長い略矩形ブロック形状に形成されると共に、
    前記回転ドラムの前記溝が、
    開口部から内部の溝幅を拡幅する方向に所定角度で傾斜された斜面が設けられることにより溝内部に拡幅部が形成されて断面形状が略台形状とされて
    前記固定コマが前記溝内に挿入され回動されることにより、前記固定コマの長手方向の両端部前記斜面に当接されて前記回転ドラムに固定されるようにしたことを特徴とする固定部構造。
  2. 前記固定コマの長手方向の両端部に、幅方向の一端側に直線状部が形成され、他端側に前記直線状部側から所定半径で円弧状に湾曲した円弧状部が形成され、前記固定コマが前記円弧状部側から前記拡幅部の斜面へ向けて回動されて固定されることを特徴とする請求項1に記載の固定部構造。
  3. 前記被固定部材に前記固定コマが前記溝内に挿入されたときに、該固定コマの長手方向の両端部が前記溝の斜面に当接される方向へ回動するように付勢する付勢手段が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の固定部構造。
  4. 前記固定コマ長手方向の両端部に前記溝の斜面に対向される傾斜部が形成され、該傾斜部が前記斜面に面接触されることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の固定部構造。
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