JP4132503B2 - 薄円板の支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シリコンウェーハ等の薄円板を支持するための薄円板の支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコンウェーハ等の薄円板の表面形状を測定するために、回転する円環状の環状部材の中心に薄円板を支持することが行われている。
図5は、従来の薄円板の支持構造を示すもので、この支持構造では、回転する円環状の環状部材1の中心に薄円板2が垂直に支持されている。
【0003】
すなわち、円環状の環状部材1の下部には、薄円板2の外周面が当接される一対の支持部材3が120度の角度を置いて配置されている。
そして、この一対の支持部材3は、環状部材1に固定されている。
一方、環状部材1の上部には、支持部材4が揺動自在に配置されている。
この支持部材4は、スプリング5により薄円板2側に向けて付勢されている。
【0004】
支持部材4の先端には、案内部材6が配置されており、この案内部材6に形成される溝部に薄円板2の外周縁部が挟持されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような薄円板の支持構造では、120度の角度を置いて配置される3個の支持部材3,6により、薄円板2を支持しているため、例えば、空気の揺らぎ,振動,音等の外乱により、薄円板2の支持部材3,6の間に位置する部分7が振動し、表面形状の測定精度が低下するという問題があった。
【0006】
そして、このような振動は、薄円板2の外径が、例えば、300mm程度と大径になるに従って増大し、測定精度に及ぼす影響が無視できないものになる。
また、3個の支持部材3,6のうち2個の支持部材3を、環状部材1に固定しているため、薄円板2の外径が異なると、薄円板2の中心を環状部材1の中心に一致させることが困難になるという問題があった。
【0007】
すなわち、図6に示すように、直径d1の薄円板2Aと直径d2の薄円板2Bを支持する場合には、直径d1の薄円板2Aの中心O1と直径d2の薄円板2Bの中心O2との間には、距離Δdだけのずれが生じる。
従って、従来の支持構造では、薄円板2の外径が変わる毎に2個の支持部材3の位置調整をする必要があり作業能率が低下する。
【0008】
一方、支持部材3の位置調整をしないで薄円板2が偏芯した状態で測定した場合には、後の測定データの処理が複雑化するという問題が生じる。
本発明は、かかる従来の問題点を解決するためになされたもので、薄円板の振動を確実に防止することができ、また、薄円板の中心を環状部材の中心に容易,確実に一致させることができる薄円板の支持構造を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の薄円板の支持構造は、環状部材の中心に、前記環状部材に支持される複数の支持部材を介して、薄円板を支持するための薄円板の支持構造において、前記環状部材の中心を中心とする仮想円上に、同一の角度を置いて6点以上の仮想支点を設置し、前記支持部材を前記各仮想支点に、前記仮想支点を支点として揺動自在に配置するとともに、隣接する前記支持部材をリンク部材により相互に連結し、互いに隣接しない位置に位置する3個の前記支持部材の先端に前記薄円板の外周縁部を挟持する主案内部材を配置し、残りの支持部材の先端に前記薄円板の外周面に当接される補助案内部材を配置してなることを特徴とする。
【0010】
請求項2の薄円板の支持構造は、請求項1記載の薄円板の支持構造において、前記環状部材に、前記支持部材の先端を前記薄円板に向けて付勢する付勢手段を配置してなることを特徴とする。
請求項3の薄円板の支持構造は、請求項1または請求項2記載の薄円板の支持構造において、前記補助案内部材は、弾性部材からなることを特徴とする。
【0011】
(作用)
請求項1の薄円板の支持構造では、環状部材の中心に、環状部材に支持される6個以上の支持部材を介して、薄円板が支持される。
そして、環状部材の中心を中心とする仮想円上に、同一の角度を置いて6点以上の仮想支点が設置され、支持部材が各仮想支点に、仮想支点を支点として揺動自在に配置され、隣接する支持部材がリンク部材により相互に連結される。
【0012】
従って、複数の支持部材が、常に同一の角度だけ移動され、支持部材の先端に配置される主案内部材および補助案内部材が、常に環状部材の中心から同一の半径位置に位置され、これにより、薄円板の中心が環状部材の中心に位置して支持される。
【0013】
また、互いに隣接しない位置に位置する3個の支持部材の先端に薄円板の外周縁部を挟持する主案内部材が配置され、残りの支持部材の先端に薄円板の外周面に当接される補助案内部材が配置される。
従って、同一の角度を置いて配置される6個以上の支持部材により、薄円板が支持され、薄円板の振動が防止される。
【0014】
また、互いに隣接しない位置に位置する3個の支持部材の先端に配置される主案内部材のみにより薄円板の外周縁部を挟持して支持し、残りの支持部材の先端に配置される補助案内部材を、単に薄円板の外周面に当接するようにしたので、薄円板の変形が防止される。
請求項2の薄円板の支持構造では、付勢手段により、支持部材の先端が薄円板に向けて付勢され、支持部材に配置される主案内部材および補助案内部材が所定の押圧力で、薄円板に押圧される。
【0015】
請求項3の薄円板の支持構造では、弾性部材からなる補助案内部材により、薄円板の振動が吸収される。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本発明の薄円板の支持構造の一実施形態を示しており、図2は、図1の薄円板の支持構造が適用される薄円板の表面形状測定装置を示している。
図2において、符号11は、上面を水平に配置される矩形状のベース部材を示している。
このベース部材11は、グラナイトからなる。
【0018】
また、ベース部材11は、空気バネ13を介して支柱15により支持されており、外乱振動の影響が抑制されている。
ベース部材11の上面の上方には、シリコンウェーハからなる円形状の薄円板17が配置されている。
この薄円板17は、支持手段19により、一の垂直面内において回動自在に支持されている。
【0019】
支持手段19は、円環状の固定部材21と、回転部材である円環状の環状部材23とを有している。
固定部材21には、図示しないブラシレスDCモータ用のコイルが内蔵され、環状部材23には、ブラシレスDCモータ用のマグネット25が内蔵され、これによりブラシレスDCモータが構成されている。
【0020】
環状部材23の内側には、所定角度を置いて薄円板17を支持する支持部材27が複数配置されている。
薄円板17が含まれる垂直面の一側および他側には、第1の案内軸29および第2の案内軸31が水平に配置されている。
第1の案内軸29および第2の案内軸31は、垂直面に平行に、かつ相互に平行になるように配置されている。
【0021】
また、第1の案内軸29および第2の案内軸31は、ブラケット33を介してベース部材11の上面に固定されている。
第1の案内軸29および第2の案内軸31は、非常に高い真直度を有している。
第1の案内軸29には、第1の案内軸29に沿って移動する第1のスライダ35が配置されている。
【0022】
この第1のスライダ35には、薄円板17の一面までの距離を測定する第1の計測手段37が配置されている。
また、第2の案内軸31には、第2の案内軸31に沿って移動する第2のスライダ39が配置されている。
【0023】
この第2のスライダ39には、薄円板17の他面までの距離を測定する第2の計測手段41が配置されている。
第1の計測手段37および第2の計測手段41には、非接触レーザ変位計が使用される。
また、第1のスライダ35および第2のスライダ39には、リニアモータを内蔵したエアスライドが使用されている。
【0024】
なお、第1の案内軸29と第2の案内軸31,第1のスライダ35と第2のスライダ39,第1の計測手段37と第2の計測手段41には、それぞれ同一の部品が使用されている。
薄円板17の径方向の両側には、薄円板17を上下方向に移動する垂直移動手段43が配置されている。
【0025】
この垂直移動手段43は、ベース部材11の上面に垂直に固定される第3の案内軸45を有している。
第3の案内軸45には、第3のスライダ47が移動自在に配置され、この第3のスライダ47に、薄円板17を支持する支持手段19の固定部材21が連結されている。
【0026】
第3のスライダ47には、ブラケット47aが形成され、このブラケット47aが、ボール螺子49に螺合されている。
ボール螺子49は、ベース部材11の上面に対して垂直に配置されており、ベース部材11の上面に固定されるモータ51により回転駆動される。
なお、この実施形態では、第3の案内軸45およびボール螺子49の上端が補強部材53により支持されている。
【0027】
また、この実施形態では、第1の計測手段37と第2の計測手段41とを、薄円板17が含まれる垂直面に垂直な同一軸線上に位置させるための位置合わせ手段であるブロック部材55が配置されている。
【0028】
このブロック部材55は、環状部材23の内周に固定されている。
上述した薄円板の表面形状測定装置では、薄円板17の表面形状の測定が以下述べるようにして行われる。
すなわち、支持手段19の支持部材27により支持されるシリコンウェーハからなる薄円板17を垂直面内において回動しながら、第1の案内軸29および第2の案内軸31に沿って、第1のスライダ35および第2のスライダ39を独立して移動しながら、第1の計測手段37および第2の計測手段41により、薄円板17の一面および他面までの距離が独立して計測され、薄円板17の一面および他面の表面形状が測定される。
【0029】
図1は、本発明の薄円板の支持構造の一実施形態を示しており、図1において符号23は、上述した支持手段19に配置される円環状の環状部材を示している。
この環状部材23の中心には、環状部材23に支持される6本の支持部材57A,57Bを介して、シリコンウェーハからなる円形状の薄円板17が支持されている。
【0030】
すなわち、環状部材23には、環状部材23の中心Oを中心とする仮想円C上に、60度の角度を置いて6点の仮想支点Sが設置されている。
そして、各仮想支点Sには、仮想支点Sを支点として、支持部材57A,57Bが揺動自在に配置されている。
この実施形態では、仮想支点Sの位置にピン部材59が立設され、支持部材57A,57Bがピン部材59を中心にして揺動自在に支持されている。
【0031】
そして、隣接する支持部材57A,57Bが、剛体からなるリンク部材61により相互に連結されている。
すなわち、この実施形態では、支持部材57A,57Bの後端には、連結部材63が支持部材57A,57Bに対して直角に十字状に固定されている。
【0032】
そして、連結部材63の両側に、リンク部材61の端部が、ピン部材65を介して揺動自在に連結されている。
互いに隣接しない位置に位置する3本の支持部材57Aの先端には、薄円板17の外周縁部を挟持する主案内部材67が配置されている。
図3は、主案内部材67の詳細を示すもので、この主案内部材67は、ピン部材69を介して支持部材57Aに回動自在に配置されている。
【0033】
主案内部材67は、金属,樹脂等からなり円柱状に形成されている。
主案内部材67の外周には、断面V字状の凹溝67aが形成されている。
この凹溝67aには、薄円板17の外周縁部17aが挿入されている。
そして、残りの支持部材57Bの先端には、薄円板17の外周面に当接される補助案内部材71が配置されている。
【0034】
図4は、補助案内部材71の詳細を示すもので、この補助案内部材71は、ピン部材73を介して支持部材57Bに回動自在に配置されている。
補助案内部材71は、発泡ポリウレタン,ゴム等の弾性部材からなり、例えば、円柱状に形成されている。
この補助案内部材71の外周71aには、薄円板17の外周面17bが当接されている。
【0035】
そして、この実施形態では、図1の上部に配置される支持部材57Aに付勢手段75が配置されている。
この付勢手段75は、コイルスプリング77の一端を連結部材63の端部に固定し、他端を環状部材23に固定して構成されている。
そして、コイルスプリング77により、支持部材57Aの先端が薄円板17に向けて付勢されている。
【0036】
上述した薄円板の支持構造では、例えば、揺動シリンダ79により、図1の上部に配置される支持部材57Aが、支持部材57Aの先端が外側に向けて移動するように移動され、この状態で薄円板17の着脱が行われる。
すなわち、図1の上部に配置される支持部材57Aを外側に向けて移動すると、6本の支持部材57A,57Bがリンク部材61により連結されているため、6本の支持部材57A,57Bが、常に同一の角度だけ移動され、支持部材57A,57Bの先端に配置される主案内部材67および補助案内部材71が、常に環状部材23の中心Oから同一の半径位置に位置される。
【0037】
そして、薄円板17を環状部材23の略中心Oに位置させ、揺動シリンダ79の支持部材57Aに対する接触を解除すると、付勢手段75の働きにより、6本の支持部材57A,57Bが、薄円板17側に向けて同一の角度だけ移動され、これにより、薄円板17の中心が環状部材23の中心Oに位置して支持される。
以上のように構成された薄円板の支持構造では、6本の支持部材57A,57Bが、常に同一の角度だけ移動され、支持部材57A,57Bの先端に配置される主案内部材67および補助案内部材71が、常に環状部材23の中心Oから同一の半径位置に位置されるため、薄円板17の中心を環状部材23の中心Oに容易,確実に一致させることができる。
【0038】
また、同一の角度を置いて配置される6本の支持部材57A,57Bにより、薄円板17が支持されるため、外乱による薄円板17の振動を確実に防止することができる。
そして、互いに隣接しない位置に位置する3本の支持部材57Aの先端に配置される主案内部材67のみにより薄円板17の外周縁部17aを挟持して支持し、残りの支持部材57Bの先端に配置される補助案内部材71を、単に薄円板17の外周面17bに当接するようにしたので、薄円板17の変形を有効に防止することができる。
【0039】
また、上述した薄円板の支持構造では、環状部材23に、支持部材57Aの先端を薄円板17に向けて付勢する付勢手段75を配置したので、薄円板17を所定の押圧力で容易,確実に支持することができる。
【0040】
さらに、上述した薄円板の支持構造では、補助案内部材71を弾性部材により形成したので、薄円板17の振動を有効に吸収することができる。
なお、上述した実施形態では、環状部材23に支持部材57A,57Bを6本配置した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば、9本あるいは12本配置しても良い。
【0041】
そして、この場合には、3本の支持部材に主案内部材67が配置され、残りの6本あるいは9本の支持部材に補助案内部材71が配置される。
また、上述した実施形態では、支持部材57A,57Bの先端に主案内部材67または補助案内部材71を回動自在に配置した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、主案内部材67または補助案内部材71を主案内部材67の先端に固定しても良い。
【0042】
そして、支持部材57A,57Bの先端に、主案内部材67または補助案内部材71を一体形成しても良い。
さらに、上述した実施形態では、本発明をシリコンウェーハからなる薄円板17の支持に適用した例について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、例えば、液晶用ガラス,マスク部材等の薄円板の支持に広く用いることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、請求項1の薄円板の支持構造では、複数の支持部材が、常に同一の角度だけ移動され、支持部材の先端に配置される主案内部材および補助案内部材が、常に環状部材の中心から同一の半径位置に位置されるため、薄円板の中心を環状部材の中心に容易,確実に一致することができる。
【0044】
また、同一の角度を置いて配置される6個以上の支持部材により、薄円板が支持されるため、外乱による薄円板の振動を確実に防止することができる。
そして、互いに隣接しない位置に位置する3個の支持部材の先端に配置される主案内部材のみにより薄円板の外周縁部を挟持して支持し、残りの支持部材の先端に配置される補助案内部材を、単に薄円板の外周面に当接するようにしたので、薄円板の変形を防止することができる。
【0045】
請求項2の薄円板の支持構造では、環状部材に、支持部材の先端を薄円板に向けて付勢する付勢手段を配置したので、薄円板を所定の押圧力で容易,確実に支持することができる。
請求項3の薄円板の支持構造では、補助案内部材を弾性部材により形成したので、薄円板の振動を有効に吸収することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の薄円板の支持構造の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1の薄円板の支持構造が適用される薄円板の表面形状測定装置を示す斜視図である。
【図3】図1の主案内部材を示す説明図である。
【図4】図1の補助案内部材を示す説明図である。
【図5】従来の薄円板の支持構造を示す正面図である。
【図6】図5の薄円板の支持構造における薄円板の中心ずれを示す説明図である。
【符号の説明】
17 薄円板
17a 外周縁部
17b 外周面
23 環状部材
57A,57B 支持部材
61 リンク部材
67 主案内部材
71 補助案内部材
75 付勢手段
C 仮想円
S 仮想支点
Claims (3)
- 環状部材の中心に、前記環状部材に支持される複数の支持部材を介して、薄円板を支持するための薄円板の支持構造において、
前記環状部材の中心を中心とする仮想円上に、同一の角度を置いて6点以上の仮想支点を設置し、前記支持部材を前記各仮想支点に、前記仮想支点を支点として揺動自在に配置するとともに、隣接する前記支持部材をリンク部材により相互に連結し、互いに隣接しない位置に位置する3個の前記支持部材の先端に前記薄円板の外周縁部を挟持する主案内部材を配置し、残りの支持部材の先端に前記薄円板の外周面に当接される補助案内部材を配置してなることを特徴とする薄円板の支持構造。 - 請求項1記載の薄円板の支持構造において、
前記環状部材に、前記支持部材の先端を前記薄円板に向けて付勢する付勢手段を配置してなることを特徴とする薄円板の支持構造。 - 請求項1または請求項2記載の薄円板の支持構造において、前記補助案内部材は、弾性部材からなることを特徴とする薄円板の支持構造。
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