JP4131815B2 - 金属皮膜形成方法及びセラミックス電子部品の製造方法 - Google Patents

金属皮膜形成方法及びセラミックス電子部品の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、物体の表面に所望パターンの金属皮膜を形成する金属皮膜形成方法に関し、更に詳細にはグリーンシートに金属皮膜を形成し、このグリーンシートを単層状態又は多層積層状態で焼成し、セラミックス基板の内部又は外部に所望パターンの金属導電膜を形成するセラミックス電子部品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、インターネットや携帯電話などの急速な普及により、電子機器の小型化と高速化が要望され、この流れに呼応して電子部品の一層の小型化・高密度化が期待されている。また、環境保護とリサイクルの観点から、電子部品の耐久性の向上も要請されるようになってきている。
【0003】
高温・高湿・粉塵・振動に対する電子部品の耐久性を向上させるため、電子部品をセラミックス化する研究が進展している。セラミックスは高温・高湿・粉塵・振動に対して耐久性を有しており、セラミックスの中に回路パターンを封入することにより電子部品の耐久性が向上すると考えられるからである。
【0004】
このようなセラミックス電子部品として、例えばセラミックス回路基板、セラミックスコンデンサ、セラミックスインダクタ、セラミックス圧電素子、セラミックスアクチュエータ等が開発されており、他の種類の電子部品に関してもセラミックス化が急速に進展している。
【0005】
セラミックス電子部品の主要な構造は、セラミックス基板の上に特定パターンの導電膜を形成し、このセラミックス基板を多数積層して多層セラミックス電子部品としたものが多い。多層化によって電子部品の高密度化が達成され、その積層数は数十から数千に亘っており、今後更に積層数が増大化する状況にある。
【0006】
このように、セラミックス電子部品の基本構造は共通しており、本発明はこのセラミックス電子部品の基本構成に関するものである。そこで、セラミックス電子部品の代表例としてセラミックスコンデンサを取り上げ、従来の技術を説明し、これによって本発明の特徴を浮き彫りにしてゆく。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
近年、積層セラミックスコンデンサ(MLCC:Multi Layer Ceramic Capacitor)は、小型化且つ高性能化が容易なことから需要が増しており、更に低価格、大容量化が強く求められるようになった。従来の形状を変えることなく、MLCCの大容量化を実現するためには、誘電体層の薄層化及び内部電極層の薄膜化、並びに積層数の増大化が急務である。
【0008】
この中で、内部電極層の薄膜化は層間短路や断線不良を起こし易いので技術開発において特に注意しなければならないテーマである。この層間短路や断線を回避するためには、電極層に使用される金属粉体の粒径の極小化と均一分散性の改良が前提となり、従来から様々な研究が行われている。
【0009】
通常、内部電極材料をグリーンシートに形成するには、内部電極材料粉末を有機バインダーや有機溶媒と練り混ぜて金属ペーストにし、この金属ペーストをグリーンシート表面にスクリーン印刷する方法が使用されている。このスクリーン印刷法は所定パターンの孔を空けたスクリーンの上から金属ペーストを塗着する方法である。電極膜の線幅はスクリーンの開孔精度に依存し、その膜厚は塗着方法に依存する。
【0010】
しかし、スクリーン印刷法はスクリーンを介した機械的な塗着法であるから、スクリーンの製作精度によって全体の精度が規制され、電極パターンの高密度化や高精細化に限界が存在することは云うまでも無い。つまり、電極パターンはスクリーン印刷のパターニング精度に制限されている現状にある。
【0011】
仮に、スクリーン印刷のパターニング精度が高度化されたとしよう。この場合でも、電極パターンは金属粒子を並べて形成されるものであるから、電極パターンの限界精度は金属粒子の粒径に依存する。実際には、金属ペーストを形成する金属粉末の粒径はμmのオーダーであるから、電極パターンの精度は原理的にμmオーダーが限界となる。
【0012】
また、従来の金属ペーストは貴金属ペーストが中心であった。銀ペーストやパラジウムペーストといった貴金属ペーストをスクリーン印刷法で塗着し、その後に焼成して貴金属からなる導電膜をセラミックス基板に形成してきた。
【0013】
特に、MLCCの内部電極に要求される金属の性質には次のようなものがある。(1)電極の焼結温度がセラミックス誘電体の焼結温度の近傍にある。(2)焼成時に誘電体への金属の拡散や誘電体層との反応が少ない。(3)電極の電気抵抗が低い。これらの条件を満たす金属として、Pd、Ag、Ag−Pdなどの貴金属が従来から広く使用されてきたのである。しかも、貴金属は酸化し難く、また安定性が極めて高いので、導電膜としては最高の性質を有するからである。
【0014】
しかし、貴金属は高価であり、セラミックス電子部品や半導体の価格低下により、貴金属電極の価格負担は大変な重圧になっている。これを改善するには、NiやCuのような比較的安価な卑金属を電極材料に使用することである。しかしながら、従来の金属ペースト分野では、卑金属を使用した技術は数少ないのが現状である。
【0015】
スクリーン印刷法に替えて無電解メッキ法によって電極膜を形成する方法も従来から存在する。この方法では、まず物体表面に活性触媒膜を塗着する。活性触媒は白金やパラジウムなどの高価な貴金属物質をペースト状に形成したもので、この活性触媒ペーストを物体表面にスクリーン印刷法によって所定パターンに塗着する。
【0016】
一方、金属イオンの過飽和溶液を形成しておき、この過飽和溶液内に活性触媒膜を形成した前記物体を浸漬する。金属イオンは物体表面の活性触媒膜の表面で還元され、中性化した金属原子が活性触媒膜の表面に付着してゆく。金属イオンが中性金属となって付着してゆくから、金属イオンのサイズの精度で金属皮膜が活性触媒膜の上に形成されてゆく。
【0017】
無電解メッキ法はこのように高精度に金属皮膜を形成できる長所を有しているが、他方、次のような欠点も存在する。第1の欠点は高価な貴金属触媒を必要とすることである。第2の欠点は個々の金属イオンを物体表面に析出させる方法を使用するから、析出速度が比較的遅く、金属皮膜の成長速度が小さくなることである。第3の欠点は、過飽和溶液内に金属イオンを安定に存在させるため、溶液の過飽和度を小さく保持しなければならず、その結果、やはり金属皮膜の成長速度が小さくなることである。
【0018】
従って、本発明は、金属超微粒子を用いて高精度・高精細な金属皮膜を物体表面に緻密に形成でき、しかも物体表面に貴金属活性触媒を用いることなく比較的安価に卑金属の金属皮膜を形成できる金属皮膜形成方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、その第1の発明は、第1官能基を所望パターンに配置したテンプレート膜を表面に有する物体を用意し、金属イオンの過飽和溶液を形成し、この金属イオンを還元剤により還元して溶液中に金属超微粒子を形成し、前記物体を過飽和溶液に浸漬させ、過飽和溶液中で金属超微粒子と第1官能基を相互に静電結合するように正又は負に帯電させ、テンプレート膜の第1官能基に対し金属超微粒子を静電結合させて前記パターン形状を有する金属皮膜を物体表面に形成することを特徴とする金属皮膜形成方法である。任意パターンのテンプレート膜を物体上に形成さえできれば、静電引力を利用して、金属超微粒子をテンプレート膜の全面に自動的に結合させることができる。しかも、過飽和溶液の中で自然に形成される極微の金属超微粒子を用いるから、テンプレート膜の表面精度に十分に追随して高精度・高精細な金属皮膜を形成することができる。また、金属超微粒子の表面には微細な金属原子が堆積してゆくから、最終的に形成される金属皮膜の表面は極めて緻密になる。また金属皮膜の膜厚は過飽和溶液中における物体の浸漬時間で制御できるから、金属皮膜の膜厚制御が極めて簡単になる。物体にはグリーンシートや基板や曲面板や陶磁器やその他の物体が含まれ、物体上に任意パターンの金属皮膜を自在に形成できるため、その後焼成するだけで物体表面に任意パターンの金属導電膜を簡単に形成できる利点がある。
【0020】
第2の発明は、物体表面に第1官能基を自己組織化により結合させて自己組織化膜を形成し、リソグラフィ法により前記自己組織化膜から不要な第1官能基を除去し、残留した第1官能基により構成される所望パターンのテンプレート膜を有した物体を形成し、この物体を過飽和溶液に浸漬させて静電引力により金属皮膜を形成する方法である。基板表面の全面に形成された自己組織膜に対し、光・電子・X線などのリソグラフィ法を用い、例えばフォトマスクを介した光照射やレーザービーム照射をすることによって、ミクロンからサブミクロンの精度で第1官能基を除去することができる。従って、テンプレート膜をミクロンからサブミクロンの高精度で形成することできる。このテンプレート膜に更に小さな金属超微粒子を静電引力で結合させるから、金属皮膜を緻密且つ強固に形成することができる。
【0021】
第3の発明は、過飽和溶液中において金属超微粒子の表面に第2官能基を結合させ、この第2官能基を過飽和溶液中で正又は負に帯電させ、この第2官能基と前記第1官能基との静電結合により金属超微粒子を第1官能基に静電結合させる金属皮膜形成方法である。正負に帯電した官能基間の静電結合力を利用して、金属超微粒子を自動的に所望パターンのテンプレート膜の全面に結合させることができる。金属超微粒子の表面に結合する第2官能基は過飽和溶液中で自然に金属超微粒子に結合するから、金属イオンの形成から金属皮膜の形成までの全過程が全て同一の溶液内で連続自発的な自然過程として生起し、緻密な金属皮膜を安価に形成する事ができる。
【0022】
第4の発明は、第1官能基を所望パターンに配置したテンプレート膜を表面に有する物体を用意し、金属イオンの過飽和溶液を形成し、この金属イオンを還元剤により還元して溶液中に金属超微粒子を形成し、この過飽和溶液中で金属超微粒子の表面に第2官能基を結合させ、前記物体を過飽和溶液に浸漬させ、溶液中でテンプレート膜の第1官能基と金属超微粒子の第2官能基を相互に化学結合させて、前記パターン形状を有する金属皮膜を物体表面に形成する金属皮膜形成方法である。任意パターンのテンプレート膜を物体上に形成さえできれば、第1官能基と第2官能基の化学結合力を利用して、金属超微粒子をテンプレート膜の全面に自動的に結合させることができる。しかも、過飽和溶液の中で自然に析出形成される極微の金属超微粒子を用いるから、テンプレート膜の表面精度に十分に追随した高精度・高精細な金属皮膜を形成することができる。また、金属超微粒子の表面には微細な金属原子が堆積してゆくから、最終的に形成される金属皮膜は極めて緻密で強固に形成される。また静電引力による結合と同様に、金属皮膜の膜厚は物体の浸漬時間で制御できるから、金属皮膜の膜厚制御が極めて簡単になる。物体にはグリーンシートや基板や曲面板や陶磁器やその他の物体が含まれ、物体上に任意パターンの金属皮膜を自在に形成できるため、その後焼成するだけで物体表面に任意パターンの金属導電膜を簡単に形成できる利点がある。
【0023】
第5の発明は、物体表面に第1官能基を自己組織化により結合させて自己組織化膜を形成し、リソグラフィ法により前記自己組織化膜から不要な第1官能基を除去し、残留した第1官能基により構成される所望パターンのテンプレート膜を有した物体を用意し、この物体を過飽和溶液に浸漬させて化学結合により金属皮膜を形成する方法である。前述と同様に、自己組織膜に対し、光・電子・X線などのリソグラフィ法を用いることにより、テンプレート膜をミクロンからサブミクロンの高精度に形成することできる。このテンプレート膜に更に小さな金属超微粒子を化学結合力で結合させるから、金属皮膜を緻密且つ強固に形成することができる。
【0024】
第6の発明は、グリーンシートの上に金属皮膜を形成し、このグリーンシートと金属皮膜を焼成して有機成分を除去することによってセラミックス基板の上に所望パターンの金属導電膜を形成するセラミックス電子部品の製造方法である。任意の金属超微粒子をグリーンシート上に任意パターンに配列形成できるから、貴金属及び卑金属の金属超微粒子を用いてセラミックス電子部品を製造することができる。金属皮膜を金属超微粒子の粒径精度まで精細に形成できるから、セラミックス基板上に高密度に導電膜を薄膜形成できる画期的な方法を提供できる。
【0025】
第7の発明は、グリーンシートの上に金属皮膜を形成し、これらのグリーンシートを複数枚積層して一体化した中間部品を形成し、この中間部品を焼成して有機成分を除去することによって複数層のセラミックス基板の上に所望パターンの金属導電膜を形成するセラミックス電子部品の製造方法である。金属皮膜を金属超微粒子の粒径精度でグリーンシートに形成し、そのグリーンシートを所望枚数だけ積層して多層セラミックス電子部品を製造できるから、1枚のセラミックス基板上での高密度化と同時に多層化による立体高密度化を実現するセラミックス電子部品を提供できる。
【0026】
第8の発明は、金属皮膜を卑金属から構成し、焼成後に形成された金属導電膜が卑金属導電膜であるセラミックス電子部品の製造方法である。卑金属の導電膜を高精度に形成できるから、セラミックス電子部品の低価格化と汎用化を実現でき、電子部品提供の安定化に寄与できる。
【0027】
第9の発明は、セラミックス電子部品がセラミックス回路基板、セラミックスコンデンサ、セラミックスインダクタ、セラミックス圧電素子又はセラミックスアクチュエータであるセラミックス電子部品の製造方法である。多くの電子部品のセラミックス化が進行する中で、特に、これらの有用なセラミックス電子部品の低価格化を実現するとともに、小型化・高密度化・耐高温特性・耐高湿特性・耐振動特性の高性能化を実現できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明者等は、物体表面に金属皮膜を所望のパターンに形成するために鋭意研究した結果、物体表面に第1官能基を所望パターンに結合させておき、他方、金属イオンの過飽和溶液中において還元作用により金属超微粒子を自発形成させ、この金属超微粒子を前記第1官能基に静電引力又は化学結合力により結合させて、金属超微粒子の自己組織化として緻密な金属皮膜を形成できることを着想するに到った。
【0029】
本発明で使用される物体には、回路基板や電子部品ばかりでなく、美術工芸品や装飾工芸品などの広範な物体が含まれる。これらの物体の中でも、平面板や曲面板などの基板が中心となる。
【0030】
また、基板には、Cu・Al・Tiなどの金属、ガラス、セラミックスなどの材料のほか、セラミックス電子部品の製造に際して用いられるグリーンシートなどの任意の基板が含まれる。このグリーンシートはセラミックス粉末とバインダーを混練して形成されたシートで、このグリーンシートを任意枚数だけ積層焼成して多層セラミックス電子部品が形成される。
【0031】
本発明では、結晶成長の技術と官能基の自己組織化膜の技術とが融合されている。まず、本発明に利用される結晶成長の技術について説明する。本発明では、溶媒として水又は非水系溶媒が使用される。また、この溶媒に溶解される溶質として金属塩や金属錯体、その他の金属化合物が使用される。これらの金属化合物を溶媒に溶解させたときに、溶媒中で金属イオンが形成されることが本発明の出発点となる。
【0032】
今、溶媒として水、溶質として金属塩を取り上げる。金属塩の一般式をMXで表すと、金属塩は水に溶解して(1)式に従って金属イオンに変化する。
MX → M + X (1)
【0033】
この水溶液を過飽和溶液に設定する。飽和濃度をNとし、この過飽和溶液の濃度をNとすると、過飽和比αはα=N/Nで定義され、過飽和度σはσ=α―1で定義される。過飽和状態では過飽和度σはσ≧0となる。例えば、σが0.1のとき、この過飽和溶液は飽和溶液より濃度が10%だけ濃い状態にあることを意味している。
【0034】
過飽和状態では、金属イオンは凝集しようとする性質を有し、核形成が始まる活性化状態にある。この核形成を促進するには、前述した過飽和度σを大きくすればよい。しかし、過飽和度を余りに大きくすると、均一な核生成が生じずに、特定の核が急激に成長を始めて短時間に巨大な結晶が生成する場合もある。
【0035】
そこで、安定で均一な核生成を生じさせる為に、過飽和度σを小さく設定する。この状態で過飽和溶液内に還元剤を微量だけ投入して、金属イオンから均一な金属超微粒子の生成を誘導する。このとき、金属イオンは金属原子となって凝集を始め、(2)式に従って無数の金属超微粒子が過飽和溶液内に形成される。
nM + ne → (M) (2)
【0036】
金属超微粒子は(M)によって示され、nは凝集原子数を意味している。凝集原子数nが大きくなるほど、金属超微粒子の粒径は増大する。結晶成長では三次元核とも言うが、この金属超微粒子の粒径はナノメートル(nm)のオーダーにあると考えられ、金属ナノ粒子と称してもよいし、金属ナノクラスターと表現してもよい。
【0037】
この金属超微粒子は溶液中で次第に成長し、その表面に次々と金属原子が析出するため、時間と共に金属超微粒子の粒径は増大する。その機構は次のように考えられる。金属超微粒子が形成されると、その表面と過飽和溶液内との間に濃度差が形成され、還元剤により形成された中性金属原子が濃度差の流れに従って、金属超微粒子の表面に次々と捕獲されてゆくのである。この発明では、過飽和溶液内における金属超微粒子の形成と成長の過程を均一核生成・成長と称する。
【0038】
溶液中で金属イオンを供給する金属化合物としては、公知の金属無機化合物と金属有機化合物が利用される。金属にはCu、Niなどの卑金属と、Au、Pt、Ag、Pd,Rh、Ruなどの貴金属がある。金属イオンには、金属原子単体のイオンだけでなく、金属錯体のような複合金属イオンも包含される。
【0039】
金属イオンを金属原子に還元する還元剤としては、公知の各種還元剤が利用できる。例えば、HCHO、DMAB、次亜リン酸塩、NaBH、(COOH)、HS、H、KI、硫化鉄、亜硫酸塩などが利用できる。これらの中でも、HCHO、DMAB、次亜リン酸塩、NaBHが好適である。
【0040】
また、金属イオンを錯体化して安定させるために錯化剤を添加してもよい。この錯化剤としては、例えば、コハク酸などのジカルボン酸、クエン酸、酒石酸などのオキシカルボン酸、グリシン、EDTAなどのアミノ酢酸、及びそれらのナトリウム塩などが用いられる。
【0041】
本発明者等は、過飽和溶液内に形成された金属超微粒子が正又は負に帯電する傾向を発見した。この自発帯電の機構には不明な点があるが、現在のところ次のように考えられる。
【0042】
第1には、過飽和溶液中で金属超微粒子に金属イオンが凝集して正に帯電したり、負イオンが凝集して負に帯電する場合がある。第2には、金属超微粒子に水溶液中でOH等の第2官能基が付着し、この第2官能基が水溶液中で自発帯電することによって金属超微粒子が帯電する場合である。例えば、水溶液を特定のpHに調整すると、OHイオンが金属超微粒子に結合し、金属超微粒子が負に帯電する。
【0043】
具体的には、Ni超微粒子やCu超微粒子は、pH=5〜7の水溶液中で、ゼータポテンシャルが負になり、負に帯電していることが分かった。この理由として、これらの金属超微粒子の表面にOHイオンが自発的に結合していると考えられる。また、逆に、金属超微粒子にNH基が結合すると正に帯電することも本発明者等の研究で明らかとなった。このように、第2官能基が金属超微粒子に結合して、金属超微粒子が正又は負に帯電することができる。
【0044】
また、過飽和溶液中で金属超微粒子に第2官能基が結合し、この第2官能基が正又は負に帯電しなくても、この第2官能基が基板の第1官能基と化学結合する能力を有するようになる。後述するように、この方法を用いれば、基板との化学結合を通して金属超微粒子による金属皮膜を形成することが可能になる。
【0045】
このように、本発明では官能基が重要な役割を演じるから、官能基の自己組織化膜の技術を述べる前に、官能基について説明する。基板に結合する官能基を第1官能基と呼び、金属超微粒子に結合する官能基を第2官能基と呼んで両官能基を区別する。
【0046】
本発明では、2種の官能基が正負に帯電して相互に静電結合する場合と、2種の官能基が相互に化学結合する場合が含まれる。勿論、2種の官能基が化学結合すると同時に静電結合する場合も含まれている。
【0047】
前述したように、2種の官能基が正負に帯電して静電結合する場合を説明する。一般に、適当なpH値に調整された水溶液中において、官能基は正に帯電したり、負に帯電する性質を有する。従って、同一の水溶液において、第1官能基が正電気に帯電し、第2官能基が負電気に帯電するとすれば、水溶液中で第1官能基と第2官能基とは静電引力によって自己凝集する。つまり、自然に基板表面に金属超微粒子が静電結合する。
【0048】
この帯電条件を満足する2種の官能基として、例えばカルボキシル基、スルホニル基、リン酸基、フェノール基などの酸性官能基と、アミノ基、水酸基などの塩基性官能基の組み合わせを選択することができる。また、この静電結合は正極性基と負極性基の間の静電結合によっても成立するから、官能基の帯電は水溶液において生起するだけでなく、他の有機溶媒中においても生起できることは云うまでもない。
【0049】
次に2種の官能基が化学結合する場合を説明する。第1の例として、カルボキシル基(COOH)とアミノ基(NH)は脱水によりアミド結合(―CONH―)を形成する。従って、一方にカルボキシル基を結合させ、他方にアミノ基を結合させ、両官能基がアミド結合することによって基板と金属超微粒子が強固に結合できる。
【0050】
第2の例として、カルボキシル基(COOH)とヒドロキシル基(OH)とは脱水によりエステル結合(―COO―)を形成する。従って、一方にカルボキシル基を結合させ、他方にヒドロキシル基を結合させ、両官能基がエステル結合することによって基板と金属超微粒子が強固に結合できる。
【0051】
第3の例として、ヒドロキシル基(OH)とヒドロキシル基(OH)とは脱水によりエーテル結合(―O―)を形成する。従って、一方にヒドロキシル基を結合させ、他方にもヒドロキシル基を結合させ、両官能基がエーテル結合することによって基板と金属超微粒子を強固に結合できる。このOHは強制的に付加させる場合もあれば、基板や金属超微粒子の表面にHOが化学吸着や物理吸着により自然に付加される場合がある。この両方のOH基も本発明に含まれる。
【0052】
第4の例として、カルボキシル基(COOH)とカルボキシル基(COOH)とは水素結合により結合を形成する。更に、脱水剤を作用させれば、脱水により結合(―CO―O―CO―)を形成する。この反応はCOOH中のOHをヒドロキシル基と考えると広い意味でエーテル結合と考えることもできる。従って、一方にカルボキシル基を結合させ、他方にもカルボキシル基を結合させ、両官能基が脱水結合することによって基板と金属超微粒子を強固に化学結合できる。
【0053】
第5の例として、チオール基(SH)とチオール基(SH)とは酸化することによりシスチン結合(―S―S―)を形成する。従って、一方にチオール基を結合させ、他方にもチオール基を結合させ、両官能基がシスチン結合することによって基板と粒子を強固に結合できる。
【0054】
以上の例から分かるように、本発明で利用できる官能基は、相互に化学結合できる官能基であれば何でも良く、公知の全ての官能基から自在に選択される。例えば、官能基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、チオール基、フェニル基、ニトロ基、フェノール基、アミド基、リン酸基、アウリ基、アセチル基、アセナフテニル基、アミノ基、アルセノソ基、イソオキサゾリル基、イソブチリデン基、イソプロポキシ基、イミダゾリニル基、ウレイド基、エチレン基、エポキシ基、オキソ基、カコジル基、カルボニル基、キノリル基、グリシル基、クロルメルクリ基、シアン基、シクロヘキセニレン基、ジシラザニルアミノ基、ジシルチアノキシ基、ジメチルベンゾイル基、シンナミリデン基、スチボ基、スルホニル基、セレノニル基、チオ基、テトラコシル基、テレフタロイル基、トリシラニル基、トリメチレン基、ナフチルメチレン基、ニトリロ基、バニリル基、ビニリデン基、ピリジル基、フェナシリデン基、その他多数の公知の官能基がある。
【0055】
同一の水溶液の中で、正負に帯電した官能基が静電結合するだけでなく、相互に化学結合する場合には、静電結合と化学結合の相乗作用によってその結合力は極めて大きくなる。この場合に最も安定な結合が得られる。
【0056】
次に、第1官能基からなる自己組織化膜を基板表面に形成する方法について説明する。第1官能基を基板に結合させるには、先端に官能基を有する有機化合物を結合させることによって実現できる。有機化合物の一例として有機シラン系化合物(シランカップリング剤とも云う)が好適である。有機シラン系化合物は、例えばRSiX、RSiX、RSiX(Rは炭化水素基、XはCl又はアルコキシ基)で表される。炭化水素基Rの端部に官能基が含まれており、官能基を陽に表す場合にはRCH、RNH、RCOOH、ROH等と表記されても構わない。
【0057】
これらの有機シラン系化合物を基板に結合させるには、基板の表面に多数存在するダングリングボンド(未結合の手)を活用する。具体例により説明すると、金属やセラミックスやガラス等の表面にはダングリングボンドが多数露出しており、周囲に存在する自然水から分離したヒドロキシル基(OH)がこのダングリングボンドに化学吸着している。この結合を基板−OHで表そう。尚、この化学吸着したOH基を本発明の第1官能基と考える場合には、前記有機シラン系化合物を結合させる必要は無い。
【0058】
有機シラン系化合物としてRSiXを取り上げると、RSiXの基板への結合は、RSiX+HO−基板 → RSiX−O−基板+XHで表される。つまり、XHを脱離して両者が結合し、シリカ粒子に有機シラン系化合物を介して官能基が結合することになる。官能基が炭化水素Rに含まれていることは前述した通りである。XがClのときにはHClが脱離し、XがCO(エトキシド)のときにはCOHが脱離する。
【0059】
更に、具体的な官能基を用いて以下に説明する。アミノ基(NH)を基板に結合するには、3−アミノプロピルトリエトキシシラン(APTS、3-Aminopropyltriethoxysilane)を用いる。APTSの先端に存在するアミノ基が官能基である。
【0060】
メチル基(CH)を基板に結合するには、オクタデシルトリクロロシラン(OTS、Octadecyltrichlorosilane)を用いる。OTSの先端にメチル基が存在する。
【0061】
シアノ基(CN)を基板に結合するには、トリクロロシアノエチルシラン(TCES、Trichlorocyanoethylsilane)を用いる。TCESの先端にシアノ基が存在する。
【0062】
カルボキシル基(COOH)を基板に結合するには、まずシアノ基を結合させ、その後ターシャリーカリウムブトキシド(t−BuOK)とクラウンエーテルにより酸化させる。この2段階反応によりCOOH基が結合される。
【0063】
このようにして、基板の表面に任意の第1官能基が結合される。特に、基板の表面全体に第1官能基を結合させると、基板の全面に官能基膜が形成されることになり、この官能基膜を自己組織化膜と呼んでいる。
【0064】
基板表面の自己組織化膜を所望のパターンに形成するには、光リソグラフィ法、電子線リソグラフィ法、X線リソグラフィ法などの種々の方法がある。これらのリソグラフィ法が本発明に利用できるが、その中でも最も簡単な方法は、光リソグラフィ法を利用する方法である。光照射を受けた官能基が脱離して光照射を受けなかった官能基が残留するポジ方式と、光照射を受けた官能基が残留して光照射を受けなかった官能基が脱離するネガ方式がある。いずれにしても、官能基が残留した領域には官能基パターンが形成され、本発明ではこの官能基パターンが形成された領域をテンプレート膜と呼ぶ。ネガ方式ではテンプレート膜がポジ方式と逆になるだけで実質的な相違は全く無い。従って、以下では、テンプレート膜の形成方法の一例としてポジ方式による光リソグラフィ法を説明する。
【0065】
第1の方法には、所望パターンの不透光部を形成したフォトマスクを配置し、フォトマスク全面に光照射すると、透光部を介して光照射された自己組織化膜の官能基は脱離する。従って、不透光部の官能基パターンを有したテンプレート膜が形成される。
【0066】
第2の方法には、レーザービームにより自己組織化膜に所望パターンの画像を形成する方法である。レーザービームをオンオフ制御して照射すると、照射された領域の官能基は脱離し、未照射領域の官能基が残留して官能基のテンプレート膜が形成される。この方法では、コンピュータの中に画像データを格納しておき、この画像データによりレーザービームをオンオフ制御するだけであるから、フォトマスクが不要となるため、コストダウンと製造時間の短縮が可能となる。しかも、異なったパターンへの変更は、コンピュータに内蔵されるパターンデータを変更するだけでよく、多品種少量生産には最も適した方法である。
【0067】
この様に、第1官能基から形成された基板表面のテンプレート膜に対し、化学結合力又は静電結合力により第2官能基を結合させるだけで、テンプレート膜と同形状の金属皮膜を形成することができる。金属超微粒子が第2官能基を有さずに帯電している場合には、金属超微粒子と第1官能基との直接的な静電引力により金属皮膜が形成される。テンプレート膜の形状変更は簡単に行なえるから、テンプレート膜に対応した自在な形状の金属皮膜を形成することができる。
【0068】
以上述べたように、本発明に係る第1の金属皮膜形成方法は、過飽和溶液から金属超微粒子を形成し、この金属超微粒子を物体表面の第1官能基に対し静電結合させて、物体(基板)表面に所望パターンの金属皮膜を形成する方法である。このとき、金属超微粒子に帯電した第2官能基が結合している場合には、第1官能基と第2官能基の静電結合により金属皮膜が形成される。
【0069】
官能基の帯電が自由電子又は自由イオンの着脱により引き起こされる場合には、官能基間の結合を通して正負電荷は中和し、静電結合力は低下する。しかし、官能基の帯電が束縛電荷によって生じる場合には、結合した段階でも静電引力は残留し強固な金属皮膜が形成される。
【0070】
静電結合によって第1層目の金属皮膜が形成されると、正負の電荷が中和された状態となり、更なる金属超微粒子の静電結合は自発的に停止する。その上には、還元された金属原子が分子間力によって金属皮膜に次々と堆積し、金属皮膜の緻密化が進行する。この過程は、金属原子が一方的に金属皮膜に吸着されてゆく過程であり、不均一成長と呼ぶことができる。この不均一過程は金属原子レベルで進行するから、原子間の結合が三次元的に生じ、極めて強固な結合により緻密な金属皮膜が形成されてゆく。時間経過と共に、金属原子の堆積による厚膜化が進行するから、物体を過飽和溶液から取り出すことによって膜厚制御を自在に行うことができる。従って、この静電結合方式によれば、金属皮膜の薄膜化と緻密化が実現できる。
【0071】
本発明に係る第2の金属皮膜形成方法は、過飽和溶液から金属超微粒子を形成し、過飽和溶液中で金属超微粒子に第2官能基が結合し、この第2官能基を物体表面の第1官能基に対し化学結合させて、物体(基板)表面に所望パターンの金属皮膜を形成する方法である。金属皮膜の第1層が形成されると、金属超微粒子間の化学結合は生じないから、第1層上への金属超微粒子の堆積は生じ難い。後は還元により生じた金属原子の第1層上への堆積過程、即ち上述の不均一成長が始まる。従って、物体を適時に過飽和溶液から取り出すことによって、金属皮膜の膜厚を自在に調節でき、しかも薄膜化と緻密化を達成できる。
【0072】
物体表面の第1官能基と金属超微粒子の第2官能基が過飽和溶液中で帯電し、しかも両官能基が化学結合する場合には、両官能基が静電結合力と化学結合力の相乗作用によって結合するから、結合力の強い金属皮膜を形成することが可能になる。
【0073】
以下に、本発明に係る金属皮膜形成方法及びセラミックス電子部品の製造方法の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
図1は、本発明に係る金属皮膜形成方法において、基板2にテンプレート膜10を形成する概略工程図である。
【0074】
(1A)では、グリーンシートのような基板2が配置されている。(1B)では、この基板2に第1官能基4が自己組織化膜として形成される。この第1官能基4はAで表現されている。
【0075】
基板2の表面には多数のダングリングボンドがあり、このダングリングボンドに大気中に存在する水が付着してOH基が形成される。このOH基に対し第1官能基4が自然に結合して自己組織化膜が形成される。勿論、他の公知の自己組織化方法も利用できる。
【0076】
(1C)では、この基板2に対し、透光部6aと不透光部6bが所望のパターンに形成されたフォトマスク6が対向配置されている。紫外光(UV)などの光8を照射すると、透光部6aを通して第1官能基4に光が照射され、Aが基板から脱離する。
【0077】
従って、不透光部6bによって光が遮断されている領域だけにAが残留する。この残留するAのパターンはフォトマスク6の不透光部6bのパターンと同一であり、このパターンがテンプレート膜10になる。テンプレート膜10の形状はフォトマスク6のパターンと同一であるから、フォトマスクを変更することによって任意形状のテンプレート膜10を形成することができる。
【0078】
図2は、本発明に係る金属皮膜形成方法において、過飽和溶液14の内部に金属超微粒子16を形成する概略工程図である。(2A)では、容器12の中に金属イオンの過飽和溶液14が収容されている。例えば、塩化銅を添加することによって、金属イオンはCu2+になる。同時に還元剤としてDMAB(Dimethylamineborane)及び錯化剤としてクエン酸ナトリウムを添加している。錯化剤により銅イオンは安定な銅イオン錯体になり、還元剤の作用により銅イオンは中性の銅原子11に還元される。濃度比の一例は、塩化銅:錯化剤:還元剤=0.05:0.1:0.1である。
【0079】
(2B)では、過飽和溶液14の中で銅原子11が相互に凝集して極小の核13が無数に形成された中間状態が示されている。(2C)では、核13が相互に凝集するか、核13に銅原子11が更に析出してナノサイズの金属超微粒子16が形成されている。銅超微粒子は過飽和溶液中で負に帯電している。(2A)→(2B)の過程は時間経過と共に連続的に進行する過程である。過飽和溶液14で金属超微粒子16が形成される過程は均一核生成と成長が進行する過程である。
【0080】
図3は、基板2のテンプレート膜10の表面に金属皮膜20を形成する概略説明図である。(3A)では、基板2が過飽和溶液14の底部に配置されている。第1官能基4は過飽和溶液中でAとして正に帯電している。
【0081】
(3B)では、正に帯電した第1官能基4(A)と負に帯電した金属超微粒子16(−)とが静電引力により結合する状態が示されている。金属超微粒子16がAと静電結合すると、両者は電気的に中和される。テンプレート膜10を構成する全ての第1官能基4(A)に金属超微粒子16が静電結合すると、電気的には完全に中和する。従って、金属超微粒子16によって形成される金属皮膜20の表面に、更に金属超微粒子16が静電引力により結合することはない。
【0082】
(3C)では、金属皮膜20の表面に銅原子11が分子間力により堆積する過程が示されている。金属皮膜20と過飽和溶液14との界面には原子間力又は分子間力の場が形成されており、この力により銅原子11は金属皮膜20に吸引されて結合する。原子単位で吸引・結合が繰り返されるから、金属皮膜20の表面は緻密になりながら膜成長する。この過程は、銅原子11が金属皮膜20に一方的に吸引される過程である。
【0083】
(3D)では、金属皮膜20が極めて緻密に成長して平滑化した状態が示されている。金属超微粒子16が堆積した段階では超微粒子のレベルで表面に凹凸が存在したが、その凹凸を埋め尽くすように銅原子11が結合するため、金属皮膜20の膜厚は大きくなりながら、その表面は平滑に形成される。この金属皮膜20はテンプレート膜10と全く同様のパターンに形成されるから、テンプレート膜10のパターンさえ変更すれば、任意パターンの金属皮膜20を形成することが可能である。
【0084】
図4は、第2官能基18を有した金属超微粒子16による金属皮膜20の形成過程を示した概略説明図である。(4A)では、金属核17に第2官能基18(B)が結合して金属超微粒子16が形成される状態が示されている。過飽和溶液14の中で第2官能基18(B)が負に帯電してBとなり、その結果金属超微粒子16が負に帯電している。この第2官能基18は過飽和溶液14の中で金属核17に自然に結合するもので、例えばOHなどの官能基である。容器12の底部には、正に帯電した第1官能基4(A)からなるテンプレート膜10を形成した基板2が配置されている。
【0085】
(4B)では、第2官能基18(B)が第1官能基4(A)に静電引力により吸引されて静電結合した状態が示されている。AとBとは一対一に対応して結合し、全体として電気的に中和されている。従って、テンプレート膜10と同一パターンの金属皮膜20が自然過程で形成される。この金属皮膜20に無数の金属原子が不均一過程で結合し、緻密で平滑な金属皮膜20になることは前述した通りである。
【0086】
図5は正に帯電した金属超微粒子16から金属皮膜20が形成される場合を示した概略説明図である。(5A)では、正に帯電した金属超微粒子16が過飽和溶液14に無数に形成されている。金属超微粒子16が正に帯電するには、例えば、金属イオンが還元されずに金属超微粒子16の中に組み込まれる場合や、正に帯電する第2官能基が金属核に結合する場合がある。容器12の底部には、負に帯電した第1官能基4(A)から構成されるテンプレート膜10を有した基板2が配置されている。
【0087】
(5B)では、正に帯電した金属超微粒子16が第1官能基4(A)に静電結合して金属皮膜20が形成される状態が示されている。(+)とAとは一対一に対応して結合し、全体として電気的に中和される。つまり、テンプレート膜10と同一パターンの金属皮膜20が自然過程で形成される。この金属皮膜20に無数の金属原子が不均一過程で結合し、緻密で平滑な金属皮膜20になることは前述した通りである。
【0088】
図6は第1官能基(A)と第2官能基(B)が化学結合して金属皮膜20が形成される場合を示した概略説明図である。(6A)では、第2官能基18(B)が金属核17に結合して金属超微粒子16が形成されている。この第2官能基18は電気的に中性である。他方、テンプレート膜10を構成する第1官能基4(A)も過飽和溶液14の中で電気的に中性である。
【0089】
(6B)では、第1官能基4(A)と第2官能基18(B)が化学結合して金属皮膜20が形成されている。テンプレート膜10を構成する第1官能基4(A)と第2官能基18(B)の具体的な化学結合は、既に説明しているので、ここでは省略する。テンプレート膜10と同一パターンの金属皮膜20が自然過程で形成される。この金属皮膜20に無数の金属原子が結合し、緻密で平滑な金属皮膜20になることは前述した通りである。
【0090】
図7は、本発明に係る金属皮膜形成方法を用いて、多層セラミックス電子部品を製造する概略工程図である。(7A)では、基板2をグリーンシートで構成し、このグリーンシートの表面に金属皮膜20が形成されている。
【0091】
(7B)では、グリーンシートからなる基板2を多数積層して中間部品22を作成する。必要数だけ積層することができるが、実際には数十シートから数千シートにも及ぶ。基板2には金属皮膜20以外に、例えばセラミックス粒子膜や電気抵抗体層などの必要なパターンを付加して形成することもできる。
【0092】
(7C)では、前記中間部品22を上下からプレスしながら加熱し、含有される有機物は焼成除去される。つまり、グリーンシートはセラミックス基板28になり、金属皮膜20は金属導電膜26になる。この焼成により、最終的に多層セラミックス電子部品24が完成される。
【0093】
この多層セラミックス電子部品24は、例えばセラミックス回路基板、セラミックスコンデンサ、セラミックスインダクタ、セラミックス圧電素子、セラミックスアクチュエータなどが含まれており、他の公知のセラミックス電子部品も含まれることは云うまでもない。
【0094】
図8は基板表面に有機シラン系化合物の自己組織膜を形成する概略工程図である。自己組織膜の結合エネルギーは数十kcal/mol程度であり、第1官能基が基板と発熱相互作用して基板表面の結合サイトを全て埋め尽くして形成される膜である。
【0095】
通常の、単分子膜はファンデルワールス力により基板に結合しているから、ファンデルワールス結合エネルギーが僅か数kca1/mo1程度であることを考えると、自己組織膜の結合力はその約十倍程度も強いことが分る。
【0096】
この実施例では、有機シラン系化合物の一例として、(8A)ではAPTS(Amino-Propyl-Triethoxy-Silane)が示されている。APTSの構造式は、NH(CHSi(OCで与えられる。この中で、アミノ基(NH)が第1官能基に相当し、Siは3個のエトキシ基(OC)を有している。
【0097】
(8B)では、エトキシ基が加水分解(Hydrolytic Dissociation)されてCOHが脱離し、3個のOH基が形成される過程が画かれている。(8C)では、APTSが分散されている溶液内にグリーンシートが浸漬されており、グリーンシートの表面に吸着水によって自然にOH基が結合している。
【0098】
(8D)では、APTSのOH基とグリーンシートのOH基が水素結合し、グリーンシートの表面全体がAPTSによってコーティングされた状態が示されている。
【0099】
(8E)では、OH基とOH基からHOが脱離して、APTSとグリーンシートの間及びAPTS相互間が縮重合(Condensation Polymerization)し、グリーンシートの表面全体にAPTSの自己組織化膜(Self-Assembled Monolayer:SAMと略称する)が形成される。この自己組織化膜をAPTS−SAMと呼ぶ。この様にして、基板の一例として、グリーンシートの表面にAPTS自己組織化膜(APTS−SAM)が形成される。
【0100】
図9は、基板表面の自己組織化膜をパターン化する概略工程図である。(9A)では、グリーンシートが配置され、(9B)では、このグリーンシート表面にAPTS−SAMが形成される。
【0101】
(9C)では、グリーンシートに対し所望パターンのフォトマスクを対向して配置し、その上から紫外光(UV)を全面に照射する。UV光は透光部を透過してAPTS−SAMの表面に到達し、この紫外光エネルギーによりアミノ基が脱離される。実際には、NHだけでなく、NH(CHが脱離される。
【0102】
(9D)では、NHが脱離したSi原子にOH基が結合した状態が示されている。従って、第1官能基であるNHが残留して、フォトマスクと同様のパターンが形成され、このNHパターン膜をテンプレート膜と呼ぶ。
【0103】
図10では、Cuからなる金属粒子の表面にOH基が結合した状態が示されている。金属粒子の表面には、大気中の水分が化学吸着されて、自然に多数のOH基が第2官能基として結合した状態が形成される。勿論、金属粒子にCOOHやNHなどの第2官能基を結合させることもできる。この実施形態では、最も簡単な第2官能基として化学吸着されたOH基を取り扱かっている。
【0104】
図11では、水溶液中における金属超微粒子のパターニングとセラミックスコンデンサの製造工程図である。(11A)では、OH基が結合したCu超微粒子を水溶液に分散し、この水溶液中にNH基がパターン化されたグリーンシートが浸漬されている。
【0105】
水溶液中では、OH基はOH(-)に帯電し、NH基はNH2(+)に帯電する。図4におけるAとBの表現に対応させると、NH とOHと記載すべきであるが、ここでは帯電状態を広い意味で表現するためにNH(+)とOH(−)と記載する。OH(-)とNH2(+)が静電引力で相互に引き合い、Cu超微粒子がNH2(+) に接近すると静電結合する。
【0106】
(11B)では、OH(-)とNH2(+)の静電結合によって、Cu超微粒子がNHのテンプレート膜上に整然と配列されている状態が示されている。このCu超微粒子の配列膜を金属皮膜と呼んでいる。
【0107】
(11C)では、単層セラミックスコンデンサが示されている。金属皮膜20はグリーンシート2の両面に形成されている。このグリーンシート2を焼成すると、グリーンシート2及び金属皮膜20の中に含まれる有機成分は全て焼成除去される。つまり、この焼成過程で、グリーンシート2はセラミックス基板となり、金属皮膜20は金属導電膜となって、単層セラミックスコンデンサが形成される。
【0108】
(11D)では、一面に金属皮膜20を形成されたグリーンシート2が所望数だけ積層されている。この中間部品22を上下からプレスして位置変形を起こさないで、全体を焼成する。
【0109】
(11E)では、多層セラミックスコンデンサが示されている。焼成によって、グリーンシート2はセラミックス基板28になり、金属皮膜2は金属導電膜26になる。この結果、金属導電膜26を多数のセラミックス基板28の間に狭着した構造の多層セラミックスコンデンサ24が形成される。
【0110】
この実施形態では、セラミックス電子部品の一例としてセラミックスコンデンサが示されたが、セラミックス回路基板、セラミックスインダクタ、セラミックス圧電素子、セラミックスアクチュエータ等のセラミックス電子部品も同様の工程で製造される。
【0111】
図12は、フォトマスクの一例であるTOPPAN−TEST−CHART−NO1−Nの全体図である。このフォトマスクは凸版印刷株式会社によって製造された試験用フォトマスクであり、指示された場所のサイズが770μm、2470μmである。
【0112】
図13は、図12のフォトマスクによって形成された金属皮膜の一部の原子間力顕微鏡像(AFM像)である。フォトマスクの縞パターンに対応した金属皮膜が形成されていることが示されており、本発明方法が金属皮膜の形成方法として有効であることを実証している。下側の像はI−I線断面図であり、個々の急峻なピークは数nm〜数十nmの金属超微粒子の存在を実証している。
【0113】
図14は、金属皮膜を焼成して形成された金属導電膜の電気特性図である。pH7.0の溶液中でNH2−SAM上に生成した銅皮膜を焼成して銅導電膜が形成され、この銅導電膜のI−V特性が測定された。印加電圧に対し電流がほぼ直線的に増加することが示されている。この関係から、金属導電膜の抵抗値は18Ωであることが分かる。膜厚は約200nmであった。比抵抗は0.3mΩ・cmであることが分かった。このことから、本発明方法によって形成された金属皮膜が焼成によって高い導通性能を有する金属導電膜に変化することが証明され、本発明の有効性が実証された。
【0114】
本発明は、グリーンシートやSi基板や金属板の表面に適用されるだけでなく、陶磁器製品やセラミックス製品その他の任意形状の物体表面にも適用できるから、セラミックス電子部品の製造のみならず、装飾工芸品や美術作品などの広範囲の物体表面に画期的な金属画像形成技術を提供するものである。
【0115】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術的範囲内に包含することは云うまでもない。
【0116】
【発明の効果】
第1の発明によれば、テンプレート膜を物体に対し任意パターンに形成できれば、静電引力を利用して、金属超微粒子をテンプレート膜の全面に自動的に結合させることができる。過飽和溶液の中で自然に形成される極微の金属超微粒子を用いるから、テンプレート膜の表面精度に十分に追随して高密度・高精細な金属皮膜が形成できる。また、金属超微粒子の表面には微細な金属原子が堆積してゆくから、最終的に形成される金属皮膜の表面は極めて緻密になる。また金属皮膜の膜厚は過飽和溶液中における物体の浸漬時間で制御できるから、金属皮膜の膜厚制御が極めて簡単になる。物体にはグリーンシートや基板や曲面板や陶磁器やその他の物体が含まれ、物体上に任意パターンの金属皮膜を自在に形成できるため、その後焼成するだけで物体表面に任意パターンの金属導電膜を簡単に形成できる利点がある。
【0117】
第2の発明によれば、基板表面の全面に形成された自己組織化膜に対し、光・電子・X線などのリソグラフィ法を用い、例えばフォトマスクを介した光照射やレーザービーム照射によって、ミクロンからサブミクロンの精度で第1官能基を除去できる。従って、残留した第1官能基で構成されるテンプレート膜をミクロンからサブミクロンの高精度で形成することできる。このテンプレート膜に更に小さな金属超微粒子を静電引力で結合させるから、金属皮膜を緻密且つ強固に形成することができる。
【0118】
第3の発明によれば、正負に帯電した官能基間の静電結合力を利用して、金属超微粒子を自動的に所望パターンのテンプレート膜の全面に結合させることができる。金属超微粒子の表面に結合する第2官能基は過飽和溶液中で自然に金属超微粒子に結合するから、金属イオンの形成から金属皮膜の形成までの全過程が全て同一の溶液内で連続自発的な自然過程として生起し、緻密な金属皮膜を安価に形成できる。
【0119】
第4の発明によれば、第1官能基と第2官能基の化学結合力を利用して、金属超微粒子をテンプレート膜の全面に自動的に結合させることができる。しかも、過飽和溶液の中で自然に析出形成される極微の金属超微粒子を用いるから、テンプレート膜の表面精度に十分に追随した高密度・高精細な金属皮膜を形成できる。また、金属超微粒子層の表面には微細な金属原子が原子間力や分子間力で堆積してゆくから、最終的に形成される金属皮膜は極めて緻密で強固に形成される。また静電引力による結合と同様に、金属皮膜の膜厚は物体の浸漬時間で制御できるから、金属皮膜の膜厚制御が極めて簡単になる。物体にはグリーンシートや基板や曲面板や陶磁器やその他の物体が含まれ、物体上に任意パターンの金属皮膜を自在に形成できるため、その後焼成するだけで物体表面に任意パターンの金属導電膜を簡単に形成できる利点がある。
【0120】
第5の発明によれば、自己組織化膜に対し、光・電子・X線などのリソグラフィ法を用いることにより、テンプレート膜をミクロンからサブミクロンの高精度に形成することできる。このテンプレート膜に更に小さな金属超微粒子を化学結合力で結合させるから、金属皮膜を緻密且つ強固に形成できる。
【0121】
第6の発明によれば、任意の金属超微粒子をグリーンシート上に任意パターンに配列形成できるから、貴金属及び卑金属の金属超微粒子を用いてセラミックス電子部品を製造することができる。金属皮膜を金属超微粒子の粒径精度まで精細に形成できるから、セラミックス基板上に高密度に導電膜を薄膜形成できる画期的な方法を提供できる。
【0122】
第7の発明によれば、金属皮膜を金属超微粒子の粒径精度でグリーンシートに形成し、そのグリーンシートを所望枚数だけ積層して多層セラミックス電子部品を製造できるから、1枚のセラミックス基板上での高密度化と同時に多層化による立体高密度化を実現するセラミックス電子部品を提供できる。
【0123】
第8の発明によれば、CuやNi等の卑金属の導電膜を高精度に形成できるから、セラミックス電子部品の低価格化と汎用化を実現でき、貴金属に依存していた電子部品に卑金属を安価に組み込むことができる。
【0124】
第9の発明によれば、多くの電子部品のセラミックス化が進行する中で、特に、これらの有用なセラミックス電子部品の低価格化を実現するとともに、小型化・高密度化・耐高温特性・耐高湿特性・耐振動特性の高性能化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属皮膜形成方法において、基板2にテンプレート膜10を形成する概略工程図である。
【図2】本発明に係る金属皮膜形成方法において、過飽和溶液14の内部に金属超微粒子16を形成する概略工程図である。
【図3】基板2のテンプレート膜10の表面に金属皮膜20を形成する概略説明図である。
【図4】第2官能基18を有した金属超微粒子16による金属皮膜20の形成過程を示した概略説明図である。
【図5】正に帯電した金属超微粒子16から金属皮膜20が形成される場合を示した概略説明図である。
【図6】第1官能基(A)と第2官能基(B)が化学結合して金属皮膜20が形成される場合を示した概略説明図である。
【図7】本発明に係る金属皮膜形成方法を用いて、多層セラミックス電子部品を製造する概略工程図である。
【図8】基板表面に有機シラン系化合物の自己組織膜を形成する概略工程図である。
【図9】基板表面の自己組織化膜をパターン化する概略工程図である。
【図10】Cuからなる金属粒子の表面にOH基が結合した状態を示す模式図である。
【図11】水溶液中における金属超微粒子のパターニングとセラミックスコンデンサの製造工程図である。
【図12】フォトマスクの一例であるTOPPAN−TEST−CHART−NO1−Nの全体図である。
【図13】図12のフォトマスクによって形成された金属皮膜の一部の原子間力顕微鏡像(AFM像)である。
【図14】金属皮膜を焼成して形成された金属導電膜の電気特性図である。
【符号の説明】
2は基板(物体、グリーンシート)、4は第1官能基、6はフォトマスク、6aは透光部、6bは不透光部、8は光、10はテンプレート膜、11は金属原子(銅原子)、12は容器、13は核、14は溶液、16は金属超微粒子、17は金属核、18は第2官能基、20は金属皮膜、22は中間部品、24は多層セラミックス電子部品(多層セラミックスコンデンサ)、26は金属導電膜、28はセラミックス基板。

Claims (9)

  1. 第1官能基を所望パターンに配置したテンプレート膜を表面に有する物体を用意し、金属イオンの過飽和溶液を形成し、この金属イオンを還元剤により還元し、この金属イオンが金属原子となって凝集して溶液中に数nm〜数十nmの金属超微粒子を形成し、前記物体を過飽和溶液に浸漬させ、過飽和溶液中で金属超微粒子と第1官能基を相互に静電結合するように正又は負に帯電させ、テンプレート膜の第1官能基に対し金属超微粒子を静電結合させて前記パターン形状を有する金属皮膜を物体表面に形成することを特徴とする金属皮膜形成方法。
  2. 物体表面に第1官能基を自己組織化により結合させて自己組織化膜を形成し、リソグラフィ法により前記自己組織化膜から不要な第1官能基を除去し、残留した第1官能基により構成される所望パターンのテンプレート膜を有した物体を形成し、この物体を前記過飽和溶液に浸漬させる請求項1に記載の金属皮膜形成方法。
  3. 前記過飽和溶液中において金属超微粒子の表面に第2官能基を結合させ、この第2官能基を過飽和溶液中で正又は負に帯電させ、この第2官能基と前記第1官能基との静電結合により金属超微粒子を第1官能基に静電結合させる請求項1又は2に記載の金属皮膜形成方法。
  4. 第1官能基を所望パターンに配置したテンプレート膜を表面に有する物体を用意し、金属イオンの過飽和溶液を形成し、この金属イオンを還元剤により還元し、この金属イオンが金属原子となって凝集して溶液中に数nm〜数十nmの金属超微粒子を形成し、この過飽和溶液中で金属超微粒子の表面に第2官能基を結合させ、前記物体を過飽和溶液に浸漬させ、溶液中でテンプレート膜の第1官能基と金属超微粒子の第2官能基を相互に化学結合させて、前記パターン形状を有する金属皮膜を物体表面に形成することを特徴とする金属皮膜形成方法。
  5. 物体表面に第1官能基を自己組織化により結合させて自己組織化膜を形成し、リソグラフィ法により前記自己組織化膜から不要な第1官能基を除去し、残留した第1官能基により構成される所望パターンのテンプレート膜を有した物体を用意し、この物体を前記過飽和溶液に浸漬させる請求項4に記載の金属皮膜形成方法。
  6. 請求項1、2、3、4又は5に記載の金属皮膜形成方法を用いて物体であるグリーンシートの上に金属皮膜を形成し、このグリーンシートと金属皮膜を焼成して有機成分を除去することによってセラミックス基板の上に所望パターンの金属導電膜を形成することを特徴とするセラミックス電子部品の製造方法。
  7. 請求項1、2、3、4又は5に記載の金属皮膜形成方法を用いて物体であるグリーンシートの上に金属皮膜を形成し、これらのグリーンシートを複数枚積層して一体化した中間部品を形成し、この中間部品を焼成して有機成分を除去することによって複数層のセラミックス基板の上に所望パターンの金属導電膜を形成することを特徴とするセラミックス電子部品の製造方法。
  8. 前記金属皮膜は卑金属から構成され、焼成後に形成された金属電極膜は卑金属導電膜である請求項6又は7に記載のセラミックス電子部品の製造方法。
  9. 前記セラミックス電子部品がセラミックス回路基板、セラミックスコンデンサ、セラミックスインダクタ、セラミックス圧電素子又はセラミックスアクチュエータである請求項6、7又は8に記載のセラミックス電子部品の製造方法。
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