JP2003342605A - 超微粒子、超微粒子結晶膜及び超微粒子結晶の製造方法 - Google Patents

超微粒子、超微粒子結晶膜及び超微粒子結晶の製造方法

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JP2003342605A
JP2003342605A JP2002145627A JP2002145627A JP2003342605A JP 2003342605 A JP2003342605 A JP 2003342605A JP 2002145627 A JP2002145627 A JP 2002145627A JP 2002145627 A JP2002145627 A JP 2002145627A JP 2003342605 A JP2003342605 A JP 2003342605A
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organic solvent
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Akio Komatsu
晃雄 小松
Minoru Maruyama
稔 丸山
Toshio Nakajima
俊雄 中嶋
Hirotaka Ohashi
弘孝 大橋
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 新規な構造モデルを有した金属複合超微粒子
の製造方法を提供し、超微粒子結晶膜や超微粒子結晶及
びその製造方法を実現する。 【解決手段】 本発明に係る金属複合超微粒子2は、金
属有機化合物起源の金属原子4aが集合して単結晶化し
た単結晶金属核4と、この単結晶金属核4の周りに結合
して取り巻く金属有機化合物起源の有機物殻6を少なく
とも有し、粒径が1〜100nmの金属超微粒子であ
る。単結晶金属核4と有機物殻6は弱い静電気力で結合
している。金属有機化合物を有機溶媒に分散させ加熱し
て超微粒子前駆体を形成し、この有機溶媒中に還元剤を
添加して金属複合超微粒子を製造する。金属複合超微粒
子を有機溶媒に分散させ基体を浸漬するだけで基体表面
に自己組織化膜として超微粒子結晶膜ができる。また、
この有機溶媒の所要量を基体上に配置し、有機溶媒を緩
慢に蒸発させて超微粒子結晶を過飽和成長させる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属複合超微粒子及
び超微粒子結晶に関し、更に詳細には、単結晶金属核の
周りに有機物層が取り巻いた新規構造の金属複合超微粒
子を製造し、この金属複合超微粒子を基体上に自己吸着
させて自己組織化膜を形成し、またこの金属複合超微粒
子を基体上に過飽和成長させて超微粒子結晶を形成する
金属複合超微粒子及び超微粒子結晶の製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】粒子径が100nm以下の金属超微粒子
は、その特性が一般の粒子とは大きく異なることが知ら
れている。例えば、金超微粒子では、粒子径が10nm
以下になると融点が約100℃まで大きく低下し、また
このような金属超微粒子は極めて高い触媒作用を有する
等、新しい可能性を有する材料である。
【0003】特に、21世紀の新規産業として注目され
ているナノテクノロジー分野では、金属超微粒子はナノ
回路やナノ構造物の材料として期待されており、また、
電子装置等の配線形成材料や低温焼結ペースト等への応
用は急速に進行している。ところが、金属超微粒子の粒
径が小さくなるにつれて、金属超微粒子の表面反応性は
急激に高まり、安定に存在する金属超微粒子はなかなか
実現できなかった。
【0004】図13は超微粒子の粒径と構成原子数およ
び表面原子の割合を示す従来の一覧図である。粒径が1
0nmでは構成原子数は30000個で表面原子の割合
は20%に過ぎないが、粒径が2nmになると構成原子
数は250個に低下して表面原子数の割合は80%にま
で達する。粒径が1nmにまで極小化すると、構成原子
数は30個に過ぎず、その内99%が表面原子である。
【0005】従って、粒径が5nm〜1nmの範囲の超
微粒子は表面活性が極めて高く、溶媒中に超微粒子を分
散させても超微粒子同士が相互に結合して団子状態にな
り、そのままでは超微粒子として機能しない。従って、
溶媒中で相互に結合すること無く安定に単分散できる超
微粒子が長期にわたって研究されてきたのである。
【0006】この安定な金属超微粒子の一つとして、特
開平10−183207号公報により金属複合超微粒子
が初めて提案された。この提案された金属複合超微粒子
は、その明細書に記載されるように、金属有機化合物に
由来する金属成分からなる金属核と、この金属核の周囲
を取り巻く金属有機化合物の殻から構成され、平均粒径
が1〜100nmであることを特徴としている。
【0007】この従来の金属複合超微粒子は熱分解法に
よって製造されている。この熱分解法は、空気を遮断し
た不活性ガス雰囲気下で、金属有機化合物を分解開始温
度以上かつ完全分解温度未満で加熱し、この加熱により
還元された金属原子が集合して金属核を形成し、その周
囲に未分解の金属有機化合物が残留して金属複合超微粒
子を形成する方法である。
【0008】図14は従来の熱分解法で形成された金属
複合超微粒子2の従来のモデル図である。金属核5の周
りに金属有機化合物殻7が取り囲んで金属複合超微粒子
2が構成されている。金属核5は金属原子が集合して形
成されるが、その固体構造は不明である。
【0009】特開平10−183207号公報では、粉
末X線回折の1次元方向の強度分布が示されているが、
金属(金属銀)のコアが確認されたとするだけで、それ
以上のことは一切記載されていない。従って、金属核5
には金属原子が集合していることが分かるだけで、具体
的な構造は一切分かっていない。但し、金属核5が集合
体である限り、電気的に中性であることは当然推量され
る。つまり、金属核5を構成する金属原子5aは電気的
に中性である。
【0010】この従来モデルの最大の特徴は金属有機化
合物殻7にある。つまり、金属有機化合物殻7は多数の
金属有機化合物8が放射状に配置して構成され、この金
属有機化合物8は金属イオン8aと有機基8bが結合し
た分子構造を有している。有機金属錯体に代表されるよ
うに、金属イオン8aは陽イオンで有機基8bは陰イオ
ンとなり、両者の静電結合によって金属有機化合物8は
構成されている。
【0011】陽イオンである金属イオン8aは電気的に
中性である金属核5を構成する金属原子5aと区別され
ることは当然である。従って、金属核5の粒径は金属核
5の直径dとして計測され、金属イオン8aの大きさは
その中には算入されない。金属有機化合物8の分子長が
金属有機化合物殻7の厚みtを与え、金属複合超微粒子
2の直径DはD=d+2tとして計算される。
【0012】図15は従来のミリスチン酸銀塩を熱分解
して製造した金属複合超微粒子の粒径分布図である。本
発明者等はこの従来の金属複合超微粒子を特開平10−
183207号公報を参照しながらミリスチン酸銀塩を
用いて製造し、その多数の銀超微粒子の粒径をAFM
(原子間力顕微鏡、Atomic Force Microscope)で測定
し、粒径分布としてまとめた。金属核5の直径dの平均
粒径は矢印で示すように4.8nmであった。
【0013】図16は金属有機化合物の一種であるカル
ボン酸銀塩の含有炭素数の一覧表である。金属核5の粒
径を1nm程度まで小さくするには、金属有機化合物の
有機基の炭素数を小さくする必要がある。金属有機化合
物としてカルボン酸銀塩を用いると、図に示すような多
数のカルボン酸銀塩が使用できるはずである。しかし、
後述するように、従来の熱分解法ではラウリン酸銀塩以
上でなければ金属複合超微粒子は製造できなかった。
【0014】従って、従来の熱分解法を用いる限り、更
に粒径を小さくして反応性を高めた金属複合超微粒子を
製造することは困難であることが分かった。しかも、熱
分解法が与える超微粒子モデルにも、金属核が単なる原
子集合であったり、有機金属化合物殻の金属原子が金属
イオンであるといったモデルとしての粗雑性が残ること
も分かった。
【0015】そこで、本発明者等は更に研究を重ね、国
際公開WO00/76699号公報において、前述した
熱分解法とは全く異なる有機溶媒コロイド還元法を提案
したのである。有機溶媒中のコロイド還元法により、濃
度や反応時間の調整によりコロイド粒径を可変でき、こ
れによって金属複合超微粒子の粒径の自在性を実現した
ものである。
【0016】この有機溶媒コロイド還元法は3種類の方
法から構成されている。第1方法は、金属有機化合物を
疎水性非水系溶媒と親水性非水系溶媒の混合溶媒中でコ
ロイド化して超微粒子前駆体を形成し、このコロイド溶
液中に還元剤を添加する方法である。第2方法は、金属
有機化合物又は金属無機化合物を界面活性剤を用いて疎
水性非水系溶媒と親水性非水系溶媒の混合溶媒中でコロ
イド化して超微粒子前駆体を形成し、このコロイド溶液
中に還元剤を添加する方法である。
【0017】その第3方法は、金属有機化合物又は金属
無機化合物を界面活性剤を用いて非水系溶媒中でコロイ
ド化して超微粒子前駆体を形成し、このコロイド溶液中
に還元剤を添加する方法である。
【0018】第1方法と第2方法は疎水性非水系溶媒と
親水性非水系溶媒の混合によってコロイド化を行う点で
複雑である。これに対し、第3方法は非水系溶媒(有機
溶媒を含む)と界面活性剤でコロイド化を行う点で単純
であり効果的である。この第3方法を以後、有機溶媒界
面活性剤法と称する。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等の有機溶媒
コロイド還元法は、不活性ガス中における熱分解法と比
較すれば、金属複合超微粒子の粒径を小さくできる点で
効果的な方法である。しかし、界面活性剤を添加した
り、疎水性非水系溶媒と親水性非水系溶媒の混合により
積極的なコロイド形成を行うから、コロイドが大きくな
りやすい性格を有している。
【0020】最大の欠点は、金属複合超微粒子の構造が
未だに不明確である点である。請求項1では、金属複合
超微粒子の構造が、金属有機化合物から還元析出する金
属原子が集合した金属核の周りを、界面活性剤殻と金属
有機化合物起源の有機化合物殻が取り巻いた構造である
とし、請求項2では、金属無機化合物から還元析出する
金属原子が集合した金属核の周りを界面活性剤殻が取り
巻いた構造であるとしている。
【0021】この金属複合超微粒子の構造は、金属核の
周囲を界面活性剤殻と有機化合物殻が取り巻き、また金
属核の周囲を界面活性剤殻が取り巻くとしているから、
特開平10−183207号のように、金属イオンを含
んだ金属有機化合物殻が金属核を取り巻く構造とは全く
異なっていることは明らかである。即ち、界面活性剤殻
も有機化合物殻も有機物殻であり、金属イオンや金属原
子はこの殻の中には含有されていない。従って、両構造
は相互に利用関係に無い非抵触の構造である。
【0022】しかし、この構造モデルにおいても、金属
核を構成する金属原子は単に集合していると述べるだけ
で、その具体的構造は全く提示されていない。金属核の
構造が明確にされていない点では、WO00/7669
9も特開平10−183207号も不十分であると云わ
ざるを得ない。
【0023】更に、両従来技術とも、金属複合超微粒子
の構造と製造方法を提供しているが、金属複合超微粒子
の応用面については殆ど明確にしていない。即ち、金属
複合超微粒子を基本粒子として構成された結晶膜や結晶
の製造に関しては、今後の課題として全く触れられてい
ない。
【0024】従って、本発明は、金属複合超微粒子の新
規な製造方法を提供し、同時に金属核の構造を明確にし
た金属複合超微粒子の科学的な構造モデルを提供し、更
にこの金属複合超微粒子を基本粒子として超微粒子結晶
膜や超微粒子結晶の製造方法を提供することを目的とす
る。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために為されたものであり、その第1の発明は、金
属有機化合物起源の金属原子が集合して単結晶化した単
結晶金属核と、この単結晶金属核の周りに結合して取り
巻く金属有機化合物起源の有機物殻を少なくとも有し、
粒径が1〜100nmであることを特徴とする金属複合
超微粒子である。金属核は金属原子の単なる集合体では
なく、金属原子が単結晶配列した単結晶金属核を構成し
ている。この金属核の最外周に接近してきた有機金属化
合物は金属陽イオンと有機基陰イオンの結合分子である
が、金属陽イオンはかなり中性化して単結晶金属核に取
り込まれて新たな単結晶金属核を構成し、かなり中性の
有機基が単結晶金属核の周囲を取り巻いて有機物殻を構
成する。有機物殻は単結晶金属核の最外周の金属原子と
僅かな静電引力で結合していると考えられる。
【0026】第2の発明は、単結晶金属核を構成する金
属原子が、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Ga、I
n、Si、Ge、Sn、Pd、Fe、Co、Ni、R
u、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、V、Cr、Mn、
Y、Zr、Nb、Mo、Ca、Sr、Ba、Sb及びB
iの1種以上から構成される金属複合超微粒子である。
単結晶金属核は、単一金属種では金属単体の単結晶とな
り、複数金属種では金属間化合物単結晶や合金結晶等の
単結晶体となる。
【0027】第3の発明は、金属有機化合物を有機溶媒
に分散させて超微粒子前駆体を形成する第1工程と、こ
の有機溶媒中に還元剤を添加することにより前記超微粒
子前駆体を還元して単結晶金属核の外周に有機物殻を有
する粒経1〜100nmの金属複合超微粒子を形成する
第2工程を有する金属複合超微粒子の製造方法である。
本発明では、強制コロイド化を行わず、金属有機化合物
の衝突による自然コロイド化により超微粒子前駆体の粒
径を小さくでき、その結果粒径の小さな金属複合超微粒
子の形成が可能である。
【0028】第4の発明は、前記の自然コロイド化にお
いて、有機溶媒を加熱調節することにより超微粒子前駆
体の生成速度を速めた金属複合超微粒子の製造方法であ
る。温度を高くすることにより金属有機化合物の衝突確
率を大きくし、コロイド化の促進とコロイド粒径の成長
速度を高める提案である。
【0029】第5の発明は、金属有機化合物を水中に分
散させる第1工程と、この水溶液に疎水性界面活性剤を
添加して超微粒子前駆体を形成する第2工程と、この水
溶液に有機溶媒を加えて水油二層構造にする第3工程
と、この水油二層液に還元剤を添加して前記超微粒子前
駆体を還元して単結晶金属核の外周に有機物殻を有する
粒経1〜100nmの金属複合超微粒子を形成する第4
工程から構成される金属複合超微粒子の製造方法であ
る。水中で疎水性界面活性剤によりコロイド化を促進
し、水油二層化してコロイドである超微粒子前駆体を油
層に移動させ、油層中で還元する新規な製造方法が提案
される。この製造方法は、新規な製法を研究する中で本
発明者等により発見された。
【0030】第6の発明は、金属複合超微粒子を基本粒
子とし、この金属複合超微粒子を3次元的に積み重ねて
単結晶として結晶成長させ、この3次元の中で少なくと
も2次元面の面積が10μm以上あり、光学顕微鏡
で観察可能な超微粒子結晶である。従来の超微粒子結晶
は、電子顕微鏡によって観察される程度の極小の単結晶
で、それ単結晶自体の応用性は極めて小さいが、本発明
の超微粒子単結晶は2次元面の面積が10μm以上
の大きさを有する単結晶で、光学顕微鏡で観察が可能で
ある。その電気的・磁気的・光学的・熱的物性などの応
用によって、電磁波吸収体、フィルタ、電磁波分岐回
路、電磁波合波回路、水素等の物質吸蔵体、その他の電
磁波エレクトロニクス材料として画期的な素材を提供で
きる。
【0031】第7の発明は、金属複合超微粒子を有機溶
媒に分散させて分散有機溶媒を調製する第1工程と、こ
の分散有機溶媒中に基体を浸漬することにより基体の表
面に金属複合超微粒子を自己吸着させて自己組織化膜と
して超微粒子結晶膜を形成する第2工程から構成される
超微粒子結晶膜の製造方法である。金属複合超微粒子が
有機溶媒中で基体に自己吸着される性質が発見され、し
かも基体表面で金属複合超微粒子が自然に自己組織化し
て超微粒子結晶膜を形成するという発見に基づいてこの
発明が完成された。基体として平面板、曲板、構造体な
ど自己吸着性を発現する全ての物体が利用される。
【0032】第8の発明は、金属複合超微粒子を有機溶
媒に分散して分散有機溶媒を調製する第1工程と、この
分散有機溶媒の所要量を基体上に配置する第2工程と、
この基体上の分散有機溶媒から有機溶媒を緩慢に蒸発さ
せて金属複合超微粒子を基体上に結晶として析出させる
第3工程から構成される超微粒子結晶の製造方法であ
る。本発明は、過飽和成長法により金属複合超微粒子の
結晶化が可能であると言う新規な発見に基づいて為され
たもので、基体上に分散有機溶媒を自在に添加し続ける
ことにより、金属複合超微粒子のバルク単結晶を得るこ
とが可能である。
【0033】
【発明の実施の形態】以下に、本発明に係る超微粒子、
超微粒子結晶膜及び超微粒子結晶の製造方法の実施形態
を添付する図面に従って詳細に説明する。
【0034】図1は本発明に係る金属複合超微粒子2の
構造モデル図である。金属複合超微粒子2は単結晶金属
核4の周囲を有機物殻6が取り巻いて形成されている。
単結晶金属核4は金属原子4aが規則正しく配列した単
結晶から構成され、最外周金属原子6aも単結晶を構成
する1原子である。
【0035】有機物殻6は有機物6bが単結晶金属核4
を放射状に取り巻いて構成されている。最外周金属原子
6aと有機物6bとは単結晶金属核4に組み込まれる前
には金属有機化合物分子を構成しており、最外周金属原
子6aは金属イオンで有機物6bは有機基として陰イオ
ンであった。
【0036】この金属有機化合物分子が単結晶金属核4
に取り込まれると、有機基に分布していた電子が金属イ
オンに移動し、ほぼ中性の金属原子6aが単結晶金属核
4に結合して最外周金属原子6aとなる。また、ほぼ中
性化した有機基は有機物6bとして有機物殻6を構成す
る。
【0037】しかし、最外周金属原子6aと有機物6b
とは完全に分離するのではなく、両者に一部残留した電
荷によって弱い静電結合が形成され、両者は弱く結合す
る。本発明者等の計算では、そのイオン化度は25%程
度と見積もられている。即ち、最外周金属原子6aの約
25%の陽イオン性と有機物6bの約25%の陰イオン
性により両者は弱く結合する。このイオン化度は単なる
推定に過ぎず、実際にはイオン化度は更に低下する場合
もある。
【0038】この弱結合性は二つの意味で都合が良い。
第1には、超微粒子前駆体が還元されて金属複合超微粒
子2が形成されるときに、弱結合の方が還元速度が速く
なり、金属複合超微粒子2の生成速度が向上する。第2
には、最外周金属原子6aが単結晶金属核4に組み込ま
れて再配列しやすい。即ち、金属複合超微粒子2は単結
晶性を高めながら高速に成長することができる。
【0039】単結晶金属核4の単結晶性は、原子間力顕
微鏡(AFM)による規則配列した表面像の測定と、高
分解能透過型電子顕微鏡による単結晶金属核4の格子像
の観察によって証明されている。
【0040】本発明の構造モデルによる金属核直径dは
最外周金属原子6aを囲む直径であり、有機物核厚みs
は最外周金属原子6aを含まない有機基だけの長さを意
味する。金属複合超微粒子2の直径DはD=d+2sで
与えられる。特に、dとsの概念が、図14で示される
従来の構造モデルと異なっていることに注意しなければ
ならない。
【0041】図2は金属複合超微粒子の製造方法におけ
る本発明技術と従来技術を対照した比較図である。
(A)は本発明の水油二層法で、(B)は本発明の有機
溶媒還元法を示し、次に(A)・(B)の詳細を説明す
る。(C)は前述した従来の熱分解法であり、(D)は
前述した従来の有機溶媒界面活性剤法を示し、(C)・
(D)については詳細は省略する。○は金属有機化合物
に関して金属複合超微粒子の生成に成功したことを示
し、×は不成功を示す。
【0042】(A)の水油二層法は、金属有機化合物を
水中に分散させる第1工程と、この水溶液に疎水性界面
活性剤を添加して超微粒子前駆体を形成する第2工程
と、この水溶液に有機溶媒を加えて水油二層構造にする
第3工程と、この水油二層液に還元剤を添加して前記超
微粒子前駆体を還元して単結晶金属核の外周に有機物殻
を有する粒経1〜100nmの金属複合超微粒子を形成
する第4工程から構成される。
【0043】(A)の第1工程では、金属有機化合物を
水中に分散させる。均一分散溶液にするために超音波洗
浄器でミクロ攪拌を行う。第2工程では、この水溶液に
疎水性界面活性剤を添加して超微粒子前駆体を形成す
る。この超微粒子前駆体は、金属有機化合物の集合体を
疎水性界面活性剤が取り囲んだミセル構造体と考えら
れ、水中にミセル構造体が無数に分散した状態になる。
【0044】第3工程では、この水溶液に有機溶媒を添
加して油層が水層の上に浮いた水油二層構造を作り出
す。このとき、水中に存在した超微粒子前駆体は油層中
に移動すると考えられる。第4工程では、水油二層液に
還元剤を添加して前記超微粒子前駆体を還元する。水層
の上にある油層に還元剤を添加すると、油層にある超微
粒子前駆体中で金属有機化合物から金属原子が分離し、
金属原子同士が中心に集合して単結晶化してゆく。従っ
て、単結晶金属核の周囲を分離された有機基が取り巻い
た中間状態が形成され、最終的には単結晶金属核の最外
周を殆ど中性化した有機物が取り囲む金属複合超微粒子
が形成される。
【0045】(B)の有機溶媒還元法は、金属有機化合
物を有機溶媒に分散させて超微粒子前駆体を形成する第
1工程と、この有機溶媒中に還元剤を添加することによ
り前記超微粒子前駆体を還元して単結晶金属核の外周に
有機物殻を有する粒経1〜100nmの金属複合超微粒
子を形成する第2工程から構成されており、前記第1工
程において有機溶媒を加熱することにより超微粒子前駆
体の生成速度を速めることもできる。
【0046】(B)の第1工程では、金属有機化合物を
有機溶媒に分散させて超微粒子前駆体を形成する。金属
有機化合物を均一に分散させるため超音波洗浄器により
有機溶媒をミクロ攪拌する。有機溶媒中では、金属有機
化合物が溶媒温度における熱運動とミクロ攪拌による機
械的運動により相互に衝突し、金属有機化合物同士が会
合して金属有機化合物の集合体が形成される。この金属
有機化合物の集合体が超微粒子前駆体を構成する。
【0047】この第1工程において、有機溶媒を加熱す
ると、金属有機化号物分子の熱運動が激しくなり、金属
有機化号物分子同士の衝突確率が急激に上昇し、超微粒
子前駆体の生成速度が上昇する。加熱温度は自在に調整
できるが、有機溶媒の沸点近くで加熱すると、超微粒子
前駆体の生成が早くなる。
【0048】第2工程では、この有機溶媒中に還元剤を
添加する。この還元剤の添加により、超微粒子前駆体中
で金属有機化合物から金属原子が分離し、金属原子同士
が中心に集合して単結晶化する。単結晶金属核の周囲を
分離された有機基が取り巻いた中間状態を経て、最終的
には単結晶金属核の最外周を殆ど中性化した有機物が取
り囲む金属複合超微粒子が形成される。
【0049】(A)及び(B)の本発明方法で使用され
る金属有機化合物としては、酢酸銀(C2)、ヘキサン
酸銀塩(C6)、オクタン酸銀塩(C8)、デカン酸銀
塩(C10)、ラウリン酸銀塩(C12)、ミリスチン
酸銀塩(C14)、パルミチン酸銀塩(C16)、ステ
アリン酸銀塩(C18)の8種が試験された。括弧はカ
ルボン酸の炭素数を示し、炭素数が多いほど有機基長が
長くなり、有機物殻厚さsが大きくなる。
【0050】上記ではAgを代表例として示したが、A
u、Pt、Ru、Rh、Pd、Os、Irのような貴金
属元素でもよいし、Cu、Zn、Cd、Ga、In、S
i、Ge、Sn、Fe、Co、Ni、V、Cr、Mn、
Y、Zr、Nb、Mo、Ca、Sr、Ba、Sb及びB
i等の卑金属元素でも構わない。また、1種のみならず
2種以上の金属から構成しても良い。
【0051】その他の金属有機化合物としては、有機基
を有した金属有機化合物であれば何でもよく、特に制限
されない。例えば有機酸塩やアルコール等の金属有機化
合物がある。例えば、ナフテン酸塩、オクチル酸塩、ス
テアリン酸塩、安息香酸塩、パラトルイル酸塩、n−デ
カン酸塩等の脂肪酸塩、イソプロポキシド、エトキシド
等の金属アルコキシド、上記金属のアセチルアセトン錯
塩等が挙げられる。
【0052】本発明方法で用いられる有機溶媒には、ト
ルエン、キシレン、ケロシン等の石油系炭化水素類、及
びテレピン油、ターピネオール等のテルペン類等の疎水
性有機溶媒と、メタノール、エタノール等のアルコール
類、アセトン等のケトン類等の親水性有機溶媒が利用で
きる。
【0053】本発明で用いられる還元剤としては何ら制
限を受けるものではないが、例えば、アルデヒド、糖、
ギ酸、シュウ酸、ヒドラジン、脂肪族アミン等の有機化
合物類、一酸化炭素、二酸化硫黄、亜硫酸塩等の低級酸
化物類、または低級酸素酸の塩類、ヨウ素、ホウ素、ア
ルミニウム、ケイ素、スズ等の水素化物類または水素錯
化合物類などが用いられる。特に、好ましくは、ヒドラ
ジン、アセトアルデヒド、脂肪酸スズ塩などが用いられ
る。
【0054】還元剤による還元を行う場合、直接溶液中
に還元剤を添加する方法、または予め還元剤を溶媒に溶
解させた溶液を添加する方法が採られる。還元剤の濃度
は、直接溶液に還元剤を添加する場合、室温でのその溶
媒に対する溶解度以下であればよく、特に制限はない。
また、還元剤を溶液として添加する場合でも、室温での
その溶媒の溶解度以下であればよく、特に制限はない。
即ち、還元剤が溶液中に溶解していることが望まれる。
【0055】還元温度は反応相を溶液状態に保つ温度で
あれば特に制限はない。特に、還元剤として、メタノー
ル、エタノール等のアルコール類、ブドウ糖、アスコル
ビン酸などが用いられる場合には、還元作用が発現する
温度まで緩やかに暖めることが好ましい。また、還元時
間は還元剤の種類やその濃度に依存するが特に制限はな
く、一例として10分〜20時間である。
【0056】本発明の水油二層法では疎水性界面活性剤
が用いられる。この界面活性剤としては、カチオン系界
面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノ
ニオン系界面活性剤など各種の界面活性剤が含まれる
が、好ましくはノニオン系界面活性剤が用いられる。こ
れらの界面活性剤には公知の界面活性剤が用いられる
が、例えば以下のようなものがある。
【0057】カチオン系界面活性剤としては、アルキル
アミン塩、第4級アンモニウム塩、ポリオキシエチレン
アルキルアミン等が用いられる。アニオン系界面活性剤
としては、脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、
アルキルベンゼンスルフォン酸塩等が用いられる。両性
界面活性剤としては、例えばアルキルベタイン等が用い
られる。
【0058】ノニオン系界面活性剤としては、ポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルフェノールエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸
モノグリセライド等が用いられる。
【0059】本発明者等によって良く用いられる界面活
性剤には、例えばポリカルボン酸アミン塩であるテキサ
ホール963(花王株式会社製)、カルボン酸ソルビタ
ンであるソルボンT80(東邦化学工業株式会社製)、
またカルボン酸ソルビタンであるスパン010(花王株
式会社製)、ポリオキシエチレンアルキルアミンである
アミート105(花王株式会社製)があるが、これにこ
だわるものではない。
【0060】本発明で生成される金属複合超微粒子で
は、その金属成分の比率は、最終製品の用途等に応じて
適宜設定できるが、通常は50〜90重量%程度とすれ
ば良い。例えば、金属コーティング用に用いる場合は通
常50〜80重量%程度、特に60〜80重量%とする
のが好ましい。
【0061】[実施例1:(A)水油二層法:酢酸銀]水
100mLに酢酸銀5mgを溶かし、超音波洗浄器を用
いて水中に均一に分散させる。次に、疎水性界面活性剤
であるアミート105(花王株式会社製)を0.5g添
加して、酢酸銀の集合体を界面活性剤で取り巻いた超微
粒子前駆体(ミセル構造体)を生成する。
【0062】この水溶液の上に有機溶媒としてシクロヘ
キサン100mLを加え、水層(水溶液)の上に油層
(シクロヘキサン)を浮かした水油二層構造を作る。こ
のとき、超微粒子前駆体は水層から油層に移動すると考
えられる。油層であるシクロヘキサン中に還元剤として
アセトアルデヒドを2mL添加する。この還元剤により
超微粒子前駆体が還元され、銀核を有した金属複合超微
粒子が形成される。この形成はシクロヘキサンの層が淡
い黄色に色づくことによって確認できる。
【0063】AFM測定と高分解能透過型電子顕微鏡に
より生成された金属複合超微粒子の直接観察が行われ
た。本発明の水油二層法では、図2に示す全ての金属有
機化合物について金属複合超微粒子の生成に成功した。
従って、この水油二層法は金属複合超微粒子の製造方法
として有効であることが実証された。
【0064】[実施例2:(B)有機溶媒還元法:オク
タン酸銀塩]有機溶媒としてシクロヘキサン100mL
に0.1gのオクタン酸銀塩を加え、超音波洗浄器を用
いて均一な分散状態になるまでミクロ攪拌が行われた。
次に、このシクロヘキサン溶液を80℃(シクロヘキサ
ンの沸点)までゆっくりと加熱し、シクロヘキサンを沸
騰させた。この加熱沸騰によってオクタン酸銀塩を衝突
会合させて超微粒子前駆体を形成した。
【0065】ビタミンCであるアスコルビン酸0.7g
をエタノール100mLに溶かした還元剤溶液を作成
し、この還元剤溶液を沸騰している前記シクロヘキサン
溶液に添加する。更に、シクロヘキサン溶液を加熱する
と、溶液全体が薄黄色に色づいてくる。この黄色は金属
複合超微粒子(銀超微粒子)が生成されたことを示して
いる。加熱時間をコントロールすることによって金属複
合超微粒子の直径を制御することができる。
【0066】アスコルビン酸の還元力が強力なため、銀
粒子が黒く析出するので、この黒い銀粒子をろ紙(Adva
ntec 5C)でろ過する。ろ液は淡い黄色のシクロヘキサ
ン溶液で、この溶液の中に金属複合超微粒子(銀超微粒
子)が単分散している。
【0067】この金属複合超微粒子もAFM測定と高分
解能透過型電子顕微鏡により直接観察が行われた。本発
明の有機溶媒還元法では、図2に示すように酢酸銀以外
の全ての金属有機化合物について金属複合超微粒子の生
成に成功した。従って、この有機溶媒還元法は金属複合
超微粒子の製造方法として有効であることが実証され
た。
【0068】[比較例1:(C)従来の熱分解法]本発明
の実施例と対比するため、特開平10−183207号
に記載の熱分解法で金属複合超微粒子を作成した。ま
ず、脂肪酸銀塩を容積1Lのナス型フラスコに入れ、窒
素雰囲気下で250℃に加熱する。白色粉末は、加熱さ
れると融け始めて紫色を呈し、250℃に達したところ
で高粘性を示す。これを常温まで冷やすと、脂肪酸のロ
ウ様の物質と紫色の物質の混合物が得られる。
【0069】メチルアルコールを用いてこの混合物を精
製することにより、ロウ様の脂肪酸を除去する。すべて
の副生成物を除去するためこの精製過程を3回繰り返
す。これを乾燥した後、トルエンを加え、水浴上で60
℃程度に温める。このとき大部分が溶解して分散する
が、一部だけ不溶解物が残存する。これをろ別し、ろ液
を乾燥すると紫色に輝く結晶様の物質を得る。
【0070】この物質はシクロヘキサンやトルエン等の
非極性有機溶媒に容易に分散し、高分解能透過型電子顕
微鏡で観察したところ金属複合超微粒子であることが確
認された。しかし、図2に示すように、この熱分解法
(C)では、C12以上の脂肪酸銀塩に対して金属複合
超微粒子を生成できたが、C2〜C10の脂肪酸銀塩に
関しては金属複合超微粒子は生成できなかった。従っ
て、本発明の水油二層法(A)と有機溶媒還元法(B)
の方が有利であることが証明された。
【0071】[比較例2:(D)従来の有機溶媒界面活
性剤法]本発明の実施例と対比するため、本発明者等が
既に提案しているWO00/76699に開示されてい
る有機溶媒界面活性剤法を用いて脂肪酸銀塩から金属複
合超微粒子を作成した。
【0072】シクロヘキサン100mLに5mgの脂肪
酸銀塩を加え、疎水性界面活性剤テキサホール963
(サンノプコ製)を0.5gだけ滴下し、超音波洗浄器
により溶媒をミクロ攪拌した。
【0073】この溶液を80℃まで加熱する。還元剤と
してアスコルビン酸のエタノール溶液(0.7g/10
0mL)を作成し、前記の溶液に2mL添加する。更
に、加熱を続けると、溶液全体が色づき始め、溶媒中に
金属複合超微粒子が生成されていることが分る。
【0074】生成物を高分解能透過型電子顕微鏡で観察
したところ、銀核を有した金属複合超微粒子が生成され
ていることが分った。図2に示すように、C2〜C18
の全ての脂肪酸銀塩から金属複合超微粒子が生成できる
ことが分った。
【0075】このように、本発明者等が提案した従来の
有機溶媒界面活性剤法(D)は金属複合超微粒子の製造
には有効である。しかし、本発明によって提案している
水油二層法(A)や有機溶媒還元法(B)もこの従来技
術に匹敵する技術水準に達していることも実証された。
【0076】図3は本発明の有機溶媒還元法(B)で製
造したステアリン酸銀塩に基づく金属複合超微粒子の原
子間力顕微鏡像である。横軸及び縦軸の単位はnmであ
る。この金属複合超微粒子を250℃で10分間加熱し
た後、AFM(原子間力顕微鏡)で粒子像を観察した。
【0077】金属複合超微粒子2がガラス表面に分散し
ており、その直径も小から大まで分布していることが見
られる。ステアリン酸はC18であるから、その脂肪酸
基の長さはかなり長く、金属複合超微粒子の直径(粒
径)もかなり大きくなっていることが図から理解でき
る。
【0078】図4は本発明の水油二層法により製造され
た酢酸銀に基づく金属複合超微粒子2の高分解能透過型
電子顕微鏡像(HRTEM像)である。この図には金属
核の内部構造が示されているが、有機物殻は示されてい
ない。また、この図では、金属核の部分の格子像が得ら
れており、金属核が単結晶金属核4になっていることが
示されている。
【0079】単結晶金属核4の格子間隔は銀単結晶の
(111)面の面間隔0.236nmと一致しているの
で、単結晶金属核4は銀単結晶であることが証明され
た。特開平10−183207号やWO00/7669
9の公知公報では、金属核の構造は金属原子の集合体と
記載されているだけであったが、このHRTEM像から
単結晶金属核であることが初めて証明された。この実証
に基づいて、本発明者等は金属複合超微粒子の構造を特
許請求したものである。
【0080】図5は本発明により酢酸銀から作製された
金属複合超微粒子の粒径分布図である。図4のHRTE
M測定において、130個の酢酸銀による金属複合超微
粒子の粒径(直径)を測定した。但し、その粒径は単結
晶金属核4の直径dである。
【0081】平均粒径は2.5±1.2nmであり、他
方図15の熱分解法による平均粒径が4.7±0.6n
mである。従って、熱分解法よりも有機溶媒還元法の方
が小さな金属複合超微粒子を製造できることが分る。こ
のことは、2.5nm以下の金属複合超微粒子が60%
以上含まれていることからも分る。
【0082】図6は本発明の有機溶媒還元法で作製した
金属複合超微粒子の光吸収スペクトル図である。有機溶
媒還元法では、有機溶媒を加熱する時間を長くすると、
超微粒子前駆体の直径が大きくなることが分っている。
温度を80℃に保持する時間を(A)0分、(B)10
分、(C)40分の3種類について金属複合超微粒子を
作製して、そのシクロヘキサン溶液の光吸収スペクトル
を測定した。
【0083】金属複合超微粒子の単結晶金属核の平均直
径は、(A)では0.7nm、(B)では2.0nm、
(C)では4.7nmである。最大吸収を示す光波長
は、(A)では425nm、(B)では417nm、
(C)では412nmであった。
【0084】この結果から、平均直径が大きくなると、
吸収波長は短くなる傾向を示す。また、この吸収波長は
金属複合超微粒子を分散させたシクロヘキサン溶液の色
と直接結びついている。
【0085】金属複合超微粒子の金属核の電子はプラズ
マ振動しており、その単結晶金属核の直径が小さくなる
と光と相互作用する表面プラズマ振動が顕著になる。こ
の表面プラズモンが光を吸収して金属複合超微粒子の吸
収色を決めている。従って、図6の吸収ピークは表面プ
ラズモンの光吸収によって引き起こされると考えられ
る。
【0086】図7は本発明の有機溶媒還元法による金属
複合超微粒子の製造方法と、超微粒子結晶膜の製造方法
を示す製造工程図である。(7A)・(7B)・(7
C)は有機溶媒還元法による金属複合超微粒子の製造工
程図であり、(7D)・(7E)は金属複合超微粒子に
よる超微粒子結晶膜の製造工程図を示す。
【0087】(7A)では、容器10の中に金属有機化
合物8を分散させた有機溶媒12が入っている。(7
B)では、この有機溶媒を沸騰状態に加熱し、金属有機
化合物が衝突して会合した超微粒子前駆体3が形成され
ている。(7C)では、有機溶媒の沸騰中に、スポイド
14から還元剤16を有機溶媒中に滴下する。この還元
剤により、金属有機化合物中の金属イオンが中性の金属
原子に還元され、還元された金属原子が単結晶金属核を
形成する。このようにして、単結晶金属核を周囲を有機
物層が取り囲んだ金属複合超微粒子2が形成される。
【0088】有機溶媒の沸騰を停止させて室温(常温)
にまで冷却する。この状態は(7D)で、有機溶媒12
の中に金属複合超微粒子2が無数に分散した分散有機溶
媒11が構成される。基体18を分散有機溶媒11の中
に浸漬させ、1日から1週間放置した状態が(7E)で
ある。
【0089】(7E)では、分散有機溶媒11の中にあ
る金属複合超微粒子2は基体18の表面に自然に自己吸
着され、基体18の表面に金属複合超微粒子2の自己組
織化膜が形成される。この自己組織化膜が成長して超微
粒子結晶膜20が形成される。この段階では、金属複合
超微粒子2の殆んどが基体18に自己吸着されているか
ら、有機溶媒12の中には金属複合超微粒子2は殆んど
存在していない。
【0090】(7D)の段階では、分散有機溶媒11は
金属複合超微粒子2を含んで特有の色を発しているが、
(7E)の段階では金属複合超微粒子2が無くなって有
機溶媒12の無色透明に変化している。
【0091】[実施例3:有機溶媒還元法と超微粒子結
晶膜]上記の過程をオクタン酸銀塩(C8)を用いて実
施した。80mgのオクタン酸銀塩を200mLのシク
ロヘキサンに超音波洗浄器を用いて10分間だけミクロ
攪拌(7A)した。その後、シクロヘキサンを沸点の8
0℃まで加熱して沸騰させて超微粒子前駆体を形成(7
B)した。還元剤である0.35gのアスコルビン酸を
50mLのエタノールに溶解させ、スポイドで沸騰して
いるシクロヘキサンの中に添加したところ、シクロヘキ
サンが黄色に着色して金属複合超微粒子が生成(7C)
された。
【0092】このシクロヘキサンを20℃まで冷却し、
この中にガラス板を浸漬(7D)したところ、1週間す
ると、自然にシクロヘキサンは無色になり、ガラス板は
黄色に着色(7E)した。ガラス板の黄色の膜は、AF
M測定により金属複合超微粒子の単結晶膜であることが
分った。この自然過程は、金属複合超微粒子のガラス板
への自己吸着と自己組織化膜の形成によっていることは
明らかである。
【0093】金属複合超微粒子が基体上に自己吸着して
自己組織化膜を形成する実験事実から、この自己組織化
過程は次のように推測できる。電子分布の揺動によって
金属複合超微粒子は自発的に分極し、この双極子モーメ
ントが基体表面の分極を誘導し、両者間の分極―分極相
互作用により金属複合超微粒子が基体表面に自己吸着す
る。この推測は一つの考え方に過ぎないことを付記して
おく。
【0094】自己吸着した金属複合超微粒子が基体表面
で自己組織化膜を形成する理由は、現在次のように推測
している。基体上に結晶核が形成されると、段差のある
部分が他の平坦な部分よりも位置エネルギーが深いため
に、段差部分に金属複合超微粒子が結合してゆき、結晶
面の1層が形成される。1層の表面に2層目の結晶核が
形成されると、上記の理由で2層が素早く形成される。
この過程を繰り返して、自己組織化膜の積層により超微
粒子結晶膜に成長する。尚、この推測は一つの考え方に
過ぎないことを付記しておく。
【0095】基体18としては、ガラス板、マイカ、シ
リコンウェハ、セラミックス、プラスチックス等、任意
の材料が選択できる。特に、分極―分極相互作用の観点
から、分極しやすい材料が好適で、例えば前述したガラ
ス板、マイカ、シリコンウェハ等が良好材料である。
【0096】図8は種々の基体に形成された超微粒子結
晶膜の光反射スペクトル図である。反射ピークの波長
は、マイカで最大となり、次にシリコンウェハ、最小が
ガラスである。反射ピークの波長が大きくなる程、超微
粒子結晶膜の厚さが厚くなり、3次元結晶性が高くなる
と考えられる。
【0097】図9は脂肪酸銀塩の炭素数を変えた場合に
おける超微粒子結晶膜の反射スペクトル図である。
(A)は炭素数がC14のミリスチン酸銀塩を使用した
金属複合超微粒子の結晶膜のデータであり、(B)は炭
素数がC8のオクタン酸銀塩を使用した金属複合超微粒
子の結晶膜のデータである。
【0098】縦軸は反射率で横軸は光エネルギーを示し
ている。ピークとホロウの光エネルギーの差は粒子間力
に対応した振動子強度を示している。C14の振動子強
度はΔAであり、C8の振動子強度はΔBである。C8
の粒径はC14の粒径より小さいから、C8の粒子間結
合力はC14の粒子間結合力よりも大きいと考えられ
る。ΔB>ΔAという実験事実はこの推測を支持してい
る。
【0099】図10は超微粒子結晶の製造方法を示す製
造工程図である。(10A)では、容器10の中に分散
有機溶媒11を入れている。この分散有機溶媒11は、
有機溶媒12の中に金属複合超微粒子2を無数に分散さ
せて構成されている。金属複合超微粒子を均一に単分散
させるために超音波洗浄器によりミクロ攪拌するとよ
く、更に加熱することにより高度の単分散化を図れる。
【0100】(10B)では、分散有機溶媒11を0℃
の状態で数日から数週間密閉状態で保持している。この
低温保持により、分散有機溶媒11における金属複合超
微粒子の安定化を図る。(10C)では、この分散有機
溶媒11をスポイドで基体18の上に滴下して液滴22
を形成する。
【0101】(10D)では、液滴22を有した基体1
8を緩慢蒸発容器24の中に入れる。この緩慢蒸発容器
24は内部空間を有機溶媒12の飽和蒸気圧に保持しな
がら蒸気を徐々に外部に放出して液滴22を金属複合超
微粒子2の過飽和状態に設定するものである。従って、
液滴22からゆっくりと有機溶媒12が蒸発するから、
液滴22の中は飽和状態から過飽和状態に保持される。
【0102】(10E)では、液滴22の中に分散した
金属複合超微粒子2は過飽和状態の中で基体18の表面
に析出してゆく。この析出によって、基体18の表面に
金属複合超微粒子2が自己吸着され、自己組織化しなが
ら超微粒子結晶26が形成される。液滴22を常に供給
して過飽和過程を長期に持続することにより、超微粒子
結晶26は次第に大きな単結晶へと成長してゆく。この
自己組織化の過程は、前述した自己組織化膜の形成過程
と同様であるから、その詳細は省略する。
【0103】本発明の特徴は、金属複合超微粒子を基本
粒子とし、この金属複合超微粒子を3次元的に積み重ね
て単結晶として結晶成長させ、この3次元の中で少なく
とも2次元面の面積が10μm以上あり、光学顕微
鏡で観察可能な超微粒子結晶である。このように大きな
超微粒子単結晶は、従来の金属超微粒子の結晶成長法で
は作製されたことがなかった。従来は、超微粒子単結晶
が作製されても電子顕微鏡で観察できる程度で、従来の
大きさでは産業上の利用可能性は無いに等しかった。し
かし、本発明によって光学顕微鏡で観察できる超微粒子
単結晶が初めて製造された。
【0104】本発明の超微粒子単結晶は2次元面の面積
が10μm以上の大きさを有し、少なくとも光学顕
微鏡で観察で、しかも本発明の現段階では肉眼で観察可
能な大きさの金属複合超微粒子単結晶が作製されてい
る。従って、その電気的・磁気的・光学的・熱的物性な
どの応用によって、電磁波吸収体、フィルタ、電磁波分
岐回路、電磁波合波回路、水素等の物質吸蔵体、その他
の電磁波エレクトロニクス材料として画期的な素材を提
供するものである。
【0105】[実施例4:超微粒子結晶]キシレン15m
Lに0.4gの金属複合超微粒子を添加して、50℃に
加熱し、同時に超音波洗浄器でミクロ攪拌する。この金
属複合超微粒子はミリスチン酸銀塩から作製した平均粒
径が5nmの超微粒子である。このキシレン溶液を2週
間密閉容器に入れて0℃に低温保持した。
【0106】このキシレン溶液をスポイドでマイカの表
面に滴下し、このマイカをステンドグラスの中に半密閉
状態に保持した。ステンドグラスからは緩慢に蒸気が流
出するから、ステンドグラスの中はほぼキシレンの飽和
蒸気で満たされていると考えてよい。キシレン蒸気が徐
々に抜けると、液滴からキシレンが徐々に蒸発し、液滴
の中は金属複合超微粒子で飽和から過飽和に保持されて
いると考えられる。
【0107】液滴の中では結晶核が形成され、この結晶
核が次第に大きくなりながら超微粒子結晶へと成長して
ゆく。図11は約1週間後における超微粒子結晶の光学
顕微鏡像である。この超微粒子結晶は大きさが約60μ
mにまで成長し、外形に結晶面である複数のファセット
が現れており、単結晶であることを証明している。周り
にある小さな黒点は多数の結晶核であり、結晶核の一つ
が大きくなって超微粒子結晶が出現する。
【0108】図12は約3週間後における超微粒子結晶
の光学顕微鏡像である。この段階では、長辺は約300
μmで短辺は約120μmにまで超微粒子結晶が成長し
ている。この超微粒子の単結晶は現在も成長を続けてお
り、肉眼で観察できるまでに成長している。
【0109】本発明は上記実施形態及び蒸気実施例に限
定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しな
い範囲における種々の変形例、設計変更などをその技術
的範囲内に包含するものであることは云うまでもない。
【0110】
【発明の効果】第1の発明によれば、単結晶金属核の周
りに弱結合で取り巻く金属有機化合物起源の有機物殻を
少なくとも有し、粒径が1〜100nmである金属複合
超微粒子が提供される。従来の金属核は構造が不明な単
なる金属原子集合体であったが、本発明では金属原子が
単結晶配列した単結晶金属核を構成している点で極めて
新規な超微粒子である。この金属核の最外周にかなりの
程度に中性化した有機基が弱い静電引力で取り巻いて有
機物殻を構成している。従って、金属有機化合物の供給
と還元剤の還元力が作用する環境を設定すれば、金属核
の成長を自在に制御できる金属複合超微粒子が提供でき
る。
【0111】第2の発明によれば、単結晶金属核を構成
する金属原子が、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、G
a、In、Si、Ge、Sn、Pd、Fe、Co、N
i、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、V、Cr、
Mn、Y、Zr、Nb、Mo、Ca、Sr、Ba、Sb
及びBiの1種以上から構成される金属複合超微粒子が
提供される。従って、単結晶金属核が、単一金属種の単
結晶体であったり、複数金属種の単結晶体であるなど、
新規且つ独創的な単結晶金属超微粒子を供給することが
できる。
【0112】第3の発明によれば、金属有機化合物を有
機溶媒に分散させて超微粒子前駆体を形成する第1工程
と、この有機溶媒中に還元剤を添加することにより前記
超微粒子前駆体を還元して単結晶金属核の外周に有機物
殻を有する粒経1〜100nmの金属複合超微粒子を形
成する第2工程を有する金属複合超微粒子の製造方法が
提供される。本発明では、界面活性剤による強制コロイ
ド化を行なわず、金属有機化合物の衝突による自然コロ
イド化を利用するから超微粒子前駆体の粒径を小さくで
き、従来作製できなかった極小の金属複合超微粒子を作
製することが可能になった。この結果、極小から極大に
いたるバラエティに富んだ溶媒分散性の良い金属複合超
微粒子を製造することができる。
【0113】第4の発明によれば、前記の自然コロイド
化において、有機溶媒を加熱調節することにより超微粒
子前駆体の生成速度を速めた金属複合超微粒子の製造方
法が提供される。温度を高くすることにより金属有機化
合物の衝突確率が増大し、コロイド化の促進とコロイド
粒径の成長速度を増大化でき、超微粒子の製造時間の短
縮化を図ることができる。
【0114】第5の発明によれば、金属有機化合物を水
中に分散させる第1工程と、この水溶液に疎水性界面活
性剤を添加して超微粒子前駆体を形成する第2工程と、
この水溶液に有機溶媒を加えて水油二層構造にする第3
工程と、この水油二層液に還元剤を添加して前記超微粒
子前駆体を還元して単結晶金属核の外周に有機物殻を有
する粒経1〜100nmの金属複合超微粒子を形成する
第4工程から構成される金属複合超微粒子の製造方法が
提供される。この製造方法は極めて新規な方法で、水中
でコロイド化を促進し、油層中で還元する独創的な製造
方法である。
【0115】第6の発明によれば、金属複合超微粒子を
基本粒子とし、この金属複合超微粒子を3次元的に積み
重ねて単結晶として結晶成長させ、この3次元の中で少
なくとも2次元面の面積が10μm以上あり、少な
くとも光学顕微鏡で観察可能な超微粒子結晶である。従
来の超微粒子結晶は、電子顕微鏡によって観察される程
度の極小の単結晶で、それ単結晶自体の応用性は極めて
小さいが、本発明の超微粒子単結晶は2次元面の面積が
10μm以上の大きさを有する単結晶で、少なくと
も光学顕微鏡で観察が可能である。その電気的・磁気的
・光学的・熱的物性などの応用によって、電磁波吸収
体、フィルタ、電磁波分岐回路、電磁波合波回路、水素
等の物質吸蔵体、その他の電磁波エレクトロニクス材料
として画期的な素材を提供できる。
【0116】第7の発明によれば、金属複合超微粒子を
有機溶媒に分散させて分散有機溶媒を調製する第1工程
と、この分散有機溶媒中に基体を浸漬することにより基
体の表面に金属複合超微粒子を自己吸着させて自己組織
化膜として超微粒子結晶膜を形成する第2工程から構成
される。基体を単に分散有機溶媒に浸漬するだけで超微
粒子結晶膜を形成できるから、あらゆる種類の物体に対
する簡易且つ安価な超微粒子結晶膜の製造方法となる。
その後、表面を加熱するだけで有機物を燃焼により除去
できるから、物体表面のメッキが簡単に行なえる利点を
有する。
【0117】第8の発明によれば、金属複合超微粒子を
有機溶媒に分散して分散有機溶媒を調製する第1工程
と、この分散有機溶媒の所要量を基体上に配置する第2
工程と、この基体上の分散有機溶媒から有機溶媒を緩慢
に蒸発させて金属複合超微粒子を基体上に結晶として析
出させる第3工程から構成される超微粒子結晶の製造方
法である。換言すれば、本発明は過飽和成長法であり、
金属複合超微粒子の結晶化が通常の結晶成長の方法によ
って達成できると云う新規かつ独創的な発見に基づいて
なされたものある。基体上に分散有機溶媒を供給し続け
ることにより、金属複合超微粒子のバルク単結晶を簡単
かつ安価に得ることが可能となる。従って、本発明によ
って得られる金属複合超微粒子及び超微粒子結晶は、電
子材料(プリント配線、導電性材料等)、磁性材料(磁
気記録媒体、電磁波吸収体、電磁波共鳴器等)、触媒材
料(高速反応触媒等)、構造材料(遠赤外材料等)、医
療材料等の各種の用途に用いることが可能であり、広範
囲の産業に金属複合超微粒子や超微粒子結晶を大量且つ
安価に提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る金属複合超微粒子2の構造モデル
図である。
【図2】金属複合超微粒子の製造方法における本発明技
術と従来技術を対照した比較図である。
【図3】本発明の有機溶媒還元法(B)で製造したステ
アリン酸銀塩に基づく金属複合超微粒子の原子間力顕微
鏡像である。
【図4】本発明の水油二層法により製造された酢酸銀に
基づく金属複合超微粒子2の高分解能透過型電子顕微鏡
像(HRTEM像)である。
【図5】本発明により酢酸銀から作製された金属複合超
微粒子の粒径分布図である。
【図6】本発明の有機溶媒還元法で作製した金属複合超
微粒子の光吸収スペクトル図である。
【図7】本発明の有機溶媒還元法による金属複合超微粒
子の製造方法と、超微粒子結晶膜の製造方法を示す製造
工程図である。
【図8】本発明における種々の基体に形成された超微粒
子結晶膜の光反射スペクトル図である。
【図9】本発明における脂肪酸銀塩の炭素数を変えた場
合における超微粒子結晶膜の反射スペクトル図である。
【図10】本発明における超微粒子結晶の製造方法を示
す製造工程図である。
【図11】本発明における約1週間後における超微粒子
結晶の光学顕微鏡像である。
【図12】本発明における約3週間後における超微粒子
結晶の光学顕微鏡像である。
【図13】超微粒子の粒径と構成原子数および表面原子
の割合を一覧化して示す従来の一覧図である。
【図14】従来の熱分解法で形成された金属複合超微粒
子2の従来のモデル図である。
【図15】従来のミリスチン酸銀塩を熱分解して製造し
た金属複合超微粒子の粒径分布図である。
【図16】金属有機化合物の一種であるカルボン酸銀塩
の含有炭素数の一覧表である。
【符号の説明】
2は金属複合超微粒子、3は超微粒子前駆体、4は単結
晶金属核、4aは金属原子、5は金属核、5aは金属原
子、6は有機物殻、6aは最外周金属原子、6bは有機
物、7は金属有機化合物殻、8は金属有機化合物、8a
は金属イオン、8bは有機基、10は容器、11は分散
有機溶媒、12は有機溶媒、14はスポイド、16は還
元剤、18は基体、20は超微粒子結晶膜、22は液
滴、24は緩慢蒸発容器、26は超微粒子結晶、dは金
属核直径、Dは金属複合超微粒子の直径、sは有機物殻
の厚み、tは金属有機化合物殻の厚み。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大橋 弘孝 兵庫県芦屋市朝日ヶ丘町8−31 Fターム(参考) 4K017 AA06 BA01 BA02 BA03 BA04 BA05 BA06 BA07 BA10 DA01 EH03 EJ02 4K018 AA02 AA03 AA06 AA07 AA10 AA19 AA21 AA24 AA40 BA01 BA02 BA03 BA04 BA09 BA10 BA13 BA20 BC29 KA32

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属有機化合物起源の金属原子が集合し
    て単結晶化した単結晶金属核と、この単結晶金属核の周
    りに結合して取り巻く金属有機化合物起源の有機物殻を
    少なくとも有し、粒径が1〜100nmであることを特
    徴とする金属複合超微粒子。
  2. 【請求項2】 前記金属原子が、Cu、Ag、Au、Z
    n、Cd、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pd、F
    e、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、P
    t、V、Cr、Mn、Y、Zr、Nb、Mo、Ca、S
    r、Ba、Sb及びBiの1種以上から構成される請求
    項1に記載の金属複合超微粒子。
  3. 【請求項3】 金属有機化合物を有機溶媒に分散させて
    超微粒子前駆体を形成する第1工程と、この有機溶媒中
    に還元剤を添加することにより前記超微粒子前駆体を還
    元して単結晶金属核の外周に有機物殻を有する粒経1〜
    100nmの金属複合超微粒子を形成する第2工程を有
    することを特徴とする金属複合超微粒子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記第1工程において有機溶媒を加熱す
    ることにより超微粒子前駆体の生成速度を速める請求項
    1に記載の金属複合超微粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 金属有機化合物を水中に分散させる第1
    工程と、この水溶液に疎水性界面活性剤を添加して超微
    粒子前駆体を形成する第2工程と、この水溶液に有機溶
    媒を加えて水油二層構造にする第3工程と、この水油二
    層液に還元剤を添加して前記超微粒子前駆体を還元して
    単結晶金属核の外周に有機物殻を有する粒経1〜100
    nmの金属複合超微粒子を形成する第4工程から構成さ
    れることを特徴とする金属複合超微粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1に記載の金属複合超微粒子を基
    本粒子とし、この金属複合超微粒子を3次元的に積み重
    ねて単結晶として結晶成長させ、この3次元の中で少な
    くとも2次元面の面積が10μm以上あり、光学顕
    微鏡で観察可能なことを特徴とする超微粒子結晶。
  7. 【請求項7】 金属複合超微粒子を有機溶媒に分散させ
    て分散有機溶媒を調製する第1工程と、この分散有機溶
    媒中に基体を浸漬することにより基体の表面に金属複合
    超微粒子を自己吸着させて自己組織化膜として超微粒子
    結晶膜を形成する第2工程から構成されることを特徴と
    する超微粒子結晶膜の製造方法。
  8. 【請求項8】 金属複合超微粒子を有機溶媒に分散して
    分散有機溶媒を調製する第1工程と、この分散有機溶媒
    の所要量を基体上に配置する第2工程と、この基体上の
    分散有機溶媒から有機溶媒を緩慢に蒸発させて金属複合
    超微粒子を基体上に結晶として析出させる第3工程から
    構成されることを特徴とする超微粒子結晶の製造方法。
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