JP2010244724A - 粒子分散体の製造方法及びこの方法で製造された粒子分散体 - Google Patents

粒子分散体の製造方法及びこの方法で製造された粒子分散体 Download PDF

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Abstract

【課題】極めて簡便に、導電性、分散性、分散安定性、透明性、沈降防止性等を付与若しくは改善することの出来る、粒子分散体およびその製造方法の提供。
【解決手段】先ず有機金属化合物及び有機半金属化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上と還元剤とを混合して混合物12を調製する。次にこの混合物12を所定の雰囲気中で40〜360℃の温度に加熱した状態に10分〜5.0時間保持して粒子が分散した分散体14を得る。なお、上記混合物12の加熱雰囲気は、不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気又は大気雰囲気であることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、酸化物半導体粒子が分散した粒子分散体を製造する方法と、この方法で製造された粒子分散体と、この粒子分散体を乾燥して得られた粉末状の酸化物半導体粒子、金属粒子及び半金属粒子に関するものである。
従来、1,4-グルコシド結合を有する化合物と金属化合物とを溶媒に溶解し、得られた溶液中の金属イオンを還元し、金属ナノ粒子とする金属ナノ粒子の製造方法(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。この金属ナノ粒子の製造方法では、上記溶液を加熱し、その後還元剤を添加することにより、金属イオンを還元する。このように極めて簡便な方法により単分散かつ微細な金属ナノ粒子を製造できるようになっている。
特開2003−213311号公報(請求項1及び4、段落[0032])
しかし、上記従来の特許文献1に示された金属ナノ粒子の製造方法では、還元反応が有機金属の自己分解に頼っているため、不均一に反応して凝集物が発生し易く、分散体を得ることが難しく、歩留まりが悪いという不具合があった。
本発明の目的は、極めて簡便に、導電性、分散性、分散安定性、透明性、沈降防止性等を付与若しくは改善することができる、粒子分散体の製造方法及びこの方法で製造された粒子分散体を提供することにある。
本発明の第1の観点は、図1に示すように、有機金属化合物及び有機半金属化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上と還元剤とを混合して混合物を調製する工程と、この混合物を所定の雰囲気中で40〜360℃の温度に加熱した状態に10分〜5.0時間保持して粒子分散体を得る工程とを含む粒子分散体の製造方法である。
この第1の観点の粒子分散体の製造方法では、上記混合物を所定の雰囲気中で加熱すると、混合物が化学的に反応しながら有機金属化合物中の金属若しくは金属酸化物又は有機半金属化合物中の半金属又は半金属酸化物が中心となって有機金属化合物又は有機半金属化合物が分解する。この有機金属化合物又は有機半金属化合物の分解により、結合の外れた金属、半金属又はそれらの酸化物生成体からなる粒子の表面に、同様に結合の外れた有機物又はその分解生成物が付くため、導電性、分散性、分散安定性、透明性、沈降防止性等の特性を有する膜として用いられる粒子分散体が得られる。
本発明の第1の観点の粒子分散体の製造方法では、有機金属化合物及び有機半金属化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上と還元剤とを混合して混合物を調製した後に、この混合物を所定の雰囲気中で40〜360℃の温度に加熱した状態に10分〜5.0時間保持して粒子分散体を得たので、極めて簡便に、導電性、分散性、分散安定性、透明性、沈降防止性等を付与若しくは改善した粒子分散体を得ることができる。
本発明実施形態の粒子分散体を実験的に製造する装置の断面構成図である。 ステンレス製のフォトマスクの斜視図である。
次に本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1に示すように、粒子分散体を製造するには、先ず有機金属化合物及び有機半金属化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上と還元剤とを混合して混合物を調製する。上記有機金属化合物に含まれる金属は、Cu,Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Re,Os,Ir,Sc,Y,Ti,Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Cd,Al,Ga,In,Tl,Sn,Pb,La,Ce,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Er,Tm及びYbからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属、好ましくはCu,Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Re,Ti,Fe,Co,Ni,Zn,In及びSnからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属である。また上記有機半金属化合物に含まれる半金属は、Si,Ge,Sb及びBiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の半金属である。
上記有機金属化合物又は有機半金属化合物の有機成分は、有機酸及びアミンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物であり、上記有機酸は、炭素数2〜29、好ましくは炭素数3〜18の炭素を含む化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物であることが好ましい。具体的には、上記有機酸は、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ビバル酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ナフテン酸、アビエチン酸、デキストロピマル酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上の有機酸であることが好ましく、更にリンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、2−エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上の有機酸であることが好ましい。有機酸は、光重合性化合物であることが好ましい。具体的には、光重合性化合物は、アクリロイル基、メタクリロイル基及びビニル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上を含むことが好ましい。ここで、炭素数を2〜29の範囲に限定したのは、炭素数が2未満は所望の有機酸を得ることができず、炭素数が29を越える有機酸は見当たらず実質的に使用しないからである。
一方、アミンは、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリペンチルアミン、アリルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ドデシルアミン、1,3−ジメチル−n−ブチルアミン、1−アミノウンデカン、1−アミノトリデカン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン、ドデシルジメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び3−メトキシプロピルアミンからなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましく、更にジブチルアミン、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び3−メトキシプロピルアミンからなる群より選ばれた1種又は2種以上のアミンであることが好ましい。また還元剤は、ヒドラジン、水素化ホウ素塩、ジメチルアミンボラン、ギ酸、ギ酸塩及びジ亜燐酸塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上であることが好ましい。
次に上記混合物を所定の雰囲気中で40〜360℃、好ましくは50〜350℃の温度に加熱した状態に10分〜5.0時間、好ましくは20分〜4.0時間保持する。混合物の加熱雰囲気は、不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気又は大気雰囲気であることが好ましい。ここで、混合物の加熱温度を40〜360℃の範囲に限定したのは、40℃未満では分散体の生成が不十分となり、360℃を越えると有機物の分解が著しくなり、安定した分散体が得られないからである。また混合物の加熱時間を10分〜5.0時間の範囲に限定したのは、10分間未満では分散体の生成が不十分となり、5.0時間を越えると粒子の成長に変化がなくなり、これ以上保持する必要がないからである。このような簡便な方法で粒子が分散した分散体を作製できる。
上記方法により製造された粒子分散体としては、平均粒径0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.8μmの酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、錫含有酸化インジウム(ITO)、亜鉛含有酸化インジウム(IZO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)、セリウム含有酸化亜鉛(CZO)、ホウ素含有酸化亜鉛(BZO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、或いはリン含有酸化錫(PTO)の酸化物半導体粒子を含む粒子分散体が挙げられる。また上記粒子分散体を乾燥して得られた酸化物半導体粒子としては、平均粒径0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.8μmの酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、錫含有酸化インジウム(ITO)、亜鉛含有酸化インジウム(IZO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)、セリウム含有酸化亜鉛(CZO)、ホウ素含有酸化亜鉛(BZO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、或いはリン含有酸化錫(PTO)の酸化物半導体粒子が挙げられる。ここで、酸化物半導体粒子の平均粒径を0.005〜1.0μmの範囲に限定したのは、0.005μm未満の粒子や1.0μmを越える粒子がこの方法では得られないからである。なお、本発明で使用される酸化物半導体粒子などの平均粒径とは、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(堀場製作所製 LA−950)にて測定し、粒子径基準を個数として演算した50%平均粒子径(D50)をいう。このレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置による個数基準平均粒径の値は、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ製 S−4300SE及びS−900)により観察した画像において、任意の50個の粒子について粒径を実測したときのその平均粒径とほぼ一致する。
<第2の実施の形態>
上記第1の実施の形態で調製された混合物に更にフッ化アンモニウムを添加することを除いて、第1の実施の形態と同様にして粒子が分散した分散体を作製する。この方法により製造された粒子分散体としては、平均粒径0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.8μmのフッ素含有酸化錫(FTO)、フッ素含有酸化インジウム(FIO)、フッ素含有酸化亜鉛(FZO)、フッ素錫含有酸化インジウム(FITO)、フッ素亜鉛含有酸化インジウム(FIZO)、フッ素アルミニウム含有酸化亜鉛(FAZO)、フッ素ガリウム含有酸化亜鉛(FGZO)、フッ素セリウム含有酸化亜鉛(FCZO)、或いはフッ素アンチモン含有酸化錫(FATO)の酸化物半導体粒子を含む粒子分散体が挙げられる。また上記粒子分散体を乾燥して得られた酸化物半導体粒子としては、平均粒径0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.8μmのフッ素含有酸化錫(FTO)、フッ素含有酸化インジウム(FIO)、フッ素含有酸化亜鉛(FZO)、フッ素錫含有酸化インジウム(FITO)、フッ素亜鉛含有酸化インジウム(FIZO)、フッ素アルミニウム含有酸化亜鉛(FAZO)、フッ素ガリウム含有酸化亜鉛(FGZO)、フッ素セリウム含有酸化亜鉛(FCZO)、或いはフッ素アンチモン含有酸化錫(FATO)の酸化物半導体粒子が挙げられる。ここで、酸化物半導体粒子の平均粒径を0.005〜1.0μmの範囲に限定したのは、0.005μm未満の粒子や1.0μmを越える粒子がこの方法では得られないからである。
なお、上記第1及び第2の実施の形態では、酸化物半導体粒子を含む粒子分散体を製造したが、平均粒径0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.8μmのCu,Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Re,Fe,Co,Ni,Zn,In及びSnからなる群より選ばれた1種又は2種以上の純金属粒子、混合金属粒子或いは合金粒子を含む粒子分散体であってもよい。また、上記第1及び第2の実施の形態では、粒子分散体を乾燥して酸化物半導体粒子を製造したが、上記純金属粒子、混合金属粒子或いは合金粒子を含む粒子分散体を乾燥して、平均粒径0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.8μmのCu,Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Re,Fe,Co,Ni,Zn,In及びSnからなる群より選ばれた1種又は2種以上の純金属、混合金属或いは合金からなる金属粒子であってもよい。ここで、金属粒子の平均粒径を0.005〜1.0μmの範囲に限定したのは、0.005μm未満の粒子や1.0μmを越える粒子がこの方法では得られないからである。
また、上記第1及び第2の実施の形態では、酸化物半導体粒子を含む粒子分散体を製造したが、平均粒径0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.8μmのSbの半金属粒子を含む粒子分散体であってもよい。更に、上記第1及び第2の実施の形態では、粒子分散体を乾燥して酸化物半導体粒子を製造したが、上記Sbの半金属粒子を含む粒子分散体を乾燥して、平均粒径0.005〜1.0μm、好ましくは0.01〜0.8μmのSbからなる半金属粒子であってもよい。ここで、半金属粒子の平均粒径を0.005〜1.0μmの範囲に限定したのは、0.005μm未満の粒子や1.0μmを越える粒子がこの方法では得られないからである。
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ずエチレンオキシド変性コハク酸メタクリレート(新中村化学社製のNKエステルSA)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した。この石鹸を2つに分け、一方の石鹸に塩化インジウム溶液(アジア物性社製)を混合して撹拌することによりインジウムの金属石鹸を調製した。このインジウムの金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩したインジウムの金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することによりインジウム石鹸(炭素数:10)を得た。一方、上記石鹸の他方に塩化錫溶液(アジア物性社製)を混合して撹拌することにより錫の金属石鹸を調製した。この錫の金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩した錫の金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することにより錫石鹸(炭素数:10)を得た。なお、上記エチレンオキシド変性コハク酸メタクリレートの化学式(1)をここに示す。
Figure 2010244724
次いで図1に示すように、上記インジウム石鹸7.5gと錫石鹸0.5gとを石英シリンダ11に入れ、還元剤としてヒドラジン・一水和物(関東化学社製:鹿特級)0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物12を得た。ここで「不均一な状態で混合する」とは、石英シリンダ11を5〜6回簡単に手で振って混合することをいう。次に上記混合物12の入った石英シリンダ11を250℃のオイルバス13(ビーカ13aに貯留した耐熱シリコーンオイル13bをオイルバスコントローラ13cで250℃に加熱・維持したもの)に入れるとともに、この石英シリンダ11内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバス13から取出して室温まで冷却し、分散体14を得た。この粒子分散体14を実施例1とした。なお、図1において、符号21は石英シリンダ11から排出された排ガスを一時的に貯留するための第1ガラス瓶であり、符号22は第1ガラス瓶21に一時的に貯留された排ガスを水23に通すための第2ガラス瓶22である。
<実施例2>
先ず12-ヒドロキシステアリン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてヒドラジン・一水和物0.1gを添加し、更にフッ化アンモニウムを0.3g添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを300℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例2とした。
<実施例3>
先ずステアリン酸錫(炭素数:18)7.5gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジ亜燐酸アンモニウム0.1gを添加し、更にフッ化アンモニウムを0.3g添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを300℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例3とした。
<実施例4>
先ずステアリン酸錫(炭素数:18)7.5gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加し、更にフッ化アンモニウムを0.3g添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを275℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例4とした。
<実施例5>
先ずステアリン酸錫(炭素数:18)7.5gとモンタン酸/2-アミノエタノールアンチモン錯体(炭素数:29)0.8gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてジ亜燐酸アンモニウム0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを250℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例5とした。
<実施例6>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとパルミチン酸亜鉛(炭素数:16)0.7gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてヒドラジン・一水和物0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを310℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例6とした。
<実施例7>
先ずエチレンオキシド変性コハク酸メタクリレート(新中村化学社製のNKエステルSA)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した後に、この石鹸に塩化インジウム溶液(アジア物性社製)を混合して撹拌することによりインジウムの金属石鹸を調製した。このインジウムの金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩したインジウムの金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することによりインジウム石鹸(炭素数:10)を得た。一方、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(東亞合成社製のアロニックスM−5300)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した後に、この石鹸に塩化亜鉛溶液を混合して撹拌することにより亜鉛の金属石鹸を調製した。この亜鉛の金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩した亜鉛の金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することにより亜鉛石鹸(炭素数:15)を得た。なお、上記ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレートの化学式(2)をここに示す。
Figure 2010244724
次いで上記インジウム石鹸7.5gと亜鉛石鹸0.7gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを250℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例7とした。
<実施例8>
先ずβ−カルボキシルエチルアクリレート(ダイセル・ユーシービー社製のβ−CEA)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した後に、この石鹸に塩化チタン溶液を混合して撹拌することによりチタンの金属石鹸を調製した。このチタンの金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩したチタンの金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することによりチタン石鹸を得た。なお、上記β−カルボキシルエチルアクリレートの化学式(3)をここに示す。
Figure 2010244724
次いで上記チタン石鹸7.5gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジ亜燐酸アンモニウム0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを200℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例8とした。
<実施例9>
先ずチタンカップリング剤(味の素社製のKR44、炭素数:3及び4)7.5gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを300℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例9とした。なお、上記チタンカップリング剤(味の素社製のKR44)の化学式(4)をここに示す。
Figure 2010244724
<実施例10>
先ずチタンカップリング剤(味の素社製の9SA、炭素数:3及び18)7.5gを石英シリンダに入れ、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを350℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例10とした。なお、上記チタンカップリング剤(味の素社製の9SA)の化学式(5)をここに示す。
Figure 2010244724
<実施例11>
先ずアクリル酸銀(炭素数:4)7.5gを石英シリンダに入れ、還元剤として水素化ホウ素ナトリウム0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを60℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に硫化水素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例11とした。
<比較例1>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとを石英シリンダに入れ、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを200℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を比較例1とした。
<比較例2>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてヒドラジン・一水和物0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを370℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を比較例2とした。
<比較例3>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてヒドラジン・一水和物0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを35℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持して分散体を得た。この粒子分散体を比較例3とした。
<比較例4>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)7.5gとステアリン酸錫(炭素数:18)0.5gとを石英シリンダに入れ、溶媒としてメチルカルビトール7.5gを加えた後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを200℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に空気(鈴木商事館社製の一般空気ボンベに貯留された空気)を0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持して分散体を得た。この粒子分散体を比較例4とした。
<比較試験1及び評価>
実施例1〜11及び比較例1〜4の粒子分散体をアセトンで洗浄した後、真空雰囲気中に室温で2時間保持して金属又は半金属化合物粒子からなる乾燥粉末を作製し、X線回折法(XRD法)により乾燥粉末を構成する化合物の同定を行ってその化合物のパターン(結晶構造)及び名称を特定し、また蛍光X線分光分析法(XFS法)により上記乾燥粉末の元素分析を行い、更に透過電子顕微鏡(TEM)により乾燥粉末の一次粒子の平均粒径を求めた。その結果を表1に示す。表1において、「HD」はヒドラジンであり、「Na/BH」は水素化ホウ素ナトリウムであり、「DMAB」はジメチルアミンボランであり、「A/HPP」はジ亜燐酸アンモニウムである。
Figure 2010244724
表1から明らかなように、比較例1では乾燥粉末が黄色と白色の不均一な混合物であり、未反応部分が多く、比較例2では黒色、黄色及び深青色の不均一な混合物であり、比較例3及び4では原料粉末の有機金属化合物と変わっていなかった。これに対し、実施例1、2、4、6及び7では乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子のパターン(結晶構造)がビックスバイト(bixbite)型構造であり、実施例3及び5では乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子のパターン(結晶構造)がルチル(rutile)型構造であり、実施例8〜10では乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子のパターン(結晶構造)がアナターゼ(anataze)型構造であり、実施例11では乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子のパターン(結晶構造)がセン亜鉛鉱(zinc blende)型構造であった。また実施例1〜11では、乾燥粉末の金属又は半金属化合物粒子がIn、Sn、Sb等の金属又は半金属を含んでおり、金属又は半金属化合物粒子の一次粒子の平均粒径が5〜25nmと極めて微細であることが分かった。
<実施例12>
実施例1の粒子分散体を2-イソプロポキシエタノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例12とした。
<実施例13>
実施例2の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例13とした。
<実施例14>
実施例3の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例14とした。
<実施例15>
実施例4の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例15とした。
<実施例16>
実施例5の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例16とした。
<実施例17>
実施例6の粒子分散体をN-メチルピロリドン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例17とした。
<実施例18>
実施例18の粒子分散体をヘキサン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例18とした。
<実施例19>
実施例8の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例19とした。
<実施例20>
実施例9の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例20とした。
<実施例21>
実施例10の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例21とした。
<実施例22>
実施例11の粒子分散体をN-メチルピロリドン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例22とした。
<比較例5>
比較例1の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を比較例5とした。
<比較例6>
比較例2の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約30重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を比較例6とした。
<比較試験2及び評価>
実施例12〜22、比較例5及び6の約30重量%に洗浄・濃縮した直後の粒子分散体の状態と、密栓したガラス瓶に入れて40℃に2週間保持した後の状態を目視にて観察した。その結果を表2に示す。表2において、「HD」はヒドラジンであり、「Na/BH」は水素化ホウ素ナトリウムであり、「DMAB」はジメチルアミンボランであり、「A/HPP」はジ亜燐酸アンモニウムである。
Figure 2010244724
表2から明らかなように、比較例5及び6では2週間後いずれも沈殿していたのに対し、実施例12〜22では2週間後も沈殿せず良好な状態のままであった。この結果、上記実施例のような簡便な方法で、特別な分散装置を使用せずに、高濃度の金属又は半金属化合物粒子の分散した粒子分散体(コロイド液)が比較的容易に製造できることが判った。
<実施例23>
先ずイソステアリン酸銅(炭素数:18)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてヒドラジン・一水和物0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを150℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例23とした。
<実施例24>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを45℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例24とした。
<実施例25>
先ずオレイン酸銀(炭素数:18)0.35gと2-エチルヘキサン酸パラジウム(炭素数:8)0.35gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを200℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例25とした。
<実施例26>
先ず2-エチルヘキサン酸パラジウム(炭素数:8)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを150℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例26とした。
<実施例27>
先ずカプロン酸/2-エチルヘキシルアミン金錯体(炭素数:6,8)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを150℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例27とした。
<実施例28>
先ずオレイン酸/プロピレンジアミン金錯体(炭素数:18,3)0.6gとイソステアリン酸銅(炭素数:18)0.1gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを150℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例28とした。
<実施例29>
先ずオレイルアミン白金錯体(炭素数:18)0.7を石英シリンダに入れ、還元剤としてジ亜燐酸アンモニウム0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを80℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例29とした。
<実施例30>
先ずビバル酸ルテニウム(炭素数:5)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジ亜燐酸アンモニウム0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを45℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例30とした。
<実施例31>
先ずステアリン酸鉄(炭素数:18)0.3gと酢酸コバルト(炭素数:2)0.1gとベヘン酸ニッケル(炭素数:22)0.3gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてヒドラジン・一水和物0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを350℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例31とした。
<実施例32>
先ずリノール酸/テトラデシルアミンロジウム錯体(炭素数:18,14)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを130℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例32とした。
<実施例33>
先ずリノレン酸/ヘキサデシルアミンレニウム錯体(炭素数:18,16)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを180℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例33とした。
<実施例34>
先ずオレイン酸インジウム(炭素数:18)0.65gとドデシルアミン錫錯体(炭素数:12)0.5gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを130℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例34とした。
<実施例35>
先ず12-ヒドロキシステアリン酸インジウム(炭素数:18)0.6gとパルミチン酸亜鉛(炭素数:16)0.1gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを110℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例35とした。
<実施例36>
先ずアクリル酸銀(炭素数:4)0.7を石英シリンダに入れ、還元剤としてヒドラジン・一水和物0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを60℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例36とした。
<実施例37>
先ずモンタン酸/2-アミノエタノールアンチモン錯体(炭素数:29)0.35gとアクリル酸パラジウム(炭素数:4)とを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを60℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例37とした。
<実施例38>
実施例1のインジウム石鹸(炭素数:10)0.65gと実施例1の錫石鹸(炭素数:10)0.5gとを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを130℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例38とした。
<実施例39>
先ずエチレンオキシド変性コハク酸メタクリレート(新中村化学社製のNKエステルSA)を水酸化ナトリウムでけん化して石鹸を調製した後に、この石鹸に塩化金溶液を混合して撹拌することにより金の金属石鹸を調製した。次いでこの金の金属石鹸を十分に水で洗浄して濾過することにより脱塩した後に、この脱塩した金の金属石鹸を80℃の真空乾燥機に一晩入れて脱水することにより金石鹸(炭素数:10)を得た。次にこの金石鹸0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。更に上記混合物の入った石英シリンダを150℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例39とした。
<実施例40>
先ずメタクリル酸白金(炭素数:5)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジ亜燐酸アンモニウム0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次に上記混合物の入った石英シリンダを150℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を実施例40とした。
<比較例7>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gを石英シリンダに入れた。次にこの石英シリンダを45℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を比較例7とした。
<比較例8>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次にこの石英シリンダを35℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を比較例8とした。
<比較例9>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次にこの石英シリンダを370℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を比較例9とした。
<比較例10>
先ずカプロン酸銀(炭素数:6)0.7gを石英シリンダに入れ、還元剤としてジメチルアミンボラン0.1gを添加し、更に溶媒としてトルエン0.7gを添加した後に、これらを不均一な状態で混合して混合物を得た。次にこの石英シリンダを150℃のオイルバスに入れるとともに、この石英シリンダ内に窒素ガスを0.2cc/分ずつ供給しながら1時間保持した後に、オイルバスから取出して室温まで冷却し、分散体を得た。この粒子分散体を比較例10とした。
<比較試験3及び評価>
実施例23〜40及び比較例7〜10の粒子分散体をアセトンで洗浄した後、真空雰囲気中に室温で2時間保持して金属粒子からなる乾燥粉末を作製し、X線光電子スペクトル法(XPS法)により乾燥粉末を構成する化合物の同定を行ってその化合物の酸化数を求め、またフィールドエミッション透過電子顕微鏡(FE−TEM)により上記乾燥粉末の元素分析を行うとともに、乾燥粉末の一次粒子の平均粒径を求めた。その結果を表3及び表4に示す。表3及び表4において、「HD」はヒドラジンであり、「Na/BH」は水素化ホウ素ナトリウムであり、「DMAB」はジメチルアミンボランであり、「A/HPP」はジ亜燐酸アンモニウムである。
Figure 2010244724
Figure 2010244724
表3及び表4から明らかなように、比較例8では乾燥粉末の一部が黒色化したものの原料粉末の有機金属化合物と殆ど変わっておらず、比較例9では銀メタルの凝集塊が発生し、比較例7及び10の乾燥粉末では原料粉末の有機金属化合物と変わっていなかった。これに対し、実施例23〜40では乾燥粉末の金属粒子の酸化数がゼロであり、また実施例23〜40では、乾燥粉末の金属粒子がIn、Sn等の金属を含み、更に金属粒子の一次粒子の平均粒径が3〜12nmと極めて微細であることが分かった。
<実施例41>
実施例23の粒子分散体をトルエン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例41とした。
<実施例42>
実施例24の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例42とした。
<実施例43>
実施例25の粒子分散体を2-イソプロポキシエタノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例43とした。
<実施例44>
実施例26の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例44とした。
<実施例45>
実施例27の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例45とした。
<実施例46>
実施例28の粒子分散体をα−テルピネオール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例46とした。
<実施例47>
実施例29の粒子分散体をα−テルピネオール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例47とした。
<実施例48>
実施例30の粒子分散体を水(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例48とした。
<実施例49>
実施例31の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテル(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例49とした。
<実施例50>
実施例32の粒子分散体をヘキサン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例50とした。
<実施例51>
実施例33の粒子分散体をメチルカルビトール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例51とした。
<実施例52>
実施例34の粒子分散体をデカリン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例52とした。
<実施例53>
実施例35の粒子分散体をデカリン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例53とした。
<実施例54>
実施例36の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例54とした。
<実施例55>
実施例37の粒子分散体をイソプロパノール(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例55とした。
<実施例56>
実施例38の粒子分散体をテトラデカン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例56とした。
<実施例57>
実施例39の粒子分散体をヘキサン(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例57とした。
<実施例58>
実施例40の粒子分散体をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(溶媒)で希釈した後に、限外濾過法により洗浄・濃縮して粒子の含有量が約40重量%となるように粒子分散体を調製した。この粒子分散体を実施例58とした。
<比較例11>
比較例9の粒子分散体をイソプロパノール等の溶媒と混合した。この混合物を比較例11とした。
<比較試験4及び評価>
実施例41〜58の粒子分散体と比較例11の混合物の、約30重量%に洗浄・濃縮した直後の粒子分散体の状態と、密栓したガラス瓶に入れて40℃に2週間保持した後の状態を目視にて観察した。その結果を表5及び表6に示す。表5及び表6において、「HD」はヒドラジンであり、「Na/BH」は水素化ホウ素ナトリウムであり、「DMAB」はジメチルアミンボランであり、「A/HPP」はジ亜燐酸アンモニウムである。
Figure 2010244724
Figure 2010244724
表5及び表6から明らかなように、比較例11では2週間後、凝集塊が完全に沈殿していたのに対し、実施例41〜58では2週間後も沈殿せず良好な状態のままであった。この結果、上記実施例のような簡便な方法で、特別な分散装置を使用せずに、高濃度の金属粒子の分散した粒子分散体が比較的容易に製造できることが判った。
<実施例59>
先ず実施例12の粒子分散体(濃度約30重量%のITO粒子を分散した分散液)をエタノールで、ITO粒子の含有量が4.0重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.1重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのソーダガラス板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このソーダガラス板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜を上に向けたガラス板にステンレス製フォトマスク31(図2)を載せた。このフォトマスク31は、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔31aが10mm間隔で3個形成される。次いでガラス板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたガラス板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記ガラス板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのガラス板を窒素ガス雰囲気中で220℃に30分間保持して膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を実施例59とした。
<実施例60>
実施例18の粒子分散体(濃度約30重量%のIZO粒子を分散した分散液)を用いたことを除いて、実施例59と同様の方法でガラス板を作製した。このガラス板を実施例60とした。
<比較試験5及び評価>
実施例59及び60のガラス板の膜の厚さを走査型電子顕微鏡(SEM)にて測定した。その結果、実施例59の膜の厚さは260nmと見積もられ、実施例60の膜の厚さは320nmと見積もられた。またこれらの膜の表面抵抗値を四探針法にて測定したところ、実施例59の膜は4460Ω/□の導電性を示し、実施例60の膜は4900Ω/□の導電性を示した。更に実施例59及び60の膜の可視光透過率を分光光度計にて測定したところ、98%及び96%と高い透明性を示した。
<実施例61>
先ず実施例54の粒子分散体(濃度約30重量%のAg粒子を分散した分散液)をイソプロパノールで、Ag粒子の含有量が20重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.5重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのソーダガラス板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このソーダガラス板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜を上に向けたガラス板にステンレス製フォトマスクをそれぞれ載せた。このフォトマスクは、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔が10mm間隔で3個形成される。次いでガラス板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたガラス板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記ガラス板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのガラス板を大気中で200℃に30分間保持して膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を実施例61とした。
<実施例62>
実施例55の粒子分散体(濃度約30重量%のAg粒子及びPd粒子を分散した分散液)を用いたことを除いて実施例61と同様にしてガラス板を作製した。このガラス板を実施例62とした。
<実施例63>
先ず実施例56の粒子分散体(濃度約30重量%のIn粒子及びSn粒子を分散した分散液)をヘキサンで、In粒子及びSn粒子の含有量が1.0重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.05重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのアクリル板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このアクリル板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜に向けたアクリル板にステンレス製フォトマスクをそれぞれ載せた。このフォトマスクは、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔が10mm間隔で3個形成される。次いでアクリル板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたアクリル板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記アクリル板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのアクリル板を窒素ガス雰囲気中で200℃に30分間保持し、大気中で200℃に60分間保持して、膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を実施例59とした。した。このアクリル板を実施例63とした。
<実施例64>
先ず実施例57の粒子分散体(濃度約30重量%のAu粒子を分散した分散液)をヘキサンで、Au粒子の含有量が20重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.5重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのソーダガラス板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このソーダガラス板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜を上に向けたガラス板にステンレス製フォトマスクをそれぞれ載せた。このフォトマスクは、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔が10mm間隔で3個形成される。次いでガラス板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたガラス板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記ガラス板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのガラス板を大気中で150℃に30分間保持して膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を実施例64とした。
<実施例65>
先ず実施例58の粒子分散体(濃度約30重量%のPt粒子を分散した分散液)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで、Pt粒子の含有量が20重量%となるように希釈し、この希釈した粒子分散体に光開始剤(チバ・スペシャリティー・ケミカルズ社製のイルガキュア500)を0.5重量%溶かして粒子分散体を調製した。次いで洗浄済みのソーダガラス板(縦100mm、横100mm、厚さ2.8mm)を40℃に保温し、このソーダガラス板をスピンコーターで150rpmの速度で回転させた状態で、上記希釈調製した粒子分散体を5cc滴下し、120秒間振り切って膜を作製した。
上記膜を上に向けたガラス板にステンレス製フォトマスクをそれぞれ載せた。このフォトマスクは、縦×横×厚さがそれぞれ100mm×100mm×1.0mmの正方形状に形成され、幅×長さがそれぞれ20mm×50mmの長方形の窓孔が10mm間隔で3個形成される。次いでガラス板の上方から紫外線照射装置(160Wメタルハライドランプ:距離10cm)により250mJ/cm2の紫外線エネルギを照射した後、フォトマスクを取除いたガラス板をホットプレートに載せて大気中で100℃に10分間保持した。次にN,N-ジメチルホルムアミド10重量%及びアセチルアセトン5重量%を相溶させたエタノール溶液で上記ガラス板をリンスすることにより、非光照射部の膜を溶かし、光照射の膜だけを残して、フォトマスクの長方形の窓孔と同一形状のパターニングされた膜を得た。更にこのガラス板を大気中で150℃に30分間保持して膜を焼成した後に室温まで冷却した。このガラス板を実施例65とした。
<比較試験6及び評価>
実施例61、62、64及び65のガラス板の膜と実施例63のアクリル板の膜の厚さと可視光透過率と体積抵抗率をそれぞれ測定した。上記膜の厚さは走査型電子顕微鏡(SEM)にて測定し、透明膜の可視光透過率は分光光度計にて測定し、体積抵抗率は四探針法にて測定した。その結果を表7に示す。
Figure 2010244724
表7から明らかなように、実施例61、62、64及び65の膜では電極の配線として極めて有効な導電性が得られることが判った。また実施例63の膜では透明導電膜として極めて優れた可視光透過率と導電性を有することが判った。
12 混合物
14 粒子分散体

Claims (20)

  1. 有機金属化合物及び有機半金属化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上と還元剤とを混合して混合物を調製する工程と、
    前記混合物を所定の雰囲気中で40〜360℃の温度に加熱した状態に10分〜5.0時間保持して粒子分散体を得る工程と
    を含む粒子分散体の製造方法。
  2. 混合物の加熱雰囲気が、不活性ガス雰囲気、還元性ガス雰囲気又は大気雰囲気である請求項1記載の粒子分散体の製造方法。
  3. 有機金属化合物に含まれる金属が、Cu,Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Re,Os,Ir,Sc,Y,Ti,Zr,V,Nb,Ta,Cr,Mo,W,Mn,Fe,Co,Ni,Zn,Cd,Al,Ga,In,Tl,Sn,Pb,La,Ce,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Er,Tm及びYbからなる群より選ばれた1種又は2種以上の金属である請求項1記載の粒子分散体の製造方法。
  4. 有機半金属化合物に含まれる半金属が、Si,Ge,Sb及びBiからなる群より選ばれた1種又は2種以上の半金属である請求項1記載の粒子分散体の製造方法。
  5. 有機金属化合物又は有機半金属化合物の有機成分が、有機酸及びアミンからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である請求項1記載の粒子分散体の製造方法。
  6. 有機酸が、炭素数2〜29の炭素を含む化合物からなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物である請求項5記載の粒子分散体の製造方法。
  7. 有機酸が、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、酒石酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ビバル酸、吉草酸、イソ吉草酸、カプロン酸、2−エチル酪酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、2−エチルヘキサン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ナフテン酸、アビエチン酸、デキストロピマル酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸及びリノレン酸からなる群より選ばれた1種又は2種以上の有機酸である請求項5記載の粒子分散体の製造方法。
  8. 有機酸が、光重合性化合物である請求項5記載の粒子分散体の製造方法。
  9. 光重合性化合物が、アクリロイル基、メタクリロイル基及びビニル基からなる群より選ばれた1種又は2種以上を含む請求項8記載の粒子分散体の製造方法。
  10. アミンが、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、トリペンチルアミン、アリルアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロピレンジアミン、ジエチレントリアミン、ドデシルアミン、1,3−ジメチル−n−ブチルアミン、1−アミノウンデカン、1−アミノトリデカン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、オレイルアミン、ジオレイルアミン、ドデシルジメチルアミン、テトラデシルジメチルアミン、ヘキサデシルジメチルアミン、オクタデシルジメチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及び3−メトキシプロピルアミンからなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項5項記載の粒子分散体の製造方法。
  11. 還元剤が、ヒドラジン、水素化ホウ素塩、ジメチルアミンボラン、ギ酸、ギ酸塩及びジ亜燐酸塩からなる群より選ばれた1種又は2種以上である請求項1記載の粒子分散体の製造方法。
  12. 混合物に更にフッ化アンモニウムを添加した請求項1記載の粒子分散体の製造方法。
  13. 請求項1ないし11いずれか1項に記載の方法により製造された、平均粒径0.005〜1.0μmの酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、錫含有酸化インジウム(ITO)、亜鉛含有酸化インジウム(IZO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)、セリウム含有酸化亜鉛(CZO)、ホウ素含有酸化亜鉛(BZO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、或いはリン含有酸化錫(PTO)の酸化物半導体粒子を含む粒子分散体。
  14. 請求項13に記載の粒子分散体を乾燥して得られた、平均粒径0.005〜1.0μmの酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛、錫含有酸化インジウム(ITO)、亜鉛含有酸化インジウム(IZO)、アルミニウム含有酸化亜鉛(AZO)、ガリウム含有酸化亜鉛(GZO)、セリウム含有酸化亜鉛(CZO)、ホウ素含有酸化亜鉛(BZO)、アンチモン含有酸化錫(ATO)、或いはリン含有酸化錫(PTO)の酸化物半導体粒子。
  15. 請求項12に記載の方法により製造された、平均粒径0.005〜1.0μmのフッ素含有酸化錫(FTO)、フッ素含有酸化インジウム(FIO)、フッ素含有酸化亜鉛(FZO)、フッ素錫含有酸化インジウム(FITO)、フッ素亜鉛含有酸化インジウム(FIZO)、フッ素アルミニウム含有酸化亜鉛(FAZO)、フッ素ガリウム含有酸化亜鉛(FGZO)、フッ素セリウム含有酸化亜鉛(FCZO)、或いはフッ素アンチモン含有酸化錫(FATO)の酸化物半導体粒子を含む粒子分散体。
  16. 請求項15に記載の粒子分散体を乾燥して得られた、平均粒径0.005〜1.0μmのフッ素含有酸化錫(FTO)、フッ素含有酸化インジウム(FIO)、フッ素含有酸化亜鉛(FZO)、フッ素錫含有酸化インジウム(FITO)、フッ素亜鉛含有酸化インジウム(FIZO)、フッ素アルミニウム含有酸化亜鉛(FAZO)、フッ素ガリウム含有酸化亜鉛(FGZO)、フッ素セリウム含有酸化亜鉛(FCZO)、或いはフッ素アンチモン含有酸化錫(FATO)の酸化物半導体粒子。
  17. 請求項1、2、3、5ないし11いずれか1項に記載の方法により製造された、平均粒径0.005〜1.0μmの、Cu,Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Re,Fe,Co,Ni,Zn,In,Sn及びSbからなる群より選ばれた1種又は2種以上の純金属粒子、混合金属粒子或いは合金粒子を含む粒子分散体。
  18. 請求項17に記載の粒子分散体を乾燥して得られた、平均粒径0.005〜1.0μmの、Cu,Au,Ag,Pt,Pd,Ru,Rh,Re,Fe,Co,Ni,Zn,In,Sn及びSbからなる群より選ばれた1種又は2種以上の純金属、混合金属或いは合金からなる金属粒子。
  19. 請求項1、2、4ないし11いずれか1項に記載の方法により製造された、平均粒径0.005〜1.0μmのSbの半金属粒子を含む粒子分散体。
  20. 請求項19に記載の粒子分散体を乾燥して得られた、平均粒径0.005〜1.0μmのSbの半金属粒子。
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