JP2009024193A - 金属ナノ粒子の製造方法、金属ナノ粒子、金属ナノ粒子分散体および金属被膜 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、ナノサイズの金属粒子を提供するものであり、特に当該粒子を用いて金属被膜を形成するときに当該被膜の比抵抗値が低くかつ密着性の高いものを提供するものである。
【解決手段】本発明は、有機酸金属塩(以下、「第一有機酸金属塩」という)とアミン化合物とを含む溶液に還元剤を添加し還元処理(以下、「第一還元処理」という)を行った後、該溶液中に有機酸金属塩(以下、「第二有機酸金属塩」という)とアミン化合物を含む溶液を添加し還元処理(以下、「第二還元処理」という)を行うことを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【選択図】なし
【解決手段】本発明は、有機酸金属塩(以下、「第一有機酸金属塩」という)とアミン化合物とを含む溶液に還元剤を添加し還元処理(以下、「第一還元処理」という)を行った後、該溶液中に有機酸金属塩(以下、「第二有機酸金属塩」という)とアミン化合物を含む溶液を添加し還元処理(以下、「第二還元処理」という)を行うことを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
【選択図】なし
Description
本発明は、金属ナノ粒子に関する発明、並びに当該粒子の好ましい製造方法、当該粒子を含む分散体および当該分散体により得られる金属被膜に関する発明である。
近年、金属微粒子に関する発明、特に粒子径がナノサイズである金属に関する技術が提案され、ナノ粒子の製造方法に関する文献が多く見られている。例えば、有機金属塩を特定の有機酸と混合した後に還元剤を添加し還元処理をすることで微粒子を得る方法、金属塩と有機媒体とを相関移動触媒の存在下に攪拌混合し微粒子コロイドを得る方法、分散液に微粒子の核を投入し当該核の表面に新たに金属を還元付着させる方法、等である。
上記の方法を用いて金属ナノ粒子を製造すると、粒子同士が凝集し易く金属ナノ粒子が得られにくい。特に複数の粒子を含むナノ粒子は粒子が別個に核を形成し易く均一な粒子を得ることが困難である。上記先行技術の方法では、ナノサイズの金属粒子を得ることが難しく、特に当該粒子を用いて金属被膜を形成すると当該金属の酸化状態が高く比抵抗値が高いものが得られやすくなり、配線材料等に用いるには不向きである。
本発明の第一発明は、有機酸金属塩(以下、「第一有機酸金属塩」という)とアミン化合物とを含む溶液に還元剤を添加し還元処理(以下、「第一還元処理」という)を行った後、該溶液中に有機酸金属塩(以下、「第二有機酸金属塩」という)とアミン化合物を含む溶液を添加し還元処理(以下、「第二還元処理」という)を行うことを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。当該有機酸金属塩がニッケル、銀又は銅の少なくとも一種であることが好ましい。第一及び/又は第二還元処理は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、更に好ましくは第一及び第二還元処理を不活性ガス雰囲気で行うものである。
本発明の第二発明は、上記製造方法により得られることを特徴とする金属ナノ粒子である。
本発明の第三発明は、当該金属ナノ粒子を10〜80質量%含んでなることを特徴とする金属ナノ粒子分散体である。
本発明の第四発明は、当該金属ナノ粒子分散体を基板に塗布した後、100〜600℃の温度で焼成して得られることを特徴とする金属被膜である。
本発明を用いることで金属ナノ粒子を簡便に製造することができ、特に異種金属を含むナノ粒子の製造方法には有効である。本発明により得られるナノ粒子は、溶媒中で分散状態を示すので、触媒材料、磁気記録用材料、導電膜形成材料、半導体膜形成材料、顔料等に使用することもできる。特に当該ナノ粒子を含む分散体を基板上に塗布し焼成することで得られる配線は比抵抗値が低く好ましいものである。
第一発明は、第一有機酸金属塩とアミン化合物とを含む溶液に還元剤を添加し第一還元処理を行った後、該溶液中に第二有機酸金属塩とアミン化合物を含む溶液を添加し第二還元処理を行うことを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法である。
本発明の第一発明に用いる第一及び第二有機酸金属塩における有機酸とは、カルボン酸、スルホン酸、フェノール、チオールなど酸性の官能基を有する化合物であり、好ましくはカルボン酸を有する化合物である。また金属は、有機酸塩となるものであれば何れの金属であっても良いが、ニッケル、銀又は銅の少なくとも一種であることが好ましく、更に好ましくは銀及び銅である。具体的には、ニッケルが蟻酸ニッケル、酢酸ニッケル、シュウ酸ニッケル、乳酸ニッケル、2−エチルヘキサン酸ニッケル、ナフテン酸ニッケル、オレイン酸ニッケル、ステアリン酸ニッケル及びミリスチン酸ニッケルからなる群から選ばれる少なくとも一種以上のものであり、銀が酢酸銀、乳酸銀、安息香酸銀、サリチル酸銀、2−エチルヘキサン酸銀、ステアリン酸銀及びミリスチン酸銀からなる群から選ばれる少なくとも一種以上のものであり、銅が蟻酸銅、酢酸銅、シュウ酸銅、酒石酸銅、クエン酸銅、2−エチルヘキサン酸銅、フタル酸銅、メタクリル酸銅、オレイン酸銅、ステアリン酸銅及びミリスチン酸銅からなる群から選ばれる少なくとも一種以上のものであり、好ましくは酢酸銅、酢酸銀である。第一及び第二有機酸金属塩は同一のものであっても異なったものであっても良く、好ましくは第一有機酸金属塩が銅塩、第二有機酸金属塩が銀塩である。
第一有機酸金属塩と第二有機酸金属塩は、5/95〜95/5(第一有機酸塩の金属質量/第二有機酸金属塩の金属質量)、好ましくは10/90〜80/20、より好ましくは15/85〜70/30、更に好ましくは20/80〜50/50である。
アミン化合物とは、一般的なアミンであれば良く、具体的には、モノエタノールアミン、エチレンジアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、トリメチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、トリオクチルアミン及びブチルエタノールアミンであり、好ましくは炭素数が8以上のアミンであるオクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン及びトリオクチルアミンからなる群から選ばれる少なくとも一種以上のアミンである。
還元剤としては、通常還元作用を示すものであれば何れのものであっても良いが、好ましくはヒドラジン、ジメチルアミンボラン、tert−ブチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シュウ酸、アスコルビン酸、ホルムアルデヒド及びアセトアルデヒドであり、更に好ましくはジメチルアミンボラン、及び水素化ホウ素ナトリウムである。還元剤の量は、第一及び第二有機酸金属塩に対して0.10〜2.0倍(モル比)であり、好ましくは0.30〜1.0倍(モル比)である。
本発明は必要に応じて溶媒を用いることができ、当該溶媒は通常溶媒として用いるものであれば何れのものであっても良いが、好ましくはノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルペンタン、ノルマルヘプタン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メトキシベンゼン、テルピネオール、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールであり、より好ましくはノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルペンタン、ノルマルヘプタン、トルエン、キシレン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンであり、更に好ましくはノルマルヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンである。
第一還元処理において、第一有機酸金属塩、アミン及び還元剤を適宜混合すれば良いが、好ましくは第一有機酸金属とアミンを混合した後に還元剤を添加することが好ましい。また、溶媒を用いるときは、還元剤とともに溶媒を添加することが好ましい。生成粒子の凝集が抑制され、ナノサイズの微粒子を得やすくなるからである。次いで第二有機酸金属塩とアミンを添加し第二還元処理を行う際には、適宜溶媒を用いることができるが、好ましくは溶媒を添加せず第二有機酸金属塩とアミンとの混合物を第一還元処理後の液に添加するものである。
第一又は第二還元処理は、各成分を混合し、攪拌し、場合によっては熟成し行うことができる。第一及び/又は第二還元処理は不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましく、更に好ましくは第一及び第二還元処理を不活性ガス雰囲気で行うものである。不活性ガスとは還元処理に対して不活性であれば何れのガスであってもよいが、好ましくは水素、希ガス、窒素、二酸化炭素であり、好ましくは窒素である。
第一又は第二還元処理の温度は、0℃〜120℃であり、好ましくは5℃〜100℃であり、より好ましくは10℃〜80℃であり、更に好ましくは20℃〜55℃である。また、還元処理時間は、第一還元処理が0.1時間〜10時間、好ましくは0.3時間〜5時間であり、第二還元処理が0.1時間〜10時間、好ましくは0.3時間〜5時間である。
本発明の第二発明は、上記製造方法により得られる金属ナノ粒子である。なお、金属ナノ粒子とは、金属(0価)のナノ粒子、金属の酸化物からなるナノ粒子、およびこれらの混合物を包含するものである。当該粒子の平均粒子径は1nm〜100nmであり、好ましくは2nm〜50nmであり、より好ましくは2nm〜30nmであり、更に好ましくは3nm〜10nmである。当該平均粒子径の測定方法としては、電解放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いることができる。
本発明の第三の発明は、当該金属ナノ粒子を10〜80質量%含んでなることを特徴とする金属ナノ粒子分散体である。当該分散体における溶媒は、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルペンタン、ノルマルヘプタン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、メトキシベンゼン、テルピネオール、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールであり、好ましくはノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルペンタン、ノルマルヘプタン、トルエン、キシレン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ペンタデカン、ヘキサデカンであり、更に好ましくはノルマルヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカンである。当該金属ナノ粒子は10〜80質量%含まれる分散体であることが好ましいが、より好ましくは15〜70質量%であり、更に好ましくは20〜60質量%である。
また、好ましい当該分散体の製造方法としては、不活性ガス雰囲気下に第一有機酸金属塩とアミン化合物とを含む溶液に還元剤を添加し還元処理(第一還元処理)を行った後、該溶液中に第二有機酸金属塩とアミン化合物を含む溶液を添加し還元処理(第二還元処理)を行う(粒子製造工程)。次いで洗浄液を添加した後に、ろ過し沈殿物を分離し、更に当該沈殿物に有機溶媒を加え溶解することで(再溶解工程)金属ナノ粒子分散体を得るものである。
本発明の第四発明は、当該金属ナノ粒子分散体を基板に塗布した後、100〜600℃の温度で焼成して得られる金属被膜である。基板としては、電極、配線、回路などを構成するのに一般に用いられている、焼成によって焼失、劣化しない耐熱性のものであればいずれでも良い。具体的には、例えば、鉄、銅、アルミニウムなどの金属基板、ポリイミドフィルムなどの耐熱性樹脂基板、ガラス基板などを挙げることができる。焼成温度は、100〜600℃が好ましく、より好ましくは100〜450℃、更に好ましくは100〜350℃である。焼成時間は0.1〜3時間が好ましく、更に好ましくは0.2〜2時間である。焼成時の雰囲気は、不活性雰囲気または還元性雰囲気であることが好ましい。
以下、実施例により詳細に発明の構成と効果を説明するが、本発明の趣旨にそうものであれば実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
3Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社製)94.3gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)610.2gを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、上記ガラスビーカーに10質量%ジメチルアミンボラン−アセトン溶液360.1gを徐々に添加することにより銅の還元処理を実施した。続いて、上記ガラスビーカー中に酢酸銀(キシダ化学株式会社製)46.4gをオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)359.4gに溶解した溶液を徐々に添加することにより銀の還元処理を実施した。銅および銀の還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
3Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社製)94.3gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)610.2gを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、上記ガラスビーカーに10質量%ジメチルアミンボラン−アセトン溶液360.1gを徐々に添加することにより銅の還元処理を実施した。続いて、上記ガラスビーカー中に酢酸銀(キシダ化学株式会社製)46.4gをオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)359.4gに溶解した溶液を徐々に添加することにより銀の還元処理を実施した。銅および銀の還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液を15LのSUS製容器に移し変えた後、アセトン8Lを添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅、銀および有機物からなる沈殿物をろ過により分離した。分離した沈殿物にヘキサンを添加して再溶解し、10℃以下まで冷却した後、0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターを用いてろ過した。続いて、ろ液からヘキサンを減圧除去した後、テトラデカン(和光純薬工業株式会社製)を添加し、銅および銀からなる金属ナノ粒子を50質量%含有する分散体(1)が得られた。
上記分散体(1)をFE−SEMで観察したところ、金属ナノ粒子の平均粒子径は5nmであった。また、ICPを用いて分析したところ銅と銀の質量比(Cu/Ag)は25/75であった。
(実施例2)
3Lのセパラブルフラスコに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社製)94.3gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)610.2gを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、溶液中に1.5L/min.の窒素ガスを供給してバブリングさせながら30分間保持して、セパラブルフラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした。続いて、1.5L/min.の窒素ガスの供給を維持した状態で、上記セパラブルフラスコに10質量%ジメチルアミンボラン−アセトン溶液221.0gを徐々に添加することにより銅の還元処理を実施した。続いて、上記セパラブルフラスコ中に酢酸銀(キシダ化学株式会社製)46.4gをオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)359.4gに溶解した溶液を徐々に添加することにより銀の還元処理を実施した。銅および銀の還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
3Lのセパラブルフラスコに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社製)94.3gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)610.2gを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、溶液中に1.5L/min.の窒素ガスを供給してバブリングさせながら30分間保持して、セパラブルフラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした。続いて、1.5L/min.の窒素ガスの供給を維持した状態で、上記セパラブルフラスコに10質量%ジメチルアミンボラン−アセトン溶液221.0gを徐々に添加することにより銅の還元処理を実施した。続いて、上記セパラブルフラスコ中に酢酸銀(キシダ化学株式会社製)46.4gをオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)359.4gに溶解した溶液を徐々に添加することにより銀の還元処理を実施した。銅および銀の還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液を15LのSUS製容器に移し変えた後、アセトン8Lを添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅、銀および有機物からなる沈殿物をろ過により分離した。分離した沈殿物にヘキサンを添加して再溶解し、10℃以下まで冷却した後、0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターを用いてろ過した。続いて、ろ液からヘキサンを減圧除去した後、テトラデカン(和光純薬工業株式会社製)を添加し、銅および銀からなる金属ナノ粒子を50質量%含有する分散体(2)が得られた。
上記分散体(2)をFE−SEMで観察したところ、金属ナノ粒子の平均粒子径は4nmであった。また、ICPを用いて分析したところ、銅と銀の質量比(Cu/Ag)は25/75であった。
(比較例1)
3Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社製)56.5g、酢酸銀(キシダ化学株式会社製)65.0gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)869.2gを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、上記ガラスビーカーに10質量%ジメチルアミンボラン−アセトン溶液281.6gを徐々に添加することにより銅の還元処理を実施した。還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
3Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社製)56.5g、酢酸銀(キシダ化学株式会社製)65.0gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社製)869.2gを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、上記ガラスビーカーに10質量%ジメチルアミンボラン−アセトン溶液281.6gを徐々に添加することにより銅の還元処理を実施した。還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液を15LのSUS製容器に移し変えた後、アセトン8Lを添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅、銀および有機物からなる沈殿物をろ過により分離した。分離した沈殿物にヘキサンを添加して再溶解し、10℃以下まで冷却した後、0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターを用いてろ過した。続いて、ろ液からヘキサンを減圧除去した後、テトラデカン(和光純薬工業株式会社製)を添加し、銅および銀からなる金属ナノ粒子を50質量%含有する分散体(比較1)が得られた。
上記分散体(比較1)をFE−SEMで観察したところ、金属ナノ粒子の平均粒子径は6nmであった。また、ICPを用いて分析したところ銅と銀の質量比(Cu/Ag)は25/75であった。
(実施例3)
実施例1、2および比較例1で得られた金属ナノ粒子分散体(1)、(2)および(比較1)を、それぞれ2.5cm×3.5cmの面積のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、ガラス基板を焼成炉に入れた。焼成炉内に4体積%の水素(残りの95体積%は窒素)を流通させながら室温から250℃まで0.5時間で昇温した。温度が250℃に到達してから0.5時間保持し還元性雰囲気中での焼成を行い、金属被膜を得た。金属被膜の膜厚は、いずれも0.5μmであった。続いて、得られた金属被膜の比抵抗値を低抵抗率計(ロレスタGP、三菱化学株式会社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
実施例1、2および比較例1で得られた金属ナノ粒子分散体(1)、(2)および(比較1)を、それぞれ2.5cm×3.5cmの面積のガラス基板上にスピンコーターを用いて塗布した後、ガラス基板を焼成炉に入れた。焼成炉内に4体積%の水素(残りの95体積%は窒素)を流通させながら室温から250℃まで0.5時間で昇温した。温度が250℃に到達してから0.5時間保持し還元性雰囲気中での焼成を行い、金属被膜を得た。金属被膜の膜厚は、いずれも0.5μmであった。続いて、得られた金属被膜の比抵抗値を低抵抗率計(ロレスタGP、三菱化学株式会社製)を用いて測定した。結果を表1に示す。
本発明は、低比抵抗かつ密着性に優れた金属被膜を形成することが可能な金属ナノ粒子分散体であり、導電性を必要とするもの、例えば配線等の形成に用いることができる分散体である。また当該分散体を用いた金属被膜である。
Claims (6)
- 有機酸金属塩(以下、「第一有機酸金属塩」という)とアミン化合物とを含む溶液に還元剤を添加し還元処理(以下、「第一還元処理」という)を行った後、該溶液中に有機酸金属塩(以下、「第二有機酸金属塩」という)とアミン化合物を含む溶液を添加し還元処理(以下、「第二還元処理」という)を行うことを特徴とする金属ナノ粒子の製造方法。
- 当該有機酸金属塩がニッケル、銀又は銅の少なくとも一種であることを特徴とする請求項1記載の金属ナノ粒子の製造方法。
- 第一還元処理及び/又は第二還元処理を不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1または2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
- 請求項1ないし3記載の製造方法により得られることを特徴とする金属ナノ粒子。
- 請求項4記載の金属ナノ粒子を10〜80質量%含んでなることを特徴とする金属ナノ粒子分散体。
- 請求項5の金属ナノ粒子分散体を基板に塗布した後、100〜600℃の温度で焼成して得られることを特徴とする金属被膜。
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KR101402010B1 (ko) * | 2012-12-04 | 2014-06-02 | 한국화학연구원 | 레이져 패턴 공정용 금속 나노 잉크를 이용한 미세 전도성 패턴 제작방법 |
WO2016080544A1 (ja) * | 2014-11-20 | 2016-05-26 | 国立大学法人山形大学 | 金属表面の処理方法並びに当該方法により処理された銀被着銅及び複合金属体 |
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JP2016098398A (ja) * | 2014-11-20 | 2016-05-30 | 国立大学法人山形大学 | 金属表面の処理方法並びに当該方法により処理された銀被着銅及び複合金属体 |
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