JP4995492B2 - 銅ナノ粒子の製造方法、銅ナノ粒子、銅ナノ粒子分散体および電子デバイス - Google Patents

銅ナノ粒子の製造方法、銅ナノ粒子、銅ナノ粒子分散体および電子デバイス Download PDF

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Description

本発明は、ナノ粒子の製造方法、この方法によって得られるナノ粒子、このナノ粒子を含むナノ粒子分散体、およびこの分散体を用いて得られる電子デバイスに関する。
金属ナノ粒子あるいは金属ナノ粒子分散体の製造について既に多くの方法が提案されている。例えば、特許文献1には、有機酸金属塩にアミン化合物を添加し、40〜80℃で反応させた後、さらにこの温度より20〜50℃高い温度で反応させて粒子径が0.1μm以下程度の微粒子を得る方法が記載されている。しかし、このように比較的高い温度で反応を行うとナノサイズの金属微粒子を生成するのが困難となる。
特開2002−329419号公報
本発明の目的は、ナノサイズの微粒子、特に平均粒子径が10nm以下であって、粒子径分布の揃った、すなわちシャープな粒子径分布を示す微粒子を製造する方法を提供することにある。
本発明者らの研究によれば、有機酸金属塩とアミン化合物とを含む溶液に還元剤を添加し還元処理を行うことによりナノサイズの金属微粒子を製造するにあたり、有機酸金属塩に対する還元剤の添加量を特定範囲に調整すると上記課題が解決できることがわかった。本発明は、このような知見に基づいて完成されたものである。すなわち、本発明は次のとおりである。
(1)有機酸銅塩と炭素数8〜16のモノアミンとからなる溶液に還元剤を作用させて銅ナノ粒子を製造する方法であって、上記還元剤がジメチルアミンボラン、tert−ブチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シュウ酸、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の還元剤であり、上記溶液に還元剤を、還元剤/有機酸銅塩(モル比)が0.1/1〜1/1となる割合で添加し、かつ100℃未満の温度で還元処理を行うことを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法。
(2)還元処理を不活性ガス雰囲気下で行う上記(1)の金属ナノ粒子の製造方法。
本発明の方法によれば、ナノサイズの微粒子、特に平均粒子径が10μm以下であって、粒子径分布の揃った、すなわちシャープな粒子径分布を示す微粒子を効率よく製造することができる。具体的には、平均粒子径が10nm以下で、σ/D(σ:標準偏差値、D:平均粒子径)が0.2以下であるナノ粒子を効率よく製造することができる。
本発明で用いる有機酸塩としては、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、ステアリン酸、シュウ酸、酒石酸、フタル酸、メタクリル酸、クエン酸、アクリル酸、安息香酸などのカルボン酸やスルホン酸などの銅塩を挙げることができる。なかでも、カルボン酸銅塩、例えば、ギ酸銅、酢酸銅、シュウ酸銅、オレイン酸銅、ステアリン酸銅およびテトラデカ酸銅が好適に用いられる。
なお、本発明のナノ粒子とは、(0価)のナノ粒子、酸化物のナノ粒子、およびこれらの混合物を包含するものである。
本発明で用いる炭素数8〜16のモノアミンとしては、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ドデシルアミンおよびトリオクチルアミンが挙げられる。特に炭素数8〜12のモノアミンである、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミンおよびドデシルアミンが好適に用いられる。これらは1種でも、あるいは2種以上混合して使用してもよい。
有機酸金属塩と炭素数8〜16のモノアミンとの割合については、特に限定されるものではないが、通常、炭素数8〜16のモノアミンを有機酸金属塩1モルに対し0.5モル以上30モル未満、好ましくは3モル以上15モル未満の割合で使用する。0.5モル未満では、有機酸金属塩と炭素数8〜16のモノアミンとの均一な混合物が調製できないため、還元の際に凝集が生じやすくなる。一方、30モル以上添加しても微粒子化には作用せず余分なコストが必要となる。
本発明で用いる還元剤としては、ジメチルアミンボラン、tert−ブチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シュウ酸、アスコルビン酸、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドなどを挙げることができる。これらは2種以上混合して使用することもできる。なかでも、ジメチルアミンボランおよび水素化ホウ素ナトリウムが好適に用いられる。
本発明によれば、上記の有機酸金属塩と炭素数8〜16のモノアミンとを含む溶液に上記の還元剤を、還元剤/有機酸金属塩(モル比)が0.10/1〜1.0/1、好ましくは0.2/1〜0.8/1、より好ましくは0.3/1〜0.7/1となるように添加する。還元剤の添加量が少なすぎると、還元処理による金属核の形成およびその成長が不十分であるため、金属ナノ粒子として安定的に存在できず、金属がすぐにイオン化する。一方、還元剤の添加量が多すぎると、金属核が成長しすぎるため粗大粒子ができやすくなり、その結果、平均粒子径およびσ/Dが大きくなり、均一性に乏しい金属粒子が生成することになる。
還元処理は、100℃未満、好ましくは0〜80℃、より好ましくは10〜55℃の温度範囲で行う。なかでも、液温変化ΔT(温度変化範囲)が20℃以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは5℃以下、特に好ましくは実質的に一定の温度に維持しながら、必要時間、具体的には、例えば、0.1〜5時間、好ましくは0.2〜3時間行うのがよい。この還元処理の間に、金属核の形成およびその成長が進み、平均粒子径が1〜100nmの範囲にあるナノ粒子、特に平均粒子径が10nm以下で、σ/D(σ:標準偏差値、D:平均粒子径)が0.2以下のナノ粒子を得ることができる。なお、還元処理温度が100℃以上では、上記のようなナノ粒子を得ることができない。
なお、平均粒子径およびσ/Dは、電界放射型走査電子顕微鏡(FE−SEM)を用いて分散体中のナノ粒子の粒子径を測定して求めた。
また、還元処理は、窒素やヘリウムなどの不活性ガス雰囲気下で行うのが好ましい。ここで、「不活性ガス雰囲気下」とは、反応溶液の液面が実質的に不活性ガスと接触している状態を意味し、例えば、不活性ガスを液面に向かって供給する方法、あるいは不活性ガスを溶液中に供給してバブリングさせる方法などにより実現することができる。
上記還元処理により得られる金属ナノ粒子は、未反応の炭素数8〜16のモノアミンや還元剤から生成する生成物などとともに反応液中に含まれているので、アセトン、エタノール、メタノール、水などを加えて静置した後、メンブレンフィルターなどを用いてろ過することにより、金属ナノ粒子を炭素数8〜16のモノアミンとともに沈殿物として回収し、この沈殿物を有機溶媒に分散させて金属ナノ粒子分散体とするのが一般的である。上記有機溶媒としては、ノルマルヘキサン、シクロヘキサン、ノルマルペンタン、ノルマルヘプタン、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、ベンゼン、クロロホルム、四塩化炭素、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチルベンゼン、トリメチルベンゼン、テルピネオール、デカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、ヘキサデカン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどが用いられる。上記金属ナノ粒子分散体中の金属ナノ粒子の含有量は、通常、10〜80質量%である。
上記ナノ粒子分散体を基板に塗布した後、焼成することにより被膜を形成することができる。上記基板の種類や塗布方法については、この種の分散体を塗布して、被膜を形成するのに一般に用いられている基板や塗布方法を適宜選択して使用することができる。
本発明の有利な実施態様を示している以下の実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。ここで、FE−SEMとは、電界放射型走査電子顕微鏡である。
(実施例1)
1Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、上記ガラスビーカーにジメチルアミンボラン−アセトン溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときのジメチルアミンボラン(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.90/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(1)が得られた。
上記分散体(1)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は8nmであり、σ/Dは0.18であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例2〜4)
実施例1において、ジメチルアミンボラン(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.70/1、0.50/1または0.20/1に変更した以外は実施例1と同様にして分散体(2)〜(4)を得た。
上記分散体(2)〜(4)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径およびσ/Dは表1に示すとおりであった。
(実施例5)
1Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、上記ガラスビーカーに水素化ホウ素ナトリウム水溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときの水素化ホウ素ナトリウム(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.90/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(5)が得られた。
上記分散体(5)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は8nmであり、σ/Dは0.18であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例6〜8)
実施例5において、水素化ホウ素ナトリウム(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.90/1、0.50/1または0.20/1に変更した以外は実施例5と同様にして分散体(6)〜(8)を得た。
上記分散体(6)〜(8)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径およびσ/Dは表1に示すとおりであった。
(実施例9)
1Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、上記ガラスビーカーにL−アスコルビン酸水溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときのL−アスコルビン酸(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.90/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(9)が得られた。
上記分散体(9)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は9nmであり、σ/Dは0.19であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例10〜12)
実施例9において、L−アスコルビン酸(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.70/1、0.50/1または0.20/1に変更した以外は実施例9と同様にして分散体(10)〜(12)を得た。
上記分散体(10)〜(12)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径およびσ/Dは表1に示すとおりであった。
(実施例13)
1Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、80℃にて10分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、温度を80℃に維持した状態で、上記ガラスビーカーにホルムアルデヒド水溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときのホルムアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.90/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が100℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(13)が得られた。
上記分散体(13)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は10nmであり、σ/Dは0.20であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例14〜16)
実施例13において、ホルムアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.70/1、0.50/1または0.20/1に変更した以外は実施例13と同様にして分散体(14)〜(16)を得た。
上記分散体(14)〜(16)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径およびσ/Dは表1に示すとおりであった。
(実施例17)
1Lのガラスビーカーに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、80℃にて10分間攪拌混合した。次に、大気中で、攪拌下、温度を80℃に維持した状態で、上記ガラスビーカーにアセトアルデヒド水溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときのアセトアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.90/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が100℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(17)が得られた。
上記分散体(17)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は10nmであり、σ/Dは0.20であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例18〜20)
実施例17において、アセトアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.70/1、0.50/1または0.20/1に変更した以外は実施例17と同様にして分散体(18)〜(20)を得た。
上記分散体(18)〜(20)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径およびσ/Dは表1に示すとおりであった。
(実施例21)
1Lのセパラブルフラスコに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、溶液中に1.5L/minの窒素ガスを供給してバブリングさせながら20分間保持して、セパラブルフラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした。続いて、1.5L/minの窒素ガスの供給を維持した状態で、上記セパラブルフラスコにジメチルアミンボラン−アセトン溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときのジメチルアミンボラン(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.50/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(21)が得られた。
上記分散体(21)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は5nmであり、σ/Dは0.12であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例22)
1Lのセパラブルフラスコに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、溶液中に1.5L/minの窒素ガスを供給してバブリングさせながら20分間保持して、セパラブルフラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした。続いて、1.5L/minの窒素ガスの供給を維持した状態で、上記セパラブルフラスコに水素化ホウ素ナトリウム水溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときの水素化ホウ素ナトリウム(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.50/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(22)が得られた。
上記分散体(22)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は5nmであり、σ/Dは0.12であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例23)
1Lのセパラブルフラスコに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、40℃にて20分間攪拌混合した。次に、溶液中に1.5L/minの窒素ガスを供給してバブリングさせながら20分間保持して、セパラブルフラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした。続いて、温度は40℃のままとし、1.5L/minの窒素ガスの供給を維持した状態で、上記セパラブルフラスコにL−アスコルビン酸水溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときのアスコルビン酸(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.50/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が55℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(23)が得られた。
上記分散体(23)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は7nmであり、σ/Dは0.13であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例24)
1Lのセパラブルフラスコに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、80℃にて10分間攪拌混合した。次に、溶液中に1.5L/minの窒素ガスを供給してバブリングさせながら20分間保持して、セパラブルフラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした。続いて、温度は80℃のままとし、1.5L/minの窒素ガスの供給を維持した状態で、上記セパラブルフラスコにホルムアルデヒド水溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときのホルムアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.50/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が100℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(24)が得られた。
上記分散体(24)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は8nmであり、σ/Dは0.16であった。結果をまとめて表1に示す。
(実施例25)
1Lのセパラブルフラスコに酢酸銅一水和物(和光純薬工業株式会社)31.4gとオクチルアミン(和光純薬工業株式会社)203.4gとを仕込み、80℃にて10分間攪拌混合した。次に、溶液中に1.5L/minの窒素ガスを供給してバブリングさせながら20分間保持して、セパラブルフラスコ内を不活性ガス雰囲気下とした。続いて、温度は80℃のままとし、1.5L/minの窒素ガスの供給を維持した状態で、上記セパラブルフラスコにアセトアルデヒド水溶液を徐々に添加することにより還元処理を実施した。このときのアセトアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)は0.50/1であった。また、還元処理中に液温は上昇したが、液温が100℃以上になることはなかった。
上記還元処理後の溶液にアセトンを500g添加し、しばらく放置した後、ろ過により銅および有機物からなる沈殿物を0.1μmの孔径を有するメンブレンフィルターで分離した。沈殿物にトルエンを添加し再溶解し、10℃以下まで冷却した後、再度メンブレンフィルターでろ過した。続いて、トルエンを減圧除去した後、テトラデカンを添加し、銅ナノ粒子を40質量%含有する分散体(25)が得られた。
上記分散体(25)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は8nmであり、σ/Dは0.15であった。結果をまとめて表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、ジメチルアミンボラン(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を1.2/1に変更した以外は実施例1と同様にして分散体(比較1)を得た。
上記分散体(比較1)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は14nmであり、σ/Dは0.33であった。結果をまとめて表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、ジメチルアミンボラン(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.08/1に変更した以外は実施例1と同様にして分散体(比較2)を得た。
上記分散体(比較2)をFE−SEMで観察したところ、粒子がすべてイオン化しており、銅ナノ粒子の存在を確認できなかった。
(比較例3)
実施例5において、水素化ホウ素ナトリウム(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を1.2/1に変更した以外は実施例5と同様にして分散体(比較3)を得た。
上記分散体(比較3)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は14nmであり、σ/Dは0.34であった。結果をまとめて表1に示す。
(比較例4)
実施例5において、水素化ホウ素ナトリウム(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.08/1に変更した以外は実施例5と同様にして分散体(比較4)を得た。
上記分散体(比較4)をFE−SEMで観察したところ、粒子がすべてイオン化しており、銅ナノ粒子の存在を確認できなかった。
(比較例5)
実施例9において、L−アスコルビン酸(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を1.2/1に変更した以外は実施例9と同様にして分散体(比較5)を得た。
上記分散体(比較5)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は16nmであり、σ/Dは0.37であった。結果をまとめて表1に示す。
(比較例6)
実施例9において、L−アスコルビン酸(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.08/1に変更した以外は実施例9と同様にして分散体(比較6)を得た。
上記分散体(比較6)をFE−SEMで観察したところ、粒子がすべてイオン化しており、銅ナノ粒子の存在を確認できなかった。
(比較例7)
実施例13において、ホルムアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を1.2/1に変更した以外は実施例13と同様にして分散体(比較7)を得た。
上記分散体(比較7)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は20nmであり、σ/Dは0.41であった。結果をまとめて表1に示す。
(比較例8)
実施例13において、ホルムアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.08/1に変更した以外は実施例13と同様にして分散体(比較8)を得た。
上記分散体(比較8)をFE−SEMで観察したところ、粒子がすべてイオン化しており、銅ナノ粒子の存在を確認できなかった。
(比較例9)
実施例17において、アセトアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を1.2/1に変更した以外は実施例17と同様にして分散体(比較9)を得た。
上記分散体(比較9)をFE−SEMで観察したところ、銅ナノ粒子の平均粒子径は19nmであり、σ/Dは0.40であった。結果をまとめて表1に示す。
(比較例10)
実施例17において、アセトアルデヒド(還元剤)/酢酸銅一水和物(有機酸金属塩)(モル比)を0.08/1に変更した以外は実施例17と同様にして分散体(比較10)を得た。
上記分散体(比較10)をFE−SEMで観察したところ、粒子がすべてイオン化しており、銅ナノ粒子の存在を確認できなかった。
Figure 0004995492

Claims (2)

  1. 有機酸銅塩と炭素数8〜16のモノアミンとからなる溶液に還元剤を作用させて銅ナノ粒子を製造する方法であって、上記還元剤がジメチルアミンボラン、tert−ブチルアミンボラン、水素化ホウ素ナトリウム、シュウ酸、アスコルビン酸、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドから選ばれる少なくとも1種の還元剤であり、上記溶液に還元剤を、還元剤/有機酸銅塩(モル比)が0.1/1〜1/1となる割合で添加し、かつ100℃未満の温度で還元処理を行うことを特徴とする銅ナノ粒子の製造方法。
  2. 還元処理を不活性ガス雰囲気下で行う請求項1記載の銅ナノ粒子の製造方法。
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