JP4131152B2 - ゼオライト成形体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゼオライト、可塑剤及びバインダーを含有する反応混合物から得られるゼオライト成形体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゼオライトは、特定の細孔構造を有する結晶性、微孔質物質である。このゼオライトはバルク形態の固定床の形で工業的に用いられ、例えば、気体乾燥、廃空気流からの揮発性炭化水素の除去及び炭化水素留分の分離等に多様に応用されている。
【0003】
ゼオライトをバルク形態の固定床の形で使用する場合、とりわけ操作中に摩食されたものが生じるという欠点がある。このホコリ状の摩食物質によって、下流側に配置された備品や装置が害され、また、気体が貫流する際に、バルク形態の固定床は、ゼオライト系ハニカム状体と比較して圧力変動が生じ、圧力損失が著しく大きい。
【0004】
一方、ゼオライト粉末を成形体へ成形する際、成形用組成物に塑性を与えるために、配合工程において組成物にある種の添加剤を加える必要がある。次いで、押出成形等により成形品を得た後、成形品中の可塑剤を除去してできるだけ残留物が生じないようにする。これは、成形品に残留物が含まれると、たとえそれが少量であっても、成形体の吸着性や触媒特性等が低下するためである。
【0005】
また、寸法安定性に優れた成形体を得るためには、更に成形用組成物にバインダーを添加する必要がある。このバインダーは、焼成によって分解して固体の架橋を形成する。
【0006】
ゼオライト成形体を製造する方法として具体的には、例えばペンタシル系のゼオライトから硬い、耐破壊性触媒を製造する方法がある(例えば、特許文献1参照)。ここでは、バインダーとしてオルトケイ酸テトラメチルを5重量%使用し、可塑剤としてヒドロキシエチルセルロースを2重量%使用する。この混合物を混練した後、押出機へ移し、ストランドの形に成形される。こうして得られた成形体を乾燥した後、400〜800℃の温度で2時間焼成する。
【0007】
しかしながら、この方法でゼオライト成形体を製造する場合、高温で長時間焼成するため非常に価格集約的であるという欠点がある。また、成形用組成物の混合及び押出しが別個の工程で実施されることもその要因となる。更には、バインダーのオルトケイ酸テトラメチルは分子が小さいため、ペンタシル系ゼオライトの内部に沈積しブロックするため、ゼオライト成形体の吸着性及び触媒特性を害するという問題もある。
【0008】
また、主にシリカゾルをバインダーとして用いたゼオライトのモレキュラーシーブ成形体を製造する方法がある(例えば、特許文献2参照)。このシリカゾルに含まれるSiO2粒子の比表面積は、BET法で測定して150〜400m2/gである。更に、シリカゾルとケイ酸エチルとを混合した成形用組成物では、ケイ酸エチルはシリカゾルに対して少量添加する。この成形用組成物に滑剤を加えることで、精密にレオロジー調整ができるようになる。このようなモレキュラーシーブ成形体には、Yタイプ又はモルデナイトタイプのゼオライトが挙げられる。このモレキュラーシーブ成形体は、まず成形用組成物を混合し混練した後、第2工程の押出機へ移し、500〜800℃で焼成する。
【0009】
しかしながら、このモレキュラーシーブ成形体は、非常に高温で非連続的に製造されるため、成形体の製造コストが著しく高くなるという欠点がある。また、シリカゾルとケイ酸エチルとの混合物において、シリカゾルがコロイド状で存在するため、連続マトリックスを形成することができないという不具合もあった。更に、こうしたシリカゾルなどの固体バインダーは、液体状のバインダーと比較して分散性に劣り、更に滑剤を添加する必要があるためコスト高となる問題があった。
【0010】
更に、バインダーとしてアルキルアルコキシシランのオリゴマーを使用したゼオライト成形体がある(例えば、特許文献3参照)。これは液体のアルコキシシランオリゴマーを使用するため、連続法が採用でき、成型時の焼成温度も低くできる。しかしながら、基本的に反応混合物に水を加えて混合するため、アルコキシシランオリゴマーの加水分解によってアルコール等の可燃性物質が生成され、それによる引火等を防ぐため防爆仕様のラインにしなければならず、製造コストを押し上げる結果となる。また、副生するアルコールを乾燥除去する工程で、アルコールの急速な蒸発によりゼオライト成形体表面に気泡及び亀裂が生じ、成形体の変形や収縮がもたらされる場合があるため、極力副生成物の生じないバインダーが望まれていた。
【0011】
【特許文献1】
独国特許出願公開第3231498号明細書
【特許文献2】
独国特許出願公開第3738916号明細書
【特許文献3】
特表2002−509788号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、従来の問題点を回避し、低コストなゼオライト成形体及びその製造方法を提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、シラノール基含有シロキサンオリゴマーをゼオライト成形体のバインダーとして使用することにより、反応混合物の成形性が改善され、機械的応力に対する安定性に優れた成形体が得られることを見出した。
【0014】
また、各種水系のシロキサンオリゴマーをバインダーとして使用することにより、より均質に処理ができ、副生するアルコール類も極めて少ないため、安全性が高く、収縮や変形のない良好な成形体が得られることを見出した。
【0015】
更に驚くべきことに、本発明の成形体は、300℃以下の温度、特に180〜280℃の温度での焼成で製造することができることを見出した。これは従来に比べて、はるかに低温であるにも拘わらず、本発明の成形体は高い圧縮強度を有するものであり、更に製造コストに関しても著しく低減することが可能であることを知見し、本発明をなすに至った。
【0016】
従って、本発明は、下記ゼオライト成形体及びその製造方法を提供する。
[I]ゼオライト、可塑剤及び下記平均組成式(1)
R1 mSi(OH)p(OR2)qO(4-m-p-q)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基、R2は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。m、p、qは0.5≦m≦1.8、0<p≦2.0、0≦q≦0.5、0<p+q≦2.0、0.5≦m+p+q≦3.3を満たす数である。)
で表されるシラノール基含有ポリシロキサンからなるバインダーを含有する反応混合物から得られるゼオライト成形体であって、バインダーが、下記一般式(3)
YR4 aSi(OR3)3-a (3)
(式中、Yは窒素原子含有有機基であり、R4は炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。aは0又は1である。)
で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部と、下記一般式(4)
R4 bSi(OR3)4-b (4)
(式中、R3、R4は前記の通りである。bは0、1又は2である。)
で表される加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物5〜200重量部とを加水分解することによって得られるポリシロキサンであることを特徴とするゼオライト成形体。
【0017】
[II]ゼオライト、可塑剤及び下記平均組成式(1)
R 1 m Si(OH) p (OR 2 ) q O (4-m-p-q)/2 (1)
(式中、R 1 は同一又は異種の炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基、R 2 は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。m、p、qは0.5≦m≦1.8、0<p≦2.0、0≦q≦0.5、0<p+q≦2.0、0.5≦m+p+q≦3.3を満たす数である。)
で表されるシラノール基含有ポリシロキサンからなるバインダーを含有する反応混合物から得られるゼオライト成形体であって、バインダーが、下記平均組成式(5)
R 5 c (OR 3 ) d SiO (4-c-d)/2 (5)
(式中、R 5 は炭素数1〜6のアルキル基、R 3 は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表し、cは0.75〜1.5、dは0.2〜3で、かつ0.9<c+d<4を満足する正数である。)
で表される有機ケイ素化合物(C)100重量部と、下記一般式(3)
YR 4 a Si(OR 3 ) 3-a (3)
(式中、Yは窒素原子含有有機基であり、R 4 は炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基、R 3 は前記の通りである。aは0又は1である。)
で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物0.5〜49重量部とを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合して得られるポリシロキサンであることを特徴とするゼオライト成形体。
【0020】
[III]上記反応混合物を押出成形した後、180〜280℃の温度でこの押出物を焼成することを特徴とするゼオライト成形体の製造方法。
【0021】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明は、ゼオライト、可塑剤及びバインダーを含む反応混合物から得られるゼオライト成形体である。
本発明に係るゼオライト成形体に用いるバインダーは、下記平均組成式(1)R1 mSi(OH)p(OR2)qO(4-m-p-q)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基、R2は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。m、p、qは0.5≦m≦1.8、0<p≦2.0、0≦q≦0.5、0<p+q≦2.0、0.5≦m+p+q≦3.3を満たす数である。)
で表されるシラノール基含有ポリシロキサン(以下、バインダー[I]という)である。
【0022】
ここで、R1は炭素数1〜20、好ましくは1〜12の置換又は非置換の一価炭化水素基である。
【0023】
上記R1で示される置換又は非置換の一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基や、これらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、塩素等のハロゲン原子で置換したもの、例えばトリフルオロプロピル基、パーフルオロブチルエチル基、パーフルオロオクチルエチル基、3−クロロプロピル基、2−(クロロメチルフェニル)エチル基等;グリシジロキシ基、エポキシシクロヘキシル基等のエポキシ官能基で置換したもの、例えば3−グリシジロキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、5,6−エポキシヘキシル基、9,10−エポキシデシル基;メタクリル基、アクリル基等の(メタ)アクリル官能基で置換したもの、例えば3−(メタ)アクリロキシプロピル基、(メタ)アクリロキシメチル基、11−(メタ)アクリロキシウンデシル基等;アミノ基、アミノエチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアミノ官能基で置換したもの、例えば3−アミノプロピル基、N−(2−アミノエチル)アミノプロピル基、3−(N−フェニルアミノ)プロピル基、3−ジブチルアミノプロピル基等;メルカプト基、テトラスルフィド基等の含硫黄官能基で置換したもの、例えば3−メルカプトプロピル基、2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチル基等;ポリオキシアルキレンアルキルエーテル基等のアルキルエーテル官能基で置換したもの、例えばポリオキシエチレンオキシプロピル基等;カルボキシル基、スルフォニル基等のアニオン性基で置換したもの、例えば3−ヒドロキシカルボニルプロピル基等;第4級アンモニウム塩構造含有基等で置換したもの、例えば3−トリブチルアンモニウムプロピル基等が挙げられる。
【0024】
R2は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。加水分解性基OR2として具体例には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、イソプロペノキシ基、アセトキシ基などを挙げることができる。これらの中でも、加水分解・縮合反応性の点から、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基を用いるのが好ましい。m、p、qは、各々0.5≦m≦1.8、0<p≦2.0、0≦q≦0.5、0<p+q≦2.0を満たす数を表す。mが0.5未満では、R1の含有率が低く、硬化反応が早すぎてしまい、生成するゼオライト成形体にクラックが発生する。mが1.8を超えると、鎖状単位が多くなる結果、成形体の硬度が弱くなる。同様の理由から、より好ましくは0.6≦m≦1.5である。
【0025】
また、上記式(1)において、シラノール基は必須成分であるが、シラノール基の含有率を表すpが2.0を超えると、ポリシロキサン自体が不安定となる。好ましくは0.05≦p≦1.5、特に0.2≦p≦0.8である。
【0026】
シラノール基以外に架橋可能な加水分解性基OR2が存在してもよいが、その存在量qは0.5以下でなければならない。qが0.5を超えると、水中で加水分解しやすく、系内に有機溶剤であるアルコールが多量副生する。好ましくは0≦q≦0.2である。また、架橋可能な置換基の総数を表すp+qは0<p+q≦2.0を満たしている必要がある。p+qが0であっては硬化せず、2.0を超えると分子が小さくなりすぎてしまう。好ましくは0.05≦p+q≦1.5、特に0.2≦p+q≦1.0である。
なお、m+p+qは、0.5≦m+p+q≦3.3、特には0.6≦m+p+q≦2.8である。
【0027】
また、このポリシロキサンの数平均分子量は、200〜5,000、特に500〜2,000が好ましい。
【0028】
この場合、上記バインダーとしては、下記一般式(2)
R1 nSi(OR3)4-n (2)
(式中、R1は前記の通りであり、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。nは0、1又は2である。)
で表される少なくとも1種の加水分解性シラン又はその部分加水分解物を加水分解することにより得られるシラノール基含有ポリシロキサン(以下、バインダー[II]という)を使用することができる。
【0029】
特に、下記一般式(3)
YR4 aSi(OR3)3-a (3)
(式中、Yは窒素原子含有有機基であり、R4は炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基、R3は前記の通りである。aは0又は1である。)
で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部と、下記一般式(4)
R4 bSi(OR3)4-b (4)
(式中、R3、R4は前記の通りである。bは0、1又は2である。)
で表される加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物5〜200重量部とを加水分解することによって得られる水溶性ポリシロキサン(以下、バインダー[III]という)を使用することが好ましい。
【0030】
即ち、このようなオルガノポリシロキサンは、それ自体に水溶性が付与されたものであり、水に容易に溶解するためゼオライト成形体のバインダーとして使用すると、より均質に処理が可能であり、副生するアルコール類もないため収縮等の変形もなく良好な成形体を得ることができる。
【0031】
更に詳述すると、上記水溶性ポリシロキサンを得るために用いる窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)は、系を水溶性にするために用いられる成分で、下記一般式(3)で表されるものであり、その1種又は2種以上を適宜選定して用いられる。また、その部分加水分解物を用いることもできる。
【0032】
YR4 aSi(OR3)3-a (3)
(式中、Yは窒素原子含有有機基であり、R4は炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。aは0又は1である。)
【0033】
ここで、R3のアルキル基、アルケニル基、アシル基としては、R2で例示したものと同様である。R4の非置換の一価炭化水素基としては、炭素数1〜10、好ましくは1〜8であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基等のアルキル基、アリル基、5−ヘキセニル基、9−デセニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などが例示されるが、この中でもメチル基、プロピル基、ヘキシル基、フェニル基が好ましい。
【0034】
また、Yは、窒素原子含有有機基であり、例えば下記式(6)〜(10)で示されるものが挙げられる。
【0035】
【化1】
(式中、R6、R7、R10〜R17は水素原子又は炭素数1〜8の一価炭化水素基であり、R6とR7、R10とR11とR12、R13とR14、R15とR16とR17は互いに同一であっても異なっていてもよい。Rはハロゲン原子を示す。R8、R9は炭素数1〜8の二価炭化水素基で、R8とR9は互いに同一であっても異なっていてもよい。pは0又は1〜3の整数である。)
【0036】
なお、炭素数1〜8の一価炭化水素基としては、アルキル基、アリール基等、R4で例示したものと同様のものが挙げられる。炭素数1〜8の二価炭化水素基としては、アルキレン基などが挙げられる。
【0037】
Yとして具体的には、下記式で示されるものを挙げることができる。
H2NCH2−、H(CH3)NCH2−、H2NCH2CH2−、H(CH3)NCH2CH2−、H2NCH2CH2CH2−、H(CH3)NCH2CH2CH2−、(CH3)2NCH2CH2CH2−、H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2−、H(CH3)NCH2CH2HNCH2CH2CH2−、(CH3)2NCH2CH2HNCH2CH2CH2−、H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2−、H(CH3)NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2−、Cl-(CH3)3N+CH2CH2CH2−、Cl-(CH3)2(C6H5CH2)N+CH2CH2CH2−、
【化2】
【0038】
これらの中で以下のものが好ましい。
H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2−、
【化3】
【0039】
なお、式(3)において、aは0又は1である。
【0040】
上記式(3)の窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)としては、下記のものを例示することができる。
H2NCH2Si(OCH3)3、H2NCH2Si(OCH2CH3)3、H2NCH2SiCH3(OCH3)2、H2NCH2SiCH3(OCH2CH3)2、H2NCH2CH2Si(OCH3)3、H2NCH2CH2Si(OCH2CH3)3、H2NCH2CH2SiCH3(OCH3)2、H2NCH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2、H2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3、H2NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3、H2NCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2、H2NCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2、H(CH3)NCH2CH2CH2Si(OCH3)3、H(CH3)NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3、H(CH3)NCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2、H(CH3)NCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2、(CH3)2NCH2CH2CH2Si(OCH3)3、(CH3)2NCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3、Cl-(CH3)3N+CH2CH2CH2Si(OCH3)3、Cl-(CH3)3N+CH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3、Cl-(CH3)2(C6H5CH2)N+CH2CH2CH2Si(OCH3)3、Cl-(CH3)2(C6H5CH2)N+CH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3、H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3、H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3、H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2、H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2、H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3、H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3、H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH3)2、H2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2SiCH3(OCH2CH3)2、
【0041】
【化4】
【0042】
【化5】
【0043】
これらの中で特に好ましくは、H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)3、H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH2CH3)3であり、これらの部分加水分解物を用いてもよい。
【0044】
一方、上記加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物と混合して用いられる加水分解性シラン(B)は、下記一般式(4)で表され、その1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができ、その部分加水分解物を使用してもよい。
R4 bSi(OR3)4-b (4)
ここで、R3、R4は上記と同様である。bは0、1又は2である。
【0045】
この式(4)の加水分解性シラン(B)としては、下記のものを例示することができる。
Si(OCH3)4、Si(OCH2CH3)4、Si(OCH2CH2CH3)4、Si(OCH2CH2CH2CH3)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH3)3、CH3Si(OCH2CH2CH3)3、CH3Si(OCH2CH2CH2CH3)3、(CH3)2Si(OCH3)2、(CH3)2Si(OCH2CH3)2、(CH3)2Si(OCH2CH2CH3)2、(CH3)2Si(OCH2CH2CH2CH3)2、
【化6】
【0046】
これらの中で特に好ましくは、Si(OCH3)4、Si(OCH2CH3)4、CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OCH2CH3)3及びこれらの部分加水分解物である。
【0047】
上記窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物に式(4)の加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物を混合して用いる場合、その混合比は、窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部に対し加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物5〜200重量部の割合であり、より好ましくは加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物の量が10〜150重量部である。この量が200重量部を超えると液の安定性が悪化する場合がある。
【0048】
上記加水分解性シラン(A)、(B)又はそれらの部分加水分解物を用いて加水分解し、本発明のポリシロキサンを得る場合、溶媒は主として水を使用するが、必要に応じて、水と溶解する有機溶媒であるアルコール、エステル、ケトン、グリコール類を水に添加する形で用いることができる。有機溶媒としては、メチルアルコール、エチルアルコール、1−プロピルアルコール、2−プロピルアルコール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、グリセリン、ジエチレングリコール等のグリコール類などを挙げることができる。
【0049】
溶媒の量は原料シラン100重量部に対して400〜5000重量部が好ましい。更に好ましくは1000〜3000重量部である。溶媒の量が400重量部より少ないと反応が進行しすぎ、系が均一にならない場合がある。また液の保存安定性も悪くなる場合がある。一方、5000重量部より多いと経済的に不利な場合が生じるおそれがある。
【0050】
また、溶媒中の水の量は、水/原料シランのモル比率で5〜50が好ましい。このモル比率が5より少ないと加水分解が完全に進行しにくく、液の安定性が悪化する場合がある。一方、50を超えると経済的に不利な場合が生じる。
【0051】
反応方法としては、(1)混合シランを水中あるいは加水分解に必要である以上の量の水を含む有機溶剤中に滴下する方法、(2)混合シランあるいは有機溶剤含有混合シラン中に水を滴下する方法、(3)加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物を水中あるいは加水分解に必要である以上の量の水を含む有機溶剤中に滴下し、その後、窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物を滴下する方法、(4)窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物を水中あるいは加水分解に必要である以上の量の水を含む有機溶剤中に滴下し、その後、加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物を滴下する方法などが挙げられるが、得られるポリシロキサンの安定性の点から、特に(1)の反応方法が好ましい。
【0052】
なお、ポリシロキサンは水溶液の形で得られるが、必要に応じて更に水を加えたり除去したりして、ポリシロキサン100重量部に対して水10〜2,000重量部、好ましくは10〜1,000重量部の比率に調整することにより、ポリシロキサン水溶液を形成することが好ましい。この場合、水の量が10重量部より少ないとポリシロキサン自体の保存安定性が悪化する場合がある。また、2,000重量部より多いとポリシロキサンを加える量が多くなってしまい、コスト的に好ましくない。
【0053】
なお、この水溶性ポリシロキサンの数平均分子量は、200〜3,000、特に500〜2,000であることが好ましい。
【0054】
また、バインダー[IV]として、下記平均組成式(5)
R5 c(OR3)dSiO(4-c-d)/2 (5)
(式中、R5は炭素数1〜6のアルキル基、R3は前記の通りである。cは0.75〜1.5、dは0.2〜3で、かつ0.9<c+d<4を満足する正数である。)
で表される有機ケイ素化合物(C)100重量部と、下記一般式(3)
YR4 aSi(OR3)3-a (3)
(式中、Y、R3、R4、aは前記の通りである。)
で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン又はその部分加水分解物(A)0.5〜49重量部とを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合して得られるポリシロキサン自体も水溶性が付与されたものであり水に容易に溶解するため、ゼオライト成形体のバインダーとして使用するとより均質に処理が可能であり、副生するアルコール類も限りなく少ないため収縮等の変形もなく良好な成形体を得ることができる。
【0055】
ここで、式(5)において、R3は上述したものと同様である。R5は炭素数1〜6、好ましくは1〜3のアルキル基である。具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基等が挙げられ、特にメチル基が好ましい。
【0056】
上記式(5)のオルガノオキシ基含有シロキサンは、例えば具体例として、
CH3Si(OCH3)3、CH3Si(OC2H5)3、CH3Si(OCH(CH3)2)3、CH3CH2Si(OCH3)3、CH3CH2Si(OC2H5)3、CH3CH2Si(OCH(CH3)2)3、C3H6Si(OCH3)3、C3H6Si(OC2H5)3、C3H6Si(OCH(CH3)2)3、C4H9Si(OCH3)3、C4H9Si(OC2H5)3、C4H9Si(OCH(CH3)2)3、C5H11Si(OCH3)3、C5H11Si(OC2H5)3、C5H11Si(OCH(CH3)2)3、C6H13Si(OCH3)3、C6H13Si(OC2H5)3、C6H13Si(OCH(CH3)2)3等のアルコキシ基含有シロキサンを部分加水分解縮合することにより得ることができる。
これらは単独で加水分解縮合させても2種類以上の混合物を加水分解縮合させてもよいし、混合シランの部分加水分解物を使用してもよい。
【0057】
この場合の部分加水分解物のケイ素原子の数は2〜10、特に2〜4であることが好ましい。更に(C)成分としては、水中で炭素原子数1〜6のアルキルトリクロロシランとメタノール又はエタノールとの反応により得られるものでもよい。この場合もケイ素原子数が2〜6、特に2〜4であることが好ましく、また、25℃で300mm2/s以下の粘度を有しているものが好ましく、特に1〜100mm2/sの粘度を有するものが好適である。
【0058】
また、式(3)の窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)は、前記した通りである。
【0059】
このような上記式(3)の窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シランの具体例としては、H2N(CH2)2Si(OCH3)3、H2N(CH2)2Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)3Si(OCH3)3、H2N(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)3Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)5Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)5Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、H2N(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH3)3、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3Si(OCH2CH3)3、H2N(CH2)2SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)2SiCH3(OCH2CH3)2、H2N(CH2)3SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)5SiCH3(OCH2CH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、H2N(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、CH3NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH3)2、C4H9NH(CH2)2NH(CH2)3SiCH3(OCH2CH3)2等が挙げられる。
【0060】
これらの中で、特に、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン等が好適に用いられる。
【0061】
上記(C)及び(A)成分の使用割合は、(C)成分100重量部に対して(A)成分0.5〜49重量部、好ましくは5〜20重量部である。(A)成分が0.5重量部未満であると水溶性が弱くなり、水溶液にした時の安定性が悪くなる場合がある。また、(A)成分が49重量部を超えるとコスト的に不利になるおそれがある。
【0062】
モル換算としては、(C)成分のSi原子1モルに対し(A)成分のSi原子が0.01〜0.3モル、特に0.05〜0.2モルとなるように用いることが好ましい。
【0063】
これら(C)及び(A)成分を用いて水溶性ポリシロキサンを製造するには、有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解させればよい。この場合、最初に(C)成分を有機酸あるいは無機酸の存在下で加水分解し、この(C)成分の加水分解物と(A)成分を混合し、有機酸あるいは無機酸の存在下、更に加水分解させることが好ましい。
【0064】
まず、(C)成分を加水分解する際に使用される有機酸及び無機酸としては、例えば塩酸、硫酸、メタンスルホン酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、シュウ酸及びマレイン酸などから選ばれる少なくとも1種の酸が用いられるが、特に酢酸、プロピオン酸が好適である。この酸の使用量は、(C)成分100重量部に対して2〜40重量部、特に3〜15重量部が好適である。この酸の使用量が少なすぎると加水分解の進行が遅く、また、組成物の水溶液の安定性が悪化することがある。
【0065】
加水分解の際は適度に溶剤で希釈した状態で行うのが好ましい。溶剤としては、アルコール系溶剤が好適であり、特にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、第三ブチルアルコールが好適である。この溶剤の使用量は、(C)成分100重量部に対して50〜300重量部、特に70〜200重量部が好ましい。溶剤の使用量が50重量部より少ないと、縮合が進行しすぎる場合があり、また、300重量部を超えると、加水分解に時間がかかることがある。
【0066】
また、(C)成分を加水分解させるために加える水量は、(C)成分1モルに対し0.5〜4モル量、特に1〜3モル量が好適である。加える水量が0.5モル量より少ないとアルコキシ基が多く残存してしまう場合があり、4モル量を超えると縮合が進行しすぎる場合がある。(C)成分を加水分解させる際の反応条件は、反応温度10〜40℃、特に20〜30℃が好ましく、反応時間は1〜3時間で加水分解反応させるのがよい。
【0067】
このようにして得られた(C)成分の加水分解物と(A)成分とを反応させる。なお、反応条件は、反応温度60〜100℃、反応時間1〜3時間が好ましい。反応終了後は、溶剤の沸点以上まで温度を上げ、アルコール溶剤を留去させる。この場合、系内の全アルコール(反応溶剤としてのアルコール、副生成物としてのアルコール)の含有量を30重量%以下、特に10重量%以下となるように留去させることが好ましい。アルコールが多く含まれていると、水で希釈した場合、白濁したりゲル化したりすることがあり、保存安定性も低下することがある。上記方法で製造できるポリシロキサンは、25℃における粘度が5〜2,000mm2/s、特に50〜500mm2/sであることが好ましい。粘度が高すぎると作業性や保存安定性が低下したり、水への溶解性が低下することがある。
【0068】
このようにして得られた水溶性ポリシロキサンを有効成分として好ましくは0.1〜20重量%、特に好ましくは1〜10重量%を水に均一混合した水溶性ポリシロキサン溶液をバインダーとして用いることが望ましい。この時、水溶性ポリシロキサンの濃度が0.1重量%より少ないと処理効率が悪くなる場合がある。また20重量%より多いとコスト的に不利であり、水溶液安定性も悪くなる場合がある。
【0069】
なお、この水溶性ポリシロキサンの数平均分子量は、200〜5,000、特に500〜2,000であることが好ましい。
【0070】
本発明のゼオライト成形体は、上述したように、上記バインダー[I]、[II]、[III]又は[IV]と、ゼオライトと、可塑剤とを含む反応混合物から得られるものであるが、この場合、本発明に使用されるゼオライトは、ゼオライト3A、ゼオライト4A、ゼオライト5A及びゼオライトX並びにこれらの任意の混合物から選ばれるものを使用することが好ましい。
【0071】
本発明で用いられる可塑剤は水に可溶なものであり、可塑剤としては、メチルセルロース等のセルロースエーテル、ポリサッカライド、ポリビニルアルコール、澱粉、又はこれらを任意に混合したものを用いることができる。
【0072】
更に、必要により、滑剤としてワックスエマルジョン及び/又は脂肪酸混合物を反応混合物に添加して、レオロジー調節を行うこともできる。
【0073】
本発明の成形体を製造するための反応混合物は、全反応混合物に対して1〜35重量%の含量のバインダー、40〜90重量%の含量のゼオライト及び5〜40重量%の含量の可塑剤を含むことが好ましい。これにより吸着、触媒及び機械的性質に優れた成形体を得ることができる。
【0074】
この場合、上記バインダー[I]、[II]を用いる際は、2〜25重量%、特に5〜20重量%とすることが好ましく、これにより成形中に最適の変形特性を得ることができ、また最大の圧縮強度値を達成した成形体を得ることができる。また、バインダー[III]、[IV]を用いる場合は、10〜35重量%、特に15〜30重量%が好ましい。少なすぎると処理効率が悪くなり、多すぎると水溶液の安定性が悪くなるおそれがある。
【0075】
また、ゼオライトのより好ましい使用量は、40〜60重量%であり、可塑剤のより好ましい使用量は5〜15重量%である。
【0076】
ここで、本発明の成形体を製造するための反応混合物は、例えば、水及び可塑剤としてメチルセルロースを含む場合、可塑剤の含有量が少ないと押出機により成形される押出物は寸法安定性に劣るおそれがある。400セル/インチ2(約62セル/cm2)を備えた本発明による四方形のハニカム状成形体の押出成形の場合、水の添加量に対して約10重量%以上、更に好ましくは約15重量%以上のメチルセルロースを含有する。これにより、流量限度が増大し、押出物の吸入圧力損失が著しく低減され、寸法安定性に優れた押出物が得られる。その結果、ダイスに沿った圧力低下が小さくなり、押出機における背圧長が減少する。そのため、押出機スクリュウの圧力蓄積帯域への剪断力がより少なくなり、熱の放散が少なく、反応混合物の加熱が回避される。
【0077】
なお、水の配合量は、0〜54重量%、好ましくは5〜40重量%、特に10〜35重量%である。
【0078】
また、上述したように、ワックスエマルジョン及び/又は脂肪酸混合物を滑剤として配合し得るが、その配合量は0〜20重量%、特に0〜10重量%である。この場合、上記バインダー[I]、[II]は、同時に滑剤としても作用し、これらバインダー[I]、[II]を用いた反応混合物は、製造プロセス中の流動限度及び吸気圧力損失が低く、反応混合物の成形性が著しく改善され、更に滑剤を添加する必要がない。
【0079】
本発明の、ゼオライト、可塑剤及びバインダーを含む反応混合物のゼオライト成形体は下記の工程により製造される。
第1工程:ゼオライト、可塑剤及びバインダーの反応混合物の調製
第2工程:反応混合物の押出成形
第3工程:180〜280℃の温度における押出物の焼成
【0080】
本発明の製造方法の実質的利点は、焼成が約180〜280℃の温度範囲内で実施されることである。市販のバルク形態のゼオライトの固定床及び先行文献に記載された成形体はいずれも、少なくとも400℃以上、一般的には500〜700℃の温度で焼成される。これらは焼成温度が高温なため、バルク品や成形体を製造する時に非常に大きなエネルギーを消費する。一方、本発明の製造方法では、このような高温度下で焼成する必要がないため、成形体の製造コストを著しく低減し得る。また、バインダーであるポリシロキサン中のアルコキシ基も少ないことから、反応により副生する引火性のアルコールが実質的にないため、防爆性の装置などの使用する必要がなく、更にコストの低減が可能となったものである。上記温度範囲で焼成された本発明の成形体は、優れた機械的及び吸着特性をも有する。
【0081】
本発明の製造方法の第1工程及び第2工程は連続的に行うのが好ましい。即ち、各成分の配合及び成形用組成物の成形を連続的に一工程で行う。押出成形は、単軸又は2軸スクリュー押出機を採用できるが、例えば、同方向に回転するスクリューを備えた2軸スクリュー押出機を用いた場合、同方向に回転するスクリューを備えた高密配合2軸スクリュー押出機は、混合装置及びハニカム状押出物の押出用圧力発生機として機能する。反応混合物の各成分のうち、可塑剤及びゼオライトの粉末状成分は、それぞれ重力落下計量装置を介して供給され、水及びバインダーの液体状成分は膜を介して又はピストンポンプで供給される。本発明方法の成形体の連続製造においては、プロセス全体にわたる利益性を著しく高めることができる。また、これにより混練済みの反応混合物を押出機へ移動する操作を省くことができる。
【0082】
本発明方法の第3工程は、180〜280℃、好ましくは200〜250℃、更に好ましくは210〜235℃の温度で焼成を行う。この温度範囲内で焼成を行った場合、これ以外の温度範囲で焼成した場合に比べて、極めて高い圧縮強度を有する成形体を得ることができる。また、吸着及び触媒特性にも優れた成形体を得ることができる。なお、押出物の追加乾燥は、本発明方法の第2及び第3工程の間で実施できる。
【0083】
シリコーンマトリックスの完全な架橋結合は、これらの温度範囲で達成される。ゼオライトも共有結合される最大数の共有架橋結合が焼成工程中に形成する。焼成温度が280℃を超えると、バインダーからのメチル基や窒素原子含有有機基の断絶脱離が開始し、その結果として形成マトリックスが弱化され、本発明による成形体の圧縮強度が低下する場合がある。一方、180℃より低い温度では、バインダーの架橋及び共有結合の形成が僅かに起こるだけであり、好ましくない。
【0084】
本発明による成形体の圧縮強度は、約20N/mm2以上、好ましくは約30N/mm2以上、更に好ましくは約50N/mm2以上である。本発明による成形体は、180〜280℃の温度範囲で焼成することにより最大圧縮強度を備えることができる。
【0085】
本発明の成形体の圧縮強度は、アタパルジャイトのような粘度材料あるいはバインダーとしてオルトケイ酸メチルを用いて製造されるゼオライトペレットと比較して数倍高い。本発明による成形体について達成され得る高い圧縮強度は、成形体を更に熱処理する際に生じる収縮や、押出物中にこの収縮によって誘起される内在ストレスが補償されるため有利である。それにより本発明の成形体における亀裂等が回避され、表面品質及び機械的性質に優れた成形体を得ることができる。
【0086】
また、バルク形態のゼオライトの固定床と比較して、特にハニカム状押出物とした場合、表面積が大きいため吸着性が著しく改善される。例えば、温度23℃及び相対湿度10%の気象キャビネット(climate cabinet)中での吸着容量の水の増加の測定値は、タイプ4Aのゼオライトを使用して3時間後、成形体に対して13重量%から17重量%以上である。
【0087】
更には、本発明による成形体は、99%よりも大きな磨耗抵抗を有する。磨耗抵抗は、アメリカン・ペニィ・アトリション・テスト(American Penny Attrition Test:W.J.ミッチェル等の1956年の米国特許第2,973,327号)に準拠して以下のように測定した値である。完全円筒形ゼオライト系ペレット(D=5mm、L/D=1.5)3gを、プラスチック容器へ導入して閉鎖する。この容器をレッツシュ(Retsch)のモデル3D振動篩機で20分間60スケール単位の振動数で振動させる。増大した磨耗及び真の荷重を模擬するために、そのプラスチック容器は更にペニッヒ硬貨片を1枚含む。次いで、得られる磨耗した材料をメッシュ幅500μmの篩で20スケール単位の振動数において2分間にわたり分離する。
【0088】
本発明の成形体は、管、円筒、ビーズ、タブレット、環、シート等の形状で製造することができるが、ハニカム体の形状を有するのが好ましい。ハニカム状成形体はセル密度が高く、他の成形体、例えばシートの形態のものと比較して、極めて大きな表面積を有し、本発明の成形体の触媒及び吸収特性、特に吸収性が著しく改善される。
【0089】
本発明によるゼオライト成形体は、極めて安価に製造でき、機械的応力に対して安定性が高く、従って種々の用途に利用することができる。
【0090】
また、特にゼオライトのバルク状の固定床で生じるような、磨耗による成形体の装置又は機械下流側の閉塞又は破損が起こらないため、工業装置で長期間使用するのに好適である。更に、バルク状の固定床でゼオライト材料の変化が生じなく、装置の運転費用が低減され、本発明の成形体を使用することにより、圧力損失を極めて低くできる。
【0091】
本発明のゼオライト成形体は、気体及び液体の乾燥、調質、精製及び分離等広い用途に使用することができる。使用した成形体は、交番加圧プロセス、熱処理、又は溶媒による洗浄と乾燥のいずれかによって再生することができる。
【0092】
また、本発明のゼオライト成形体は、残留水分の除去のため、例えば、回転吸収器(Rotor Absorber)で使用できる。更に、本発明のゼオライト成形体は、圧縮空気の乾燥のために使用できる。新鮮空気と共に圧縮空気系に入る水分は、圧縮/圧力開放中に凝縮され、装置等を腐食し、系の機能に損害を与え得る。この場合、本発明によるゼオライト成形体を吸収剤として組み込むことにより、エアーブレーキ系統、空気圧駆動及び制御装置から水を除去することができ、それにより腐食を抑制することができる。
【0093】
また、本発明の成形体は、CFC不使用冷凍装置において冷媒乾燥のためにも使用できる。この場合、本発明の成形体の容量は10〜15年であるため、成形体の再生は必要でない。冷凍装置が組み立て中に閉じられると、水分は規則的に導入され、本発明による成形体を冷媒の乾燥に使用することによって、生じる欠点は回避される。
【0094】
使用済みの冷媒の乾燥及びリサイクルは、本発明の成形体を吸収剤として使用することにより行うことができる。吸収剤の再生は、熱処理によって行うことができる。
【0095】
本発明による成形体は、スプレー缶高圧ガス(例えば、ブタン)としての液体炭化水素の脱硫(臭気抑制)のためにも使用できる。
【0096】
更に、本発明による成形体は、空気分離装置に使用でき、窒素を吸収し、そして例えば吸入用空気の酸素強化が結果としてなされる。再生は、熱処理によって実施できる。
【0097】
本発明による成形体は、更にエア・コンディショニング装置においても使用できる。この場合、吸収及び気化エンタルピーは熱発生又は冷却のために利用される。
【0098】
本発明による成形体は、水軟化装置においてイオン交換剤として使用できる。この場合、カルシウム−ナトリウム交換により所望の効果が達成される。
【0099】
【発明の効果】
本発明によるシラノール基含有ポリシロキサンあるいは水溶性ポリシロキサンをバインダーとして使用することにより、低温度で焼成しても高圧縮強度を有するゼオライトの成形体を得ることができる。また、副生するアルコールもないか、あるいは非常に少量のため、安全性も高く、防爆性の装置も必要としないため、コスト削減になり、更に副生アルコールによる成形体の収縮や寸法変化もない。
【0100】
【実施例】
以下、合成例、実施例と比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において、%は重量%、部は重量部を示す。
【0101】
〔合成例1〕シラノール基含有ポリシロキサン1の製造
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)及びトルエン300gを仕込み、40℃で撹拌しながら2%の塩酸水溶液97gを1時間かけて滴下混合し、加水分解させた。更に、40℃で1時間撹拌しながら熟成した。次いで、10%の硫酸ナトリウム水溶液100gを加えて10分間撹拌した後、静置して水層を分離除去するという水洗操作を3回繰り返した。得られたシラノール基含有ポリシロキサンから50℃、6.7kPaの条件下でメタノールを減圧留去し、その後、濾過してシラノール基含有ポリシロキサンを得た。GPC測定の結果、このシラノール基含有ポリシロキサンの数平均分子量は2,000であった。また、シラノール基量を定量したところ、その含有量は4.2%(対シラノール基含有ポリシロキサン)であり、クラッキング法によりメトキシ基量を定量したところ、1.4%(対シラノール基含有ポリシロキサン)であった。以上から、得られたシラノール基含有ポリシロキサン1は、以下の組成で表すことができると認められた。
(CH3)1.0Si(OH)0.17(OCH3)0.03O1.40
【0102】
〔合成例2〕シラノール基含有ポリシロキサン2の製造
2Lのフラスコにメチルトリメトキシシラン408g(3.0モル)を仕込み、窒素雰囲気下、0℃で水786gを加えてよく混合した後、氷冷下0.05Nの塩酸水溶液216gを40分かけて滴下して加水分解反応を行い、滴下終了後、10℃以下で1時間、更に室温で2時間撹拌して加水分解反応を完結させた。次いで、生成したメタノール及び水を70℃、8.0kPaの条件で減圧留去し、留去液中にメタノールが検出されなくなるまで継続した。初期の88%まで濃縮した時点でメタノールは検出されなくなり、同時に液は白濁し始めた。この溶液を1昼夜静置したところ、2層に分離し、シラノール基含有ポリシロキサンは沈降した。このシラノール基含有ポリシロキサンから水を分離し、シラノール基量と数平均分子量を測定したところ、その含有量は8.2%(対シラノール基含有ポリシロキサン)、数平均分子量は1,800であった。赤外吸収スペクトル分析の結果、メトキシ基が残存していないので、得られたシラノール基含有ポリシロキサン2は、以下の組成で表すことができると認められた。
(CH3)1.0Si(OH)0.34O1.33
【0103】
〔合成例3〕水溶性ポリシロキサン1の製造
水246g(13.7mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた500mlの反応器に入れ、撹拌した。ここに、H2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)344.4g(0.2mol)及びSi(OCH2CH3)420.8g(0.1mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から56℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノール、エタノールを除去することにより、水溶性ポリシロキサン1を250g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は14.9%であった。また、数平均分子量は1,800であった。
【0104】
〔合成例4〕水溶性ポリシロキサン2の製造
水278g(15.4mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた500mlの反応器に入れ、撹拌した。ここにH2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)355.6g(0.25mol)及びSi(OCH2CH3)410.4g(0.05mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、27℃から49℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温98℃まで上げ、副生したメタノール、エタノールを除去することにより、水溶性ポリシロキサン2を274g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.1%であった。また、数平均分子量は1,600であった。
【0105】
〔合成例5〕水溶性ポリシロキサン3の製造
水202g(11.2mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた500mlの反応器に入れ、撹拌混合した。ここにH2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)333.3g(0.15mol)及びSi(OCH2CH3)431.2g(0.15mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、25℃から51℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノール、エタノールを除去することにより、水溶性ポリシロキサン3を210g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.3%であった。また、数平均分子量は1,100であった。
【0106】
〔合成例6〕水溶性ポリシロキサン4の製造
水308g(17.1mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた500mlの反応器に入れ、撹拌混合した。ここにH2NCH2CH2HNCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)353.1g(0.2mol)及びSi(OCH3)415.2g(0.1mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、28℃から53℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、水溶性ポリシロキサン4を300g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.4%であった。また、数平均分子量は2,000であった。
【0107】
〔合成例7〕水溶性ポリシロキサン5の製造
水253g(14.1mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた500mlの反応器に入れ、撹拌混合した。ここにH2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)344.4g(0.2mol)及びCH3Si(OCH3)313.6g(0.1mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、26℃から42℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノールを除去することにより、水溶性ポリシロキサン5を244g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.6%であった。また、数平均分子量は1,600であった。
【0108】
〔合成例8〕水溶性ポリシロキサン6の製造
水241g(13.4mol)を撹拌機、温度計及び冷却器を備えた500mlの反応器に入れ、撹拌混合した。ここにH2NCH2CH2HNCH2CH2CH2Si(OCH3)344.4g(0.2mol)、Si(OCH2CH3)418.7g(0.09mol)及びCH3Si(OCH3)31.4g(0.01mol)を混合したものを室温で10分間かけて滴下したところ、26℃から49℃に内温が上昇した。更にオイルバスにて60〜70℃に加熱し、そのまま1時間撹拌を行った。次にエステルアダプターを取り付け、内温99℃まで上げ、副生したメタノール、エタノールを除去することにより、水溶性ポリシロキサン6を241g得た。このものの不揮発分(105℃/3時間)は15.7%であった。また、数平均分子量は1,500であった。
【0109】
〔合成例9〕水溶性ポリシロキサン7の製造
冷却管、温度計及び滴下漏斗を備えた500mlの四つ口フラスコにメチルトリメトキシシランのオリゴマー85g(ダイマー換算で0.37モル)、メタノール154g及び酢酸5.1gを入れ、撹拌しているところに水6.8g(0.37モル)を投入し、25℃で2時間撹拌した。そこに、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン8.9g(0.04モル)を滴下した。その後、メタノールの還流温度まで加熱して1時間反応後、エステルアダプターにて、内温が110℃になるまでメタノールを留去し、粘度71mm2/sの薄黄色透明溶液81gを得た(数平均分子量1,100)。これを水で15重量%となるように希釈し、淡黄色透明の水溶性ポリシロキサン7を得た。
【0110】
〔合成例10〕水溶性ポリシロキサン8の製造
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランを3−アミノプロピルトリエトキシシラン17.7g(0.08モル)とした以外は、合成例9と同様に反応を行い、粘度220mm2/sの薄黄色透明溶液90gを得た(数平均分子量1,300)。これを水で15重量%となるように希釈し、透明の水溶性ポリシロキサン8を得た。
【0111】
〔実施例、比較例〕
圧縮強度
Zwick社の引張り/加圧試験機モデルUP1455を使用し測定した。
5mmの試験材直径を有する完全に円筒形の押出物を7mmの試験材長さに切断した。正確かつ再現性ある測定のために、押出物の両前面が面平行であることが確保されなければならない。測定は室温にて、試験圧力1N、試験速度1mm/分で実施された。試験力は両前面に作用する。
【0112】
〔参考例1〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末(和光純薬社製)、可塑剤として25gのメチルセルロースMC 12000(Aqualon社製)、63gのシラノール含有ポロシロキサン1及び160gの水を含む反応混合物を2軸スクリュー押出機ZSK(ウエルナー&フライデルエル(Werner & Pfleiderer)社製)を用い、50rpmの回転速度にて配合及びハニカム状形体への成形を行った。押出機のバレル部分の温度は15度であった。メチルセルロースは40℃より高い温度において熱によりゲル化し、その水保持性を失うため、加工中はバレル部分の適切な冷却を確保しなければならない。次いで、予備乾燥することなく225℃の温度で60分間焼成した。得られた成形体の圧縮強度は50.1N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0113】
〔参考例2〕
合成ゼオライトA−4粉末(和光純薬社製)200g、25gのメチルセルロースMC 12000、35gのシラノール基含有ポロシロキサン2及び100gの水を用いてハニカム状及びペレット状の成形体を製造した。この反応混合物は、14℃の温度において、参考例1で使用した2軸スクリュー押出機で押出した。次いで、60分間200℃でハニカム状成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は、57N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0114】
〔実施例1〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000及び水溶性ポリシロキサン1を250g含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は43.7N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0115】
〔実施例2〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000及び水溶性ポリシロキサン2を250g含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は41.7N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0116】
〔実施例3〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000及び水溶性ポリシロキサン3を250g含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は45.9N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0117】
〔実施例4〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000及び水溶性ポリシロキサン4を250g含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は42.5N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0118】
〔実施例5〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000及び水溶性ポリシロキサン5を250g含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は44.3N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0119】
〔実施例6〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000及び水溶性ポリシロキサン6を250g含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は47.7N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0120】
〔実施例7〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000及び水溶性ポリシロキサン7を250g含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は48.1N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0121】
〔実施例8〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000及び水溶性ポリシロキサン8を250g含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。得られた成形体の圧縮強度は47.9N/mm2であった。成型時及びその後も寸法の変化・収縮などは見られなかった。
【0122】
〔比較例1〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000、バインダーとして63gのメチルシロキサンエーテル MSE 100及び160gの水を含む反応混合物を参考例1と同様に処理し、成形体を製造した。ここで、メチルシロキサンエーテル MSE 100は、ケイ酸メチルの種々のオリゴマー体の混合物であり、加水分解及び縮合によって反応して硬質ケイ素樹脂を与えるものである。得られた成形体の圧縮強度は46.7N/mm2であったが、成型時収縮が見られた。
【0123】
〔比較例2〕
200gの合成ゼオライトA−3粉末、25gのメチルセルロースMC 12000、100gの量の正珪酸エチル及び160gの水を含む反応混合物を参考例1と同様に処理し成形体を製造したが、焼成温度が低いためか、得られた成形体の圧縮強度は18.1N/mm2しかなかった。
Claims (11)
- ゼオライト、可塑剤及び下記平均組成式(1)
R1 mSi(OH)p(OR2)qO(4-m-p-q)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基、R2は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。m、p、qは0.5≦m≦1.8、0<p≦2.0、0≦q≦0.5、0<p+q≦2.0、0.5≦m+p+q≦3.3を満たす数である。)
で表されるシラノール基含有ポリシロキサンからなるバインダーを含有する反応混合物から得られるゼオライト成形体であって、バインダーが、下記一般式(3)
YR4 aSi(OR3)3-a (3)
(式中、Yは窒素原子含有有機基であり、R4は炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。aは0又は1である。)
で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物100重量部と、下記一般式(4)
R4 bSi(OR3)4-b (4)
(式中、R3、R4は前記の通りである。bは0、1又は2である。)
で表される加水分解性シラン(B)又はその部分加水分解物5〜200重量部とを加水分解することによって得られるポリシロキサンであることを特徴とするゼオライト成形体。 - ゼオライト、可塑剤及び下記平均組成式(1)
R1 mSi(OH)p(OR2)qO(4-m-p-q)/2 (1)
(式中、R1は同一又は異種の炭素数1〜20の置換又は非置換の一価炭化水素基、R2は炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表す。m、p、qは0.5≦m≦1.8、0<p≦2.0、0≦q≦0.5、0<p+q≦2.0、0.5≦m+p+q≦3.3を満たす数である。)
で表されるシラノール基含有ポリシロキサンからなるバインダーを含有する反応混合物から得られるゼオライト成形体であって、バインダーが、下記平均組成式(5)
R5 c(OR3)dSiO(4-c-d)/2 (5)
(式中、R5は炭素数1〜6のアルキル基、R3は水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、又は炭素数2〜6のアルケニル基もしくはアシル基を表し、cは0.75〜1.5、dは0.2〜3で、かつ0.9<c+d<4を満足する正数である。)
で表される有機ケイ素化合物(C)100重量部と、下記一般式(3)
YR4 aSi(OR3)3-a (3)
(式中、Yは窒素原子含有有機基であり、R4は炭素数1〜10の非置換一価炭化水素基、R3は前記の通りである。aは0又は1である。)
で表される窒素原子含有有機基を含有する加水分解性シラン(A)又はその部分加水分解物0.5〜49重量部とを有機酸又は無機酸の存在下で共加水分解縮合して得られるポリシロキサンであることを特徴とするゼオライト成形体。 - ポリシロキサンを水に希釈溶解したものをバインダーとして使用することを特徴とする請求項1又は2記載のゼオライト成形体。
- ゼオライトがゼオライト3A、ゼオライト4A、ゼオライト5A及びゼオライトX並びにこれらの任意の混合物から選ばれるものであり、可塑剤がメチルセルロースであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のゼオライト成形体。
- 更に、可塑剤がセルロースエーテル、ポリサッカライド、ポリビニルアルコール及び澱粉並びにこれらの任意の混合物から選ばれるものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項記載のゼオライト成形体。
- 反応混合物が、ゼオライト40〜90重量%、可塑剤5〜40重量%、バインダー1〜35重量%を含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のゼオライト成形体。
- 反応混合物がワックスエマルジョン及び/又は脂肪酸混合物を含むことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のゼオライト成形体。
- 得られる成形体がハニカム状であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載のゼオライト成形体。
- 圧縮強度が20N/mm2以上であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項記載のゼオライト成形体。
- 反応混合物を焼成温度180〜280℃の温度範囲で焼成することによって形成されたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項記載のゼオライト成形体。
- 請求項1乃至7のいずれか1項記載の反応混合物を押出成形した後、180〜280℃の温度でこの押出物を焼成することを特徴とするゼオライト成形体の製造方法。
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