JP2011057873A - 成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】吸着性粒子と、硬化性シリコーン組成物からなるバインダーとを含有してなる成形体であって、前記バインダーが常温にてゴム弾性を有することと、前記吸着性粒子の含有量が、吸着性粒子及びバインダーの合計量100質量部に対して60質量部以上、90質量部以下であることと、造孔材により多孔化されていることとを特徴とする成形体を提案する。
【選択図】図1
Description
さらに特許文献2においては、オルト珪酸テトラメチルは分子が小さいため、ゼオライトの内部に沈積して細孔が閉塞されるという問題があり、特許文献3においては、アルコキシシランオリゴマーの加水分解によってアルコールが大量に副生するため、クラックが発生しやすいという問題もあった。
そこで本発明の目的は、吸着性粒子を含有する成形体に関し、成形体の強度を維持しつつ、成形体の薄肉化若しくは多孔化を図ることができ、しかも、吸着性粒子の吸着性能を維持することができる、新たな成形体を提供することにある。
本成形体に用いる吸着性粒子に特に制限はなく、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、イオン交換樹脂、高分子吸着体などの吸着機能を有する従来公知の粒子を用いることができるが、中でも、吸着特性の観点から吸着性粒子は、ゼオライト、シリカゲル、メソポーラスシリカ及び活性炭からなる群の中から選ばれる1種類又は2種類以上であることが好ましい。
例えば水蒸気を吸脱着する用途では、吸着性粒子はゼオライトが好ましく、中でも、低温での水蒸気の脱着が容易なものが種々見出されていることから、アルミノシリケート類及びアルミノフォスフェート類からなる群の中から選ばれる1種類のゼオライト又は2種以上の組み合わせからなるゼオライトであることが好ましい。
ゼオライトとは、結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩の総称である。ゼオライトの骨格は、Si−O−Al−O−Siの構造が三次元的に組合わさることによって形成され、この骨格中に分子レベルの細孔を有しており、水や有機分子など各種分子を骨格中に取り込んで吸着することができる。
xが下記範囲の下限値以上であれば、吸着質の圧力が低い領域での吸着量が小さくなることがなく、合成も比較的容易である。一方、xが上記範囲の上限値以下であれば、合成時に不純物が混入し難い傾向がある。又、y、zが上記範囲内であれば合成が容易である。
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.2≦y≦0.6 ・・・式2−1
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 ・・・・式3−1
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す)
0.01≦x≦0.3 ・・・式1−2
(xは、Me、Al、Pの合計に対するMeのモル比を示す)
0.3≦y≦0.5 ・・・式2−2
(yは、Me、Al、Pの合計に対するAlのモル比を示す)
0.4≦z≦0.5 ・・・式3−2
(zは、Me、Al、Pの合計に対するPのモル比を示す)
Me2は、周期表第3または第4周期に属する4B族元素であり、好ましくはSiである。
ここで、T/nm3は、単位体積nm3あたり存在するT原子(ゼオライトの1nm3当たりの酸素以外の骨格を構成する元素の数)を意味し、フレームワーク密度:FDを示す単位である。
アルミノフォスフェート類のFDが、上記範囲の下限値以上であれば、構造が安定化して耐久性を維持できる一方、上記範囲の上限値以下であれば、吸着容量を維持することができ、吸着材として好適に機能を発揮する。
尚、ALPO類は1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。
シリカゲルには、緻密な構造(表面積約700m2/g)のA型と、緩やかな構造(表面積約450m2/g)のB型の2種類がある。A型は表面積が広いため化学的吸着に好都合な構造であり、低湿度の条件下でさらに湿度を下げるのに適している。一方、B型は、構造が粗いため毛細管現象が働きやすく、高湿度の条件で多量の水分を吸収するのに適している。どちらも、目的に応じて使い分けることが可能である。
メソポーラスシリカとしては、MCM41、MCM48、FSM16、SBA−1、HMS、MSU−1、MSU−3、SBA−12、SBA−15、SBA−16などが挙げられる。
活性炭は、平均粒子径が0.1μm〜300μm、好ましくは50μm〜250μm、中でも100μm〜200μmの粉末活性炭もしくは造粒活性炭である。
活性炭の原料及び賦活法には特に限定はなく、木炭、ヤシの実のカラ、鋸くず、リグニン、牛骨、亜炭、カッ炭、デイ炭、又は石炭を炭化した後、水蒸気賦活又は薬品賦活等したものを使用することができる。
本成形体に用いるバインダー、つまり、硬化性シリコーン組成物からなるバインダーは、硬化後に常温にてゴム弾性を示すことが必要である。
硬化によりゴム弾性を発揮するような硬化性シリコーン組成物をバインダーに用いることにより、バインダーにより形成された結合相が物理的ストレスを緩和できるため、造孔材等により多孔化し、結合相の連続性が失われても、強靭な成形体を得ることが可能となる。つまり、該バインダーを使用することで、成形体の吸着能力と強度を両立することが可能となる。さらに、硬化後のバインダーが常温にてゴム弾性体であることで、切断などの加工時に、成形体にかかる外力を緩和し、歪みを復元できる。そのため、成形体に生じる欠陥を減少させることができ、製造歩留りの向上が可能となる。
バインダーの主成分である反応性のシリコーンが、オリゴマーではなく、ポリマーであることで、架橋点間距離が大きくなり、ゴム弾性を示すことができる。
吸着性粒子を多く含有し、且つ、強靭な成形体を得る為には、バインダーは低弾性である必要があり、上記範囲の中でも、常温での貯蔵弾性率は1MPa〜3MPaであるのが好ましい。
本成形体においては、特別な硬化装置を必要としないという観点から、液状シリコーンゴムを用いるのが好ましい。
このような液状シリコーンゴムは、硬化タイプの違いから縮合型と付加型に分類され、それぞれ一液性と二液性とがある。
一液型は、空気中の湿気と反応して表面から硬化し、二液型は、混合と同時に硬化反応が進み、表面および内部が硬化する特徴を有している。
縮合型液状シリコーンゴムは、未硬化時はペースト状を呈し、空気中の湿気と反応し微量の縮合物を放出しながら硬化する。ほとんどの材質とよく接着し、硬化後はゴム弾性体となる。
一液型、二液型ともに、深部硬化性に優れる特徴を有している。また、触媒となる白金化合物の量を調節することにより、常温でも十分硬化させることができる。
また、吸着性粒子との接着性向上の観点からも、バインダーはシラノール基等の反応性の置換基を有する縮合型の硬化性シリコーン組成物であることが好ましい。
なお、縮合型液状シリコーンゴムは、上記の如く硬化時にアセトン、アルコール、そのほか縮合生成物などが副生されるが、シリケートの縮合などと比較すると、極めて量が少ないので生産ラインを防爆仕様にする必要が無いばかりか、副成ガスが原因で成形体が割れる心配もない。
また、縮合型室温硬化性シリコーンゴムの中には、酸化鉄やカーボンブラックなどの耐熱剤を含み、300℃程度の耐熱性を備えたものが市販されている。
これらを使用することで、成形体に優れた耐熱性を付与することができる。例えば、信越化学工業株式会社製の商品名:KE−3418や、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製の商品名:TSE3976−B、TSE3826などを挙げることができる。
また、本成形体は必要に応じて無機繊維、繊維鉱物のうち少なくとも1種類を添加することができる。繊維を添加することで、成形体に目的の剛性を高めることができるとともに、割れがより一層起こり難くなり、熱ショックで割れ難くなる。
本成形体は、吸着性粒子と、シリコーンを主成分とするバインダーとを含有してなる成形体であって、吸着性粒子の含有量が、吸着性粒子及びバインダーの合計量100質量部に対して60質量部以上、90質量部以下であることが必要である。すなわち、バインダーの含有量としては、吸着性粒子及びバインダーの合計量100質量部に対して10質量部以上、40質量部以下であることが必要である。
吸着性粒子の含有量が、吸着性粒子及びバインダーの合計量100質量部に対して60質量部以上であれば、吸着性粒子の量が少な過ぎることがないから、吸着性能を維持することができる。しかも、バインダーが40質量部以下であれば、吸着性粒子の周りがバインダーで覆われることがなく、吸着性粒子の粒子表面が露出した部分を維持できるため、吸着性粒子が備えている吸着性能が低下するのを防ぐことができる。他方、吸着性粒子の含有量が90質量部以下であれば、すなわちバインダーが10質量部以上であれば、成形体の強度を維持することができる。これほど少量のバインダーで強度を維持できる点は本成形体の特徴の一つである。
(可塑剤)
押出成形などでハニカムを作製する際は、通常水を溶媒として使用するが、その際、流動性、形状保持性等を付与する目的で、可塑剤を添加することがある。
可塑剤としては水溶性のポリマーを挙げることができ、例えばメチルセルロース等のセルロースエーテル類、ポリサッカライド、ポリビニルアルコールなどを挙げることができる。なお、単独又はこれらを任意に混合して使用することができる。
本成形体においては、造孔材を添加することで多孔化することが可能である。
本成形体に用いる造孔材としては、バインダーがゴム弾性を維持可能な焼成条件で、熱分解する微粒子を用いるのが好ましい。このような造孔材を、バインダー(例えばシリコーンゴム)が硬化した後に焼成することで、割れの無い多孔質のゼオライト成形体を得ることができる。
また、造孔材を溶剤で抽出して気孔形成することも可能であり、その場合は溶剤への溶解度の大きい微粒子であることが好ましい。
本成形体は、次のような物性を備えているのが好ましい。
本成形体は、図1に示すように、吸着性粒子と吸着性粒子との間はバインダーにより部分的に結合して、バインダーは不連続結合相を呈し、吸着性粒子の周囲がバインダーによって被覆されず、吸着性粒子の粒子表面が露出していることが好ましい。但し、このような不連続結合相を呈していても、該不連続結合相が弾性を有しており、強度を維持できる点が本成形体の特徴の一つである。
バインダーとして貯蔵弾性率の小さいシリコーンゴムを使用することで、吸着性粒子を高充填しても、成形体の貯蔵弾性率を低く設定することが可能となる。
本成形体の貯蔵弾性率に関しては、吸着性粒子の含有率や種類などにより幅があるが、成形体の自立可能な剛性を確保する観点から、振動周波数10Hzで動的粘弾性を測定した、常温での貯蔵弾性率が1.0×108Pa以上であるのが好ましい。他方、物理的なストレスを緩和させるという観点からは、5.0×109Pa以下であるのが好ましい。
なお、本発明における常温とは5〜35℃の範囲の温度である。
本成形体の空孔径は、成形体の形態や空孔率、吸着の対象とする流体の粘度等にもよるが、0.1μm以上、100μm以下であることが好ましい。0.1μm以上であれば、成形体の内部に流体を十分に行き渡らせることができる。他方、空孔径が100μm以下であれば、吸着速度に有利であるだけでなく、成形体の強度も維持することができる。
なお、本成形体の空孔径は、造孔材の量、及び粒子径などによって制御することができる。
本成形体の空孔率は、0.1μm以上、100μm以下の空孔が、10vol%以上、90vol%以下の割合で存在するのが好ましい。
この空孔率が10vol%以上であれば吸着速度に向上が見られ、90vol%以下であれば成形体の強度を保つことが可能であることから好ましい。かかる観点から、本成形体において、0.1μm以上、100μm以下の空孔が、20vol%以上の割合で存在するのがさらに好ましく、中でも25vol%以上の割合で存在するのがより好ましい。他方、70vol%以下の割合で存在するのがさらに好ましく、中でも60vol%以下の割合で存在するのがより好ましい。
なお、本成形体の空孔率は、造孔材の粒子径、添加量などによって制御することができる。
本成形体は、例えば管状、円筒状、ビーズ状、タブレット状、ペレット状、シート状、ストランド状、ハニカム状など、任意の形状に製造することができる。中でも、断面形状が円形状、三角形状、四角形状、六角形状などのセルが組み合わさってなるハニカム状に形成すれば、表面積が増大し、吸着性能を向上させることが可能であるため、本成形体はハニカム状であることが好ましい。
この際、本成形体によれば、ハニカムのセル壁の厚さを薄くすることができ、例えば30μm〜1000μmの厚さとすることができ、中でも40μm〜500μm、その中でも特に50μm〜300μmとすることができる。
セル壁の厚さを薄くしていくと、吸着性粒子の絶対量が少なくなり、吸着量の低下が危惧されるが、セルピッチを小さくすることでセル密度を高め、吸着速度と吸着量の両立を図ることができる。成形体の強度が許す限り、セル密度は大きいことが望まれるが、セル密度は200〜1200セル/平方インチが好ましい。
次に、本成形体の製造方法について説明する。主として押出成形による製造方法について具体的に説明する。但し、次に説明する製造方法に限定されるものではなく、その他、従来公知の汎用セラミックの成形と同様に行うことができる。
次に、この骨材に、造孔材、溶媒、必要に応じて可塑剤などを加えて混練し、可塑化された練土を押出機で成形する。
溶媒の添加による発熱が大きい場合は、バインダーを添加する前に、予め溶媒を吸着させておくとよい。
また、可塑剤としては、水溶性のポリマーを用いるのが好ましく、例えばメチルセルロース等のセルロースエーテル類、ポリサッカライド、ポリビニルアルコールなどを挙げることができ、単独又はこれらを任意に混合して使用することができる。
その他、必要に応じて一般的に知られている滑剤、分散剤などを添加することができる。
焼成条件に関しては、造孔材が分解する条件であれば特に制限は無いが、シリコーンゴムは耐熱剤を処方していたとしても、350℃を超えると急激な物性の低下を起こすため、本発明の成形体は350℃以下の温度で焼成することが好ましく、中でも300℃以下で焼成することが好ましい。
焼成方法に関しても、従来公知の焼成設備を使用することができる。
本成形体は、ハニカム状とすることで、ロータ型吸着素子(デジカントロータ)や各種フィルターとすることができ、これらを使用して調湿装置や脱臭装置といった、空調装置を製造することができる。
他にも、造粒によりペレット状に成形し、基材に固定することでも、同様の用途への利用が期待できる。
また、吸着性粒子が触媒機能も同時に持つ場合は、固定触媒としての利用も可能である。さらにまた、本成形体を適宜形状に成形し、例えばガス分離精製装置、熱交換器などに好適に利用することができる。
本発明において、「X〜Y」(X,Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り「X以上Y以下」の意と共に、「好ましくはXより大きい」及び「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
また、本発明において、「X以上」(Xは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはXより大きい」の意を包含し、「Y以下」(Yは任意の数字)と表現した場合、特にことわらない限り、「好ましくはYより小さい」の意を包含するものとする。
先ず、実施例・比較例で用いた試料の作製方法と、その評価方法について説明する。
実施例・比較例の各評価において試料の焼成を行った。この際の焼成条件について説明する。
比較例2および比較例3の焼成条件は、マッフル炉(ヤマト科学、FM−27)にて、600℃で2時間焼成した。
比較例4および比較例5の焼成条件は、ベーキング試験装置(大栄科学精器製作所、DKS−5S)にて250℃で100分間焼成した。
実施例・比較例で用いたバインダーはそれぞれの焼成条件において焼成し、厚さ0.5mmのシート状のバインダー硬化物を作製した。得られたシート状のバインダー硬化物を常温の室内でノギスを用いて厚み方向に圧縮し、厚みが80%になったところで荷重を解き、1分後に同じ部分の厚みを測定した。この際、厚みが圧縮前の99%以上まで復元すれば、常温において本発明におけるゴム弾性体であると認めることができる。
実施例・比較例で用いたバインダー硬化物の、各温度での貯蔵弾性率を動的粘弾性測定装置DVA−200(アイティー計測制御(株)製)を使用し、振動周波数10Hzで測定した。
表1に示すように、吸着性粒子として低温再生が可能な合成ゼオライトである、三菱樹脂(株)製、商品名:AQSOA FAM−Z05(ゼオライト構造AFI、アルミノフォスフェート、細孔径7.3Å、平均粒子径D50:5μm)を75部、繊維鉱物として、TOLSA社製、商品名:PANGEL AD(セピオライト)を10部、バインダーを固形分にして15部混合し、骨材配合を調製した。
一方で、実施例および比較例において多孔化を行なわない場合は、骨材配合全体が40gとなるように調製し、溶媒としてイオン交換水を骨材配合100質量部に対して46.5部(18.6g)、可塑剤として信越化学工業(株)製、商品名:メトローズ90SH30000を骨材配合100質量部に対して5.5部(2.2g)添加し、東洋精機製ラボプラストミルにて30rpm、20〜30℃の条件で15分混練し、練土を得た。
なお、表1の枠内の数値は質量部を示し、( )内の数値は固形分換算した値を示している。また、造孔材、水および可塑剤の質量部は、骨材配合を100質量部としたときの質量部である。
実施例・比較例で得られた練土を、常温にてプレスし、乾燥させ、それぞれの焼成条件で焼成し、厚さ0.9mmの焼成済みシートを得た。得られた焼成済みシートを50×50mmの大きさに切断し、25℃、48%RHの室内における重量変化を電子天秤で記録した。室内に放置し、飽和状態に達した重量と、乾燥状態の重量の差分を飽和吸水量として、乾燥状態からの重量増加分を飽和吸水量で割ったものを吸水率とした。吸着速度の指標として10分後の吸水率を求めた。
10分後の吸水率(%)=(乾燥状態から10分後の増加重量)/(室内における飽和吸水量)×100
ここで、10分後の吸水率が15%以上のものを吸着速度評価「○」、10%以上、15%未満のものを吸着速度評価「△」、10%未満のものを吸着速度評価「×」と規定し、表1に記載した。
実施例・比較例で得られた練土を、スリットノズル(リップギャップ1mm、幅8mm)を取り付けたフローテスターを用いて、常温下で厚さ1mmのシートを成形し、得られたシートを厚さ1mm、幅5mm、長さ40mmの短冊に加工し、それぞれの焼成条件で焼成し、焼成済み短冊状成形体を得た。
このように作製した厚さ1mm、幅5mm、長さ40mmの焼成済み短冊状成形体を、電磁力式微小試験機MMT−250N(島津製作所製)にて、変位速度1mm/分、スパン間16mmにて3点曲げ試験を行い、その結果を図3に示した。
バインダーとして縮合型のシリコーンRTVゴムである、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製、商品名:TSE3826(ベースポリマーとしてポリアルキルシロキサン、架橋剤としてオキシムシラン、触媒としてジアルキルスズ化合物、無機粒子として酸化鉄及びシリカを含む)を用い、多孔化を実施した。配合部数は表1に示すようである。
また、バインダー硬化物の貯蔵弾性率を図2に示す。実施例1のバインダー硬化物の20℃での貯蔵弾性率は1.26×106Paであった。また、0℃での貯蔵弾性率は1.28×106Pa、150℃での貯蔵弾性率は1.31×106Paであった。よって、一般にゴム弾性体が示すといわれている1〜10MPaの常温での貯蔵弾性率の範囲内に入っていた。また、0〜250℃の温度範囲で、ほぼ一定の貯蔵弾性率を保っていることが分かった。
以上の結果より、実施例1で得られた成形体は、多孔化により不連続な結合相を有し、硬化性シリコーンからなるバインダー硬化物がゴム弾性を有するため、広い温度範囲において弾性率の変化が少なく、従来技術よりも成形体の強度と、吸着速度の両方を向上させることが可能であると考えることできる。
実施例1と同じバインダーを用い、多孔化は実施しなかった。配合部数は表1に示すようである。
以上のように、比較例1で得られた成形体の強度は十分であったが、吸着速度に関してはかなり低いものであった。
バインダーとして日産化学社製、商品名:スノーテックス N−40を固形分にして実施例1と同じ質量部だけ添加した。固形分は40質量%であった。多孔化を実施した。配合部数は表1に示すようである。
また、バインダー硬化物の貯蔵弾性率に関しては、シリカゾルの硬化物は非常に脆いため、測定不能であった。
以上のように、比較例2で得られた成形体は、吸着速度は良好であったが、成形体は脆く、強度が不十分であった。
比較例2と同じバインダーを用い、多孔化は実施しなかった。配合部数は表1に示すようである。
以上のように、比較例3で得られた成形体は、吸着速度、及び成形体の強度に関しても不十分であり、両立はできていなかった。
バインダーとして旭化成・ワッカーシリコーン(株)製、商品名:SILRES MSE100を固形分にして実施例1と同じ質量部だけ添加した。多孔化を実施した。配合部数は表1に示すようである。
また、バインダー硬化物の貯蔵弾性率に関しては、非常に脆いため、測定不能であった。
以上のように、比較例4で得られた成形体は、実施例1と比較すると、吸着速度は若干遅く、成形体の強度も不十分であった。
比較例4と同じバインダーを用い、多孔化は実施しなかった。配合部数は表1に示すようである。
以上のように、比較例5で得られた成形体は、シリカゾルをバインダーとして用いた比較例3よりも、若干の強度向上が見られたものの、吸着速度が不十分であった。
実施例1は、結合相が広い温度領域でゴム弾性であるため、物理的なストレスを緩和でき、成形体の破壊が起こりにくいが、比較例1に示したように、ゴム弾性のバインダーを用いただけで、多孔化を実施しなかった場合は、吸着性粒子の有する吸着能力を十分発揮することが出来ず、吸着速度が低いという問題があった。
比較例2〜5は、結合相が高弾性であり、物理的なストレスを緩和出来ないため、比較例2又は4のように多孔化され、結合相の連続性又は均一性が失われると、応力集中により破壊され易いことが分かった。
Claims (11)
- 吸着性粒子と、硬化性シリコーン組成物からなるバインダーとを含有してなる成形体であって、前記バインダーが常温にてゴム弾性を有することと、前記吸着性粒子の含有量が、吸着性粒子及びバインダーの合計量100質量部に対して60質量部以上、90質量部以下であることと、造孔材により多孔化されていることとを特徴とする成形体。
- 請求項1に記載のバインダーが、縮合型の硬化性シリコーン組成物であることを特徴とする成形体。
- 吸着性粒子が、ゼオライト、シリカゲル、メソポーラスシリカ及び活性炭からなる群の中から選ばれる1種類又は2種類以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の成形体。
- 吸着性粒子は、アルミノシリケート類及びアルミノフォスフェート類からなる群の中から選ばれる1種類のゼオライト又は2種以上の組み合わせからなるゼオライトであることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の成形体。
- ハニカム状であることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の成形体。
- 請求項1〜5の何れかに記載の成形体を用いてなるデシカントロータ。
- 請求項6に記載のデシカントロータを用いてなる空調装置。
- 請求項1〜5の何れかに記載の成形体を用いてなるフィルター。
- 請求項8に記載のフィルターを用いてなる空調装置。
- 請求項1〜5の何れかに記載の成形体を用いてなる固定触媒。
- 350℃以下の温度で焼成することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の成形体の製造方法。
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