JP4127983B2 - 金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム - Google Patents

金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムに関し、更に詳しくは金属板と貼合せて絞り加工などの製缶加工をする際に優れた成形加工性を示し、かつ耐熱性、耐レトルト性、保味保香性、耐衝撃性などに優れた金属缶、例えば飲料缶、食品缶などを製造し得る金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
金属缶には内外面の腐蝕防止として一般に塗装が施されているが、最近、工程簡素化、衛生性向上、公害防止の目的で、有機溶剤を使用せずに防錆性を得る方法の開発が進められ、その一つとして熱可塑性樹脂フィルムによる金属缶の被覆が試みられている。
【0003】
すなわち、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板に熱可塑性樹脂フィルムをラミネートした後、絞り加工等により製缶する方法の検討が進められている。
【0004】
この熱可塑性樹脂フィルムとしては、成形加工性、耐熱性、耐衝撃性、保味保香性などの点で、共重合ポリエステルフィルムが適していることが次第に明らかになりつつある。
【0005】
しかしながら、このポリエステルフィルムは、一般に耐衝撃性、特に15℃以下の低温での耐衝撃性が不十分であり、このフィルムを貼合せた金属缶を低温下で落下させたりして衝撃を与えるとフィルムにひび割れが生じ易く、ジュース、清涼飲料水用の金属缶のように冷却した状態で取り扱われるものでは大きな問題となる。
【0006】
そこで、フィルムの耐衝撃性を向上させる目的で、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルとブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルとからなるポリエステル組成物において両ポリエステルを互いにエステル交換反応を起こさせたものをフィルムに用いる方法が提案されている。例えば、極限粘度を定めたポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとの配合品を製缶材料として用いる方法(特開平9−194604号公報)である。
【0007】
これらはガラス転移点が低く成り易くフィルムの表面に内容物の保香性分などを吸着し易いことから、緑茶類など極めて微妙な味わいが重要な飲料などに用いることが出来なかった。
【0008】
そこで、フィルムの構成を2層とし、缶体である金属板側にポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートとの配合品を配し、内容物側にはよりガラス点移転の高い樹脂とすることにより、耐衝撃性と内容物に対する保香性を両立させるという方法が提案されている(特開平11−207909号公報)。
【0009】
しかし、近年は無味無臭が要求されるミネラルウォーターや極めて微妙な味わいが重要なニアウォーターなどが普及するにつれ、従来の技術では必ずしも十分な保味保香性を示さず、臭気や味に対する変化が感知されるのが問題となっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、かかる従来技術の問題点を解消し、ポリエステルフィルムが持っている優れた成形加工性、耐熱性、耐レトルト性、耐衝撃性を保持し、かつ、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性を改善した金属板貼合せ成形加工用ポリエステルフィルムを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、積層フィルムの内容物側層に含有される特定の金属元素の含有量を制限することにより、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性が顕著に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、チタン化合物をエステル交換反応触媒および重縮合反応触媒として製造されたエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃である共重合ポリエステルからなる樹脂層(A層)と、融点が210〜250℃のエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル(I)10〜70重量%と、融点が170〜223℃のブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)30〜90重量%とからなる樹脂層(B層)とを積層してなり、前記A層に含有されるアンチモン元素、ゲルマニウム元素およびアルカリ金属元素の総量が1ppm未満である金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムである。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0013】
[樹脂層(A層)]
本発明において、樹脂層のA層に用いられる共重合ポリエステルとしては、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性を改善することができることから、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃、好ましくは215〜240℃である共重合ポリエステルを使用する。
【0014】
この共重合ポリエステルは、融点を上記の範囲にすることが肝要であるが、そのために共重合成分を用いて融点を調整する。共重合成分は、ジカルボン酸成分でもジオール成分でもよい。ジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸の如き脂環族ジカルボン酸等を例示することができる。ジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール等の如き脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオール:ビスフェノールAの如き芳香族ジオールを例示することができる。
【0015】
これらは、単独または二種以上を使用することができる。これらのなかでも、イソフタル酸が好ましく用いられる。
【0016】
共重合成分の割合は、その種類にもよるが結果として共重合ポリエステルの融点が210〜245℃、好ましくは215〜240℃の範囲になる割合である。融点が210℃未満では耐熱性が劣る。融点が245℃を超えるとポリマーの結晶性が高すぎて成形加工性が損なわれる。例えば、共重合成分としてイソフタル酸を用いる場合、共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分に対して4〜19モル%用いると融点を210〜245℃の範囲とすることができる。
【0017】
ここで、共重合ポリエステルの融点測定は、Du Pont Instruments 910 DSCを用い、サンプル量は20mgについて、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。
【0018】
A層に用いられる共重合ポリエステルの固有粘度は、好ましくは0.52〜1.50、さらに好ましくは0.57〜1.00、特に好ましくは0.60〜0.80である。固有粘度が0.52未満では耐衝撃性が不足することがあり好ましくない。固有粘度が1.50を超えると成形加工性が損なわれることがあり好ましくない。
【0019】
なお、共重合ポリエステルの固有粘度は、ο−クロロフェノールに溶解後、35℃で測定した値である。
【0020】
[A層の共重合ポリエステルの製造方法]
A層に用いられる共重合ポリエステルは、ジメチルテレフタレートおよび共重合成分のジメチルエステルと、エチレングリコールとを原料とするエステル交換反応により製造することができ、例えば、共重合成分としてイソフタル酸を用いる場合、ジメチルテレフタレートおよびジメチルイソフタレートとエチレングリコールとを原料とするエステル交換法により製造することができる。
【0021】
本発明において、A層に用いられる共重合ポリエステルの製造にあたり、エステル交換反応触媒としてチタン化合物、重縮合反応触媒としてもチタン化合物を用いることが必要である。チタン触媒を用いることにより、従来のポリエステルフィルムと異なり、不純物のさらに少ないポリエステルフィルムを得ることができ、内容物の保味保香性が優れた缶を製造することができる。
【0022】
チタン化合物としては、チタンテトラブトキシド、酢酸チタンが好ましい。
チタン化合物の使用量は、共重合ポリエステル中に残存するチタン原子の総量として、好ましくは50ppm未満、更に好ましくは4以上50ppm未満、更に好ましくは4以上25ppm未満、特に好ましくは4以上15ppm未満の範囲である。4ppm未満であるとポリエステルの重縮合反応の速度が低下して所定の固有粘度を有するポリエステルが製造で困難になり、50ppmを超えるとポリエステルの耐熱性が低下する。
【0023】
A層の共重合ポリエステルに含有されるアンチモン元素、ゲルマニウム元素およびアルカリ金属元素の総量は1ppm以下であることが好ましく、さらには含有しないことが好ましい。アンチモン元素の量およびゲルマニウム元素の量は、蛍光X線分析により定量する。またアルカリ金属元素の量は、原子吸光分析により定量する。アンチモン元素、ゲルマニウム元素およびアルカリ金属元素の総量が1ppmを超えると、保味保香性、特にレトルト処理後の保味保香性が劣ることになる。
【0024】
[樹脂層(B層)]
樹脂層のB層は、融点が210〜250℃のエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル(I)10〜70重量%と、融点が170〜223℃のブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)30〜90重量%とからなる。
【0025】
[共重合ポリエステル(I)]
B層の共重合ポリエステル(I)は、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステルであるが、融点が210〜250℃であることが肝要である。そのために、共重合成分を用いて共重合ポリエステル(I)の融点を210〜250℃の範囲に調整する。融点がこの範囲にあれば、共重合成分は、ジカルボン酸成分、ジオール成分およびこれら両者のいずれでもよい。
【0026】
共重合成分としては、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸;アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸を例示することができる。
【0027】
ジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の如き脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを例示することができる。
【0028】
これらは単独または二種以上を使用することができる。共重合成分の中でも、イソフタル酸が好ましい。
【0029】
共重合成分の割合は、その種類にもよるが結果として共重合ポリエステル(I)の融点が210〜250℃、好ましくは215〜245℃の範囲になる割合である。融点が210℃未満では耐熱性が劣る。融点が250℃を超えるとポリマーの結晶性が高すぎて成形加工性が損なわれる。例えば、共重合成分としてイソフタル酸を用いる場合、共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分に対して4〜19モル%用いると融点を210〜250℃の範囲とすることができる。
【0030】
共重合ポリエステル(I)の固有粘度は、好ましくは0.52〜0.80、更に好ましくは0.54〜0.70、特に好ましくは0.57〜0.65である。固有粘度が0.52未満では缶成形時の成形加工性や、耐熱脆化等の特性が不十分であり好ましくない。0.8を超えるとフィルム製膜時の押出成形性が低下して好ましくない。
【0031】
なお、共重合ポリエステルの固有粘度は、ο−クロロフェノールに溶解後、35℃で測定した値である。
【0032】
また、共重合ポリエステルの融点測定は、サンプル量は約20mgについて、Du Pont Instruments 910DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピークを求める方法による。
【0033】
[ポリエステル(II)]
B層のポリエステル(II)は、ブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルであり、ホモポリマーでもコポリマーでもよい。
【0034】
主たる繰り返し単位は、全繰り返し単位あたり50モル%以上、好ましくは60モル%以上の成分をいう。
【0035】
ポリエステル(II)として、コポリマーを用いる場合、共重合成分は、ジカルボン酸成分、ジオール成分およびその両者のいずれに用いてもよい。共重合成分のジカルボン酸成分としては、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸等の如き脂肪族ジカルボン酸;イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸を例示することができる。
【0036】
共重合成分のジオール成分としては、ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等の如き脂肪族ジオール;1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールを例示することができる。
これらは単独で用いてもよく、二種以上を併用してもよい。
【0037】
ポリエステル(II)として、コポリマーを用いる場合、共重合成分としてはイソフタル酸、2,6−ナフタレンジガルボン酸またはアジピン酸が好ましい。
【0038】
共重合成分の割合は、その種類にもよるが結果としてポリエステル(II)の融点が170〜223℃、更には180〜223℃の範囲になる割合である。融点が170℃未満では耐熱性が劣る。なお、ポリブチレンテレフタレートのホモポリマーの融点は223℃である。
【0039】
共重合成分として、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジガルボン酸またはアジピン酸を用いる場合、共重合成分の割合は、全ジカルボン酸成分に対して0〜22モル%用いると融点を170〜223℃の範囲とすることができる。
【0040】
ポリエステル(II)の固有粘度は、好ましくは0.70〜2.00、更に好ましくは0.75〜1.70、特に好ましくは0.80〜1.50である。
ポリエステル(II)の融点および固有粘度の測定方法は、前述の共重合ポリエステル(I)における測定方法と同じである。
【0041】
[B層の組成比率]
B層は、共重合ポリエステル(I)10〜70重量%とポリエステル(II)30〜90重量%とからなり、好ましくは共重合ポリエステル(I)が30重量%を超え60重量%未満と、ポリエステル(II)が40重量%を超え70重量%未満とからなる樹脂層からなる。この樹脂層は、通常は、共重合ポリエステル(I)とポリエステル(II)とを溶融混合して得たポリエステル組成物からなる。
【0042】
共重合ポリエステル(I)が70重量%を超え、ポリエステル(II)が30重量%未満であると、耐衝撃性が悪化し易く、またレトルト処理後の外観が斑点状に乳白色に変色する。共重合ポリエステル(I)が10重量%未満であり、ポリエステル(II)が90重量%を超えると、結晶性が高くなりすぎて製膜性が悪化する。
【0043】
[B層の共重合ポリエステルおよびポリエステルの製造方法]
B層の共重合ポリエステル(I)およびポリエステル(II)は、従来公知の製造方法で製造したものを使用することができ、製造方法によって限定されることはない。
【0044】
例えば、共重合ポリエステル(I)は、テレフタル酸、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル化反応させ、ついで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法で製造することができる。
【0045】
また、共重合ポリエステル(I)は、ジメチルテレフタレート、エチレングリコールおよび共重合成分をエステル交換反応させ、ついで得られる反応生成物を重縮合反応させて共重合ポリエステルとする方法で製造することができ、この方法は好ましく用いられる。
【0046】
共重合ポリエステル(I)およびポリエステル(II)の製造に使用するエステル交換反応触媒および重縮合反応触媒として、チタン化合物、ゲルマニウム化合物およびアンチモン化合物が好ましく、チタン化合物およびゲルマニウム化合物が好ましく、チタン化合物が最も好ましい。
【0047】
これらの製造において、必要に応じ、添加剤、例えば蛍光増白剤、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤を添加してもよい。また、白色顔料や黄色顔料を添加して着色してもよい。
【0048】
[微粒子]
本発明の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムのA層よびB層の少なくとも1つの層は、フィルム製造工程における取扱い性、特に巻取り性を改良するために、平均粒径2.5μm以下、好ましくは0.01〜1.8μmの微粒子を含有することが好ましい。この場合、その含有量はポリエステル100重量%に対して、好ましくは0.005〜1重量%、さらに好ましくは0.01〜0.5重量%である。
【0049】
この微粒子は、二種類以上を同時に用いることもでき、A層とB層とで異なる粒径のものを用いることもできる。この場合、A層には、B層で用いる微粒子より粒径の小さい粒子を用いることが好ましい。
【0050】
微粒子は、無機系および有機系のいずれも用いることができ、無機系の微粒子が好ましい。無機系の微粒子としては、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムを例示することができる。有機系の微粒子としては、架橋ポリスチレン粒子、架橋シリコーン樹脂粒子等を例示することができる。
【0051】
微粒子の平均粒径が2.5μmを超えると成形加工により変形した部分に、例えば10μm程度の粗大粒子が発生し、この粗大粒子が起点となり、ピンホールを生じたり、場合によっては破断することもある。耐ピンホール性の点で好ましい微粒子は、平均粒径が2.5μm以下であると共に、粒径比(長径/短径)が1.0〜1.2である単分散微粒子である。
【0052】
このような観点から好ましい微粒子としては、真球状シリカ、真球状二酸化チタン、真球状ジルコニウム、真球状架橋シリコーン樹脂粒子を例示することができる。
【0053】
[COOH末端量]
B層の共重合ポリエステル(I)とポリエステル(II)は、製膜の直前に溶融混練されることが好ましい。良好な製膜性を得る観点から、共重合ポリエステル(I)は、溶融混練の前のCOOH末端量が10〜50当量/トンであることが好ましく、ポリエステル(II)は、溶融混練の前のCOOH末端量が10〜70当量/トンであることが好ましい。共重合ポリエステル(I)について、COOH末端量が10当量/トン未満であるとレトルト処理後の外観が斑点状に乳白色に変色するため好ましくない。50当量/トンを超えると製膜工程中、特に延伸工程中に結晶化を起こすことから、局所的な厚み斑や幅変動の原因となり、製膜性が低下し易く好ましくない。
【0054】
ポリエステル(II)について、COOH末端量が10当量/トン未満であると、レトルト処理後の外観が斑点状に乳白色に変色するため好ましくない。70当量/トンを超えると製膜工程中、特に延伸工程中に結晶化を起こすことから、局所的な厚み斑や幅変動の原因となり、製膜性が低下し易く好ましくない。
【0055】
なお、COOH末端量は、セイワ技研製COOH自動測定装置を用い、サンプル100mgにベンジルアルコール20mgを加え、窒素雰囲気下にて200℃で4分間加熱した後、常温に冷却し、フェノールレッドを指示薬として0.02N水酸化ナトリウムベンジルアルコール溶液を滴下して、指示薬変色までの滴定量より下記式を用いて求めた数値である。
COOH末端量(当量/トン)=滴定量(cc)×200
【0056】
[製造方法]
本発明の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムは、未延伸フィルムであってもよいが、二軸配向フィルムであることが好ましい。
【0057】
本発明の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムは、厚みが、好ましくは3〜75μm、更に好ましくは6〜50μm、特に好ましくは9〜30μmである。厚みが3μm未満では成形加工時に破れ等が生じやすくなり好ましくなく、75μmを超えるものは過剰品質であって不経済である好ましくない。
【0058】
本発明の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムは、従来から知られている方法で製造することができる。
【0059】
本発明の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムは、金属板貼り合わせ成型加工に用いられる。貼り合わせられる対象の金属板としては、ブリキ、ティンフリースチール、アルミニウム等の金属板が適切である。これらの金属板と貼り合わせることにより、特に製缶用に好適に用いることができる金属板を得ることができる。
【0060】
金属板への本発明のフィルムの貼り合わせは、例えば下記(ア)または(イ)の方法で行うことができる。
【0061】
(ア)金属板をフィルムの融点以上に加熱しておいてフィルムを貼り合わせた後冷却し、金属板に接するフィルムの表層部(薄層部)を非晶化して密着させる。
【0062】
(イ)フィルムにあらかじめ接着剤をプライマーコートしておき、この面と金属板を貼り合わせる。接着剤としては公知の樹脂接着剤、例えばエポキシ系接着剤、エポキシ−エステル系接着剤、アルキッド系接着剤等を用いることができる。また、この接着剤に白色顔料や黄色顔料を分散させることにより着色外観を有するフィルムとすることもできる。
【0063】
【実施例】
以下、実施例を掲げて本発明を更に説明する。なお、フィルムの特性は、以下の方法で測定および評価した。
【0064】
(1)融点
Du Pont Instruments 910 DSCを用い、昇温速度20℃/分で融解ピーク温度を求める方法による。なおサンプル量は約20mgとする。
【0065】
(2)固有粘度
フィルムをο−クロロフェノールに溶解後、遠心分離機により酸化チタン等のフィラーを取り除き、35℃の温度にて測定する。なお、固有粘度は未延伸フィルムの値である。
【0066】
(3)ポリエステル中のアルカリ金属元素の総量
フィルムサンプルをo−クロロフェノールに溶解し、0.5規定塩酸で抽出作業を行なう。この抽出液について原子吸光分析によりNa、K、Liの定量を各元素ごとに行ない、それらの和から求める。
【0067】
(4)アンチモン元素量およびゲルマニウム元素量
フィルムサンプルを240℃に加熱溶融して円形ディスクを作成し、蛍光X線分析により、アンチモン元素量およびゲルマニウム元素量を定量する。
【0068】
(5)深絞り加工性
サンプルフィルムを、240℃に加熱した板厚0.25mmのティンフリースチールの両面に貼り合せ、水冷した後、150mm径の円板状に切り取り、絞りダイスとポンチを用いて4段階で深絞り加工し、55mm径の側面無継目容器(以下、「缶」と略す)を作成する。これらの缶について以下の観察及び試験を行い、各々下記の基準で評価する。なお、貼合せの際にはB層が金属板に接着するように貼り合せる。
○:フィルムに異状なく加工され、フィルムに白化や破断が認められない。
△:フィルムの缶上部に白化が認められる。
×:フィルムの一部にフィルム破断が認められる。
【0069】
(6)耐衝撃性
前記(5)にて深絞り成型が良好であった缶に水を一杯まで充填した後、0℃に冷却した後、各テストにつき10個ずつ高さ30cmから塩ビタイル床面に落とした後、缶内フィルム面の防錆性試験を行う。
【0070】
防錆性試験(以下「ERV試験」と称することがある)としては、1%NaCl水を缶内に入れ、電極を挿入し、缶体を陽極にして6Vの電圧をかけた時の電流値を測定する。
防錆性試験の結果を、下記の基準で評価する。
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mAを超えていた。
×:6個以上について0.2mAを超えているかあるいは、落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0071】
(7)レトルト後外観
前記(5)にて深絞り成型が良好であった缶に水を一杯まで充填した後、レトルト釜に入れ、120℃の加圧水蒸気で30分レトルト処理を施し、深絞り缶の底のポリエステル樹脂層の表面外観の変化を肉眼で観察し、下記の基準で評価する。
○:変化なし。
△:やや白濁した。
×:著しく斑点状に乳白色に変化した。
【0072】
(8)耐熱脆化性
前記(5)にて深絞り成型が良好であった缶を200℃×5分間加熱保持した後、水を一杯まで充填して10℃に冷却し、各テストにつき10個ずつを高さ30cmから塩ビタイル床面に落とした後、ERV試験を行ない、下記基準で評価する。
○:全10個について0.1mA以下であった。
△:1〜5個について0.1mAを超えていた。
×:6個以上について0.1mAを超えているかあるいは、150℃×5分間加熱後、既にフィルムのひび割れが認められた。
【0073】
(9)耐レトルト性
前記(5)にて深絞り成型が良好であった缶に水を一杯まで充填した後、レトルト釜に入れ、125℃の加圧水蒸気で30分レトルト処理を施し、しかる後、50℃で10日間保存した。得られた缶を各テストにつき10個ずつ高さ1mから塩ビタイル床面に落とした後、缶内のERV試験を行ない、下記基準で評価する。
○:全10個について0.2mA以下であった。
△:1〜5個について0.2mAを超えていた。
×:6個以上について0.2mAを超えているかあるいは、落下後既にフィルムのひび割れが認められた。
【0074】
(10)保味保香性−1
深絞り成形が良好な缶について、イオン交換水を充填し、常温下(20℃)2ヶ月間保管する。その浸漬液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用のイオン交換水と比較し、下記基準で評価する。
◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
△:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
【0075】
(11)保味保香性−2
深絞り成形が良好な缶について、イオン交換水を充填し、蒸気滅菌器で120℃、1時間レトルト処理を行い、しかる後、常温下(20℃)2ヶ月間保管する。その浸漬液を用いて30人のパネラーにて試飲テストを行い、比較用のイオン交換水と比較し、下記基準で評価する。
◎:30人中3人以下が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
〇:30人中4人〜6人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
△:30人中7人〜9人が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
×:30人中10人以上が比較液と比べて味、香りの変化を感じた。
【0076】
[実施例1〜6および比較例1〜4]
表1に示す共重合成分および重縮合触媒を用いて製造した共重合ポリエチレンレテフタレートをA層の樹脂(平均粒径0.3μm、粒径比1.05、相対標準偏差0.08の真球状単分散シリカ0.03重量%含有)として製造した。また、表2に示す共重合成分を用いて常法により製造した共重合ポリエステル(I)(平均粒径1.3μm、粒径比1.07、相対標準偏差0.09の真球状単分散シリカ0.09重量%含有)およびポリエステル(II)をB層の樹脂として製造した。
【0077】
表中、「TBT」はチタンテトラブトキシドを、「IA」はイソフタル酸を意味する。
【0078】
【表1】
Figure 0004127983
【0079】
【表2】
Figure 0004127983
【0080】
これらA層の樹脂とB層の樹脂のチップを、それぞれ170℃において3時間乾燥し、それぞれの層ごとに2台の押出機ホッパーに供給して溶融温度280〜300℃で溶融押出し、2層ダイを用いて2層溶融物を表面温度20℃の冷却ドラム上に押出して急冷し、厚さ0.4〜1.1mmの未延伸フイルムを得た。このようにして得られた未延伸フィルムを70℃に余熱し、低速−高速ロール間で赤外線ヒーターを用いて延伸温度110〜120℃にて延伸倍率3.3倍に縦延伸した。得られた1軸延伸フィルムをステンターに供給し、90〜105℃にて横方向に3.7倍に延伸しその後190℃にて熱固定を行い、表2に示す2軸配向共重合ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの厚みは25μmであり、A層の厚みは7μm、B層の厚みは18μmであった。
【0081】
なお、A層に含有されるアルカリ金属元素の総量、アンチモン金属量、ゲルマニウム金属量は表1に示すとおりであった。また、実施例1、3〜6ならびに比較例3および4においてはチタン触媒量はチタン元素濃度で14ppmになる量を添加し、実施例2においては20ppmとなる量を添加した。また、比較例4においてはポリエステルの重合時に酢酸ナトリウムをナトリウム元素換算値として7ppm添加した。
得られた各フィルムの特性を評価した結果は表3に示す通りであった。
【0082】
【表3】
Figure 0004127983
【0083】
表3の結果から明らかなように、本発明のポリエステルフィルムを使用した缶では、深絞り加工性、耐衝撃性、耐熱脆化性、耐レトルト性、保味保香性に優れ、特にレトルト後の保味保香性が優れたものであった。
【0084】
【発明の効果】
本発明の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルムは、金属板と貼合せた後、製缶加工、例えば深絞り加工をして金属缶を成型するにあたり、深絞り加工性、耐衝撃性、耐熱脆化性、耐レトルト性、保味保香性に優れ、特にレトルト後の保味保香性が改善されるため、清涼飲料水用などの金属缶容器用のフィルムとして極めて有用である。

Claims (4)

  1. チタン化合物をエステル交換反応触媒および重縮合反応触媒として製造されたエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とし、融点が210〜245℃である共重合ポリエステルからなる樹脂層(A層)と、融点が210〜250℃のエチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とする共重合ポリエステル(I)10〜70重量%と、融点が170〜223℃のブチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル(II)30〜90重量%とからなる樹脂層(B層)とを積層してなり、前記A層に含有されるアンチモン元素、ゲルマニウム元素およびアルカリ金属元素の総量が1ppm未満である金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム。
  2. 樹脂層(B層)が、共重合ポリエステル(I)30重量%を超え60重量%未満と、ポリエステル(II)40重量%を超え70重量%未満とからなる請求項1記載の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム。
  3. A層に含有されるチタン元素の総量が50ppm未満である請求項1または2に記載の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム。
  4. A層に含有されるチタン元素の総量が4ppm以上15ppm未満である請求項1または2に記載の金属板貼合せ成形加工用積層ポリエステルフィルム。
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