JP4124050B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents
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また、この車線逸脱防止装置では、操舵アクチュエータを必要とするため、例えばアンチスキッド制御装置や駆動力制御装置を用いて各車輪の制動力或いは駆動力を制御し、その結果、車両にヨーモーメントを発生せしめて自車両の走行方向、或いは走行位置を制御することが考えられる。
本発明はこれらの諸問題を解決するために開発されたものであり、自車両周辺の移動体の将来の動きに応じた車線逸脱回避制御を可能とする車線逸脱防止装置を提供することを目的とするものである。
図1は、本実施形態の車線逸脱防止装置の一例を示す車両概略構成図である。この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
図中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は、運転者によるブレーキペダル1の踏込み量に応じ、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるようになっているが、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介装されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
次に、前記車両状態コントロールユニット8で行われる演算処理のロジックについて、図2のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、例えば10msec. 毎の所定サンプリング時間ΔT毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読出される。
次にステップS3に移行して、逸脱推定値として将来の推定横変位XSを算出する。具体的には、前記ステップS1で読込んだ自車両の走行車線に対するヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率β及び前記ステップS2で算出した自車両の走行速度Vを用い、下記2式に従って将来の推定横変位XSを算出する。
XS=Tt×V×(φ+Tt×V×β)+X ……… (2)
MS0=−K1 ×K2 ×(XS−XC ) ……… (3)
次に、図7に示す制御マップに従って、前記雨滴センサ28で検出された雨滴量に応じた雨滴量対応補正係数kFAを算出設定し、この雨滴量対応補正係数kFAを前記基準目標ヨーモーメントMS0に乗じると共に、前記追い抜き判断フラグFKCが“1”又は“3”で且つ前記逸脱判断フラグFLDが“1”であるか、又は前記追い抜き判断フラグFKCが“2”又は“3”で且つ前記逸脱判断フラグFLDが“2”である場合には、前記ステップS6で設定された後続車両対応補正係数kKCを前記基準目標ヨーモーメントMS0に乗じると共に、前記ヘッドランプスイッチ信号がオン状態であるときには前記基準目標ヨーモーメントMS0を1.1倍して前記目標ヨーモーメントMS を算出する。なお、これらの補正は、何れも補正係数を調整する、つまり制御ゲインを調整するものであるが、これらの補正のうち、前記後続車両対応補正係数kKCによる補正は、自車両周辺の移動体、特に後続車両の将来の状態、つまり追い抜きに対応したものであり、その他の補正は周囲の環境、特に視認性に対応したものである。例えば、前記図7の制御マップでは、検出される雨滴量が多いほど、雨滴量対応補正係数kFAが大きく設定されるようになっており、雨滴量が多いほど、視認性が悪いものと判断し、制御ゲインを大きくして逸脱回避制御が大きく或いは早く行われるようにする。また、ヘッドランプスイッチがオン状態であるときには、自車両の周辺が暗くて視認性が悪いものと判断し、制御ゲインを大きくして逸脱回避制御が大きく或いは早く行われるようにする。
ΔPSF=2×KbF×(|MS |−MS0)/T ……… (5)
ΔPSR=2×KbR×|MS0|/T ……… (6)
従って、前記目標ヨーモーメントMS が負値であるとき、即ち前記逸脱判断フラグFLDが“1”にセットされ、自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧PSiは下記7式で与えられる。
PSFR =Pm +ΔPSF
PSRL =Pm
PSRR =Pm +ΔPSR ……… (7)
これに対し、前記目標ヨーモーメントMS が正値であるとき、即ち前記逸脱判断フラグFLDが“2”にセットされ、自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときの各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧PSiは下記8式で与えられる。
PSFL =Pm +ΔPSF
PSFR =Pm
PSRL =Pm +ΔPSR
PSRR =Pm ……… (8)
この演算処理によれば、運転者の意図的な車線変更でもないのに、将来の推定横変位XSが横変位限界値XC 以上となったときに、自車両は走行車線から逸脱する傾向にあると判断されて逸脱判断フラグFLDがセットされ、前記将来の推定横変位XSと横変位限界値XC との差に基づいて目標ヨーモーメントMS を算出し、その目標ヨーモーメントMS が達成されるように各車輪の制動力が制御される。これにより、例えば操舵入力が小さいときには、車両に車線逸脱を防止するヨーモーメントが発生して車線逸脱が防止されると共に、制動力によって車両の走行速度が減速されるため、より安全に車線の逸脱を防止することが可能となる。また、この実施形態では、車線逸脱防止制御が行われている間は、エンジンの出力トルクが低減されて自車両の走行速度が減速されるため、更に安全に車線逸脱を防止することが可能となる。
また、例えば追い抜きしようとする後続車両のように、自車両に接近する自車両周辺の車両を移動体として検出することにより、自車両の車線逸脱制御を適正化することができる。
また、複数の周辺移動体に重み付けを行い、それらの重みに応じて逸脱回避のための自車両の制御を補正する構成としたため、自車両の車線逸脱回避制御をより一層適正化することができる。
また、後続車両の追い抜きが予測されたときに、当該後続車両の追い抜きの方向への自車両の車線逸脱回避制御を大きくするか又は早めるように逸脱回避のための自車両の制御を補正する構成としたため、後続車両追い抜き方向への自車両の車線逸脱回避制御を適正化することができる。
検出された自車両と後続車両との距離LX や相対速度VX 、即ち後続車両の自車両に対する接近状態、自車両に対する後続車両の横変位LY 、後続車両の横速度VY に応じて、当該後続車両の追い抜きを予測する構成としたため、当該後続車両の追い抜きを正確に予測することが可能となる。
また、自車両の走行速度V、走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線に対する横変位X、自車両前方の走行車線の曲率βに基づいて、走行車線の所定位置からの将来の自車両の横変位を逸脱推定値として算出し、その逸脱推定値が所定値以上であるときに自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判断する構成としたため、自車両の車線逸脱傾向を正確に判断することができる。
TS =mid(−TSMAX、−kKC×K3 ×(XS−XC )、TSMAX) ……… (9)
この演算処理によれば、運転者の意図的な車線変更でもないのに、将来の推定横変位XSが横変位限界値XC 以上となったときに、自車両は走行車線から逸脱する傾向にあると判断されて逸脱判断フラグFLDがセットされ、前記将来の推定横変位XSと横変位限界値XC との差に基づいて目標付加操舵トルクTS を算出し、その目標付加操舵トルクTS が達成されるように操舵系が制御される。これにより、車両に車線逸脱を防止するヨーモーメントが発生して車線逸脱が防止される。
また、本実施形態では、前記第1実施形態の種々の効果に加えて、後続車両の追い抜き、即ち周辺移動体の将来の状態に応じて、車線逸脱回避のための自車両の制御量の最大値を変更することで当該車線逸脱回避のための自車両の制御を補正する構成としたため、自車両の車線逸脱回避制御を適正化することができる。
なお、前記実施形態では、各コントローラやコントロールユニットをマイクロコンピュータで構成したが、これに代えて各種の演算処理装置を用いることが可能である。
7は制動流体圧制御回路
8は車両状態コントロールユニット
9はエンジン
12は駆動トルクコントロールユニット
13はCCDカメラ
14はカメラコントローラ
15は加速度センサ
16はヨーレートセンサ
17はマスタシリンダ圧センサ
18はアクセル開度センサ
19は操舵角センサ
20は方向指示スイッチ
22FL〜22RRは車輪速度センサ
23は電動モータ
24は操舵トルクコントロールユニット
25は後方撮像用CCDカメラ
26はカメラコントローラ
27はヘッドランプスイッチ
28は雨滴センサ
Claims (11)
- 走行路上のレーンマーカを検出することにより走行車線を検出する走行車線検出手段と、前記走行車線検出手段で検出された走行車線及び自車両の状態に基づいて自車両が走行車線から逸脱傾向にあることを判断する逸脱判断手段と、前記逸脱判断手段により自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判断されたときに、自車両の走行車線からの逸脱を回避するように自車両を制御する逸脱防止制御手段と、自車両の後続車両の状態を検出する後続車両検出手段と、前記後続車両検出手段で検出された後続車両の状態に応じて当該後続車両の追い抜き状態を判断する追い抜き状態判断手段と、前記追い抜き状態判断手段で判断された後続車両の追い抜き状態に応じて前記逸脱回避のための自車両の制御を補正する制御量補正手段とを備え、前記追い抜き状態判断手段は、前記後続車両検出手段で検出された後続車両の自車両に対する接近状態、及び自車両との横方向の変位又は自車両との横変位の変化量に応じて、当該後続車両の追い抜きを予測することを特徴とする車線逸脱防止装置。
- 前記制御量補正手段は、前記周辺移動体将来状態判断手段で判断された周辺移動体の将来の状態に応じて、前記逸脱回避のための自車両の制御量の最大値を変更することで当該逸脱回避のための自車両の制御を補正することを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱防止装置。
- 天候、明るさ、視界の少なくとも一つ以上を周辺環境として検出する周辺環境検出手段を備え、前記制御量補正手段は、前記周辺環境検出手段で検出された周辺環境の視認性が悪いときに、前記逸脱回避が早められるように自車両の制御を補正することを特徴とする請求項1又は2に記載の車線逸脱防止装置。
- 走行路上のレーンマーカを検出することにより走行車線を検出する走行車線検出手段と、前記走行車線検出手段で検出された走行車線及び自車両の状態に基づいて自車両が走行車線から逸脱傾向にあることを判断する逸脱判断手段と、前記逸脱判断手段により自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判断されたときに、自車両の走行車線からの逸脱を回避するように自車両を制御する逸脱防止制御手段と、自車両の後続車両の状態を検出する後続車両検出手段と、前記後続車両検出手段で検出された後続車両の状態から当該後続車両の追い抜きを予測する追い抜き予測手段と、前記追い抜き予測手段で後続車両の追い抜きが予測されたときに、当該後続車両の追い抜きの方向への自車両の車線逸脱回避制御を大きくするか又は早めるように前記逸脱回避のための自車両の制御を補正する制御量補正手段とを備え、前記追い抜き予測手段は、前記後続車両検出手段で検出された後続車両の自車両に対する接近状態、及び自車両との横方向の変位又は自車両との横変位の変化量に応じて、当該後続車両の追い抜きを予測することを特徴とする車線逸脱防止装置。
- 前記制御量補正手段は、前記追い抜き予測手段によって後続車両の追い抜きが予測され且つその予測される位置が運転者の死角であるときに、当該後続車両の追い抜きの方向への自車両の車線逸脱回避制御を大きくするか又は早めるように前記逸脱回避のための自車両の制御を補正することを特徴とする請求項4に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記後続車量検出手段として自車両後方を撮像する後方撮像装置を用い、前記追い抜き予測手段は、前記後方撮像装置で撮像されている領域から領域外に後続車両が移動するとき、当該後続車両が追い抜きすると予測することを特徴とする請求項4又は5に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記走行車線検出手段で検出された走行車線及び自車両の状態から、自車両の走行速度、走行車線に対する自車両のヨー角、走行車線に対する横変位、自車両前方の走行車線の曲率の少なくとも一つ以上に基づいて、走行車線の所定位置からの将来の自車両の横変位を逸脱推定値として算出する逸脱推定値算出手段を備え、前記逸脱判断手段は、前記逸脱推定値算出手段で算出された逸脱推定値が所定値以上であるときに自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判断することを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記逸脱防止制御手段は、前記逸脱判断手段により自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判断されたときに、前記走行車線検出手段で検出された走行車線及び自車両の状態に応じて当該走行車線からの逸脱を回避する方向にヨーモーメントが発生するように左右輪の制駆動力制御量を算出する制駆動力制御量算出手段と、前記制駆動力制御量算出手段で算出された左右輪の制駆動力制御量に応じて各車輪への制駆動力配分を調整する制駆動力配分調整手段とを備えたことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の車線逸脱防止装置。
- 前記走行車線検出手段で検出された走行車線及び自車両の状態から、自車両の走行速度、走行車線に対する自車両のヨー角、走行車線に対する横変位、自車両前方の走行車線の曲率の少なくとも一つ以上に基づいて、走行車線の所定位置からの将来の自車両の横変位を逸脱推定値として算出する逸脱推定値算出手段を備え、前記制駆動力制御量算出手段は、前記逸脱推定値算出手段で算出された逸脱推定値と所定値との差に応じて自車両に発生させるべき目標ヨーモーメントを算出し、その目標ヨーモーメントに応じて左右輪の制駆動力制御量を算出することを特徴とする請求項8に記載の車線逸脱防止装置。
- 運転者の制動操作とは個別に各車輪の制動力を制御可能な制動力制御装置を備えたことを特徴とする請求項8又は9に記載の車線逸脱防止装置。
- 前記逸脱防止制御装置は、前記逸脱判断手段により自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判断されたときに、前記走行車線検出手段で検出された走行車線及び自車両の状態に応じて逸脱を回避する方向に操舵力を付与する操舵力調整手段を備えたことを特徴とする請求項1乃至7に記載の車線逸脱防止装置。
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