JP4020085B2 - 車線逸脱防止装置 - Google Patents

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本発明は、走行中に自車両が走行車線から逸脱しそうになったときに、その逸脱を防止するようにした車線逸脱防止装置に関するものである。
従来、この種の技術としては、例えば、自車両の現在位置と車線区分線との相対位置関係に基づいて自車両が走行車線から逸脱傾向にあると判定されるとき、制動力アクチュエータを制御し、左右輪のうち逸脱方向とは反対側の車輪に制動力を付加することで、逸脱を回避する方向にヨーモーメントを発生させて自車両の走行車線からの逸脱を防止するようにしたもの等が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2001−310719号公報
ところで、上述のように、自車両が車線逸脱傾向にあることを検出したときに、車線逸脱を回避する方向にヨーモーメントを発生させるようにした方法においては、左右輪に制動力差を発生させることによってヨーモーメントを発生させるようにしていることから、自車両に減速度が発生することになり、すなわち車両が減速傾向となる。このように減速を伴って車線からの逸脱防止を図るようにした車線逸脱防止装置を搭載した車両の後方を車両が走行している場合、車線逸脱防止装置を搭載した車両において逸脱防止制御が作動しこれによって減速度が発生した場合、その後続車両のドライバが適切な減速操作を行わなければ、この後続車両は、逸脱防止制御が作動している先行車両に接近してしまう可能性が高くなる。
このように、逸脱防止制御を行うことによって自車両の走行車線からの逸脱を防止することができるものの、後続車両等、自車両の周辺車両に対し影響を与えてしまう可能性があるという問題がある。
そこで、この発明は、上記従来の問題に着目してなされたものであって、自車両の逸脱防止制御が作動することに伴って、自車両周辺の他の車両に対して及ぼす影響をより低減することの可能な車線逸脱防止装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明に係る車線逸脱防止装置は、自車両が走行車線から逸脱しそうであるときには、この逸脱を防止するように逸脱防止制御手段によって制動力制御が行われる。このとき、後方車両検出手段によって後方車両が検出されたときには、走行車線からの逸脱を回避するために必要な制動力制御量と、後方車両と自車両との相対位置関係に応じて設定した制動力制御量の制限値とを比較し、これらの何れか小さい方に基づいて逸脱防止制御が行われる。
ここで、逸脱防止制御手段によって制動力制御が行われると自車両は減速傾向となることから、自車両の後方に車両が存在する場合、この後方車両が減速を行わない場合には後方車両が自車両に接近することになるが、後方車両と自車両との相対位置関係に応じて設定される制限値よりも、逸脱防止制御手段による制御量の方が大きいときには、相対位置関係に応じて設定された制限値に基づいて逸脱防止制御が行われるから、後方車両が減速を行わない場合であっても、自車両に接近しすぎないように逸脱防止制御手段による制御量が調整されることになって後方車両の自車両への接近が抑制されることになる。
本発明に係る車線逸脱防止装置によれば、後方車両と自車両との相対位置関係に応じて設定される制限値と、車線逸脱回避のために必要な制動力制御量とのうち、何れか小さい方に基づいて逸脱防止制御が行われるから、自車両が逸脱防止制御を行うことに起因して後方車両が自車両に接近することを抑制することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、第1の実施の形態における車線逸脱防止装置の一例を示す車両概略構成図である。なお、この車両は、自動変速機及びコンベンショナルディファレンシャルギヤを搭載した後輪駆動車両であり、制動装置は、前後輪とも、左右輪の制動力を独立に制御可能としている。
図1中の符号1はブレーキペダル、2はブースタ、3はマスタシリンダ、4はリザーバであり、通常は、ドライバによるブレーキペダル1の踏込み量に応じて、マスタシリンダ3で昇圧された制動流体圧が、各車輪5FL〜5RRの各ホイールシリンダ6FL〜6RRに供給されるようになっているが、このマスタシリンダ3と各ホイールシリンダ6FL〜6RRとの間には制動流体圧制御回路7が介挿されており、この制動流体圧制御回路7内で、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を個別に制御することも可能となっている。
前記制動流体圧制御回路7は、例えばアンチスキッド制御やトラクション制御に用いられる制動流体圧制御回路を利用したものであり、この実施形態では、各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を、単独で増減圧することができるように構成されている。この制動流体圧制御回路7は、後述する車両状態コントロールユニット8からの制動流体圧指令値に応じて各ホイールシリンダ6FL〜6RRの制動流体圧を制御する。
また、この車両は、エンジン9の運転状態、自動変速機10の選択変速比、並びにスロットルバルブ11のスロットル開度を制御することにより、駆動輪である後輪5RL、5RRへの駆動トルクを制御する駆動トルクコントロールユニット12が設けられている。エンジン9の運転状態制御は、例えば燃料噴射量や点火時期を制御することによって制御することができるし、同時にスロットル開度を制御することによっても制御することができる。
なお、この駆動トルクコントロールユニット12は、単独で、駆動輪である後輪5RL、5RRの駆動トルクを制御することも可能であるが、前述した車両状態コントロールユニット8から駆動トルクの指令値が入力されたときには、その駆動トルク指令値を参照しながら駆動輪トルクを制御する。
また、この車両には、自車両の走行車線からの逸脱判断用に走行車線内の自車両の位置を検出するための前方外界認識センサとして、CCDカメラ等で構成される単眼カメラ13及びカメラコントローラ14を備えている。このカメラコントローラ14では、単眼カメラ13で捉えた自車両前方の撮像画像から、例えば白線等のレーンマーカを検出して走行車線を検出すると共に、図2に示すように、前記走行車線に対する自車両のヨー角φ、すなわち走行車線に対する自車両の向き、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率ρ、走行車線幅W等を算出することができるように構成されている。
なお、このカメラコントローラ14は、レーンマーカ等を検出するための走行車線検出エリアを用いて走行車線検出を行い、その検出された走行車線に対して前記各データを算出する。走行車線の検出には、例えば特開平11−296660号公報に記載される手法を用いることができる。
具体的には、自車両が走行している走行車線の両側の白線等のレーンマーカを検出し、そのレーンマーカを用いて自車両が走行している走行車線を検出する。ここで、撮像された画像全域で白線等のレーンマーカを検出する(走査する)と、演算負荷も大きいし、時間もかかる。そこで、レーンマーカが存在しそうな領域に、更に小さな検出領域(いわゆるウィンドウ)を設定し、その検出領域内でレーンマーカを検出する。一般に、車線に対する自車両の向きが変わると、画像内に映し出されるレーンマーカの位置も変わるので、例えば前記特開平11−296660号公報では、操舵角θから車線に対する自車両の向きを推定し、画像内のレーンマーカが映し出されているであろう領域に検出領域を設定する。
そして、例えばレーンマーカと路面との境界を際立たせるフィルタ処理などを施し、各レーンマーカ検出領域内において、最もレーンマーカと路面との境界らしい直線を検出し、その直線上の一点(レーンマーカ候補点)をレーンマーカの代表的な部位として検出する。このようにして得られた各ウインドウのレーンマーカ候補点を連続すると、自車両前方に展開している走行車線を検出することができる。
また、この車両には、自車両に発生する前後加速度Xg及び横加速度Ygを検出する加速度センサ15、自車両に発生するヨーレートγを検出するヨーレートセンサ16、前記マスタシリンダ3の出力圧、いわゆるマスタシリンダ圧Pmを検出するマスタシリンダ圧センサ17、アクセルペダルの踏込み量、すなわちアクセル開度Accを検出するアクセル開度センサ18、ステアリングホイール21の操舵角θを検出する操舵角センサ19、各車輪5FL〜5RRの回転速度、いわゆる車輪速度Vwi(i=FL〜RR)を検出する車輪速度センサ22FL〜22RR、方向指示器による方向指示操作を検出する方向指示スイッチ20が備えられ、それらの検出信号は前記車両状態コントロールユニット8に出力される。
また、前記カメラコントローラ14で検出された走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率ρ、走行車線幅W、駆動トルクコントロールユニット12で制御された車輪軸上での駆動トルクTwも合わせて車両状態コントロールユニット8に出力される。
なお、検出された車両の走行状態データに左右の方向性がある場合には、何れも左方向を正方向とし、右方向を負方向とする。すなわち、ヨーレートγや横加速度Yg、操舵角θ、ヨー角φは、左旋回時に正値となり、右旋回時に負値となる。また、横変位Xは、走行車線中央から左方にずれているときに正値となり、逆に右方向にずれているときに負値となる。また、走行車線の曲率ρは、左カーブの場合に正値となり、右カーブの場合に負値となる。
また、車両には、前記車両状態コントロールユニット8によって車線逸脱が検知された場合にこれをドライバに警告するための警報装置23が設けられている。この警報装置23は、音声やブザー音を発生するためのスピーカやモニタを含んで構成され、表示情報及び音声情報によってドライバに警告を発するようになっている。
さらに、車両には、自車両の後方の車両を検知するための後方外界認識センサとして、CDDカメラ等で構成される後方カメラ24及び、この後方カメラ24の撮像画像を処理する後方カメラコントローラ25を備えている。この後方カメラコントローラ25は、後方カメラ24で撮像した自車両後方の撮像画像から、後方車両の有無を検出すると共に、自車両と後方車両との間の車間距離D及び相対速度Vr等を算出できるように構成され、これら後方カメラコントローラ25で算出した各種情報は、前記車両状態コントロールユニット8に出力されるようになっている。また、車両状態コントロールユニット8は、ブレーキペダルの踏込みに関わらず、ブレーキランプ26R、26Lや、図示しないハザードランプを点灯可能に構成されている。
次に、前記車両状態コントロールユニット8で行われる演算処理の処理手順を図3のフローチャートに従って説明する。この演算処理は、所定サンプリング時間ΔT(例えば、10〔ms〕)毎にタイマ割込によって実行される。なお、このフローチャートでは通信のためのステップを設けていないが、演算処理によって得られた情報は随時記憶装置に更新記憶されると共に、必要な情報は随時記憶装置から読み出される。
この演算処理では、その概略を説明すると、まずステップS1で、前記各センサや各コントローラ、コントロールユニットからの各種データを読込み、次いでステップS2で、自車両の所定時間後の予測される横変位である推定横変位Xsを算出し、この推定横変位Xsに基づいて逸脱判定処理を行う(ステップS3)。そして、この逸脱判定処理の結果に応じて目標ヨーモーメントを算出し(ステップS4)、逸脱傾向にあることをドライバに通知するための警報を発生する処理(ステップS5)、自車両の後方に存在する車両を考慮して逸脱防止制御の制御量、つまり目標ヨーモーメントを調整する後方対応処理(ステップS6)を行った後、調整された目標ヨーモーメントを発生させるための制駆動力制御処理(ステップS7)を行い、必要に応じて警報やヨーモーメントを発生させる。
具体的には、前記ステップS1の処理では、前記各センサで検出された前後加速度Xg、横加速度Yg、ヨーレートγ、各車輪速度Vwi、アクセル開度Acc、マスタシリンダ圧Pm、操舵角θ、方向指示スイッチ信号、カメラコントローラ14からの走行車線に対する自車両のヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率ρ、走行車線幅W、駆動トルクコントロールユニット12からの駆動トルクTw、さらに後方カメラコントローラ25からの後方車両の有無及び後方車両が存在する場合にはこの後方車両と自車両との間の車間距離D、及び後方車両及び自車両間の相対速度Vrを読込む。
また、各車輪速度Vwi(i=FL〜RR)のうち、非駆動輪である前左右輪速度VwFL、VwFRの平均値から自車両の走行速度Vを算出する。
なお、ここでは、前左右輪速度VwFL、VwFRに基づいて走行速度Vを算出するようにした場合について説明したが、例えば、車両に公知のアンチスキッド制御を行うABS制御手段が搭載されており、このABS制御手段によりアンチスキッド制御が行われている場合には、このアンチスキッド制御での処理過程で推定される推定車体速を用いるようにすればよい。
次に、前記ステップS2の推定横変位Xsの算出処理は、図4のフローチャートに示す手順で行う。
すなわち、まずステップS11で、前記ステップS1で算出した自車両の走行速度Vと車頭時間Ttとを乗算して、前方注視距離Lsを算出する。
次いでステップS12に移行し、前記ステップS1で読込んだ自車両の走行車線に対するヨー角φ、走行車線中央からの自車両の横変位X、走行車線の曲率ρ、自車両の走行速度V、及び前方注視距離Lsを用い、下記(1)式にしたがって将来の推定横変位Xsを算出する。
なお、ここでは、前記(1)式に基づいて推定横変位Xsを算出するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば次式(2)に示すように、車両に作用するヨーレートを考慮して算出するようにしてもよい。例えば、ヨーレートセンサ16の精度が高くまたノイズが少ない場合等には、このように、ヨーレートを考慮して推定横変位Xsを算出することによって、逸脱警報や逸脱防止制御をより的確なタイミングで作動させ、また、解除させることができる。
Figure 0004020085
なお、前記Ttは前方注視距離算出用の車頭時間であり、車頭時間Ttに自車両の走行速度Vを乗じると前方注視距離になる。つまり、車頭時間Tt後の走行車線中央からの横変位推定値が将来の推定横変位Xsとなる。後述するように、本実施形態では、この将来の推定横変位Xsが所定の逸脱判定値以上となるときに自車両は走行車線を逸脱する可能性がある、或いは逸脱傾向にあると判断する。
一般に、ドライバが警報に気づいて逸脱の回避操作を行うまでには、いくらかの所要時間が要する場合が多い。また、自車両が車線逸脱する可能性が高いと判定して逸脱防止制御が作動したとしても、自車両は逸脱防止制御の作動に伴ってすぐに走行中の車線中央へ向かって移動するわけではなく、車線を逸脱する速度は低くなるものの、車両の向きが車線内側へ向くまでの間は、走行車線の外側に向かって移動していく。このため、ドライバに対し、余裕をもって車線の逸脱防止操作を行うことを促すために、車頭時間Ttは“0”〔s〕よりも大きな値に設定することが望ましい。
次に、前記ステップS3での自車両が走行車線から逸脱傾向にあるか否かの逸脱判定処理は、図5のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS21で方向指示スイッチ20がオン状態であるか否かを判定し、オン状態である場合にはステップS22に移行して方向指示スイッチ20の指示方向と、ステップS2で算出した推定横変位Xsで特定される逸脱方向とが一致するかどうかを判定する。そして、これらが一致するときには車線変更を行うものと判定し、ステップS23に移行して車線変更フラグFLCを“1”に設定した後、後述のステップS27に移行する。
一方、方向指示スイッチ20の指示方向と、推定横変位Xsで特定される逸脱方向とが一致しない場合には、車線変更ではないと判定してステップS24に移行し、車線変更フラグFLCを“0”に設定した後、ステップS27に移行する。
また、前記ステップS21で方向指示スイッチ20がオン状態でない場合にはステップS25に移行し、方向指示スイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わった時点から所定時間経過したかどうかを判定する。そして、方向指示スイッチ20がオン状態からオフ状態に切り替わった時点から所定時間経過しているときにはステップS26に移行し、車線変更フラグFLCを“0”にリセットした後ステップS27に移行し、所定時間経過していないときには、そのままステップS27に移行する。
なお、前記所定時間は、車線変更の後期の時点で方向指示スイッチ20がオフ状態に切り替えられた時点から、自車両の走行位置が車線変更先の車線中央よりの位置に達したとみなすことの可能な時間に設定され、例えば4秒程度に設定される。
そして、ステップS27で、車線変更フラグFLCが“1”であって車線変更中である場合にはステップS28に移行し、車線逸脱傾向にあったとしても車線変更中である場合には警報を発生する必要がないから警報フラグFWを“0”に設定する。
一方、前記ステップS27で、車線変更フラグFLCが“0であって、車線変更中でない場合にはステップS29に移行し、車両の逸脱状態を判定する。つまり、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が、警報判断しきい値Xw以上であるかどうかを判定し、|Xs|≧Xwであるときには、車両が逸脱傾向にあるとしてステップS30に移行し、推定横変位Xsの符号が正であるときには左方向へ逸脱傾向にあるとしてステップS30からステップS31に移行して警報フラグFWを“1”に設定する。一方、推定横変位XsがXs>0でないときにはステップS32に移行し、警報フラグFWを“−1”に設定する。
なお、前記警報判断しきい値Xwは、逸脱警報が作動してから推定横変位Xsが横変位限界値Xc以上となって逸脱防止制御が作動するまでのマージン(定数)Xmを、前記横変位限界値Xcから減算した値(=Xc−Xm)である。前記横変位限界値Xcは、定数であって、日本国内では、高速道路の車線幅は約3.5〔m〕であることから、例えば、0.8〔m〕程度に設定すればよい。また、例えば、走行車線幅Wの半分値から自車両の車幅の半分値を減じた値と、例えば、前記0.8〔m〕とのうちの何れか小さい方を用いるようにしてもよい。
そして、前記ステップS29で、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が、警報判断しきい値Xwよりも小さいときにはステップS33に移行し、推定横変位Xsの絶対値|Xs|が、警報判断しきい値Xwから逸脱警報のハンチングを回避するためのヒステリシス値Xhを減算した値よりも小さいときには、ステップS34に移行して警報フラグFWを“0”に設定し、そうではないときにはそのまま逸脱判定処理を終了する。また、前記ステップS28、S31、S32、S34で警報フラグFWを設定したならば、逸脱判定処理を終了する。
次に、前記ステップS4での目標ヨーモーメントの算出は、図6のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS41で警報フラグFWに基づいて逸脱警報作動中であるかどうかを判定する。そして、警報フラグFWが“0”であって、警報装置23が作動中ではなく、自車両が逸脱傾向にない場合にはステップS42に移行し、逸脱判断フラグFLDを“0”に設定する。
一方、ステップS41で警報フラグがFW≠0であって、警報装置23が作動中であり自車両が逸脱傾向にある場合にはステップS43に移行し、推定横変位Xsが横変位限界値Xc以上であるかどうかを判定し、Xs≧Xcであるときには、左に車線逸脱すると判定してステップS44に移行し、逸脱判断フラグFLDを“1”に設定する。一方、ステップS43で、Xs≧Xcでない場合にはステップS45に移行し、推定横変位Xsが負の横変位限界値“−Xc”以下であるかどうかを判定し、Xs≦−Xcであるときには右に車線逸脱すると判断してステップS46に移行し、逸脱判断フラグFLDを“−1”に設定する。また、ステップS45でXs≦−Xcでない場合にはステップS47に移行し、自車両は逸脱状態ではないと判断して逸脱判断フラグFLDを“0”に設定する。
そして、前記ステップS44又はステップS46で、逸脱判断フラグFLDが“1”又は“−1”に設定され左右の何れかに車線逸脱すると判断されているときにはステップS48に移行し、次式(3)にしたがって、目標ヨーモーメントMsを算出する。
Ms=−K1×K2×(Xs−Xc) ……(3)
なお、式(3)中のK1は車両諸元によって定まる定数である。また、K2は、自車両の走行速度Vに応じて設定される比例係数であって、例えば、図7に示すように設定される。図7において、横軸は車両の走行速度V、縦軸は、比例係数K2である。この比例係数K2は、走行速度Vが第1のしきい値Vs1以下の場合には、比較的大きな一定値KHに設定され、走行速度Vが第1のしきい値Vs1よりも大きくなるほどこれに反比例して比例係数K2は減少し、走行速度Vが第2のしきい値Vs2以上となると比例係数K2は比較的小さな一定値KLに設定される。つまり、走行速度Vが比較的大きいときには比例係数K2を比較的小さな値に設定して、目標ヨーモーメントを抑制し、高速走行時に大きなヨーモーメントが作用することにより車両挙動が不安定となることを回避し、逆に走行速度Vが比較的小さいときには比例的大きな値に設定して、十分な目標ヨーモーメントを確保し、ヨーモーメントを発生させることにより逸脱状態からの速やかな回復を図るようになっている。
一方、前記ステップS42又はステップS47の処理で逸脱判断フラグFLDが“0”に設定されたとき、つまり、自車両が逸脱状態にはないと判断されるときにはステップS49に移行し、ヨーモーメントを発生させる必要はないから目標ヨーモーメントMsとして“0”を設定する。そして、このようにして目標ヨーモーメントMsを設定したならば、目標ヨーモーメントの算出処理を終了する。
次に、前記ステップS5での警報出力処理は、図8のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS51で警報フラグがFW≠0であるかどうかを判定し、FW≠0であるときには、逸脱状態にあると判断してステップS52に移行して警報装置23を作動させ、音声やモニタ画面への表示によって車線逸脱傾向にあることをドライバに通知する。一方、警報フラグがFW≠0でない場合には、逸脱状態にないと判断し、ステップS51からステップS53に移行し、警報装置23により警報を発している場合にはこれを停止させる。
なお、ここでは、逸脱方向に関係なく、逸脱状態にあるか否かによって警報装置23を作動させるようにした場合について説明したが、例えば、警報装置23を、ドライバに対し、左右の異なる方向から警報音を発することができるように構成し、自車両が左側に車線逸脱傾向にあるときには、ドライバに対して左側から警報音を発するようにし、逆に右側に車線逸脱傾向にあるときにはドライバに対して右側から警報音を発するようにしてもよい。
この場合には、図9のフローチャートに示す手順で処理を行えばよい。まず、ステップS61で警報フラグがFW>0であるかどうかを判定し、FW>0であるときには左側に逸脱状態にあるからステップS62で左側から警報音を発生するよう警報装置23を作動する。また、警報フラグがFW>0でない場合にはステップS61からステップS63に移行して警報フラグがFW<0であるかどうかを判定し、FW<0であるときには右側に逸脱状態にあるからステップS64で右側から警報音を発生するよう警報装置23を作動する。また、警報フラグがFW>0でなく且つFW<0でないときには、自車両は逸脱状態ではないから、ステップS63からステップS65に移行し、警報装置23を作動させている場合にはこれを停止させる。
次に、前記ステップS6での後方対応処理は、図10のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS71で、後方カメラコントローラ25からの検出情報に基づいて、自車両の後方に車両が存在するかどうかを判定する。そして、後方車両が存在しない場合には、自車両において、車線逸脱を防止するためのヨーモーメントを発生させる目的で制動力制御が行われたとしても、この制動力制御による自車両の減速の影響を受ける、他の車両が存在しないことになるから、他車両を考慮しての制御を行う必要はないとしてそのまま処理を終了する。
一方、ステップS71で、後方車両が存在すると判定されたときには、ステップS72に移行し、後方カメラコントローラ25からの後方車両と自車両との間の車間距離Dに基づいて、前記ステップS4で算出された逸脱を回避するために必要なヨーモーメントMsを制限するためのヨーモーメント制限値MsDを算出する。具体的には、図11に示すように、後方車両及び自車両間の車間距離Dが、“0”以上且つしきい値D0より小さいときには、予め設定した制限値MsD0を、制限値MsDとして設定する。そして、車間距離Dが、しきい値D0以上であるときには、fD(D)=kD(D−D0)+MsD0で表される直線に沿って、車間距離Dが増加するほど、ヨーモーメント制限値MsDは大きくなるように設定される。つまり、自車両と後方車両との間の車間距離Dが小さければ小さいほどヨーモーメント制限値MsDは小さな値となるように設定される。なお、前記ヨーモーメント制限値MsDは、予め実験等によって求められ、各車間距離において、自車両がヨーモーメントを発生させたときに自車両が減速したとしても後方車両が自車両に接近しすぎることがないとみなすことの可能なヨーモーメントの大きさに応じて設定される。
なお、図11において、横軸は自車両と後方車両との間の車間距離D、縦軸はヨーモーメント制限値MsDである。
ここで、図11は、ヨーモーメント制限値MsDの設定方法の一例を示したものである。自車両と後方車両との間の車間距離Dが小さければ小さいほど、ヨーモーメント制限値MsDが小さくなるように、車間距離Dとヨーモーメント制限値MsDとが正の相関を示すような関係であれば適用することができる。この場合も、図11に示す関係となるようヨーモーメント制限値MsDを設定した場合と同等の作用効果を得ることができる。
以上のようにしてヨーモーメント制限値MsDを設定したならばステップS73に移行し、ステップS72で設定したヨーモーメント制限値MsDと、前記ステップS4で算出した目標ヨーモーメントMsとを比較する。そして、ヨーモーメント制限値MsDよりも目標ヨーモーメントMsの方が大きい場合にはステップS74に移行し、目標ヨーモーメントMsを、ヨーモーメント制限値MsDに制限する。一方、目標ヨーモーメントMsがヨーモーメント制限値MsD以下であるときにはステップS75に移行し、ステップS72で設定したヨーモーメント制限値MsDの負値“−MsD”と、ステップS4で算出した目標ヨーモーメントMsとを比較し、目標ヨーモーメントMsがヨーモーメント制限値の負値“−MsD”よりも小さいときにはステップS76に移行し、目標ヨーモーメントMsを負のヨーモーメント制限値“−MsD”に制限する。一方、目標ヨーモーメントMsがヨーモーメント制限値の負値“−MsD”以上であるときには、そのまま処理を終了する。
つまり、このステップS73からステップS76の処理では、ステップS4で算出された目標ヨーモーメントMsの大きさが、ヨーモーメント制限値MsDの大きさよりも大きいときには、自車両において逸脱を回避するために必要なヨーモーメントを発生させるための制動力制御が行われた場合に、この制動力制御による自車両の減速の影響を他車両が受ける可能性があるため、この減速の影響を、逸脱防止制御効果を損なわない範囲でなるべく小さくするために、目標ヨーモーメントMsの大きさを、ヨーモーメント制限値MsDの大きさに制限するようにしている。一方、逸脱を回避するために必要な目標ヨーモーメントMsの大きさが、ヨーモーメント制限値MsDの大きさよりも小さい場合には、自車両において車線逸脱を防止するために必要なヨーモーメントを発生させるための制動力制御が行われたとしても、この制動力制御による自車両の減速の影響を他車両が受ける可能性はないので、逸脱を回避するために必要なヨーモーメントを最大限出力させるために、目標ヨーモーメントMsの制限は行わない。
次に、前記ステップS7の制駆動力制御処理は、図12のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS81で、逸脱判断フラグがFLD≠0であるかどうかを判定し、FLD≠0でない場合には、自車両は逸脱状態にないからステップS82に移行し、前左右輪5FL、5FRのホイールシリンダ6FL、6FRへの目標制動流体圧PsFL、PsFRとして、共に、マスタシリンダ圧Pmとし、後左右輪5RL、5RRのホイールシリンダ6RL、6RRへの目標制動流体圧PsRL、PsRRとして、共に後輪用マスタシリンダ圧PmRを設定する。
なお、前記PmRは、ステップS1で読み込んだマスタシリンダ圧Pmに対し、前後制動力配分に基づく後輪用マスタシリンダ圧である。
一方、ステップS81で逸脱判断フラグがFLD≠0である場合には、ステップS83に移行して、前記目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて場合分けを行い、目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0未満であるときにはステップS84に移行して後左右輪の制動力にだけ差を発生させる。つまり、前左右輪目標制動流体圧差ΔPsFは“0”、後左右輪目標制動流体圧差ΔPsRは次式(4)に設定する。
なお、式(4)中のTは、トレッド(前後輪で同じとする)、KbR及び後述のKbFはそれぞれ、制動力を制動流体圧に換算するための換算係数であり、ブレーキ諸元によって決まる。
ΔPsR=2×KbR×|Ms|/T ……(4)
一方、前記目標ヨーモーメントの絶対値|Ms|が所定値Ms0以上であるときにはステップS83からステップS85に移行し、前後左右輪の制動力に差を発生させる。具体的には、前左右輪目標制動流体圧差ΔPsFは次式(5)で、また後左右輪目標制動流体圧差ΔPsRは次式(6)で算出する。
ΔPsF=2×KbF×(|Ms|−Ms0)/T ……(5)
ΔPsR=2×KbR×Ms0/T ……(6)
なお、ここでは、前後輪をそれぞれ制御するようにした場合について説明したが、例えば前輪のみで制御するようにしてもよく、この場合には、ΔPsF=2×KbF×|Ms|/Tとするようにしてもよい。
そして、このように前後輪について左右の制動力差を算出したならば、ステップS86に移行し、目標ヨーモーメントMsが負値であるとき、すなわち、自車両が左方向に車線逸脱しようとしているときにはステップS87に移行し、各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiを次式(7)により算出する。
PsFL=Pm
PsFR=Pm+ΔPsF
PsRL=PmR
PsRR=PmR+ΔPsR ……(7)
一方、前記目標ヨーモーメントMsが零以上の値であってすなわち自車両が右方向に車線逸脱しようとしているときにはステップS88に移行し、各ホイールシリンダ6FL〜6RRへの目標制動流体圧Psiを下記(8)式により算出する。
PsFL=Pm+ΔPsF
PsFR=Pm
PsRL=PmR+ΔPsR
PsRR=PmR ……(8)
このようにしてステップS82、S87、S88の何れかによって目標制動力を算出したならばステップS89に移行し、逸脱判断フラグがFLD≠0であって逸脱状態にある場合にはステップS90に移行し、次式(9)により目標駆動トルクTrqを算出する。
Trq=f(Acc)−g(Ps) ……(9)
一方、逸脱判断フラグがFLD≠0ではなく逸脱状態にない場合にはステップS91に移行し、目標駆動トルクTrqはf(Acc)とする。
なお、前記f(Acc)は、アクセル開度Accに応じた駆動トルクを算出するためのアクセル関数fにより算出される、駆動トルク相当値である。また、前記(9)式中のPsは、逸脱防止制御により発生させる前及び後の左右輪目標制動流体圧差ΔPsR及びΔPsFの和(Pg=ΔPsR+ΔPsF)であって、g(Ps)は、目標制動流体圧差の和Psによって発生が予測される制動トルクを算出するための関数gにより算出される、制動トルク相当値である。
そして、このようにしてステップS90又はステップS91で目標駆動トルクTrqを算出したならばステップS92に移行し、ステップS90又はステップS91で算出した目標駆動トルクTrqを発生するよう駆動トルクコントロールユニット12に制御信号を出力し、また、前記ステップS82、S87、S88の何れかによって算出した各車輪の目標制動流体圧を前記制動流体圧制御回路7に向けて出力する。
以上の処理によって図3に示す演算処理が終了する。そして、一連の演算処理が終了したならば、タイマ割込処理を終了して所定のメインプログラムに復帰する。
次に、上記第1の実施の形態の動作を説明する。
今、自車両が走行車線中央よりを直進走行している場合には、推定横変位Xsが比較的小さいことから、推定横変位Xsの絶対値|Xs|は逸脱警報用の逸脱判定値Xw及び“Xw−Xh”よりも小さくなって、図5の逸脱判定処理では、ステップS29からステップS33を経てステップS34に移行し、警報フラグはFw=0に設定される。このため、図6の目標ヨーモーメント算出処理では、ステップS41からステップS42に移行して逸脱判断フラグFLDが“0”に設定されることから目標ヨーモーメントはMs=0に設定される(ステップS49)。
そして、このとき、自車両の後方に車両が存在しない場合には、逸脱防止制御が後方車両に与える影響を考慮する必要はないから、ヨーモーメントの調整を行う必要はない。したがって、図12の制駆動力制御処理では、ステップS82の処理で目標制動流体圧としてマスタシリンダ圧Pmに応じた流体圧が設定され、また、ステップS91の処理で、目標駆動トルクTrqとしてアクセル開度Accに応じた駆動トルクが設定されることから、ドライバのアクセルペダルの操作量に応じた目標駆動力が発生されると共にマスタシリンダ圧Pmに応じた制動力が発生されることになり、ヨーモーメントが発生されることなく、ドライバの運転操作に即した車両挙動となる。また、このとき、警報フラグFWは“0”に設定されているから、図8の警報出力処理では、ステップS51からステップS53に移行し、警報装置23を作動させない。したがって、警報が発せられることはない。
この状態から、自車両が左に逸脱する傾向となり推定横変位Xsが増加し、逸脱警報用の逸脱判定値Xw以上となると、このとき、ドライバが車線変更を目的として方向指示スイッチ20をオン状態にしている場合には、図5において、方向指示スイッチ20による指示方向と推定横変位Xsに基づく逸脱方向とが共に左側であってこれらは一致するから車線変更であると判断し、ステップS21からS22を経てステップS23に移行し車線変更フラグFLCが“1”に設定される。
このためステップS27からステップS28に移行し、車線変更中であって逸脱警報を発する必要はないとして警報フラグFWは“0”に設定され、これに伴って図6のステップS41からステップS42に移行し、逸脱判断フラグFLDは“0”に設定される。したがって、自車両の車線変更に伴って推定横変位Xsが増加した場合であっても、警報装置23が作動されることはなくまた逸脱防止制御が作動されることもないから、車線変更時に、車両にヨーモーメントが作用することはない。
そして、車線変更が終了し、方向指示スイッチ20がオフとなると、図5の逸脱判定処理では、ステップS21からステップS25に移行し、所定時間経過するまでは車線変更フラグFLCの更新は行われない。したがって、車線変更後期において、方向指示スイッチ20はオフに切り替えられたものの、まだ自車両が車線逸脱傾向にあって推定横変位Xsが比較的大きい状態にある場合であっても逸脱警報或いは逸脱防止制御が作動されることはない。
そして、方向指示スイッチ20がオフとなった時点から所定時間が経過し、車線変更先の車線における自車両の走行位置が車線中央よりに達したとみなすことの可能な時点で、ステップS25からステップS26に移行し、車線変更フラグFLCが“0”に設定されるから、車線変更後期であって、自車両が車線中央よりの位置に移行している途中で、逸脱傾向にあると誤判断されることはない。
そして、この状態から、車線変更ではなく自車両が左に逸脱する傾向となると、図5の逸脱判定処理では、方向指示スイッチ20がオフ状態であることからステップS21からステップS25を経てステップS27に移行し、このとき車線変更フラグFLCは“0”であって車線変更中ではないからステップS29に移行する。
このとき、推定横変位Xsが逸脱警報用の逸脱判定値Xwを下回る状態では、警報フラグFWは“0”に維持されるから逸脱警報は作動しないが、推定横変位Xsが逸脱判定値Xw以上となると、ステップS29からステップS30を経てステップS31に移行し、警報フラグFWが“1”に設定される。このため、図6の目標ヨーモーメント算出処理では、ステップS41からステップS43に移行するが、推定横変位Xsが横変位限界値Xcよりも小さい間は、まだ逸脱防止制御を行う必要はないとしてステップS43からステップS45を経てステップS47に移行し、逸脱判断フラグはFLD=0に設定される。
したがって、目標ヨーモーメントMsは“0”に設定されるから、この時点ではヨーモーメントMsは発生されず引き続きドライバの運転操作に即した車両挙動となるが、警報フラグFWが“1”に設定されていることから図8の警報出力処理ではステップS51からステップS52に移行し、警報装置23が作動され、ドライバに対して逸脱傾向にあることが通知される。
これによって、ドライバは警報装置23が作動することにより自車両が逸脱傾向にあることを認識することができ、減速操作や操舵操作等、逸脱を回避するための操作を行うことができる。
そして、さらに自車両の車線逸脱が進み、推定横変位Xsが横変位限界値Xc以上となると、図6のステップS43からステップS44に移行し、逸脱判断フラグがFLD=1に設定され、ステップS48で推定横変位Xsと横変位限界値Xcとの差、つまり自車両の横ずれ量に応じた目標ヨーモーメントMsが算出される。このため、図12のステップS81からステップS83に移行し、目標ヨーモーメントMsの大きさに応じて、後輪側のみ又は前後輪共に左右輪の制動力差を発生するよう、目標制動流体圧Psiが算出され、また、アクセル開度Accに応じた駆動トルクf(Acc)を、目標ヨーモーメントMsの発生に要する制動力相当の制動トルクg(Ps)分だけ抑制した駆動トルクTrqを発生するよう駆動トルクが制御され、ヨーモーメントと駆動トルクの干渉を回避しつつ、自車両の横ずれ量に応じたヨーモーメントが発生され、これによって逸脱防止が図られることになる。
このとき、自車両の後方には他の車両が存在しないから、図10の後方対応処理によって目標ヨーモーメントMsが制限されることはない。したがって、自車両の実際の横ずれ量に応じたヨーモーメントが発生されることになって、自車両の車線逸脱傾向を回避するのに十分なヨーモーメントが発生されることになる。
そして、このように警報やヨーモーメントを発生し、また、ドライバが操舵操作或いは減速操作を行うことによって自車両の推定横変位Xsが減少すると、横変位限界値Xcを下回った時点で図6のステップS43からステップS45を経てステップS47に移行し、逸脱判断フラグFLDが“0”に設定されてヨーモーメントの発生が停止され、さらに推定横変位Xsが、逸脱判定値Xwからヒステリシス値Xhを減算した値“Xw−Xh”を下回る状態となった時点で、図5のステップS29からステップS33を経てステップS34に移行し、警報フラグFWが“0”にリセットされ、警報装置23の作動が停止される。
このとき、自車両の後方に車両が存在する場合には、この後方車両は後方カメラ24によって撮像され、後方カメラコントローラ25において、後方カメラ24の撮像画像に基づいて後方車両の存在が検出される。このため、図10の後方対応処理では、ステップS71からステップS72に移行し、後方車両と自車両との間の車間距離Dに応じたヨーモーメント制限値MsDを算出し、自車両の横ずれ量に応じた目標ヨーモーメントMsを、ヨーモーメント制限値MsDに制限する。
ここで、自車両が車線逸脱傾向となって逸脱防止制御が作動し、ヨーモーメントを発生させた場合には、制動力制御を行うことによってヨーモーメントを発生させるようにしているから、自車両は減速傾向となることになり、この自車両の減速に伴って後方車両が減速を行わない場合には、後方車両が自車両に接近することになる。しかしながら、上述のように、後方車両が存在する場合には、目標ヨーモーメントMsをヨーモーメント制限値MsDに制限するようにしているから、自車両が逸脱防止制御を行うことに起因して、後方車両が自車両に接近することを抑制することができる。
また、このとき、図11に示すように、自車両及び後方車両間の車間距離Dに応じて、ヨーモーメント制限値MsDを設定し、車間距離Dが比較的小さいときほど、ヨーモーメント制限値MsDを比較的小さくして、自車両の減速度合を十分小さくして後方車両の接近を抑え、逆に、車間距離Dが大きくなるほど、ヨーモーメント制限値MsDを大きくし、多少減速したとしても自車両と後方車両との間には十分な距離があるとみなすことができるときには、ヨーモーメントを十分に発生させるようにしているから、後方車両の接近を抑えつつ、車間距離D、つまり、後方車両の接近度合に即して車線逸脱防止制御を行うことができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。
この第2の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図3のステップS6で実行される後方対応処理の処理手順が異なること以外は、上記第1の実施の形態と同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
この第2の実施の形態では、図13のフローチャートに示す手順で後方対応処理を行う。すなわち、まず、ステップS101で、後方カメラコントローラ25からの検出情報に基づいて、自車両の後方に車両が存在するかどうかを判定する。そして、後方車両が存在しない場合には、自車両において、車線逸脱を防止するためのヨーモーメントを発生させる目的で制動力制御が行われたとしても、この制動力制御による自車両の減速の影響を受ける、他の車両が存在しないことになるから、他車両を考慮しての制御を行う必要はないとしてそのまま処理を終了する。
一方、ステップS101で、後方車両が存在すると判定されたときには、ステップS102に移行し、後方カメラコントローラ25からの、後方車両及び自車両間の車間距離Dと相対速度Vrとに基づいて、前記ステップS4で算出された逸脱を回避するために必要な目標ヨーモーメントMsを制限するためのヨーモーメント制限値MsVrを算出する。具体的には図14に示すように、後方車両及び自車両間の相対速度Vrが、車間距離Dに応じて設定される、接近方向のしきい値Vr0(D)以上であるときには、ヨーモーメント制限値MsVrは予め設定されたMsVr0に設定される。そして、相対速度Vrが、しきい値Vr0(D)よりも小さいとき、又は、相対速度Vrが遠ざかる方向であるときには、fVr(Vr、D)=kVr〔Vr−Vr0(D)〕+MsVr0で表される直線に沿って、相対速度Vrが遠ざかる方向に大きくなるほど、ヨーモーメント制限値MsVrは大きくなるように設定される。つまり、自車両と後方車両との間の相対速度Vrが接近する方向に大きいときほど、ヨーモーメント制限値MsVrはより小さな値となるように設定される。
なお、前記しきい値Vr0(D)は、零以上の値であって、後方車両及び自車両間の車間距離Dに応じて設定され、車間距離Dが大きくなるほどしきい値Vr0(D)はより大きな値となるように設定される。なお、前記ヨーモーメント制限値MsVrは予め実験等によって求められ、各車間距離及び相対速度において、自車両がヨーモーメントを発生させたときに自車両が減速したとしても後方車両が自車両に接近しすぎることがないとみなすことの可能なヨーモーメントの大きさに応じて設定される。
なお、図14において、横軸は相対速度Vr、縦軸はヨーモーメント制限値MsVrである。
ここで、図14は、ヨーモーメント制限値MsVrの設定方法の一例を示したものであって、自車両及び後方車両間の相対速度Vrが接近する方向に大きくなるほどヨーモーメント制限値MsVrが小さくなるように、相対速度Vrとヨーモーメント制限値MsVrとが負の相関を示すような関係であれば適用することができ、この場合も、図14に示す関係となるようヨーモーメント制限値MsVrを設定した場合と同等の作用効果を得ることができる。
以上のようにしてヨーモーメント制限値MsVrを設定したならばステップS103に移行し、ステップS102で設定したヨーモーメント制限値MsVrと、前記ステップS4で算出した目標ヨーモーメントMsとを比較する。そして、ヨーモーメント制限値MsVrよりも目標ヨーモーメントMsの方が大きい場合には、ステップS104に移行し、目標ヨーモーメントMsを、ヨーモーメント制限値MsVrに制限する。一方、目標ヨーモーメントMsがヨーモーメント制限値MsVr以下であるときにはステップS105に移行し、ステップS102で設定したヨーモーメント制限値MsVrの負値“−MsVr”と、ステップS4で算出した目標ヨーモーメントMsとを比較し、目標ヨーモーメントMsがヨーモーメント制限値の負値“−MsVr”よりも小さいときにはステップS106に移行し、目標ヨーモーメントMsを負のヨーモーメント制限値“−MsVr”に制限する。一方、目標ヨーモーメントMsがヨーモーメント制限値の負値“−MsVr”以上であるときには、そのまま処理を終了する。
つまり、このステップS103からステップS106の処理では、ステップS4で算出された目標ヨーモーメントMsの大きさが、ヨーモーメント制限値MsVrの大きさよりも大きいときには、自車両において逸脱を回避するために必要なヨーモーメントを発生させるための制動力制御が行われた場合に、この制動力制御による自車両の減速の影響を他車両が受ける可能性があるため、この減速の影響を、逸脱防止制御効果を損なわない範囲でなるべく小さくするために、目標ヨーモーメントMsの大きさを、ヨーモーメント制限値MsVrの大きさに制限するようにしている。一方、逸脱を回避するために必要な目標ヨーモーメントMsの大きさが、ヨーモーメント制限値MsVrの大きさよりも小さい場合には、自車両において車線逸脱を防止するために必要なヨーモーメントを発生させるための制動力制御が行われたとしても、この制動力制御による自車両の減速の影響を他車両が受ける可能性はないので、逸脱を回避するために必要なヨーモーメントを最大限出力させるために、目標ヨーモーメントMsの制限は行わない。
したがって、この第2の実施の形態においても上記第1の実施の形態と同様に、後方車両が存在しない場合には、自車両の横ずれ量に応じたヨーモーメントが発生されて十分な車線逸脱防止制御が行われるが、後方車両が存在する場合には、後方車両及び自車両間の車間距離D及び相対速度Vrに応じて目標ヨーモーメントMsが制限され、後方車両の接近度合が大きいときほど、また、車間距離が小さいときほど、ヨーモーメントはより小さな値に制限されることになる。つまり、自車両が逸脱防止制御を行ったときに後方車両が自車両により大きく接近する傾向にあるときほどヨーモーメントがより小さな値に制限され、自車両の減速度がより抑制されることになって後方車両の接近が抑制されることになる。したがって、この第2の実施の形態においても、上記第1の実施の形態と同等の作用効果を得ることができると共に、この第2の実施の形態では、車間距離Dだけでなく、相対速度Vrをも考慮してヨーモーメントを制限するようにしているから、後方車両が自車両により近いときほどこの接近をより抑制することができ、また、後方車両の自車両への接近速度が大きいときほど後方車両の自車両への接近速度を抑制することができる。
なお、この第2の実施の形態においては、相対速度Vrと車間距離Dとに基づいてヨーモーメントを制限するようにした場合について説明したが、例えば相対速度Vrのみに基づいてヨーモーメントを制限するようにすることも可能である。例えば、相対速度Vrが接近方向へ大きいときほど目標ヨーモーメントMsをより小さな値に制限するようにヨーモーメント制限値を設定することによって、後方車両の自車両への接近速度が大きいときほどこの接近速度を抑制することができる。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。
この第3の実施の形態は、上記第1の実施の形態において、図3のステップS6の後方対応処理の処理手順が異なること以外は、同様であるので、同一部には同一符号を付与しその詳細な説明は省略する。
この第3の実施の形態における後方対応処理は、図15のフローチャートに示す手順で行う。まず、ステップS111で、後方カメラコントローラ25からの検出情報に基づいて、自車両の後方に車両が存在するかどうかを判定する。そして、後方車両が存在しない場合には、自車両において、車線逸脱を防止するためのヨーモーメントを発生させる目的で制動力制御が行われたとしても、この制動力制御による自車両の減速の影響を受ける、他の車両が存在しないことになるから、他車両を考慮しての制御を行う必要はないとしてそのまま処理を終了する。
一方、ステップS111で、後方車両が存在すると判定されたときにはステップS112に移行し、後方車両及び自車両間の車間距離Dに応じて、後方車両に自車両が減速することを通知するかどうかを判断するためのヨーモーメントの大きさである、後方報知判断値MsD*を設定する。この後方報知判断値MsD*は、上記第1の実施の形態における図10のステップS72でのヨーモーメント制限値MsD*を設定した場合と同様にして、前記図11に示す、後方車両及び自車両間の車間距離Dに応じて設定する。つまり、車間距離Dが、0≦D<D0のときには、後方報知判断値MsD*は、MsD*=MsD0に設定され、車間距離Dが、D0≦Dのときには、後方報知判断値は、車間距離Dに応じて、MsD*=kD(D−D0)+MsD0に設定される。
次いで、ステップS113に移行し、前記図3のステップS4で算出された目標ヨーモーメントMsと、後方報知判断値MsD*とを比較し、MsD*<Ms又はMs<−MsD*であるとき、つまり目標ヨーモーメントMsの大きさが後方報知判断値MsD*の大きさよりも大きいときにはステップS114に移行し、後方車両に自車両が減速することを通知するための後方報知処理を行う。具体的には、ブレーキランプ26R、26Lを点灯させたり、或いは図示しないハザードランプを点灯させたりする等を行う。
一方、ステップS113で目標ヨーモーメントMsの大きさが後方報知判断値MsD*の大きさ以下であるときには、そのまま処理を終了する。
つまり、目標ヨーモーメントMsの大きさが、後方報知判断値MsD*の大きさよりも大きいときには、自車両において車線逸脱を回避するために必要なヨーモーメントを発生させるための制動力制御が行われた場合に、この制動力制御による自車両の減速の影響を、他車両が受ける可能性があることから、ブレーキランプやハザードランプ等を点灯させ、自車両が減速することを後方車両に通知する。
ブレーキランプやハザードランプが点灯した場合、後方車両のドライバは、先行車両が減速する状態にあることを認識することができるから、必然的に制動を行ったり或いは、先行車両の車両挙動に注意を払ったり等を行うことになり、必要以上に先行車両に接近することが回避されることになる。したがって、この場合も、上記第1の実施の形態と同様に、車線逸脱防止制御を行うことに起因して、後方車両が自車両に接近することを抑制することができる。
また、このとき、車間距離Dが小さいときほど後方報知判断値MsD*をより小さな値に設定し、目標ヨーモーメントMsが多少小さくても後方報知を行うようにしているから、後方車両が自車両に接近しているときほどより後方報知を行う傾向となって、後方車両と自車両との位置関係に即して後方報知を行うことができる。また、後方車両が自車両から遠いときほど、後方報知判断値MsD*はより大きな値に設定されるから、自車両が逸脱防止制御を行うことに起因して減速したとしても後方車両が自車両に接近する可能性が低いときには後方報知は行われないから、後方車両に対して不必要に後方報知が行われることを回避することができる。
また、この場合、ブレーキランプやハザードランプを点灯させることによって後方車両に注意を促すようにしており、目標ヨーモーメントの制限は行っていないから、車線逸脱の回避に必要な十分なヨーモーメントを発生させつつ、後方車両の接近を抑制することができる。
次に、本発明の第4の実施の形態を説明する。
この第4の実施の形態は、上記第3の実施の形態において、前記後方報知判断値の設定方法が異なること以外は、上記第3の実施の形態と同様であるので、同一部には、同一符号を付与し、その詳細な説明は省略する。
この第4の実施の形態においては、図16のフローチャートに示すように、まず、ステップS121で、後方カメラコントローラ25からの検出情報に基づいて、自車両の後方に車両が存在するかどうかを判定する。そして、後方車両が存在しない場合には、自車両において、車線逸脱を防止するためのヨーモーメントを発生させる目的で制動力制御が行われたとしても、この制動力制御による自車両の減速の影響を受ける、他の車両が存在しないことになるから、他車両を考慮しての制御を行う必要はないとしてそのまま処理を終了する。
一方、ステップS121で、後方車両が存在すると判定されたときには、ステップS122に移行し、後方車両と自車両との間の車間距離D及び相対速度Vrに応じて、後方車両に自車両が減速することを通知するかどうかを判断するためのヨーモーメントの大きさである、後方報知判断値MsVr*を設定する。この後方報知判断値MsVr*は、上記第2の実施の形態における図13のステップS102でのヨーモーメント制限値MsVrを設定した場合と同様にして、前記図14に示すように、後方車両及び自車両間の車間距離Dと相対速度Vrとに応じて設定する。つまり、相対速度Vrが接近方向のしきい値Vr0(D)以上であるときには、後方報知判断値MsVr*は予め設定されたMsVr0に設定される。そして、相対速度Vrが、しきい値Vr0(D)よりも小さいとき、又は、相対速度Vrが遠ざかる方向であるときには、後方報知判断値MsVr*は、相対速度Vr及び車間距離Dに応じて、MsVr*=kVr〔Vr−Vr0(D)〕+MsVr0に設定される。
次いで、ステップS123に移行し、前記図3のステップS4で算出された目標ヨーモーメントMsと後方報知判断値MsVr*とを比較し、MsVr*<Ms又はMs<−MsVr*であるとき、つまり目標ヨーモーメントMsの大きさが後方報知判断値MsVr*の大きさよりも大きいときにはステップS124に移行し、後方車両に自車両が減速することを通知するための後方報知処理を行う。つまり、ブレーキランプ26R、26Lを点灯させたり、或いは図示しないハザードランプを点灯させたりする等を行う。
一方、ステップS123で目標ヨーモーメントMsの大きさが後方報知判断値MsVr*の大きさ以下であるときには、そのまま処理を終了する。
したがって、この第4の実施の形態も、上記第3の実施の形態と同等の作用効果を得ることができると共に、この第4の実施の形態においては、後方車両及び自車両間の車間距離D及び相対速度Vrに基づいて後方報知判断値MsVr*を算出するようにしているから、車間距離Dが小さく後方車両が自車両に接近しているときほど、また、相対速度Vrが大きく後方車両が自車両に接近する接近速度が大きいときほど、目標ヨーモーメントMsの大きさが小さくても後方への報知を行い、また、車間距離Dが大きくても、或いは相対速度Vrが小さく後方車両が自車両に接近する接近速度が小さくても、目標ヨーモーメントMsの大きさが大きいときには後方への報知を行うことで、後方車両と自車両との相対位置関係や、逸脱防止制御により生じると予測される自車両の減速度合とに応じて的確なタイミングで後方報知を行うことができる。
なお、この第3の実施の形態においては、相対速度Vrと車間距離Dとに基づいて後方報知判断値MsD*を設定するようにした場合について説明したが、例えば相対速度Vrのみに基づいて、後方報知判断値MsD*を設定するようにすることも可能である。例えば、相対速度Vrが大きいときほど後方報知判断値MsD*が小さな値となるように設定するようにすればよく、このようにすることによって、相対速度Vrが大きく後方車両が自車両に接近する接近速度が大きいときほど目標ヨーモーメントが小さくても後方報知を行って、後方車両へ注意を促すことができ、また、相対速度Vrが小さくても目標ヨーモーメントが大きく自車両の減速度合が大きいと予測されるときには後方報知を行って後方車両に対して注意を促すことができる。
なお、上記第3及び第4の実施の形態においては、後方車両が存在するときにブレーキランプやハザードランプを点灯させて後方報知を行うようにした場合について説明したが、後方車両が存在しない場合であっても、後方報知を行うようにしてもよいことはいうまでもない。また、上記第3及び第4の実施の形態においては、目標ヨーモーメントMsが、後方報知判断値を超えるときに、後方報知を行うようにしているが、後方車両のドライバに対して多少違和感を与える可能性もあるが、逸脱防止のための目標ヨーモーメントMsを発生させるときには、目標ヨーモーメントMsの大きさに関わらず後方報知を行うようにしてもよい。
また、上記第1及び第2の実施の形態では、ヨーモーメントを制限するようにし、また、第3及び第4の実施の形態においては、ブレーキランプやハザードランプを点灯させるようにした場合について説明したが、上記第1及び第2の実施の形態と、第3及び第4の実施の形態とを組み合わせ、ヨーモーメントを制限すると共にブレーキランプを点灯させることによって、自車両側で減速度を抑制すると共に後方車両においても減速を図るようにすることで、自車両側及び後方車両側の双方において互いの接近を抑制するようにすることも可能である。
なお、上記各実施の形態においては、推定横変位Xsが逸脱判定値Xw以上となったときに警報を発生する警報発生手段及び推定横変位Xsが逸脱判定値Xc以上となったときにヨーモーメントを発生する逸脱防止制御手段を共に備えた場合について説明したが、必ずしも警報発生手段を備えている必要はなく、逸脱防止制御手段を備えた車線逸脱防止制御装置であれば適用することができる。
また、上記各実施の形態においては、逸脱防止制御手段として、自車両にヨーモーメントを発生させることにより逸脱を回避するようにしたヨーモーメント発生手段を適用した場合について説明したが、これに限るものでなく、例えば、逸脱検出時には自車両を減速させ、逸脱するまでの速度を低減するようにした減速制御手段であっても適用することができ、要は、車線逸脱を回避するための車両挙動制御を行う際に、自車両が減速するような逸脱防止制御手段であれば適用することができ、この場合も、上記と同等の作用効果を得ることができる。
さらに、上記各実施の形態においては、自車両が左側方向に車線逸脱する場合について説明したが、右側方向に車線逸脱する場合も同様であることはいうまでもない。
また、上記各実施の形態においては、後方カメラ24によって後方車両を検出するようにした場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、後方の物体を検出するためのレーザレーダ等の後方検出手段を設け、これによって後方車両の有無を検出するようにしてもよく、また、例えば路車間通信を行うこと等によって、自車両の後方に存在する車両に関する情報を獲得するようにしてもよい。
ここで、上記各実施の形態において、図3のステップS3、ステップS4及びステップS7の処理が逸脱防止制御手段及びヨーモーメント発生手段に対応し、後方カメラ24及び後方カメラコントローラ25が後方車両検出手段に対応している。
また、第1の実施の形態において、図10の後方対応処理が制御量調整手段に対応し、第2の実施の形態において、図13の後方対応処理が制御量調整手段に対応している。
また、第3の実施の形態において、図15の後方対応処理が後方報知手段に対応し、図15のステップS113の処理で、ステップS4で算出した目標ヨーモーメントMsを参照する処理が制御量算出手段に対応している。また、第4の実施の形態において、図16の後方対応処理が後方報知手段に対応し、図16のステップS123の処理で、ステップS4で算出した目標ヨーモーメントMsを参照する処理が制御量算出手段に対応している。
本発明における車線逸脱防止装置を搭載した車両の一例を示す概略構成図である。 図1のカメラコントローラで算出される車両状態量を説明するための説明図である。 図1の車両状態コントロールユニット内で実行される演算処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS2で実行される推定横変位算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS3で実行される逸脱判定処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS4で実行される目標ヨーモーメント算出処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図6の目標ヨーモーメント算出処理で用いられる制御マップである。 図3のステップS5で実行される警報出力処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図3のステップS5で実行される警報出力処理のその他の例を示すフローチャートである。 図3のステップS6で実行される後方対応処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図10の後方対応処理でのヨーモーメント制限値の算出方法を説明するための説明図である。 図3のステップS7で実行される制駆動力制御処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第2の実施における後方対応処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 図13の後方対応処理でのヨーモーメント制限値の算出方法を説明するための説明図である。 本発明の第3の実施における後方対応処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。 本発明の第4の実施における後方対応処理の処理手順の一例を示すフローチャートである。
符号の説明
5FL〜5RR 車輪
6FL〜6RR ホイールシリンダ
7 制動流体圧制御回路
8 車両状態コントロールユニット
9 エンジン
12 駆動トルクコントロールユニット
13 単眼カメラ
14 カメラコントローラ
15 加速度センサ
16 ヨーレートセンサ
17 マスタシリンダ圧センサ
18 アクセル開度センサ
19 操舵角センサ
20 方向指示スイッチ
22FL〜22RR 車輪速度センサ
23 警報装置
24 後方カメラ
25 後方カメラコントローラ
26R、26L ブレーキランプ

Claims (12)

  1. 自車両が走行車線から逸脱しそうであるとき、この逸脱を回避するように制動力制御を行う逸脱防止制御手段を備えた車線逸脱防止装置において、
    前記逸脱防止制御手段は、走行車線からの横変位に基づき走行車線からの逸脱を回避するために必要な自車両に付与する制動力制御量を算出する制御量算出手段と、
    自車両の後方を走行する後方車両を検出し当該後方車両と自車両との相対位置関係を検出する後方車両検出手段と、
    記後方車両検出手段で検出した前記後方車両と自車両との相対位置関係に応じた前記制動力制御量の制限値を設定して当該制限値と前記制御量算出手段で算出される制動力制御量とを比較し、これらのうち何れか小さい方の制御量に基づいて逸脱防止制御を行う制御量調整手段と、を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  2. 前記制御量調整手段は、前記相対位置関係に基づき後方車両が自車両から予め設定した範囲内に存在することが検出され、且つ前記制動力制御量が、前記相対位置関係に応じた前記制限値より大きいときにのみ前記制限値に基づいて前記逸脱防止制御を行うことを特徴とする請求項1記載の車線逸脱防止装置。
  3. 前記制御量調整手段は、前記後方車両が自車両に近いときほど、前記制限値をより小さな値に設定することを特徴とする請求項2記載の車線逸脱防止装置。
  4. 前記後方車両検出手段は、前記後方車両と自車両との相対速度を検出し、
    前記制御量調整手段は、前記相対速度が接近方向の予め設定したしきい値以上であり、且つ前記制動力制御量が、このときの前記相対位置関係に応じた前記制限値より大きいときにのみ前記制限値に基づいて前記逸脱防止制御を行うことを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  5. 前記制限値は、前記相対速度が接近方向に大きいときほど、より小さな値に設定されることを特徴とする請求項4記載の車線逸脱防止装置。
  6. 自車両が走行車線から逸脱しそうであるとき、この逸脱を回避するように制動力制御を行う逸脱防止制御手段を備えた車線逸脱防止装置において、
    前記逸脱防止制御手段は、走行車線からの横変位に基づき走行車線からの逸脱を回避するために必要な自車両に付与する制動力制御量を算出する制御量算出手段と、
    自車両の後方を走行する後方車両を検出し当該後方車両と自車両との相対位置関係を検出する後方車両検出手段と、
    記後方車両検出手段で検出した前記後方車両と自車両との相対位置関係に応じた前記制動力制御量の後方報知判断値を設定して当該後方報知判断値と前記制御量算出手段で算出される制動力制御量とを比較し、前記制動力制御量が前記後方報知判断値より大きいときにのみ、前記逸脱防止制御手段による制動力制御が行われることを後方車両に報知する後方報知手段と、を備えることを特徴とする車線逸脱防止装置。
  7. 前記後方報知手段は、前記相対位置関係に基づいて前記後方車両が自車両から予め設定した範囲内に存在することが検出され、且つ前記制動力制御量が、このときの前記相対位置関係に応じた前記後方報知判断値より大きいときにのみ、前記報知を行うことを特徴とする請求項6記載の車線逸脱防止装置。
  8. 前記後方報知手段は、前記後方車両が自車両に近いときほど、前記後方報知判断値をより小さな値に設定することを特徴とする請求項7記載の車線逸脱防止装置。
  9. 前記後方車両検出手段は、前記後方車両と自車両との相対速度を検出し、
    前記後方報知手段は、前記相対速度が接近方向の予め設定したしきい値以上であり、且つ前記制動力制御量が、このときの前記相対位置関係に応じた前記後方報知判断値より大きいときにのみ、前記報知を行うことを特徴とする請求項6から請求項8の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  10. 前記後方報知判断値は、前記相対速度が接近方向に大きいときほど、より小さな値に設定されることを特徴とする請求項9記載の車線逸脱防止装置。
  11. 前記後方報知手段は、ブレーキランプ及びハザードランプの少なくとも何れか一方を点灯させるようになっていることを特徴とする請求項6から請求項10の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
  12. 前記逸脱防止制御手段は、自車両の逸脱を回避する方向にヨーモーメントを発生するヨーモーメント発生手段又は自車両を減速させる減速制御手段であることを特徴とする請求項1から請求項11の何れか1項に記載の車線逸脱防止装置。
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