JP4121243B2 - 冷却貯蔵庫 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、庫内に商品を冷却して貯蔵する冷却貯蔵庫に関し、特に、冷凍機で蓄冷剤を冷凍した後、トラック等で運搬され、この運搬中は冷凍された蓄冷剤により庫内が冷却されている可搬式の冷却貯蔵庫に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来この種のトラック等で運搬される貯蔵庫は、たとえば特開平9−126625号公報などに記載されており、可搬式の冷却貯蔵庫の内部に、蓄冷剤と、この蓄冷剤を冷凍させる冷凍機とを配設している。
【0003】
かかる可搬式の冷却貯蔵庫は、配送センターや店舗等の電源に接続し、内蔵している冷凍機を駆動して、蓄冷剤を冷凍し蓄冷する。この蓄冷剤の蓄冷が完了した後、庫内に冷蔵品等の商品を収容し、冷却貯蔵庫をトラックに搭載する。冷却貯蔵庫がトラックで運搬されているときは、冷却貯蔵庫の庫内を蓄冷剤で冷却しながら、冷却貯蔵庫に貯蔵されている商品を店舗等へ配送したり宅配を行う。商品の配送等が終了すると、トラックは配送センター等に帰ってきて、冷却貯蔵庫をトラックから降ろし、冷却貯蔵庫の冷凍機を配送センター等の電源に接続する。この接続により、冷凍機が再び駆動し、次回の配送等に備えて、蓄冷剤が冷却される。
【0004】
かかる可搬式の冷却貯蔵庫の断熱箱体は、一面に開口を有するステンレス鋼板等からなる内箱と、同様に一面に開口を有するステンレス鋼板等からなる外箱との間にウレタンフォーム等の断熱材を充填したものであり、断熱箱体の内側は、仕切部材により下部の冷却室と上部の貯蔵室とに仕切られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、かかる可搬式の冷却貯蔵庫においては、下部の蓄冷剤を収容している冷却室が蓄冷剤により直接冷却されている一方で、上部の貯蔵室は直接的に蓄冷剤によっては冷却されていない。そのため、冷気通路に配設されている冷気循環用送風機によって庫内の冷気を循環させても、商品の収容している状態により商品温度のバラツキは大きい。更に、下部の冷却室の内箱は、冷却室に置かれている蓄冷剤によって冷却されており、このため、貯蔵室の下部、特に、仕切部材付近の内箱表面付近に置かれた商品は冷却室の内箱を介して吸熱され、特に、冷蔵品、野菜や果物類等の場合には、商品の凍結や低温障害により、販売できないと言う事態も生じていた。
【0006】
本発明は、以上のような技術的課題を解決するためになされたもので、貯蔵室に置かれた商品が、蓄冷剤によって冷却された内箱を介して冷却され過ぎる事態を回避できる可搬式の冷却貯蔵庫を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の冷却貯蔵庫は、外箱及び内箱間に断熱材が充填されて成る断熱箱体と、前記内箱に対して間隔を空けて設けられた区画板と、この区画板と内箱とによって形成された冷気通路と、前記断熱箱体の庫内を上下に仕切る仕切部材と、この仕切部材の上側に形成される貯蔵室と、前記仕切部材の下側に形成され、蓄冷剤を冷却するための冷却器が収納される冷却室とを備えた冷却貯蔵庫において、前記冷却器と蓄冷剤とを複数のアルミニウム製の箱に一緒にそれぞれ収納し、前記冷気通路内には庫内の冷気を循環するための冷気循環用送風機が設けられると共に、前記貯蔵室の下部には前記貯蔵室の冷気を攪拌するための攪拌用送風機が設けられ、前記冷却器で蓄冷剤を冷却するときは、前記冷気循環用送風機と前記冷気循環用送風機とを停止し、前記蓄冷剤で前記貯蔵室を冷却するときは、前記冷気循環用送風機と前記冷気循環用送風機とを運転し、貯蔵室の温度が所定温度より低いときは、冷気循環用送風機を停止し、攪拌用送風機を運転するものである。
【0008】
本発明によれば、箱に蓄冷剤と冷却器とを収納することで、冷却器と蓄冷剤とを一体に形成され、冷却集合体を小さくでき、冷却器を停止しているときには前記冷気通路内には庫内の冷気を循環するための冷気循環用送風機が設けられると共に、前記貯蔵室の下部には前記貯蔵室の冷気を攪拌するための攪拌用送風機が設けられているので、攪拌用送風機により貯蔵室の下部に溜まった冷気が攪拌されるため、貯蔵室に置かれた商品温度を均一化することができる。
【0009】
また、貯蔵室の温度が所定温度より低いときは、冷気循環用送風機を停止し、攪拌用送風機を運転するので、低温で密度が高いため貯蔵室内の下部に溜まり易い冷気を攪拌し、貯蔵室内の冷気を均一化することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に、本発明にかかる可搬式の冷却貯蔵庫を詳細に説明する。図1は本発明にかかる可搬式の冷却貯蔵庫の斜視図、図2は本発明にかかる可搬式の冷却貯蔵庫の側断面図、図3は図2の可搬式の冷却貯蔵庫の蓄冷部の要部斜視図、図4は図2のA部詳細図、図5は仕切部材を示す一部切欠斜視図である。
【0011】
可搬式の冷却貯蔵庫1の断熱箱体2の下部には、キャスター3が設けられており、可搬式の冷却貯蔵庫1を移動することができる。
【0012】
断熱箱体2は、ステンレス鋼板製の外箱4と内箱5との間にウレタンフォーム等の断熱材6を充填して構成される。
【0013】
可搬式の冷却貯蔵庫1の庫内8は、後述の仕切部材9によって、下部の冷却室10と上部の貯蔵室11とに仕切られている。断熱箱体2の前面には貯蔵室11に商品を出し入れするための開口12が形成され、断熱材によって構成された前面扉13により開閉自在に閉塞される。
【0014】
断熱箱体2の上方には圧縮機14や凝縮器15が配設されている。断熱箱体2の下部の冷却室10には、蓄冷剤16と冷却器17とを接触又は離間させ複数のアルミニウム製の箱18に収納した冷却集合体19が配置されている。この冷却集合体19の冷却器17は圧縮機14および凝縮器15とともに冷凍サイクルすなわち冷凍機を構成しており、冷凍機が稼働すると、冷却集合体19の冷却器17が低温となり、蓄冷剤16を冷却して蓄冷する。
【0015】
冷却集合体19の上面には、仕切部材9が載置されており、これによって、庫内8は、前述の如く、下部の冷却室10と上部の貯蔵室11とに仕切られている。仕切部材9は、アルミニウム板製の上板21とスチロール樹脂を真空成型により成型した下板22との間に断熱材23であるウレタンフォームが充填されたものである。上板21は下方が開口した箱状のもので、側面には左右側部21A及び後面側部21Bがそれぞれ形成されており、左右側部21Aは内箱5に、後面側部21Bは後述の区画板24にそれぞれ当接している。また、上板21の下面には塩化ビニル樹脂で被覆されアルミニウムシートに接着された仕切部材ヒータ20が設けられている。
【0016】
貯蔵室11の後方には、内箱5と所定の距離を空けてアルミニウム板製の区画板24が設けられている。区画板24と内箱5との間には、冷気通路25が形成され、この冷気通路25の上部は貯蔵室11上部と連通し、冷気通路25の下部は冷却室10と連通している。区画板24の下部には前方に折り曲げられた支持部24Aが形成され、仕切部材9を支持している。また、この区画板24の裏面にも、塩化ビニル樹脂で被覆されアルミニウムシートに貼付された区画板ヒータ29が配設されている。
【0017】
貯蔵室11の上部には、冷気循環用送風機26が配置されており、この冷気循環用送風機26が回転すると、冷気通路25の冷気は冷気通路25上部の吐出口28から貯蔵室11内に吐出される。そして、仕切部材9の前方の吸込口27から貯蔵室11の空気を吸い込んで、冷却集合体19で冷却されつつ冷却集合体19を通過する。その後、冷却集合体19の後方から冷気通路25を上昇し、冷気循環用送風機26を通過する。この様に冷気循環用送風機26により庫内8の空気は循環され、貯蔵室11は冷却集合体19により冷却される。
【0018】
貯蔵室11の下部後方には、上記の冷気循環用送風機26とは別個に、攪拌用送風機30が配置されており、この攪拌用送風機30が回転することにより、貯蔵室11内の冷気が攪拌される。尚、この攪拌用送風機30は、配送等を行っている間は、貯蔵室11に収容している商品の所定温度に合わせて運転又は停止されて冷気循環用送風機26とは別個に貯蔵室11内の冷気を攪拌している。
【0019】
すなわち、冷蔵品、野菜や果物等の如く凍結したり低温障害を起こすことにより商品価値が著しく低下する商品を貯蔵室11に収容している場合において、貯蔵室11の温度が所定温度より低いときは、冷気循環用送風機26を停止し、攪拌用送風機30を運転して、低温で密度が高いため貯蔵室11内の下部に溜まり易い冷気を攪拌し、貯蔵室11内の冷気を均一化する。
【0020】
一方、貯蔵室11の温度が所定温度より高いときは、冷気循環用送風機26を運転して庫内8(冷却室10及び貯蔵室11)の冷気を循環させて、貯蔵室11内の商品を冷却する。尚、このときは、攪拌用送風機30は運転又は停止のいずれでも良いが、攪拌用送風機30を運転して貯蔵室11内を攪拌した方がより貯蔵室11内に置かれた商品の温度を均一化することができる。
【0021】
尚、前面扉13が開放されたときは、冷気循環用送風機26と攪拌用送風機30とは停止し、貯蔵室11内からの冷気の漏洩を防止する。
【0022】
以上の如き可搬式の冷却貯蔵庫1が配送センター等に保管されているときは、配送センター等の電源に可搬式の冷却貯蔵庫1の図示しない電源コードを接続することにより、冷凍機が運転し、冷却集合体19の冷却器17が冷却され、この冷却器17によって蓄冷剤16が冷却される。そして、蓄冷剤16の温度が、約−22℃(凝固点)よりも低下すると、蓄冷剤16は凍結を開始し、潜熱変化を始める。この潜熱変化の際は、蓄冷剤16の温度は緩慢には低下するが、長時間にわたって殆ど変化しない。そして、蓄冷剤16の温度が約−27℃になると蓄冷剤16は凍結を略完了し、潜熱変化を終える。この潜熱変化を終えると、蓄冷剤16の温度は再び低下を開始し、顕熱変化をする。そして、蓄冷剤16の温度が約−32℃に達すると、蓄冷剤16の蓄冷が完了し、冷凍機の運転を停止する。尚、かかる蓄冷運転中は、攪拌用送風機30と冷気循環用送風機26とは運転しない。
【0023】
この様にして冷却された可搬式の冷却貯蔵庫1に商品を収納し、かつ、配送センター等の電源から可搬式の冷却貯蔵庫1の電源コードを外して、可搬式の冷却貯蔵庫1をトラックに搭載して、配送等を行う。配送等を行っている間は、冷気循環用送風機26、攪拌用送風機30、仕切部材ヒータ20及び区画板ヒータ29等には可搬式の冷却貯蔵庫1に内蔵されているバッテリーから電力が供給される。商品の配送等を終えて、トラックが配送センター等に戻ってくると、トラックから可搬式の冷却貯蔵庫1を降ろし、再度、配送センター等の電源に可搬式の冷却貯蔵庫1の電源コードを接続して、電力を供給して蓄冷を行う。
【0024】
そして、通常の運行状態では、蓄冷剤16が約−27℃から約−22℃の温度範囲にあるとき(およそ4時間から5時間)に、トラックは配送センター等に帰ってくる。
【0025】
このように、配送等を行っている間は、冷却器集合体19の温度は約−27℃から約−22℃の温度範囲となるので、貯蔵室11内に、例えば、冷蔵品(適温約5℃前後)を収納している場合には、その温度差は約30℃に達しており、蓄冷剤により冷却される内箱5や区画板24を介して貯蔵室11下部に置かれた商品から吸熱が行われる。そのため、冷気循環用送風機26の運転又は停止を行って貯蔵室11内の温度調節をしても、貯蔵室11内の上部や中央部の商品は適温であるが冷却室10に近い貯蔵室11下部の商品は、内箱5や区画板24により吸熱されて、冷却され過ぎ、ときには商品が凍結又は低温障害を起こすという事態が起こり得る。
【0026】
そこで、本実施の形態では次に述べるように、上記の冷却され過ぎるという事態を回避している。
【0027】
すなわち、蓄冷剤16により内箱5が冷却されていても、仕切部材9の上板21は、この上板21の下面に設けられた仕切部材ヒータ20により暖められているので、貯蔵室11下部に置かれた商品、特に、仕切部材9付近に置かれた商品が内箱5を介して吸熱されることによって生じる商品の冷えムラや冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を防止することができる。
【0028】
また、仕切部材ヒータ20によって仕切部材9が暖められると、上板21の左右側部21A及び後面側部21Bにそれぞれ当接している内箱5及び区画板24に熱が伝達され、これにより、内箱5や区画板24の温度が上昇するので、貯蔵室11内に置かれた商品、特に、内箱5付近や区画板24付近に置かれた商品の冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を防止することができる。
【0029】
次に、区画板24の裏面には区画板ヒータ29が設けられているので、この区画板ヒータ29によって区画板24の温度が上昇し、これによって、貯蔵室11内に置かれた商品、特に、区画板24付近に置かれた商品の冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を防止することができる。
【0030】
また、区画板ヒータ29によって区画板24が暖められると、上板21に設けられた後面側部21Bがこの区画板24に当接しているため、上板21に熱が伝達され、これにより、仕切部材9の上板21の温度が上昇するため、貯蔵室11の下部に置かれた商品の冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を防止することができる。
【0031】
さらに、貯蔵室11の設定温度に対応して、仕切部材ヒータ20又は区画板ヒータ29に適正に通電することにより、貯蔵室11内の商品が適正に暖められて商品の冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を防止することができる。
【0032】
尚、上記仕切部材ヒータ20及び区画板ヒータ29はそれぞれ単独でも貯蔵室11内下部に置かれた商品の冷え過ぎを回避することができるが、これらが共に用いられた場合には、かかる商品の冷え過ぎを回避する効果がより一層期待できる。
【0033】
次に、冷気循環用送風機26と別個に攪拌用送風機30を設けたので、この攪拌用送風機30を個別に運転又は停止させることにより、貯蔵室11内の冷気を攪拌して、商品の冷えムラや冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を防止することができる。
【0034】
また、攪拌用送風機30自体は運転に伴なって発熱するので、熱源としても機能し、貯蔵室11が暖められつつ貯蔵室11内の冷気が攪拌されることになり、商品の冷えムラや冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を一層防止することができる。
【0035】
さらに、貯蔵室11の設定温度に対応して、攪拌用送風機30を適正に運転又は停止させることにより、貯蔵室11内の冷気を攪拌して、商品の冷えムラや冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を防止することができる。
【0036】
尚、攪拌用送風機30は単独でも貯蔵室11内下部に置かれた商品の冷えムラや冷え過ぎを回避することができるが、上記仕切部材ヒータ20及び区画板ヒータ29と共に用いられた場合には、かかる商品の冷えムラや冷え過ぎを回避し、商品の凍結や低温障害を一層防止することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上詳述した如く、本発明によれば、蓄冷剤と冷却器とを箱内に収納するので、蓄冷剤と冷却器のよる冷却室の容積を小さくさせられ、その分貯蔵室の容積を大きくできると共に、冷気循環用送風機と冷気循環用送風機とを停止させて蓄冷剤への蓄熱を行うことで、蓄冷剤への蓄熱が効率的に行われ、かつ、貯蔵室の温度が低いときに冷気循環用送風機を停止し、攪拌用送風機を運転するため、蓄冷剤の無駄な浪費や貯蔵室内の冷気の均一化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明にかかる可搬式の冷却貯蔵庫の斜視図である。
【図2】 本発明にかかる可搬式の冷却貯蔵庫の側断面図である。
【図3】 図2の可搬式の冷却貯蔵庫の要部斜視図である。
【図4】 図2のA部詳細図である。
【図5】 仕切部材を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 可搬式の冷却貯蔵庫
5 内箱
9 仕切部材
10 冷却室
11 貯蔵室
16 蓄冷剤
17 冷却器
19 冷却集合体
20 仕切部材ヒータ
24 区画板
25 冷気通路
26 送風機
29 区画板ヒータ
30 攪拌用送風機
Claims (1)
- 外箱及び内箱間に断熱材が充填されて成る断熱箱体と、前記内箱に対して間隔を空けて設けられた区画板と、この区画板と内箱とによって形成された冷気通路と、前記断熱箱体の庫内を上下に仕切る仕切部材と、この仕切部材の上側に形成される貯蔵室と、前記仕切部材の下側に形成され、蓄冷剤を冷却するための冷却器が収納される冷却室とを備えた冷却貯蔵庫において、前記冷却器と蓄冷剤とは複数のアルミニウム製の箱に一緒にそれぞれ収納され、前記冷気通路内には庫内の冷気を循環するための冷気循環用送風機が設けられると共に、前記貯蔵室の下部には前記貯蔵室の冷気を攪拌するための攪拌用送風機が設けられ、前記冷却器で蓄冷剤を冷却するときは、前記冷気循環用送風機と前記冷気循環用送風機とを停止し、前記蓄冷剤で前記貯蔵室を冷却するときは、前記冷気循環用送風機と前記冷気循環用送風機とを運転し、貯蔵室の温度が所定温度より低いときは、冷気循環用送風機を停止し、攪拌用送風機を運転することを特徴とする冷却貯蔵庫。
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