JP4120698B2 - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

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Description

本発明は窒化物半導体(Ina'Alb'Ga1-a'-b'N、0≦a'、0≦b'、a'+b'≦1)よりなるレーザ素子に関する。
紫外〜赤色に発振可能なレーザ素子の材料として窒化物半導体(Ina'Alb'Ga1-a'-b'N、0≦a'、0≦b'、a'+b'≦1)が知られている。我々はこの半導体材料を用いて、1993年11月に光度1cdの青色LEDを発表し、1994年4月に光度2cdの青緑色LEDを発表し、1994年10月には光度2cdの青色LEDを発表した。これらのLEDは全て製品化されて、現在ディスプレイ、信号等の実用に供されている。
図1に現在の青色、青緑色LEDの発光チップの構造を示す。基本的にはサファイア基板11の上にn型GaNよりなるn型コンタクト層12と、n型AlGaNよりなるn型クラッド層13と、n型InGaNよりなる活性層14と、p型AlGaNよりなるp型クラッド層15と、p型GaNよりなるp型コンタクト層16とが順に積層された構造を有している。なおサファイア基板11とn型コンタクト層12との間にはGaN、AlGaN、またはAlNよりなるバッファ層が形成されているがこの図では特に図示していない。活性層14のn型InGaNはSi、Ge、S等のn型ドーパントおよび/またはZn、Mg等のp型ドーパントがドープされており、LED素子の発光波長は、その活性層のInGaNのIn組成比を変更するか、または活性層にドープする不純物の種類を変更することで、紫外〜赤色まで変化させることが可能となっている。
特開平6−260683号公報
このようにダブルへテロ構造で発光するLEDが実現された現在、次の課題はは窒化物半導体を用いた短波長レーザ素子の実現にある。しかしながら窒化物半導体は未だレーザ発振するには至っていない。
従って本発明はその課題を解決するために成されたものであって、その目的とするところは窒化物半導体を用いたレーザ素子を実現することにあり、特に紫外〜緑色領域で発振する短波長レーザを実現するにある。
我々は、まず第一にダブルへテロ構造となるように積層された窒化物半導体中の所定の位置に活性層の発光を閉じこめられる光反射膜を形成し、第二に活性層の結晶性を良くすることにより上記問題が解決できることを新規に見いだし本発明を成すに至った。即ち本発明の第1の窒化物半導体レーザ素子は、基板上に、少なくともn型コンタクト層を介して形成されたn型窒化物半導体よりなるn型クラッド層と、そのn型クラッド層に接してインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体よりなる活性層と、その活性層に接してp型窒化物半導体よりなるp型クラッド層とが順に積層された構造を有する窒化物半導体レーザ素子において、
前記n型クラッド層と前記n型コンタクト層との間に、互いに組成の異なる2種類の窒化物半導体が積層されてなるn型の多層膜を光反射膜として備え、
前記n型の多層膜の少なくとも一方の窒化物半導体層はインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなることを特徴とする。
本発明に係る第1の窒化物半導体レーザ素子においては、前記n型の多層膜の他方の窒化物半導体層はアルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなることが好ましい。
本発明に係る第1の窒化物半導体レーザ素子においては、前記n型クラッド層は、インジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなる層で構成してもよい。
本発明に係る第1の窒化物半導体レーザ素子においては、前記n型クラッド層は、アルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなる層で構成してもよい。
本発明に係る第2の窒化物半導体レーザ素子は、少なくともn型窒化物半導体よりなる第2のn型クラッド層と、n型窒化物半導体よりなる第1のn型クラッド層と、その第1のn型クラッド層に接してインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体よりなる活性層と、その活性層に接してp型窒化物半導体よりなるp型クラッド層とが順に積層された構造を有する窒化物半導体レーザ素子において、
前記第1のn型クラッド層と前記第2のn型クラッド層との間に、互いに組成の異なる2種類の窒化物半導体が積層されてなるn型の多層膜を光反射膜として備え、
前記n型の多層膜の少なくとも一方の窒化物半導体層はインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなることを特徴とする。
本発明に係る第2の窒化物半導体レーザ素子においては、前記n型の多層膜の他方の窒化物半導体層はアルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなることが好ましい。
本発明に係る第2の窒化物半導体レーザ素子においては、前記第1のn型クラッド層は、インジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなる層で構成することができる。
本発明に係る第2の窒化物半導体レーザ素子においては、前記第2のn型クラッド層は、アルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなる層で構成することができる。
また、本発明はp型クラッド層の外側に、互いに組成の異なる2種類のp型窒化物半導体層が積層されてなるp型の多層膜を光反射膜として備えることを特徴とする。
ここで、本明細書において、外側とは活性層が形成されているクラッド層の反対側を意味するものであって、必ずしもクラッド層に接している必要はない。
すなわち、本発明に係る第3の窒化物半導体レーザ素子は、少なくともn型窒化物半導体よりなるn型クラッド層と、そのn型クラッド層に接してインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体よりなる活性層と、その活性層に接してp型窒化物半導体よりなるp型クラッド層と、p型コンタクト層とが順に積層された構造を有する窒化物半導体レーザ素子において、
前記p型クラッド層と前記p型コンタクト層との間に、互いに組成の異なる2種類の窒化物半導体が積層されてなるp型の多層膜を光反射膜として備え、
前記p型の多層膜の少なくとも一方の窒化物半導体層はインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなることを特徴とする。
本発明に係る第3の窒化物半導体レーザ素子においては、前記p型の多層膜の他方の窒化物半導体層はアルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなることが好ましい。
本発明に係る第3の窒化物半導体レーザ素子においては、前記n型クラッド層は、インジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなる層で構成することができる。
本発明に係る第3の窒化物半導体レーザ素子においては、前記n型クラッド層は、アルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなる層で構成することができる。
本発明に係る第4の窒化物半導体レーザ素子は、少なくともn型窒化物半導体よりなるn型クラッド層と、そのn型クラッド層に接してインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体よりなる活性層と、その活性層に接してp型窒化物半導体よりなる第1のp型クラッド層と、第2のp型クラッド層とが順に積層された構造を有する窒化物半導体レーザ素子において、
前記第1のp型クラッド層と前記第2のp型クラッド層との間に、互いに組成の異なる2種類の窒化物半導体が積層されてなるp型の多層膜を光反射膜として備え、
前記p型の多層膜の少なくとも一方の窒化物半導体層はインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなることを特徴とする。
本発明に係る第4の窒化物半導体レーザ素子においては、前記p型の多層膜の他方の窒化物半導体層はアルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなることが好ましい。
本発明に係る第4の窒化物半導体レーザ素子においては、前記第1のp型クラッド層は、インジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなる層で構成することができる。
本発明に係る第4の窒化物半導体レーザ素子においては、前記第2のp型クラッド層は、アルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなる層で構成することができる。
以上説明した本発明のレーザ素子は活性層の発光を反射する多層膜層を備えているため、発光を基板側に逃がさず効率的に活性層の光閉じ込めを行うことができる。従って、例えばストライプ型のレーザを作製した場合には容易にレーザ発振可能となる。
さらに、本発明の好ましい態様として、InGaNよりなる活性層のいずれかの主面側にInGaNのクラッド層を形成すると、活性層の結晶性、およびAlGaNクラッド層の結晶性も良くなり、結晶欠陥が少なくなり、レーザ素子の常温での発振、信頼性が向上する。本発明では活性層に接するクラッド層が格子整合していないにもかかわらず、レーザ発振できるのはこの構造の影響が大であると推察される。
このように短波長の半導体レーザ素子が実現できたことにより、コンパクトディスク(CD)の書き込み光源、読み取り光源、その他ディスプレイ用光源、照明用光源、植物育成用光源等、数多くのデバイスに適用可能となるので、その産業上の利用価値は多大なものがある。
本発明の一実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図を図2に示す。1はサファイア基板、2は基板と窒化物半導体層との格子不整号を緩和するバッファ層、3は負電極を形成するn型コンタクト層、4は第二のn型クラッド層、5は第一のn型クラッド層、6は活性層、7は第一のp型クラッド層、8は第二のp型クラッド層、9は正電極を形成するp型コンタクト層をそれぞれ示している。さらに活性層6からの発光が基板1側に広がらないように、この図では第一のn型クラッド層5と第二のn型クラッド層4との間に、活性層6の光を反射するn型多層膜44を形成している。しかもn型多層膜44の形成位置は最も基板1側に近いエッチング面の水平面(図2では負電極が形成されるn型コンタクト層3のエッチング面の水平面としている。)よりもp型窒化物半導体層に近い位置に形成されている。n型多層膜44は互いに組成の異なる窒化物半導体、つまり互いに屈折率の異なる2種類の窒化物半導体が、例えばλ/4n(λ:波長、n:屈折率)で交互に2層以上積層されて、活性層6の発光波長をn型多層膜44で反射して活性層6中に閉じこめる作用を有している。
また、図3は本発明の他の実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、同一符号は図2と同一部材を示している。図3では、n型コンタクト層3と第二のn型クラッド層4との間にn型多層膜44が形成され、第二のp型クラッド層8とp型コンタクト層9との間に互いに組成の異なる2種類の窒化物半導体を交互に積層したp型の多層膜55が形成されている。図3のように光反射膜となるp型の多層膜55をp型層中にも形成すると、n型多層膜44をn型層中に形成した時よりもさらに効率的に活性層の光り閉じこめができるので、容易にレーザ発振しやすくなる。また図3も同様にn型多層膜44の形成位置は負電極が形成されるn型コンタクト層3のエッチング面の水平面、つまり最も基板1側に近いエッチング面の水平面よりもp型層側に近い位置に形成されている。
また、図4は本発明の他の実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、同一符号は図2および図3と同一部材を示している。図4では、第一のn型クラッド層5と第二のn型クラッド層4との間にn型多層膜44が形成され、第一のp型クラッド層7と第二のp型クラッド層8との間にp型の多層膜層55が形成されている。
また、図6も本願の他の実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す模式的な断面図であるが、この図が他の本発明のレーザ素子の構造と異なる点は、p層側からのエッチングを深くして、エッチング面の水平面のp型コンタクト層の深さが負電極の形成面よりも基板側にあるところである。n型多層膜44の位置が、最も基板側に近いエッチング面の水平面(A面)よりもp型窒化物半導体層に近い位置に形成されていることを示している。n型多層膜44の位置の作用については後に詳しく述べる。
このようにn型の多層膜44は、第一のn型クラッド層5、第二のn型クラッド層4の間、第二のn型クラッド層4とn型コンタクト層3との間、またはn型コンタクト層内部(内部については実施例で説明する。)の内のいずれか一ヶ所に形成可能であり、またp型多層膜55を形成する場合には、請求項7にも記載のように第一のp型クラッド層7と第二のp型クラッド層8との間、第二のp型クラッド層8とp型コンタクト層9との間、またはp型コンタクト層内部の内のいずれか一ヶ所に形成可能である。
次に前記n型多層膜44、p型多層膜55を構成する2種類の窒化物半導体は、少なくとも一方がインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaN{例えばIncGa1-cN(0≦c<1)}であることが好ましい。なぜなら単一層を積層して多層膜とする場合、その単一層の一方にIncGa1-cN、GaNを形成することにより、GaN、IncGa1-cN層がバッファ層のような作用をして、もう一方の単一層にクラックが入るのを防止することができるからである。これはIncGa1-cN層、GaN層の結晶がAlGaNに比べて柔らかいことによるものである。これに対し多層膜を例えば互いにAl組成の異なるAlGaN層で、例えば総膜厚0.5μm以上となるように多層形成すると、多層膜中にクラックが入り、素子作製が困難となる。
多層膜を構成する2種類の窒化物半導体の好ましい組み合わせは、一方が前記のようにIncGa1-cN若しくはGaNよりなり、もう一方がアルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体{例えば、AldGa1-dN(0<d<1)}で構成することが最良である。なぜなら、IncGa1-cNとAldGa1-dNとは屈折率の差が大きいのでこれらの材料で多層膜を構成することにより、発光波長に応じて反射率の大きい多層膜の設計が可能であるからである。また、IncGa1-cNがバッファ層の作用をしているため、もう一方のAldGa1-dN層にクラックが入ることなく10層以上積層可能となる。なお、InN、GaN、AlNの屈折率はそれぞれ、2.9、2.5、2.15である。これらの混晶の屈折率はベガードの法則に従うと仮定し、組成に比例するとして求めることができる。
ここで、IncGa1-cNのc値は0.5以下、好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.2以下に調整することが望ましい。なぜなら、インジウムのモル比が大きくなるに従って、InGaNの結晶性が悪くなるからである。またAldGa1-dNのd値は0.6以下、さらに好ましくは0.4以下にすることが望ましい。0.6より大きいとAlGaN層にクラックが発生しやすいからである。
次に、レーザ素子を実現するために結晶性に優れた活性層が得られる素子構造について図面を元に説明する。
活性層6{例えば、InXGa1-XN(0<X<1)}はn型、p型いずれでもよいが、特にノンドープ(無添加)とすることにより強いバンド間発光が得られ発光波長の半値幅が狭くなり、レーザ素子を実現する上で特に好ましい。特に好ましく活性層は単一量子井戸(SQW:single quantum well)構造若しくは多重量子井戸(MQW:multi quantum well)構造とすると非常に出力の高い発光素子が得られる。SQW、MQWとはノンドープのInGaNによる量子準位間の発光が得られる活性層の構造を指し、例えばSQWでは活性層を単一組成のInXGa1-XN(0≦X<1)で構成した層であり、InXGa1-XNの膜厚を100オングストローム以下、さらに好ましくは70オングストローム以下とすることにより量子準位間の強い発光が得られる。またMQWは組成比の異なるInXGa1-XN(この場合X=0、X=1を含む)の薄膜を複数積層した多層膜とする。このように活性層をSQW、MQWとすることにより量子準位間発光で、約365nm〜660nmまでの発光が得られる。量子構造の井戸層の厚さとしては、前記のように70オングストローム以下が好ましい。多重量子井戸構造では井戸層はInXGa1-XNで構成し、障壁層は同じくInYGa1-YN(Y<X、この場合Y=0を含む)で構成することが望ましい。特に好ましくは井戸層と障壁層をInGaNで形成すると同一温度で成長できるので結晶性のよい活性層が得られる。障壁層の膜厚は150オングストローム以下、さらに好ましくは120オングストローム以下にすると高出力な発光素子が得られる。また、活性層6にn型ドーパントおよび/またはp型ドーパントをドープしてもよい。n型ドーパントをドープするとノンドープのものに比べてバンド間発光強度をさらに強くすることができる。p型ドーパントをドープするとバンド間発光のピーク波長よりも約0.5eV低エネルギー側にピーク波長を持っていくことができるが、半値幅は広くなりレーザ発振が難しくなる傾向にある。また、p型ドーパントとn型ドーパントを同時にドープすると、前述したp型ドーパントのみドープした活性層の発光強度をさらに大きくすることができるが半値幅がやはり大きいのでレーザ発振が難しくなる傾向にある。結晶性のよい活性層を成長させてレーザ素子とするには、前記のようにノンドープで単一量子井戸構造、若しくは多重量子井戸構造とすることが最も好ましい。
活性層6は必ず活性層6よりもバンドギャップの大きいクラッド層で挟まれる必要がある。図2では活性層6の第一の主面側に接して第一のn型クラッド層5を形成し、活性層6の第二の主面側に接して第一のp型クラッド層7を形成している。第一のn型クラッド層5、および第二のp型クラッド層7の半導体材料は活性層よりもバンドギャップが大きい窒化物半導体であればどのような組成でも良いが、特に好ましくは、第一のn型クラッド層5をインジウムとガリウムを含む窒化物半導体、またはGaN{例えば、n型InYGa1-YN(0≦Y<1)}で形成し、第一のp型クラッド層7を同じくインジウムとガリウムを含む窒化物半導体、またはGaN{例えば、n型InZGa1-ZN(0≦Z<1)}で形成する。但し、第一のn型クラッド層5と第一のp型クラッド層をInGaNで形成する場合にはいずれかのクラッド層を省略することも可能であるが、特に好ましくは図2に示すように、活性層6の両面に形成する。インジウムを含む第一のn型クラッド層5、および第二のp型クラッド層7は結晶が柔らかいので、これらのクラッド層がクッションのようなバッファ層の作用をして、これらのクラッド層の外側に、第二のn型クラッド層4、第二のp型クラッド層8、n型コンタクト層3、p型コンタクト層9等を形成した際に、これらの層(3、4、8、9)中にクラックが入るのを防止することができる。バッファ層として作用するInGaNクラッド層の膜厚の好ましい範囲は、活性層6と第一のn型クラッド層5、活性層6と第一のp型クラッド層7、第一のn型クラッド層5と活性層6と第一のp型クラッド層7の組み合わせにおいて、その組み合わせたInGaN層の総膜厚を300オングストローム以上にすることが好ましい。また、レーザ素子とした場合には第一のn型クラッド層5を省略すれば、第二のn型クラッド層4が第一のn型クラッド層5として作用し、また第一のp型クラッド層7を省略すれば、同じく第二のp型クラッド層8が第一のp型クラッド層7として作用する。
以上、InGaNよりなる第一のn型クラッド層5、活性層6、第一のp型クラッド層7について説明したが、これらのInGaNのIn組成比、つまりX値、Y値、Z値は0.5以下、好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.2以下に調整することが望ましい。なぜなら、インジウムのモル比が大きくなるに従って、InGaNの結晶性が悪くなり発光出力が低下する傾向にあるからである。さらに、前記InXGa1-XN、InYGa1-YN、InZGa1-ZNとは、その式中においてInGaNの効果を変化させない範囲でGaの一部を微量のAlで置換したInAlGaNも前記式中に含まれるものとする。例えばIna'Alb'Ga1-a'-b'N式中でb'値が0.1以下であれば第一のn型クラッド層、活性層、第二のp型クラッド層の効果は変わることがない。ただ、Alを含有させると結晶が硬くなる傾向にあるので四元混晶の窒化物半導体よりも、Alを含まない三元混晶のInGaNのみで活性層6、第一のn型クラッド層5、第一のp型クラッド層7を構成するのがレーザ発振しやすくなり最も良い。
次に、第一のn型クラッド層5の外側に接して形成する第二のn型クラッド層4は、アルミニウムとガリウムとを含むn型窒化物半導体{例えば、n型AlaGa1-aN(0<a<1)}で形成することが好ましく、また第一のp型クラッド層7の外側に接して形成する第二のp型クラッド層は、同じくアルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体{例えば、p型AlbGa1-bN(0<b<1)}で形成することが好ましい。ここで、第二のn型クラッド層4と第二のp型クラッド層7をAlGaNで形成する場合にはいずれかのクラッド層を省略することも可能であるが、特に好ましくは図2に示すように第一のn型クラッド層3に接して第二のn型クラッド層4を形成すると共に、第一のp型クラッド層7に接して第二のp型クラッド層8を両方形成する。但し、第二のn型クラッド層4と第一のn型クラッド層5とを同時に省略したり、また第一のp型クラッド層7と第二のp型クラッド層8を同時に省略するとレーザ発振することは困難である。
また、第二のn型クラッド層4、第二のp型クラッド層8は10オングストローム〜0.5μmの膜厚で形成することが望ましい。さらにAlGaNのAl混晶比、つまりa値、b値は0.6以下、さらに好ましくは0.4以下にする事が望ましい。なぜならAlGaNは結晶が硬く、0.6より大きいとAlGaN層にクラックが発生しやすいからである。これは前記InGaNによるバッファ層が作用しても0.6よりも大きいとクラックが極端に発生しやすくなる。
また、前記AlaGa1-aN、AlbGa1-bNとは、その式中においてAlGaNの効果を変化させない範囲でGaの一部を微量のInで置換したInAlGaNも前記式中に含まれるものとする。例えばIna'Alb'Ga1-a'-b'N式中でa'値が0.1以下であればAlGaNの効果はほとんど変わることがない。但し、微量のInを含有させるとバンドギャップが小さくなるので、第一のn型クラッド層5、活性層6、第二のp型クラッド層7よりもバンドギャップを大きくしなければならない。また、Inを含有させると結晶性が悪くなり発光出力が低下する傾向にあるので、四元混晶の窒化物半導体よりも、Inを含まない三元混晶のAlGaNのみで第二のn型クラッド層4、第二のp型クラッド層8を構成するのが発光出力が大きくなり最も好ましい。このように、Alを含む層を第二のn型クラッド層4、および前記第二のp型クラッド層8とすることにより、活性層6、第一のn型クラッド層5、第一のp型クラッド層7とのバンドオフセットを大きくできるので発光効率を上げることができる。
活性層6と第一のクラッド層5、7の好ましい組み合わせは、第一のn型クラッド層をInYGa1-YN、活性層をInXGa1-XN、第一のp型クラッド層をInZGa1-ZNで形成することである。但し、前記組み合わせにおいて、バンドギャップの関係からY<X、Z<Xを満たしていることはいうまでもない。活性層はn型若しくはノンドープの方がバンド間発光による半値幅の狭い発光が得られるので好ましい。
さらに最も好ましい組み合わせとして、第二のn型クラッド層をAlaGa1-aN、第一のn型クラッド層をInYGa1-YN、活性層をInXGa1-XN、第一のp型クラッド層をInZGa1-ZN、第二のp型クラッド層をAlbGa1-bNで形成することを推奨する。この組み合わせによると最も結晶性に優れた窒化物半導体を積層したダブルへテロ構造となり、レーザ発振が可能となる。
次に、n型コンタクト層3は望ましくは図2に示すように、第二のn型クラッド層4に接してn型コンタクト層3を形成し、第二のp型クラッド層8に接してp型コンタクト層9を形成することが最も良い。また、n型コンタクト層3は、第二のn型クラッド層4、若しくは第一のn型クラッド層5のいずれかに形成可能であり、p型コンタクト層9は第二のp型クラッド層8、若しくは第一のp型クラッド層7のいずれかにも形成可能である。つまり、第二のn型クラッド層4を省略すれば、第一のn型クラッド層5に接して形成することができ、p型コンタクト層9も同様に第二のp型クラッド層8を省略すれば第一のp型クラッド層7に接して形成することができる。
さらにまた、n型コンタクト層3、p型コンタクト層9の半導体はAl、Inを含まないGaNとする必要がある。コンタクト層は電極を形成する層であるので、結晶性が良く、キャリア濃度が大きい層を形成すれば電極材料とオーミックが得られやすくなる。そのためにはGaNが最も好ましい。また、n型コンタクト層3とオーミックが得られやすい電極材料としてはTiとAlを含む金属が好ましく、p型コンタクト層9とオーミックが得られやすい電極材料にはNiとAuを含む金属が好ましい。このように電極を形成すべき層としてGaNよりなるコンタクト層を形成すると、低いしきい値電圧でレーザ発振可能となる。
次に、本発明のレーザ素子の具体的な構造を挙げると、利得導波型ストライプ型レーザとしては、電極ストライプ型、メサストライプ型、ヘテロアイソレーション型等を挙げることができる。またその他、作りつけ導波機構をもつストライプ型レーザとして、埋め込みヘテロ型、CSP型、リブガイド型等を挙げることができる。これらの構造のレーザ素子に導波路として通常数μmから20μm程度の幅の電極を最上層に形成し、このストライプに沿って発振を起こさせる。発振するための光共振面となる誘電体多層膜は、このストライプに垂直な方向の窒化物半導体層表面に形成される。
以上、レーザ素子の構造について説明したが、次に製造方法について簡単に説明する。窒化物半導体よりなるレーザ素子を製造するには、例えばMOVPE(有機金属気相成長法)、MBE(分子線気相成長法)、HDVPE(ハイドライド気相成長法)等の気相成長法を用いて、基板上にIna'Alb'Ga1-a'-b'N(0≦a'、0≦b'、a'+b'≦1)をn型、p型等の導電型でダブルへテロ構造になるように積層することによって得られる。基板1には例えばサファイア(C面、A面、R面を含む)、SiC(6H−SiC、4H−SiCも含む)、ZnO、Si、GaAs、スピネル等が使用でき、図2ではサファイア基板を示している。n型の窒化物半導体はノンドープの状態でも得られるが、Si、Ge、S等のn型ドーパントを結晶成長中に半導体層中に導入することによって得られる。またp型の窒化物半導体層はMg、Zn、Cd、Ca、Be、C等のp型ドーパントを同じく結晶成長中に半導体層中に導入するか、または導入後400℃以上でアニーリングを行うことにより得られる。バッファ層2は基板1と窒化物半導体との格子不整号を緩和するために設けられ、例えばMOVPE法では500℃前後の低温でGaN、AlN、GaAlN等が形成されることが多い。またSiC、ZnOのような窒化物半導体と格子定数の近い基板を使用する際にはバッファ層が形成されないこともある。
(作用)
従来、窒化物半導体を用いてレーザ素子を実現する場合、活性層への光閉じこめはクラッド層と活性層との屈折率差の反射によって行われていた。しかしながら屈折率差は非常に少なく、多くても0.5以下である。このためほとんどの光はクラッド層を透過して広がってしまう。p型クラッド層を透過して広がった光は最終的には空気層に出るが、空気の屈折率は1であり、p型コンタクト層GaNの屈折率は2.5である。ここでの屈折率差は大きく、かなりの光は反射され活性層側に戻るので光の閉じこめ効果が大きい。半導体層の水平方向についても同様のことがいえる。しかし、n型クラッド層を透過した光は、n型クラッド層とn型コンタクト層との屈折率が小さく、界面で反射されずに、n型コンタクト層中に容易に拡散して行くので、光閉じこめ効果は少ない。従って活性層の発光が基板側に洩れていってしまいレーザ発振は起こらなかった。
一方、本発明では、活性層よりも基板側のn型層中に光反射する多層膜を窒化物半導体で形成しているので、活性層の発光を活性層側に反射して活性層に閉じこめることが可能となる。多層膜の反射率は膜厚を制御して例えば5ペア以上積めば反射率は約80%〜99%となり非常に高い反射率が得られ、活性層への光閉じこめ効果は非常に大きいものがある。このため、活性層よりも上のp層側にも多層膜を挿入した方が光閉じこめ効果が大きくなることはいうまでもない。
しかも、本発明は同一面側から正、負一対の電極と取り出す、いわゆるフリップチップ方式である。この場合、図2、図3、図4、図6に示すようにn型層側に形成するn型多層膜44は、最も基板側に近いエッチング面の水平面よりもp型窒化物半導体層に近い位置に形成する必要がある。なぜなら、n型多層膜44を基板側に最も近いエッチング面の水平面よりも基板1側に形成すると、第二のn型クラッド層4とn型コンタクト層3との屈折率差が小さいので、活性層6の発光が活性層6よりも下のn型コンタクト層3中で広がってしまい、光閉じこめができないからである。逆に基板側に最も近いエッチング面よりも高い位置、つまりp型層に近い位置にn型多層膜を形成すると、光はn型コンタクト層中に拡散されず活性層にほとんどの光が反射されて閉じこめ可能となる。これは同一面側から正、負の電極を取り出すフリップチップ方式の窒化物半導体レーザ特有の作用である。
次に特に好ましい本発明のレーザ素子の構造について述べる。従来の窒化物半導体のLED素子はInGaNよりなる活性層をAlGaNよりなるクラッド層で挟んだ構造を有していた。一方、本発明ではこのInGaNよりなる活性層を、その活性層よりもバンドギャップの大きいInGaNで挟むことにより発光出力が飛躍的に向上し、レーザ発振が可能となることを見いだした。これは新たなInGaNクラッド層がInGaN発光層とAlGaNクラッド層との間のバッファ層として働いているからである。InGaNは結晶の性質として柔らかい性質を有しており、AlGaNクラッド層とInGaNとの格子定数不整と熱膨張係数差によって生じる結晶欠陥を吸収する働きがあると考えられる。このため新たに形成したInGaNクラッド層が、これら結晶欠陥を吸収してInGaN発光層の結晶欠陥が大幅に減少するので、InGaN発光層の結晶性が飛躍的に良くなり、常温でレーザ発振可能となる。
一方、従来のInGaN発光層をAlGaNクラッド層を挟んだ構造では、例えばInGaN発光層の厚さを200オングストローム未満にすると、AlGaNクラッド層とInGaN発光層とにクラックが多数生じる。これはAlGaNクラッド層が結晶の性質上、非常に硬い性質を有しており、薄い膜厚のInGaN発光層のみではAlGaNクラッド層との界面から生じる格子不整合と、熱膨張係数差から生じる歪をInGaN発光層で弾性的に緩和できないことを示している。このためInGaN発光層、AlGaNクラッド層にクラックが生じ、また結晶欠陥が発光層に多数生じるので、出力の大幅な向上が望めないのである。
以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明する。以下の実施例はMOVPE法による成長方法を示している。
[実施例1]
図2を元に実施例1について説明する。まずTMG(トリメチルガリウム)とNH3とを用い、反応容器にセットしたサファイア基板1のC面に500℃でGaNよりなるバッファ層2を500オングストロームの膜厚で成長させる。
次に温度を1050℃まで上げ、TMG、NH3に加えSiH4ガスを用い、Siドープn型GaNよりなるn型コンタクト層3を4μmの膜厚で成長させる。
続いて、原料ガスにTMA(トリメチルアルミニウム)を加え、同じく1050℃でSiドープn型Al0.3Ga0.7N層よりなる第二のn型クラッド層4を0.1μmの膜厚で成長させる。
次に温度を800℃に下げ、原料ガスにTMG、TMI(トリメチルインジウム)、NH3、SiH4を用い、Siドープn型In0.01Ga0.95Nよりなる薄膜を380オングストロームの膜厚で成長させる。続いて温度を1050℃に上げTMG、TMA(トリメチルアルミニウム)、NH3、SiH4を用い、Siドープn型Al0.2Ga0.9Nよりなる薄膜を390オングストロームの膜厚で成長させる。そしてこれらの操作を20回繰り返し、Siドープn型In0.01Ga0.95N層とSiドープAl0.2Ga0.9N層を交互に10層づつ積層したn型多層膜44を形成する。
次に温度を800℃に下げ、TMG、TMI(トリメチルインジウム)、NH3、SiH4を用い、Siドープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第一のn型クラッド層5を500オングストロームの膜厚で成長させる。
続いてTMG、TMI、NH3を用い800℃でノンドープIn0.05Ga0.95Nよりなる活性層6を30オングストロームの膜厚で成長させる。
続いてTMG、TMI、NH3に加え新たにCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を用い800℃でMgドープp型In0.01Ga0.99Nよりなる第一のp型クラッド層7を500オングストロームの膜厚で成長させる。
次に温度を1050℃に上げ、TMG、TMA、NH3、Cp2Mgを用い、Mgドープp型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のp型クラッド層8を0.1μmの膜厚で成長させる。
続いて1050℃でTMG、NH3、Cp2Mgを用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層9を0.5μmの膜厚で成長させる。
反応終了後、温度を室温まで下げてウェーハを反応容器から取り出し、700℃でウェーハのアニーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化する。次に最上層のp型コンタクト層9の表面に所定の形状のマスクを形成し、n型コンタクト層3の表面が露出するまでエッチングする。
次に、n型コンタクト層3に50μmの幅でTiとAlを含む負電極、p型コンタクト層9に10μmの幅でNiとAuを含む正電極をそれぞれ形成する。このように第二のn型クラッド層4の表面にn型多層膜44を形成すると、n型コンタクト層3までエッチングするので、自然に負電極を形成する水平面がn型多層膜44よりも下、つまり図2に示すように基板側となる。
次に、窒化物半導体層を形成していない方のサファイア基板面を研磨して基板の厚さを90μmにし、サファイア基板表面のM面(六方晶系において六角柱の側面に相当する面)をスクライブした。スクライブ後、ウェーハを700μm角のチップに分割し、図5に示すようなストライプ型のレーザチップを作製した。なお図5は本実施例によるレーザ素子の斜視図を示しており、ストライプ状の正電極と直交した窒化物半導体層面を光共振面としている。またこのレーザ素子は電極を除いた表面をSiO2よりなる絶縁膜で被覆しているが、図2および図5では絶縁膜は特に図示していない。
このチップをヒートシンクに設置し、それぞれの電極をワイヤーボンドした後、常温でレーザ発振を試みたところ、しきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
[実施例2]
図3を元に実施例2を説明する。これも実施例1と同様にして、サファイア基板1の上にGaNバッファ層2、Siドープn型GaNコンタクト層3を成長させる。コンタクト層3成長後、実施例1と同様にしてSiドープn型In0.01Ga0.95N層とSiドープAl0.2Ga0.9N層を交互に10層づつ積層したn型多層膜44を形成する。
次にn型多層膜44の上に、同様にしてSiドープn型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のn型クラッド層4と、Siドープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第一のn型クラッド層5、ノンドープn型In0.05Ga0.95Nよりなる活性層6、Mgドープp型In0.01Ga0.99Nよりなる第一のp型クラッド層7、Mgドープp型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のp型クラッド層8を順に成長させて積層する。
次に、温度を800℃にしてTMG、TMI、NH3、Cp2Mgを用い、Mgドープp型In0.01Ga0.95N層を380オングストローム成長させ、続いて温度を1050℃にして、TMG、TMA、NH3、Cp2Mgガスを用い、Mgドープp型Al0.2Ga0.9N層を390オングストロームの膜厚で成長させ、それぞれ交互に10層づつ積層したp型多層膜55を形成する。
p型多層膜55形成後、そのp型多層膜55の表面にMgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層9を成長させたウェーハを作製する。
このウェーハを同様にしてエッチングを行った後、電極を形成して図5に示すようなチップにした後、同様のレーザ素子としたところ、同じくしきい値電流密度1.0kA/cm2で発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
[実施例3]
次に、図3を元に実施例3を説明する。これも実施例1と同様にして、サファイア基板1の上にGaNバッファ層2、Siドープn型GaNコンタクト層3、Siドープn型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のクラッド層4を成長させる。
第二のクラッド層4、続いて温度を1050℃に維持し、Siドープn型GaN層を390オングストロームの膜厚で成長させ、続いてSiドープn型Al0.2Ga0.8N層を400オングストロームの膜厚で成長させ、それぞれ交互に10層づつ積層したn型多層膜44を形成する。
次にn型多層膜44の上に、同様にしてSiドープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第一のn型クラッド層5、ノンドープn型In0.05Ga0.95Nよりなる活性層6、Mgドープp型In0.01Ga0.99Nよりなる第一のp型クラッド層7を順に成長させて積層する。
次に温度を1050℃にして、Mgドープp型GaN層を390オングストロームの膜厚で成長させ、続いてMgドープp型Al0.2Ga0.8N層を400オングストロームの膜厚で成長させ、それぞれ交互に10層づつ積層したp型多層膜55を形成する。
p型多層膜55形成後、同様にしてMgドープp型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のp型クラッド層8と、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層9を成長させたウェーハを作製する。
このウェーハを同様にしてエッチングを行った後、電極を形成して図5に示すようなチップにした後、同様のレーザ素子としたところ、同じくしきい値電流密度1.0kA/cm2で発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
[実施例4]
実施例1と同様にしてサファイア基板1の上にGaNよりなるバッファ層を成長させる。バッファ層成長後、Siドープn型GaNよりなるn型コンタクト層3を4μmの膜厚で成長させる。
次にn型コンタクト層3成長後、Siドープn型Al0.2Ga0.8N層を400オングストロームの膜厚で成長させ、続いてSiドープn型GaN層を390オングストロームの膜厚で成長させ、それぞれ交互に10層づつ積層したn型多層膜44を形成する。但し、最後のSiドープn型GaN層は1μmの膜厚で成長させる。このようにしてn型コンタクト層3の内部にn型多層膜44を形成する。
後は、実施例1と同様にして第二のn型クラッド層4、第一のn型クラッド層5、活性層6、第一のp型クラッド層7、第二のp型クラッド層8、p型コンタクト層9を順に積層したウェーハを作製する。
このウェーハを同様にしてエッチングを行うのであるが、エッチング深さを深くして、最初に形成した4μmのn型GaNコンタクト層が露出するまでエッチングを行う。後は同様に電極を形成して図5に示すようなチップにした後、レーザ素子としたところ、同じくしきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
[実施例5]
第一のn型クラッド層5を形成しない他は、実施例2と同様にしてレーザ素子を作製したところ、しきい値電流密度2kA/cm2で発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
[実施例6]
第一のp型クラッド層7を形成しない他は、実施例2と同様にしてレーザ素子を作製したところ、しきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
[実施例7]
実施例1において、活性層6を成長させる際、ノンドープIn0.05Ga0.95Nよりなる井戸層を25オングストローム、その上に同じく800℃にて、ノンドープIn0.01Ga0.99Nよりなる障壁層を50オングストロームの膜厚で成長させる。この操作を13回繰り返し、最後に井戸層を積層して総厚1000オングストロームの活性層6を成長させた。後は実施例1と同様にしてレーザ素子としたところ、同じく、しきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
従来の一LED素子の構造を示す模式断面図。 本発明の一実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す模式断面図。 本発明の他の実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す模式断面図。 本発明の他の実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す模式断面図。 本発明の一実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す斜視図。 本発明の他の実施の形態に係るレーザ素子の構造を示す模式断面図。
符号の説明
1・・・・サファイア基板、
2・・・・バッファ層、
3・・・・n型コンタクト層、
4・・・・第二のn型クラッド層、
5・・・・第一のn型クラッド層、
6・・・・活性層、
7・・・・第一のp型クラッド層、
8・・・・第二のp型クラッド層、
9・・・・p型コンタクト層、
44・・・n型多層膜、
55・・・p型多層膜。

Claims (7)

  1. 少なくともn型クラッド層と、その上に、インジウムとガリウムとを含む窒化物半導体よりなる活性層と、p型クラッド層と、p型コンタクト層とが順に積層された窒化物半導体層と、該窒化物半導体層の上に形成されたストライプ状の正電極と、該正電極と直交した窒化物半導体層を光共振面とする窒化物半導体レーザ素子において、
    前記p型クラッド層は、第1のp型クラッド層と第2のp型クラッド層とを有しており、
    前記第2のp型クラッド層と前記p型コンタクト層との間に、互いに組成の異なる2種類の窒化物半導体が積層されてなるp型の多層膜の光反射膜として備え、
    前記p型の多層膜の少なくとも一方の窒化物半導体層はインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  2. 少なくともn型クラッド層と、その上に、インジウムとガリウムとを含む窒化物半導体よりなる活性層と、p型クラッド層と、p型コンタクト層とが順に積層された窒化物半導体層と、該窒化物半導体層の上に形成されたストライプ状の正電極と、該正電極と直交した窒化物半導体層を光共振面とする窒化物半導体レーザ素子において、
    前記p型クラッド層は、第1のp型クラッド層と第2のp型クラッド層とを有しており、
    前記第1のp型クラッド層と前記第2のp型クラッド層との間に、互いに組成の異なる2種類の窒化物半導体が積層されてなるp型の多層膜の光反射膜として備え、
    前記p型の多層膜の少なくとも一方の窒化物半導体層はインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGaNからなることを特徴とする窒化物半導体レーザ素子。
  3. 前記第1のp型クラッド層は、アルミニウムとガリウムとを含むp型窒化物半導体からなる請求項1又は2記載の窒化物半導体レーザ素子。
  4. 前記第2のp型クラッド層は、アルミニウムとガリウムとを含むp型窒化物半導体からなる請求項1又は2記載の窒化物半導体レーザ素子。
  5. 前記p型の多層膜の他方の窒化物半導体層はアルミニウムとガリウムとを含む窒化物半導体からなることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 前記活性層は、ノンドープ層からなり、単一量子井戸構造、又は多重量子井戸構造をしている請求項1〜5のうちのいずれか1つに記載の窒化物半導体レーザ素子。
  7. 前記第1のp型クラッド層は、前記活性層に接している請求項1又は2に記載の窒化物半導体レーザ素子。
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