JP3366188B2 - 窒化物半導体素子 - Google Patents

窒化物半導体素子

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JP3366188B2
JP3366188B2 JP14918396A JP14918396A JP3366188B2 JP 3366188 B2 JP3366188 B2 JP 3366188B2 JP 14918396 A JP14918396 A JP 14918396A JP 14918396 A JP14918396 A JP 14918396A JP 3366188 B2 JP3366188 B2 JP 3366188B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光ダイオード
(LED)、レーザダイオード(LD)等の発光素子、
太陽電池、フォトダイオード等の受光素子に使用される
窒化物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦
Y、X+Y≦1)素子に係り、特にレーザ素子の構造に関
する。
【0002】
【従来の技術】紫外〜青色の領域に発光するレーザ素子
の材料として窒化物半導体が知られており、本出願人
は、最近この材料を用いてパルス電流において、室温で
の410nmのレーザ発振を発表した(例えば、Jpn.J.
Appl.Phys. Vol35 (1996) pp.L74-76)。発表したレー
ザ素子はいわゆる電極ストライプ型のレーザ素子であ
り、活性層を含む窒化物半導体層のストライプ幅を数十
μmにして、レーザ発振させたものである。図5にその
レーザ素子の構造を示す模式的な断面図を示す。このレ
ーザ素子はサファイアよりなる基板の上に、GaNより
なるバッファ層、n−GaN、n−In0.1Ga0.9N、
n−Al0.15Ga0.95N、n−GaN、多重量子井戸構
造(MQW:Multi-Quantum-Well)のInGaNよりな
る活性層、p-Al0.2Ga0.8N、p−GaN、p−A
0.15Ga0.85N、p−GaNを順に積層した構造を有
し、バッファ層の上にあるn−GaN層が負電極を形成
するn型コンタクト層、最上層のp−GaN層が正電極
を形成するp型コンタクト層として作用し、n−Al
0.15Ga0.85N層と、p−Al0.15Ga0.85N層とが光
閉じ込め層として作用している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このように、本発明者
らが開発した窒化物半導体レーザにより、世界で初めて
410nmのレーザ発振が実現されたわけであるが、未
だパルス発振でしかなく、しかも閾値電流は1〜2Aも
ある。連続発振させるためには、さらに閾値電流を下げ
る必要がある。また、図を見ても分かるように複雑な積
層構造を有しているため、窒化物半導体成長工程におい
て、煩雑な作業を必要とする。
【0004】本発明はこのような事情を鑑みて成された
ものであって、その目的とするところは、シンプルな構
造で窒化物半導体よりなるレーザ素子を実現し、さらに
閾値電流を小さくして、室温での連続発振を目指すこと
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明に係る窒化物半導
体素子はそれぞれ、基板上部に、AlGa1−y
(0<y<1)で表されるn型窒化物半導体層よりなる
n型コンタクト層と、Inを含む窒化物半導体よりなる
多重量子井戸構造の活性層と、Alを含むp型窒化物半
導体よりなる第1のp型層と、p型窒化物半導体よりな
るp型コンタクト層とを順に備え、以下のように構成さ
れて前記目的を達成する。
【0006】すなわち、本発明に係る第1の窒化物半導
体素子は、基板上部に、AlGa1−yN(0<y<
1)で表されるn型窒化物半導体層よりなるn型コンタ
クト層と、該n型コンタクト層上に接するように設けら
れたInを含む窒化物半導体よりなる多重量子井戸構造
の活性層と、Alを含むp型窒化物半導体よりなる第1
のp型層と、p型窒化物半導体よりなるp型コンタクト
層とを順に備え、さらに、前記活性層と前記第1のp型
層との間に、Inを含むp型窒化物半導体若しくはp型
GaNよりなる第2のp型層を有し、前記活性層と、前
記第2のp型層の間に、前記第1のp型層よりも膜厚が
薄いAlを含む窒化物半導体よりなる第3のp型層を有
することを特徴とする。
【0007】本発明に係る第2の窒化物半導体素子は、
基板上部に、AlGa1−yN(0<y<1)で表さ
れるn型窒化物半導体層よりなるn型コンタクト層と、
該n型コンタクト層上に接するように設けられたInを
含む窒化物半導体よりなる多重量子井戸構造の活性層
と、Alを含むp型窒化物半導体よりなる第1のp型層
と、p型窒化物半導体よりなるp型コンタクト層とを順
に有し、前記活性層は、Inを含む窒化物半導体からな
る井戸層と、Inを含む窒化物半導体又はGaNからな
りかつ前記井戸層よりバンドギャップの大きい障壁層と
を含んでなることを特徴とする。
【0008】前記第1と第2の窒化物半導体素子では、
前記n型コンタクト層は、基板側のAl混晶比が少な
く、活性層側のAl混晶比が大きい構造を有することが
好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例に係るレ
ーザ素子の構造を示す模式的な断面図である。この素子
は、サファイアA面を主面とする基板1の上に、GaN
よりなるバッファ層2、n型AlYGa1-YN(0<Y<
1)よりなるn型コンタクト層3、InXGa1-XN(0
<X≦1)よりなる井戸層と、InX'Ga1-X'N(0≦
X'<1、X'<X)よりなる障壁層とが積層された多重量
子井戸構造の活性層4、p型AlZGa1-ZN(0<Z<
1)よりなる第1のp型層51、p型GaNよりなるp
型コンタクト層6とが順に積層された構造を有してい
る。
【0010】本発明のレーザ素子において、基板1には
A面の他にC面、R面等の面方位を有するサファイアが
使用でき、サファイアの他、スピネル111面(MgA
24)、SiC、MgO、Si、ZnO、GaN等の
単結晶よりなる、公知の基板が用いられる。
【0011】バッファ層2は基板と窒化物半導体との格
子不整合を緩和するために設けられ、通常、GaN、A
lN、AlGaN等が1000オングストローム以下の
膜厚で成長されるが、窒化物半導体と格子定数の近い基
板、格子整合した基板を用いる場合、成長方法、成長条
件等の要因によっては成長されないこともあるので、省
略することもできる。但し、サファイア、スピネルのよ
うに、窒化物半導体と格子定数が異なる基板を用いる場
合、バッファ層を介すると、次に高温で成長させる窒化
物半導体層の結晶性が飛躍的に良くなる。さらに好まし
い態様として、Alを含むコンタクト層3を成長させる
前に、このバッファ層の組成をコンタクト層よりもAl
混晶比の少ないInXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦
Y、X+Y≦1)、さらに望ましくはAlYGa1-YN(0
≦Y<1)とすることにより、Alを含むn型コンタク
ト層3を結晶性良く、厚膜で成長させることができる。
バッファ層の成長温度はn型コンタクト層の成長温度よ
りも低く、好ましくは特開平4−297023号公報に
記載されるように、200℃以上、900℃以下の温度
で成長させることが望ましい。
【0012】n型コンタクト層3は本発明の最も特徴と
するところであり、AlとGaとを含むn型窒化物半導
体、好ましくはn型AlYGa1-YN(0<Y<1)とす
る。このn型コンタクト層は、Alを含む窒化物半導体
で形成されていることにより、活性層との屈折率差が大
きくでき、光閉じ込め層としてのクラッド層として作用
する。つまり、このn型コンタクト層3は電流を注入す
る層としてだけでなく、活性層の光を閉じ込める層とし
て作用する。従来のレーザ素子では、コンタクト層がG
aNで構成されていた。GaNの場合、n電極とのオー
ミック特性については非常に優れているが、n側のクラ
ッド層(光閉じ込め層等)よりも屈折率が大きいため
に、n側クラッド層より漏れた光がGaN層内で広が
り、閾値の低下を阻害していた。また、GaNよりなる
コンタクト層は、AlGaNよりなるクラッド層、基板
よりも屈折率が大きいため、活性層よりしみ出した光
が、このコンタクト層中でモードが生じ、主著区横方向
のファーフィールドパターンが、レーザ光と混じり合っ
て、あたかもマルチモードのようになっていた。
【0013】そこで、このコンタクト層をAlGaNと
することにより活性層の発光をn型コンタクト層内で広
がりにくくできるので、閾値が低下する。またn−Ga
Nがないことで、活性層よりしみ出した光は、全て基板
側に達し、垂直横方向は活性層のみで導波される基本モ
ードのみとなる。このn型コンタクト層の膜厚は0.1
μm以上、5μm以下に調整することが望ましい。0.
1μm以下であると、光閉じ込め層として作用しにく
く、また、電極を同一面側に設ける場合に、精密なエッ
チングレートの制御をせねばならないので不利である。
一方、5μmよりも厚いと、結晶中にクラックが入りや
すくなる傾向にある。なお、n型の窒化物半導体は、ノ
ンドープ(不純物をドープしない状態)でも結晶内部に
できる窒素空孔のためn型となる性質があるが、Si、
Ge、Sn等のドナー不純物を結晶成長中にドープする
ことにより、キャリア濃度が高く、好ましいn型特性を
示す窒化物半導体が得られる。また、AlYGa1-YNは
高キャリア濃度のn型が得やすい。
【0014】さらに、このn型コンタクト層3は、基板
側のAl混晶比が小さく、活性層側のAl混晶比が大き
い構造、即ち組成傾斜構造とすることが望ましい。なぜ
なら前記構造とすることにより、結晶性の良いn型コン
タクト層が得られるので、結晶性の良いn型コンタクト
層の上に積層する窒化物半導体の結晶性も良くなるた
め、素子全体の結晶性が良くなり、ひいては閾値の低
下、素子の信頼性が格段に向上する。また、活性層側の
Al混晶比が大きいために、活性層との屈折率差も大き
くなり光閉じ込め層として有効に作用する。
【0015】活性層4は、少なくとも井戸層がInを含
む窒化物半導体を含む多重量子井戸構造とする。多重量
子井戸構造とは、井戸層と障壁層とを積層したものであ
り、本発明の場合、井戸層がInを含む窒化物半導体で
構成されていれば、障壁層は井戸層よりもバンドギャッ
プが大きければ特にInを含む必要はない。好ましく
は、InXGa1-XN(0<X≦1)よりなる井戸層と、
InX'Ga1-X'N(0≦X'<1、X'<X)よりなる障壁
層とを積層した構造とする。三元混晶のInGaNは四
元混晶のものに比べて結晶性が良い物が得られるので、
発光出力が向上する。また障壁層は井戸層よりもバンド
ギャップエネルギーを大きくして、井戸+障壁+井戸+
・・・+障壁+井戸層(その逆でもよい。)となるよう
に積層して多重量子井戸構造を構成する。このように活
性層をInGaNを積層したMQWとすると、量子準位
間発光で約365nm〜660nm間での高出力なLD
を実現することができる。特に好ましい態様として、両
方の層をInGaNとすると、InGaNは、GaN、
AlGaN結晶に比べて結晶が柔らかい。そのため第1
のp型層であるAlGaNの厚さを厚くできるのでレー
ザ発振が実現できる。
【0016】また井戸、障壁層をInGaNとすると次
のような効果もある。GaNとInGaNとでは結晶の
成長温度が異なる。例えばMOVPE法ではInGaN
は600℃〜800℃で成長させるのに対して、GaN
は800℃より高い温度で成長させる。従って、InG
aNよりなる井戸層を成長させた後、GaNよりなる障
壁層を成長させようとすれば、成長温度を上げてやる必
要がある。成長温度を上げると、先に成長させたInG
aN井戸層が分解してしまうので結晶性の良い井戸層を
得ることは難しい。さらに井戸層の膜厚は数十オングス
トロームしかなく、薄膜の井戸層が分解するとMQWを
作製するのが困難となる。それに対し、障壁層をInG
aNとすると、井戸層と障壁層が同一温度で成長でき
る。従って、先に形成した井戸層が分解することがない
ので結晶性の良いMQWを形成することができる。これ
はMQWの最も好ましい態様を示したものである。
【0017】活性層4の膜厚は、図1のような光ガイド
層のないシンプルな構造とした場合、200オングスト
ローム以上、さらに好ましくは300オングストローム
以上の膜厚を有することが望ましい。なぜなら、本発明
の素子の場合、MQWよりなる活性層を厚く成長させる
ことにより、活性層の最外層近辺が光ガイド層として作
用する。つまり、n型コンタクト層3と第1のp型層5
1とが光閉じ込め層として作用し、活性層の最外層近傍
が光ガイド層として作用する。活性層の膜厚の上限は特
に限定するものではないが、通常は0.5μm以下に調
整することが望ましい。
【0018】さらに井戸層の膜厚は70オングストロー
ム以下、さらに望ましくは50オングストローム以下に
調整することが好ましい。また障壁層の厚さも150オ
ングストローム以下、さらに望ましくは100オングス
トローム以下の厚さに調整することが望ましい。井戸層
が70オングストロームよりも厚いか、または障壁層が
150オングストロームよりも厚いと、レーザ素子の出
力が低下する傾向にある。
【0019】次に、第1のp型層51は、Alを含む窒
化物半導体で構成し、好ましくは二元混晶または三元混
晶のAlZGa1-ZN(0<Z≦1)を成長させる。この
第1のp型層51はLDの場合、光閉じ込め層として作
用し、0.1μm〜1μmの膜厚で成長させることが望
ましく、AlGaNのようなAlを含むp型窒化物半導
体とすることにより、好ましく光閉じ込め層として作用
する。この第1のp型層も活性層をInを含む窒化物半
導体としているために、成長可能となる。つまり、In
GaNを含む活性層が緩衝層のような作用をするため
に、AlGaNを厚膜で成長させやすくなる。逆にAl
を含む窒化物半導体の上に、光閉じ込め層となるような
厚膜で、直接、Alを含む窒化物半導体を成長させるこ
とは難しい傾向にある。なお、p型の窒化物半導体はZ
n、Mg、Be、Cd、Ca等のアクセプター不純物を
結晶成長中にドープすることによって得られるが、その
中でもMgが最も好ましいp型特性を示す。また結晶成
長後、不活性ガス雰囲気中で、アクセプター不純物をド
ープした窒化物半導体を、400℃以上でアニーリング
することにより、さらに低抵抗なp型を得ることができ
る。
【0020】最上層のp型コンタクト層6はp型の窒化
物半導体(InXAlYGa1-X-YN、0≦X、0≦Y、X+
Y≦1)で構成することができ、特にInGaN、Ga
N、その中でもMgをドープしたp型GaNとすると、
最もキャリア濃度の高いp型層が得られて、正電極と良
好なオーミック接触が得られ、しきい値電流を低下させ
ることができる。正電極の材料としてはNi、Pd、I
r、Rh、Pt、Ag、Au等の比較的仕事関数の高い
金属又は合金がオーミックが得られやすい。
【0021】図2は、本発明の第2の態様に係る素子の
構造を示す模式的な断面図であり、図1と同一符号は同
一部材を示すものである。この素子が図1の素子と異な
る点は、活性層4と、第1のp型層51との間に、In
を含むp型窒化物半導体若しくはp型GaNよりなる第
2のp型層52を設けている点である。
【0022】この第2のp型層52は、好ましくは二元
混晶または三元混晶のInYGa1-YN(0≦Y≦1)を
成長させる。この第2のp型層52は、LDの場合、光
ガイド層として作用する。第1の態様では、活性層が2
00オングストローム以上の膜厚を有する場合に、活性
層の最外層近辺が光ガイド層として作用するが、第2の
態様において、この第2のp型層52を形成することに
より、活性層の膜厚を200オングストロームよりも薄
くしても、このましいレーザ発振が得られる。また第2
のp型層もInGaN、GaN等よりなるので、この層
がバッファ層のような作用をして、次に成長させる第1
のp型層51をクラック無く結晶性良く成長できる。こ
の第2のp型層52は、通常100オングストローム〜
1μmの膜厚で成長させることが望ましい。
【0023】図3は本発明の第3の態様に係る素子の構
造を示す模式的な断面図である。この素子が、図1及び
図2の素子と異なる点は、活性層4と、第2のp型層5
2との間に、第1のp型層よりも膜厚が薄いAlを含む
窒化物半導体よりなる第3のp型層53を設けている点
である。なお、特に図示していないが、第3のp型層5
3は活性層4と第1のp型層51との間に設けても良
い。即ち、図3において、第2のp型層52を削除する
こともできる。
【0024】第3のp型層53はAlを含むp型の窒化
物半導体で構成し、好ましくは三元混晶若しくは二元混
晶のAlXGa1-XN(0<X≦1)を成長させることが
望ましい。さらに、このAlGaNは第1のp型クラッ
ド層51よりも膜厚を薄く形成することが望ましく、好
ましくは10オングストローム以上、0.5μm以下に
調整する。この第3のp型層53を活性層4に接して形
成することにより、素子の出力が格段に向上する。これ
は、第3のp型層53成長時に、活性層のInGaNが
分解するのを抑える作用があるためと推察されるが、詳
しいことは不明である。前記したように、このAlを含
む窒化物半導体よりなる第3のp型層53を好ましく1
0オングストローム〜0.5μm以下の膜厚で成長させ
ることにより、InGaNよりなる活性層が分解するの
を防止するキャップ層としての作用があり、発光出力が
向上する。また、この第3のp型層53も膜厚が薄いた
めに光ガイド層となり、活性層の膜厚を薄くすることが
できる。
【0025】図4は本発明の第4の態様に係る素子の構
造を示す模式的な断面図である。この素子は、n型コン
タクト層3と、活性層4との間にInを含むn型窒化物
半導体若しくはn型GaNよりなるn型クラッド層31
を有する点が図1〜図3の素子と異なる。
【0026】このn型クラッド層31は、第2のp型層
と同様に、好ましくは二元混晶または三元混晶のInY
Ga1-YN(0≦Y≦1)を成長させる。作用も第2のp
型層と同一で、第n型クラッド層31がLDの場合、光
ガイド層として作用するため、活性層の膜厚を薄くでき
る。また他の作用として、このn型クラッド層31を成
長させることにより、結晶性の良いMQWの活性層が成
長できるため、素子の出力が向上する。
【0027】なお、本発明において示すInXGa
1-XN、AlYGa1-YN等は、単に一般式を示している
に過ぎず、異なる層が同一の一般式で示されていても、
それらの値X、Y値が同一の値を示すものでは決してな
い。
【0028】
【実施例】以下、MOVPE法によりレーザ素子を作製
する方法を述べるが、本発明の窒化物半導体素子はMO
VPE法だけではなく、例えば、MBE、HDVPE等
の他の知られている窒化物半導体の気相成長法を用いて
成長させることも可能である。
【0029】[実施例1] 本実施例は図1のレーザ素子を得るための方法であり、
以下図1を参照して実施例1を詳説する。サファイアの
A面を主面とする基板1をMOVPE装置の反応容器内
に設置した後、原料ガスにTMG(トリメチルガリウ
ム)と、アンモニアを用い、温度500℃で基板1の表
面にGaNよりなるバッファ層2を200オングストロ
ームの膜厚で成長させる。
【0030】続いて温度を1050℃に上げ、原料ガス
にTMG、TMA(トリメチルアルミニウム)、アンモ
ニア、ドナー不純物としてSiH4(シラン)ガスを用
いて、SiドープAl0.3Ga0.7Nよりなるn型コンタ
クト層3を4μmの膜厚で成長させる。このn型コンタ
クト層3は光閉じ込め層としても作用する。
【0031】次に、温度を750℃にして、原料ガスに
TMG、TMI(トリメチルインジウム)、アンモニア
を用いて活性層4を成長させる。活性層4は、まずノン
ドープIn0.2Ga0.8Nよりなる井戸層を25オングス
トロームの膜厚で成長させる。次にTMIのモル比を変
化させるのみで同一温度で、ノンドープIn0.01Ga
0.95Nよりなる障壁層を50オングストロームの膜厚で
成長させる。この操作を13回繰り返し、最後に井戸層
を成長させ総膜厚0.1μmの多重量子井戸構造よりな
る活性層4を成長させる。
【0032】次に、温度を1050℃に上げ、原料ガス
にTMG、TMA、アンモニア、アクセプター不純物と
してCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)
を用いて、MgドープAl0.3Ga0.7Nよりなる第1の
p型層51を0.3μmの膜厚で成長させる。この第1
のp型層は光閉じ込め層として作用する。
【0033】続いて、TMG、アンモニア、Cp2Mg
を用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト
層6を0.5μmの膜厚で成長させる。
【0034】以上のようにして窒化物半導体を積層した
ウェーハを反応容器から取り出し、図1に示すように最
上層のp型コンタクト層6より選択エッチングを行い、
n型コンタクト層3の表面を露出させ、露出したn型コ
ンタクト層3と、p型コンタクト層6との表面にそれぞ
れストライプ状の電極を形成した後、サファイア基板の
R面からウェーハを劈開して、バー状にし、さらにスト
ライプ状の電極に直交する方向にレーザの共振面を形成
する。後は、常法に従い、共振面に誘電体多層膜よりな
る反射鏡を形成した後、ストライプ状の電極に平行な位
置でウェーハを分割してレーザチップとする。このレー
ザチップをヒートシンクに設置し、パルス発振を試みた
ところ、簡単な構造にも関わらず、常温において410
nmのレーザ発振を示し、出力は10mW、閾値電流は
従来の窒化物半導体よりなるストライプ電極型のレーザ
素子よりも10%低下した。
【0035】[実施例2] 図2を用いて実施例2について述べる。実施例1におい
て、活性層4の構成を、ノンドープIn0.2Ga0.8Nよ
りなる井戸層25オングストロームと、ノンドープIn
0.01Ga0.95Nよりなる障壁層を50オングストローム
を3ペア積層し、総膜厚250オングストロームとす
る。
【0036】次に、温度を1050℃にし、原料ガスに
TMG、アンモニア、Cp2Mgを用いて、Mgドープ
p型GaNよりなる第2のp型層52を500オングス
トロームの膜厚で成長させる。この第2のp型層52は
p層側の光ガイド層として作用し、p型GaNの他、p
型InGaNを成長させることもできる。
【0037】後は実施例1と同様にして、第1のp型層
51、p型コンタクト層6を成長させ、同様にしてレー
ザ素子としたところ、同じく室温において、410nm
のパルス発振を示し、出力は10mW、閾値電流は従来
のものと比較して20%低下した。
【0038】[実施例3] 図3を用いて実施例3について述べる。実施例2と同じ
く総膜厚250オングストロームの活性層を成長させた
後、温度を1050℃にして、原料ガスにTMG、TM
A、アンモニア、Cp2Mgを用いて、Mgドープp型
Al0.2Ga0.8Nよりなる第3のp型層53を100オ
ングストロームの膜厚で成長させる。この第3のp型層
はInGaNよりよりなる活性層が分解するのを防止し
て、レーザ素子の出力を向上させる作用がある。
【0039】後は、実施例1、2と同様にして、第2の
p型層52、第1のp型層51、p型コンタクト層6を
成長させた後、同様にしてレーザ素子としたところ、同
じく410nmのパルス発振を示し、出力は10mW、
閾値電流は従来のものと比較して20%低下した。
【0040】[実施例4] 図4を用いて実施例3について述べる。実施例1におい
て、n型コンタクト層3を成長させた後、温度を105
0℃に保持し、原料ガスにTMG、アンモニア、シラン
ガスを用いて、Siドープn型GaNよりなるn型クラ
ッド層31を500オングストロームの膜厚で成長させ
る。このn型クラッド層31はn層側の光ガイド層、お
よび活性層にInGaNを成長させる際のバッファ層と
して作用し、n型GaNの他、n型InGaNを成長さ
せることもできる。
【0041】次に活性層4の構成を、ノンドープIn
0.2Ga0.8Nよりなる井戸層25オングストロームと、
ノンドープIn0.01Ga0.95Nよりなる障壁層を50オ
ングストロームを2ペア積層し、総膜厚175オングス
トロームとする。
【0042】後は実施例1、2、3と同様にして、第3
のp型層53、第2のp型層52、第1のp型層51、
p型クラッド層6を成長させ、同様にしてレーザ素子と
したところ、同じく室温において410nmのパルス発
振を示し、出力は15mW、閾値電流は従来のものと比
較して30%低下した。
【0043】[実施例5] 実施例1のp型コンタクト層3を成長させる工程におい
て、温度を1050℃にした後、TMAの流量を最初は
0に設定しておき、徐々にTMAの流量を増加させる。
この操作を行うことにより、バッファ層付近の組成がG
aNで、活性層側の組成がAl0.3Ga0.7Nよりなる、
Siがドープされて組成傾斜したn型コンタクト層3を
3μmの膜厚で成長させる。なお、このn型コンタクト
層の結晶性を評価するため、ダブルX線ロッキングカー
ブの半値幅を測定したところ、実施例1のn型コンタク
ト層は5〜6分であったのに対し、実施例5のものは3
〜4分と非常によい結晶性を示した。さらに、このn型
コンタクト層3の上に実施例1と同様にして、窒化物半
導体を積層してレーザ素子としたところ、実施例1のレ
ーザ素子と比較して、閾値が20%低下し、出力で10
%向上した。
【0044】
【発明の効果】他のAlGaAs、InAlGaPのよ
うな材料よりなるレーザ素子では、レーザ発振させるた
めに、非常に複雑な構造を必要とするが、本発明によれ
ば、非常にシンプルな構造で短波長のレーザ素子を実現
することができるため、生産技術上非常に好都合であ
る。また本発明ではパルス発振しか確認していないが、
この後、素子の構造を埋め込みヘテロ型、屈折率導波型
の素子に改良することにより、さらに閾値電流を下げる
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を
示す模式断面図。
【図2】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図3】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図4】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図5】 従来のレーザ素子の構造を示す模式断面図。
【符号の説明】
1・・・基板 2・・・バッファ層 3・・・n型コンタクト層 31・・・n型クラッド層 4・・・活性層 51・・・第1のp型層 52・・・第2のp型層 53・・・第3のp型層 6・・・p型コンタクト層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 修二 徳島県阿南市上中町岡491番地100 日亜 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平6−164055(JP,A) 特開 平8−18159(JP,A) 特開 平8−61490(JP,A) Jpn.J.Appl.Phys.P art2 35〔2B〕(1996年2月) P.L217−L220

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上部に、AlGa1−yN(0<
    y<1)で表されるn型窒化物半導体層よりなるn型コ
    ンタクト層と、該n型コンタクト層上に接するように設
    けられたInを含む窒化物半導体よりなる多重量子井戸
    構造の活性層と、Alを含むp型窒化物半導体よりなる
    第1のp型層と、p型窒化物半導体よりなるp型コンタ
    クト層とを順に備え、さらに、 前記活性層と前記第1のp型層との間に、Inを含むp
    型窒化物半導体若しくはp型GaNよりなる第2のp型
    層を有し、 前記活性層と、前記第2のp型層の間に、前記第1のp
    型層よりも膜厚が薄いAlを含む窒化物半導体よりなる
    第3のp型層を有することを特徴とする窒化物半導体素
    子。
  2. 【請求項2】 基板上部に、AlGa1−yN(0<
    y<1)で表されるn型窒化物半導体層よりなるn型コ
    ンタクト層と、該n型コンタクト層上に接するように設
    けられたInを含む窒化物半導体よりなる多重量子井戸
    構造の活性層と、Alを含むp型窒化物半導体よりなる
    第1のp型層と、p型窒化物半導体よりなるp型コンタ
    クト層とを順に有し、 前記活性層は、Inを含む窒化物半導体からなる井戸層
    と、Inを含む窒化物半導体又はGaNからなりかつ前
    記井戸層よりバンドギャップの大きい障壁層とを含んで
    なることを特徴とする窒化物半導体素子。
  3. 【請求項3】 前記n型コンタクト層は、基板側のAl
    混晶比が少なく、活性層側のAl混晶比が大きい構造を
    有することを特徴とする請求項1又は2記載の窒化物半
    導体素子。
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