JP3538275B2 - 窒化物半導体発光素子 - Google Patents

窒化物半導体発光素子

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JP3538275B2
JP3538275B2 JP03625096A JP3625096A JP3538275B2 JP 3538275 B2 JP3538275 B2 JP 3538275B2 JP 03625096 A JP03625096 A JP 03625096A JP 3625096 A JP3625096 A JP 3625096A JP 3538275 B2 JP3538275 B2 JP 3538275B2
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type cladding
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、発光ダイオード
(LED)、レーザダイオード(LD)等の半導体発光
素子に係り、特には、基板上に積層される半導体層構造
が窒化物半導体により構成される窒化物半導体発光素子
に発光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外から赤色領域までの波長領域に発光
するLED、LD等の半導体発光素子の材料としてIn
GaN、AlGaN、GaN等の窒化物半導体が有望視
されている。現在、これら窒化物半導体材料で構成され
た青色LED、青緑色LEDが実用化され、ディスプレ
イ、信号等に用いられている。
【0003】これらの青色、青緑色発光窒化物半導体L
ED素子は、ダブルヘテロ構造を有し、基本的には、基
板の上に、n型GaNよりなるn型コンタクト層と、n
型AlGaNよりなるn型クラッド層と、n型InGa
Nよりなる活性層と、p型AlGaNよりなるp型クラ
ッド層と、p型GaNよりなるp型コンタクト層とが順
次積層された構造を有している。活性層には、Si、G
e等のドナー不純物および/またはZn、Mg等のアク
セプター不純物がドープされている。このLED素子の
発光波長は、活性層を構成するInGaNのInの比率
を変えるか、または活性層にドープする不純物の種類を
変えることにより、紫外から赤色領域まで変化させるこ
とができる。
【0004】他方、LD素子については、従来より種々
の構造が提案されている。例えば特開平6−21511
号公報には、分離閉じ込め型のLD素子が開示されてい
る。このLD素子は、InGaNよりなる膜厚100オ
ングストローム以下の活性層をn型GaN層とp型Ga
N層とにより挟持し、さらにn型GaN層およびp型G
aN層のそれぞれの上にp型AlGaN層およびn型A
lGaN層を設けた構造を有する。この素子において、
AlGaN層が光閉じ込め層として作用している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】窒化物半導体LED素
子については、上に述べたようなダブルへテロ構造が実
現されたことにより、発光出力は実用レベルまで向上す
るに至っている。しかしながら、LED素子であっても
さらに高い発光出力を示す素子が望ましいばかりでな
く、従来のLED素子においては、活性層(発光層)に
不純物がドープされているために、発光スペクトルの半
値幅が広くなるきらいがある。発光スペクトルの半値幅
が広いと、その発光色は白色味を帯びて見えるので、そ
のようなLED素子を用いて例えばフルカラーディスプ
レイを作製した際には、そのカラーディスプレイの色再
現領域が狭くなることとなる。
【0006】他方、窒化物半導体LD素子は、前記特開
平6−21511号公報に記載されているように、ノン
ドープのInGaNで形成された活性層を有するダブル
へテロ構造により、理論的には、実現可能であるが、実
際にはそのLD素子は発振するには至っていない。特に
この公報に記載されているように、活性層を量子井戸構
造とすることにより、発光出力が大幅に向上するはずで
あるが、前述のように、実際はレーザ発振するに至って
いない。
【0007】従って、本発明は、LED素子に適用した
場合には、発光出力が高く、発光スペクトルの半値幅が
狭いLED素子を実現でき、またLD素子に適用した場
合には、現実のレーザ発振を行えるLD素子を実現でき
る新規な構造の窒化物半導体発光素子を提供することを
課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、活性層を
p型半導体層とn型半導体層で挟持した構造の窒化物半
導体発光素子について鋭意研究した結果、活性層をIn
GaNで形成するとともに、これを量子井戸構造(単一
量子井戸および多重量子井戸構造の双方を含む)とする
ことによって当該活性層からの発光をInGaNのバン
ド間発光に基づくものとすることができ、もって半値幅
の狭い発光を得ることができること、および特定のp型
層またはn型層を当該活性層に接して設けることによっ
て、高い発光出力を示すおよび/または現実のレーザ発
振を行える窒化物半導体発光素子が得られることを見い
だした。これらの知見に基づいてさらに研究を進め、本
発明を完成するに至った。
【0009】
【0010】より具体的には、本発明の第1の側面によ
れば、第1および第2の主面を有し、かつインジウムと
ガリウムを含む窒化物半導体を包含する量子井戸構造の
活性層、該活性層の第1の主面に接して設けられたn型
窒化物半導体層、該活性層の第2の主面に接して設けら
れ、かつp型Ink Ga1-k N(ここで、0<k<1)
からなる第1のp型クラッド層、該第1のp型層よりも
活性層から離れた位置に設けられ、50オングストロー
ムから0.5μmまでの厚さを有し、かつp型Alb
1-b N(ここで、0<b<1)からなる第2のp型ク
ラッド層、該第2のp型層よりも活性層から離れた位置
に設けられ、かつp型GaNもしくはAlGaNからな
るp型コンタクト層を備えることを特徴とする窒化物半
導体発光素子が提供される。ここで、n型窒化物半導体
層は、活性層の第1の主面に接して設けられたn型窒化
物半導体からなるn型クラッド層と、該n型クラッド層
よりも活性層から離れた位置に設けられたn型GaNか
らなるn型コンタクト層を含むことができる。また、活
性層と第1のp型クラッド層とは、合計で300オング
ストローム以上の厚さを有することが好ましい。
【0011】
【0012】
【0013】また、本発明の第2の側面によれば、第1
および第2の主面を有し、かつインジウムとガリウムを
含む窒化物半導体を包含する量子井戸構造の活性層、該
活性層の第1の主面に接して設けられたn型窒化物半導
体層、該活性層の第2の主面に接して設けられ、かつア
ルミニウムとガリウムを含むp型窒化物半導体からなる
第1のp型クラッド層、該第1のp型層よりも活性層か
ら離れた位置に設けられ、該第1のp型層よりも大きな
バンドギャップを有し、かつアルミニウムとガリウムを
含むp型窒化物半導体からなる第2のp型クラッド層、
および該第1のp型層と第2のp型層との間に設けら
れ、10オングストロームから1μmまでの厚さを有す
るp型InGaNもしくはGaNからなるp型層を備え
ることを特徴とする窒化物半導体発光素子が提供され
る。
【0014】上記第2の側面において、n型窒化物半導
体層は、活性層の第1の主面に接して設けられ、n型I
nGaN、GaNもしくはAlGaNからなるn型クラ
ッド層を含むことができ、その場合、n型窒化物半導体
層は、n型クラッド層よりも活性層から離れた位置に設
けられ、かつn型GaNからなるn型コンタクト層を含
むことができる。また、第1のp型層は、10オングス
トロームから1.0μmまでの厚さを有することが好ま
しく、n型クラッド層は、100オングストロームから
1μmまでの厚さを有することが好ましい。
【0015】
【0016】本発明の第3の側面によれば、第1および
第2の主面を有し、かつインジウムとガリウムを含む窒
化物半導体を包含する量子井戸構造の活性層、該活性層
の第1の主面に接して設けられ、かつインジウムとガリ
ウムを含むn型窒化物半導体からなる第1のn型クラッ
ド層、該第1のn型層よりも活性層から離れた位置に設
けられ、かつn型Alf Ga1-f N(ここで、0<f<
1)からなる第2のn型クラッド層、該第2のn型クラ
ッド層よりも活性層から離れた位置に設けられたn型コ
ンタクト層、該第2のn型クラッド層と該n型コンタク
ト層との間に設けられたn型InGaNからなる第3の
n型層、および該活性層の第2の主面に設けられたp型
窒化物半導体層を備えることを特徴とする窒化物半導体
発光素子が提供される。
【0017】上記第3の側面において、p型窒化物半導
体はp型AlGaNからなるp型クラッド層と、p型A
lGaNもしくはGaNからなるp型コンタクト層を含
むことができる。また、第1のn型層は、10オングス
トローム以上の厚さを有することが好ましく、第2のn
型層は、500オングストローム以上の厚さを有するこ
とが好ましい。また、p型クラッド層は、100オング
ストローム以上の厚さを有することが好ましい。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【0022】さらに、本発明の第4の側面によれば、第
1および第2の主面を有し、インジウムとガリウムとを
含む窒化物半導体を包含する活性層、該活性層の第1の
主面上に設けられ、該活性層の第1の主面に接して設け
られ、かつインジウムとガリウムを含むn型窒化物半導
体またはn型GaNよりなる第1のn型クラッド層、該
第1のn型クラッド層よりも活性層から離れた位置に設
けられ、かつ該第1のn型クラッド層よりも大きなバン
ドギャップを有し、かつアルミニウムとガリウムとを含
むn型窒化物半導体またはn型GaNよりなる第2のn
型クラッド層、および最外層としてのn型GaNよりな
るn型コンタクト層を含むn型窒化物半導体層、並びに
該活性層の第2の主面上に設けられ、該活性層の第2の
主面に接して設けられ、かつアルミニウムとガリウムを
含むp型窒化物半導体よりなる第1のp型クラッド層、
該第1のp型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
設けられ、かつインジウムとガリウムとを含むp型窒化
物半導体またはp型GaNよりなる第2のp型クラッド
層、該第2のp型クラッド層よりも活性層から離れた位
置に設けられ、該第2のp型クラッド層よりも大きなバ
ンドギャップを有し、かつアルミニウムとガリウムを含
むp型の窒化物半導体よりなる第3のp型クラッド層、
および最外層としてのp型GaNよりなるp型コンタク
ト層を含むp型窒化物半導体層を備え、該活性層は、該
インジウムとガリウムとを含む窒化物半導体の量子準位
間発光を生じさせる構造を構成することを特徴とする窒
化物半導体発光素子が提供される。
【0023】本発明において、活性層は、厚さ100オ
ングストローム以下の井戸層からなる単一量子井戸構造
を構成するか、または活性層は、インジウムおよびガリ
ウムを含む窒化物半導体よりなる井戸層と窒化物半導体
よりなる障壁層とを積層してなる多重量子井戸構造を構
成することが好ましい。
【0024】本発明において、活性層は、ノンドープの
ものであることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を説明する。なお、全図に渡り、しばしば、同
様の部分は、同一符号をもって示されている。
【0026】図1は、本発明の一態様による窒化物半導
体発光素子の構造を示す概略断面図である。
【0027】図1に示す窒化物半導体発光素子10は、
活性層15、並びに活性層15を両側で挟んでいる第1
のn型クラッド層14およびp型クラッド層16からな
る半導体積層構造を有する。この半導体積層構造は、バ
ッファ層12およびn型コンタクト層13を介して、基
板11上に設けられている。
【0028】活性層15は、インジウムとガリウムとを
含む窒化物半導体を包含する。インジウムとガリウムを
含む窒化物半導体は、Inm Aln Ga1-m-n N(ここ
で、0<m<1、0≦n<1、m+n=1)で示すこと
ができる。最も好ましくは、活性層15は、式Inm
1-m N(ここで、0<m<1)で示される窒化物半導
体を包含する。インジウムの比率、すなわち各式におけ
るmの値を変えることにより、紫外から赤色までの領域
の発光光を得るようにバンドギャップを変えることがで
きる。なお、以下の記載において、式Inm Ga1-m
(ここで、0<m<1)または同等の式をもって表され
る窒化物半導体を単にInGaNと表示することがあ
る。
【0029】活性層15は、量子井戸構造のものであ
る。活性層15を量子井戸構造にすることにより、LE
D素子であれ、LD素子であれ、歪量子井戸効果、エキ
シトン発光効果等により、高出力の発光素子が実現でき
る。
【0030】本発明において、量子井戸構造とは、活性
層を構成する窒化物半導体(InGaN)の量子準位間
発光を生じさせる構造をいい、単一量子井戸構造および
多重量子井戸構造の双方を含む概念である。
【0031】単一量子井戸構造とは、井戸層が単一組成
の窒化物半導体の一層からなる構造を指す。すなわち、
単一量子井戸構造の活性層は、単一の井戸層だけで構成
され、この活性層(すなわち、例えば、単一組成のIn
GaNからなる)を両側で挟持する2つのクラッド層が
障壁層を構成することとなる。
【0032】また、多重量子井戸構造とは、井戸層と障
壁層とを順次積層した多層膜構造を指す。多重量子井戸
構造の最少積層構造は、1つの障壁層とこの障壁層の両
側に設けられた(2つの)井戸層とからなる3層構造ま
たは1つの井戸層とその両側に設けられた(2つの)障
壁層とからなる3層構造であり得る。多重量子井戸構造
において、両側の2つ最外層は、それぞれ井戸層または
障壁層により構成される。活性層の2つ最外層がそれぞ
れ井戸層によって構成される多重量子井戸構造の場合に
は、当該活性層を両側で挟持する2つのクラッド層が障
壁層を構成する。この多重量子井戸構造の活性層におい
て、井戸層および障壁層は、両者をインジウムとガリウ
ムを含む窒化物半導体(好ましくはInGaN)で形成
することができる(ただし、両者の組成は異なる)が、
井戸層をインジウムとガリウムを含む窒化物半導体(好
ましくは、InGaN)で形成し、障壁層を他の窒化物
半導体で、例えばInNやGaNで形成することもでき
る。すなわち、この多重量子井戸構造の活性層も、イン
ジウムとガリウムを含む窒化物半導体を包含する。
【0033】活性層15は、単一量子井戸構造の場合で
は井戸層を100オングストローム以下の厚さに形成
し、多重量子井戸構造の場合では各井戸層を100オン
グストローム以下の厚さにかつ各障壁層を150オング
ストローム以下の厚さに形成することが好ましい。いず
れの場合でも、井戸層は70オングストローム以下の厚
さを有することがさらに好ましく、50オングストロー
ム以下の厚さを有することが最も好ましい。活性層中の
障壁層は、100オングストローム以下の厚さに形成す
ることがさらに好ましい。多重量子井戸構造の活性層
は、200オングストローム以上の厚さを有することが
特に好ましく、通常、0.5μmまでの厚さを有し得
る。
【0034】単一量子井戸構造、多重量子井戸構造いず
れの活性層15においても、活性層はn型、p型いずれ
でもよいが、特にノンドープ(不純物無添加)とするこ
とにより半値幅の狭いバンド間発光、励起子発光、ある
いは量子井戸準位発光が得られるので、特に好ましい。
【0035】活性層15にドナー不純物および/または
アクセプター不純物をドープする場合、当該不純物をド
ープした活性層の結晶性がノンドープの活性層の結晶性
と実質的に同じであれば、ドナー不純物をドープした活
性層は、ノンドープの活性層よりもバンド間発光強度が
さらに強くなり得、他方、アクセプター不純物をドープ
した活性層は、本来のバンド間発光のピーク波長よりも
約0.5eV低エネルギー側にシフトした発光ピーク波
長を示すが、半値幅は広くなる傾向にある。また、アク
セプター不純物とドナー不純物の双方をドープすると、
アクセプター不純物のみドープした活性層の発光強度を
さらに増大させることができる。特にアクセプター不純
物をドープした活性層を得ようとする場合、活性層の導
電型はSi等のドナー不純物をもドープしてn型とする
ことが好ましい。
【0036】しかしながら、本発明においては、活性層
はバンド間発光により強力に発光するのが理想であるの
で、活性層15には不純物をドープしないことが最も好
ましい。また、ノンドープの活性層を有する発光素子
は、不純物をドープした活性層を有する発光素子よりも
Vf(順方向電圧)を低くすることができる。
【0037】活性層15の第1の主面に接して設けられ
ている第1のn型クラッド層14は、インジウムとガリ
ウムとを含むn型の窒化物半導体で形成される。Inと
Gaを含む窒化物半導体は、結晶が比較的柔らかいの
で、いわばバッファ層として作用し、以下にも述べるよ
うに、活性層15およびそれ自体に、あるいはその上に
形成され得る他の窒化物半導体層にクラックを生じにく
くさせてそれらの結晶性を悪化させず、もって発光素子
の発光出力を向上させる。第1のn型クラッド層14
は、n型Inj Ga1-j N(0<j<1)で形成するこ
とが望ましい。このInj Ga1-j Nにおいて、jの値
は、0<j≦0.5の範囲内にあることが好ましい。一
般にInGaNは、Inの比率を多くするに従い、結晶
性が次第に悪くなる傾向にあり、n型クラッド層として
当該発光素子に実用的に発光出力の高い発光を行わせる
ためには、j値が0.5以下であることが好ましいので
ある。j値は、さらに好ましくは0<j≦0.3、最も
好ましくは0<j≦0.2の範囲内にある。
【0038】また、第1のn型クラッド層14のキャリ
ア濃度は、1×1018/cm3 〜1×1020/cm3
範囲内にあることが望ましい。n型クラッド層14中の
キャリア濃度が1×1018/cm3 よりも少ないと活性
層15への電子注入効率が低下し、発光出力が低下する
傾向にあり、他方n型クラッド層14中のキャリア濃度
が1×1020/cm3 よりも大きいと第1のn型クラッ
ド層の結晶性が悪くなり、発光出力が低下する傾向にあ
るからである。
【0039】第1のn型クラッド層14は、その厚さに
特に制限はないが、活性層15と第1のn型クラッド層
14とは、合計で、300オングストローム以上の厚さ
を有することが望ましい。InとGaとを含む窒化物半
導体層(活性層+第1のn型クラッド層)の総厚が30
0オングストロームよりも薄いと、活性層15および第
1のn型クラッド層14に、さらには第1のn型クラッ
ド層に接して設けられる別の窒化物半導体層に、格子定
数不整、熱膨張率の差等によりそれらの界面に存在し得
る歪応力によって、クラックが生じやすくなるからであ
る。上にも述べたように、InとGaを含む窒化物半導
体は、その結晶が比較的柔らかいので、この応力を緩和
させるのに有益であるが、その総厚を300オングスト
ローム以上の厚さに形成することにより、当該応力をよ
り一層緩和させるようになる。この総厚は、1μm以下
であることが好ましい。
【0040】活性層15の第2の主面に接して形成され
ているp型クラッド層16は、p型窒化物半導体で形成
される。そのような窒化物半導体は、式Ins Alt
1-s-t N(ここで、0≦s、0≦t、s+t≦1)で
示すことができる。
【0041】基板11は、サファイア(C面、R面、A
面を含む)、SiC(6H−SiC、4H−SiCを含
む。)、Si、ZnO、GaAs、スピネル(MgAl
2 O4 、特にその(111)面)、GaN、窒化物半導
体と格子定数の近い酸化物単結晶等で形成することがで
きるが、一般的には、サファイア、スピネル、GaNま
たはSiCが使用される。
【0042】基板11上に形成されているバッファ層1
2は、基板11とその上に形成される窒化物半導体層と
の格子不整合を緩和するために通常形成されるものであ
り、例えばGaN、AlN、GaAlN等により数百オ
ングストロームの厚さに形成される。なお、基板11が
その上に形成される窒化物半導体と格子定数が近いSi
CやZnOのような材料で形成されている場合、また基
板11がその上に形成される窒化物半導体と格子整合し
ている場合には、このバッファ層12は形成されないこ
ともある。
【0043】バッファ層12上には、第1のn型クラッ
ド層14にも接してn型コンタクト層13が形成されて
いる。このn型コンタクト層13は、GaN、AlGa
N等で形成することが好ましい。
【0044】基板11に所定の各半導体層を形成した
後、エッチングにより露出されたn型コンタクト層の表
面上には、負電極18が形成されている。
【0045】n型コンタクト層13は、GaNで形成す
ると、負電極18とのより一層好ましいオーミックコン
タクトが達成され、発光素子の順方向電圧(Vf)をよ
り一層低下させる。また、GaNはその結晶性が他の三
元混晶、四元混晶の窒化物半導体に比べて優れているた
め、その上に成長させる第1のn型クラッド層14等の
窒化物半導体層の結晶性を向上させることができるの
で、発光素子の発光出力を向上させる。
【0046】また、n型コンタクト層13のキャリア濃
度は、負電極18との好ましいオーミック接触の達成お
よびその結果としてのVfの低下並びに発光出力の低下
防止の観点から、5×1017/cm3 〜5×1019/c
3 の範囲内にあることが望ましい。
【0047】負電極18は、n型コンタクト層13との
好ましいオーミックコンタクトの達成の観点から、チタ
ン(Ti)と金(Au)とを含む金属材料、例えばそれ
らの積層構造または合金、またはTiとアルミニウム
(Al)とを含む金属材料、例えばそれらの積層構造ま
たは合金で形成することが最も好ましい。この場合にお
いて、負電極18は、n型GaNコンタクト層13に直
接接して設けられたチタン層とその上に形成されたアル
ミニウム層との2層構造として形成することが特に好ま
しい。
【0048】p型クラッド層16上には、p型コンタク
ト層17が形成され、その上には、正電極19が形成さ
れている。p型コンタクト層17は、GaN、AlGa
N等で形成することが好ましい。特にp型コンタクト層
17をGaNで形成すると、正電極19とのより一層好
ましいオーミックコンタクトが達成され、発光素子のV
fを低下させることができる。
【0049】正電極19との好ましいオーミック接触の
達成およびその結果としてのVfの低下並びに発光出力
の低下防止の観点から、p型コンタクト層17のキャリ
ア濃度は、1×1017/cm3 〜1×1019/cm3
範囲内にあることが望ましい。
【0050】正電極19は、p型コンタクト層17との
好ましいオーミックコンタクトの達成の観点から、ニッ
ケル(Ni)と金(Au)とを含む金属材料、例えばそ
れらの積層構造または合金で形成することが最も好まし
い。この場合において、正電極19は、p型GaNコン
タクト層17に直接接して設けられたニッケル層とその
上に形成された金層との2層構造として形成することが
特に好ましい。
【0051】図2は、本発明の窒化物半導体発光素子の
別の態様を示す。
【0052】図2に示す発光素子20は、第1のn型ク
ラッド層14とn型コンタクト層13との間に、第2の
n型クラッド層21を設けた以外は、図1に示す窒化物
半導体素子と同様の構造を有する。
【0053】この発光素子20において、図1に示す発
光素子構造に付加して設けられている第2のn型クラッ
ド層21は、アルミニウムとガリウムを含むn型窒化物
半導体で形成されている。このような第2のn型クラッ
ド層21を設けることによって、第1のn型クラッド層
14との間のバンドギャップ差を大きくすることがで
き、発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0054】この第2のn型クラッド層21は、好まし
くは、n型Ala Ga1-a N(ここで、0<a<1)で
形成される。この場合において、aの値は、0<a≦
0.6の範囲内にあることが好ましい。AlGaNはそ
の結晶が比較的硬く、0.6より大きいと、第1のn型
クラッド層14の存在にもかかわらず、その層にクラッ
クが比較的発生しやすくなり、発光出力を低下させる傾
向にあるからである。a値は、0<a≦0.4の範囲内
にあることが最も好ましい。なお、本明細書において、
Ala Ga1-a Nまたは同等の式をもって表される窒化
物半導体を単にAlGaNと表示することがある。
【0055】また、第2のn型クラッド層21のキャリ
ア濃度は、5×1017/cm3 〜1×1019/cm3
範囲内にあることが望ましい。そのキャリア濃度が5×
1017/cm3 よりも低いと、AlGaNの抵抗率が高
くなるので、発光素子のVfが高くなり、発光効率が低
下する傾向にあり、一方、そのキャリア濃度が1×10
19/cm3 よりも高いとAlGaNの結晶性が悪くなり
発光効率が低下するからである。第2のn型クラッド層
21は、通常、50オングストローム〜0.5μmの厚
さをもって形成することができる。
【0056】基板11、バッファ層12、n型コンタク
ト層13、n型クラッド層14、活性層15、p型クラ
ッド層16、p型コンタクト層17、負電極18および
正電極19は、図1に関して説明した通りのものであ
る。
【0057】図3は、本発明による窒化物半導体発光素
子の他の構造を示す概略断面図である。
【0058】図3に示す窒化物半導体発光素子30は、
活性層15、並びに活性層15を両側で挟んでいるn型
クラッド層34および第1のp型クラッド層36からな
る半導体積層構造を有する。この半導体積層構造は、図
1に示す構造と同様、バッファ層12およびn型コンタ
クト層13を介して、基板11上に設けられている。
【0059】活性層15の第2の主面に接して設けられ
ている第1のp型クラッド層36は、インジウムとガリ
ウムとを含むp型の窒化物半導体で形成される。Inと
Gaを含む窒化物半導体は、結晶が比較的柔らかいの
で、いわばバッファ層として作用し、以下にも述べるよ
うに活性層15およびそれ自体に、あるいはその上に形
成され得る他の窒化物半導体層にクラックを生じにくく
させてそれらの結晶性を悪化させず、もって発光素子の
発光出力を向上させる。第1のp型クラッド層36は、
p型Ink Ga1-k N(0<k<1)で形成することが
望ましい。このInk Ga1-k Nにおいて、kの値は、
0<k≦0.5の範囲内にあることが好ましい。一般に
InGaNは、Inの比率を多くするに従い、結晶性が
次第に悪くなる傾向にあり、p型クラッド層として当該
発光素子に実用的に発光出力の高い発光を行わせるため
には、k値が0.5以下であることが好ましいのであ
る。k値は、さらに好ましくは0<k≦0.3、最も好
ましくは0<k≦0.2の範囲内にある。
【0060】また、第1のp型クラッド層36のキャリ
ア濃度は、1×1017/cm3 〜1×1019/cm3
範囲内にあることが望ましい。第1のp型クラッド層3
6中のキャリア濃度が1×1017/cm3 よりも少ない
と活性層15への電子注入効率が低下し、発光出力が低
下する傾向にあり、他方p型クラッド層36中のキャリ
ア濃度が1×1019/cm3 よりも大きいと第1のp型
クラッド層の結晶性が悪くなり、発光出力が低下する傾
向にあるからである。第1のp型クラッド層36は、図
1に示す構造におけるp型クラッド層16に関して述べ
た方法により好ましく得られる。
【0061】第1のp型クラッド層36は、その厚さに
特に制限はないが、活性層15と第1のp型クラッド層
36とは、合計で、300オングストローム以上の厚さ
を有することが望ましい。InとGaとを含む窒化物半
導体層(活性層+第1のp型クラッド層)の総厚が30
0オングストロームよりも薄いと、活性層15および第
1のp型クラッド層36に、さらには第1のp型クラッ
ド層に接して設けられる別の窒化物半導体層に、格子定
数不整、熱膨張率の差等によりそれらの界面に存在し得
る歪応力によって、クラックが生じやすくなるからであ
る。上にも述べたように、InとGaを含む窒化物半導
体は、その結晶が比較的柔らかいので、この応力を緩和
させるのに有益であるが、その総厚を300オングスト
ローム以上の厚さに形成することにより、当該応力をよ
り一層緩和させるようになる。この総厚は、1μm以下
であることが好ましい。
【0062】活性層15の第1の主面に接して形成され
ているn型クラッド層34は、n型窒化物半導体で形成
される。そのような窒化物半導体は、式Inu Alv
1-u-v N(ここで、0≦u、0≦v、u+v≦1)で
示すことができる。
【0063】基板11、バッファ層12、n型コンタク
ト層13、活性層15、p型コンタクト層17、負電極
18および正電極19は、図1に関して説明した通りの
ものである。
【0064】図4は、本発明による窒化物半導体発光素
子の別の態様を示す。
【0065】図4に示す発光素子40は、第1のp型ク
ラッド層36とp型コンタクト層17との間に、第2の
p型クラッド層41を設けた以外は、図3に示す窒化物
半導体素子と同様の構造を有する。
【0066】この発光素子40において、図3に示す発
光素子構造に付加して設けられている第2のp型クラッ
ド層41は、アルミニウムとガリウムを含むp型窒化物
半導体で形成されている。このような第2のp型クラッ
ド層41を設けることによって、第1のp型クラッド層
36との間のバンドギャップ差を大きくすることがで
き、発光素子の発光効率を向上させることができる。
【0067】この第2のp型クラッド層41は、好まし
くは、p型Alb Ga1-b N(ここで、0<b<1)で
形成される。この場合において、bの値は、0<b≦
0.6の範囲内にあることが好ましい。AlGaNはそ
の結晶が比較的硬く、0.6より大きいと、第1のp型
クラッド層36の存在にもかかわらず、その層にクラッ
クが比較的発生しやすくなり、発光出力を低下させる傾
向にあるからである。b値は、0<b≦0.4の範囲内
にあることが最も好ましい。
【0068】また、第2のp型クラッド層41のキャリ
ア濃度は、1×1017/cm3 〜1×1019/cm3
範囲内にあることが望ましい。そのキャリア濃度が1×
1017/cm3 よりも低いと、活性層15への正孔の注
入効率が低下し、発光効率が低下する傾向にあり、一
方、そのキャリア濃度が1×1019/cm3 よりも高い
とAlGaNの結晶性が悪くなり発光効率が低下するか
らである。第2のp型クラッド層41は、通常、50オ
ングストローム〜0.5μmの厚さをもって形成するこ
とができる。
【0069】基板11、バッファ層12、n型コンタク
ト層13、活性層15、p型コンタクト層17、負電極
18および正電極19は、図1に関して説明した通りの
ものであり、n型クラッド層34および第1のp型クラ
ッド層36は、図3に関して説明した通りのものであ
る。
【0070】図5は、本発明による窒化物半導体発光素
子の別の形態の構造を示す概略断面図である。
【0071】図5に示す窒化物半導体発光素子50は、
活性層15、並びに活性層15をその両側で挟む第1の
n型クラッド層54を含むn型半導体層501および第
2のp型クラッド層41を含むp型半導体層502から
なる半導体積層構造を有する。この半導体積層構造は、
図1に示す構造と同様、バッファ層12およびn型コン
タクト層13を介して、基板11上に設けられている。
図5では、n型半導体層501は、第1のn型クラッド
層54により構成されている。
【0072】この発光素子50は、図1に示す発光素子
10におけるn型クラッド層構造と図4に示すp型クラ
ッド層構造を組み合わせた半導体積層構造を有するもの
といえるが、この特別の場合においては、第1のn型ク
ラッド層54は、図1に示す第1のn型クラッド層14
を構成するインジウムとガリウムを含む窒化物半導体ば
かりでなく、GaNによってもこれを形成でき、同様の
効果を奏することがわかった。また、この場合には、第
1のp型クラッド層56は、図1に示す発光素子10に
おけるp型クラッド層16と同様、いずれのp型窒化物
半導体で形成してもよいこともわかった。このような半
導体積層構造によっても、発光素子は同様の優れた特性
を示す。
【0073】より詳しく説明すると、第1のn型クラッ
ド層54は、アルミニウムを含まないn型窒化物半導体
により形成される。この第1のn型クラッド層54は、
n型Inw Ga1-w N(ここで、0≦w<1)で形成す
ることが好ましい。すなわち、この第1のn型クラッド
層54は、図1に示す発光素子10における第1のn型
クラッド層14に関して説明したn型窒化物半導体で形
成することもできるし、n型GaNで形成することがで
きる。図1に示す発光素子10における第1のn型クラ
ッド層14に関して説明した理由と同様の理由から、w
の値は、0≦w≦0.5の範囲内にあることが好まし
く、さらに好ましくは0<w≦0.3、最も好ましくは
0<w≦0.2の範囲内にある。第1のn型クラッド層
54のキャリア濃度も、同様の理由から、1×1018
cm3 〜1×1020/cm3 の範囲内にあることが望ま
しい。第1のn型クラッド層54も、その厚さに特に制
限はないが、同様の理由から、活性層15と第1のn型
クラッド層54とは、合計で、300オングストローム
以上の厚さを有することが望ましく、1μm以下の厚さ
を有し得る。
【0074】図5に示す発光素子50において、活性層
の第2の主面に接して形成されている第1のp型クラッ
ド層56は、いずれのp型窒化物半導体で形成してもよ
いが、アルミニウムを含まないp型窒化物半導体で形成
することが好ましい。より具体的には、第1のp型クラ
ッド層56は、p型Inx Ga1-x N(ここで、0≦x
<1)で形成することが望ましい。図3の発光素子30
における第1のp型クラッド層36に関して説明した理
由と同様の理由から、x値は、0≦x≦0.5の範囲内
にあることが好ましく、さらに好ましくは0≦x≦0.
3の範囲内、最も好ましくは0≦x≦0.2の範囲内に
ある。この第1のp型クラッド層56も同様にGaNに
より形成してもいわばバッファ層として同様に作用す
る。また、この第1のp型クラッド層56のキャリア濃
度も、同様の理由から、1×1017/cm3 〜1×10
19/cm3 の範囲内にあることが望ましい。さらに、第
1のクラッド層56の厚さに特に制限はないが、同様の
理由から、活性層15との合計で、300オングストロ
ーム以上の厚さを有することが望ましく、1μm以下の
厚さが好ましい。なお、この第1のp型クラッド層56
は省略してもよいが、これを形成すれば、第1のp型ク
ラッド層がバッファ層として作用するのでクラックが生
じにくくなり、その発光素子は、より一層優れた特性を
示すことは明らかであろう。
【0075】第2のp型クラッド層41は、図4に示す
発光素子40における第2のクラッド層41について説
明した通りのものである。
【0076】また、基板11、バッファ層12、n型コ
ンタクト層13、p型コンタクト層17、負電極18お
よび正電極19は、図1に示す発光素子10に関して説
明した通りのものである。
【0077】図6は、本発明による半導体発光素子のさ
らに別の形態の構造を示す概略断面図である。この発光
素子60は、n型コンタクト層13と第1のn型クラッ
ド層54との間に、第2のn型クラッド層21が追加形
成されている以外は、図5に示す発光素子50と同様の
構造を有する。この第2のn型クラッド層21は、図2
に示す発光素子20における第2のn型クラッド層21
について説明した通りのものである。なお、第1のp型
クラッド層56は、省略するよりも、これを設けた方が
好ましいことも、図5に示す発光素子50の場合と同様
である。
【0078】以上、本発明による窒化物半導体発光素子
についていくつか説明したが、これら発光素子の構造
は、LED素子にも、LD素子にも適用できることはい
うまでもない。LDの構造は、例えば図7に斜視図とし
て示す構造をとる。図7において、基板11上の半導体
層71は、上記バッファ層12、n型コンタクト層1
3、第1のn型クラッド層および形成された場合の第2
のn型層からなる半導体層である。活性層15上に形成
されている半導体層72は、上記形成された場合の第1
のクラッド層および第2のクラッド層並びにp型コンタ
クト17層からなる半導体層である。印加された電流
は、活性層15において、正電極19に対応する領域1
5aに集中して流れる。
【0079】なお、LD素子の場合には、上記発光素子
10ないし60のいずれかの第1のn型クラッド層とn
型コンタクト層13との間、第2のn型クラッド層が形
成されている場合には、その第2のn型クラッド層とn
型コンタクト層13との間に、および/または上記発光
素子10ないし60のいずれかの第1のp型クラッド層
とp型コンタクト層17との間、第2のp型クラッド層
が形成されている場合には、その第2のp型クラッド層
とn型コンタクト層13との間に、互いに組成の異なる
少なくとも2種類の窒化物半導体層を積層してなる多層
膜を光反射膜として形成することもできる。
【0080】図6に示す発光素子構造に上記多層光反射
膜を適用した例を図8に示す。図8に示す窒化物半導体
発光素子80は、n型コンタクト層13と第2のn型ク
ラッド層21との間に第1の多層光反射膜(n型)81
を、また第2のp型クラッド層41とp型コンタクト層
17との間に第2の多層光反射膜(p型)82を備え
る。
【0081】第1の多層膜81および第2の多層膜82
は、いずれも、互いに組成の異なる窒化物半導体、すな
わち互いに屈折率の異なる窒化物半導体を、各層を例え
ばλ/4n(ここで、λは活性層15からの発光光の波
長、nは屈折率)で算出される厚さで交互に2層以上積
層して形成されるものであり、活性層15からの発光光
をそれら膜により反射できるように設計されている。正
電極19を図7に示すような形状のストライプ電極とし
て例えば幅10μm以下に形成し、レーザ発振を行わせ
ると、活性層15の発光光を多層膜反射層により活性層
15内に閉じこめることがより一層容易となり得るの
で、容易にレーザ発振できる。また、LEDモードにお
いても、多層膜反射層により発光光の漏れが抑えられ、
外部量子効率が向上する。
【0082】多層光反射膜81および82には、それぞ
れ、ドナー不純物およびアクセプター不純物がドープさ
れて所定の導電型となっている。
【0083】なお、図8に示す構造においては、第1の
多光反射層膜81は、n型コンタクト層13と第2のn
型クラッド層21との間に形成されているが、その代り
に、これをn型コンタクト層13内に形成することもで
きる。同様に、第2の多層光反射膜82をp型コンタク
ト層17内に形成してもよい。多層光反射膜は、コンタ
クト層内に形成しても、活性層16からの発光光を同様
に閉じ込めることができる。また、第1の多層光反射膜
81および第2の多層光反射膜82のいずれかを省略し
てもよい。
【0084】また、図8に示すように、サファイアのよ
うな絶縁性材料を基板11としてレーザ素子を作製する
場合、レーザ素子の構造はフリップチップ方式となる。
すなわち、基板11の同一面側に、より具体的には、基
板11の窒化物半導体層形成側に正、負両電極19,1
8を形成する構造となる。この場合、図8に示すよう
に、n型層側に形成する第1の多層光反射膜81は、負
電極18が形成されているn型コンタクト層13の水平
面よりもp層側すなわち上方に位置して形成することが
好ましい。第1の多層光反射膜81をn型コンタクト層
13の水平面よりも基板11側に形成すると、第2のn
型クラッド層21とn型コンタクト層13との屈折率の
差が小さいために、活性層15からの発光光が、活性層
15よりも下側に位置するn型コンタクト層13中に広
がってしまい、十分な光閉じこめができない場合がある
からである。これは、サファイアのような絶縁性基板を
使用した窒化物半導体レーザに特有の現象である。
【0085】さて、各多層光反射膜81,82を構成す
る2種類の窒化物半導体は、少なくとも一方がインジウ
ムとガリウムとを含む窒化物半導体(例えばInq Ga
1-qN(ここで、0<q<1))またはGaNであるこ
とが好ましい。なぜなら単一層を積層して多層光反射膜
とする場合、その単一層の一方をInGaNまたはGa
Nで形成することにより、そのInGaNまたはGaN
層がバッファ層のような作用をして、もう一方の単一層
にクラックが入るのを防止することができるからであ
る。これは、InGaN層、GaN層の結晶がAlGa
Nに比べて柔らかいことによるものである。これに対
し、多層光反射膜を例えば互いにAl組成の異なるAl
GaN層により、例えば総膜厚0.5μm以上となるよ
うに多層形成すると、多層膜中にクラックが入り、素子
作製が困難となる。
【0086】各多層光反射膜を構成する2種類の窒化物
半導体層の最良の組み合わせは、一方を前記のようにI
c Ga1-c NまたはGaNで形成し、もう一方をアル
ミニウムおよび/またはガリウムを含む窒化物半導体
(例えば、Alc Ga1-c N(ここで、0≦c<1))
で形成するものある。Inq Ga1-q NとAlc Ga
1-c Nとは屈折率の差が大きいので、これらの材料で多
層光反射膜を構成することにより、発光波長に応じて反
射率の大きい多層光反射膜の設計が可能となる。また、
Inq Ga1-q Nがバッファ層として作用し得るため、
Alc Ga1-c N層にクラックが入ることなく10層以
上積層することができる。なお、InN、GaN、およ
びAlNの屈折率は、それぞれ、2.9、2.5、およ
び2.15である。これらの混晶の屈折率はベガードの
法則に従うと仮定し、組成に比例するものとして求める
ことができる。
【0087】図9は、本発明による窒化物半導体発光素
子のさらに他の形態の構造を示す概略断面図であって、
LD素子としての構造を示す。
【0088】図9に示す窒化物半導体発光素子90は、
活性層95、並びに活性層95を両側で挟んでいるn型
窒化物半導体層94およびp型窒化物半導体層96から
なる半導体積層構造を有する。この半導体積層構造は、
バッファ層92およびn型コンタクト層93を介して、
基板91上に設けられている。
【0089】活性層95は、図1に示す半導体発光素子
10における活性層15と同様、インジウムとガリウム
とを含む窒化物半導体を包含する量子井戸構造(単一量
子井戸構造または多重量子井戸構造)のものであり、活
性層15についての上記説明は、この活性層95にもそ
のまま適用される。
【0090】p型窒化物半導体層96は、活性層95の
第2の主面に直接接して形成された第1のp型クラッド
層96aおよびこの第1のp型クラッド層96a上に形
成された第2のp型クラッド層96bを含む。
【0091】第1のp型クラッド層96aは、アルミニ
ウムとガリウムを含むp型窒化物半導体で形成されてい
る。第1のp型クラッド層96aをアルミニウムとガリ
ウムを含む窒化物半導体で形成すると、量子井戸構造故
に不十分であり得る活性層95中の光閉じ込めがより完
全なものとなり、このように第1のp型クラッド層95
は活性層95中に光を閉じ込めるための良好な光ガイド
層として作用することが見い出された。
【0092】第1のp型クラッド層96aは、p型Al
d Ga1-d N(ここで、0<d<1)で形成することが
最も好ましい。AlGaNは高キャリア濃度のp型のも
のが得られやすく、しかもInGaNを包含する活性層
95に対し、バンドギャップ差および屈折率差を、他の
窒化物半導体に比べて、大きくできるからである。その
上、p型AlGaNは、他の窒化物半導体に比べて、成
長時に分解しにくいという性質を有しており、例えば有
機金属気相エピタキシャル成長法(MOVPE法)によ
りこれを成長させる際、下側の活性層95のInGaN
の分解を抑制し、その結果として結晶性に優れた活性層
95を提供し、もって発光素子の出力を向上させること
となる。
【0093】第1のp型クラッド層96aは、10オン
グストローム以上、1.0μm以下の厚さを有すること
が好ましい。その厚さが10オングストロームよりも薄
いと、第1のp型クラッド層を設けた効果が得られず、
他方その厚さが1.0μmよりも厚いと、第1のp型ク
ラッド層自体にクラックが入りやすくなるため、素子作
成が難しくなる傾向にある。第1のp型クラッド層96
aは、10オングストローム以上0.5μm以下の厚さ
を有することがさらに好ましい。
【0094】第1のp型クラッド層96aは、LED素
子の場合を含めて一般的には上記範囲内の厚さを有する
ことが好ましいが、特にLD素子の場合には、100オ
ングストローム以上(同様の理由から、1.0μm以
下)の厚さを有することがさらに好ましい。その厚さが
100オングストロームより薄いと、第1のp型クラッ
ド層が光ガイド層として作用しにくくなるのである。こ
の場合において、第1のp型クラッド層96aは、10
0オングストローム以上0.5μm以下の厚さを有する
ことが最も好ましい。
【0095】第1のp型クラッド層96a上に設けられ
る第2のp型クラッド層96bは、第1のp型クラッド
層96aよりもバンドギャップが大きく、アルミニウム
とガリウムを含むp型窒化物半導体で形成される。この
ようなp型窒化物半導体により第2のp型クラッド層9
6bを形成することにより、当該第2のクラッド層が光
閉じ込め層として効果的に作用し、有効なLD素子等を
提供できることがわかった。
【0096】第2のp型クラッド層96bも、第1のp
型クラッド層96aの場合と同様に、高キャリア濃度の
p型のものが得られやすいことから、三元混晶のp型A
eGa1-e N(ここで、0<e<1)で形成すること
が最も好ましい。加えて、第2のp型クラッド層96b
は、これをp型AlGaNで形成すると、第1のp型ク
ラッド層とのバンドギャップの差および屈折率の差を大
きすることができるので、光閉じ込め層としてより一層
効果的に作用するようになる。なお、第2のp型クラッ
ド層96bは、第1のp型クラッド層96aよりもバン
ドギャップが大きいので、例えば、前者を構成するAl
e Ga1-e Nにおけるfの値は、後者を構成するAld
Ga1-d Nにおけるeの値よりも大きい値をとる。この
場合でも、できれば、これら式におけるd値およびe値
は、0を超え0.6までであることが望ましく、0を超
え0.4までであることがさらに望ましい。
【0097】第2のp型クラッド層96bは、その厚さ
に特に制限はないが、500オングストロームないし1
μm程度の厚さを有することが好ましい。第2のp型ク
ラッド層をこのような厚さに形成することにより、それ
自体におけるクラックの発生がより少なく、従って結晶
性がより良好で、しかも高キャリア濃度のp型AlGa
N層が得られるのである。
【0098】なお、第1のp型クラッド層96aおよび
第2のp型クラッド層96bは、いずれも、1×1017
〜1×1019/cm3 という高キャリア濃度を有するも
のとして提供することができる。
【0099】また、第1のp型クラッド層96aと第2
のp型クラッド96b層との間に、p型InGaNまた
はp型GaNよりなる層を10オングストロームから1
μmまでの厚さに形成してもよい。この層は、光ガイド
層およびバッファ層として作用する。
【0100】活性層95の第1の主面に接して設けられ
ているn型クラッド層94は、いずれものn型窒化物半
導体で形成することができる。しかしながら、n型クラ
ッド層94は、結晶性がより一層優れた層として形成さ
れ得ることから、GaN、AlGaN、InGaN等の
二元混晶、三元混晶の窒化物半導体で形成することが好
ましい。特にInGaNまたはGaNによりn型クラッ
ド層94を形成することにより、その上により一層良好
な活性層95を設けることができ、発光素子の出力が格
段に向上する。
【0101】n型クラッド層94は、LD素子の場合に
は、100オングストローム以上、1μm以下の膜厚で
形成することが望ましい。
【0102】基板91は、図1に示す発光素子10にお
ける基板11と同様のものであり、基板11についての
上記説明がこの基板91についてもそのまま適用でき
る。
【0103】基板92上に形成されているバッファ層9
2も、図1に示す発光素子10におけるバッファ層12
と同様のものであり、バッファ層12についての上記説
明がこのバッファ層12についてもそのまま適用でき
る。特別の場合には、このバッファ層92を省略するこ
とができることも同様である。
【0104】バッファ層92上に設けられているn型コ
ンタクト層93も、図1に示す発光素子10におけるn
型コンタクト層13と同様のものであり、n型コンタク
ト層13についての上記説明がこのn型コンタクト層9
3についてもそのまま適用できる。
【0105】第2のp型クラッド層96b上に設けられ
ているp型コンタクト層97も、図1に示す発光素子に
おけるp型コンタクト層17と同様のものであり、p型
コンタクト層17についての上記説明がこのp型コンタ
クト層97についてもそのまま適用できる。
【0106】n型コンタクト層93の露出表面に形成さ
れている負電極98も、図1に示す発光素子における負
電極18と同様のものであり、負電極18についての上
記説明がこの負電極98についてもそのまま適用でき
る。
【0107】p型コンタクト層97に接続して設けられ
ている正電極99も、図1に示す発光素子における正電
極19と同様のものであり、正電極19についての上記
説明がこの正電極99についてもそのまま適用できる。
ただし、図9に示すLD構造において、p型コンタクト
層97上には、透孔100aを有し、二酸化ケイ素等の
絶縁材料で形成された電流狭窄層100が設けられてお
り、正電極99は、この電流狭窄層100の透孔100
aを通してp型コンタクト層97と接している。
【0108】さて、本発明について、図9に関し、主と
してLD素子について説明したが、LED素子の場合に
は、電流狭窄層100を設ける必要はない。また、LE
D素子の場合には、第2のp型クラッド層96bを省略
することもできる。さらに、LED素子の場合には、n
型クラッド層94の好ましい厚さは10オングストロー
ム以上、1.0μm以下、さらに好ましくは30オング
ストロームないし1.0μmとなり、あるいはこのn型
クラッド層94自体を省略することもできる。n型クラ
ッド層94を省略した場合、n型コンタクト層93がク
ラッド層として作用し得る。LED素子の場合、図9に
示す構造において、n型クラッド層94を省略し、かつ
第2のp型クラッド層96bを省略し、当然電流狭窄層
100をも省略し、n型コンタクト層をn型GaNで形
成し、p型コンタクト層97をp型GaNで形成した構
造、すなわち、インジウムとガリウムを含む窒化物半導
体を包含する量子井戸構造の活性層を有し、その第1の
主面上にn型GaN層が形成され、活性層の第2の主面
上にアルミニウムとガリウムを含むp型窒化物半導体層
が形成され、このp型窒化物半導体上にp型GaN層が
形成された構造を有するものが最も好ましいLED素子
構造である。これは、本発明の1つの側面による窒化物
半導体発光素子に相当する。
【0109】図10は、本発明による窒化物半導体発光
素子の他の形態の構造を示す概略断面図であって、図9
と同様、LD素子としての構造を示す。
【0110】図10に示す窒化物半導体発光素子200
は、活性層95、並びに活性層95を両側で挟んでいる
n型窒化物半導体層294およびp型窒化物半導体層2
96からなる半導体積層構造を有する。この半導体積層
構造は、バッファ層92およびn型コンタクト層93を
介して、基板91上に設けられている。
【0111】n型窒化物半導体層294は、活性層95
の第1の主面に直接接して形成された第1のn型クラッ
ド層294aおよびこの第1のn型クラッド層294a
上に形成された第2のn型クラッド層294bを含む。
【0112】第1のn型クラッド層294aは、n型G
aNまたはインジウムとガリウムを含むn型窒化物半導
体で形成されている。第1のn型クラッド層294aを
GaNまたはインジウムとガリウムを含む窒化物半導体
で形成すると、量子井戸構造故に不十分であり得る活性
層95中の光閉じ込めがより完全なものとなり、このよ
うに第1のn型クラッド層294aは、活性層95中に
光を閉じ込めるための良好な光ガイド層として作用する
(LD素子の場合)ばかりでなく、当該第1のn型クラ
ッド層がいわばバッファ層として作用してその上に形成
される活性層95にクラックの発生を少なくさせ、発光
素子の発光出力を増大させることができることが見い出
された。
【0113】第1のn型クラッド層294aは、Inr
Ga1-r N(ここで、0<r<1)で形成することが最
も好ましい。この場合において、rの値は、上記理由と
同様の理由から、好ましくは0.5まで、より好ましく
は0.3まで、さらに好ましくは0.2までの値をと
る。また、そのキャリア濃度も、上記理由と同様の理由
から、1×1018/cm3 〜1×1020/cm3 である
ことが好ましい。
【0114】第1のn型クラッド層294aは、10オ
ングストローム以上の厚さを有することが好ましい。第
1のn型クラッド層294aは、10オングストローム
以上の厚さに形成することにより、活性層95と以後述
べる第2のn型クラッド層294bとの間のバッファ層
としてより一層効果的に作用する。すなわち、第1のn
型クラッド層294aを構成するInGaNまたはGa
Nは、その結晶が比較的柔らかいので、第2のn型クラ
ッド層294bと活性層23との間の格子定数不整合と
熱膨張係数差によって生じる歪をより一層効果的に吸収
することができ、バッファ層としてより一層有効に作用
することとなる。その結果、活性層95が十分に薄いも
のであっても、この第1のn型クラッド層294aの存
在により、活性層95、第2のn型クラッド層294
b、ひいてはp型クラッド層296にクラックが入りに
くくなり、それらの結晶性が良好なものとなるので、発
光素子の発光出力をより一層増大させる。
【0115】第1のn型クラッド層294aは、LED
素子の場合には、上記範囲内の厚さを有することが好ま
しいが、特にLD素子の場合には、100オングストロ
ーム以上厚さを有することが特に好ましい。その厚さが
100オングストローム未満であると、光ガイド層とし
て作用しにくくなるのである。
【0116】また、第1のn型クラッド層294aは、
いずれの場合でも、1.0μm以下の厚さを有すること
が好ましい。その厚さが1.0μmよりも厚いと、その
結晶の色が黒味を帯びるとともに、多数のピットが結晶
中に生成する傾向にあり、そのため、高出力のLED、
LD素子を得ることが困難となり得る。
【0117】第1のn型クラッド層294aに接して設
けられている第2のn型クラッド層294bは、バンド
ギャップが第1のn型クラッド層294aよりも大きけ
ればいずれの窒化物半導体で形成してもよく、例えば、
GaN、AlGaN等の二元混晶、三元混晶の窒化物半
導体で形成することができる。このようなn型窒化物半
導体により第2のn型クラッド層294bを形成するこ
とにより、当該第2のn型クラッド層294bが光閉じ
込め層として効果的に作用し、有効なLD素子等を提供
できることがわかった。
【0118】第2のn型クラッド層294bは、n型A
f Ga1-f N(ここで、0<f<1)で形成すること
が最も好ましい。n型AlGaNは、InGaNを包含
する活性層95に対し、バンドギャップ差および屈折率
差を、他の窒化物半導体に比べて、大きくできるからで
ある。この場合において、fの値は、上記理由と同様の
理由から、0.6までの値をとることが好ましく、0.
4までの値をとることがさらに好ましい。そのキャリア
濃度も、上記理由と同様の理由から、5×1017/cm
3 〜1×1019/cm3 であることが好ましい。また第
2のn型クラッド層294bとn型コンタクト層93と
の間に、n型InGaNよりなる層を設けることによ
り、AlGaNよりなる第2のn型クラッド層を良好な
結晶性をもってクラックの発生を少なくして成長させる
ことができる。
【0119】第2のn型クラッド層294bは、その厚
さに特に制限はないが、500オングストローム以上、
1.0μm以下の厚さを有することが好ましい。第2の
n型クラッド層294bをこの範囲内の厚さに形成する
ことによって、クラックがない結晶性の優れた第2のn
型クラッド層294bが得られるのである。
【0120】活性層95の第2の主面に接して設けられ
ているp型半導体層(クラッド層)296は、いずれも
のp型窒化物半導体で形成することができる。しかしな
がら、p型クラッド層296は、結晶性がより一層優れ
た層として形成され得ることから、p型AlGaNで形
成することが好ましい。p型AlGaNは、他の窒化物
半導体に比べて、成長時に分解しにくいという性質を有
しており、例えば有機金属気相エピタキシャル成長法
(MOVPE法)によりこれを成長させる際、下側の活
性層95のInGaNの分解を抑制し、その結果として
結晶性に優れた活性層95を提供し、もって発光素子の
出力を向上させることとなる。この場合において、アル
ミニウムの比率やキャリア濃度については、図9に示す
発光素子90における第1のp型クラッド層96aおよ
び第2のp型クラッド層96bについて好ましいとした
値をとることが同様に好ましい。
【0121】p型クラッド層296は、LD素子の場合
には、100オングストローム以上、1μm以下の膜厚
で形成することが望ましい。
【0122】活性層95、基板91、基板91上に形成
されているバッファ層92、バッファ層92上に設けら
れているn型コンタクト層93、さらにはp型コンタク
ト層97、負電極98、正電極99および電流狭窄層1
00は、図9に示す発光素子に関して説明した通りのも
のである。
【0123】さて、本発明について、図10に関し、主
としてLD素子について説明したが、LED素子の場合
には、電流狭窄層100を設ける必要はない。また、L
ED素子の場合には、第2のn型クラッド層294bを
省略することもできる。その場合、n型コンタクト層9
3が第2のn型クラッド層として作用する。
【0124】図11は、本発明による窒化物半導体発光
素子のさらに別の形態の構造を示す概略断面図であっ
て、図9および図10と同様、LD素子としての構造を
示す。
【0125】図11に示す窒化物半導体発光素子300
は、活性層95、並びに活性層95を両側で挟んでいる
n型窒化物半導体層294およびp型窒化物半導体層9
6からなる半導体積層構造を有する。この半導体積層構
造は、バッファ層92およびn型コンタクト層93を介
して、基板91上に設けられている。
【0126】図11に示す発光素子300は、n型窒化
物半導体層については図10に示す発光素子200にお
けるn型窒化物半導体層294(第1のn型クラッド層
294aおよび第2のn型クラッド層294bからな
る)を、p型窒化物半導体層については図9に示す発光
素子90におけるp型窒化物半導体層96(第1のp型
クラッド層96aおよび第2のp型クラッド層96bか
らなる)を適用したものであり、本発明の最も好ましい
実施の形態の一つである。各半導体層その他の構成につ
いては、特にLED素子の場合に省略し得る窒化物半導
体層および特にLED素子の場合の窒化物半導体層の厚
さについての上記説明を含めて、図9および図10に関
して説明したことがそのまま適用でき、他言を要しな
い。従って、図11に示す発光素子において、n型コン
タクト層93をn型GaNで、第2のn型クラッド層2
94bをn型AlGaNで、第1のn型クラッド層29
4aをn型InGaNまたはn型GaNで、第1のp型
クラッド層96aをp型AlGaNで、第2のp型クラ
ッド層96bをp型AlGaNで、p型コンタクト層9
7をp型GaNでそれぞれ形成し、活性層95をノンド
ープとすることが最も好ましい。なお、図11に示すL
D素子構造の場合には、いうまでもなく、第1のn型ク
ラッド層294aが光ガイド層、第2のクラッド層29
4bが光閉じ込め層、第1のp型クラッド層96aが光
ガイド層、第2のp型クラッド層96bが光閉じ込め層
として作用することも明らかである。また第1のp型ク
ラッド層96aと第2のp型クラッド層96bとの間
に、p型InGaNまたはp型GaNよりなる層をバッ
ファ層として形成してもよいし、n型コンタクト層93
と第2のn型クラッド層294bとの間に、n型InG
aNよりなる層をバッファ層として形成してもよい。
【0127】本発明の1つの側面によれば、n型窒化物
半導体層とp型窒化物半導体層との間にインジウムとガ
リウムとを含む窒化物半導体を包含する量子井戸構造の
活性層を有し、p型窒化物半導体層は、活性層と接して
形成されかつアルミニウムとガリウムを含むp型窒化物
半導体よりなる第1のp型クラッド層を含み、第1のp
型クラッド層は、10オングストローム以上、1.0μ
m以下の厚さを有することを特徴とする窒化物半導体発
光素子が提供される。
【0128】この側面による発光素子は、基本的には、
図9に示す発光素子90の構造から第2のp型クラッド
層96bを省略した特別の場合に該当する。この特別の
場合には、さらに、図9に示す発光素子の構造からn型
コンタクト層93およびn型クラッド層94のうちのい
ずれかを省略してもよく(n型クラッド層を94を省略
した場合、n型コンタクト層93がn型クラッド層とし
て作用する)、またp型コンタクト層97をも省略して
もよい。
【0129】さらにまた、この特別の場合には、図9に
示す発光素子90における第2のp型クラッド層96b
に相当する第2のp型クラッド層をp型GaNまたはイ
ンジウムとガリウムとを含むp型窒化物半導体(好まし
くは、InGaN)で形成することができ、これについ
ては、図1に示す発光素子10におけるn型クラッド層
14についての説明が適用できる。さらにまた、図9に
示す発光素子90におけるn型クラッド層94に相当す
るn型クラッド層(第1のn型半導体層)に接して、す
なわち第1のn型クラッド層94とn型コンタクト層9
3との間に、n型GaNまたはアルミニウムとガリウム
とを含む第2のn型窒化物半導体(好ましくは、AlG
aN)を設けることも好ましい。この場合については、
n型GaN層を含めて、図2に示す発光素子20におけ
る第2のn型クラッド層21についての説明が適用でき
る。
【0130】図12は、本発明による窒化物半導体発光
素子のさらに別の形態の構造を示す概略断面図であっ
て、LD素子として特に好ましい構造の一つを示してい
る。図12の窒化物半導体発光素子は、以下述べる第1
のp型クラッド層を除くと、図6に関して説明した本発
明の好ましい形態にほぼ相当するということができる。
【0131】図12に示す窒化物半導体発光素子400
は、活性層405を備え、その第1の主面上には、第1
のn型クラッド層414、第2のn型クラッド層424
およびn型コンタクト層403を含むn型半導体層が設
けられている。加えて、活性層405の第2の主面に
は、第1のp型クラッド層416、第2のp型クラッド
層426、第3のp型クラッド層436、および最外層
としてのp型コンタクト層407を含むp型窒化物半導
体層を有する。このような積層構造は、図12に示す構
造では、バッファ層402を介して、基板401上に設
けられている。
【0132】活性層405は、インジウムとガリウムと
を含む窒化物半導体を包含するものであり、当該インジ
ウムとガリウムとを含む窒化物半導体の量子準位間発光
を生じさせる構造、言い換えると量子井戸構造を構成す
る。このような構造については、図1に示す発光素子1
0の活性層15に関して説明したことがすべてそのまま
適用される。LD素子の場合は、活性層405は多重量
子井戸構造をとることが最も好ましい。
【0133】活性層405の第1の主面に接して設けら
れている第1のn型クラッド層414は光ガイド層とし
て作用するものであり、インジウムとガリウムを含むn
型窒化物半導体またはn型GaNで形成されている。よ
り具体的には、この第1のn型クラッド層54は、n型
Iny Ga1-y N(ここで、0≦y<1)で形成され
る。すなわち、この第1のn型クラッド層414は、図
1に示す発光素子10における第1のn型クラッド層1
4に関して説明したn型InGaNで形成することもで
きるし、n型GaNで形成することもできる。図1に示
す発光素子10における第1のn型クラッド層14に関
して説明した理由と同様の理由から、yの値は、0≦y
≦0.5の範囲内にあることが好ましく、さらに好まし
くは0<y≦0.3、最も好ましくは0<y≦0.2の
範囲内にある。第1のn型クラッド層414のキャリア
濃度も、同様の理由から、1×1018/cm3 〜1×1
20/cm3 の範囲内にあることが望ましい。第1のn
型クラッド層414も、その厚さに特に制限はないが、
同様の理由から、活性層15と第1のn型クラッド層4
14とは、合計で、300オングストローム以上の厚さ
を有することが望ましく、1μm以下の厚さを有し得
る。
【0134】第1のn型クラッド層上に設けられている
第2のn型クラッド層424は、光閉じ込め層として作
用するものであり、第1のn型クラッド層414よりも
バンドギャップが大きく、かつアルミニウムとガリウム
とを含むn型窒化物半導体またはn型GaNで形成され
ている。このような第2のn型クラッド層424を設け
ることによって、第1のn型クラッド層414との間の
バンドギャップ差を大きくすることができ、発光素子の
発光効率を向上させることができる。
【0135】この第2のn型クラッド層424は、n型
Alg Ga1-g N(ここで、0<g<1)で形成する場
合には、gの値は、0<g≦0.6の範囲内にあること
が好ましい。AlGaNはその結晶が比較的硬く、0.
6より大きいと、第1のn型クラッド層414の存在に
もかかわらず、その層にクラックが比較的発生しやすく
なり、発光出力を低下させる傾向にあるからである。g
値は、0<g≦0.4の範囲内にあることが最も好まし
い。
【0136】また、第2のn型クラッド層424のキャ
リア濃度は、5×1017/cm3 〜1×1019/cm3
の範囲内にあることが望ましい。そのキャリア濃度が5
×1017/cm3 よりも低いと、特にAlGaNの抵抗
率が高くなるので、発光素子のVfが高くなり、発光効
率が低下する傾向にあり、一方、そのキャリア濃度が1
×1019/cm3 よりも高いと特にAlGaNの結晶性
が悪くなり発光効率が低下するからである。
【0137】第2のn型クラッド層424は、通常、5
0オングストローム〜0.5μmの厚さをもって形成す
ることができる。
【0138】n型半導体層の最外層(活性層から最も離
れて位置する層)として形成されている(図12では、
第2のn型クラッド層424に接して形成されている)
n型コンタクト層403は、n型GaNで形成されてい
る。図1の発光素子10におけるn型コンタクト層13
をn型GaNで形成することが好ましいとした理由と同
様の理由から、n型コンタクト層403は、n型GaN
で形成される。その他の例えばキャリア濃度は、図1に
示す発光素子10におけるn型コンタクト層13の場合
に好ましいとして記載した濃度であることが同様に好ま
しい。
【0139】活性層405の第2の主面に接して設けら
れている第1のp型クラッド層416は、キャップ層と
して作用するものであり、これまで説明してきた他の形
態における第1のp型クラッド層と同様に活性層の分解
を防止して発光素子の発光出力を向上させるものであ
る。この第1のp型クラッド層416は、アルミニウム
とガリウムを含むp型窒化物半導体で形成されている。
このような第1のp型クラッド層416を設けることに
よって、より一層優れたLD素子を提供できることがわ
かった。
【0140】この第1のp型クラッド層416は、好ま
しくは、p型Alh Ga1-h N(ここで、0<h<1)
で形成される。この場合において、hの値は、0<h≦
0.6の範囲内にあることが好ましい。AlGaNはそ
の結晶が比較的硬く、その層にクラックが比較的発生し
やすくなり、発光出力を低下させる傾向にあるからであ
る。h値は、0<h≦0.4の範囲内にあることが最も
好ましい。
【0141】また、第1のp型クラッド層416のキャ
リア濃度は、1×1017/cm3 〜1×1019/cm3
の範囲内にあることが望ましい。そのキャリア濃度が1
×1017/cm3 よりも低いと、活性層405への正孔
の注入効率が低下し、発光効率が低下する傾向にあり、
一方、そのキャリア濃度が1×1019/cm3 よりも高
いとAlGaNの結晶性が悪くなり発光効率が低下する
からである。
【0142】第1のp型クラッド層416は、通常、5
0オングストローム〜0.5μmの厚さをもって形成す
ることができる。
【0143】第1のp型クラッド層416上に設けられ
ている第2のp型クラッド層426は、光ガイド層とし
て作用し、インジウムとガリウムとを含むp型窒化物半
導体またはp型GaNで形成されている。より具体的に
は、第1のp型クラッド層416は、p型Inz Ga
1-z N(ここで、0≦z<1)で形成することが望まし
い。図3の発光素子30における第1のp型クラッド層
36に関して説明した理由と同様の理由から、z値は、
0≦z≦0.5の範囲内にあることが好ましく、さらに
好ましくは0≦z≦0.3の範囲内、最も好ましくは0
≦z≦0.2の範囲内にある。この第1のp型クラッド
層416も同様にGaNにより形成してもいわばバッフ
ァ層として同様に作用する。また、この第1のp型クラ
ッド層416のキャリア濃度も、同様の理由から、1×
1017/cm3 〜1×1019/cm3 の範囲内にあるこ
とが望ましい。さらに、第1のクラッド層416の厚さ
に特に制限はないが、同様の理由から、活性層405と
の合計で、300オングストローム以上の厚さを有する
ことが望ましく、1μm以下の厚さを有し得る。
【0144】第2のp型クラッド層426上に設けられ
ている第3のp型クラッド層436は、光閉じ込め層と
して作用し、第2のp型クラッド層426よりもバンド
ギャップが大きく、かつアルミニウムとガリウムを含む
p型の窒化物半導体で形成されている。このような第3
のp型クラッド層436を設けることによって、第2の
p型クラッド層426との間のバンドギャップ差を大き
くすることができ、発光素子の発光効率を向上させるこ
とができる。
【0145】この第3のp型クラッド層436は、好ま
しくは、p型Ali Ga1-i N(ここで、0<i<1)
で形成される。この場合において、iの値は、0<i≦
0.6の範囲内にあることが好ましい。AlGaNはそ
の結晶が比較的硬く、0.6より大きいと、第2のp型
クラッド層426の存在にもかかわらず、その層にクラ
ックが比較的発生しやすくなり、発光出力を低下させる
傾向にあるからである。b値は、0<b≦0.4の範囲
内にあることが最も好ましい。
【0146】また、第3のp型クラッド層436のキャ
リア濃度は、1×1017/cm3 〜1×1019/cm3
の範囲内にあることが望ましい。そのキャリア濃度が1
×1017/cm3 よりも低いと、活性層405への正孔
の注入効率が低下し、発光効率が低下する傾向にあり、
一方、そのキャリア濃度が1×1019/cm3 よりも高
いとAlGaNの結晶性が悪くなり発光効率が低下する
からである。第3のp型クラッド層436は、通常、5
0オングストローム〜0.5μmの厚さをもって形成す
ることができる。
【0147】p型半導体層の最外層(活性層405から
最も離れて位置する層)として形成されている(図12
では、第3のp型クラッド層436に接して設けられて
いる)p型コンタクト層407は、p型GaNで形成さ
れている。図1の発光素子10におけるp型コンタクト
層17をp型GaNで形成することが好ましいとした理
由と同様の理由から、p型コンタクト層407は、p型
GaNで形成される。その他の例えばキャリア濃度は、
図1に示す発光素子10におけるp型コンタクト層17
の場合に好ましいとして記載した濃度であることが同様
に好ましい。
【0148】基板401、バッファ層402、負電極4
08および正電極409は、それぞれ、図1に示す発光
素子10における基板11、バッファ層12、負電極1
8および正電極19について説明した通りのものであ
る。また、透孔440aを有する電流狭窄層440につ
いても、図9に示す発光素子90における電流狭窄層1
00について説明した通りのものである。
【0149】本発明の1つの側面によれば、第1および
第2の主面を有し、インジウムとガリウムとを含む窒化
物半導体よりなる量子井戸構造の活性層、該活性層の第
1の主面上に設けられたn型窒化物半導体層、および該
活性層の第2の主面上に設けられたp型窒化物半導体層
を有する半導体積層構造を備え、該p型窒化物半導体層
は、該活性層の第2の主面に接して形成され、かつアル
ミニウムとガリウムを含むp型窒化物半導体よりなる第
1のp型層、および該第1のp型層に接して設けられた
p型GaNよりなる第2のp型層を含むことを特徴とす
る窒化物半導体発光素子が提供される。この側面による
発光素子は、図9に示す発光素子90の構造から第2の
p型クラッド層96bとn型クラッド層94を省略し、
かつp型コンタクト層97をp型GaNで形成した特別
の場合に該当する。この場合、n型コンタクト層93を
最も好ましくはn型GaNで形成することができる。
【0150】図13は、量子井戸構造の活性層の井戸層
の厚さを変えて本発明の種々の窒化物半導体発光素子を
作製し、その発光出力(相対値)と井戸層の厚さとの関
係を調べた結果をグラフで示したものである。図13か
らわかるように、本発明の窒化物半導体発光素子におけ
る量子井戸構造の活性層の井戸層の厚さを70オングス
トローム以下にすると、発光素子の発光出力が顕著に向
上することがわかる。井戸層の厚さが50オングストロ
ーム以下となると、発光素子の発光出力は、さらに向上
することもわかる。このような傾向は、本発明のすべて
の窒化物半導体発光素子について、単一量子井戸構造の
活性層においても、多重量子井戸構造の活性層において
も、確認されたばかりでなく、広く、活性層を挟持する
2つのクラッド層の一方がp型窒化物半導体で形成さ
れ、他方がn型窒化物半導体で形成された場合にも確認
された。
【0151】そこで、本発明の一側面によれば、n型窒
化物半導体層とp型窒化物半導体層との間にインジウム
とガリウムとを含む窒化物半導体を包含する少なくとも
1層の井戸層を有する量子井戸構造の活性層を備え、井
戸層は、70オングストローム以下の厚さを有すること
を特徴とする窒化物半導体発光素子が提供される。
【0152】図14は、多重量子井戸構造の活性層の井
戸層の厚さを一定にし、障壁層の厚さを変えて本発明の
種々の窒化物半導体発光素子を作製し、その発光出力
(相対値)と障壁層の厚さとの関係を調べた結果をグラ
フとして示したものである。図14からわかるように、
本発明の窒化物半導体発光素子における量子井戸構造の
活性層の障壁層の厚さを150オングストローム以下に
すると、発光素子の発光出力が顕著に向上することがわ
かる。障壁層の厚さが100オングストローム以下とな
ると、発光素子の発光出力は、さらに向上することもわ
かる。このような傾向は、本発明のすべての窒化物半導
体発光素子について確認されたばかりでなく、広く、活
性層を挟持する2つのクラッド層の一方がp型窒化物半
導体で形成され、他方がn型窒化物半導体で形成された
場合にも確認された。
【0153】図15は、図9に示す構造に類似する構造
の発光素子について、第1のp型クラッド層96aの厚
さを変えた場合におけるその厚さと発光出力(相対値)
との関係を示すグラフである。図15は、より具体的に
は、図9に示す構造において、サファイア基板91上に
GaNバッファ層92を介してn型GaNコンタクト層
93を4μmの厚さに、n型InGaNクラッド層94
を500オングストロームの厚さに、単一量子井戸構造
のInGaN活性層95を20オングストロームの厚さ
に形成し、その上に第1のp型AlGaNクラッド層9
6aを厚さを変えて形成し、さらにその上に第2のp型
AlGaNクラッド層96bを0.1μmの厚さに形成
し、p型GaNコンタクト層97を1μmの厚さに形成
し、負電極98を形成し、電流狭窄層100を設けるこ
となく正電極99を形成したLED素子についてのもの
である。
【0154】図15に示すように、第1のp型クラッド
層96aの厚さが1μmよりも厚くなると発光出力は急
激に低下する傾向にある。そのような厚さになると、第
1のp型クラッド層96aにクラックが入り、素子の結
晶性が悪くなることによるものである。図15から、L
ED素子の場合には、第1のp型クラッド層96aの膜
さは10オングストローム(0.001μm)以上、1
μm以下の厚さが好ましいことがわかる。このような傾
向は、第1のp型クラッド層をAlGaNで形成する本
発明の他の形態の窒化物半導体発光素子のすべてについ
て確認された。なお、LD素子の場合に第1のp型クラ
ッド層の好ましい厚さが100オングストローム以上で
あるのは、上記の通り、別の理由による。
【0155】図16は、図10に示す構造に類似する構
造の発光素子について、第1のn型クラッド層294a
の厚さを変えた場合におけるその厚さと発光出力(相対
値)との関係を示すグラフである。図16は、より具体
的には、図10に示す構造において、サファイア基板9
1上にGaNバッファ層92を介してn型GaNコンタ
クト層93を4μmの厚さに、第2のn型AlGaNク
ラッド層294bを0.1μmの厚さに形成し、第1の
n型InGaNクラッド層294aを厚さを変えて形成
し、さらにその上に、単一量子井戸構造のInGaN活
性層95を20オングストロームの厚さに、p型AlG
aNクラッド層296を0.1μmの厚さに形成し、負
電極98を形成し、電流狭窄層100を設けることなく
正電極99を形成したLED素子についてのものであ
る。
【0156】図16からわかるように、第1のn型クラ
ッド層294aの厚さが1μmよりも厚くなると発光出
力は急激に低下する傾向にある。これは第1のn型クラ
ッド層294a自体の結晶性が悪くなり、例えば結晶が
黒くなったり、ピットが発生するためである。また第1
のn型クラッド層294aの厚さが30オングストロー
ムよりも薄くなっても、発光出力が低下する傾向にあ
る。これはInGaNよりなる第1のn型クラッド層2
94aがバッファ層として効果的に作用する好ましい膜
厚が30オングストローム以上であることを示してい
る。このような傾向は、第1のn型クラッド層をInG
aNまたはGaNで形成する本発明の他の形態の窒化物
半導体発光素子のすべてについて確認された。なお、既
に説明したように、第1のn型クラッド層294aが1
0オングストロームよりも薄くなると、バッファ層とし
て作用せず、その上に形成される活性層95およびクラ
ッド層294b、296に多数のクラックが発生するた
め、素子作製も難しくなり、発光出力は大幅に低下す
る。
【0157】さて、本発明において、窒化物半導体は、
いずれも、ドナー不純物をドープしないで成長させても
n型を示すが、最も好ましくは窒化物半導体の結晶成長
中にSi、Ge、Te、S等のドナー不純物をドープす
る。ドナー不純物濃度を調整することにより、n型窒化
物半導体層のキャリア濃度を調整できる。
【0158】また、本発明において、p型窒化物半導体
層は、いずれも、窒化物半導体の結晶成長中にMg、Z
n、Cd、Ca、Be、C等のアクセプター不純物を窒
化物半導体の結晶成長中にドープすることによって得ら
れる。このようにアクセプター不純物をドープして成長
させた窒化物半導体層を400℃以上の温度でアニーリ
ングを行うことによりより一層好ましいp型窒化物半導
体層が得られる。アクセプター不純物の濃度を調整する
ことにより、p型窒化物半導体層のキャリア濃度を調整
することができる。
【0159】本発明の窒化物半導体発光素子は、例えば
MOVPE(有機金属気相成長法)、MBE(分子線気
相成長法)、HDVPE(ハイドライド気相成長法)等
の気相成長法を用いて、基板上に各窒化物半導体層を形
成することによって好ましく製造することができる。例
えば、有機インジウム化合物、有機ガリウム化合物、有
機アルミニウム化合物、アンモニア等の窒化物半導体源
を用い、必要に応じて不純物源をも用いて有機MOVP
E法により基板上に各窒化物半導体層を形成し、正電極
および負電極を形成して本発明の窒化物半導体発光素子
を製造することができる。
【0160】以上、図面を参照して本発明の実施の形態
を説明したが、本発明は、これらに限定されるものでは
ない。例えば図9における電流狭窄層100は、LD素
子とした場合における本発明の半導体発光素子にも適用
できる。また、1つのn型もしくはp型InGaN層に
ついてのインジウムの比率およびキャリア濃度に関する
説明は、他のn型もしくはp型InGaN層についても
同様にあてはまり、1つのn型もしくはp型AlGaN
層についてのアルミニウムの比率およびキャリア濃度に
関する説明は、他のn型もしくはp型AlGaN層につ
いても同様にあてはまることが明らかであろう。なお、
以上の説明からも明らかなように、主面とは、窒化物半
導体層(具体的には、活性層)において他の層が形成さ
れる面を意味する。
【0161】
【実施例】以下本発明を実施例に基づいて説明する。以
下の実施例では、全ての窒化物半導体層をMOVPE法
により成長させている。
【0162】実施例1 まず、原料ガスとしてTMG(トリメチルガリウム)と
NH3 とを用い、反応容器にセットしたサファイア基板
のC面に500℃でGaNよりなるバッファ層を500
オングストロームの厚さに成長させた。
【0163】次に温度を1050℃まで上げ、TMGと
NH3 からなる上記原料ガスにシランガスを加え、Si
ドープn型GaNよりなるn型コンタクト層を4μmの
厚さに成長させた。このn型コンタクト層の電子キャリ
ア濃度は、2×1019/cm3 であった。
【0164】続いて、上記原料ガスにさらにTMA(ト
リメチルアルミニウム)を加え、同じく1050℃でS
iドープn型Al0.3 Ga0.7 N層よりなる第2のn型
クラッド層を0.1μmの厚さに成長させた。この第2
のn型クラッド層の電子キャリア濃度は1×1019/c
3 であった。
【0165】次に、温度を800℃に下げ、原料ガスと
してTMG、TMI(トリメチルインジウム)、NH3
およびシランガスを用い、Siドープn型In0.01Ga
0.99Nよりなる第1のn型クラッド層を500オングス
トロームの厚さに成長させた。この第1のn型クラッド
層の電子キャリア濃度は、5×1018/cm3 であっ
た。
【0166】続いて、原料ガスとしてTMG、TMIお
よびNH3 を用い、800℃でノンドープIn0.05Ga
0.95Nを30オングストロームの厚さに成長させて単一
量子井戸構造の活性層を形成した。
【0167】次に、温度を1050℃に上げ、原料ガス
としてTMG、TMA、NH3 およびCp2 Mg(シク
ロペンタジエニルマグネシウム)を用い、Mgドープp
型Al0.3 Ga0.7 Nよりなる第2のp型クラッド層を
0.1μmの厚さに成長させた。この第2のp型クラッ
ド層のホールキャリア濃度は1×1018/cm3 であっ
た。
【0168】続いて、原料ガスとしてTMG、NH3
よびCp2 Mgを用い、1050℃でMgドープp型G
aNよりなるp型コンタクト層を0.5μmの厚さに成
長させた。このp型コンタクト層のホールキャリア濃度
は5×1019/cm3 であった。
【0169】しかる後、温度を室温まで下げ、ウエーハ
を反応容器から取り出し、700℃でウエーハのアニー
リングを行って各p型層をさらに低抵抗化させた。次
に、最上層のp型コンタクト層の表面に所定の形状のマ
スクを形成し、n型コンタクト層の表面が露出するまで
エッチングした。n型コンタクト層の露出表面にTiと
Alよりなる負電極を形成し、p型コンタクト層の表面
にNiとAuよりなる正電極を形成した。
【0170】電極形成後、ウエーハを350μm角のチ
ップに分離した後、常法に従い半値角15度の指向特性
を持つLED素子とした。このLED素子はIf(順方
向電流)20mAにおいて、Vf(順方向電圧)3.5
V、発光ピーク波長415nmの青色発光を示し、発光
出力は6mWであった。また、その発光スペクトルの半
値幅は20nmであり、非常に色純度の良い発光を示し
た。
【0171】実施例2 実施例1と同様にしてサファイア基板の上にSiドープ
n型Al0.3 Ga0.7N層よりなる第2のn型クラッド
層まで成長させた後、第2のクラッド層の上に実施例1
と同様の条件で、ノンドープIn0.05Ga0.95Nを40
オングストロームの厚さに成長させて単一量子井戸構造
の活性層を形成した。
【0172】次に、活性層の上に、原料ガスとしてTM
G、TMI、NH3 およびCp2 Mgを用い、800℃
で、Mgドープp型In0.01Ga0.99Nよりなる第1の
p型クラッド層を500オングストロームの厚さに成長
させた。この第1のp型層のアニーリング後のホールキ
ャリア濃度は2×1017/cm3 であった。
【0173】これ以降の第2のp型クラッド層、p型コ
ンタクト層の成長、その他は実施例1と同様にして所望
のLED素子を得た。このLED素子は、If20mA
において、Vf3.5V、発光ピーク波長410nm、
発光スペクトルの半値幅20nmであり、発光出力は5
mWであった。
【0174】実施例3 実施例1と同様にして、サファイア基板の上に、Siド
ープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第1のn型クラッ
ド層まで成長させた後、その第1のn型クラッド層の上
に、ノンドープIn0.05Ga0.95Nを40オングストロ
ームの厚さに成長させて単一量子井戸構造の活性層を形
成した。
【0175】続いて、原料ガスとしてTMG、TMI、
NH3 およびCp2 Mgを用い、800℃で、Mgドー
プp型In0.01Ga0.99Nよりなる第1のp型クラッド
層を500オングストロームの厚さに成長させた。この
第1のp型クラッド層のアニール後のホールキャリア濃
度は、2×1017/cm3 であった。
【0176】次に、実施例1と同様にして、第1のp型
クラッド層上にMgドープp型Al0.3 Ga0.7 Nより
なる第2のp型クラッド層を成長させ、そしてその上に
Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト層を成長
させた。その後、実施例1と同様にして、所望のLED
素子を得た。このLED素子は、If20mAでVf
3.5V、発光ピーク波長410nm、発光スペクトル
の半値幅20nmであり、発光出力は6mWであった。
【0177】実施例4 実施例1と同様にして、サファイア基板の上に、Siド
ープn型Al0.3 Ga0.7 N層よりなる第2のn型クラ
ッド層まで成長させた後、その第2のn型クラッド層の
上に、Siドープn型GaNよりなる第1のn型クラッ
ド層を500オングストロームの厚さに成長させた。こ
の第1のn型クラッド層の電子キャリア濃度は2×10
19/cm3 であった。
【0178】次に、実施例3と同様に第1のn型クラッ
ド層55の上に、ノンドープIn0.05Ga0.95Nを40
オングストロームの厚さに成長させて単一量子井戸構造
の活性層を形成した。
【0179】次に、活性層の上に、実施例1と同様にし
て、Mgドープp型Al0.3 Ga0.7 Nよりなる第2の
p型クラッド層とMgドープp型GaNよりなるp型コ
ンタクト層を順次成長させた。これ以降は実施例1と同
様にしてLED素子を得た。このLED素子は、If2
0mAでVf3.5V、発光ピーク波長415nm、発
光スペクトルの半値幅20nmであり、発光出力は5m
Wであった。
【0180】実施例5 活性層をIn0.2 Ga0.8 Nで形成した以外は実施例1
と同様にしてLED素子を作製した。このLED素子
は、If20mAにおいて、Vf3.5V、発光ピーク
波長455nm、半値幅20nmの青色発光を示し、発
光出力は5mWであった。
【0181】実施例6 本実施例は、活性層の形成以外は実施例1と同様に行っ
た。すなわち、本実施例では、活性層を形成するため
に、原料ガスとしてTMG、TMIおよびNH3を用
い、800℃で、ノンドープIn0.1 Ga0.9 N薄膜
(井戸層)を20オングストロームの厚さに成長させ
た。続いて、In0.02Ga0.98N薄膜(障壁層)を20
オングストローム厚さに成長させた。この操作を交互に
それぞれ3回ずつ繰り返し、最後にIn0.1 Ga0.9
薄膜(障壁層)を20オングストロームの厚さに成長さ
せ、総膜厚140オングストロームの多重量子井戸構造
の活性層を形成した。こうして得られたLED素子は、
If20mAにおいて、Vf3.5V、発光ピーク波長
420nmの青色発光を示し、発光出力は7mWであっ
た。
【0182】実施例7 アクセプター不純物源としてDEZ(ジエチルジン
ク)、ドナー不純物としてシランガスを用い、活性層と
してSiとZnをドープした単一量子井戸構造のIn
0.05Ga0.95N層を50オングストロームの厚さに形成
した以外は実施例1と同様にしてLED素子を作製し
た。このLED素子はIf20mAにおいて、Vf3.
5V、発光ピーク波長450nm、半値幅70nmの青
色発光を示し、発光出力3mWであった。
【0183】実施例8 実施例1の手法に従い、n型コンタクト層の上にSiド
ープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第1のn型クラッ
ド層、ノンドープIn0.05Ga0.95Nよりなる活性層、
Mgドープp型Al0.3 Ga0.7 Nよりなる第2のp型
クラッド層、およびMgドープp型GaNよりなるp型
コンタクト層を成長させた。すなわち、第2のn型クラ
ッド層を形成しなかった以外は実施例1と同様にしてL
ED素子を得た。このLED素子は、If20mAにお
いて、Vf3.5V、発光ピーク波長410nm、発光
出力は5mWであった。
【0184】実施例9 実施例1と同様にして、サファイア基板の上に、n型コ
ンタクト層までの各半導体層を成長させた後、温度を8
00℃に下げ、原料ガスとしてTMG、TMI、NH3
およびシランガスを用い、Siドープn型In0.01Ga
0.99Nよりなる薄膜を380オングストロームの厚さに
成長させた。次に、温度を1050℃に上げ、原料ガス
としてTMG、TMA、NH3 およびシランガスを用
い、Siドープn型Al0.2 Ga0.8 Nよりなる薄膜を
390オングストロームの厚さに成長させた。これらの
操作を20回繰り返し、Siドープn型In0.01Ga
0.99N層とSiドープAl0.2 Ga0.8 N層を交互に1
0層づつ積層したn型多層膜(第1の多層反射膜)を形
成した。
【0185】次に、n型多層膜上に、実施例3と同様に
して、第2のn型クラッド層、第1のn型クラッド層、
活性層、第1のp型クラッド層、および第2のp型クラ
ッド層を順次成長させた。
【0186】次に、温度を800℃に設定して、原料ガ
スとしてTMG、TMI、NH3 およびCp2 Mgを用
い、第2のp型クラッド層上にMgドープp型In0.01
Ga0.99N層を380オングストロームの厚さに成長さ
せた後、温度を1050℃に上げ、原料ガスとしてTM
G、TMA、NH3 およびCp2 Mgガスを用い、Mg
ドープp型Al0.2 Ga0.8 N層を390オングストロ
ームの厚さに成長させた。これらの操作を繰り返し、M
gドープp型In0.01Ga0.99N層とMgドープp型A
0.2 Ga0.8 N層とを交互に10層づつ積層したp型
多層膜(第2の多層反射膜)を形成した。
【0187】ついで、p型多層膜上に、実施例1と同様
にして、p型コンタクト層を成長させた。
【0188】こうして得られたウエーハについて、実施
例1と同様にして窒化物半導体層をエッチングした後、
最上層であるp型コンタクト層の表面に所定の形状のマ
スクを形成し、n型コンタクト層上に50μmの幅で負
電極を、p型コンタクト層上にに10μmの幅で正電極
をそれぞれ形成した。このようにn型コンタクト層上に
n型多層膜を形成すると、負電極を形成する水平面がn
型多層膜よりも下、すなわち基板側となる。
【0189】次に、窒化物半導体層を形成していない方
のサファイア基板面を研磨して基板の厚さを90μmに
し、サファイア基板表面のM面(六方晶系において六角
柱の側面に相当する面)をスクライブした。スクライブ
後、ウエーハを700μm角のチップに分割し、ストラ
イプ型のLD素子を作製した。このLD素子は、ストラ
イプ状の正電極と直交する窒化物半導体層面を光共振面
としている。また、このLD素子の表面は、各電極表面
を除き表面をSiO2 よりなる絶縁膜(図示せず)で被
覆されている。次に、このチップをヒートシンクに設置
し、各電極をワイヤーボンドした後、常温でレーザ発振
を試みたところ、しきい値電流密度1.5kA/cm2
で発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
【0190】実施例10 まず、原料ガスとしてTMGとNH3 とを用い、反応容
器にセットしたサファイア基板のC面に、500℃で、
GaNよりなるバッファ層を200オングストロームの
厚さに成長させた。
【0191】次に、温度を1050℃まで上げ、TMG
とNH3 との原料ガスにシランガスを加え、Siドープ
n型GaNよりなるn型コンタクト層を4μmの厚さに
成長させた。
【0192】ついで、温度を800℃に下げ、上記原料
ガスにさらにTMIを加え、Siドープn型In0.05
0.95N層よりなる第1のn型クラッド層を500オン
グストロームの厚さに成長させた。
【0193】続いて、800℃で、第1のn型クラッド
層上にノンドープIn0.2 Ga0.8Nを20オングスト
ロームの厚さに成長させて単一量子井戸構造の活性層を
形成した。
【0194】次に、温度を1050℃に上げ、原料ガス
としてTMG、TMA、NH3 およびCp2 Mgを用
い、Mgドープp型Al0.1 Ga0.9 Nよりなる第1の
p型クラッド層を0.1μmの厚さに成長させた。
【0195】続いて、1050℃で、Mgドープp型A
0.3 Ga0.7 Nよりなる第2のp型クラッド層を0.
5μmの厚さに成長させた。
【0196】引き続き、1050℃でMgドープGaN
よりなるp型コンタクト層を1.0μmの厚さに成長さ
せた。
【0197】反応終了後、温度を室温まで下げ、ウエー
ハを反応容器から取り出し、700℃でウエーハのアニ
ーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化させた。次
に、最上層のp型コンタクト層からn型コンタクト層の
表面が露出するまでエッチングした。エッチング後、p
型コンタクト層の表面にSiO2 の層を被着し、これに
透孔を設けて電流狭窄層とし、さらにその電流狭窄層上
に、p型コンタクト層と透孔を介して接続するNiとA
uよりなる正電極を形成した。また、n型コンタクト層
の上記露出表面に、TiとAlよりなる負電極を形成し
た。
【0198】次に、窒化物半導体層を形成していない方
のサファイア基板面を研磨して基板の厚さを90μmと
し、サファイア基板のM面をスクライブして強制的に劈
開し、レーザチップを得た。その劈開面に誘電体多層膜
を設けた後、チップをヒートシンクに設置し、常温でレ
ーザ発振を試みたところ、しきい値電流密度2.0kA
/cm2 で発振波長450nmのレーザ発振が確認され
た。
【0199】実施例11 実施例10と同様にして、サファイア基板上にGaNバ
ッファ層を200オングストロームの厚さに、n型Ga
Nよりなるn型コンタクト層を4μmの厚さに順次形成
した。
【0200】次に、Siドープn型Al0.3 Ga0.7
よりなる第2のn型クラッド層を0.5μmの厚さに形
成した後、Siドープn型In0.05Ga0.95Nよりなる
第1のn型クラッド層71を500オングストロームの
厚さに形成した。
【0201】次にノンドープIn0.2 Ga0.8 Nを20
オングストロームの厚さに成長させて単一量子井戸構造
の活性層を形成し、その上にMgドープp型Al0.3
0.7 Nよりなる第2のp型クラッド層を0.5μmの
厚さに、ついでMgドープp型GaNよりなるp型コン
タクト層を1μmの厚さに形成した。
【0202】これ以降は実施例10と同様にして、得ら
れたLD素子のレーザ発振を試みたところ、しきい値電
流密度2.0kA/cm2 で発振波長450nmのレー
ザ発振が確認された。
【0203】実施例12 実施例10と同様にして、サファイア基板上にGaNバ
ッファ層を200オングストロームの厚さに、n型Ga
Nよりなるn型コンタクト層を4μmの厚さに順次形成
した。
【0204】次に、Siドープn型Al0.3 Ga0.7
よりなる第2のn型クラッド層を0.5μmの厚さに形
成した後、Siドープn型In0.05Ga0.95Nよりなる
第1のn型クラッド層を0.1μmの厚さに形成した。
【0205】ついで、ノンドープIn0.2 Ga0.8 Nを
20オングストロームの厚さに成長させて単一量子井戸
構造の活性層を形成し、その上にMgドープp型Al
0.1 Ga0.9 Nよりなる第1のp型クラッド層を0.1
μmの厚さに成長させ、さらにMgドープp型Al0.3
Ga0.7 Nよりなる第2のp型クラッド層を0.5μm
の厚さに成長させ、最後にMgドープp型GaNよりな
るp型コンタクト層を0.5μmの厚さに成長させた。
【0206】これ以降は実施例10と同様にして、得ら
れたLD素子のレーザ発振を試みたところ、実施例10
および11のLD素子のしきい値電流密度よりも低いし
きい値電流密度1.0kA/cm2 で発振波長450n
mのレーザ発振が確認された。
【0207】実施例13 この実施例は、第1のn型クラッド層および活性層の形
成を除き、実施例12と同様に行った。すなわち、第1
のn型クラッド層として、Siドープn型In0.05Ga
0.95Nの代わりに、Siドープn型GaN層を0.1μ
mの厚さに成長させた。また、活性層を形成するため
に、ノンドープIn0.4 Ga0.6 N井戸層を30オング
ストロームの厚さに成長させ、その上にノンドープIn
0.08Ga0.92N障壁層を50オングストロームの厚さに
成長させるという操作を繰り返し、井戸層/障壁層/井
戸層/障壁層/井戸層という5層構成で総膜厚190オ
ングストロームの多重量子井戸構造の活性層を成長させ
た。
【0208】得られたLD素子について、実施例10と
同様にしてレーザ発振を試みたところ、しきい値電流密
度0.9kA/cm2 で500nmのレーザ発振を示し
た。
【0209】実施例14 第1のp型クラッド層を形成した後、第2のp型クラッ
ド層を形成することなくp型コンタクト層を形成した以
外は実施例10と同様にして、サファイア基板上にp型
コンタクト層までの各半導体層を成長させた。得られた
ウエーハについて、実施例10と同様に、アニーリング
によるp型窒化物半導体層の低抵抗化、およびp型コン
タクト層からn型コンタクト層までのエッチングを行っ
た後、p型コンタクト層上に、電流狭窄層を形成するこ
となく、NiとAuよりなる正電極を直接形成し、n型
コンタクト層の露出表面にTiとAlよりなる負電極を
形成した。こうして、所望のLED素子を得た。このL
ED素子は、If20mAにおいて、Vf3.5V、発
光波長450nmの青色発光を示し、発光出力は6mW
であった。また、発光スペクトルの半値幅は20nmと
シャープなバンド間発光を示した。
【0210】実施例15 実施例10と同様にして、サファイア基板上にp型コン
タクト層までの各半導体層を成長させた。得られたウエ
ーハについて、実施例10と同様に、アニーリングによ
るp型窒化物半導体層の低抵抗化、およびp型コンタク
ト層からn型コンタクト層までのエッチングを行った
後、p型コンタクト層上に、電流狭窄層を形成すること
なく、NiとAuよりなる正電極を直接形成し、n型コ
ンタクト層の露出表面にTiとAlよりなる負電極を形
成した。こうして、所望のLED素子を得た。このLE
D素子は、If20mAにおいて、Vf3.5V、発光
波長450nmの青色発光を示し、発光出力は6mWと
高出力であった。発光スペクトルの半値幅は20nmと
シャープなバンド間発光を示した。
【0211】実施例16 実施例10と同様にして、サファイア基板上に、GaN
バッファ層を200オングストロームの厚さに、n型G
aNよりなるn型コンタクト層を4μmの厚さに順次形
成した。このn型コンタクト層は、本実施例のLED素
子において第1のn型クラッド層としても作用する。
【0212】次に、n型コンタクト層の上に、ノンドー
プIn0.2 Ga0.8 Nを30オングストロームの厚さに
成長させて単一量子井戸構造の活性層を形成した。
【0213】ついで、Mgドープp型Al0.1 Ga0.9
Nよりなる第1のp型クラッド層を0.05μmの厚さ
に成長させ、その上にMgドープp型GaNよりなるp
型コンタクト層を0.5μmの厚さに直接成長させた。
【0214】しかる後、実施例14と同様にして、アニ
ーリングによるp型窒化物半導体層の低抵抗化、および
p型コンタクト層からn型コンタクト層までのエッチン
グを行った後、p型コンタクト層上にNiとAuよりな
る正電極を直接形成し、n型コンタクト層の露出表面に
TiとAlよりなる負電極を形成した。こうして、所望
のLED素子を得た。このLED素子は、If20mA
において、Vf3.5V、発光波長450nmの青色発
光を示し、発光出力も7mWと高出力であった。発光ス
ペクトルの半値幅は、20nmとシャープなバンド間発
光を示した。
【0215】実施例17 活性層としてIn0.4 Ga0.6 Nを50オングストロー
ムの厚さに成長させた以外は実施例16と同様の操作に
よりLED素子を得た。このLED素子は、このLED
素子は、If20mAにおいて、Vf3.5V、発光波
長520nmの緑色発光を示し、発光出力は4mWであ
り、発光スペクトルの半値幅は、40nmであった。
【0216】実施例18 活性層および第1のp型クラッド層の形成以外は実施例
3と同じ操作を行ってLD素子を得た。すなわち、本実
施例では、活性層を形成するために、第1のn型クラッ
ド層上に井戸層としてノンドープIn0.15Ga0.85Nを
25オングストロームの厚さに成長させ、その上に障壁
層としてノンドープIn0.05Ga0.95Nを50オングス
トロームの厚さに成長させるという操作を13回繰り返
し、最後に井戸層としてノンドープIn0.15Ga0.85
を25オングストロームの厚さに成長させ、総厚100
0オングストロームの多重量子井戸構造の活性層を形成
した。また、第1のp型クラッド層として、Al0.05
0.95Nを500オングストロームの厚さに成長させ
た。こうして得られたウエーハについて実施例9と同様
の処理を行って所望のLD素子を得た。このLD素子
は、しきい値電流密度1.0kA/cm2 で415nm
のレーザ発振を示した。
【0217】実施例19 活性層の形成以外は実施例3と同じ操作を行ってLD素
子を得た。すなわち、本実施例では、活性層を形成する
ために、第1のn型クラッド層上に井戸層としてノンド
ープIn0.15Ga0.85Nを25オングストロームの厚さ
に成長させ、その上に障壁層としてノンドープIn0.05
Ga0.95Nを50オングストロームの厚さに成長させる
という操作を26回繰り返し、最後に井戸層としてノン
ドープIn0.15Ga0.85Nを25オングストロームの厚
さに成長させ、総厚1975オングストロームの多重量
子井戸構造の活性層を形成した。こうして得られたウエ
ーハについて実施例9と同様の処理を行って所望のLD
素子を得た。このLD素子は、室温、しきい値電流密度
1.0kA/cm2 で415nmのレーザ発振を示し
た。
【0218】実施例20 実施例16で得た青色LED素子と、実施例17で得た
緑色LED素子と、従来のGaAs系材料またはAlI
nGaP系の材料よりなる発光出力3mW、660nm
の赤色LEDとのそれぞれ一個づつを1ドットとする2
56×256画素のフルカラーLEDディスプレイを作
製したところ、その白色の面輝度は1万cdであり、し
かも色再現領域はテレビよりも広かった。
【0219】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明によれば、
発光出力が高く、発光スペクトルの半値幅が狭い窒化物
半導体発光素子が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による窒化物半導体発光素子の一形態の
構造を示す概略断面図。
【図2】本発明による窒化物半導体発光素子の他の形態
の構造を示す概略断面図。
【図3】本発明による窒化物半導体発光素子の別の形態
の構造を示す概略断面図。
【図4】本発明による窒化物半導体発光素子の他の形態
の構造を示す概略断面図。
【図5】本発明による窒化物半導体発光素子の別の形態
の構造を示す概略断面図。
【図6】本発明による窒化物半導体発光素子の別の形態
の構造を示す概略断面図。
【図7】本発明の窒化物半導体レーザ素子の構造の一例
を示す斜視図。
【図8】本発明の窒化物半導体レーザ素子の他の構造を
示す概略断面図。
【図9】本発明による窒化物半導体発光素子の別の形態
の構造を示す概略断面図。
【図10】本発明による窒化物半導体発光素子の別の形
態の構造を示す概略断面図。
【図11】本発明による窒化物半導体発光素子の別の形
態の構造を示す概略断面図。
【図12】本発明による窒化物半導体発光素子の別の形
態の構造を示す概略断面図。
【図13】本発明の窒化物半導体発光素子における活性
層の井戸層の厚さと発光素子の発光出力との関係を示す
グラフ図。
【図14】本発明の窒化物半導体発光素子における活性
層の障壁層の厚さと発光素子の発光出力との関係を示す
グラフ図。
【図15】本発明の窒化物半導体発光素子におけるp型
AlGaNクラッド層の厚さと発光素子の発光出力との
関係を示すグラフ図。
【図16】本発明の窒化物半導体発光素子におけるn型
InGaNクラッド層の厚さと発光素子の発光出力との
関係を示すグラフ図。
【符号の説明】
11,91,401…基板 13,93,403…n型コンタクト層 14,21,34,54,501,94,294,29
4a,294b,414,412…n型クラッド層 15,95,405…活性層 16,36,41,56,502,96,96a,96
b,296,416,426,436…p型クラッド層 17,97,407…p型コンタクト層 18,98,408…負電極 19,99,409…正電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平7−118046 (32)優先日 平成7年5月17日(1995.5.17) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 岩佐 成人 徳島県阿南市上中町岡491番地100 日亜 化学工業株式会社内 (72)発明者 清久 裕之 徳島県阿南市上中町岡491番地100 日亜 化学工業株式会社内 (56)参考文献 特開 平9−36424(JP,A) 特開 平6−21511(JP,A) 特開 平7−15041(JP,A) 特開 平7−249795(JP,A) 特開 平6−164055(JP,A) 特開 平6−268257(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01L 33/00

Claims (17)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1および第2の主面を有し、かつイン
    ジウムとガリウムを含む窒化物半導体を包含する量子井
    戸構造の活性層、 該活性層の第1の主面に接して設けられたn型窒化物半
    導体層、 該活性層の第2の主面に接して設けられ、かつp型In
    k Ga1-k N(ここで、0<k<1)からなる第1のp
    型クラッド層、 該第1のp型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
    設けられ、50オングストロームから0.5μmまでの
    厚さを有し、かつp型Alb Ga1-b N(ここで、0<
    b<1)からなる第2のp型クラッド層、 該第2のp型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
    設けられ、かつp型GaNもしくはAlGaNからなる
    p型コンタクト層を備えることを特徴とする窒化物半導
    体発光素子。
  2. 【請求項2】 n型窒化物半導体層が、活性層の第1の
    主面に接して設けられたn型窒化物半導体からなるn型
    クラッド層と、該n型クラッド層よりも活性層から離れ
    た位置に設けられたn型GaNからなるn型コンタクト
    層を含むことを特徴とする請求項1に記載の窒化物半導
    体発光素子。
  3. 【請求項3】 活性層と第1のp型クラッド層とが、合
    計で300オングストローム以上の厚さを有することを
    特徴とする請求項1または2に記載の窒化物半導体発光
    素子。
  4. 【請求項4】 第1および第2の主面を有し、かつイン
    ジウムとガリウムを含む窒化物半導体を包含する量子井
    戸構造の活性層、 該活性層の第1の主面に接して設けられたn型窒化物半
    導体層、 該活性層の第2の主面に接して設けられ、かつアルミニ
    ウムとガリウムを含むp型窒化物半導体からなる第1の
    p型クラッド層、 該第1のp型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
    設けられ、該第1のp型クラッド層よりも大きなバンド
    ギャップを有し、かつアルミニウムとガリウムを含むp
    型窒化物半導体からなる第2のp型クラッド層、および
    該第1のp型クラッド層と第2のp型クラッド層との間
    に設けられ、10オングストロームから1μmまでの厚
    さを有するp型InGaNもしくはGaNからなるp型
    層を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  5. 【請求項5】 第1のp型クラッド層が、10オングス
    トロームから1.0μmまでの厚さを有することを特徴
    とする請求項4に記載の窒化物半導体発光素子。
  6. 【請求項6】 n型窒化物半導体層が、活性層の第1の
    主面に接して設けられ、n型InGaN、GaNもしく
    はAlGaNからなるn型クラッド層を含むことを特徴
    とする請求項4または5に記載の窒化物半導体発光素
    子。
  7. 【請求項7】 n型窒化物半導体層が、n型クラッド層
    よりも活性層から離れた位置に設けられ、かつn型Ga
    Nからなるn型コンタクト層を含むことを特徴とする請
    求項6に記載の窒化物半導体発光素子。
  8. 【請求項8】 n型クラッド層が、100オングストロ
    ームから1μmまでの厚さを有することを特徴とする請
    求項6または7に記載の窒化物半導体発光素子。
  9. 【請求項9】 第1および第2の主面を有し、かつイン
    ジウムとガリウムを含む窒化物半導体を包含する量子井
    戸構造の活性層、 該活性層の第1の主面に接して設けられ、かつインジウ
    ムとガリウムを含むn型窒化物半導体からなる第1のn
    型クラッド層、 該第1のn型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
    設けられ、かつn型Alf Ga1-f N(ここで、0<f
    <1)からなる第2のn型クラッド層、 該第2のn型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
    設けられたn型コンタクト層、 該第2のn型クラッド層と該n型コンタクト層との間に
    設けられたn型InGaNからなる第3のn型層、およ
    び該活性層の第2の主面に設けられたp型窒化物半導体
    層を備えることを特徴とする窒化物半導体発光素子。
  10. 【請求項10】 p型窒化物半導体がp型AlGaNか
    らなるp型クラッド層と、p型AlGaNもしくはGa
    Nからなるp型コンタクト層を含むことを特徴とする請
    求項9に記載の窒化物半導体発光素子。
  11. 【請求項11】 p型クラッド層が、100オングスト
    ローム以上の厚さを有することを特徴とする請求項10
    に記載の窒化物半導体発光素子。
  12. 【請求項12】 第1のn型クラッド層が、10オング
    ストローム以上の厚さを有することを特徴とする請求項
    9ないし11のいずれか1項に記載の窒化物半導体発光
    素子。
  13. 【請求項13】 第2のn型クラッド層が、500オン
    グストローム以上の厚さを有することを特徴とする請求
    項9ないし12のいずれか1項に記載の窒化物半導体発
    光素子。
  14. 【請求項14】 第1および第2の主面を有し、インジ
    ウムとガリウムとを含む窒化物半導体を包含する量子井
    戸構造の活性層、 該活性層の第1の主面上に設けられ、 該活性層の第1の主面に接して設けられ、かつインジウ
    ムとガリウムを含むn型窒化物半導体またはn型GaN
    よりなる第1のn型クラッド層、 該第1のn型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
    設けられ、かつ該第1のn型クラッド層よりも大きなバ
    ンドギャップを有し、かつアルミニウムとガリウムとを
    含むn型窒化物半導体またはn型GaNよりなる第2の
    n型クラッド層、および最外層としてのn型GaNより
    なるn型コンタクト層を含むn型窒化物半導体層、並び
    に該活性層の第2の主面上に設けられ、 該活性層の第2の主面に接して設けられ、かつアルミニ
    ウムとガリウムを含むp型窒化物半導体よりなる第1の
    p型クラッド層、 該第1のp型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
    設けられ、かつインジウムとガリウムとを含むp型窒化
    物半導体またはp型GaNよりなる第2のp型クラッド
    層、 該第2のp型クラッド層よりも活性層から離れた位置に
    設けられ、該第2のp型クラッド層よりも大きなバンド
    ギャップを有し、かつアルミニウムとガリウムを含むp
    型の窒化物半導体よりなる第3のp型クラッド層、およ
    び最外層としてのp型GaNよりなるp型コンタクト層
    を含むp型窒化物半導体層を備えることを特徴とする窒
    化物半導体発光素子。
  15. 【請求項15】 活性層が、厚さ100オングストロー
    ム以下の井戸層からなる単一量子井戸構造を構成するこ
    とを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項に記
    載の窒化物半導体発光素子。
  16. 【請求項16】 活性層が、インジウムおよびガリウム
    を含む窒化物半導体よりなる井戸層と窒化物半導体より
    なる障壁層とを積層してなる多重量子井戸構造を構成す
    ることを特徴とする請求項1ないし14のいずれか1項
    に記載の窒化物半導体発光素子。
  17. 【請求項17】 活性層が、ノンドープのものである請
    求項1ないし16のいずれか1項に記載の窒化物半導体
    発光素子。
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