JPH08228048A - 窒化物半導体レーザ素子 - Google Patents

窒化物半導体レーザ素子

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JPH08228048A
JPH08228048A JP31784595A JP31784595A JPH08228048A JP H08228048 A JPH08228048 A JP H08228048A JP 31784595 A JP31784595 A JP 31784595A JP 31784595 A JP31784595 A JP 31784595A JP H08228048 A JPH08228048 A JP H08228048A
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修二 中村
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成人 岩佐
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 窒化物半導体を用いたレーザ素子を実現し、
特に紫外〜緑色領域で発振する短波長レーザを実現す
る。 【解決手段】 基板1上に、少なくともn型窒化物半導
体よりなる第一のn型クラッド層5と、その第一のクラ
ッド層に接してインジウムとガリウムとを含む窒化物半
導体よりなる活性層6と、その活性層に接してp型窒化
物半導体よりなる第一のp型クラッド層7とが順に積層
された構造を有し、さらにp型窒化物半導体側からエッ
チングされて同一面側に正、負一対の電極が取り出され
た構造を備える窒化物半導体レーザ素子であって、前記
第一のn型クラッド層5の外側に、互いに組成の異なる
2種類の窒化物半導体層が積層されてなるn型の多層膜
44を光反射膜として備え、さらにそのn型の多層膜
は、最も基板側に近いエッチング面(図6のA面)より
もp型窒化物半導体層に近い位置に形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は窒化物半導体(Ina'
b'Ga1-a'-b'N、0≦a'、0≦b'、a'+b'≦1)よ
りなるレーザ素子に関する。
【0002】
【従来の技術】紫外〜赤色に発振可能なレーザ素子の材
料として窒化物半導体(Ina'Alb'Ga1-a'-b'N、
0≦a'、0≦b'、a'+b'≦1)が知られている。我々は
この半導体材料を用いて、1993年11月に光度1c
dの青色LEDを発表し、1994年4月に光度2cd
の青緑色LEDを発表し、1994年10月には光度2
cdの青色LEDを発表した。これらのLEDは全て製
品化されて、現在ディスプレイ、信号等の実用に供され
ている。
【0003】図1に現在の青色、青緑色LEDの発光チ
ップの構造を示す。基本的にはサファイア基板11の上
にn型GaNよりなるn型コンタクト層12と、n型A
lGaNよりなるn型クラッド層13と、n型InGa
Nよりなる活性層14と、p型AlGaNよりなるp型
クラッド層15と、p型GaNよりなるp型コンタクト
層16とが順に積層された構造を有している。なおサフ
ァイア基板11とn型コンタクト層12との間にはGa
N、AlGaN、またはAlNよりなるバッファ層が形
成されているがこの図では特に図示していない。活性層
14のn型InGaNはSi、Ge、S等のn型ドーパ
ントおよび/またはZn、Mg等のp型ドーパントがド
ープされており、LED素子の発光波長は、その活性層
のInGaNのIn組成比を変更するか、または活性層
にドープする不純物の種類を変更することで、紫外〜赤
色まで変化させることが可能となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このようにダブルへテ
ロ構造で発光するLEDが実現された現在、次の課題は
は窒化物半導体を用いた短波長レーザ素子の実現にあ
る。しかしながら窒化物半導体は未だレーザ発振するに
は至っていない。
【0005】従って本発明はその課題を解決するために
成されたものであって、その目的とするところは窒化物
半導体を用いたレーザ素子を実現することにあり、特に
紫外〜緑色領域で発振する短波長レーザを実現するにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】我々は、まず第一にダブ
ルへテロ構造となるように積層された窒化物半導体中の
所定の位置に活性層の発光を閉じこめられる光反射膜を
形成し、第二に活性層の結晶性を良くすることにより上
記問題が解決できることを新規に見いだし本発明を成す
に至った。即ち本発明の窒化物半導体レーザ素子は、基
板上にn型窒化物半導体よりなる第一のクラッド層と、
その第一のクラッド層に接してインジウムとガリウムと
を含む窒化物半導体よりなる活性層と、その活性層に接
してp型窒化物半導体よりなる第一のp型クラッド層と
が順に積層された構造を有し、さらにp型窒化物半導体
層側からエッチングされて同一面側に正、負一対の電極
が取り出された構造を備える窒化物半導体レーザ素子で
あって、前記第一のn型クラッド層の外側に、互いに組
成の異なる2種類の窒化物半導体層が積層されてなるn
型の多層膜を光反射膜として備え、さらにそのn型の多
層膜は、最も基板側に近いエッチング面の水平面よりも
p型窒化物半導体層に近い位置に形成されていることを
特徴とする。但し、外側とは活性層が形成されているク
ラッド層の反対側を意味するものであって、必ずしもク
ラッド層に接している必要はない。
【0007】また本発明の第二は前記第一のp型クラッ
ド層の外側に、互いに組成の異なる2種類のp型窒化物
半導体層が積層されてなるp型の多層膜を光反射膜とし
て備えることを特徴とする。
【0008】本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式的な断面図を図2に示す。1はサファイア基
板、2は基板と窒化物半導体層との格子不整号を緩和す
るバッファ層、3は負電極を形成するn型コンタクト
層、4は第二のn型クラッド層、5は第一のn型クラッ
ド層、6は活性層、7は第一のp型クラッド層、8は第
二のp型クラッド層、9は正電極を形成するp型コンタ
クト層をそれぞれ示している。さらに活性層6からの発
光が基板1側に広がらないように、この図では第一のn
型クラッド層5と第二のn型クラッド層4との間に、活
性層6の光を反射するn型多層膜44を形成している。
しかもn型多層膜44の形成位置は最も基板1側に近い
エッチング面の水平面(図2では負電極が形成されるn
型コンタクト層3のエッチング面の水平面としてい
る。)よりもp型窒化物半導体層に近い位置に形成され
ている。n型多層膜44は互いに組成の異なる窒化物半
導体、つまり互いに屈折率の異なる2種類の窒化物半導
体が、例えばλ/4n(λ:波長、n:屈折率)で交互
に2層以上積層されて、活性層6の発光波長をn型多層
膜44で反射して活性層6中に閉じこめる作用を有して
いる。
【0009】また、図3は本発明の他の実施例に係るレ
ーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、同一符号
は図2と同一部材を示している。図3では、n型コンタ
クト層3と第二のn型クラッド層4との間にn型多層膜
44が形成され、第二のp型クラッド層8とp型コンタ
クト層9との間に互いに組成の異なる2種類の窒化物半
導体を交互に積層したp型の多層膜55が形成されてい
る。図3のように光反射膜となるp型の多層膜55をp
型層中にも形成すると、n型多層膜44をn型層中に形
成した時よりもさらに効率的に活性層の光り閉じこめが
できるので、容易にレーザ発振しやすくなる。また図3
も同様にn型多層膜44の形成位置は負電極が形成され
るn型コンタクト層3のエッチング面の水平面、つまり
最も基板1側に近いエッチング面の水平面よりもp型層
側に近い位置に形成されている。
【0010】また、図4は本発明の他の実施例に係るレ
ーザ素子の構造を示す模式的な断面図であり、同一符号
は図2および図3と同一部材を示している。図4では、
第一のn型クラッド層5と第二のn型クラッド層4との
間にn型多層膜44が形成され、第一のp型クラッド層
7と第二のp型クラッド層8との間にp型の多層膜層5
5が形成されている。
【0011】また、図6も本願の他の実施例に係るレー
ザ素子の構造を示す模式的な断面図であるが、この図が
他の本発明のレーザ素子の構造と異なる点は、p層側か
らのエッチングを深くして、エッチング面の水平面のp
型コンタクト層の深さが負電極の形成面よりも基板側に
あるところである。n型多層膜44の位置が、最も基板
側に近いエッチング面の水平面(A面)よりもp型窒化
物半導体層に近い位置に形成されていることを示してい
る。n型多層膜44の位置の作用については後に詳しく
述べる。
【0012】このようにn型の多層膜44は、第一のn
型クラッド層5、第二のn型クラッド層4の間、第二の
n型クラッド層4とn型コンタクト層3との間、または
n型コンタクト層内部(内部については実施例で説明す
る。)の内のいずれか一ヶ所に形成可能であり、またp
型多層膜55を形成する場合には、請求項7にも記載の
ように第一のp型クラッド層7と第二のp型クラッド層
8との間、第二のp型クラッド層8とp型コンタクト層
9との間、またはp型コンタクト層内部の内のいずれか
一ヶ所に形成可能である。
【0013】次に前記n型多層膜44、p型多層膜55
を構成する2種類の窒化物半導体は、少なくとも一方が
インジウムとガリウムとを含む窒化物半導体またはGa
N{例えばIncGa1-cN(0≦c<1)}であること
が好ましい。なぜなら単一層を積層して多層膜とする場
合、その単一層の一方にIncGa1-cN、GaNを形成
することにより、GaN、IncGa1-cN層がバッファ
層のような作用をして、もう一方の単一層にクラックが
入るのを防止することができるからである。これはIn
cGa1-cN層、GaN層の結晶がAlGaNに比べて柔
らかいことによるものである。これに対し多層膜を例え
ば互いにAl組成の異なるAlGaN層で、例えば総膜
厚0.5μm以上となるように多層形成すると、多層膜
中にクラックが入り、素子作製が困難となる。
【0014】多層膜を構成する2種類の窒化物半導体の
好ましい組み合わせは、一方が前記のようにIncGa
1-cN若しくはGaNよりなり、もう一方がアルミニウ
ムとガリウムとを含む窒化物半導体{例えば、Ald
1-dN(0<d<1)}で構成することが最良である。
なぜなら、IncGa1-cNとAldGa1-dNとは屈折率
の差が大きいのでこれらの材料で多層膜を構成すること
により、発光波長に応じて反射率の大きい多層膜の設計
が可能であるからである。また、IncGa1-cNがバッ
ファ層の作用をしているため、もう一方のAldGa1-d
N層にクラックが入ることなく10層以上積層可能とな
る。なお、InN、GaN、AlNの屈折率はそれぞ
れ、2.9、2.5、2.15である。これらの混晶の
屈折率はベガードの法則に従うと仮定し、組成に比例す
るとして求めることができる。
【0015】ここで、IncGa1-cNのc値は0.5以
下、好ましくは0.3以下、最も好ましくは0.2以下
に調整することが望ましい。なぜなら、インジウムのモ
ル比が大きくなるに従って、InGaNの結晶性が悪く
なるからである。またAldGa1-dNのd値は0.6以
下、さらに好ましくは0.4以下にすることが望まし
い。0.6より大きいとAlGaN層にクラックが発生
しやすいからである。
【0016】次に、レーザ素子を実現するために結晶性
に優れた活性層が得られる素子構造について図面を元に
説明する。
【0017】活性層6{例えば、InXGa1-XN(0<
X<1)}はn型、p型いずれでもよいが、特にノンド
ープ(無添加)とすることにより強いバンド間発光が得
られ発光波長の半値幅が狭くなり、レーザ素子を実現す
る上で特に好ましい。特に好ましく活性層は単一量子井
戸(SQW:single quantum well)構造若しくは多重
量子井戸(MQW:multi quantum well)構造とすると
非常に出力の高い発光素子が得られる。SQW、MQW
とはノンドープのInGaNによる量子準位間の発光が
得られる活性層の構造を指し、例えばSQWでは活性層
を単一組成のInXGa1-XN(0≦X<1)で構成した
層であり、InXGa1-XNの膜厚を100オングストロ
ーム以下、さらに好ましくは70オングストローム以下
とすることにより量子準位間の強い発光が得られる。ま
たMQWは組成比の異なるInXGa1-XN(この場合X
=0、X=1を含む)の薄膜を複数積層した多層膜とす
る。このように活性層をSQW、MQWとすることによ
り量子準位間発光で、約365nm〜660nmまでの
発光が得られる。量子構造の井戸層の厚さとしては、前
記のように70オングストローム以下が好ましい。多重
量子井戸構造では井戸層はInXGa1-XNで構成し、障
壁層は同じくInYGa1-YN(Y<X、この場合Y=0を
含む)で構成することが望ましい。特に好ましくは井戸
層と障壁層をInGaNで形成すると同一温度で成長で
きるので結晶性のよい活性層が得られる。障壁層の膜厚
は150オングストローム以下、さらに好ましくは12
0オングストローム以下にすると高出力な発光素子が得
られる。また、活性層6にn型ドーパントおよび/また
はp型ドーパントをドープしてもよい。n型ドーパント
をドープするとノンドープのものに比べてバンド間発光
強度をさらに強くすることができる。p型ドーパントを
ドープするとバンド間発光のピーク波長よりも約0.5
eV低エネルギー側にピーク波長を持っていくことがで
きるが、半値幅は広くなりレーザ発振が難しくなる傾向
にある。また、p型ドーパントとn型ドーパントを同時
にドープすると、前述したp型ドーパントのみドープし
た活性層の発光強度をさらに大きくすることができるが
半値幅がやはり大きいのでレーザ発振が難しくなる傾向
にある。結晶性のよい活性層を成長させてレーザ素子と
するには、前記のようにノンドープで単一量子井戸構
造、若しくは多重量子井戸構造とすることが最も好まし
い。
【0018】活性層6は必ず活性層6よりもバンドギャ
ップの大きいクラッド層で挟まれる必要がある。図2で
は活性層6の第一の主面側に接して第一のn型クラッド
層5を形成し、活性層6の第二の主面側に接して第一の
p型クラッド層7を形成している。第一のn型クラッド
層5、および第二のp型クラッド層7の半導体材料は活
性層よりもバンドギャップが大きい窒化物半導体であれ
ばどのような組成でも良いが、特に好ましくは、第一の
n型クラッド層5をインジウムとガリウムを含む窒化物
半導体、またはGaN{例えば、n型InYGa1-Y
(0≦Y<1)}で形成し、第一のp型クラッド層7を
同じくインジウムとガリウムを含む窒化物半導体、また
はGaN{例えば、n型InZGa1-ZN(0≦Z<
1)}で形成する。但し、第一のn型クラッド層5と第
一のp型クラッド層をInGaNで形成する場合にはい
ずれかのクラッド層を省略することも可能であるが、特
に好ましくは図2に示すように、活性層6の両面に形成
する。インジウムを含む第一のn型クラッド層5、およ
び第二のp型クラッド層7は結晶が柔らかいので、これ
らのクラッド層がクッションのようなバッファ層の作用
をして、これらのクラッド層の外側に、第二のn型クラ
ッド層4、第二のp型クラッド層8、n型コンタクト層
3、p型コンタクト層9等を形成した際に、これらの層
(3、4、8、9)中にクラックが入るのを防止するこ
とができる。バッファ層として作用するInGaNクラ
ッド層の膜厚の好ましい範囲は、活性層6と第一のn型
クラッド層5、活性層6と第一のp型クラッド層7、第
一のn型クラッド層5と活性層6と第一のp型クラッド
層7の組み合わせにおいて、その組み合わせたInGa
N層の総膜厚を300オングストローム以上にすること
が好ましい。また、レーザ素子とした場合には第一のn
型クラッド層5を省略すれば、第二のn型クラッド層4
が第一のn型クラッド層5として作用し、また第一のp
型クラッド層7を省略すれば、同じく第二のp型クラッ
ド層8が第一のp型クラッド層7として作用する。
【0019】以上、InGaNよりなる第一のn型クラ
ッド層5、活性層6、第一のp型クラッド層7について
説明したが、これらのInGaNのIn組成比、つまり
X値、Y値、Z値は0.5以下、好ましくは0.3以下、
最も好ましくは0.2以下に調整することが望ましい。
なぜなら、インジウムのモル比が大きくなるに従って、
InGaNの結晶性が悪くなり発光出力が低下する傾向
にあるからである。さらに、前記InXGa1-XN、In
YGa1-YN、InZGa1-ZNとは、その式中においてI
nGaNの効果を変化させない範囲でGaの一部を微量
のAlで置換したInAlGaNも前記式中に含まれる
ものとする。例えばIna'Alb'Ga1- a'-b'N式中で
b'値が0.1以下であれば第一のn型クラッド層、活性
層、第二のp型クラッド層の効果は変わることがない。
ただ、Alを含有させると結晶が硬くなる傾向にあるの
で四元混晶の窒化物半導体よりも、Alを含まない三元
混晶のInGaNのみで活性層6、第一のn型クラッド
層5、第一のp型クラッド層7を構成するのがレーザ発
振しやすくなり最も良い。
【0020】次に、第一のn型クラッド層5の外側に接
して形成する第二のn型クラッド層4は、アルミニウム
とガリウムとを含むn型窒化物半導体{例えば、n型A
aGa1-aN(0<a<1)}で形成することが好まし
く、また第一のp型クラッド層7の外側に接して形成す
る第二のp型クラッド層は、同じくアルミニウムとガリ
ウムとを含む窒化物半導体{例えば、p型AlbGa1-b
N(0<b<1)}で形成することが好ましい。ここ
で、第二のn型クラッド層4と第二のp型クラッド層7
をAlGaNで形成する場合にはいずれかのクラッド層
を省略することも可能であるが、特に好ましくは図2に
示すように第一のn型クラッド層3に接して第二のn型
クラッド層4を形成すると共に、第一のp型クラッド層
7に接して第二のp型クラッド層8を両方形成する。但
し、第二のn型クラッド層4と第一のn型クラッド層5
とを同時に省略したり、また第一のp型クラッド層7と
第二のp型クラッド層8を同時に省略するとレーザ発振
することは困難である。
【0021】また、第二のn型クラッド層4、第二のp
型クラッド層8は10オングストローム〜0.5μmの
膜厚で形成することが望ましい。さらにAlGaNのA
l混晶比、つまりa値、b値は0.6以下、さらに好まし
くは0.4以下にする事が望ましい。なぜならAlGa
Nは結晶が硬く、0.6より大きいとAlGaN層にク
ラックが発生しやすいからである。これは前記InGa
Nによるバッファ層が作用しても0.6よりも大きいと
クラックが極端に発生しやすくなる。
【0022】また、前記AlaGa1-aN、AlbGa1-b
Nとは、その式中においてAlGaNの効果を変化させ
ない範囲でGaの一部を微量のInで置換したInAl
GaNも前記式中に含まれるものとする。例えばIna'
Alb'Ga1-a'-b'N式中でa'値が0.1以下であれば
AlGaNの効果はほとんど変わることがない。但し、
微量のInを含有させるとバンドギャップが小さくなる
ので、第一のn型クラッド層5、活性層6、第二のp型
クラッド層7よりもバンドギャップを大きくしなければ
ならない。また、Inを含有させると結晶性が悪くなり
発光出力が低下する傾向にあるので、四元混晶の窒化物
半導体よりも、Inを含まない三元混晶のAlGaNの
みで第二のn型クラッド層4、第二のp型クラッド層8
を構成するのが発光出力が大きくなり最も好ましい。こ
のように、Alを含む層を第二のn型クラッド層4、お
よび前記第二のp型クラッド層8とすることにより、活
性層6、第一のn型クラッド層5、第一のp型クラッド
層7とのバンドオフセットを大きくできるので発光効率
を上げることができる。
【0023】活性層6と第一のクラッド層5、7の好ま
しい組み合わせは、第一のn型クラッド層をInYGa
1-YN、活性層をInXGa1-XN、第一のp型クラッド
層をInZGa1-ZNで形成することである。但し、前記
組み合わせにおいて、バンドギャップの関係からY<X、
Z<Xを満たしていることはいうまでもない。活性層はn
型若しくはノンドープの方がバンド間発光による半値幅
の狭い発光が得られるので好ましい。
【0024】さらに最も好ましい組み合わせとして、第
二のn型クラッド層をAlaGa1-aN、第一のn型クラ
ッド層をInYGa1-YN、活性層をInXGa1-XN、第
一のp型クラッド層をInZGa1-ZN、第二のp型クラ
ッド層をAlbGa1-bNで形成することを推奨する。こ
の組み合わせによると最も結晶性に優れた窒化物半導体
を積層したダブルへテロ構造となり、レーザ発振が可能
となる。
【0025】次に、n型コンタクト層3は望ましくは図
2に示すように、第二のn型クラッド層4に接してn型
コンタクト層3を形成し、第二のp型クラッド層8に接
してp型コンタクト層9を形成することが最も良い。ま
た、n型コンタクト層3は、第二のn型クラッド層4、
若しくは第一のn型クラッド層5のいずれかに形成可能
であり、p型コンタクト層9は第二のp型クラッド層
8、若しくは第一のp型クラッド層7のいずれかにも形
成可能である。つまり、第二のn型クラッド層4を省略
すれば、第一のn型クラッド層5に接して形成すること
ができ、p型コンタクト層9も同様に第二のp型クラッ
ド層8を省略すれば第一のp型クラッド層7に接して形
成することができる。
【0026】さらにまた、n型コンタクト層3、p型コ
ンタクト層9の半導体はAl、Inを含まないGaNと
する必要がある。コンタクト層は電極を形成する層であ
るので、結晶性が良く、キャリア濃度が大きい層を形成
すれば電極材料とオーミックが得られやすくなる。その
ためにはGaNが最も好ましい。また、n型コンタクト
層3とオーミックが得られやすい電極材料としてはTi
とAlを含む金属が好ましく、p型コンタクト層9とオ
ーミックが得られやすい電極材料にはNiとAuを含む
金属が好ましい。このように電極を形成すべき層として
GaNよりなるコンタクト層を形成すると、低いしきい
値電圧でレーザ発振可能となる。
【0027】次に、本発明のレーザ素子の具体的な構造
を挙げると、利得導波型ストライプ型レーザとしては、
電極ストライプ型、メサストライプ型、ヘテロアイソレ
ーション型等を挙げることができる。またその他、作り
つけ導波機構をもつストライプ型レーザとして、埋め込
みヘテロ型、CSP型、リブガイド型等を挙げることが
できる。これらの構造のレーザ素子に導波路として通常
数μmから20μm程度の幅の電極を最上層に形成し、
このストライプに沿って発振を起こさせる。発振するた
めの光共振面となる誘電体多層膜は、このストライプに
垂直な方向の窒化物半導体層表面に形成される。
【0028】以上、レーザ素子の構造について説明した
が、次に製造方法について簡単に説明する。窒化物半導
体よりなるレーザ素子を製造するには、例えばMOVP
E(有機金属気相成長法)、MBE(分子線気相成長
法)、HDVPE(ハイドライド気相成長法)等の気相
成長法を用いて、基板上にIna'Alb'Ga1-a'-b'
(0≦a'、0≦b'、a'+b'≦1)をn型、p型等の導電
型でダブルへテロ構造になるように積層することによっ
て得られる。基板1には例えばサファイア(C面、A
面、R面を含む)、SiC(6H−SiC、4H−Si
Cも含む)、ZnO、Si、GaAs、スピネル等が使
用でき、図2ではサファイア基板を示している。n型の
窒化物半導体はノンドープの状態でも得られるが、S
i、Ge、S等のn型ドーパントを結晶成長中に半導体
層中に導入することによって得られる。またp型の窒化
物半導体層はMg、Zn、Cd、Ca、Be、C等のp
型ドーパントを同じく結晶成長中に半導体層中に導入す
るか、または導入後400℃以上でアニーリングを行う
ことにより得られる。バッファ層2は基板1と窒化物半
導体との格子不整号を緩和するために設けられ、例えば
MOVPE法では500℃前後の低温でGaN、Al
N、GaAlN等が形成されることが多い。またSi
C、ZnOのような窒化物半導体と格子定数の近い基板
を使用する際にはバッファ層が形成されないこともあ
る。
【0029】
【作用】従来、窒化物半導体を用いてレーザ素子を実現
する場合、活性層への光閉じこめはクラッド層と活性層
との屈折率差の反射によって行われていた。しかしなが
ら屈折率差は非常に少なく、多くても0.5以下であ
る。このためほとんどの光はクラッド層を透過して広が
ってしまう。p型クラッド層を透過して広がった光は最
終的には空気層に出るが、空気の屈折率は1であり、p
型コンタクト層GaNの屈折率は2.5である。ここで
の屈折率差は大きく、かなりの光は反射され活性層側に
戻るので光の閉じこめ効果が大きい。半導体層の水平方
向についても同様のことがいえる。しかし、n型クラッ
ド層を透過した光は、n型クラッド層とn型コンタクト
層との屈折率が小さく、界面で反射されずに、n型コン
タクト層中に容易に拡散して行くので、光閉じこめ効果
は少ない。従って活性層の発光が基板側に洩れていって
しまいレーザ発振は起こらなかった。
【0030】一方、本発明では、活性層よりも基板側の
n型層中に光反射する多層膜を窒化物半導体で形成して
いるので、活性層の発光を活性層側に反射して活性層に
閉じこめることが可能となる。多層膜の反射率は膜厚を
制御して例えば5ペア以上積めば反射率は約80%〜9
9%となり非常に高い反射率が得られ、活性層への光閉
じこめ効果は非常に大きいものがある。このため、活性
層よりも上のp層側にも多層膜を挿入した方が光閉じこ
め効果が大きくなることはいうまでもない。
【0031】しかも、本発明は同一面側から正、負一対
の電極と取り出す、いわゆるフリップチップ方式であ
る。この場合、図2、図3、図4、図6に示すようにn
型層側に形成するn型多層膜44は、最も基板側に近い
エッチング面の水平面よりもp型窒化物半導体層に近い
位置に形成する必要がある。なぜなら、n型多層膜44
を基板側に最も近いエッチング面の水平面よりも基板1
側に形成すると、第二のn型クラッド層4とn型コンタ
クト層3との屈折率差が小さいので、活性層6の発光が
活性層6よりも下のn型コンタクト層3中で広がってし
まい、光閉じこめができないからである。逆に基板側に
最も近いエッチング面よりも高い位置、つまりp型層に
近い位置にn型多層膜を形成すると、光はn型コンタク
ト層中に拡散されず活性層にほとんどの光が反射されて
閉じこめ可能となる。これは同一面側からな正、負の電
極を取り出すフリップチップ方式の窒化物半導体レーザ
特有の作用である。
【0032】次に特に好ましい本発明のレーザ素子の構
造について述べる。従来の窒化物半導体のLED素子は
InGaNよりなる活性層をAlGaNよりなるクラッ
ド層で挟んだ構造を有していた。一方、本発明ではこの
InGaNよりなる活性層を、その活性層よりもバンド
ギャップの大きいInGaNで挟むことにより発光出力
が飛躍的に向上し、レーザ発振が可能となることを見い
だした。これは新たなInGaNクラッド層がInGa
N発光層とAlGaNクラッド層との間のバッファ層と
して働いているからである。InGaNは結晶の性質と
して柔らかい性質を有しており、AlGaNクラッド層
とInGaNとの格子定数不整と熱膨張係数差によって
生じる結晶欠陥を吸収する働きがあると考えられる。こ
のため新たに形成したInGaNクラッド層が、これら
結晶欠陥を吸収してInGaN発光層の結晶欠陥が大幅
に減少するので、InGaN発光層の結晶性が飛躍的に
良くなり、常温でレーザ発振可能となる。
【0033】一方、従来のInGaN発光層をAlGa
Nクラッド層を挟んだ構造では、例えばInGaN発光
層の厚さを200オングストローム未満にすると、Al
GaNクラッド層とInGaN発光層とにクラックが多
数生じる。これはAlGaNクラッド層が結晶の性質
上、非常に硬い性質を有しており、薄い膜厚のInGa
N発光層のみではAlGaNクラッド層との界面から生
じる格子不整合と、熱膨張係数差から生じる歪をInG
aN発光層で弾性的に緩和できないことを示している。
このためInGaN発光層、AlGaNクラッド層にク
ラックが生じ、また結晶欠陥が発光層に多数生じるの
で、出力の大幅な向上が望めないのである。
【0034】
【実施例】以下本発明を具体的な実施例に基づいて説明
する。以下の実施例はMOVPE法による成長方法を示
している。
【0035】[実施例1]図2を元に実施例1について
説明する。まずTMG(トリメチルガリウム)とNH3
とを用い、反応容器にセットしたサファイア基板1のC
面に500℃でGaNよりなるバッファ層2を500オ
ングストロームの膜厚で成長させる。
【0036】次に温度を1050℃まで上げ、TMG、
NH3に加えSiH4ガスを用い、Siドープn型GaN
よりなるn型コンタクト層3を4μmの膜厚で成長させ
る。
【0037】続いて、原料ガスにTMA(トリメチルア
ルミニウム)を加え、同じく1050℃でSiドープn
型Al0.3Ga0.7N層よりなる第二のn型クラッド層4
を0.1μmの膜厚で成長させる。
【0038】次に温度を800℃に下げ、原料ガスにT
MG、TMI(トリメチルインジウム)、NH3、Si
4を用い、Siドープn型In0.01Ga0.95Nよりな
る薄膜を380オングストロームの膜厚で成長させる。
続いて温度を1050℃に上げTMG、TMA(トリメ
チルアルミニウム)、NH3、SiH4を用い、Siドー
プn型Al0.2Ga0.9Nよりなる薄膜を390オングス
トロームの膜厚で成長させる。そしてこれらの操作を2
0回繰り返し、Siドープn型In0.01Ga0.95N層と
SiドープAl0.2Ga0.9N層を交互に10層づつ積層
したn型多層膜44を形成する。
【0039】次に温度を800℃に下げ、TMG、TM
I(トリメチルインジウム)、NH 3、SiH4を用い、
Siドープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第一のn型
クラッド層5を500オングストロームの膜厚で成長さ
せる。
【0040】続いてTMG、TMI、NH3を用い80
0℃でノンドープIn0.05Ga0.95Nよりなる活性層6
を30オングストロームの膜厚で成長させる。
【0041】続いてTMG、TMI、NH3に加え新た
にCp2Mg(シクロペンタジエニルマグネシウム)を
用い800℃でMgドープp型In0.01Ga0.99Nより
なる第一のp型クラッド層7を500オングストローム
の膜厚で成長させる。
【0042】次に温度を1050℃に上げ、TMG、T
MA、NH3、Cp2Mgを用い、Mgドープp型Al0.
3Ga0.7Nよりなる第二のp型クラッド層8を0.1μ
mの膜厚で成長させる。
【0043】続いて1050℃でTMG、NH3、Cp2
Mgを用い、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタ
クト層9を0.5μmの膜厚で成長させる。
【0044】反応終了後、温度を室温まで下げてウェー
ハを反応容器から取り出し、700℃でウェーハのアニ
ーリングを行い、p型層をさらに低抵抗化する。次に最
上層のp型コンタクト層9の表面に所定の形状のマスク
を形成し、n型コンタクト層3の表面が露出するまでエ
ッチングする。
【0045】次に、n型コンタクト層3に50μmの幅
でTiとAlを含む負電極、p型コンタクト層9に10
μmの幅でNiとAuを含む正電極をそれぞれ形成す
る。このように第二のn型クラッド層4の表面にn型多
層膜44を形成すると、n型コンタクト層3までエッチ
ングするので、自然に負電極を形成する水平面がn型多
層膜44よりも下、つまり図2に示すように基板側とな
る。
【0046】次に、窒化物半導体層を形成していない方
のサファイア基板面を研磨して基板の厚さを90μmに
し、サファイア基板表面のM面(六方晶系において六角
柱の側面に相当する面)をスクライブした。スクライブ
後、ウェーハを700μm角のチップに分割し、図5に
示すようなストライプ型のレーザチップを作製した。な
お図5は本実施例によるレーザ素子の斜視図を示してお
り、ストライプ状の正電極と直交した窒化物半導体層面
を光共振面としている。またこのレーザ素子は電極を除
いた表面をSiO2よりなる絶縁膜で被覆しているが、
図2および図5では絶縁膜は特に図示していない。
【0047】このチップをヒートシンクに設置し、それ
ぞれの電極をワイヤーボンドした後、常温でレーザ発振
を試みたところ、しきい値電流密度1.5kA/cm2
発振波長390nmのレーザ発振が確認された。
【0048】[実施例2]図3を元に実施例2を説明す
る。これも実施例1と同様にして、サファイア基板1の
上にGaNバッファ層2、Siドープn型GaNコンタ
クト層3を成長させる。コンタクト層3成長後、実施例
1と同様にしてSiドープn型In0.01Ga0.95N層と
SiドープAl0.2Ga0.9N層を交互に10層づつ積層
したn型多層膜44を形成する。
【0049】次にn型多層膜44の上に、同様にしてS
iドープn型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のn型クラ
ッド層4と、Siドープn型In0.01Ga0.99Nよりな
る第一のn型クラッド層5、ノンドープn型In0.05G
a0.95Nよりなる活性層6、Mgドープp型In0.01G
a0.99Nよりなる第一のp型クラッド層7、Mgドープ
p型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のp型クラッド層8
を順に成長させて積層する。
【0050】次に、温度を800℃にしてTMG、TM
I、NH3、Cp2Mgを用い、Mgドープp型In0.01
Ga0.95N層を380オングストローム成長させ、続い
て温度を1050℃にして、TMG、TMA、NH3
Cp2Mgガスを用い、Mgドープp型Al0.2Ga0.9
N層を390オングストロームの膜厚で成長させ、それ
ぞれ交互に10層づつ積層したp型多層膜55を形成す
る。
【0051】p型多層膜55形成後、そのp型多層膜5
5の表面にMgドープp型GaNよりなるp型コンタク
ト層9を成長させたウェーハを作製する。
【0052】このウェーハを同様にしてエッチングを行
った後、電極を形成して図5に示すようなチップにした
後、同様のレーザ素子としたところ、同じくしきい値電
流密度1.0kA/cm2で発振波長390nmのレーザ
発振が確認された。
【0053】[実施例3]次に、図3を元に実施例3を
説明する。これも実施例1と同様にして、サファイア基
板1の上にGaNバッファ層2、Siドープn型GaN
コンタクト層3、Siドープn型Al0.3Ga0.7Nより
なる第二のクラッド層4を成長させる。
【0054】第二のクラッド層4、続いて温度を105
0℃に維持し、Siドープn型GaN層を390オング
ストロームの膜厚で成長させ、続いてSiドープn型A
l0.2Ga0.8N層を400オングストロームの膜厚で成
長させ、それぞれ交互に10層づつ積層したn型多層膜
44を形成する。
【0055】次にn型多層膜44の上に、同様にしてS
iドープn型In0.01Ga0.99Nよりなる第一のn型ク
ラッド層5、ノンドープn型In0.05Ga0.95Nよりな
る活性層6、Mgドープp型In0.01Ga0.99Nよりな
る第一のp型クラッド層7を順に成長させて積層する。
【0056】次に温度を1050℃にして、Mgドープ
p型GaN層を390オングストロームの膜厚で成長さ
せ、続いてMgドープp型Al0.2Ga0.8N層を400
オングストロームの膜厚で成長させ、それぞれ交互に1
0層づつ積層したp型多層膜55を形成する。
【0057】p型多層膜55形成後、同様にしてMgド
ープp型Al0.3Ga0.7Nよりなる第二のp型クラッド
層8と、Mgドープp型GaNよりなるp型コンタクト
層9を成長させたウェーハを作製する。
【0058】このウェーハを同様にしてエッチングを行
った後、電極を形成して図5に示すようなチップにした
後、同様のレーザ素子としたところ、同じくしきい値電
流密度1.0kA/cm2で発振波長390nmのレーザ
発振が確認された。
【0059】[実施例4]実施例1と同様にしてサファ
イア基板1の上にGaNよりなるバッファ層を成長させ
る。バッファ層成長後、Siドープn型GaNよりなる
n型コンタクト層3を4μmの膜厚で成長させる。
【0060】次にn型コンタクト層3成長後、Siドー
プn型Al0.2Ga0.8N層を400オングストロームの
膜厚で成長させ、続いてSiドープn型GaN層を39
0オングストロームの膜厚で成長させ、それぞれ交互に
10層づつ積層したn型多層膜44を形成する。但し、
最後のSiドープn型GaN層は1μmの膜厚で成長さ
せる。このようにしてn型コンタクト層3の内部にn型
多層膜44を形成する。
【0061】後は、実施例1と同様にして第二のn型ク
ラッド層4、第一のn型クラッド層5、活性層6、第一
のp型クラッド層7、第二のp型クラッド層8、p型コ
ンタクト層9を順に積層したウェーハを作製する。
【0062】このウェーハを同様にしてエッチングを行
うのであるが、エッチング深さを深くして、最初に形成
した4μmのn型GaNコンタクト層が露出するまでエ
ッチングを行う。後は同様に電極を形成して図5に示す
ようなチップにした後、レーザ素子としたところ、同じ
くしきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長390
nmのレーザ発振が確認された。
【0063】[実施例5]第一のn型クラッド層5を形
成しない他は、実施例2と同様にしてレーザ素子を作製
したところ、しきい値電流密度2kA/cm2で発振波長
390nmのレーザ発振が確認された。
【0064】[実施例6]第一のp型クラッド層7を形
成しない他は、実施例2と同様にしてレーザ素子を作製
したところ、しきい値電流密度1.5kA/cm2で発振
波長390nmのレーザ発振が確認された。
【0065】[実施例7]実施例1において、活性層6
を成長させる際、ノンドープIn0.05Ga0.95Nよりな
る井戸層を25オングストローム、その上に同じく80
0℃にて、ノンドープIn0.01Ga0.99Nよりなる障壁
層を50オングストロームの膜厚で成長させる。この操
作を13回繰り返し、最後に井戸層を積層して総厚10
00オングストロームの活性層6を成長させた。後は実
施例1と同様にしてレーザ素子としたところ、同じく、
しきい値電流密度1.5kA/cm2で発振波長390n
mのレーザ発振が確認された。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のレーザ素
子は活性層の発光を反射する多層膜層を最も基板側に近
いエッチング面の水平面よりもp型窒化物半導体層に近
い位置に形成しているため、発光を基板側に逃がさず効
率的に活性層の光閉じ込めを行うことができる。従っ
て、例えばストライプ型のレーザを作製した場合には容
易にレーザ発振可能となる。
【0067】さらに、本発明の好ましい態様として、I
nGaNよりなる活性層のいずれかの主面側にInGa
Nのクラッド層を形成すると、活性層の結晶性、および
AlGaNクラッド層の結晶性も良くなり、結晶欠陥が
少なくなり、レーザ素子の常温での発振、信頼性が向上
する。本発明では活性層に接するクラッド層が格子整合
していないにもかかわらず、レーザ発振できるのはこの
構造の影響が大であると推察される。
【0068】このように短波長の半導体レーザ素子が実
現できたことにより、コンパクトディスク(CD)の書
き込み光源、読み取り光源、その他ディスプレイ用光
源、照明用光源、植物育成用光源等、数多くのデバイス
に適用可能となるので、その産業上の利用価値は多大な
ものがある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の一LED素子の構造を示す模式断面
図。
【図2】 本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を
示す模式断面図。
【図3】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図4】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【図5】 本発明の一実施例に係るレーザ素子の構造を
示す斜視図。
【図6】 本発明の他の実施例に係るレーザ素子の構造
を示す模式断面図。
【符号の説明】
1・・・・サファイア基板 2・・・・バッファ層 3・・・・n型コンタクト層 4・・・・第二のn型クラッド層 5・・・・第一のn型クラッド層 6・・・・活性層 7・・・・第一のp型クラッド層 8・・・・第二のp型クラッド層 9・・・・p型コンタクト層 44・・・n型多層膜 55・・・p型多層膜

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に、少なくともn型窒化物半導体
    よりなる第一のクラッド層と、その第一のクラッド層に
    接してインジウムとガリウムとを含む窒化物半導体より
    なる活性層と、その活性層に接してp型窒化物半導体よ
    りなる第一のp型クラッド層とが順に積層された構造を
    有し、さらにp型窒化物半導体側からエッチングされて
    同一面側に正、負一対の電極が取り出された構造を備え
    る窒化物半導体レーザ素子であって、前記第一のn型ク
    ラッド層の外側に、互いに組成の異なる2種類の窒化物
    半導体層が積層されてなるn型の多層膜を光反射膜とし
    て備え、さらにそのn型の多層膜は、最も基板側に近い
    エッチング面の水平面よりもp型窒化物半導体層に近い
    位置に形成されていることを特徴とする窒化物半導体レ
    ーザ素子。
  2. 【請求項2】 前記第一のp型クラッド層の外側に、互
    いに組成の異なる2種類の窒化物半導体層が積層されて
    なるp型の多層膜を光反射膜として備えることを特徴と
    する請求項1に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  3. 【請求項3】 前記第一のn型クラッド層、前記第一の
    p型クラッド層の内のいずれか一方若しくは両方が、イ
    ンジウムとガリウムとを含む窒化物半導体層またはGa
    N層であることを特徴とする請求項1または請求項2に
    記載の窒化物半導体発光素子。
  4. 【請求項4】 前記第一のn型クラッド層の外側に接し
    てアルミニウムとガリウムとを含むn型窒化物半導体層
    よりなる第二のn型クラッド層が形成されるか、または
    前記第一のp型クラッド層の外側に接してアルミニウム
    とガリウムとを含むp型窒化物半導体よりなる第二のp
    型クラッド層が形成されていることを特徴とする請求項
    1ないし請求項3の内のいずれか一項に記載の窒化物半
    導体レーザ素子。
  5. 【請求項5】 前記第一のn型クラッド層若しくは前記
    第二のn型クラッド層に接してn型GaNよりなるn型
    コンタクト層が形成されており、さらに前記第一のp型
    クラッド層若しくは第二のp型クラッド層に接してp型
    GaNよりなるp型コンタクト層が形成されていること
    を特徴とする請求項1ないし請求項4の内のいずれか一
    項に記載の窒化物半導体レーザ素子。
  6. 【請求項6】 前記n型の多層膜は、第一のn型クラッ
    ド層と第二のn型クラッド層との間か、第二のn型クラ
    ッド層とn型コンタクト層との間か、またはn型コンタ
    クト層内部の内のいずれか一ヶ所に形成されていること
    を特徴とする請求項1、請求項3、請求項4または請求
    項5の内のいずれか一項に記載の窒化物半導体レーザ素
    子。
  7. 【請求項7】 前記p型の多層膜は、第一のp型クラッ
    ド層と第二のp型クラッド層との間か、第二のp型クラ
    ッド層とp型コンタクト層との間か、またはp型コンタ
    クト層内部の内のいずれか一ヶ所に形成されていること
    を特徴とする請求項2、請求項3、請求項4または請求
    項5の内のいずれか一項に記載の窒化物半導体レーザ素
    子。
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