JP4120113B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、段階的に燃料を噴射可能な燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、高圧燃料供給ポンプから燃料噴射装置であるインジェクタに燃料を供給する燃料供給システムにおいて、燃料圧力によりニードルリフトを変化させ噴射特性を可変にしようとする技術が提案されている。燃料噴射装置の噴射率および燃料噴霧の濃度や拡散状態は、燃料の着火特性、NOx、黒煙、HCなどの発生量、燃焼効率などに大きく影響する。
【0003】
例えば、所定のニードルリフト間隔をおいてニードルを付勢するように2個のばねを構成した2段開弁圧ノズルが公知となっている。この技術によれば、ニードルは燃料噴射ポンプから圧送される燃料圧力にしたがいリフトする。しかし、燃料噴射ポンプから燃料噴射装置に圧送される燃料圧力はエンジン運転状態によって変動するので、エンジンの要求する噴射率を全運転条件において実現するのは困難である。
【0004】
そこで図21に示す米国特許5694903号に開示されるインジェクタ230のように、噴孔閉塞方向にニードル231に燃料圧力を加える制御室260を設けるものが知られている。燃料溜まり232に導入される燃料圧力により噴孔開放方向に受ける力と、制御室260の燃料圧力から噴孔閉塞方向に受ける力と、スプリング237から噴孔閉塞方向に受ける力との大小関係によりニードル231のリフトを制御している。エンジン運転状態によって燃料圧力が変動しても制御室260の圧力を制御することにより、ニードル231の開閉タイミングを高精度に制御しようとしている。また、制御室260を閉塞する方向にパイロットバルブステム270を付勢する2個のばね290、297の付勢力とコイル274への通電電流とによりパイロットバルブステム270のリフトを2段階に制御して制御室260の燃料圧力を変化させることにより、ニードル231を段階的にリフトさせ、所望の燃料噴射率を得ようとしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したような従来の燃料噴射装置の構成では、ニードル231は、制御室260の圧力の変化とスプリング237と、燃料溜まり232の燃料圧力との大小関係でリフトするので、ステム270が段階的にリフトしてもニードル231はステム270と同様に段階的にリフトするとは限らない。さらに、温度変化等により電磁力吸引力が変化するとステム270のリフト特性が変化し、ステム270の開口面積特性が変化する。また、粘性等の燃料特性の変化により制御室260の圧力変化が不安定になり、これに伴いニードル231のリフト特性が変化して燃料の噴射率が不安定になることがある。また、ステム270の非常に小さいリフト量を制御するので、インジェクタ230の個体間のばらつきを押さえることが難しく、高精度に安定した噴射制御は困難であった。
【0006】
また、上記のいずれも、噴射率を可変制御することは可能であるが、噴霧角や噴霧の到達距離などの噴霧状態の可変制御は実現困難である。噴霧状態が適切に制御されない場合、燃費出力が低下し、NOx、黒煙、HCなどの発生が多くなるという問題がある。
本発明の目的は、エンジン運転状態に応じた燃料噴射状態を提供し、NOx、黒煙、HCを低減し燃費出力を向上する燃料噴射装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1から5、11のいずれか一項記載の燃料噴射装置によれば、燃料圧力から噴孔開放方向に受ける力と、複数の付勢手段および複数の圧力室から噴孔閉塞方向に受ける力との大小関係により弁部材のリフト量が制御される。そして、複数の圧力室の少なくとも一室の圧力を制御手段で制御することにより、エンジン運転状態により燃料噴射装置に導入される燃料圧力が変動しても、弁部材の開閉タイミングを高精度に制御できる。また、複数の付勢手段から弁部材に加わる付勢力が弁部材のリフト量により段階的に変化するので、圧力室の圧力に応じ弁部材が段階的にリフトする。エンジン運転状態により燃料噴射装置に導入される燃料圧力が変動しても、弁部材を段階的にリフトさせることができるので、エンジンの全運転領域において所望の燃料噴射率に制御できる。
【0008】
また、弁部材のリフト量に応じ燃料噴射率および燃料噴霧状態を変化させる噴射可変手段を備えているので、エンジンの全運転領域、特に低噴射圧においても、噴霧角と到達距離を弁部材のリフト量に応じて可変制御でき、構造が簡単で安価な燃料供給装置を提供できる。この燃料供給装置を使い、噴射率制御と噴霧制御を実施することにより、全運転領域で所定の噴霧を形成し、NOx、HC、黒煙の発生を低減できる。
また、本発明の請求項1記載の燃料噴射装置によれば、複数の可動部材がそれぞれ複数の圧力室の各燃料出口を開閉するので、各圧力室の圧力を個別に制御できる。したがって、各圧力室の圧力を段階的に低下させることにより、弁部材を段階的にリフトさせることができる。
また、本発明の請求項1記載の燃料噴射装置によれば、複数の可動部材を同軸上に配設しているので、制御弁の体格を小型化できる。さらに、複数の可動部材を燃料出口閉塞方向に付勢するばねを有し、可動部材は異なるタイミングで複数の圧力室の各燃料出口を開閉するので、各圧力室の圧力を個別に高精度に制御することができる。
さらに、本発明の請求項1記載の燃料噴射装置によれば、第1の可動部材が所定量リフトすると第2の可動部材は第1の可動部材とともにリフト可能である。つまり、一つの駆動源により制御弁の各可動部材をリフトさせることができるので、制御弁の体格が小さくなる。
【0009】
本発明の請求項6記載の燃料噴射装置によれば、複数の圧力室ごとに複数の伝達部材は受圧面を有する。したがって、圧力室の数に付勢手段の数を合わせれば弁部材を3段以上の多段にリフトさせることができる。
本発明の請求項7記載の燃料噴射装置によれば、複数の圧力室を伝達部材と同軸上に形成しているので、燃料噴射装置の径を小さくすることができる。
本発明の請求項8記載の燃料噴射装置によれば、複数の圧力室のいずれかまたは複数に複数の付勢手段をそれぞれ配設しているので、付勢手段を収容する空間が小さくなり、燃料噴射装置を小型化できる。
【0010】
本発明の請求項9記載の燃料噴射装置によれば、弁部材が弁座に着座しているとき、噴孔閉塞方向に向け複数の圧力室の圧力を受ける伝達部材の受圧面積は噴孔開放方向に燃料圧力を受ける弁部材の受圧面積より大きく、弁部材が弁座から離座すると、噴孔閉塞方向に向け複数の圧力室の圧力を受ける弁部材の受圧面積から燃料圧力の低下した圧力室に面する弁部材の受圧面の受圧面積を引いた受圧面積は噴孔開放方向に燃料圧力を受ける弁部材の受圧面積より小さくなる。弁部材が弁座に着座するまで、弁部材が噴孔閉塞方向に燃料圧力から受ける力が弁座に着座しているときよりも小さくなるので、弁部材が弁座に着座するときの速度を低減し、閉弁衝撃をやわらげることができる。
【0012】
本発明の請求項10記載の燃料噴射装置によれば、電気的な力によって可動部材を駆動するので、可動部材の動きを高精度に制御し、燃料噴射率を高精度に制御できる。
【0014】
本発明の請求項12記載の燃料噴射装置によれば、エンジン運転状態が低速から中速あるいは低負荷から中負荷域では弁部材のリフトを第1リフト量、または小さなリフト量とすることにより燃料噴射量を減少し、高速または高負荷時には弁部材のリフトを第1リフト量と第2リフト量との和以上にすることにより燃料噴射量を増加している。エンジン運転状態に応じ最適な燃料噴射率を選択している。
【0015】
本発明の請求項13記載の燃料噴射装置によれば、燃料噴射期間中に弁部材のリフト量を段階的に切り替えることにより、一回の燃料噴射期間中において最適な燃料噴射率を実現できるので、NOx、HC、黒煙の発生を低減できる。
本発明の請求項14記載の燃料噴射装置によれば、エンジンの運転状態が切り替わるとき、制御手段は、エンジンの一行程毎に最適な噴射回数に制御し、燃料噴射毎に弁部材を最適なリフト状態にし、最適な噴射期間で燃料を噴射制御している。したがって、NOx、HC、黒煙の発生を低減できる。
本発明の請求項15記載の燃料噴射装置によれば、エンジン運転全域において最適な噴射回数で、かつ最適な弁部材のリフト状態で燃料を噴射制御している。したがって、NOx、HC、黒煙の発生を低減できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例による燃料噴射装置であるインジェクタ1を図1に示す。インジェクタ1は図示しないエンジンのエンジンヘッドに挿入搭載され、エンジンの各気筒内に燃料を直接噴射するように構成されている。燃料噴射ポンプから吐出された高圧燃料は図示しない蓄圧管の蓄圧室で所定圧に蓄圧され、インジェクタ1に供給される。燃料噴射ポンプは、エンジンの回転数、負荷、あるいは吸入燃料圧力、吸入空気量、冷却水の温度にしたがい吐出圧を調整する。
【0017】
インジェクタ1のハウジング11と弁ボディ12とはチップパッキン13をはさみリテーニングナット14で締結されている。弁部材20は、噴孔12b側からニードル21、ロッド23、制御ピストン24、25により構成されている。ロッド23および制御ピストン24、25は伝達部材を構成している。
【0018】
ニードル21は弁ボディ12に往復移動自在に支持されている。ニードル21は、第1の付勢手段としての第1スプリング15により制御ピストン25、24、ロッド23を介し弁ボディ12に形成した弁座12aに付勢されている。第1スプリング15は第2制御室65に制御ピストン25と同軸に収容されている。第1スプリング15の初期設定荷重はFs1、ばね定数はk1である。第2の付勢手段としての第2スプリング16はハウジング11内のロッド23の周囲にロッド23と同軸に嵌挿され、チップパッキン13にスプリング座17を押圧している。第2スプリング16の初期設定荷重はFs2、ばね定数はk2である。図2に示すように、スプリング座17がチップパッキン13に着座しているとき、スプリング座17の下端面17aはニードル21の肩部22と隙間h1、つまり第1リフト量を形成している。スプリング座17がチップパッキン13に着座しているとき、スプリング座17の下端面17aはチップパッキン13の下端面13aよりh2、つまり第2リフト量分つきだしている。したがって、ニードル21の最大リフト量はh1+h2となる。
【0019】
図1に示すように、電磁弁30はハウジング11の上部とナット31で締結されている。電磁弁30は、アーマチャ32、ボディ33、プレート34、コイル35、第1制御弁40、第2制御弁43、第1スプリング42、第2スプリング44等で構成されている。第1制御弁40および第2制御弁43は可動部材である。
【0020】
第2制御弁43は第2スプリング44の付勢力によりボディ33に形成した弁座33aに着座可能である。第2制御弁43は円筒状に形成されており、軸方向に貫通する貫通孔を有している。第2制御弁43は内周壁により第1制御弁40を往復移動自在に支持している。第1制御弁40と第2制御弁43とは同軸上に配置されている。第1制御弁40は第1スプリング42の付勢力によりプレート34に着座可能である。第1制御弁40の上部に位置するコア41は、コイル35に通電することにより発生する励起吸引力により第1スプリング42の付勢力にアーマチャ32の端面32aに吸引される。図4に示すように、第1制御弁40が図4の上方にリフトし第2制御弁43の端部43aに当接するまでの第1リフト量はH1である。コイル35に供給される電流値がさらに高い場合、第1制御弁40のコア41を吸引する力がさらに大きくなり、第1スプリング42と第2スプリング44との付勢力の和に抗し第1制御弁40および第2制御弁43がともに上昇し、第2制御弁43がアーマチャ32の係止部32bに当接して停止する。第1制御弁40が第2制御弁43に当接してから第2制御弁43が係止部32bに当接するまでの第2リフト量はH2である。第1制御弁40はH1+H2の最大リフトをする。
【0021】
図3に示すように、圧力室としての第1制御室60に入口絞り61および出口絞り62が連通している。出口絞り62の流路面積は入口絞り61の流路面積よりも大きい。出口絞り62は低圧側と連通可能な燃料通路である。入口絞り61は、ハウジング11に圧入あるいは嵌合挿入されているライナー26に形成されており、燃料通路51と連通している。燃料流入通路50、燃料通路51、入口絞り61を通り第1制御室60に高圧燃料が供給される。出口絞り62はボディ33とハウジング11との間に挟持されているプレート34に形成されており、燃料室63に連通している。また、圧力室としての第2制御室65に入口絞り66および出口絞り67が連通している。出口絞り67の流路面積は入口絞り66の流路面積よりも大きい。入口絞り66は燃料通路51に連通しており、燃料流入通路50、燃料通路51、入口絞り66を通り第2制御室65に高圧燃料が供給される。出口絞り67は燃料通路68に連通している。出口絞り67、燃料通路68、69、70は低圧側と連通可能な燃料通路を構成している。
【0022】
第1制御弁40が出口絞り62を開放することで、第1制御室60の高圧燃料は、出口絞り62、低圧側の燃料室63、燃料通路64、57a、56a、燃料排出通路58から燃料タンク3に排出される。燃料通路57aはボディ33の周囲に燃料通路64と連通するように形成され、プレート34に形成された燃料通路56aを介し燃料通路56に連通している。燃料通路56はハウジング11内のロッド23周囲に開口しており、ハウジング11内の低圧燃料を燃料タンク3ヘ排出している。第2制御弁43がボディ33の弁座33aから離座することにより燃料通路70を開放すると、第2制御室65の高圧燃料は、出口絞り67、燃料通路68、69、70、燃料室63、燃料通路64、57a、56a、燃料排出通路58から燃料タンク3に排出される。ボディ33に形成され燃料通路57aに連通する燃料通路57は第2スプリング44を収容している電磁弁30内に開口しており、電磁弁30内の低圧燃料を燃料通路57a、56aを介し燃料タンク3に排出している。
【0023】
制御ピストン24はハウジング11に嵌挿されている。制御ピストン24の反噴孔側に位置している制御ピストン25はライナー26に嵌挿されており、第1制御室60に面している。制御ピストン24の下部はロッド23に当接している。第1スプリング15は一端をライナー26に当接し、他端を制御ピストン25に係止されている。制御ピストン24と制御ピストン25とは別体としたが、一体に構成してもよい。また、制御ピストン24とロッド23は一体でもよい。
【0024】
制御ピストン24および制御ピストン25が第1制御室60から燃料圧力を受ける受圧面積Ap1、第2制御室65から燃料圧力を受ける受圧面積Ap2の合計Apは、弁ボディ12と摺動するニードル21のガイド部の断面積、つまり、ニードル21を収容する弁ボディ12の収容孔の断面積Agより大きく形成されている。図示しない蓄圧管から供給される高圧燃料は、ハウジング11に形成された燃料流入通路50、燃料通路51、チップパッキン13に形成された燃料通路52、ノズルボディ12に形成された燃料通路53、燃料溜まり54からニードル21周囲の燃料通路55を経てニードル21と弁座12aとで形成する弁部2に至る。
【0025】
次に、弁部2の周辺について構成を説明する。図7の(A)に示すように、ニードル21の先端に設けられた当接部21aは弁ボディ12に形成した弁座12aに着座可能である。弁部2は、当接部21a、噴射可変手段としての旋回力形成部210、渦巻き室219および噴孔12bから構成されている。旋回力形成部210は、弁ボディ12のシート面220と、ニードル21の外周上に形成された円錐面211、212、213、円筒面214と複数の斜め溝215によって構成される。円錐面211は、シート面220よりわずかに小さいか同じ円錐角度で形成されている。旋回力形成部210は上記の構成だけでなく、基本構成として、弁ボディ12に形成されたシート面220のような円錐面と、ニードル21の外周面に形成された円錐面211とが相対して、円錐面である211と220のいずれかに斜め溝215が形成されている構造であれば、次に述べる作用効果が十分に得られる。また、円錐面ではなく球面同士であっても同様の作用効果が得られる。
【0026】
渦巻き室219は、弁ボディ12のシート面220とニードル21の旋回力形成部210の下流部にある円錐面213、円筒面216によって構成される。この渦巻き室219も、前記形状にこだわるものでなく、円筒面216は円錐面でも、円筒と円錐の合成面でも球面等でも構成可能である。ニードル21の当接部21aは第1のスプリング15によって噴孔閉塞方向に付勢され弁座12aに着座可能である。また、燃料通路55内の燃料圧力により弁座12aから離座する方向、つまり噴孔開放方向に力を受ける。当接部21aの下流には弁ボディ12のシート面220と、それより大きな円錐角をもつニードル21の円錐面217と、さらに大きな円錐角を持つ円錐面218とで流路が構成されている。弁ボディ12はシート面220から円錐面221へと連続的に円錐面を変化させて噴孔12bに連通する流路を構成している。円錐面217、218は同じ角度の1つの円錐面でもよい。また、弁ボディ12側もシート面220、円錐面221はシート面220と同じ角度のひとつの円錐面でも、さらには円弧等の曲面でも構成可能である。
【0027】
次に、インジェクタ1の作動について説明する。
まず、図示しない燃料噴射ポンプから燃料が吐出され、図示しない蓄圧管に送出される。蓄圧管の蓄圧室で所定の一定圧に蓄圧された高圧燃料はインジェクタ1に供給される。また、図示しないエンジン制御装置(ECU)により、エンジンの運転条件に応じた制御弁駆動電流が生成され、電磁弁30のコイル35に供給される。駆動電流の供給によりコイル35に励起吸引力が発生すると、第1スプリング42の付勢力に抗し第1制御弁40を吸引する。すると出口絞り62が開放され、第1制御室60が出口絞り62を介して低圧側の燃料室63に連通する。入口絞り61より出口絞り62の流路面積が大きく設定されているので、流入燃料量より流出燃料量が多く、第1制御室60の燃料圧力Pc1は低下し始める。この圧力低下速度は、入口絞り61と出口絞り62との流路面積の差と第1制御室60の容積の設定で任意に調節できる。第1制御室60の圧力が低下し、第1スプリング15の設定荷重と、第1制御室60および第2制御室65の燃料圧力から受ける力との合力である噴孔閉塞方向の力がニードル21を押し上げる力より小さくなるとニードル21は開弁しはじめる。コイル35の通電保持電流IH1で発生する励起吸引力が第1スプリング42と第2スプリング44との合力より小さいとき、図4に示す第1リフト量H1の位置で第1制御弁40は停止する。
【0028】
次に、ニードル21に働く力を説明する。
(1) ニードル21のリフト量hが第1リフト量h1より小さいとき(h<h1)
▲1▼ニードル閉弁時(h=0)
閉弁力Fclは、第1制御室60および第2制御室65の燃料圧力Pctから噴孔閉塞方向に弁部材20に働く力Fctと、第1スプリング15の初期設定荷重Fs1との合計である。Fcl=Fct+Fs1=Pct×Ap+Fs1である。また、Pct×Ap=Pc1×Ap1+Pc2×Ap2である。ここで、Pc1は第1制御室60の圧力、Pc2は第2制御室65の圧力、Ap1は第1制御室60から噴孔閉塞方向に燃料圧力を受ける弁部材20の受圧面積、Ap2は第2制御室65から噴孔閉塞方向に燃料圧力を受ける弁部材20の受圧面積である。Ap=Ap1+Ap2の関係にある。
【0029】
開弁力Foは、燃料圧力から噴孔開放方向にニードル21に加わる力Fdであり、Fo=Fd=Pd(Ag−As)である。Pdは燃料通路55の燃料圧力、Asはニードル21が弁座12aに着座しているときのシート面積である。ニードルに加わる力Fを次式(1) に示す。
F=Fo−Fcl=Pd(Ag−As)−Pct×Ap−Fs1・・・(1)
【0030】
▲2▼ニードル開弁時(0<h<h1)
第1制御室60の燃料圧力が低下しニードル21が弁座12aから離座すると、第1スプリング15の収縮分hが加わり、ばね力FsはFs=Fs1+k1×hとなる。したがって閉弁力FclはFcl=Fct+Fs=Fct+Fs1+k1×h、開弁力はFo=Fd=Pd×Agである。ニードルに加わる力Fを次式(2) に示す。
F=Fo−Fcl=Pd×Ag−Fct−Fs1−k1×h・・・(2)
このとき、弁部材20が第1制御室60および第2制御室65から燃料圧力を受ける受圧面積Apから燃料圧力の低下した第1制御室60から燃料圧力を受ける受圧面積Ap1を引いた受圧面積、すなわち第2制御室65から燃料圧力を受ける受圧面積Ap2は、Agよりも小さい。
【0031】
(2) ニードル21のリフト量hが第1リフト量h1以上のとき(h1≦h)
ばね力Fsは第2スプリング16の初期設定荷重Fs2と収縮分が加わりFs=k1×h+Fs1+k2(h−h1)+Fs2である。閉弁力Fclは、Fcl=Fct+Fs=Pct×Ap+k1×h+Fs1+k2(h−h1)+Fs2、開弁力FoはFo=Fd=Pd×Agとなる。ニードル21に加わる力Fを次式(3) に示す。
F=Fo−Fcl=Pd×Ag−Pct×Ap−k1×h−Fs1−k2(h−h1)−Fs2・・・(3)
【0032】
次に第1制御弁40、43に働く力を説明する。
(1) 第1制御弁40のリフト量Hが0の閉弁時(H=0)
第1制御弁40に働く閉弁力Fvc1は第1スプリング42の初期設定荷重Fvs1だけである。つまりFvc1=Fvs1である。第1制御弁40に働く開弁力は、第1制御室60の燃料圧力Pc1から第1制御弁40が受ける開弁力Fvo1であり、Fvo1=Ao1×Pc1である。Ao1は出口絞り62の開口面積である。第1制御弁40に加わる力Fv1を次式(4) に示す。
Fv1=Fvo1−Fvc1=Ao1×Pc1−Fvs1・・・(4)
【0033】
第2制御弁43に加わる閉弁力Fvc2は、第2スプリング44の初期設定荷重Fvs2である。つまりFvc2=Fvs2である。第2制御弁43に働く開弁力Fvo2は、第2制御室65の燃料圧力Pc2から第2制御弁43が受ける力であり、Fvo2=Ao2×Pc2である。Ao2は、弁座33aに着座した状態で第2制御室65の燃料圧力を受ける第2制御弁43の受圧面積である。第2制御弁43に加わる力Fv2を次式(5) に示す。
Fv2=Fvo2−Fvc2=Ao2×Pc2−Fvs2・・・(5)
H=0では、第1制御弁40と第2制御弁43は相互に力を及ぼしていない。
【0034】
(2) 第1制御弁40だけがリフトしているとき(0<H<H1)
コイル35に電流が供給され、第1の保持電流IH1による励起吸引力Fm1が第1制御弁40に加わると第1制御弁40はプレート34からリフトする。初期設定荷重Fvs1に加え第1スプリング42の収縮分が第1制御弁40に閉弁力として加わるので、第1制御弁40に加わる閉弁力Fvc1はFvc1=Fvs1+K1×Hとなる。また、開弁力Fvo1は前記の励起吸引力Fm1と、上下の受圧面積差Avo1に加わる燃料室63の燃料圧力Pv1から第1制御弁40が受ける力である。H>0のとき、第1制御室60の燃料圧力Pc1は、低下しているか、あるいは出口絞り62を介して燃料室63の燃料圧力Pv1に影響を与える。いずれにしても、燃料室63は燃料通路64、57a、56a、燃料排出通路58を介して燃料タンク3に開放されているので殆ど大気圧と等しくなっており、無視できる圧力となっている。開弁力の合計はFvo1=Fm1+Avo1×Pv1となる。第1制御弁40に加わる力Fv1を次式(6) に示す。
Fv1=Fvo1−Fvc1=Fm1+Avo1×Pv1−Fvs1−K1×H・・・(6)
この時点で第2制御弁43に加わる力は式(5) で示す力と同じである。
【0035】
(3) 第1制御弁40および第2制御弁43がリフトしているとき(H1≦H)
コイル35に第2保持電流IH2が供給され、励起吸引力Fm2が第1制御弁40に加わっている。第1制御弁40に加わる第1スプリング42の閉弁力はFvs1+K1×Hとなる。これに、第2制御弁43に加わる第2スプリング44のばね力Fvs2+K2×(H−H1)が加わる。第1制御弁40に加わる閉弁力Fvc1はFvc1=Fvs1+K1×H+Fvs2+K2×(H−H1)であり、第1制御弁40に加わる開弁力Fvo1はFvo1=Fm2+Avo1×Pv1である。第2制御弁43から受ける力を無視した第1制御弁40に加わる力Fv1を次式(7) に示す。
Fv1=Fvo1−Fvc1=Fm2+Avo1×Pv1−Fvs1−K1×H・・・(7)
【0036】
次に、第2制御弁43が開弁していることから、燃料通路70の燃料圧力はPc1より低下し燃料室63と同様に大気圧に近いPv2になっている。Pv2≒Pv1とおける。燃料室63、燃料通路70の燃料圧力から開弁方向に力を受ける第2制御弁43の受圧面積をAvo2とすると、Fvo2=Avo2×Pv2である。第2制御弁43の閉弁力Fvc2は、Fvc2=Fvs2+K2×(H−H1)となる。第1制御弁40から受ける力を無視した第2制御弁43に加わる力Fv2を次式(8) に示す。
Fv2=Fvo2−Fvc2=Avo2×Pv2−Fvs2−K2×(H−H1)・・・(8)
第1制御弁40と第2制御弁43との相互力を考慮し、両制御弁に加わる力Fvを次式(9) に示す。
Fv=Fv1+Fv2=Fm2+Avo1×Pv1−Fvs1−K1×H+Avo2×Pv2−Fvs2−K2×(H−H1)・・・(9)
【0037】
コイル35に駆動電流を供給し、励起吸引力により第1スプリング42に抗して第1制御弁40が開弁し、図4に示す第1リフト量H1になると、第1制御室60の燃料圧力Pc1が低下し、第1スプリング15の初期設定荷重Fs1と合わせた力により、蓄圧管から供給される圧力Pdによりニードル21が第1のスプリング15に抗して押し上げられ開弁する。式(1) において、F≧0の条件が成立したときである。そして、ニードル21が第1リフト量h1まで上昇する。第1リフト量h1から第2スプリング16の初期設定荷重Fs2が負荷されるため、ニードル21はh1でリフトを停止する。図6においてニードルリフト線図の(A)に示す状態である。第1制御室60の燃料圧力が低下しても式(2) においてF≧0、式(3) においてF<0である間は、ニードル21は第1リフト量h1で停止している。さらに、電磁弁30のコイル35に高い電流が流れると励起吸引力が増加し、第2制御弁43も第1制御弁40とともに第1スプリング42、第2スプリング44の付勢力に抗して開弁し図6に示すリフト状態(H1+H2)になる。第2制御室65の燃料圧力が低下し、式(3) においてF≧0が成立するとニードル21は第1リフト量h1からさらにリフトを開始する。ニードル21は第1リフト量h1からさらに第2リフト量h2上昇する。ニードルリフトはh1+h2となり、最大リフト状態で停止する。図6の(B)または(C)の(b)に示す状態である。
【0038】
第2制御室65の燃料圧力が、低下していくとニードル21を開弁させようとする力はさらに増加していくが、ニードル21の肩部22がチップパッキン13の下端面13aに係止されているので、ニードル21はこれ以上リフトしない。噴孔開放方向の荷重はチップパッキン13が受ける。所定の駆動パルス時間が過ぎると、コイル35への駆動電流の供給が停止され、第2制御弁43が弁座33aに着座することにより燃料通路70が閉塞される。すると、入口絞り66から流入する高圧燃料により第2制御室65の燃料圧力が上昇を開始する。さらに、第1制御弁40がプレート34に着座することにより出口絞り62が閉塞される。すると、入口絞り61から流入する高圧燃料により第1制御室60の燃料圧力が上昇を開始する。
【0039】
制御ピストン24、制御ピストン25を押し下げる力が上昇し、ロッド23を介しニードル21を噴孔閉塞方向に押し下げ始める。第2リフト量h2だけ下降したところで、第2スプリング16の荷重がニードル21に負荷されなくなり、第1制御室60および第2制御室65の燃料圧力と第1スプリング15の初期設定荷重Fs1だけが弁部材20を噴孔閉塞方向に付勢する。ニードル21に加わる閉弁力が減少するので、ニードル21は速度を落として弁座12aに着座する。したがって、着座時における衝撃力と騒音が低減される。このように、電磁弁30に供給する電流値で制御される二つの第1制御弁40、第2制御弁43により第1制御室60および第2制御室65の燃料圧力を制御し、2組の絞り61、62、ならびに絞り66、67の流路面積の設定で第1制御室60および第2制御室65の燃料圧力を制御している。そして、噴孔開放方向および噴孔閉塞方向に燃料圧力から受ける力、ならびに第1スプリング15および第2スプリング16の付勢力の大小関係によりニードル21を段階的にリフトさせている。開弁時は、第1リフト量h1だけ、または(h1+h2)まで、さらには、第1リフト量h1での期間を長くし、h2へつなぐという階段的なリフト特性も可能である。さらに、閉弁時のh1期間をなくすか短く設定することができる。これにより、燃焼初期の燃料噴射量を減少させて窒素酸化物、燃焼騒音を低下させる。さらに、噴射終わりの燃料噴射率の終了を短時間で行うことで黒煙の発生を押さえることができる。
【0040】
上記のようにニードル21のリフトを段階的に制御するときの弁部2の作動を説明する。
ニードル21のリフト量がh1のとき、図7の(B)に示すようにニードル21の円錐面211とシート面220はごくわずかなすきまを形成する。このとき図8に示すように、斜め溝215を流れる燃料の速度Vnと、円錐面211とシート面220との間を流れる燃料速度Wbとが発生する。図9の(A)に示すように、速度Vnは円周方向速度成分Unと軸方向速度成分Wnに分解される。VnとWbの速度の大きさの比は、ほぼそれぞれの流路面積比で決まり、ニードル21のリフトに対し図9の(B)に示すような変化を生ずる。つまり、斜め溝215の速度Vnは斜め溝215が一定の流路面積をニードル21のリフトにかかわらず有しているため、リフトにより開口する当接部21aと弁座12aとの間の開口面積にしたがい燃料流量が増加するとVnは増加する。第1リフト量h1付近で当接部21aと弁座12aとが形成する開口面積と斜め溝215の流路面積とが等しくなるように設定されていれば、第1リフト量h1においてVnは最高速に達する。Wnはほぼリフトに比例して増加するが、Vnの増加に比して実際のニードルリフト量の百分の数mmから十分の数mm程度では値は小さく緩やかな増加である。その結果、第1リフト量h1付近でVnとWbの比は最大になる。このとき、噴霧角は噴孔出口での円周方向速度成分と軸方向速度成分の比で決まるが、運動量保存則と自由渦の法則から、渦巻き室219に流入する円周方向速度成分Unと軸方向速度成分W=Wn+Wbとの比と同じになる。つまり噴霧はtan(α/2)=Un/(Wn+Wb)で求められる噴霧角αで燃料を噴射する。
【0041】
第1制御室60の燃料圧力がさらに低下するとニードル21は第1のスプリング15および第2のスプリング16の付勢力に抗して押し上げられ、最大リフト量(h1+h2)に達する。この状態では、当接部21aと弁座12aとの間の面積が増加し燃料速度Wbが増加するので、斜め溝215内の速度VnはWbに乱され少し減速する。この結果、噴霧角αは図9の(C)に示すように減少する。
【0042】
第1実施例では、渦巻き室219の径を押さえて形成しているため渦巻き室219の容積が減少し、旋回力を形成するのに時間遅れが少なくなる。さらに、当接部21aの直上に渦巻き室219が形成されているので、噴霧角の変化はリフト量に素早く追随する。渦巻き噴射による噴霧は、燃料を剪断することで微粒化するために、他のホールノズルに比べ低い噴射圧力でより微粒化できる。
【0043】
次に、第1実施例のインジェクタをエンジン運転状態に応じて制御する方法について説明する。
図10に示すように、基本的に低中速、低中負荷領域では、ニードル21のリフトは第1リフト量h1の低リフト状態を維持させ、低噴射率と低到達噴霧で燃料を燃焼室に供給する。高速域または高負荷では、h1+h2までニードル21をリフトさせて高噴射率、高到達噴霧とする。図10の(B)の噴射圧力、図10の(C)の噴射時期は噴射量を基にしたマップによって制御される。エンジン運転状態によって、温度(空気、冷却水、燃料)、吸気圧等による補正がマップに加えられる。定常運転をするエンジンでは、リフト量がh1までの第1段のリフトと、リフト量が(h1+h2)までの第2段のリフトの運転域は図10の(A)の実線で切り換えることで問題ない。しかし、過渡運転がある車等に搭載するエンジンでは、図10の(A)の破線領域をエンジン運転条件が通過するときは過渡状態と判定し、特別な制御を行うことでリフト量の切り替えによるエンジン出力の階段状変化を防止する。例えば、図6の(C)に示すように噴射期間中に階段状のリフトとなるように電磁弁30への通電電流を制御することで、エンジン出力の階段状変化を防止できる。第1段のリフトと第2段のリフトの長さの比は、図10の(A)の破線域でのエンジン運転状態によって変化させる。また、エンジンの一行程中に複数の噴射回数を設定できる。例えば、低負荷から高負荷へエンジン運転条件が変化するとき、第1リフト量h1だけの第1段の複数噴射から第2リフト量h2を加えた第2段の噴射を0回から徐々に増加させること、また複数回噴射の中で噴射期間を個別に制御することが可能である。図6の(A)と(B)の複数の組み合わせで、図6の(C)のリフトを組み合わせることが可能である。図10の(A)の破線領域を往復する運転条件時には、その噴射制御をヒステリシスを持たせることも勿論可能である。
【0044】
以上説明した第1実施例では、将来の燃焼概念に必要とされる噴霧角可変技術が、ニードルリフトを安定して2段階に制御するとともに、ニードルリフトにより弁部2において燃料流れの旋回形成力を変化させるように構成することで、安価にかつ低噴射圧力で実現できる。また、斜め溝215の出入り口の曲面の曲率半径をそれぞれ傾斜側、つまり入り口では流れ込む側、また、出口側では渦巻き流の下流側を大きく形成することにより、燃料流れの損失が少なく、剥離を起こさずキャビテーションの発生を防止することができる。すなわち、噴射系の不要な圧力上昇を少なくし、機械効率を向上させる。さらに、ノズルの信頼性が向上する。
【0045】
また、最大リフト量(h1+h2)から弁部材20が閉弁を開始するとき、第1スプリング15の荷重と第2スプリング16の荷重との合力により閉弁速度は大きいが、第1リフト量h1以下では第1スプリング15の小さい初期設定荷重により着座直前のニードル閉分速度が低減するので、閉弁衝撃を和らげることができる。さらに、弁部材20が弁座12aから離座した状態では、弁部材20が噴孔開放方向に燃料圧力を受ける受圧面積が、噴孔閉塞方向に両制御室から燃料圧力を受ける受圧面積から燃料出口を開放されている制御室から燃料圧力を受ける受圧面積を引いた受圧面積よりも大きい。したがって、ニードル21が弁座12aに着座する速度が低減し、閉弁衝撃を和らげることができる。この点からも、信頼性を向上することができる。また、第1段のリフトだけの噴射を行う軽負荷時には燃料噴射率を低く押さえられるので、微小噴射量が安定して制御できる。さらに、渦巻き室219内の圧力均衡作用によりニードル21の当接部21aの偏心を調心し、ニードル21を弁ボディ12と同軸に保持し噴霧の変形を防止することができる。
【0046】
(第2実施例)
本発明の第2実施例を図11に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。旋回力形成部210とシート面220との間の距離で旋回速度方向を変える第1実施例と異なり、第2実施例では、ニードル83のリフト量によって弁ボディ80に形成した複数の第1噴孔81、第2噴孔82を開閉し、噴射率、噴霧を変化させる構成になっている。第1噴孔81および第2噴孔82は噴射可変手段を構成している。
【0047】
ニードル83は燃料通路84をその内部に形成しており、燃料通路84は弁ボディ80に形成した燃料通路51と燃料溜まり54を介して連通している。ニードル83の当接部83aは、図示しない第1スプリング15の付勢力により弁ボディ80に形成された弁座80aに押圧されている。第1噴孔81および第2噴孔82は弁ボディ80の外径部に複数開口し、それぞれ第1噴孔群と第2噴孔群を構成している。第1噴孔81および第2噴孔82はそれぞれの下側開口部を距離Lhをもつように開口している。この距離Lhはニードル83の第1リフト量h1より大きく、最大リフト量(h1+h2)より小さく構成されている。ニードル83が電磁弁の駆動によりリフトを開始すると、当接部83aは弁座80aを離れ、高圧燃料は第1噴孔81より燃料を噴射開始する。ニードル83はリフトを継続し第1リフト量h1で停止する。この状態では、第1噴孔81だけ開口している。さらにニードル83がリフトし、リフト量hがLhより大きくなると、第2噴孔82からも噴射を開始する。ニードル83のリフト量が(h1+h2)の最大リフトでは、第1噴孔81および第2噴孔82を完全に開口して最大の噴射率となる。(h1+h2)は(Lh+第2噴孔82の径)より大きく設定されている。
【0048】
第2実施例の構成と作動によれば、第1実施例の1つの広い角度をもつ円錐噴霧とは異なり、各噴孔の小さな噴霧角度をもつ複数の噴霧が形成され、噴霧群全体として1つの円錐角をもつ噴霧を形成する。第1噴孔群と第2噴孔群とで異なる円錐噴霧角をもつことが可能である。また、噴射率がニードル83のリフト量により2段階に変化し、さらに、第1噴孔81および第2噴孔82の噴孔径を変化させることで噴射率を調節できる。
【0049】
(第3実施例)
本発明の第3実施例によるインジェクタを図12に示す。インジェクタ4において第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。電磁弁30の構成は模式的に示されている。第1実施例と異なるのは、第1スプリング15を第2制御室65から外し制御ピストン24の下部に配置し、ロッド23を負荷するように構成したことにある。基本的な作動は第1実施例と同じである。この構成によれば、第2制御室65の容積が減少するので第2制御室65の燃料圧力Pc2の変化応答性が早くなり、ニードル21の開閉応答性が向上する。さらに、圧力を変化させるために出入りする燃料量が減少し燃料噴射ポンプの吐出量を低減できるので、燃料噴射ポンプの駆動トルクが低下しエンジン出力が向上する効果がある。
【0050】
(第4実施例)
本発明の第4実施例を図13に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。第1実施例と異なるのは、第2スプリング16の内周側に第1スプリング15を配置し、第1スプリング15の付勢力をプレッシャピン85を介してニードル21に加えている点である。また、ニードル21上部の突きだしをなくし平面化したことで、ニードル形状が単純化されている。また第4実施例では、第2スプリング16のスプリング座86にニードル21が当接するまでの第1リフト量h1だけが規定され、第2リフト量h2は規定されていない。
【0051】
この構成によればロッド23の全長が短縮でき弁部材20の質量が軽減される。また、噴孔開放方向および噴孔閉塞方向にニードル21に働く力の均衡に第2リフト量を任せることで、弁部材20製造時の調整行程が省略でき製造価格が低減する。
【0052】
第1参考例
本発明の第1参考例によるインジェクタを図14に示す。インジェクタ5において第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し説明を省略する。第1実施例の3位置3方向の電磁弁30から2位置2方向の電磁弁90に代えることにより、電磁弁の構成を簡単化している。これに伴い、図示しないが、図1に示す第1制御弁40と第2制御弁43とを一体化し、第1スプリング42、第2スプリング44のいずれかを廃止している。電磁弁90は第1制御室60の出口絞り62だけを開閉する。第2制御室65には燃料出口としての出口絞りが形成されていない。したがって、第2制御室65の圧力は制御されず、常に蓄圧管から供給される圧力となる。また第1実施例で用いたチップパッキン13を廃止し、第2スプリング16のスプリング座91を弁ボディ12の端面に当接させている。第4実施例と同じく第2リフト量h2は規定されていない。
この構成によれば、ニードル21の第2段のリフト開始圧力は制御されず、一定圧力でニードル21は自動的に第2段のリフトを開始する。インジェクタの構成および制御が簡単化され、低価格かつ小型のインジェクタを提供できる。
【0053】
第5実施例
本発明の第5実施例を図15に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。
ライナー100はプレート34とハウジング105との間に挟持されている。ライナー100は、フランジ部101および円筒部102を有している。フランジ部101に、第2制御室65と出口絞り67とを連通する連通路101a、ならびに入口絞り61が形成されている。
【0054】
制御ピストン110は、軸中央部に円柱部111を有し、円柱部111の外周に円柱部111と円筒状の溝を形成する円筒部112を有している。円筒部112は径方向外側に延びる拡径部112aを設けている。ライナー100の円筒部102は制御ピストン110の円柱部111に摺動自在に嵌合している。
第5実施例では、制御ピストン110の拡径部112aを大きくすることにより第2制御室65の燃料圧力を受ける受圧面積を大きくすることができるので、第2段のリフトに要する燃料圧力を最大噴射圧まで増加できる。
【0055】
(変形例)
第5実施例において、ライナー100の形状を変形した例を図16に示す。円筒状に形成されたライナー120は第1スプリング15によってプレート34に押圧され、第1制御室60と第2制御室65とを高圧油密している。
【0056】
第6実施例
本発明の第6実施例を図17に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。第1実施例と異なるのは、第2スプリング44をスペーサ121の第2制御弁123側に配置したことである。この構成によれば、第1制御弁122の全長を短縮でき電磁弁30を小型化できる。
【0057】
第7実施例
本発明の第7実施例を図18に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。第1実施例と異なるのは、第1制御弁130のコア131をプランジャ形状から平板形状にし、第1スプリング42をアーマチャ32の上部に構成したことである。コア131は第1制御弁130に形成した突部130aに嵌合している。コア131を平板状にしたので第1制御弁130に働く励起吸引力が増加する。また、第1スプリング42の調整が容易にできるので、第2制御弁132のリフト開始時期を精度良く設定できる。
【0058】
第8実施例
本発明の第8実施例を図19に示す。第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。第1実施例と異なるのは、まず外周側に位置する第1制御弁140がリフトし、次に内周側の第2制御弁145がリフトすることである。第2制御弁145および第2スプリング44は第1制御弁140内に収容されている。この構成では、第1リフト量H1は、第1制御弁140の内周側にある段部141が第2制御弁145の係止部146に当接し規定される。最大リフト量(H1+H2)は、第1制御弁140のコア142がアーマチャ150の端面150aに当接して規定される。第1制御弁140、第2制御弁145の位置関係を適用するため、第1制御室60と第2制御室65との位置も逆転している。
【0059】
第9実施例
本発明の第9実施例を図20に示す。第8実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し、説明を省略する。第8実施例と異なるのは、第1制御弁140、第2制御弁145を付勢する第1スプリング42、第2スプリング44をいずれもコア142側に構成したことである。
第8実施例第9実施例の構成によれば、コア142を含む制御弁構造が簡易化され、さらに低価格で製造可能となる。第1制御室60および第2制御室65の構成自由度が増加しエンジンに容易に搭載できるインジェクタを製造できる。
【0060】
第10実施例
本発明の第10実施例によるインジェクタを図21に示す。インジェクタ6において第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し説明を省略する。電磁弁30の構成は模式的に示されている。図21に示す電磁弁30の弁部30aは、第1実施例においてコイル35に駆動電流が供給されていない状態を示し、弁部30bは第1制御弁だけがリフトしている状態を示し、弁部30cは第1制御弁および第2制御弁がリフトしている状態を示している。
【0061】
制御ピストン27は制御ピストン24の反ニードル側に位置している。ニードル21が弁座12aに着座した状態で制御ピストン27は制御ピストン24と非接触である。制御ピストン24と制御ピストン27との間に第1制御室60が形成されており、制御ピストン27の第1制御室60と反対側に第2制御室65が形成されている。後述するように、ニードル21がh1以上リフトしようとすると第2制御室65の燃料圧力は制御ピストン24およびニードル21に噴孔閉塞方向に加わるので、第2制御室65は請求項1記載の付勢手段および圧力室を構成している。第1制御室60の圧力を制御することにより噴孔12bの開閉が切り替わり、第2制御室65の圧力を制御することによりニードル21のリフト量がh1または(h1+h2)のいずれかに選択される。
【0062】
次に、インジェクタ6の作動について説明する。
ニードル21が弁座12aに着座した図21に示す状態から、図22の(A)に示すようにエンジン運転状態に応じた駆動電流が図示しないECUにより電磁弁30のコイル35に供給され電磁弁30の弁部30bが選択されると、出口絞り62が開放され、第1制御室60の燃料圧力Pc1は低下し始める。第1制御室60の圧力が低下し、第1スプリング15の設定荷重と第1制御室60の燃料圧力から受ける力との合力である噴孔閉塞方向の力がニードル21を押し上げる力より小さくなるとニードル21および制御ピストン24はリフトを開始し、噴孔12bから燃料が噴射される。ニードル21および制御ピストン24が第1リフト量h1リフトすると制御ピストン24は制御ピストン27に衝突する。第2制御室65の燃料圧力は噴孔閉塞方向にニードル21を移動する方向に働くので、第2制御室65の燃料出口が閉塞され第2制御室65の燃料圧力が高い状態では、制御ピストン24が制御ピストン27に当接した状態でニードル21は停止する。
【0063】
図21に示す状態から図22の(B)に示すようにエンジン運転状態に応じた駆動電流がコイル35に供給され弁部30cが選択されると、出口絞り62および出口絞り67が開放され、第1制御室60および第2制御室65の燃料圧力Pc1、Pc2は低下し始める。ニードル21および制御ピストン24がリフトし制御ピストン24が制御ピストン27に衝突するときには第2制御室65の燃料圧力は低下しているので、ニードル21および制御ピストン24は第1リフト量h1よりもリフトする。そして、ニードル21が(h1+h2)リフトするとチップパッキン13の下端面13aに係止されこれ以上リフトしない。
【0064】
噴射期間中にコイル35に供給する電流値を増加することにより、図22の(C)に示すように、リフト量をh1から(h1+h2)に増加することもできる。逆に、噴射期間中にコイル35に供給する電流値を低下することにより、リフト量を(h1+h2)からh1に減少することもできる。
【0065】
所定の噴射時間が経過し図22の(C)に示す状態からコイル35への駆動電流の供給を遮断すると、出口絞り62、67が閉塞され第1制御室60および第2制御室65の燃料圧力が上昇する。そして、制御ピストン24、27を噴孔閉塞方向に押し下げるので、ニードル21が弁座12aに着座し、燃料噴射が終了する。
【0066】
次に、ニードル21に働く力を説明する。
(1) ニードル21のリフト量hが第1リフト量h1より小さいとき(h<h1)
▲1▼ニードル閉弁時(h=0)
閉弁力Fclは、第1制御室60の燃料圧力Pc1から噴孔閉塞方向に弁部材20に働く力Fct1と、第1スプリング15の初期設定荷重Fs1との合計である。Fcl=Fct1+Fs1=Pc1×Ap1+Fs1である。ここで、Pc1は第1制御室60の圧力、Ap1は第1制御室60から噴孔閉塞方向に燃料圧力を受ける制御ピストン24の受圧面積である。
【0067】
開弁力Foは、燃料圧力から噴孔開放方向にニードル21に加わる力Fdであり、Fo=Fd=Pd(Ag−As)である。Pdは燃料通路55の燃料圧力、Agは弁ボディ12の収容孔の断面積、Asはニードル21が弁座12aに着座しているときのシート面積である。ニードルに加わる力Fを次式(10) に示す。
F=Fo−Fcl=Pd(Ag−As)−Pc1×Ap1−Fs1・・・(10)
【0068】
▲2▼ニードル開弁時(0<h<h1)
第1制御室60の燃料圧力が低下しニードル21が弁座12aから離座すると、第1スプリング15の収縮分hが加わり、ばね力FsはFs=Fs1+k1×hとなる。したがって閉弁力FclはFcl=Fct1+Fs=Fct1+Fs1+k1×h、開弁力はFo=Fd=Pd×Agである。ニードルに加わる力Fを次式(11) に示す。
Figure 0004120113
【0069】
(2) ニードル21のリフト量hが第1リフト量h1以上のとき(h1≦h)
制御ピストン24と制御ピストン27とが当接するので、第2制御室65の燃料圧力Pc2から噴孔閉塞方向に制御ピストン27に加わる力Fct2がニードル21にも加わり、Fct=Fct1+Fct2となる。したがって、
Figure 0004120113
となる。
ここで、Ap2は第2制御室65から噴孔閉塞方向に燃料圧力を受ける制御ピストン27の受圧面積である。開弁力FoはFo=Fd=Pd×Agである。ニードルに加わる力Fを次式(12) に示す。
Figure 0004120113
ニードルリフト量がh1のときPc2はPdとほぼ同等の圧力であり、ニードルリフト量が(h1+h2)のときPc2はPdよりも低圧になっている。
【0070】
第10実施例では、制御ピストン24と制御ピストン27との間に第1制御室60を形成し、ニードル21がh1リフトするまで制御ピストン24と制御ピストン27とが非接触である。噴射圧力の高低に関わらずコイル35に供給する駆動電流値を制御することにより、ニードルリフト量を自由に変更できる。したがって、任意の噴射率を実現することができる。
【0071】
第2参考例
本発明の第2参考例によるインジェクタを図23および図24に示す。インジェクタ7において第1実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し説明を省略する。第2参考例では、制御弁の駆動力として圧電素子を用いている。
弁ボディ12とハウジング167とは、弁ホルダ160、弁ホルダ162および弁座部材165を挟んでリテーニングナット14で締結されている。第10実施例と同様に、制御ピストン27は制御ピストン24の反ニードル側に位置し、ニードル21が噴孔を閉塞した状態で制御ピストン27は弁ホルダ160の肩部161に係止されており制御ピストン24と非接触である。制御ピストン24と制御ピストン27との間に第1制御室60が形成されており、制御ピストン27の第1制御室60と反対側に第2制御室65が形成されている。
【0072】
制御弁170は弁ホルダ162内に往復移動自在に収容されている。スプリング173は制御弁170を弁座部材165の弁座166に向けて付勢している。圧電素子180はコネクタ181に埋設されているピン182と電気的に接続している。圧電素子180に電圧が印加されると、圧電素子180が図23の下方に延びる。印加電圧値が高くなると圧電素子180の延び量が大きくなる。
【0073】
油圧ピストン183の一端は圧電素子180と当接しており、他端は皿ばね184と当接している。皿ばね184はばね座185と当接しており、油圧ピストン183を圧電素子180に向けて付勢している。油圧ピストン186はスプリング188により油圧ピストン183に向けて付勢されている。油圧ピストン186のロッド187は制御弁170と当接している。
【0074】
図24に示すように、制御弁170の周囲に形成されている燃料空間190には、制御弁170の位置に関わらず燃料通路51から絞り195を介しコモンレールから高圧燃料が供給されている。制御弁170の当接部171が弁座166に着座し当接部172が弁座163から離座している状態では、燃料空間190は、連通路191を介し第1制御室60と連通し、かつ第2制御室65と連通している。ロッド187周囲の燃料空間192は低圧の燃料通路193と連通している。
【0075】
次に、インジェクタ7の作動について説明する。
(1) 圧電素子180に電圧を印加していない状態では、油圧ピストン183、186は図23に示す位置にある。制御弁170はスプリング173の付勢力により弁座部材165の弁座166に着座している。燃料空間190は低圧側の燃料空間192との連通を遮断されているので、燃料通路51から供給される高圧燃料により高圧である。第1制御室60および第2制御室65は燃料空間190と連通しており高圧である。制御ピストン27が第2制御室65から燃料圧力を受ける受圧面積は、第1制御室60から燃料圧力を受ける受圧面積よりも大きいので、制御ピストン27は図23の下方に付勢され弁ホルダ160の肩部161に係止されている。
【0076】
制御ピストン24およびニードル21は第1制御室60の燃料圧力から受ける力により、弁ボディ12の弁座に着座し噴孔を閉塞している。
(2) 圧電素子180に電圧を印加して圧電素子180が延びると、圧電素子180とともに油圧ピストン183が図23の下方に移動する。圧電素子180の延び量および油圧ピストン183の移動量をL、油圧ピストン183の断面積をAhl、油圧ピストン186の断面積をAhsとすると、油圧ピストン186は圧電素子180により、図23の下方に(L×Ahl/Ahs)移動するように駆動される。油圧ピストン186のロッド187は制御弁170に当接しているので、圧電素子180が図23の下方にL延びると、制御弁170も図23の下方に(L×Ahl/Ahs)移動するように駆動される。
【0077】
▲1▼圧電素子180に電圧を印加することにより圧電素子180が延び、制御弁170の当接部171が弁座166から離座し当接部172が弁ホルダ162の弁座163に当接すると、第1制御室60は連通路191、燃料空間190、当接部171と弁座166との開口部、燃料空間192を介し低圧の燃料通路193と連通する。当接部171と弁座166との間に形成される開口面積は、燃料空間190に高圧燃料を供給する絞り195の通路面積よりも大きいので、第1制御室60の圧力は低下する。第1制御室60の燃料圧力が低下することにより制御ピストン24とともにニードル21がリフトし、燃料が噴射される。
【0078】
当接部172が弁座163に着座することにより第2制御室65は閉塞されるので、第2制御室65の燃料圧力は保持される。したがって、制御ピストン24がh1リフトし制御ピストン27に衝突すると、第2制御室65の燃料圧力により制御ピストン24は制御ピストン27に係止される(図25の(A)参照)。
【0079】
▲2▼圧電素子180に印加する電圧を上記▲1▼よりも低下させ制御弁170の移動量(L×Ahl/Ahs)を小さくすると、制御弁170が弁座163、166から離座する位置に制御弁170が移動する。すると、第1制御室60および第2制御室65は、燃料空間190、当接部171と弁座166との開口部、燃料空間192を介し低圧の燃料通路193と連通するので、両制御室の燃料圧力が低下する。第1制御室60の圧力低下により制御ピストン24がリフトし制御ピストン27に衝突すると、第2制御室65の燃料圧力も低下しているので、図25の(B)に示すように、制御ピストン27が弁ホルダ162のニードル側端面に係止されるまでニードル21は制御ピストン24、27とともに(h1+h2)リフトする。
▲3▼燃料噴射中に圧電素子180に印加する電圧値を変更することにより、図25の(C)に示すよう燃料噴射中に噴射率を変更することができる。
【0080】
(3) 所定時間が経過し圧電素子180への通電を遮断すると、圧電素子180は図23に示す状態まで収縮する。すると、油圧ピストン186がスプリング188の付勢力により図23の上方に移動し、制御弁170がスプリング173の付勢力により弁座166に着座する。第1制御室60および第2制御室65と低圧側との連通が遮断され、両制御室の燃料圧力が上昇する。そして、制御ピストン24およびニードル21が第1制御室60の燃料圧力により噴孔閉塞方向に付勢され、燃料噴射が終了する。
第2参考例では、圧電素子180の伸縮により制御弁170を駆動しているので、コイルに通電して発生する磁力により制御弁を駆動する場合に比べ、インジェクタ7の開閉応答性が向上する。
【0081】
第11実施例
本発明の第11実施例を図26に示す。第10実施例と実質的に同一構成部分に同一符号を付し説明を省略する。
第2制御室65と電磁弁30とを接続する燃料通路202とコモンレールの高圧燃料を第2制御室65に導入する燃料流入通路50とを連通するバイパス通路200が形成され、バイパス通路200に絞り201が形成されている。絞り201の通路面積は出口絞り67の通路面積よりも小さい。燃料通路205は、第1制御室60と電磁弁30とを接続している。
【0082】
電磁弁30の弁部30cが選択されて制御ピストン27がリフトし、制御ピストン24およびニードルが(h1+h2)リフトした状態で電磁弁30のコイル35への通電をオフし電磁弁30の弁部30aが選択されると、入口絞り66に加え、絞り201を通ってコモンレールから高圧燃料が第2制御室65に供給される。第10実施例に比べ第2制御室65の燃料圧力の上昇率が高く、図28の(A)に示すようにリフト量(h1+h2)からリフト量h1まで移動するニードルの閉弁速度が上昇するので、噴孔から噴射する燃料を素早く遮断できる。したがって、排ガス中の未燃成分を低減できる。ニードルの閉弁速度は絞り201の通路面積を調整することにより制御できる。
【0083】
(変形例)
燃料流入通路50と燃料通路202とをバイパス通路200で連通する代わりに、図27に示すように、コモンレールの高圧燃料を第1制御室60に導入する燃料通路51と燃料通路205とを連通するバイパス通路206が形成され、バイパス通路206に絞り207が形成されている。絞り207の通路面積は出口絞り62の通路面積よりも小さい。
【0084】
例えば制御ピストン24およびニードルがh1リフトした状態から電磁弁30のコイル35への通電をオフし電磁弁30の弁部30aが選択されると、入口絞り61に加え、絞り207を通ってコモンレールから高圧燃料が第1制御室60に供給される。第10実施例に比べ第1制御室60の燃料圧力の上昇率が高く、図28の(B)に示すようにリフト量h1から噴孔を閉塞するまでのニードルの閉弁速度が上昇するので、噴孔から噴射する燃料を素早く遮断できる。したがって、排ガス中の未燃成分を低減できる。絞り207の通路面積を調整することによりニードルの閉弁速度を制御できる。また、バイパス通路200、206をともに形成し、各バイパス通路に絞り201、207を形成してもよい。この場合、図28の(C)に示すように、リフト量(h1+h2)から噴孔を閉塞するまでの閉弁速度が全体として上昇する。
【0085】
以上説明した第10、11実施例および第2参考例では、制御ピストン24と制御ピストン27との間に第1制御室60を形成し、リフト量0からh1までは制御ピストン24と制御ピストン27とを非接触にしている。第1制御室60の燃料圧力を制御することにより噴孔を開閉し、第2制御室65の圧力を制御することによりニードル21のリフト量を段階的に変更できる。
【0086】
以上説明した本発明の実施の形態を示す上記複数の実施例では、ニードルリフトを明確に段階的に制御でき、これにより噴霧と噴射率をニードルリフト量に応じて変化させることと、低圧で微粒化できることで、初期の噴射燃料の着火遅れを低減し、後続の噴霧は初期噴霧が利用していない空気の領域へ噴射され、完全燃焼を実現できる。また、低圧化による噴射系の駆動トルクが低減され信頼性も増す。さらに、ニードル閉弁時の負荷衝撃力を軽減しかつ駆動音が低減され、ノズルの信頼性も向上する。軽負荷時の噴射量、あるいは分割噴射に本発明のインジェクタを利用することで、前記噴射量が微小量でも安定して制御できる。また、主噴射を前記噴射と異なる噴射率と噴霧角で噴射し、前記噴射燃焼が利用していない燃焼室内の空気を利用するようにでき、黒煙の発生防止、出力、燃費の向上が可能となる。また、同一噴射期間内にニードルリフトを変化させ、噴射率、噴霧を制御することでも、上記の効果が得られる。
【0087】
上記複数の実施例では2段階のリフトを実現しているが、例えば噴孔閉塞方向に弁部材を付勢するスプリングの数を3個以上にし、噴孔閉塞方向に弁部材に燃料圧力を加える制御室の数を3個以上にすることより、3段以上のリフトを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図2】 第1実施例の段階リフトを実現する構成を示す断面図である。
【図3】 第1実施例の電磁弁を示す断面図である。
【図4】 第1実施例による第1リフトを示す断面図である。
【図5】 第1実施例による第2リフトを示す断面図である。
【図6】 第1実施例の段階リフトを実現するタイムチャートである。
【図7】 (A)は第1実施例のノズル部を示す断面図であり、(B)は第1リフト時を示す(A)のVII−VII線断面図であり、(C)は第2リフト時を示す(A)のVII−VII線断面図である。
【図8】 第1実施例による第2リフトにおけるノズル部を示す断面図である。
【図9】 第1実施例によるリフト量と燃料流速および噴霧角を示す特性図である。
【図10】 第1実施例によるエンジン回転数とエンジン負荷、噴射圧力、噴射時期との関係を示す特性図である。
【図11】 本発明の第2実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図12】 本発明の第3実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図13】 本発明の第4実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図14】 本発明の第1参考例によるインジェクタを示す断面図である。
【図15】 本発明の第5実施例によるインジェクタの電磁弁を示す断面図である。
【図16】 第5実施例の変形例によるインジェクタの電磁弁を示す断面図である。
【図17】 本発明の第6実施例によるインジェクタの電磁弁を示す断面図である。
【図18】 (A)は本発明の第7実施例によるインジェクタの電磁弁を示す断面図であり、(B)は(A)のB−B線断面図である。
【図19】 本発明の第8実施例によるインジェクタの電磁弁を示す断面図である。
【図20】 本発明の第9実施例によるインジェクタの電磁弁を示す断面図である。
【図21】 本発明の第10実施例によるインジェクタを示す断面図である。
【図22】 第10実施例の段階リフトを実現するタイムチャートである。
【図23】 本発明の第2参考例によるインジェクタを示す断面図である。
【図24】 第2参考例によるインジェクタの制御ピストン、制御弁および油圧ピストンを示す断面図である。
【図25】 第2参考例の段階リフトを実現するタイムチャートである。
【図26】 本発明の第11実施例によるインジェクタの制御ピストン周囲を示す模式的断面図である。
【図27】 第11実施例の変形例によるインジェクタの制御ピストン周囲を示す模式的断面図である。
【図28】 ニードルの閉弁速度を示すタイミチャートであり、(A)は第11実施例、(B)は変形例、(C)は第11実施例と変形例とを組み合わせた例である。
【図29】 従来のインジェクタを示す断面図である。
【符号の説明】
1 燃料噴射装置
2 弁部
12 弁ボディ
12a 弁座
12b 噴孔
15 第1スプリング(第1の付勢手段)
16 第2スプリング(第2の付勢手段)
21 ニードル(弁部材)
23 ロッド(伝達部材、弁部材)
24、25 制御ピストン(伝達部材、弁部材)
30 電磁弁
40 第1制御弁(可動部材)
42 第1スプリング
43 第2制御弁(可動部材)
44 第2スプリング
60 第1制御室
65 第2制御室
81 第1噴孔(噴射可変手段)
82 第2噴孔(噴射可変手段)
83 ニードル(弁部材)
90 電磁弁
110 制御ピストン(伝達部材)
122、130、140 第1制御弁(可動部材)
123、132、145 第2制御弁(可動部材)
210 旋回力形成部(噴射可変手段)

Claims (15)

  1. 噴孔を開閉する弁部材と、
    前記噴孔の燃料上流側に弁座を有する弁ボディであって、前記弁部材が前記弁座に着座することにより前記噴孔を閉塞し、前記弁部材が前記弁座から離座することにより前記噴孔を開放する弁ボディと、
    前記弁部材のリフト量に応じ噴孔閉塞方向に前記弁部材を付勢する付勢力が段階的に変化する複数の付勢手段と、
    噴孔閉塞方向に前記弁部材に燃料圧力を加える複数の圧力室の少なくとも一室の圧力を制御する制御手段と、
    前記弁部材のリフト量に応じ燃料噴射率および燃料噴霧状態を変化させる噴射可変手段とを備え、
    燃料圧力により噴孔開放方向に受ける力と、前記複数の圧力室の燃料圧力および前記複数の付勢手段により噴孔閉塞方向に受ける力との大小関係により前記弁部材は段階的にリフトし、
    前記制御手段は、噴孔閉塞方向に前記弁部材に燃料圧力を加える前記複数の圧力室の少なくとも一室の圧力をエンジン運転条件により制御する制御弁を有し、
    前記制御弁は複数の可動部材を有し、各可動部材は前記複数の圧力室の各燃料出口を開閉し、
    前記制御弁は前記複数の可動部材を同軸上に配設し、前記複数の可動部材を燃料出口閉塞方向に付勢するばねを有し、前記可動部材は異なるタイミングで前記複数の圧力室の各燃料出口を開閉し、
    前記弁部材は第1の圧力室および第2の圧力室から噴孔閉塞方向に圧力を受け、前記制御弁は、前記第1の圧力室を開閉する第1の可動部材と、前記第1の可動部材を往復移動自在に内周壁または外周壁で支持し前記第2の圧力室を開閉する第2の可動部材と、前記第1の圧力室を閉塞する方向に前記第1の可動部材を付勢する第1のばねと、前記第2の圧力室を閉塞する方向に前記第2の可動部材を付勢する第2のばねとを有し、前記第1の可動部材が所定量リフトすると前記第1の可動部材は前記第2の可動部材と当接し、当接した状態で前記第1の可動部材および前記第2の可動部材がさらにリフトすることにより前記第2制御室の燃料出口が開放されることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 前記複数の付勢手段は、前記弁部材のリフト量に関わらず噴孔閉塞方向に前記弁部材を付勢する第1の付勢手段と、前記弁部材が第1リフト量以上リフトすると噴孔閉塞方向に前記弁部材を付勢する第2の付勢手段とを有することを特徴とする請求項1記載の燃料噴射装置。
  3. 前記複数の付勢手段はばねであることを特徴とする請求項1または2記載の燃料噴射装置。
  4. 前記弁部材は、前記弁座に着座可能なニードルと、前記ニードルの反噴孔側に設けられ前記複数の付勢手段の付勢力を前記ニードルに伝達する複数の伝達部材とを有し、前記複数の伝達部材の少なくとも一つは前記複数の圧力室の少なくともいずれか一室から噴孔閉塞方向に圧力を受け前記ニードルに伝達することを特徴とする請求項1、2または3記載の燃料噴射装置。
  5. 前記複数の圧力室の二室以上から噴孔閉塞方向に燃料圧力を受ける前記伝達部材は、断面積の異なる一つの部材で異なる受圧面積を有するか、あるいは異なる受圧面積をもつ複数の部材で構成されていることを特徴とする請求項4記載の燃料噴射装置。
  6. 前記複数の圧力室ごとに前記伝達部材は受圧面を有することを特徴とする請求項4記載の燃料噴射装置。
  7. 前記複数の圧力室を前記伝達部材と同軸上に形成していることを特徴とする請求項6記載の燃料噴射装置。
  8. 前記複数の圧力室のいずれかまたは複数に前記複数の付勢手段をそれぞれ配設していることを特徴とする請求項6または7記載の燃料噴射装置。
  9. 前記弁部材が前記弁座に着座しているとき、噴孔閉塞方向に向け前記複数の圧力室から燃料圧力を受ける前記弁部材の受圧面積は噴孔開放方向に燃料圧力を受ける前記弁部材の受圧面積より大きく、前記弁部材が前記弁座から離座すると、噴孔閉塞方向に向け前記複数の圧力室の圧力を受ける前記弁部材の受圧面積から燃料圧力の低下した圧力室に面する前記弁部材の受圧面の受圧面積を引いた受圧面積は噴孔開放方向に燃料圧力を受ける前記弁部材の受圧面積より小さくなることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
  10. 前記複数の可動部材は、電気的に駆動されることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
  11. 前記複数の圧力室はそれぞれ低圧側と連通可能な燃料通路を有し、各可動部材が各燃料通路を開閉することを特徴とする請求項1から10のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
  12. 前記制御手段は、エンジン運転条件が低速から中速あるいは低負荷から中負荷域では前記弁部材のリフトを前記第1リフト量、または小さなリフト量とし、高速または高負荷時には前記弁部材のリフトを前記第1リフト量と第2リフト量との和以上にすることを特徴とする請求項1から11のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
  13. 前記制御手段は、エンジン運転状態が低速から高速または低負荷から高負荷に切り替わるとき、あるいはエンジン運転状態が高速から低速または高負荷から低負荷に切り替わるとき、燃料噴射期間中に前記弁部材のリフト量を段階的に切り替えることを特徴とする請求項12記載の料噴射装置。
  14. エンジンの運転状態が切り替わるとき、前記制御手段は、エンジンの一行程毎に最適な噴射回数に制御し、燃料噴射毎に前記弁部材を最適なリフト状態にし、最適な噴射期間で燃料を噴射制御することを特徴とする請求項12または13記載の燃料噴射装置。
  15. 前記制御手段は、エンジン運転全域において最適な噴射回数で、かつ最適な前記弁部材のリフト状態で燃料を噴射制御することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項記載の燃料噴射装置。
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