JP4178731B2 - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関(以下、エンジンという)の燃料噴射装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ディーゼルエンジン等においては、厳しくなる排気ガス規制に対処する必要が生じており、排気ガス中に含まれる有害成分の低減を図るとともに、さらなる燃費の向上が望まれている。そこで、燃料噴射装置による燃料噴射を、時間的、空間的および質的に最適化することが望まれている。時間的には高精度な噴射率制御、空間的には広範囲の噴霧分布、質的には噴射燃料の微粒化がそれぞれ要求される。
【0003】
このような燃料噴射の最適化を目的とした燃料噴射装置として、特開昭61−135979号公報、特開昭60−36772号公報、特開平9−32687号公報に開示される技術が知られている。
【0004】
特開昭61−135979号公報に開示されている燃料噴射装置を図6を参照して説明する。この燃料噴射装置100は、第1噴孔101および第2噴孔102をそれぞれ開閉するための第1ノズル弁103および第2ノズル弁104を有する。
第1ノズル弁103および第2ノズル弁104は、第1スプリング105および第2スプリング106によって閉弁方向へ付勢されており、燃料供給圧から受ける力の釣合いにより、第1ノズル弁103および第2ノズル弁104が往復移動する。
【0005】
特開昭60−36772号公報に開示されている燃料噴射装置を図7を参照して説明する。この燃料噴射装置110も、第1噴孔111および第2噴孔112をそれぞれ開閉する第1ノズル弁113および第2ノズル弁114を有する。
第1ノズル弁113は、第1スプリング115によって閉弁方向へ付勢されており、燃料供給圧から受ける力の釣合いにより、第1ノズル弁113が往復移動する。第2ノズル弁114は、第2スプリング116によって閉弁方向へ付勢されており、電磁コイル117が通電されるとその磁力によりリフトして第2噴孔112を開弁するものである。
【0006】
特開平9−32687号公報に開示されている燃料噴射装置を図8を参照して説明する。この燃料噴射装置120も、第1噴孔121および第2噴孔122をそれぞれ開閉する第1ノズル弁123および第2ノズル弁124を有するものであり、この第1ノズル弁123および第2ノズル弁124は、第1スプリング125および第2スプリング126によって閉弁方向へ付勢されている。
第1ノズル弁123は、その反噴孔側に圧力制御室127が配置され、その圧力制御室127の燃料圧力によっても閉弁方向の力を受ける。圧力制御室127の燃料圧力は、三方弁128を制御することにより増減する。第1ノズル弁123は、コモンレールから供給される燃料圧力から受ける力と、第1スプリング125の付勢力と、圧力制御室127から受ける力とのバランスにより往復移動する。
第2ノズル弁124は、第1ノズル弁123の内部に貫通配置されるものであり、第1ノズル弁123のリフト途中において、第1ノズル弁123の段差部123aが第2ノズル弁124の段差部124aに係止して、第1ノズル弁123とともにリフトするものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
特開昭61−135979号公報に開示されている燃料噴射装置100では、第1ノズル弁103および第2ノズル弁104の開弁タイミングは、燃料噴射ポンプから供給される燃料供給圧から受ける力と、第1スプリング105および第2スプリング106の付勢力とのバランスにより決定されるので、燃料噴射時期を高精度に制御するのは困難であった。
また、第1ノズル弁103の開弁圧は、第2ノズル弁104の開弁圧よりも低く設定されているので、低い燃料供給圧で第1ノズル弁103が開くことになる。このため、初期噴射圧が低くなるので初期噴射時において燃料が良好に微粒化しない。
さらに、燃料供給圧の上昇とともに第1ノズル弁103および第2ノズル弁104がリフトするので、初期噴射率の上昇が穏やかである。このため、燃料噴射時間が長くなり、排気ガス中に煤等のパティキュレートが発生し易くなるという問題がある。
なお、第1ノズル弁103の開弁圧を上昇させることにより初期噴射圧を高くできるが、噴射期間が短縮されてしまうため、所望の噴射量が得られない、低回転域において燃料が噴射しない領域ができてしまう等の問題がある。
【0008】
特開昭60−36772号公報に開示されている燃料噴射装置110は、エンジン負荷またはエンジン回転数等のエンジン運転状態に応じて第2ノズル弁114を往復移動させるものである。つまり、1回の燃料噴射期間中に電磁コイル117を通電制御するものではなく、第1ノズル弁113と第2ノズル弁114のリフト位置をずらせて燃料の初期噴射率を低減することを目的としていない。
1回の燃料噴射期間中に電磁コイル117で第2ノズル弁114をリフトさせることは、特開昭60−36772号公報に開示されている構成では、応答性等の面から噴射精度に問題が生じてしまうが、その解決技術についてはなんら開示がなされていない。
【0009】
特開平9−32687号公報に開示されている燃料噴射装置120は、コモンレールで蓄圧された高圧燃料が常時供給されるものであり、三方弁128によって圧力制御される圧力制御室127の内圧変化によって第1ノズル弁123が開閉操作されるものであるため、燃料噴射時期の高精度制御が可能となり、さらに燃料の初期噴射圧が高くなるものである。
また、第1ノズル弁123の作動に遅れて、第1ノズル弁123によって第2ノズル弁124を開弁させる構成を採用している。これにより、1回の燃料噴射期間中において、初期の燃料噴射率を低減しつつ初期噴射圧を上昇させることができ、いわゆるブーツ型噴射が可能になる。
【0010】
しかしながら、1回の燃料噴射期間中における初期の噴射率と後期の噴射率は、第1ノズル弁123の段差部123aと第2ノズル弁124の段差部124aのギャップh1 によって定まってしまう。つまり、例えば噴射圧、即ちコモンレール圧力を変えた時などの条件が変化するエンジン運転状態の全域において、全て最適な燃料噴射を得ることはできないという問題がある。
また、特開平9−32687号公報には、他の実施例としてギャップh1 によらず、第2ノズル弁124を操作するための第2圧力制御室(図示しない)を設けた例の開示がある。しかし、この例においても、第1圧力制御室127に遅れて第2圧力制御室の圧力が下がるように、通路途中に絞り(図示しない)を設けている。この絞りによって、第1ノズル弁123の作動から、定められた遅れをもって第2ノズル弁124が作動することになり、ギャップh1 の場合と同様、エンジン運転状態の全域において、最適な燃料噴射を得ることはできないという問題がある。
【0011】
なお、第1ノズル弁123を作動させるための第1圧力制御室127と、第2ノズル弁124を作動させるための第2圧力制御室とをそれぞれ独立して制御するために、2つの電磁コイルと、2つの三方弁とを設けることも考えられるが、部品点数が増し、燃料噴射装置120が大型化して実用的ではない。
【0012】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、エンジン運転状態の全域において、最適な燃料噴射を得ることができる燃料噴射装置の提供にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明を採用することにより、バルブボディに形成された第1噴孔と、第2噴孔とが、第1ノズル弁と第2ノズル弁とによって、独立的に開閉制御される。つまり、1回の燃料噴射期間中に、第1ノズル弁による第1噴孔の開弁時期と、第2噴孔の開弁時期とを独立して制御することができる。
これによって、エンジン運転状態の全域において、最適な燃料噴射を得ることが可能になり、エンジン運転状態の全域において、排気ガス中に含まれる有害物質の低減および燃費向上を可能にすることができる。
【0014】
求項の発明として、制御弁の切り替えによって、第1圧力制御室が高圧から低圧に切り替えられることにより、第1ノズル弁が第1噴孔から離座するとともに、第2圧力制御室が高圧から低圧に切り替えられることにより、第2ノズル弁が第2噴孔から離座するように設けても良い。
【0015】
請求項の発明として、制御弁による第1圧力制御室および第2圧力制御室の圧力切り替えタイミングは、車両の運転状態に応じてそれぞれが独立したタイミングで実施されるように設けても良い。
請求項の発明として、第2ノズル弁は、第1ノズル弁の内部において軸方向へ摺動自在に配置されるとともに、第1ノズルの内部に配置された第2スプリングによって閉弁方向へ付勢されるように設けても良い。
請求項の発明として、第2ノズル弁は、第1ノズル弁の摺動孔の内部に摺動する円柱状の摺動部と、バルブボディに当接して第2噴孔を閉塞するための円錐状のシート部とを備える棒状弁体であるように設けても良い。
【0016】
請求項の発明として、第2ノズル弁は、第1ノズル弁の摺動孔の内部に摺動する摺動部と、バルブボディに当接して第2噴孔を閉塞するためのシート部とを、球面によって形成する球状弁体であるように設けても良い。
請求項の発明として、第2ノズル弁の最大リフト時は、第2ノズル弁の反噴孔側の端部が第1ノズル弁に当接することで、最大リフト量が設定されるように設けても良い。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、複数の実施例と変形例を用いて説明する。
〔第1実施例〕
図1に示す燃料噴射装置1は、図示しないエンジンのエンジンヘッドに挿入搭載され、エンジンの各気筒に燃料を直接噴射するように構成されている。図示しない燃料噴射ポンプから燃料配管を通って図示しないコモンレールに供給された高圧燃料は、コモンレール内で一定の高圧に蓄圧され、燃料配管を通って各気筒毎に配置された燃料噴射装置1に供給される。燃料噴射装置1に供給された燃料のうち余剰燃料は燃料タンク2へリターンする。なお、図示しない燃料噴射ポンプは、エンジンの回転数、負荷、吸入燃料圧力、吸入空気量、冷却水の温度等に従って燃料吐出圧を調整するように設けられている。
【0018】
燃料噴射装置1のバルブボディ3の内部には、中空円筒状の第1ノズル弁4が往復移動可能な状態で収容されている。また、この第1ノズル弁4の内部には、第2ノズル弁5が往復移動可能な状態で収容されている。
第1ノズル弁4の反噴射方向には、第1ノズル弁4の噴射時期を制御する第1圧力制御室6が設けられており、第2ノズル弁5の反噴射方向にも、第2ノズル弁5の噴射時期を制御する第2圧力制御室7が設けられている。この第1、第2圧力制御室6、7の燃料圧力を制御することにより、燃料噴射装置1の噴射時期および噴射量を調整することができる。
【0019】
コモンレールから供給される高圧燃料は、燃料インレット8、高圧通路9を介して燃料溜まり10に供給される。また、燃料インレット8から高圧通路9に供給された高圧燃料は、第1入口絞り11、第1燃料通路12を介して第1圧力制御室6に供給されるとともに、第2入口絞り13、第2燃料通路14を介して第2圧力制御室7に供給される。
第1圧力制御室6は、第1燃料通路12と第1出口絞り15を介して制御弁16のバルブ燃料室17に連通しており、第2圧力制御室7は、第2燃料通路14と第2出口絞り18を介して制御弁16のバルブ燃料室17に連通している。ここで、第1出口絞り15の流路面積は、第1入口絞り11の流路面積よりも大きく設けられ、第2出口絞り18の流路面積は、第2入口絞り13の流路面積よりも大きく設けられている。
【0020】
なお、制御弁16は、第1出口絞り15の下流と低圧通路19との遮断あるいは連通を切り替えて、第1圧力制御室6を高圧あるいは低圧に制御するとともに、第2出口絞り18の下流と低圧通路19との遮断あるいは連通を切り替えて、第2圧力制御室7を高圧あるいは低圧に制御するものであり、この制御弁16の詳細は後述する。
【0021】
図2に示すように、第1ノズル弁4の先端の第1シート部20が、バルブボディ3の第1弁座21に着座することにより、第1噴孔22を閉塞するように設けられている。
また、第1ノズル弁4の先端は、図2に示すように、第1弁座21に当接する第1シート部20の外縁と、第1ノズル弁4の外径との間に、第1受圧面23が形成されており、この第1受圧面23が高圧燃料から受ける力により第1ノズル弁4はリフト方向に向かう力を受ける。
【0022】
第1ノズル弁4の反噴射側の端部は、ピン24を介して第1スプリング25から付勢力を受けるものであり、第1スプリング25は、第1ノズル弁4を閉弁方向に向けて付勢している。また、第1ノズル弁4の反噴射側の端部は、第1圧力制御室6に面しており、第1圧力制御室6の燃料圧力から受ける力によって第1ノズル弁4は閉弁方向に付勢される。
なお、第1ノズル弁4は、反噴射側の端部がディスタンスピース26の下面に係止することによりリフト量がh2 に規制される。つまり、第1弁座21に対する第1ノズル弁4の最大リフト量はh2 である。
【0023】
第2ノズル弁5は、燃料噴射側から順に、小径部27、大径部28、ニードルエンド29が形成されている。図2に示すように小径部27の先端に形成された円錐状の第2シート部30は、バルブボディ3の第2弁座31に着座することにより、第1噴孔22より燃料下流側に形成された第2噴孔32を閉塞するものである。
第2ノズル弁5の小径部27と大径部28との間には、第1ノズル弁4に形成された横孔33を介して高圧燃料が供給されており、小径部27と大径部28の断面積差分の第2受圧面34に受ける力により、第2ノズル弁5はリフト方向に力を受けている。
【0024】
第2ノズル弁5の反噴射側の端部は、第1ノズル弁4の内部に収容された第2スプリング35から付勢力を受けるものであり、第2スプリング35は、第2ノズル弁5を閉弁方向に向けて付勢している。また、第2ノズル弁5の反噴射側の端部は、第2圧力制御室7に面しており、第2圧力制御室7の燃料圧力から受ける力によって第2ノズル弁5が閉弁方向に付勢される。
なお、第2ノズル弁5は、反噴射側のニードルエンド29が第1ノズル弁4の収容孔の段差部に係止することにより、第1ノズル弁4に対するリフト量がh1 に規制される。つまり、第2弁座31に対する第2ノズル弁5の最大リフト量はh1 +h2 となる。
【0025】
第1ノズル弁4のリフトについて説明する。第1圧力制御室6に高圧燃料が供給されていると、第1スプリング25の閉弁力と第1圧力制御室6の閉弁力の和は、第1受圧面23の開弁力よりも大きくなるので、第1ノズル弁4は第1弁座21に着座する。
第1圧力制御室6が制御弁16の作動によって排圧されると、第1圧力制御室6の閉弁力が低下するため、第1ノズル弁4は第1弁座21から離座し、リフトを開始する。
【0026】
第2ノズル弁5のリフトについても同様に説明する。第2圧力制御室7に高圧燃料が供給されていると、第2スプリング35の閉弁力と第2圧力制御室7の閉弁力の和は、第2受圧面34の開弁力よりも大きくなるので、第2ノズル弁5は第2弁座31に着座する。
第2圧力制御室7が制御弁16の作動によって排圧されると、第2圧力制御室7の閉弁力が低下するため、第2ノズル弁5は第2弁座31から離座し、リフトを開始する。
【0027】
上述したように、第1圧力制御室6および第2圧力制御室7は、制御弁16によって圧力が制御される。
制御弁16は、図1に示すように、低圧通路19を閉塞して、第1圧力制御室6および第2圧力制御室7を共に高圧にする「閉弁モード」と、第2出口絞り18の下流のみを閉塞して、第1出口絞り15の下流と低圧通路19を連通させて、第1圧力制御室6を低圧にするとともに、第2圧力制御室7を高圧にする「低噴射モード」と、第1出口絞り15の下流と第2出口絞り18の下流を共に低圧通路19に連通させて、第1圧力制御室6および第2圧力制御室7を共に低圧にする「高噴射モード」とを切り替えるものである。
【0028】
制御弁16は、燃料噴射装置1の上部に装着される電磁弁40の構成部品であり、この電磁弁40は、ハウジング41の上部とリテーニングナット42によって締結されている。この電磁弁40は、制御弁16の他に、弁ボディ43、電磁コイル44、バルブピン45、第1コイルバネ46、第2コイルバネ47等で構成されている。
【0029】
制御弁16は、第1コイルバネ46の付勢力によってハウジング41に着座して低圧通路19を閉塞可能なものであり、低圧通路19が閉塞されることにより上述した「閉弁モード」の設定となる。
制御弁16の上部に設けられた円盤状のアーマチャ48は、電磁コイル44が通電されることにより発生する励磁吸引力により上方にリフトし、バルブピン45の下端に当接してH1 リフトする。この状態の制御弁16は、第1、第2出口絞り15、18の下流を共に低圧通路19を連通させるものであり、上述した「高噴射モード」の設定となる。
【0030】
この「高噴射モード」より電磁コイル44に供給される電流値を更に大きくした場合では、制御弁16のアーマチャ48に作用する励磁吸引力が大きくなり、制御弁16とバルブピン45とが上昇して、制御弁16の上シート部16aが弁ボディ43の着座部43aに当接し、制御弁16がH2 リフトする。この状態の制御弁16は、第2出口絞り18の下流側を閉塞して、第1出口絞り15の下流と低圧通路19を連通させるものであり、上述した「低噴射モード」の設定となる。
【0031】
(第1実施例の作動説明)
次に、燃料噴射装置1の作動を説明する。
まず、図示しない燃料噴射ポンプから燃料が吐出され、図示しないコモンレールで所定の燃料圧に蓄圧された高圧燃料は、燃料噴射装置1の燃料インレット8に供給される。
また、図示しないエンジン制御装置(ECU)により、エンジンの運転状態に応じたタイミングにおいて、エンジンの運転状態に応じた制御弁16の駆動電流が生成されて、電磁コイル44に供給される。
【0032】
(第1ノズル弁4および第2ノズル弁5の閉弁時)
電磁コイル44の通電OFF 時、制御弁16は、第1コイルバネ46の付勢力によりハウジング41の上端に着座して低圧通路19を閉塞する。これによって、第1出口絞り15および第2出口絞り18の下流が共に閉塞される「閉弁モード」になる。このため、高圧通路9、第1入口絞り11、第1燃料通路12を介して第1圧力制御室6に高圧燃料が供給されるとともに、高圧通路9、第2入口絞り13、第2燃料通路14を介して第2圧力制御室7に高圧燃料が供給される。
【0033】
この状態において、第1受圧面23の開弁力は、第1スプリング25による閉弁力と第1圧力制御室6の閉弁力の和よりも小さいので、第1ノズル弁4は第1弁座21に着座している。
この時、第2受圧面34の開弁力は、第2スプリング35の閉弁力と第2圧力制御室7の閉弁力の和よりも小さいので、第2ノズル弁5も第2弁座31に着座している。
【0034】
(第1ノズル弁4の開弁による小噴射率の作動説明)
電磁弁40の電磁コイル44に高い電流が供給されると、電磁コイル44の励磁吸引力が大きくなり、制御弁16がH2 リフトして制御弁16の上シート部16aが弁ボディ43の着座部43aに当接する。この状態では、第2出口絞り18の下流が閉塞し、第1出口絞り15の下流が低圧通路19と連通する「低噴射モード」になる。
【0035】
第1圧力制御室6は、第1燃料通路12と第1出口絞り15を介して低圧通路19に連通する。第1入口絞り11より第1出口絞り15の流路面積が大きく設定されているため、流入燃料よりも流出燃料が多く、第1圧力制御室6の燃料圧力は低下し始める。
第1圧力制御室6の燃料圧力が低下することにより、第1受圧面23の開弁力が、第1スプリング25による閉弁力と第1圧力制御室6の閉弁力の和よりも大きくなり、第1ノズル弁4が第1弁座21から離座する。
この時、第2受圧面34の開弁力は、第2スプリング35の閉弁力と第2圧力制御室7の閉弁力の和よりも小さいので、第2ノズル弁5は第2弁座31に着座したままである。
【0036】
第1ノズル弁4が第1弁座21から離座することにより、第1噴孔22から燃料が噴射される。第1ノズル弁4が第1弁座21から離座すると、第1ノズル弁4の先端部も高圧燃料からリフト方向に力を受けるので、第1ノズル弁4のリフト速度が上昇し、初期噴射率が速やかに上昇する。そして、第1ノズル弁4がリフトして、その上端がディスタンスピース26に当接すると、噴射率は一定(低噴射率)になる。
【0037】
次に、運転状態に応じた所定時間が経過すると、電磁コイル44への駆動電流の供給が停止され、制御弁16が低圧通路19を閉塞する(図1の状態)。すると、第1出口絞り15の下流側と低圧通路19との連通が遮断されるため、第1入口絞り11からの高圧燃料により第1圧力制御室6が高圧状態に移り、第1ノズル弁4が速やかに閉弁方向に移動し、第1弁座21に着座する。この結果、第1噴孔22からの燃料噴射が終了する。
【0038】
(第1ノズル弁4と第2ノズル弁5の開弁による大噴射率の作動説明)
電磁弁40の電磁コイル44に低い電流が供給されると、電磁コイル44の励磁吸引力が小さくなり、制御弁16が第1リフト量H1 の位置までリフトし、バルブピン45の下端に当接して停止する。この状態では、第1出口絞り15および第2出口絞り18の下流が低圧通路19に連通する「高噴射モード」になる。
【0039】
第1圧力制御室6は、上述した「低噴射モード」と同様、第1燃料通路12と第1出口絞り15を介して低圧通路19に連通する。第1入口絞り11より第1出口絞り15の流路面積が大きく設定されているため、流入燃料よりも流出燃料が多く、第1圧力制御室6の燃料圧力は低下し始める。
第1圧力制御室6の燃料圧力が低下することにより、第1受圧面23の開弁力が、第1スプリング25による閉弁力と第1圧力制御室6の閉弁力の和よりも大きくなり、第1ノズル弁4が第1弁座21から離座する。
【0040】
この時、第2圧力制御室7も、第2燃料通路14と第2出口絞り18を介して低圧通路19に連通する。第2入口絞り13より第2出口絞り18の流路面積が大きく設定されているため、流入燃料よりも流出燃料が多く、第2圧力制御室7の燃料圧力は低下し始める。
第2圧力制御室7の燃料圧力が低下することにより、第2受圧面34の開弁力が、第2スプリング35の閉弁力と第2圧力制御室7の閉弁力の和よりも大きくなり、第2ノズル弁5が第2弁座31から離座する。
【0041】
第1ノズル弁4および第2ノズル弁5が、第1弁座21および第2弁座31から離座することにより、第1噴孔22および第2噴孔32から燃料が噴射される。第1ノズル弁4および第2ノズル弁5が第1弁座21および第2弁座31から離座すると、第1ノズル弁4および第2ノズル弁5の先端部も高圧燃料からリフト方向に力を受けるので、第1ノズル弁4および第2ノズル弁5のリフト速度が上昇し、初期噴射率が速やかに上昇する。そして、第1ノズル弁4がリフトして、その上端がディスタンスピース26に当接するとともに、第2ノズル弁5がリフトして、その上端が第1ノズル弁4の内部の段差部に当接すると、噴射率は一定(高噴射率)になる。
【0042】
次に、運転状態に応じた所定時間が経過すると、電磁コイル44への駆動電流の供給が停止され、制御弁16が低圧通路19を閉塞する(図1の状態)。すると、第1出口絞り15の下流側と低圧通路19との連通が遮断されるとともに、第2出口絞り18の下流側と低圧通路19との連通が遮断されるため、第1入口絞り11からの高圧燃料により第1圧力制御室6が高圧状態に移るとともに、第2入口絞り13からの高圧燃料により第2圧力制御室7が高圧状態に移る。これにより、第1ノズル弁4および第2ノズル弁5が速やかに閉弁方向に移動し、第1弁座21および第2弁座31に着座する。この結果、第1噴孔22および第2噴孔32からの燃料噴射が終了する。
【0043】
上記では、小噴射率の作動と、大噴射率の作動について説明した。これらは、1回の噴射中において、小噴射率の作動か、大噴射率の作動かの、どちらか一方を選ぶものである。ここで、小噴射率の作動と大噴射率の作動を、1回の噴射中で切り替えることが可能であり、この切り替えにより噴射率を2段階に切り替える「ブーツ型噴射」が性能上最も好ましい。
【0044】
(1回の噴射中に噴射率を切り替えるブーツ型噴射の作動説明)
まず、電磁弁40の電磁コイル44に高い電流が供給される。すると、電磁コイル44の励磁吸引力が大きくなり、制御弁16がH2 リフトして制御弁16の上シート部16aが弁ボディ43の着座部43aに当接する。この状態では、第2出口絞り18の下流が閉塞し、第1出口絞り15の下流が低圧通路19と連通する「低噴射モード」になる。
【0045】
第1圧力制御室6は、第1燃料通路12と第1出口絞り15を介して低圧通路19に連通する。第1入口絞り11より第1出口絞り15の流路面積が大きく設定されているため、流入燃料よりも流出燃料が多く、第1圧力制御室6の燃料圧力は低下し始める。
第1圧力制御室6の燃料圧力が低下することにより、第1受圧面23の開弁力が、第1スプリング25による閉弁力と第1圧力制御室6の閉弁力の和よりも大きくなり、第1ノズル弁4が第1弁座21から離座する。
この時、第2受圧面34の開弁力は、第2スプリング35の閉弁力と第2圧力制御室7の閉弁力の和よりも小さいので、第2ノズル弁5は第2弁座31に着座したままである。
【0046】
第1ノズル弁4が第1弁座21から離座することにより、第1噴孔22から燃料が噴射される。第1ノズル弁4が第1弁座21から離座すると、第1ノズル弁4の先端部も高圧燃料からリフト方向に力を受けるので、第1ノズル弁4のリフト速度が上昇し、初期噴射率が速やかに上昇する。そして、第1ノズル弁4がリフトして、その上端がディスタンスピース26に当接すると、噴射率は一定(低噴射率)になる。
【0047】
次に、運転状態に応じた所定時間が経過すると、電磁弁40の電磁コイル44に低い電流が供給される。すると、電磁コイル44の励磁吸引力が小さくなるため、制御弁16が第1リフト量H1 の位置まで戻る。この状態では、第1出口絞り15および第2出口絞り18の下流が低圧通路19に連通する「高噴射モード」になる。
【0048】
すると、第2圧力制御室7も、第2燃料通路14と第2出口絞り18を介して低圧通路19に連通する。第2入口絞り13より第2出口絞り18の流路面積が大きく設定されているため、流入燃料よりも流出燃料が多く、第2圧力制御室7の燃料圧力は低下し始める。
第2圧力制御室7の燃料圧力が低下することにより、第2受圧面34の開弁力が、第2スプリング35の閉弁力と第2圧力制御室7の閉弁力の和よりも大きくなり、第2ノズル弁5が第2弁座31から離座する。
【0049】
第2ノズル弁5が第2弁座31から離座することにより、第2噴孔32からも燃料が噴射される。第2ノズル弁5が第2弁座31から離座すると、第2ノズル弁5の先端部も高圧燃料からリフト方向に力を受けるので、第2ノズル弁5のリフト速度が上昇し、2段階目の噴射率が速やかに上昇する。そして、第2ノズル弁5がリフトして、その上端が第1ノズル弁4の内部の段差部に当接すると、噴射率は一定(高噴射率)になる。
【0050】
次に、運転状態に応じた所定時間が経過すると、電磁コイル44への駆動電流の供給が停止され、制御弁16が低圧通路19を閉塞する(図1の状態)。すると、第1出口絞り15の下流側と低圧通路19との連通が遮断されるとともに、第2出口絞り18の下流側と低圧通路19との連通が遮断されるため、第1入口絞り11からの高圧燃料により第1圧力制御室6が高圧状態に移るとともに、第2入口絞り13からの高圧燃料により第2圧力制御室7が高圧状態に移る。これにより、第1ノズル弁4および第2ノズル弁5が速やかに閉弁方向に移動し、第1弁座21および第2弁座31に着座する。この結果、第1噴孔22および第2噴孔32からの燃料噴射が終了する。
【0051】
上記で示した「ブーツ型噴射」は、電磁コイル44の駆動電流を大電流から小電流に切り替えるタイミングを、エンジンの運転状態に応じて変化させることにより、エンジンの運転状態の全域において最適な噴射率パターンを得ることができる。
【0052】
(第1実施例の効果)
次に、比較例1(特開昭61−135979号公報に開示される燃料噴射装置100)および比較例2(特開平9−32687号公報に開示される燃料噴射装置120)と比較して、この第1実施例の作動および効果を説明する。
【0053】
比較例1は、第1実施例と同様に中空円筒状の第1ノズル弁と、その内部に往復移動可能に収容される第2ノズル弁とを有するが、電磁弁およびこの電磁弁により圧力調整される圧力制御室を持たず、燃料供給ポンプからの燃料供給圧の変化に応じて作動する燃料噴射装置である。
このため、第1ノズル弁および第2ノズル弁の開弁タイミングは、燃料噴射ポンプから供給される燃料供給圧から受ける力と、第1スプリングおよび第2スプリングの付勢力とのバランスにより決定される。
【0054】
このため、初期噴射圧が小さいので、燃焼室に噴射された燃料が良好に微粒化せずに燃焼不良の原因となってしまう。また、低い燃料供給圧で第1ノズル弁が開弁することにより噴射時間が長くなるので、燃費が低下し、且つ噴射のシャープカット性が低下する。
この問題を解決するために、中空円筒状の第1ノズル弁のリフトタイミングを電磁弁で制御するように設けても、第2ノズル弁のリフトタイミングは、あくまでも燃料噴射ポンプから供給される燃料供給圧から受ける力と、第2スプリングの付勢力とのバランスにより決定される。このため、電磁弁の通電を制御して第1ノズル弁のリフト時期をずらせることにより初期噴射圧力を増加させることができても、初期噴射率を低減することはできない。
【0055】
比較例2は、第1ノズル弁と第2ノズル弁を持ち、第1ノズル弁の反噴射方向に電磁弁で圧力制御される圧力制御室を有する燃料噴射装置であり、コモンレールで蓄圧された高圧燃料が常時供給されるものである。このように、比較例2では、一定圧の高圧燃料が供給されているので、圧力制御室を低下させて第1ノズル弁をリフトすると、噴射初期段階から高圧燃料が燃焼室に噴射される。このため、燃料が良好に微粒化する。
さらに、比較例2は、第1ノズル弁が所定量リフトしてから第2ノズル弁がリフトする構成であり、第1噴孔からの燃料噴射から所定時間遅れて第2噴孔から燃料が噴射される。このため、燃料の噴射時期および噴射量を高精度に制御できるとともに、初期噴射率を低減しつつ初期噴射圧を上昇させることができる。
【0056】
しかしながら、1回の燃料噴射期間中において噴射率を変化させるのは、第1ノズル弁と第2ノズル弁の軸方向に形成したギャップ、および圧力制御室からリークする燃料通路の絞りである。つまり、噴射中に噴射率を変化させる手段は、製造時に設定されるものである。噴射圧力が変われば付随的に噴射中の噴射率が変わるが、噴射圧力と噴射率特性の両方をエンジン運転状態の全域において最適化することは不可能である。
【0057】
比較例1および比較例2に比較して、第1実施例の燃料噴射装置1は、第1ノズル弁4と第2ノズル弁5をそれぞれ独立して制御できるので、第1ノズル弁4のみ作動する小噴射率作動、第1、第2ノズル弁4、5の両方が同時に作動する大噴射率作動、第1ノズル弁4の作動に続いて第2ノズル弁5が作動するブーツ型噴射率作動のうち、運転状態に適した最適なものをエンジンの運転条件毎に自在に選択して制御することができる。
【0058】
また、第1噴孔22および第2噴孔32を適切に設定した上で、第2ノズル弁5のみを作動させる4つめの作動形態を選択肢に加えることも可能である。また、ブーツ型噴射率作動において、第2ノズル弁5を先に作動させ、引き続き第1ノズル弁4を作動させるという作動形態を選択肢に加えても良い。
つまり、エンジン運転条件の全域において、第1噴孔22のみの小噴射率噴射と、第1噴孔22と第2噴孔32の両方での大噴射率噴射との選択はもちろん、1回の燃料噴射期間中に先ず第1噴孔22のみまたは第2噴孔32のみによる小噴射率噴射を行い、途中から第1噴孔22と第2噴孔32の両方での大噴射率噴射に切り替えることも、その切り替え時期を運転状態に応じて変えることも自由に制御できる。また、切り替え順を逆、つまり1回の燃料噴射期間中において、第1噴孔22と第2噴孔32の両方での大噴射率噴射から、第1噴孔22のみまたは第2噴孔32のみによる小噴射率噴射に切り替えることも可能である。
【0059】
上記に示した各切り替え制御は、噴射量、噴射時期、噴射圧力などの特性とは独立して制御できるので、エンジン運転条件の全域において、最適な噴射特性を得ることができる。特に、初期噴射率を低減しつつ、初期噴射圧を上昇させることができるので、排気ガス中への有害物質の混入を低下できる。
また、噴霧分布が大きく、燃料が良好に微粒化されるので、燃焼効率が向上して燃費を向上できる。
さらに、第1ノズル弁4と第2ノズル弁5を独立して制御するが、それらは1つの電磁弁40によって制御できるように構成したので、燃料噴射装置1を小型化することができる。
【0060】
〔第2実施例〕
第2実施例を図3、図4を用いて説明する。図3は、第2実施例による燃料噴射装置1の断面図、図4はその要部拡大図である。なお、第1実施例と同一機能物は同一符号を付す。
【0061】
第1ノズル弁4および第2ノズル弁5が第1弁座21および第2弁座31に着座している状態では、第1ノズル弁4の第1シート部20は第1噴孔22の燃料上流側に着座するものであり、第2ノズル弁5の第2シート部30は第2噴孔32の燃料上流側に着座するものである。
第1ノズル弁4の先端部分には、第1ノズル弁4と第2ノズル弁5とに囲まれた油圧室50が形成されており、第1ノズル弁4の第1シート部20が第1弁座21に着座することにより、燃料溜まり10との連通が遮断される。
【0062】
この第2実施例では、第1実施例に示した小径部27および横孔33が設けられておらず、燃料溜まり10からの燃料は、第1ノズル弁4の着座時、第1弁座21より下流には導入されないように設けられている。そして、第2ノズル弁5の先端は、図4に示すように、第2弁座31に当接する第2ノズル弁5の第2シート部30の外縁と、第2ノズル弁5の外径との間に、第2受圧面34が形成されており、この第2受圧面34が高圧燃料から受ける力により第2ノズル弁5はリフト方向に向かう力を受ける。従って、第1ノズル弁4が着座している状態では、第2ノズル弁5をリフト方向へ作動するための燃料圧力は存在せず、第2ノズル弁5のみを作動させることはできない。
【0063】
作動としては、制御弁16の作動によって第1圧力制御室6が低圧に切り替わり、第1ノズル弁4がリフトをすると、燃料溜まり10の燃料が油圧室50に導入される。その油圧室50に供給された燃料圧力を第2受圧面34が受けることによって、第2ノズル弁5はリフト方向の力を受ける。そして、この状態において、第2圧力制御室7が高圧であれば第2ノズル弁5はリフトせず、第2圧力制御室7が低圧に切り替われば第2ノズル弁5はリフトを開始する。なお、第2ノズル弁5がリフトを開始すると、第2ノズル弁5の先端に受ける燃料圧力によって第2ノズル弁5は大きなリフト力を受けることになるので、第1実施例と同様、初期噴射圧が速やかに上昇する。
【0064】
ただし、この第2実施例では、第1実施例では可能であった作動のうち、第2ノズル弁5のみの作動と、第2ノズル弁5の開弁が先行するブーツ型噴射は不可能になる。
しかし、第1ノズル弁4と第2ノズル弁5の両方が閉弁状態の時は、第2圧力制御室7の圧力を低下させても閉弁状態が保たれる。このため、第2圧力制御室7を先行して圧力を低下させておいてから第1圧力制御室6の圧力を低下させるように設けることにより、第1ノズル弁4と第2ノズル弁5を同時に開弁させることができる。
【0065】
また、この第2実施例では、第1実施例に示した小径部27および横孔33が設けられておらず、第2ノズル弁5の先端に第2受圧面34を形成したものであるため、構造が簡素化されており、製造コストを安価に抑えることができる。
さらに、上述した同時開弁が可能であることに加えて、常時高圧に晒される部位が減少するので、燃料リークが減少する。つまり、高い信頼性で優れた効果を発揮できる。特に、第1実施例では、第1ノズル弁4の着座時においても第1噴孔22の下流側に高圧燃料が供給されていたので、その高圧燃料は第1噴孔22からリークが発生する可能性があったが、この第2実施例では第1ノズル弁4が着座している時は、第1噴孔22の下流側に高圧燃料は供給されない。このため、第1ノズル弁4の第1シート部20は、第1噴孔22の上流側のみをシールできれば良く、第1ノズル弁4を簡素化でき、製造コストを安価に抑えることができる。
【0066】
この第2実施例の望ましい変形例を示す。第1ノズル弁4が着座した状態の時、第2圧力制御室7の高圧燃料は、第1ノズル弁4と第2ノズル弁5の間の摺動部の隙間を通って油圧室50に流入する。すると、この燃料は、第1ノズル弁4および第2ノズル弁5が着座しているにもかかわらず、油圧室50に流入した燃料が、第1噴孔22から燃焼室へ流出する場合が想定される。そこで、第1ノズル弁4と第2ノズル弁5の間の摺動部に環状のリーク回収溝を設け、このリーク回収溝を低圧通路19に連通させる。これによって、第2圧力制御室7の高圧燃料が、第1ノズル弁4と第2ノズル弁5の間の摺動部の隙間にリークしても、そのリーク燃料はリーク回収溝を介して燃料タンク2に戻されることになり、上記の不具合を解消できる。
【0067】
この第2実施例は、燃料リークの発生が抑えられるため、噴射圧力の高いエンジンに適用しても、高い信頼性を得ることができる。
また、この第2実施例の望ましい変形例においても、第1実施例と同様、エンジンの運転条件の全域において自由な切り替え間隔の設定が可能なブーツ型噴射ができるので、排気ガス中に発生するNOxやパティキュレートの量を減少させることができる。
【0068】
〔第3実施例〕
第3実施例を図5を用いて説明する。図5は燃料噴射装置1の要部断面図である。なお、上記実施例と同一機能物は同一符号を付して説明を省略する。
上記の第1、第2実施例の第2ノズル弁5は、第1ノズル弁4の摺動孔の内部に摺動する円柱状の摺動部と、バルブボディ3に当接して第2噴孔32を閉塞するための円錐状の第2シート部30とを備える棒状弁体であった。これに対し、この第3実施例の第2ノズル弁5は、第1ノズル弁4の摺動孔の内部に摺動する摺動部と、バルブボディ3に当接して前記第2噴孔32を閉塞するための第2シート部30とが、球面によって形成される球状弁体である。
作動および効果は第2実施例と同じであるが、この第3実施例では、第2ノズル弁5として球状弁体を採用することによって、燃料噴射装置1の小型化および低コスト化が可能になる。
【0069】
〔変形例〕
上記の各実施例では、電磁弁40を用いて制御弁16を駆動する例を示したが、電磁弁40に代えて電歪型のアクチェータを用いるなど、他のアクチェータを用いて制御弁16を駆動しても良い。
また、各燃料通路のとり回しや、第1スプリング25、第2スプリング35の配置状態等も、上記で示した実施例に限定されるものでなく、適宜変更可能なものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】燃料噴射装置の断面図である(第1実施例)。
【図2】燃料噴射装置の要部断面図である(第1実施例)。
【図3】燃料噴射装置の断面図である(第2実施例)。
【図4】燃料噴射装置の要部断面図である(第2実施例)。
【図5】燃料噴射装置の要部断面図である(第3実施例)。
【図6】燃料噴射装置の断面図である(第1従来例)。
【図7】燃料噴射装置の断面図である(第2従来例)。
【図8】燃料噴射装置の断面図である(第3従来例)。
【符号の説明】
1 燃料噴射装置
3 バルブボディ
4 第1ノズル弁
5 第2ノズル弁
6 第1圧力制御室
7 第2圧力制御室
16 制御弁
22 第1噴孔
32 第2噴孔

Claims (7)

  1. (a)第1噴孔および第2噴孔を備えるバルブボディと、
    (b)高圧燃料の供給圧によって開弁方向へ向かう付勢力を受けるものであって、前記第1噴孔を開閉するための第1ノズル弁と、
    (c)高圧燃料の供給圧によって開弁方向へ向かう付勢力を受けるものであって、前記第2噴孔を開閉するための第2ノズル弁と、
    (d)高圧燃料の供給圧によって前記第1ノズル弁を閉弁方向へ付勢し、高圧燃料が排圧されることによって前記第1ノズル弁を閉弁方向へ付勢する力が低下する第1圧力制御室と、
    (e)高圧燃料の供給圧によって前記第2ノズル弁を閉弁方向へ付勢し、高圧燃料が排圧されることによって前記第2ノズル弁を閉弁方向へ付勢する力が低下する第2圧力制御室と、
    (f)前記第1圧力制御室内の燃料圧力および前記第2圧力制御室内の燃料圧力を切り替えることにより、前記第1ノズル弁による前記第1噴孔の開閉および前記第2ノズル弁による前記第2噴孔の開閉を制御する1つの制御弁と、を備え
    前記制御弁は、前記第1圧力制御室に燃料排出用の低圧通路を接続することにより、前記第1圧力制御室を高圧から低圧に切り替えるとともに、前記第2圧力制御室に前記低圧通路を接続することにより、前記第2圧力制御室を高圧から低圧に切り替えることを特徴とする燃料噴射装置。
  2. 請求項1の燃料噴射装置において、
    記制御弁の切り替えによって、前記第1圧力制御室が高圧から低圧に切り替えられることにより、前記第1ノズル弁が前記第1噴孔から離座するとともに、前記第2圧力制御室が高圧から低圧に切り替えられることにより、前記第2ノズル弁が前記第2噴孔から離座することを特徴とする燃料噴射装置。
  3. 請求項1または請求項2の燃料噴射装置において、
    記制御弁による前記第1圧力制御室および前記第2圧力制御室の圧力切り替えタイミングは、車両の運転状態に応じてそれぞれが独立したタイミングで実施されることを特徴とする燃料噴射装置。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかの燃料噴射装置において、
    記第2ノズル弁は、前記第1ノズル弁の内部において軸方向へ摺動自在に配置されるとともに、前記第1ノズルの内部に配置された第2スプリングによって閉弁方向へ付勢されることを特徴とする燃料噴射装置。
  5. 請求項の燃料噴射装置において、
    記第2ノズル弁は、前記第1ノズル弁の摺動孔の内部に摺動する円柱状の摺動部と、前記バルブボディに当接して前記第2噴孔を閉塞するための円錐状のシート部とを備える棒状弁体であることを特徴とする燃料噴射装置。
  6. 請求項の燃料噴射装置において、
    記第2ノズル弁は、前記第1ノズル弁の摺動孔の内部に摺動する摺動部と、前記バルブボディに当接して前記第2噴孔を閉塞するためのシート部とを、球面によって形成する球状弁体であることを特徴とする燃料噴射装置。
  7. 請求項4ないし請求項6のいずれかの燃料噴射装置において、
    記第2ノズル弁の最大リフト時は、前記第2ノズル弁の反噴孔側の端部が前記第1ノズル弁に当接することで、最大リフト量が設定されることを特徴とする燃料噴射装置。
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