JP4119278B2 - オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents

オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は引張特性、成形外観に優れるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物の製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
オレフィン系熱可塑性エラストマーは、軽量でリサイクルが容易なことから、省エネルギー、省資源タイプの熱可塑性エラストマーとして、特に軟質塩ビや加硫ゴムの代替として自動車部品、工業機械部品、電子・電気機器部品、建材等に広く使用されている。
架橋剤の存在下にオレフィン系ゴムとオレフィン系樹脂を混練する動的架橋法は、様々な形態で行われている。この内、オレフィン系ゴムを架橋剤とともにバンバリーミキサー中で動的熱処理して架橋させたのち、ポリオレフィン樹脂を混合する方法や、バンバリーミキサー中にポリオレフィン樹脂を共存させて動的架橋する方法は、バッチ式のバンバリーミキサーを使用するため、連続法に比べて経済的でなく、更に、ゴムと樹脂が均一に分散されないことがあり、安定した品質が得られ難い。
ゴムと樹脂が均一に分散し、品質の安定したオレフィン系熱可塑性エラストマーを得るための方法として、オレフィン系ゴムとオレフィン系樹脂をバンバリーミキサーなどで予め溶融混合し、冷却後、ペレット化処理を経た後に、このペレットを架橋剤と共に押出機に供給して押出機中で動的架橋を行う方法が提案されているが、動的架橋に先立ってゴムと樹脂の溶融混合を必要とする点で、やはり経済性に劣る。
【0003】
このような問題を解決すべく、例えば特許文献1において、ペレット状のオレフィン系ゴムとペレット状のオレフィン系樹脂を用い、架橋剤と共に2軸押出機に供給することで、ゴムと樹脂が均一に分散し、物性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーを連続的に、簡略化された方法で製造する技術が提案されている。
しかし実際には、オレフィン系熱可塑性エラストマーの原料ゴムとして主に用いられるエチレン・α―オレフィン・ポリエン共重合体ゴムは、通常ベールと呼ばれる塊で供給されるため、ペレット状のエチレン・α―オレフィン・ポリエン共重合体ゴムを得るためには、押出機等の混練機に供給し、溶融状態を経てペレット化処理を行う必要がある点で、必ずしも経済的とは言えないばかりか、一般に、樹脂に比べて高分子量であるエチレン・α―オレフィン・ポリエン共重合体ゴムを単体で溶融混練を行うと、剪断発熱により押出機内の温度が高温に達して熱劣化が進行し、オレフィン系熱可塑性エラストマー最終製品の性能に悪影響を及ぼすことがある。
【0004】
【特許文献1】
特公平2−52648号公報
【0005】
【発明の目的】
本発明は、上記のような従来技術に伴う問題を解決しようとするものであって、引張強度、成形外観に優れるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を生産性よく製造できる方法を提供することを目的としている。
【0006】
【発明の概要】
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマーの製造方法は、ペレット状オレフィン系樹脂(A)と、塊状オレフィン系ゴムを粉砕することによって得られた粉砕物 (B)と、架橋剤(C)を含む混合物を、連続混練機に連続的に供給し、動的に熱処理して得られることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法である。
【0007】
【発明の具体的説明】
以下、本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマーの製造方法について具体的に説明する。
【0008】
まず、このオレフィン系熱可塑性エラストマーに用いられる成分について説明する。
ペレット状オレフィン系樹脂(A)
本発明で用いられるオレフィン系樹脂は、高圧法または低圧法の何れかによる1種または2種以上のモノオレフィンを重合して得られる高分子量固体生成物からなる。このような樹脂としては、たとえばアイソタクチックおよびシンジオタクチックのモノオレフィン重合体樹脂が挙げられる。これらの代表的な樹脂は商業的に入手できる。
【0009】
上記オレフィン系樹脂の適当な原料オレフィンとしては、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、1-デセン、2-メチル-1- プロペン、3-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、5-メチル-1- ヘキセンなどが挙げられる。これらのオレフィンは、単独で、または2種以上混合して用いられる。
【0010】
重合様式はランダム型でもブロック型でも、樹脂状物が得られればどのような重合様式を採用しても差支えない。これらのオレフィン系樹脂は、単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらのオレフィン系樹脂の中でも、プロピレン系重合体、具体的には、プロピレンホモポリマー、プロピレン・エチレンブロックコポリマー、プロピレン・エチレンランダムコポリマー、または、プロピレン・エチレン・ブテンランダムコポリマーなどが特に好ましい。
プロピレン系重合体は、プロピレンから導かれる構成単位を好ましくは80モル%〜100モル%、より好ましくは90モル%〜100モル%含有している。
【0011】
本発明で用いられるオレフィン系樹脂は、MFR(ASTM D 1238−65T、230℃)が通常0.01〜100g/10分、特に0.5〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。
【0012】
また、本発明で用いられるオレフィン系樹脂のDSC法で測定される結晶化度は、20%以上、特に40%以上が好ましい。
【0013】
本発明で用いられるオレフィン系樹脂は、ペレットの形状のものを用いる。ペレットの形状は特に限定されるものではないが、例えば球状、半球状、円柱状、角柱状、平板状等種々の形状のものをあげることができる。 大きさも特に制限されるものではないが、例えば平均粒径が1〜10mmの範囲が好ましい。
ペレットの製法はコールドカット法、ホットカット法など公知の方法をあげることができる。
【0014】
上記オレフィン系樹脂は、組成物の流動性および耐熱性を向上させる役割を持っている。
本発明においては、オレフィン系樹脂は、オレフィン系樹脂およびオレフィン系ゴムの合計量100重量部に対して、好ましくは10〜60重量部、より好ましくは15〜50重量部の割合で用いられる。
【0015】
上記のような割合でポリオレフィン系樹脂を用いると、引張特性及び成形外観に優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0016】
塊状オレフィン系ゴムの粉砕物(B)
オレフィン系ゴムとは、α−オレフィンを構成単位として含有するゴム状重合体である。α−オレフィンの炭素数は、好ましくは2〜20、より好ましくは2〜10であり、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、1-ノネン、1-デセン、1-ウンデセン、1-ドデセン、1-トリデセン、1-テトラデセン、1-ペンタデセン、1-ヘキサデセン、1-ヘプタデセン、1-オクタデセン、1-ノナデセン、1-エイコセン、3-メチル-1- ブテン、3-メチル-1- ペンテン、3-エチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ペンテン、4-メチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ヘキセン、4,4-ジメチル-1- ペンテン、4-エチル-1- ヘキセン、3-エチル-1- ヘキセン、9-メチル-1- デセン、11- メチル-1- ドデセン、12- エチル-1- テトラデセン、およびこれらの組合わせが挙げられる。
【0017】
本発明のオレフィン系ゴムは、所望によりポリエン、好ましくは非共役ポリエンを含有することもできる。
非共役ポリエンは、炭素・炭素二重結合のうち、重合可能な炭素・炭素二重結合が、1分子内に1個のみ存在する非共役ポリエンである。2個以上のビニル基のうち、1個が末端ビニル基である場合には、他のビニル基は末端ではなく内部オレフィンの構造をとるものが好ましい。
このような非共役ポリエンとしては、脂肪族ポリエン、脂環族ポリエンが挙げられる。
このような脂肪族ポリエンとしては、具体的には、
1,4-ヘキサジエン、3-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-メチル-1,4- ヘキサジエン、5-メチル-1,4- ヘキサジエン、4-エチル-1,4- ヘキサジエン、3-メチル-1,5- ヘキサジエン、3,3-ジメチル-1,4- ヘキサジエン、5-メチル-1,4- ヘプタジエン、5-エチル-1,4- ヘプタジエン、5-メチル-1,5-ヘプタジエン、6-メチル-1,5- ヘプタジエン、5-エチル-1,5- ヘプタジエン、1,6-オクタジエン、4-メチル-1,4- オクタジエン、5-メチル-1,4- オクタジエン、4-エチル-1,4- オクタジエン、5-エチル-1,4- オクタジエン、5-メチル-1,5- オクタジエン、6-メチル-1,5- オクタジエン、5-エチル-1,5- オクタジエン、6-エチル-1,5- オクタジエン、6-メチル-1,6- オクタジエン、7-メチル-1,6- オクタジエン、6-エチル-1,6- オクタジエン、6-プロピル-1,6- オクタジエン、6-ブチル-1,6- オクタジエン、4-メチル-1,4- ノナジエン、5-メチル-1,4- ノナジエン、4-エチル-1,4- ノナジエン、5-エチル-1,4- ノナジエン、5-メチル-1,5- ノナジエン、6-メチル-1,5- ノナジエン、5-エチル-1,5- ノナジエン、6-エチル-1,5- ノナジエン、6-メチル-1,6- ノナジエン、7-メチル-1,6- ノナジエン、6-エチル-1,6- ノナジエン、7-エチル-1,6- ノナジエン、7-メチル-1,7- ノナジエン、8-メチル-1,7- ノナジエン、7-エチル-1,7- ノナジエン、 5-メチル-1,4- デカジエン、5-エチル-1,4- デカジエン、5-メチル-1,5- デカジエン、6-メチル-1,5- デカジエン、5-エチル-1,5- デカジエン、6-エチル-1,5- デカジエン、6-メチル-1,6- デカジエン、6-エチル-1,6- デカジエン、7-メチル-1,6- デカジエン、7-エチル-1,6- デカジエン、7-メチル-1,7- デカジエン、8-メチル-1,7- デカジエン、7-エチル-1,7- デカジエン、8-エチル-1,7- デカジエン、8-メチル-1,8- デカジエン、9-メチル-1,8- デカジエン、8-エチル-1,8-デカジエン、 6-メチル-1,6- ウンデカジエン、9-メチル-1,8- ウンデカジエンなどが挙げられる。
【0018】
また、脂環族ポリエンとしては、1個の不飽和結合を有する脂環部分と、内部オレフィン結合を有する鎖状部分とから構成されるポリエンが好適であり、たとえば5-エチリデン-2- ノルボルネン、5-イソプロピリデン-2- ノルボルネン、6-クロロメチル-5- イソプロペニル-2- ノルボルネン、5-ビニル-2-ノルボルネン、ジシクロペンタジエンなどを挙げることができる。
また、2,3-ジイソプロピリデン-5- ノルボルネン、2-エチリデン-3- イソプロピリデン-5- ノルボルネン等のトリエンなどを挙げることができる。
これらの非共役ポリエンのうちでも、5-エチリデン-2- ノルボルネン、1,4-ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5-ビニル-2-ノルボルネンなどが特に好ましい。
これらの非共役ポリエンは、単独で、あるいは2種以上組合わせて用いることができる。
【0019】
本発明のオレフィン系ゴムのDSC法により求められる結晶化度は、好ましくは20%未満、より好ましくは10%以下である。
また、本発明のオレフィン系ゴムのムーニー粘度ML1+4(125℃)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150、更に好ましくは40〜100である。
このようなオレフィン系ゴムとしては、具体的には、エチレン・α−オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴム、プロピレン・α−オレフィン共重合体ゴム、等が挙げられるが、エチレン・α−オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムが好ましい。
【0020】
エチレン・α−オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴム
本発明で用いられるエチレン・α−オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムは、エチレンとα- オレフィンと、所望により非共役ポリエンをランダム共重合することにより得られるゴムであり、具体的にはエチレン・α−オレフィン共重合体ゴム、エチレン・α−オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムが挙げられる。
【0021】
エチレン・α- オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムを構成するα- オレフィンとしては、炭素原子数3〜10のα- オレフィンが好ましく、特にプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテンなどが好ましく用いられる。
【0022】
本発明で好ましく用いられるエチレン・α- オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムは、下記のような特性を有している。
(1) エチレン/α- オレフィン成分比
本発明で用いられるエチレン・α- オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムは、(a) エチレンから導かれる単位と、(b) 炭素原子数3以上のα- オレフィン(以下、単にα- オレフィンと称することもある)から導かれる単位とを、好ましくは40/60〜95/5、より好ましくは55/45〜90/10[(a)/(b)]のモル比で含有している。
このようなエチレン成分/α- オレフィン成分比のエチレン・α- オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムは、低温柔軟性および耐熱性のいずれにも優れている。
エチレン・α- オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムは、このエチレン/α- オレフィン成分比が95/5以下であると、低温柔軟性がよく、一方、40/60以上であると、耐熱性が優れている。
【0023】
(2) ヨウ素価
エチレン・α- オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムがエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムである場合、非共役ポリエン成分量の一指標であるヨウ素価は、好ましくは1〜50、より好ましくは5〜40である。
上記のようなヨウ素価を有するエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムは、動的架橋効率が高く、引張特性及びゴム弾性に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマーの製造が可能である。
(3)ムーニー粘度
エチレン・α- オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴムのムーニー粘度ML1+4(125℃)は、好ましくは20〜200、より好ましくは40〜150、更に好ましくは40〜100である。
(4)油展量
エチレン・α- オレフィン・(非共役ポリエン)共重合体ゴム(B)は、軟化剤にて油展されていても油展されていなくても構わない。油展されていない塊状ゴムを用いると、粉砕が容易なため好ましい。
油展されている場合は、油展した状態で測定したムーニー粘度ML1+4(125℃)が、好ましくは20〜120、より好ましくは、40〜100である。軟化剤については後述する。
【0024】
本発明では、塊状(ベール状)のオレフィン系ゴムの粉砕物(B)とは、粉砕後にペレット化していないものを示す。
粉砕は、公知の粉砕機を用いることができる。粉砕されたゴム片の大きさは、動的架橋を行う連続混練機に問題なく供給出来る大きさであれば良いが、その90%以上が10mmφの穴(例えばパンチングプレート)を通過する程度の大きさが好ましく、更に、その90%以上が8mmφの穴を通過する程度の大きさであることが好ましい。
粉砕されたゴム片の平均粒径が好ましくは1mm以上、特に3mm以上であれば、短時間、低コストで粉砕が可能であり、また粉砕物が飛散しにくい。
【0025】
本発明においては、オレフィン系ゴムは、オレフィン系樹脂およびオレフィン系ゴムの合計量100重量部に対して、好ましくは40〜90重量部、より好ましくは50〜85重量部の割合で用いられる。
【0026】
その他の成分
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマーには、オレフィン系樹脂、オレフィン系ゴム及び架橋剤の他に、他の樹脂成分、他のゴム成分、軟化剤、無機充填剤等を含めることができる。
【0027】
本発明で用いられるオレフィン系ゴム以外のゴムとしては、以下のものが挙げられる。
公知のポリブタジエン、ポリイソプレン、スチレン・ブタジエンブロック共重合体及びその水添品、スチレン・イソプレンブロック共重合体及びその水添品、ポリイソブチレン、ブチルゴム。
本発明で用いられるオレフィン系ゴム以外のゴムは、オレフィン系ゴム100重量部に対して、好ましくは50重量部以下、より好ましくは30重量部以下の割合で用いることが出来る。
【0028】
本発明で用いられる軟化剤としては、通常ゴムに使用される軟化剤を用いることができる。
具体的には、プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、石油アスファルト、ワセリン等の石油系物質;コールタール、コールタールピッチ等のコールタール類;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、大豆油、ヤシ油等の脂肪油;トール油、蜜ロウ、カルナウバロウ、ラノリン等のロウ類;リシノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸またはその金属塩;石油樹脂、クマロンインデン樹脂、アタクチックポリプロピレン等の合成高分子物質;
ジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバケート等のエステル系可塑剤;
その他マイクロクリスタリンワックス、サブ(ファクチス)、液状ポリブタジエン、変性液状ポリブタジエン、液状チオコールなどが挙げられる。
【0029】
この中でも特に、パラフィン系プロセスオイルが好ましく、その中でも5容量%留出温度が445℃以上のパラフィン系プロセスオイルが耐ブリードアウト性の点で好ましい。
本発明においては、軟化剤は、予めオレフィン系ゴムに油展しておいてもよく、また、動的架橋する際の連続混練機に直接注入して添加しても良い。その場合、樹脂用連続混練機に直接注入する量は、オレフィン系樹脂およびオレフィン系ゴムの合計量100重量部に対し、40重量部以下、好ましくは30重量部以下、さらに好ましくは25重量部以下の割合で用いられる。この範囲の量を注入すると、エラストマーとオイルが均一に分散しやすいので好ましい。
従って、それ以上添加する必要がある場合には、予めオレフィン系ゴムに油展しておく必要がある。その際の油展量は前に述べたとおりである。
【0030】
本発明で用いられる無機充填剤としては、具体的には、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、ケイソウ土、雲母粉、アスベスト、アルミナ、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、塩基性炭酸マグネシウム、二硫化モリブデン、グラファイト、ガラス繊維、ガラス球、シラスバルーン、塩基性硫酸マグネシウムウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー、ほう酸アルミニウムウィスカーなどが挙げられる。
【0031】
本発明においては、無機充填剤は、オレフィン系樹脂およびオレフィン系ゴムの合計量100重量部に対して、好ましくは100重量部以下、より好ましくは2〜50重量部の割合で用いられる。 本発明において、無機充填剤の使用量が100重量部以下であれば、得られる耐熱性熱可塑性エラストマー組成物のゴム弾性、成形加工性は良好に保たれる。
【0032】
さらに、本発明においては、オレフィン系熱可塑性エラストマー中に、従来公知の耐熱安定剤、老化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、金属セッケン、ワックス等の滑剤などを、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。
【0033】
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、塊状オレフィン系ゴムの粉砕物(B)を溶融・ペレット化することなく、上述したオレフィン系樹脂のペレット(A)と、架橋剤(C)と、必要に応じて配合されるその他の成分とを混合した後、該混合物を連続混練機に供給し、架橋剤の存在下に動的架橋することによって得られる。
ここに、「動的架橋」とは、架橋剤の存在下に溶融状態で混練することで架橋反応をせしめることをいう。
【0034】
本発明で用いられる架橋剤は、有機過酸化物、フェノール樹脂、硫黄、ヒドロシリコーン系化合物、アミノ樹脂、キノンまたはその誘導体、アミン系化合物、アゾ系化合物、エポキシ系化合物、イソシアネート等、熱硬化型ゴムで一般に使用される架橋剤が挙げられる。これら架橋剤の中でも有機過酸化物が特に好ましい。有機過酸化物の中でも1分半減期温度が185℃以上のものが好ましい。
本発明で用いられる有機過酸化物としては、具体的には、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(tert- ブチルペルオキシ)-3,3,5- トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4- ビス(tert- ブチルペルオキシ)バレレート、ベンゾイルペルオキシド、p-クロロベンゾイルペルオキシド、2,4-ジクロロベンゾイルペルオキシド、tert- ブチルペルオキシベンゾエート、tert- ブチルペルベンゾエート、tert- ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、tert- ブチルクミルペルオキシドなどが挙げられる。
【0035】
これらの内では、臭気性、スコーチ安定性の点で、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(tert- ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが好ましく、なかでも、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン−3が最も好ましい。
【0036】
このような架橋剤は、ペレット状オレフィン系樹脂(A)およびオレフィン系ゴムの粉砕物(B)の合計量100重量部に対して、好ましくは0.02〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部となるような量で用いられる。
架橋剤の配合量が0.02重量部以上であると、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、耐熱性、引張特性、弾性回復および反発弾性等が十分である。 また、この配合量が5重量部以下であると、得られるオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物は、成形性が良好である。
【0037】
本発明においては、上記有機過酸化物による架橋処理に際し、硫黄、p-キノンジオキシム、p,p'- ジベンゾイルキノンジオキシム、N-メチル-N-4- ジニトロソアニリン、ニトロソベンゼン、ジフェニルグアニジン、トリメチロールプロパン-N,N'-m-フェニレンジマレイミドのようなペルオキシ架橋用助剤、あるいはジビニルベンゼン、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、アリルメタクリレートのような多官能性メタクリレートモノマー、ビニルブチラート、ビニルステアレートのような多官能性ビニルモノマーを配合することができる。
【0038】
上記のような化合物を用いることにより、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。特に、本発明においては、ジビニルベンゼンが最も好ましい。ジビニルベンゼンは、取扱い易く、上記の被架橋処理物の主成分であるオレフィン系樹脂及びエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴム等のオレフィン系ゴムとの相溶性が良好であり、かつ、有機過酸化物を可溶化する作用を有し、有機過酸化物の分散剤として働くため、熱処理による架橋効果が均質で、流動性と物性とのバランスのとれた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0039】
上記のような架橋助剤あるいは多官能性ビニルモノマーなどの化合物は、ペレット状オレフィン系樹脂および塊状オレフィン系ゴムの粉砕物の合計量100重量部に対して、通常2重量部以下、好ましくは0.2〜1重量部となるような量で用いられる。
【0040】
また、有機過酸化物の分解を促進するために、トリエチルアミン、トリブチルアミン、2,4,6-トリ(ジメチルアミノ)フェノール等の三級アミンや、アルミニウム、コバルト、バナジウム、銅、カルシウム、ジルコニウム、マンガン、マグネシウム、鉛、水銀等のナフテン酸塩などの分解促進剤を用いてもよい。
【0041】
本発明において上記架橋剤、有機溶剤或いは油から選ばれる希釈液で希釈することが好ましい。架橋助剤、多官能性ビニルモノマー及び/または分解促進剤を用いる場合は、架橋剤とともに希釈液で希釈する。架橋剤を希釈液で希釈して得られる架橋剤含有液(C’)を添加する場合、ペレット状オレフィン系樹脂(A)および塊状オレフィン系ゴムの粉砕物(B)合計量100重量部に対して、架橋剤(C)として好ましくは0.02〜5重量部、より好ましくは0.05〜3重量部となるような量で配合する。
希釈液として用いる有機溶剤及び油は公知のものを使用することが出来るが、上記架橋剤、架橋助剤、多官能性ビニルモノマー及び分解促進剤が均一に溶解する有機溶剤または油であることが好ましい。
本発明において架橋剤として好ましく用いられる有機過酸化物、及び架橋助剤としてジビニルベンゼンを用いる場合、これらを希釈する液体は、均一溶解性の点からパラフィン系オイルが好ましい。
また、架橋剤(C)と希釈液との重量比は1/3〜1/30が好ましく、1/3〜1/10が更に好ましく、1/3〜1/7が特に好ましい。
架橋剤1に対して希釈する液体の量が3以上であると、架橋剤が粉砕されたオレフィン系ゴムに均一に分散することができ、架橋の均一な熱可塑性エラストマーが出来る。
また、架橋剤1に対して希釈する液体の量が30以下であると、連続混練機中でスリップが生じにくくなり、混練に不具合が生じにくい。
【0042】
本発明における動的な熱処理は、非開放型の連続混練機で行なうことが好ましく、また窒素、炭酸ガス等の不活性ガス雰囲気下で行なうことが好ましい。熱処理の温度は、処理中の最高温度でポリオレフィン樹脂(A)の融点から350℃の範囲であり、通常150〜300℃、好ましくは170℃〜270℃である。混練時間は、通常1〜10分間、好ましくは1〜5分間である。また、加えられる剪断力は、剪断速度で好ましくは10〜20,000sec-1、より好ましくは100〜10,000sec-1の範囲である。
【0043】
混練機としては、一軸または二軸押出機、ニーダー等を用いることができるが、非開放型の連続混練機が好ましく、2軸押出機が特に好ましい。
本発明に好ましく用いることの出来る2軸押出機は、2本のスクリュー回転方向が同一方向のもの、異なった方向のもの、或いは2本のスクリューがかみ合うもの、かみ合わないもの等任意のものが挙げられるが、その中でも特に、スクリュー回転方向が同一方向で、2本のスクリューがかみ合うものが好ましい。
本発明に用いる2軸押出機のスクリューの口径に対する長さ(L/D)は、通常25以上70以下、好ましくは30以上65以下、より好ましくは34以上60以下である。
【0044】
本発明では、軟化剤を必要に応じて連続混練機内に連続的に供給することができる。その際は、ペレット状オレフィン系樹脂及び塊状オレフィン系ゴムの粉砕物が供給されるホッパー口とは別に設けられた注入口から供給することが好ましい。
連続混練機内に本発明で好ましく用いられる2軸押出機を使用する場合には、軟化剤を2軸押出機のバレル全体の半分よりダイス側に空いた供給口から、バレル内に連続的に供給することが好ましい。
【0045】
なお、本発明においては、オレフィン系熱可塑性エラストマー組成物中のゴムは、下記の方法で測定したゲル含量が好ましくは30重量%以上、特に好ましくは50重量%以上の範囲内にある。
【0046】
[ゲル含量の測定法]
熱可塑性エラストマー組成物の試料を100mg採取し、これを0.5mm×0.5mm×0.5mmの細片に裁断した試料を、密閉容器中にて30mlのシクロヘキサンに、23℃で48時間浸漬した後、試料を濾紙上に取出し、室温で72時間以上、恒量となるまで乾燥する。
この乾燥残渣の重量からポリマー成分以外のすべてのシクロヘキサン不溶性成分(繊維状フィラー、充填剤、顔料等)の重量、およびシクロヘキサン浸漬前の試料中の結晶性オレフィン系樹脂(A)の重量を減じた値を、「補正された最終重量(Y)」とする。
一方、試料中のエチレン・α- オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムの重量を、「補正された初期重量(X)」とする。
ここに、ゲル含量は、次の式で求められる。
【0047】
ゲル含量[重量%]=[補正された最終重量(Y)/補正された初期重量(X)]×100
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。 なお、実施例および比較例のオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物について行なった物性の測定方法は、下記の通りである。
【0049】
[物性の測定方法]
(1)引張強度:JIS K 6301に準拠し、200mm/分の引張速度で、破断点の引張強度を測定した。
(2)破断伸度:JIS K 6301に準拠し、200mm/分の引張速度で、破断点の破断伸度を測定した。
(3)b値 分光光度計により黄色み(b値)を測定した。
(4)ブツの数:実施例、比較例で得られた熱可塑性エラストマーペレットを1軸押出機に供給して以下の条件で押出成形したオレフィン系熱可塑性エラストマー成形品から50cmの長さを切り取り、目盛り付きルーペを用いて成形品表面にある大きさ0.3mm以上のブツ(微少な凸部)の個数を調べた。
【0050】
条件
押出機:50mm1軸押出機、L/D=24
スクリュー:フルフライト
圧縮比:3.5
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/H/D=160/170/180/190/200/210/210
ダイス断面形状:25x2mm、コーナー部角取り1R
吐出量:7.2kg/h
【0051】
(実施例1)
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(B−1;ムーニー粘度ML1+4(100℃)94、エチレン含量78モル%、ヨウ素価13)のフライアブルベール(25kg)を、8mmφの穴の空いたパンチングプレートを付けた粉砕機(株式会社ホーライ製 U−480)で粉砕した。
その粉砕品60重量部とプロピレン単独重合体(A−1;MFR(ASTM D 1238−65T、230℃)11g/10分、密度0.91g/cm3 )のペレット40重量部と、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン−3(1分半減期温度:193℃)を0.2重量部とジビニルベンゼン0.3重量部をパラフィンオイル(40℃における動粘度;90cSt)1.0重量部で希釈し均一に混合したものをヘンシェルミキサーで充分撹拌混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、更に、全11バレル中の8番目のバレルに設けた供給口から、パラフィン系鉱物油(出光興産(株)製プロセスオイル、PW−380)20重量部をポンプで安定的に供給して動的架橋を行い、以下の条件で熱可塑性エラストマーのペレットを製造した。
【0052】
押出機:かみ合い型2軸押出機(同一回転方向)
スクリュー口径:46mm
L/D:44
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/C6/C7/C8/C9/C10/C11/D=120/120/140/140/160/180/200/220/220/220/220/200
回転数:450rpm
押出量:100kg/h
次いで、得られたペレットを190℃でプレス成形し、所定の形状に打ち抜いて物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0053】
(実施例2)
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(B−2;ムーニー粘度ML1+4(100℃)63、エチレン含量72モル%、ヨウ素価22)のフライアブルベール(25kg)を、8mmφの穴の空いたパンチングプレートを付けた粉砕機(株式会社ホーライ製 U−480)で粉砕した。
その粉砕品50重量部とプロピレン単独重合体(A−2;MFR(ASTM D 1238−65T、230℃)20g/10分、密度0.91g/cm3 )のペレット30重量部とエチレン・ブテン−1ランダム共重合体(A−3;MFR(190℃)10g/10分、密度0.93、エチレン含量97モル%)20重量部と、2,5-ジメチル-2,5- ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を0.2重量部とジビニルベンゼン0.3重量部をパラフィンオイル(40℃における動粘度;90cSt)1.0重量部で希釈し均一の混合したものをヘンシェルミキサーで充分撹拌混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、更に、全11バレル中の8番目のバレルに設けた供給口から、パラフィン系鉱物油(出光興産(株)製プロセスオイル、PW−380)15重量部をポンプで安定的に供給して動的架橋を行い、熱可塑性エラストマーのペレットを製造した。実施例1と同様に物性を評価した。結果を表1に示す。
【0054】
参考例1
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)60重量部の代わりに、エチレン・プロピレン・ジシクロペンタジエン共重合体ゴム(B−3、ムーニー粘度ML1+4(100℃)150、エチレン含量78モル%、ヨウ素価8のポリマー100重量部に対して、パラフィン系鉱物油(PW−380)を40重量部油展したもの)75重量部、プロピレン単独重合体を25重量部用い、押出機内に直接オイルを供給しなかった以外は実施例1と同様にしてオレフィン系熱可塑性エラストマーを製造し、実施例1と同様に物性を評価した。結果を表1に示す。
【0055】
(実施例
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のフライアブルベール(25kg)を、実施例1と同様に粉砕した。その粉砕品60重量部とプロピレン単独重合体(A−1)のペレット40重量部と、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を0.2重量部、及びジビニルベンゼン0.3重量部をヘンシェルミキサーで充分撹拌混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、更に、全11バレル中の8番目のバレルに設けた供給口から、パラフィン系鉱物油(出光興産(株)製プロセスオイル、PW−380)20重量部をポンプで安定的に供給して動的架橋を行い、希釈のためのパラフィンオイルを用いなかった以外は実施例1と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを製造した。結果を表1に示す。
【0056】
(実施例
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のフライアブルベール(25kg)を、実施例1と同様に粉砕した。その粉砕品60重量部とプロピレン単独重合体(A−1)のペレット40重量部と、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を0.2重量部とジビニルベンゼン0.3重量部をパラフィンオイル(40℃における動粘度;90cSt)8重量部で希釈し均一の混合したものをヘンシェルミキサーで充分撹拌混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、更に、全11バレル中の8番目のバレルに設けた供給口から、パラフィン系鉱物油(出光興産(株)製プロセスオイル、PW−380)20重量部をポンプで安定的に供給して動的架橋を行い、希釈のためのパラフィンオイルを8重量部とした以外は実施例1と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを製造した。結果を表1に示す。
【0057】
(実施例
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2-ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のフライアブルベール(25kg)を、実施例1と同様に粉砕した。その粉砕品60重量部とプロピレン単独重合体(A−1)のペレット40重量部と、2,5-ジメチル-2,5-ジ-(tert-ブチルペルオキシ)ヘキシン−3を0.2重量部とジビニルベンゼン0.3重量部をパラフィンオイル(40℃における動粘度;90cSt)1.0重量部で希釈し均一の混合したものをヘンシェルミキサーで充分撹拌混合し、2軸押出機のホッパーに投入し、更に、全11バレル中の4番目のバレルに設けた供給口から、パラフィン系鉱物油(出光興産(株)製プロセスオイル、PW−380)20重量部をポンプで安定的に供給して動的架橋を行い、パラフィン系鉱物油を注入するバレルの位置を変更した以外は実施例1と同様に熱可塑性エラストマーのペレットを製造した。結果を表1に示す。
【0058】
(比較例1)
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)のフライアブルベール(25kg)を、実施例と同様に粉砕した。
その粉砕品を50mmφの1軸押出機にフィードし一旦溶融させ、水槽を通して冷却した後ストランドカッターでペレットとした。得られたエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(R−1)のペレットを用いた以外は、実施例1と同様にオレフィン系熱可塑性エラストマーを製造し、実施例1と同様に物性測定を行った。結果を表1に示す。尚、1軸押出機の条件は以下の通りである。
設定温度:C1/C2/C3/C4/C5/H/D=100/150/160/170/180/180/180
スクリュータイプ:フルフライト
スクリュー回転数:50rpm
【0059】
(比較例2)
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)の粉砕品の代わりに 比較例1で用いた得られたエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(R−1)のペレットを用いた以外は、実施例4と同様にオレフィン系熱可塑性エラストマーを製造し、実施例1と同様に物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0060】
(比較例3)
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)の粉砕品の代わりに 比較例1で用いた得られたエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(R−1)のペレットを用いた以外は、実施例5と同様にオレフィン系熱可塑性エラストマーを製造し、実施例1と同様に物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0061】
(比較例4)
エチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(B−1)の粉砕品の代わりに 比較例1で用いた得られたエチレン・プロピレン・5-エチリデン-2- ノルボルネン共重合体ゴム(R−1)のペレットを用いた以外は、実施例6と同様にオレフィン系熱可塑性エラストマーを製造し、実施例1と同様に物性測定を行った。結果を表1に示す。
【0062】
【表1】
Figure 0004119278
【0063】
【発明の効果】
本発明に係るオレフィン系熱可塑性エラストマーの製造方法によれば、引張特性及び成形外観に優れたオレフィン系熱可塑性エラストマー組成物を生産性よく製造することができる。
本発明によって製造されたオレフィン系熱可塑性エラストマーは上述の優れた特性を有しているため、以下の用途に好適に用いることが出来る。
自動車のインストゥルメンタルパネル、ドアー、天井、座席などの内装表皮材自動車のバンパー、泥よけ、サイドモール、ウインドウモール、ルーフモールなどの外装部品
自動車のグラスランチャネル、ウエザーストリップ、ウインドウモールなどの各種シール部品
土木建材分野における各種ガスケット、シール部品、シートなど
その他日用雑貨など

Claims (6)

  1. ペレット状オレフィン系樹脂(A)と、油展されていない塊状オレフィン系ゴムを粉砕することによって得られた粉砕物(B)と、架橋剤(C)を含む混合物を2軸押出機に連続的に供給し、軟化剤を2軸押出機のバレル全体の半分よりダイス側に空いた供給口からバレル内に連続的に供給し、動的に熱処理して得られることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  2. ペレット状オレフィン系樹脂(A)10〜60重量部と、エチレンと炭素原子数が3〜20のα-オレフィンと非共役ポリエンを共重合して得られる油展されていない塊状エチレン・α-オレフィン・非共役ポリエン共重合体ゴムを粉砕することによって得られた粉砕物(B)40〜90重量部[成分(A)と(B)との合計量は100重量部とする]と、架橋剤(C)0.02〜5重量部を含む混合物を2軸押出機に連続的に供給し、軟化剤を2軸押出機のバレル全体の半分よりダイス側に空いた供給口からバレル内に連続的に供給し、動的に熱処理して得られることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  3. 粉砕物の大きさが、その90%以上の粒子が10mmΦのパンチングプレートを通過する大きさであることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  4. ペレット状オレフィン系樹脂(A)と、油展されていない塊状オレフィン系ゴムを粉砕することによって得られた粉砕物(B)と、架橋剤(C)を有機溶剤或いは油から選ばれる希釈液で希釈して得られる架橋剤含有液(C')を含む混合物を2軸押出機に連続的に供給し、軟化剤を2軸押出機のバレル全体の半分よりダイス側に空いた供給口からバレル内に連続的に供給し、動的に熱処理して得られることを特徴とする請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  5. 架橋剤含有液(C')が、有機過酸化物をパラフィン系オイルで希釈したものであることを特徴とする請求項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
  6. 架橋剤(C)と希釈液との重量比(架橋剤(C)/希釈液)が1/3〜1/30である架橋剤含有液(C')を用いることを特徴とする請求項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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