JP3610773B2 - 熱可塑性エラストマー組成物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱可塑性エラストマー組成物の製造方法、詳しくは、未架橋ゴムとポリオレフィン系樹脂から、引張強度、弾性回復性、および成形加工性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法に関する
【0002】
【従来の技術】
未架橋性ゴムとポリオレフィン系樹脂を架橋剤の存在下で動的熱処理を施すことからなる熱可塑性エラストマー組成物の製造は、種々の態様で行われている。
このうち、未架橋ゴムと架橋剤とを、バンバリーミキサーまたはニーダー中で、溶融混練して(動的に熱処理して)、架橋させた後、ポリオレフィン樹脂と混合する方法、および未架橋ゴムと架橋剤とを、バンバリーミキサーまたはニーダー中で、動的に熱処理する際、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を共存させて製造する方法などは、バンバリーミキサーまたはニーダーを使用するのでバッチ形式であり、そのため経済的でなくまた加工性に劣る。
また、前者の方法では、未架橋ゴムとポリオレフィン樹脂とが均一に混合されない場合も多く、力学特性と成形加工性のバランスなどに優れた組成物は得られない。
【0003】
また、押出機で動的熱処理を施して熱可塑性エラストマー組成物を得る場合、通常未架橋ゴムとポリオレフィン樹脂とを混合する工程、架橋剤による反応の工程および組成物を押し出す工程を一台の押出機中で行う。そのため、これら3工程のバランスをとることが難しく、例えば架橋剤の分散が均一でないまま反応が始まり均一な品質の動的架橋型熱可塑性エラストマー組成物が得られないなどの問題が生じるので、得られる熱可塑性エラストマー組成物は、引っ張り強度、弾性回復性と成形加工性のバランスに劣る。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、未架橋ゴムとポリオレフィン系樹脂とを、架橋剤の存在下に動的熱処理を行って熱可塑性エラストマー組成物を製造する方法にあって、引張強度、弾性回復性および成形加工性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物を連続的に製造する改良された方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、下記〔1〕〜〔8〕の熱可塑性エラストマー組成物を連続的に製造する方法が提供されて、上記本発明の目的が達成される。
〔1〕(イ)未架橋ゴムおよび(ロ)ポリオレフィン系樹脂を、直列に連結された2機の混練機中の1段目の混練機のみに供給して、(ハ)架橋剤の存在下で動的に熱処理し、熱可塑性エラストマー組成物を連続的に得ることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
〔2〕上記未架橋ゴムが、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合ゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である上記〔1〕に記載の方法。
〔3〕上記熱可塑性エラストマー組成物が、部分架橋構造を有する上記〔1〕または〔2〕に記載の方法。
〔4〕上記(ハ)架橋剤が、硫黄、硫黄化合物、有機過酸化物、フェノール系架橋剤、キノイド系架橋剤、(メタ)アクリル酸金属塩系架橋剤およびビスマレイミド系架橋剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の方法。
〔5〕上記直列に連結された2機の混練機中の2段目の混練機の運転を180〜280℃で行う上記〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の方法。
〔6〕上記直列に連結された2機の混練機中の2段目の混練機が、1軸または2軸の押出機である上記〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の方法。
〔7〕上記直列に連結された2機の混練機中の1段目の混練機において、2段目の混練機よりも高剪断力および低滞留時間で動的架橋処理を行う上記〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の方法。
〔8〕上記直列に連結された2機の混練機中の1段目の混練機において、混練の比エネルギーを0.19(kw・hr/kg)以上として動的熱処理を行う上記〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の方法。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳述するが、それにより本発明の他の目的、利点、および効果が明らかになるであろう。
【0007】
(イ)未架橋ゴムは、後述する(ハ)架橋剤により架橋を生じるものであれば、特に制限されない。また、少量の多官能性単量体が共重合されていて僅かに架橋構造を有するものであっても、実質上未架橋のゴムであれば、(イ)未架橋ゴムとして用いることができる。
(イ)未架橋ゴムとして、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−ブタジエン共重合ゴム、スチレン−イソプレン共重合ゴム、天然ゴム、シリコンゴム、イソプレンゴム、ポリブタジエン、アクリルゴム、クロロプレンゴム、および上記ゴムの水素添加物、ハロゲン化物、官能基変性物などが挙げられる。なかでも、イソブチレン−イソプレン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムが好ましい。
【0008】
(イ)未架橋ゴムとして好ましく用いられるエチレン−α−オレフィン共重合ゴムおよびエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム(以下、両者合わせて「エチレン系共重合ゴム」ともいう)は、エチレンと炭素数が3以上のα−オレフィンを、さらにはこれらと非共役ジエンを共重合したランダム共重合ゴムである。
エチレンと共重合される炭素数3以上、好ましくは炭素数3〜10のα−オレフィンとして、プロピレン、1−ヘキセン、1−ブテン、1−ヘキセン、1ーペンテン、1−オクテン、1−デセンなどが挙げられる。炭素数3以上のα−オレフィンは2種類以上用いてもよい。
エチレン系共重合ゴムの好ましいエチレン成分の含量は、熱可塑性エラストマー組成物の機械的強度、弾性回復性、および柔軟性のバランスの観点から、30〜85重量%、さらに好ましくは40〜80重量%である。
【0009】
上記非共役ジエンとしては、具体的に、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサジエン、1,9−デカジエン、シクロオクタジエン、ノルボルナジエン、メチレンノルボルネン、エチリデンノルボルネン、7−メチル−1,6−オクタジエンなどが挙げられる。また、公知の方法でエチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体に分岐構造を付与することも可能である。分岐構造を付与するための好ましいジエンとして、1,9−デカジエン、ノルボルナジエンなどを挙げることができる。
エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合体中、非共役ジエン成分の好ましい含量は、ヨウ素価表示で5〜50、より好ましくは10〜45である。
【0010】
エチレン系共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+4,100℃)は、ポリオレフィン系樹脂との分散性および強度を考慮して、好ましくは10〜500、より好ましくは30〜400である。
【0011】
エチレン系共重合ゴムは、公知の重合方法で例えば、バナジウム系、チタン系、メタロセン系の触媒の存在下で共重合することにより、得ることができる。
また、エチレン系共重合ゴムは、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。
複数種のエチレン系共重合ゴムを使用する方法としては、別々に重合されたベール、ペレットやクラム形状のものを混合して用いる方法、溶液状態で混合し脱溶媒して用いる方法、あるいは2段以上の多段式重合法で製造される異なるエチレン系共重合ゴムが混合したものを用いる方法などが挙げられる。
【0012】
このようなエチレン系共重合ゴムは、得られる組成物の柔軟性や弾性回復性の観点から非結晶あるいは低結晶性であることが好ましい。結晶化度は密度に関係し、一般にその結晶化度をより簡便に密度で代用することができる。本発明のエチレン系共重合ゴムにおいてはその密度が0.89g/cm 3 以下、特には0.70〜0.89g/cm 3 であることが好ましい。
【0013】
なお、エチレン系共重合ゴムは所望に応じて、予め公知の方法により鉱物油系軟化剤を油展することが可能である。好ましい油展方法は、エチレン系共重合ゴムの重合溶液中に鉱物油系軟化剤を加え、脱溶媒する方法、バンバリーミキサーなどを使用して鉱物油系軟化剤を加える方法などが挙げられる。好ましい油展量は、エチレン系共重合ゴム100重量部に対して0〜200重量部、さらに好ましくは20〜150重量部である。
【0014】
上記のエチレン系共重合ゴムの水素原子の一部が塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子で置換されたハロゲン化エチレン系共重合ゴムも、本発明の(イ)成分として用いることができる。
またエチレン系共重合ゴムあるいはハロゲン化エチレン系共重合ゴムに、塩化ビニル、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸もしくはその誘導体(例えばメチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドなど)、マレイン酸もしくはその誘導体(例えば無水マレイン酸、マレイミド、マレイン酸ジメチルなど)、共役ジエン(例えばブタジエン、イソプレン、クロロプレンなど)などの単量体がグラフト重合したグラフト共重合体も本発明の(イ)未架橋ゴムとして使用することができる。
【0015】
上記ハロゲン化エチレン系共重合ゴムあるいは上記グラフト共重合体は、エチレン系共重合ゴムと同様な範囲のムーニー粘度が好ましく、またエチレン系共重合体ゴムと同様な量、鉱物油系軟化剤で油展されていてもよい。
【0016】
イソブチレン−イソプレン共重合ゴムは、通常0.5〜15モル%、好ましくは0.8〜5.0モル%のイソプレン成分を含有する非晶質共重合体である。
イソブチレン−イソプレン共重合ゴムは、塩化アルミニウム系の触媒のもとイソブチレンとイソプレンを共重合することにより製造することができる。
イソブチレン−イソプレン共重合ゴムのムーニー粘度(ML1+8,100℃)は、好ましくは30〜100である。
イソブチレン−イソプレン共重合ゴムのハロゲン化物も本発明の(イ)未架橋ゴムとして好ましく用いられる。好ましいハロゲンは、塩素または臭素である。ハロゲン含有量は、通常0.5〜4.0重量%、好ましくは0.6〜2.0である。またハロゲン化物のムーニー粘度(ML1+8,100℃)の好ましい範囲は、イソブチレン−イソプレン共重合ゴムと同様である。
イソブチレン−イソプレン共重合ゴムおよびそのハロゲン化物は併用することができる。
【0017】
アクリロニトリル−ブタジエン系共重合ゴムとして、アクリロニトリル、メタアクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリルと、ブタジエンなどの共役ジエンを共重合した共重合体ゴムである。α,β−不飽和ニトリル成分の含有量は、耐油性および耐寒性のバランスから、好ましくは10〜50重量%、より好ましくは10〜40重量%である。
【0018】
アクリロニトリル−ブタジエン系共重合ゴムを得るための重合は、例えば通常の乳化重合で行うことができる。単量体、乳化剤、開始剤、分子量調節剤およびその他の添加剤は重合反応開始前に全量添加しても、重合反応開始後任意に分割添加してもよく、また反応途中に温度や撹拌などの操作条件を任意に変更することもできる。
重合方式は連続式、バッチ式のいずれであってもよい。アクリロニトリル−ブタジエン系共重合ゴムの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および加工性の観点から、ムーニー粘度(ML1+4、100℃)は20〜120が好ましい。
アクリロニトリル−ブタジエン系共重合ゴムとして、少量の2官能モノマーを共重合することにより部分架橋させたものや可塑剤が添加されたものを使用することができる。また2種以上のアクリロニトリル−ブタジエン系共重合ゴムを併用することができる。
【0019】
以上の(イ)未架橋ゴムは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0020】
次に、(ロ)ポリオレフィン系樹脂を説明する。ポリオレフィン系樹脂として、エチレンの単独重合体、エチレン成分を主体とする結晶性のエチレン共重合体、結晶性のプロピレンの単独重合体、およびプロピレンを主体とする結晶性のプロピレン共重合体などを好ましく挙げることができるが、これらに制限されない。
具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−ヘキセン共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体などの結晶性エチレン系重合体;アイソタクチックポリプロピレン、プロピレン/エチレン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ペンテン共重合体、プロピレン/3−メチル−1−ブテン共重合体、プロピレン/1−ヘキセン共重合体、プロピレン/3−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン/3−エチル−1−ペンテン共重合体、プロピレン/1−オクテン共重合体、プロピレン/1−デセン共重合体、プロピレン/1−ウンデセン共重合体、プロピレン/1−ブテン/エチレン3元共重合体、プロピレン/1−ヘキセン/1−オクテン3元共重合体、プロピレン/1−ヘキセン/4−メチル−1−ペンテン3元共重合体などのプロピレン成分が主成分である結晶性ポリオレフィン重合体が挙げられる。
【0021】
上記結晶性エチレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に従って、190℃、荷重2.16kgの条件下で測定した値として、0.2〜80であることが好ましい。
また上記結晶性プロピレン系重合体のメルトフローレート(MFR)は、ASTM D1238に従って、230℃、荷重2.16kgの条件下で測定した値として、0.2〜80であることが好ましい。
【0022】
上記(イ)未架橋ゴムと、上記(ロ)ポリオレフィン系樹脂の重量割合((イ)/(ロ))は、通常95/5〜10/90であり、好ましくは90/10〜40/60である。(イ)未架橋ゴムと(ロ)ポリオレフィン系樹脂の割合が上記範囲にあることにより、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は柔軟性や弾性回復性などの機械的特性と成形加工性のバランスに優れることが可能となる。
【0023】
本発明に用いられる(ハ)架橋剤は、エチレン系共重合ゴム、ジエン系ゴムなどの架橋に使用されるもの、例えば、イオウ、硫黄化合物、有機過酸化物、フェノール樹脂系架橋剤、キノイド系架橋剤、(メタ)アクリル酸金属塩系の架橋剤などが用いられる。以下、これらの架橋剤について順次説明する。
【0024】
(1)硫黄および硫黄化合物
ここで、硫黄および硫黄化合物は、通常ゴムの加硫に用いられるものであり、一般的に製造・販売されている、粉末硫黄、硫黄華、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄および不溶性硫黄などの硫黄;塩化硫黄;二塩化硫黄;モルホリンジスルフィド、アルキルフェノールジスルフィド、ジブチルチオウレアなどのチオウレア類;メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド、2−(4−モリホリノジチオ)ベンゾチアゾールなどのチアゾール類;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウムなどのジチオカルバミン酸塩類などの硫黄化合物を用いることができる。
【0025】
(2)有機過酸化物
有機過酸化物としては、例えばジクミルペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルペルオキシ)バレレード、ベンゾイルペルオキシド、p−クロルベンゾイルペルオキシド、2,4−ジクロルベンゾイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシベンゾエード、t−ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート、ジアセチルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、t−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。
【0026】
これらの有機過酸化物の中でも、分解反応が穏やかでゴムと樹脂成分がより均一に混合した後に架橋反応が進むものが好ましい。分解反応が穏やかな有機過酸化物としては、例えば1分間半減期温度を指標として表した場合に、この1分間半減期温度が充分に高く、150℃以上のものが極めて好ましく、例えば2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、1,3−ビス(t−ブチルペルオキシイソプロピル)ベンゼンが挙げられ、特に1分間半減期温度の長い2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3が最も好ましい。
【0027】
有機過酸化物と共に適当な架橋助剤を存在させると、均一かつ緩和な架橋反応が期待できる。架橋助剤としては、イオウ、p−キノンジオキシム、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレンジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジアリールファレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、ジアリールフタレート、テトラアリールオキシエタン、トリアリールシアヌレート、N,N−m−フェニレンビスマレイミド、無水マレイン酸、ジビニルベンゼン、ジ(メタ)アクリル酸亜鉛、トリ(メタ)アクリル酸アルミ、ジ(メタ)アクリル酸マグネシウムなどが用いられる。好ましくはN,N−m−フェニレンビスマレイミド、p,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム、ジビニルベンゼンを用いるのが望ましい。また、N,N−m−フェニレンビスマレイミド単独やジ(メタ)アクリル酸亜鉛、トリ(メタ)アクリル酸アルミ、ジ(メタ)アクリル酸マグネシウムのアクリル酸金属塩単独で架橋剤として用いることもできる。
【0028】
これらの有機過酸化物は、均一かつ緩和な部分架橋を行う観点から、(イ)未架橋ゴムと(ロ)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部に対して、好ましくは0.02〜1.5重量部、より好ましくは0.05〜1.0重量部の割合で配合して用いられる。
また架橋助剤は、(イ)未架橋ゴムと(ロ)ポリオレフィン系樹脂の合計量100重量部当たり3重量部以下、好ましくは0.2〜2重量部の割合で用いることが望ましい。
配合割合がこの範囲内であれば、本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、均一性およびそれに伴う加工性が維持される。なお、過剰の使用は、未反応の単量体として熱可塑性エラストマー組成物中に残存し、それを成形加工する際の熱履歴により物性の変化を生じた場合があるので注意が必要である。
【0029】
(3)フェノール系架橋剤
本発明に使用することができるフェノール系架橋剤は、アルカリ触媒中において、置換フェノールとアルデヒドの縮重合により得られる、例えば米国特許3287440号および同3709840号の各明細書に記載されているようなゴム用架橋剤として一般的に使用されているものである。
【0030】
上記フェノール系架橋剤の使用量は、本発明の熱可塑性エラストマー組成物の架橋を適切にし、耐油性、形状回復性、柔軟性を良好にするために(イ)未架橋ゴムと(ロ)ポリオレフィン系樹脂の合計100重量部に対して0.1〜10重量部、より好ましくは0.3〜5重量部、更に好ましくは0.4〜2重量部である。
フェノール系架橋剤は単独でも使用できるが、架橋速度を調節するために、架橋促進剤と併用することもできる。フェノール系架橋剤の架橋促進剤としては、塩化第一スズ、塩化第二鉄の金属ハロゲン化物、塩素化ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、臭化ブチルゴム、クロロプレンゴムなどの有機ハロゲン化物を挙げることができる。また酸化亜鉛のような金属酸化物やステアリン酸などの分散剤を併用することにより、好ましい結果が得られる。
【0031】
(4)キノイド系架橋剤
好ましいキノイド系架橋剤として、p−キノンジオキシムの誘導体を挙げることができる。具体的には、p−ベンゾキノンジオキシム、p−ジベンゾイルキノンジアミドなどである。
キノイド系架橋剤の使用量は、既に述べたフェノール系架橋剤の場合と同じ理由で(イ)未架橋ゴムと(ロ)ポリオレフィン系樹脂の合計100重量部に対して好ましくは0.2〜10重量部、より好ましくは0.5〜7重量部、更に好ましくは0.8〜3重量部である。
キノイド系架橋剤は単独でも使用できるが、架橋速度を調節するために、架橋促進剤と併用することもできる。キノイド系架橋剤の架橋促進剤としては、鉛丹、ジベンゾチアゾイルサルファイド、テトラクロロベンゾキノンなどの酸化剤を用いることができる。また、酸化亜鉛のような金属酸化物やステアリン酸などの分散剤を用いることにより、より好ましい結果が得られる。
【0032】
(5)(メタ)アクリル酸金属塩系架橋剤
(メタ)アクリル酸金属塩系架橋剤は、アクリル酸およびメタアクリル酸などの(メタ)アクリル酸の亜鉛塩、カルシウム塩などである。これらの塩は、通常例えば酸化亜鉛や炭酸亜鉛とメタクリル酸との反応により得られる。具体的にはジメタクリル酸亜鉛、ジメタクリル酸カルシウム、ジメタクリル酸マグネシウム、ジメタクリル酸モノヒドロキシアルミニウムやトリメタクリル酸アルミニウム、ジアクリル酸亜鉛、ジアクリル酸カルシウム、ジアクリル酸マグネシウム、ジアクリル酸モノヒドロキシアルミニウムやトリアクリル酸アルミニウムなどである。(メタ)アクリル酸金属塩系架橋剤を主成分として動的に熱処理を行う場合の(メタ)アクリル酸金属塩系架橋剤の好ましい使用量は、未架橋ゴムとポリオレフィン系樹脂の合計100重量部に対して、好ましくは1〜20重量部、より好ましくは4〜12重量部である。
【0033】
(6)ビスマレイミド系架橋剤
ビスマレイミド系架橋剤として通常用いられものは、N,N’−m−フェニレンビスマレイミドである。ビスマレイミド系架橋剤は、通常有機過酸化物架橋の架橋助剤として用いられるが、単独で用いた場合でも架橋反応が生じることが知られており、本発明の熱可塑性エラストマー組成物に配合することができる。
ビスマレイミド系架橋剤の好ましい使用量は、未架橋ゴムとポリオレフィン系樹脂の合計100重量部に対して、0.05〜10重量部、より好ましくは0.1〜5重量部、さらに好ましくは0.2〜2重量部である
【0034】
本発明では、ブリードアウトしない範囲で通常ゴムに用いられる軟化剤、可塑剤を添加することができる。例えば、アロマティック系、ナフテン系、パラフィン系の石油系軟化剤、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルアジペート、ジオクチルセバゲート、トリクレジルホスフェート、アジピン酸系ポリエステル、ポリエーテル系の可塑剤などが用いられる。
本発明の熱可塑性エラストマー組成物には、その用途に応じ、機械的強度、柔軟性、成形性を阻害しない程度の量の酸化防止剤剤、帯電防止剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、滑剤、ブロッキング防止剤、シール性改良剤、結晶核剤、難燃化剤、防菌剤、防かび剤、粘着付与剤、軟化剤、可塑剤、酸化チタン、カーボンブラックなどの着色剤、ガラス繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、ガラスビーズ、マイカ、炭酸カルシウム、チタン酸カリウムウイスカー、タルク、硫酸バリウム、ガラスフレーク、フッ素樹脂などの充填剤、シリコンゴム、アクリルゴムなどのゴム質重合体、熱可塑性樹脂、低結晶性プロピレン系重合体、水添ジエン系重合体などの熱可塑性エラストマーなどを適宜配合することができる。
【0035】
次に、本発明の製造方法で使用する直列に連結された2段の混練機について説明する。
直列に連結された2段の混練機は、1段目の混練機から2段目の押出機へ、組成物が好ましくは溶融状態で供給される。この場合、通常の1軸あるいは2軸の押出機2機が直列に連結され、組成物が連続的に供給できるような機構のものを用いてもよいが、本発明では1段目として下記する特徴を持つ連続式の混練機を用いることが好ましい。
【0036】
1段目の連続式混練機は、混練用のローター、パドル、デイスク、スクリューなどが混練軸にとりつけられており、この混練軸の回転により高剪断力で動的に熱処理を行うことができる機構の混練機が好ましい。具体的には、混練軸の回転数が100rpm以上、比エネルギーが0.19(kw・hr/kg)以上であることが好ましい。ここで比エネルギーとは、動的熱処理を行っている連続混練機の駆動動力PS(単位:kw)を押出量Q(単位:kg/hr)で除した値として定義され、従ってその単位はkw・hr/kgである。
このような比エネルギーを与える連続混練機としては、かみ合異方向回転2軸ロータ式のものが挙げられる。
また、1段目において材料の加熱は、自己発熱によるものが好ましい。上記のような高剪断力で混練を行えば、十分に(ロ)ポリオレフィン系樹脂の溶融および架橋剤と未架橋ゴムの反応に十分な熱量が与えられる。また、温度を制御する目的で混練機バレル中に水やオイルなどの冷媒を通してもよい。
このような、高剪断力および自己発熱による加熱の機構を持つ連続式の混練機を用いることにより、ポリオレフィン系樹脂の溶融、未架橋ゴムの架橋と分散のバランスが良く、未架橋ゴムが微分散されかつ架橋する。その結果、成形加工性と、引張強度および弾性回復性などの力学物性とのバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
【0037】
二段目の混練機では、1段目で動的熱処理を施した混練物を低剪断力で安定的に押し出すことが可能であれば、どのようなものでもよく、特に限定されない。通常は市販の1軸あるいは2軸の連続式押出機が用いられる。
一段目から二段目への混練物の供給は、混練物が溶融した状態で行われる。この搬送部は、好ましくは密閉され、その搬送距離も短いことが好ましい。
【0038】
本発明の製造法は、本発明に記載したいずれの架橋剤を用いた場合にも有効であるが、特に有機パーオキサイドを用い、未架橋ゴムを部分架橋して熱可塑性エラストマー組成物を得る場合に、その効果が顕著であり、従来の製造法では不可能であった完全架橋と同等の力学的特性を得ることが可能である。
【0039】
溶融状態で1段目から2段目へ混練物を搬送することができる2機の混練機が直列に連結した機構のものとして、市販のものを用いることが可能であり、例えばBussコニーダ(Buss社製)、KRCニーダ(栗本鉄工所製)、ミクストロン連続混練機(神戸製鋼所製)を用いることができるが、なかでもミクストロン連続式混練機(神戸製鋼所製)が好ましい。
【0040】
1段目の混練機の運転は、好ましくはローター回転数が100rpm以上、特には200〜1500rpmとし、温度を好ましくは160〜280℃、特には170〜250℃として行われる。また2段目の混練機の運転は、混練物の反応が終結する温度、好ましくは約180〜280℃、より好ましくは約200〜250℃の温度で行われる。
【0041】
【実施例】
以下実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されることはない。
なお、実施例中、部および%は特に断らないかぎり重量基準である。
また、実施例中の各種の測定は、以下の方法によった。
【0042】
(1)JIS A硬度
JIS K6301に準拠して測定した。
(2)弾性回復性
弾性回復性の指標として圧縮永久歪を用いた。
測定条件は、70℃×22時間、25%圧縮の条件であり、圧縮永久歪みの小さいほど、弾性回復性がよい。
(3)引張強さおよび最大伸び
JIS K6301に準拠して測定した。
(4)流動性
MFRを下記の条件にて流動性を測定した。
温度;230℃
荷重;10kg
(5)成形性
射出成形性および押出成形性について評価した。
▲1▼射出成形性:日本製鋼社製6.5オンスの射出成形機で平板を射出成形した。成型品のヒケ、ヤケ、金型転写性について下記の4段階で評価した。
射出成形
◎:ヒケ、やけが無く、金型鏡面も十分に転写し、バリなどの発生もない。
○:ヒケ、やけが少なく、金型鏡面もほぼ転写している
△:ヒケ、やけ、金型転写不十分のいずれかの現象が発生している。
×:重大なヒケ、やけ、金型転写不十分のいずれかの現象が発生している。
▲2▼押出成形性:ナカタニ機械社製の30mm押出機にTダイを取り付けシートの成形を行い、表面肌について4段階で評価を行った。
押出成形性
◎:表面が十分に平滑である。
○:表面は平滑であるが、やや荒れている。
△:シャークスキンが発生している
×:メルトフラクチャーが発生している。
【0043】
使用した各成分は、下記の通りである。
(1)(イ)成分
・エチレン系共重合ゴム混合物
上記成分は下記表1および表2の通りである。
表1のEP−1〜EP−4は、1段重合によるエチレン−プロピレン−ジエンランダム共重合ゴムである。
表2のEP−5は、2段重合による2種のエチレン−プロピレン−ジエンランダム共重合ゴムの混合物である。
【0044】
【表1】
*ML1+4,100℃
【0045】
【表2】
ENB :エチリデンノルボルネン
DCPD:ジシクロペンタジエン
【0046】
・イソブチレン−イソプレン共重合ゴム
IIR:イソプレン−イソブチレン共重合ゴム〔JSR製、Butyl268〕
Cl−IIR:塩素化イソプレン−イソブチレン共重合ゴム〔JSR製、ChloroButyl1068〕
Br−IIR:臭素化イソプレン−イソブチレン共重合ゴム〔JSR製、BromoButyl1068〕
・アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム
NBR−1:アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム〔JSR製、N230S〕
NBR−2:アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム〔JSR製、N250S〕
NBR−3:アクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴム〔JSR製、PN30A〕
【0047】
(2)(ロ)成分(ポリオレフィン系樹脂)
PP−1:ポリプロピレン〔日本ポリケム製 MA−03〕
PP−2:ランダムポリプロピレン〔日本ポリケム製 MG−03A〕
PP−3:ブロックポリプロピレン〔日本ポリケム製 BC−03C〕
PP−4:ブロックポリプロピレン〔日本ポリケム製 BC−5CW〕
PP−5:ランダムポリプロピレン〔日本ポリケム製 EX−6〕
PE:線状低密度ポリエチレン〔日本ポリケム製、UJ370〕
【0048】
(3)(ハ)架橋剤成分
架橋剤1:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)−ヘキシン−3〔日本油脂製 パーヘキシン25B−40〕
架橋剤2:N,N−m−フェニレンビスマレイミド〔大内新興化学工業製 バルノックPM〕
架橋剤3:アルキルフェノールホルムアルデヒド〔田岡化学製 タッキロール201〕
架橋剤4:臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド〔田岡化学製 タッキロール250〕
架橋剤5:p−ベンゾキノンジオキシム 〔川口化学製 アクターQ〕
架橋剤6:テトラクロロベンゾキノン 〔川口化学製 アクターCL〕
架橋剤7:ジメタクリル酸亜鉛 〔浅田化学製〕
【0049】
(4)添加剤
添加剤1:ジビニルベンゼン 〔三共化成製〕
添加剤2:塩素化ポリエチレン〔昭和電工製 エラスレン301A〕
添加剤3:1号亜鉛華〔白水化学製 2種亜鉛華〕
添加剤4:ステアリン酸〔花王製 ルナックS30〕
(5)軟化剤
軟化剤1:パラフィン系オイル〔出光興産製、PW−380〕
軟化剤2:ナフテン系オイル〔出光興産製、NS−100〕
軟化剤3:ジオクチルフタレート〔新日本理化製、DOP〕
【0050】
(6)その他ポリマー
(i)水添ジエン系共重合体
水添SBR:〔JSR製 ダイナロン1320P〕
CEBC :〔JSR製 ダイナロン6200P〕
SEBS :〔シェル化学製 KraytonG 1657〕
SEPS :〔クラレ製 SEPTON2005〕
(ii)低結晶性α−オレフィン重合体
APAO〔宇部レキセン製 ウベタックAPAO2585〕
CAP:50重量%含有PP〔宇部レキセン製 CAP350〕
【0051】
実施例1〜41、比較例1〜17
表3〜8に示す配合処方により、実施例および比較例に示した各種押出機により熱可塑性エラストマー組成物を作成し、各種特性につき上記した方法により評価した。原料の調製方法、動的熱処理方法、オイル添加方法、評価用サンプルの調整方法につき下記する。結果を表3〜10に示した。
【0052】
1.原料の調製法
本発明の熱可塑性エラストマー組成物である未架橋ゴムおよびポリオレフィン系樹脂については以下の調製方法で必要に応じて加工し連続式二段混練機に投入した。
調製法1:クラム状の未架橋ゴム、ポリオレフィン系樹脂、架橋剤、架橋助剤とをドラム型タンブラー中で5分間混合した。
調製法2:ベール状の未架橋ゴムをゴム用の粉砕器で粉砕した後、ポリオレフィン系樹脂、架橋剤、架橋助剤とをドラム型タンブラー中で5分間混合した。
調製法3:ベール状の未架橋ゴムとポリオレフィン系樹脂をニーダーで溶融混合した後、ロールにてシートを作製した。さらにシートカッターで角ペレットを作製した。さらに、架橋剤、架橋助剤とをドラム型タンブラー中で5分間混合した。
【0053】
2.動的熱処理
以下の製造法に従い、動的熱処理を行った。
(1)製造法1
下記の二段連続式混練機および運転条件にて熱可塑性エラストマー組成物の調製を行った。二段目の二軸押出機で得られるストランドを冷却カッティングすることにより組成物のペレットを得た。
〔製造装置〕
一段目:ミクストロンNCM50〔スクリュー径50mm、L/D=7(混練部L/D=3.5、混練部翼形状として送り翼と戻し翼からなっているローター)
二段目:2軸押出機KTX44(神戸製鋼所製)〔同方向回転完全噛み合いスクリュー、L/D=32.5〕
〔運転条件〕
一段目:比エネルギー=0.1〜0.46kw・hr/kg
ロータ回転数=80〜550rpm
被処理物供給量=20〜50kg/hr
オリフィス全開
ロータ、バレル、水冷却
二段目:比エネルギー=約0.08kw・hr/kg
スクリュー回転数=150rpm
温度=210℃
【0054】
(2)製造法2
製造法1において二段目を下記の一軸押出機へ変更して熱可塑性エラストマー組成物の調製を行った。
〔製造装置〕
1軸押出機KE65(神戸製鋼所製)〔同方向回転完全噛み合いスクリュー、L/D=16〕
〔運転条件〕
比エネルギー=約0.06kw・hr/kg
スクリュー回転数=70rpm
温度=210℃
【0055】
(3)製造法3
下記のバッチ式混練システムにより熱可塑性エラストマー組成物の調製を行った。フィーダールーダーより得られるストランドをカッティングすることによりペレットを得た。
〔製造装置〕
一段目:10Lニーダー(森山製作所製)
二段目:フィーダールーダー
〔運転条件〕
一段目:
回転数:60rpm
温度:180℃
混練時間:15分
二段目:
回転数(ルーダー部):60rpm
温度:200℃
処理量:25kg/hr
【0056】
(4)製造法4
二軸押出機により動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマー組成物の調製を行った。二軸押出機から得られるストランドを冷却、カッティングすることによりペレットを得た。
〔製造装置〕
2軸押出機:PCMー45(池貝鉄工所製)〔同方向完全噛み合い型スクリュー、L/D=33.5、混練ゾーン2部分〕
〔運転条件〕
比エネルギー=0.2〜0.25kw・hr/kg
回転数=100〜200rpm
温度=160〜220℃
被処理物供給量 20kg/hr
【0057】
(5)製造法5
一軸押出機により動的熱処理を行い、熱可塑性エラストマー組成物の調製を行った。一軸押出機から得られるストランドを冷却、カッティングすることによりペレットを得た。
〔製造装置〕
一軸押出機:40mm一軸押出機(田辺プラスチック製)〔ダルメージ入りスクリュー、〕
〔運転条件〕
比エネルギー=0.02〜0.10kw・hr/kg
回転数=60〜100rpm
温度=160〜220℃
被処理物供給量 10kg/hr
【0058】
(6)製造法6
製造4の二軸押出機で作製した熱可塑性エラストマー組成物のペレットを再度二軸押出機へ投入し、熱可塑性エラストマー組成物のペレットを作製する。
【0059】
3.オイルの添加方法
添加法1:連続二段式混練機の1段目で途中添加
添加法2:連続二段式混練機の2段目で途中添加
添加法3:1段式押出機で途中添加
添加法4:上記調整法3で未架橋ゴムとポリオレフィン系樹脂をニーダーで混練する際に添加。
【0060】
4.サンプルの調製法
得られた熱可塑性エラストマー組成物は各種試験に供するため、射出成形でサンプルを作製した。
射出成形により、日本製鋼所製6.5オンスの射出成形機を使用して2mm厚の平板を作製した。ダンベルカッターを用いてこの平板より試験片を打ち抜き試験に供した。硬度JIS A、永久伸びおよび引張強さの評価については、シートからダンベルカッターにて所定の試験片を打ち抜いた。さらに、圧縮永久歪の評価については、前記射出成形機あるいはプレス成形機にて作製した2mm厚のテストピースを用い、打抜き後、積み重ねによって規定の寸法になるように調製し、試験に供した。
【0061】
【表3】
【0062】
【表4】
【0063】
【表5】
【0064】
【表6】
【0065】
【表7】
【0066】
【表8】
【0067】
【表9】
【0068】
【表10】
【0069】
実施例1〜31と比較例1〜11は、未架橋ゴムとしてEPDMを使用したものである。
実施例1〜9と比較例1〜4と8〜11は、種々のEPDMとポリオレフィン系樹脂を使用した場合について比較したものである。
実施例10、11と比較例6、7は、種々の硬度に調整したサンプルを比較したものである。
これらの比較により本発明の熱可塑性エラストマーの製造方法を採用することにより、機械的強度−弾性回復性−成形加工性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られることがわかる。
実施例12〜19は様々の架橋系について、実施例21は原料調製法を変更したもの、実施例22〜25は軟化剤を添加したもの、実施例26〜31はその他ポリマーを添加した系について例示してあるが、いずれの場合も、機械的強度−弾性回復性−成形加工性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られることがわかる。
実施例32〜37と比較例12〜14はブチルゴムを、実施例38〜41と比較例15〜17はNBRをそれぞれ未架橋ゴムとして使用した例であるが、いずれのばあいも、本発明の製造法によれば機械的強度−弾性回復性−成形加工性のバランスに優れた熱可塑性エラストマー組成物が得られることがわかる。
【0070】
【発明の効果】
本発明の製造法によれば、弾性回復性や機械的強度に優れるとともに、成形加工性にも優れる熱可塑性エラストマー組成物が得られる。
したがって、軟質塩化ビニル樹脂や加硫ゴムが使用されている、自動車の内・外装部品、弱電部品のパッキンハウジングなどの部品、工業用部品、防水シート部品、ガスケットシール部品、医療用のパッキンや栓体などに使用することが出来る
Claims (8)
- (イ)未架橋ゴムおよび(ロ)ポリオレフィン系樹脂を、直列に連結された2機の混練機中の1段目の混練機のみに供給して、(ハ)架橋剤の存在下で動的に熱処理し、熱可塑性エラストマー組成物を連続的に得ることを特徴とする熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 上記未架橋ゴムが、エチレン−α−オレフィン共重合ゴム、エチレン−α−オレフィン−非共役ジエン共重合ゴム、イソブチレン−イソプレン共重合ゴムおよびアクリロニトリル−ブタジエン共重合ゴムからなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 上記熱可塑性エラストマー組成物が、部分架橋構造を有する請求項1又は2に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 上記(ハ)架橋剤が、硫黄、硫黄化合物、有機過酸化物、フェノール系架橋剤、キノイド系架橋剤、(メタ)アクリル酸金属塩系架橋剤およびビスマレイミド系架橋剤からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 上記直列に連結された2機の混練機中の2段目の混練機の運転を180〜280℃で行う請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 上記直列に連結された2機の混練機中の2段目の混練機が、1軸または2軸の押出機である請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 上記直列に連結された2機の混練機中の1段目の混練機において、2段目の混練機よりも高剪断力および低滞留時間で動的架橋処理を行う請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
- 上記直列に連結された2機の混練機中の1段目の混練機において、混練の比エネルギーを0.19(kw・hr/kg)以上として動的熱処理を行う請求項1〜7のいずれか1項に記載の熱可塑性エラストマー組成物の製造方法。
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