JP3011648B2 - 防水シート - Google Patents

防水シート

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JP3011648B2
JP3011648B2 JP7264321A JP26432195A JP3011648B2 JP 3011648 B2 JP3011648 B2 JP 3011648B2 JP 7264321 A JP7264321 A JP 7264321A JP 26432195 A JP26432195 A JP 26432195A JP 3011648 B2 JP3011648 B2 JP 3011648B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱可塑性エラストマ
ー組成物からなる防水シートに関し、更に詳しくは80
℃を超える炎天下の様な高温領域においても高い耐熱軟
化性とより一層ゴム的な性状を有し、下地に対する追従
性に優れかつ高強度な物性を保有する防水シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来、廃棄物処分場用遮水シート及びト
ンネル工法等で使用される防水シート、更にまた建築用
ルーフィング材料等に使用される防水シート等に用いら
れている材質として、エチレン・プロピレン・ジエン共
重合ゴム(EPDM)系の加硫ゴム組成物などは、柔軟
性、耐候性には優れているものの機械的強度が不足した
り、熱融着できないという欠点があった。一方多く使用
される高密度ポリエチレン(HDPE)などの樹脂材料
は、高破壊強度は有しているが、柔軟性に欠けるととも
に、熱融着性は有するものの硬いため熱をかけても物理
的に融着しにくく、加工性に劣るという欠点があった。
更に、エチレン/プロピレン系及びスチレン/エチレン
/ブタジエン共重合体等の熱可塑性、樹脂材料はいわゆ
るハードブロック/ソフトブロックからなる熱可塑性エ
ラストマーであり、柔軟ではあるが熱による軟化が著し
く、直射日光下で外部応力により破壊し易いという欠点
を有していた。
【0003】そこでこのような問題を解決するために、
ポリプロピレン系樹脂(PP)とEPDMゴム組成物よ
りなりゴム組成物に動的加硫を施した熱可塑性エラスト
マー組成物を使用し、EPDM系組成物/PP系樹脂の
比率の制御、更にはゴム組成物に対する加硫剤、可塑
剤、軟化剤等の配合剤により物性を制御してきた。例え
ば、特開平2−235949号公報では、エチレン−α
・オレフィン・非共役ジエン系共重合ゴム組成物、結晶
性ポリオレフィン樹脂および必要により鉱物系軟化剤を
フェノール系加硫剤を用いて動的に加硫することで得ら
れ、耐油性、高温機械特性および圧縮永久歪などの形状
回復性を保持したまま、成形性が良好な熱可塑性エラス
トマー組成物について記載されている。そして、結晶性
ポリオレフィン樹脂として、結晶性プロピレン・α−オ
レフィン共重合体が例示されているが、これはブロック
共重合体であり、破壊強度が低く、かつ耐熱軟化性が未
だ充分ではないという問題点がある。
【0004】また特開平2−255733号公報にはエ
チレン・プロピレン・ジエン系ゴムとポリプロピレンか
ら成る熱可塑性エラストマーにポリエチレンを混合する
ことにより、より柔軟なシートを製造しているが、この
シートは混合するポリエチレンの融点が低いことから耐
熱軟化性は低く、真夏の炎天下などにシートの強度が低
下し、防水シートとしての使用時の応力に対する耐破壊
特性が十分でなく安全性に問題を残している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、前
述した従来技術の問題点を排除して、従来の防水シート
に比較して耐熱軟化が高くかつ破壊強度に優れた熱可塑
性エラストマー組成物から成る防水シートを提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に従えば、シンジ
オタクチック構造を有するポリプロピレン10〜95重
量%と残余のアイソタクチックポリプロピレンとから成
熱可塑性樹脂成分(A)と、エチレン・プロピレン系
共重合ゴム及び/又はブチル系ゴムから成るエラストマ
ー成分(B)とを(A):(B)の重量比15:85〜
90:10で含んで成り、熱可塑性樹脂成分の体積分率
φm及び混合条件における溶融粘度ηm,エラストマー
成分の体積分率φd及び溶融粘度ηdとしたとき α=(φd/φm)×(ηm/ηd) の値が1以下である熱可塑性エラストマー組成物からな
る防水シートが提供される。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成及び作用効果
について詳しく説明する。シンジオタクチックポリプロ
ピレンは古くよりその存在は知られていたが、従来のバ
ナジウム化合物とエーテルおよび有機アルミニウムから
なる、いわゆるチーグラー触媒で低温重合する方法はシ
ンジオタクチック性が悪く、シンジオタクチックなポリ
プロピレンの特徴を表しているとは言い難く、ましてエ
チレンとプロピレンとの共重合体は結晶性のポリプロピ
レンとは言い難いものであった。これに対して、J.
A.EWENらにより非対称な配位子を有する遷移金属
触媒成分とアルミノキサンからなるいわゆるメタロセン
触媒によってシンジオタクチックペンタッド分率が0.
7を超えるようなタクティシティーの良好なポリプロピ
レンを得られることが初めて発見された(J. Am. Chem.
Soc., 110, 6255-6256,1988) 。
【0008】本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物
に配合される実質的にシンジオタクチック構造のポリプ
ロピレンを合成するに好適な触媒としては、上記文献に
記載された化合物が例示できるが、異なる構造であって
もプロピレンの単独重合体を製造した時、得られる重合
体のシンジオタクチックペンタッド分率(A.Zambelllら
Macromolecules, 6, 687(1973),同 8, 925(1975))
0.7以上程度の比較的タクティシティーが高い重合体
を与える触媒系であれば利用可能であり、例えば、非対
称な配位子を有する遷移金属化合物と有機アルミニウム
からなる触媒系、いわゆるメタロセン触媒系が有効であ
る。
【0009】好適な触媒系の例としては上記文献に記載
されたイソプロピル(シクロペンタジエニル−1−フル
オレニル)ハフニウムジクロリド、あるいはイソプロピ
ル(シクロペンタジエニル−1−フルオレニル)ジルコ
ニウムジクロリドなどが例示され、また有機アルミニウ
ムとしてはアルミノキサンあるいはアルキルアルミニウ
ムが例示でき、アルミノキサンとしては、アルキルアル
ミニウムを水で縮合した形状のものが例示でき、特にメ
チルアルミノキサンが有効であり、重合度として、5以
上、好ましくは10以上のものが利用される。
【0010】上記遷移金属触媒成分に対するアルミノキ
サンの好ましい使用割合としては10〜1000000
モル倍、通常50〜5000モル倍である。またアルキ
ルアルミニウムと安定アニオン、あるいはそれを発生す
る化合物を組み合わせたものも利用できる。
【0011】また重合条件については特に制限はなく、
不活性媒体を用いる溶媒重合法、或いは実質的に不活性
媒体の存在しない塊状重合法、気相重合法も利用でき
る。重合温度としては−100〜200℃、重合圧力と
しては常圧〜100kg/cm2 で行うのが一般的である。
好ましくは−100〜100℃、常圧〜50kg/cm2
ある。
【0012】また重合に際し、プロピレン90重量%以
上に対し、10重量%以下の量でエチレン、又は炭素数
4以上のα−オレフィン、例えばブテン−1、ペンテン
−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、4−メチルペンテ
ン−1と共重合することが可能であり、10重量%より
多いと組成物の特性、例えば柔軟性、耐熱変形、成形加
工性等が不良となり好ましくない。
【0013】本発明で使用されるシンジオタクチックポ
リプロピレンホモポリマーのシンジオタクチックペンタ
ッド分率は好ましくは0.7以上、特に好ましくは0.
85以上であり、0.7未満のものは耐熱変形性、成形
加工性が劣る。
【0014】本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物
の熱可塑性樹脂成分(A)は10〜95重量%、好まし
くは15〜95重量%のシンジオタクチック構造を有す
るポリプロピレンと残余のアイソタクチックポリプロピ
レンとから成る。シンジオタクチック構造を有するポリ
プロピレンの含有量が10重量%未満では組成物の柔軟
性耐熱変形性に欠け、また、逆に95重量%を超えると
防水シートとしての耐熱性及び所望の他の特性(耐油
性、耐水性、耐透過性等)の制御が十分でなくなるので
好ましくない。
【0015】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構
成するアイソタクチックポリプロピレンは公知の熱可塑
性樹脂である。
【0016】本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物
を構成するエラストマー成分はエチレン・プロピレン共
重合ゴム(EPM)、エチレン・プロピレン・ジエン共
重合ゴム(EPDM)などのエチレン・プロピレン系共
重合ゴム、ブチルゴム、塩素化ブチルゴム、臭素化ブチ
ルゴム、変性ブチルゴム(例えばイソブチレン−パラ−
アルキルスチレン共重合体の臭素化物、X−PMS)な
どのブチル系ゴムの少なくとも1種のエラストマーから
なり、従来から汎用されているものを使用することがで
きる。エチレン/プロピレン共重合ゴム(EPM)はエ
チレン・プロピレンの共重合体よりなり、市販品として
日本合成ゴム(株)JSR EP−11等を例示するこ
とができる。エチレン・プロピレン・ジエン共重合ゴム
は、下記式(1)で示される化合物で、エチレン、プロ
ピレンと第3成分Xとからなる共重合ゴム(EPDM)
である。市販品としては三井石油化学(株)製の三井E
PT 4070等を例示することができる。プロピレン
含有量は、10〜70モル%、さらには15〜50モル
%のものが好ましい。第3成分Xとしては、エチリデン
ノルボルネン、ジシクロペンタジエン、1,4−ヘキサ
ジエン等が挙げられる。中でも、加硫速度の速いエチリ
デンノルボルネンであるのが好ましい。第3成分Xの量
は、ヨウ素価で3〜25、さらには、5〜20程度とす
るのが好ましい。
【0017】
【化1】
【0018】本発明に使用するブチル系ゴム組成物に使
用し得るゴムとしては、ブチルゴム(IIR)、塩素化
ブチルゴム(Cl−IIR)、臭素化ブチルゴム(Br
−IIR)等が好適に例示され、中でも特に、平均分子
量35万〜45万程度、塩素化率1.1〜1.3%程度
の塩素化ブチルゴムが好ましい。さらに、ブチル系ゴム
の1態様として前記特開平5−508435号公報に開
示されているような、C4 〜C7 イソモノオレフィンと
p−アルキルスチレンのハロゲン(例えばBr,Cr,
I)含有共重合体ゴムであって、p−アルキルスチレン
含有量が全共重合体ゴムの0.5〜80重量%、好まし
くは5〜20重量%、ハロゲン含有量が1.0重量%以
上、好ましくは1.0〜5.0重量%で、ムーニー粘度
ML1+6 (125℃)が20以上、好ましくは30〜7
0の共重合体ゴムを用いることができる。
【0019】なお、かかる共重合体ゴムのひとつとして
は、エクソン化学よりEXXPROとして市販されてお
り、例えばイソブチレンとp−メチルスチレンとの共重
合体ゴムをBr2 で一部臭素化した下記構造(2)又は
(3)の共重合体ゴムである。これは本願発明において
好適に用いることができる。これらの共重合体ゴムは、
後述する熱可塑性樹脂とゴム組成物との混練加工時の安
定性に優れたものである。
【0020】
【化2】
【0021】本発明に係る熱可塑性エラストマー組成物
を構成する熱可塑性樹脂成分(A)とエラストマー成分
(B)との割合は(A):(B)=15:85〜90:
10である。熱可塑性樹脂成分の配合量が少ないと熱可
塑性エラストマー組成物の流動性が悪く、シートの成形
が困難になり、逆に多過ぎるとシートの柔軟性及び耐熱
軟化性に劣り好ましくない。
【0022】前記した特定の熱可塑性樹脂とエラストマ
ーとの相溶性が異なる場合は、第3成分として適当な相
溶化剤を用いて両者を相溶化させるのが好ましい。系に
相溶化剤を混合することにより、熱可塑性樹脂成分とエ
ラストマー成分との界面張力が低下し、その結果、分散
層を形成しているゴム粒子径が微細になることから両成
分の特性はより有効に発現されることになる。そのよう
な相溶化剤としては一般的に熱可塑性樹脂成分、エラス
トマー成分の両方又は片方の構造を有する共重合体、或
いは熱可塑性樹脂成分又はエラストマー成分と反応可能
なエポキシ基、カルボキシル基、カルボニル基、ハロゲ
ン基、アミノ基、オキサゾリン基、水酸基等を有した共
重合体の構造をとるものとすることができる。これらは
混合される熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分の種類
によって選定すれば良いが、通常使用されるものにはス
チレン・エチレンブチレン・スチレン系ブロック共重合
体(SEBS)及びそのマレイン酸変性物、EPM,E
PDM/スチレン又はEPDM/アクリロニトリルグラ
フト共重合体及びそのマレイン酸変性物、スチレン/マ
レイン酸共重合体、反応性フェノキシン等を挙げること
ができる。かかる相溶化剤の配合量には特に限定はない
が、好ましくはポリマー成分(熱可塑性樹脂とエラスト
マーの総和)100重量部に対して、0.5〜10重量
部が良い。
【0023】本発明の熱可塑性エラストマー組成物に
は、さらに架橋剤、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤等の
加硫系を使用し、熱可塑性樹脂成分とエラストマー成分
を混練中に加硫剤を添加し、混練中に加硫させる、即
ち、動的に加硫、架橋せしめるのが好ましい。本発明に
用いる加硫剤としては、加硫可能な加硫系の全てが利用
可能であるが、ゴム組成物としてEPM,EPDMを用
いる場合には加硫用樹脂(変性アルキルフェノール樹
脂)、硫黄系あるいは有機過酸化物系の加硫剤を用いた
加硫剤が;ゴム組成物としてブチル系ゴムを用いる場合
には、加硫用樹脂(変性アルキルフェノール樹脂)、硫
黄系あるいはキノンオキシム系、亜鉛華、亜鉛華・ステ
アリ酸混合物、ステアリン酸亜鉛等のステアリン酸金属
塩、ジチオカーバメイトの亜鉛塩、チウラムとチアゾー
ルとの併用等の加硫剤を用いた加硫系が;また、EPD
M/ブチル系ゴムの混合物の組成物である場合には、加
硫用樹脂(変成アルキルフェノール樹脂)、硫黄系ある
いはキノンジオキシム系の加硫剤を用いた加硫系が;そ
れぞれ好ましく例示される。さらに、クロロブチルゴム
を用いる場合、加硫助剤としてアルキルフェノール樹脂
を用いることができる。
【0024】さらに前述のX−PMS組成物を使用した
場合は硫黄系あるいは亜鉛華、脂肪酸亜鉛、脂肪酸等を
組みあわせ使用する。ここで、これらのエラストマー組
成物の加硫系は、後述する動的加硫のプロセスにおい
て、架橋剤(加硫剤)として適宜添加され、マトリック
スを形成する熱可塑性樹脂中に少なくとも一部がドメイ
ンとして分散したエラストマー相の加硫が完了するま
で、加硫を促進する温度で混練しながら加硫を進行させ
る動的加硫によって、目的とする熱可塑性エラストマー
組成物を得るのに使用される。本発明に使用する加硫剤
の添加量は、エチレン・プロピレン系共重合ゴム100
重量部に対して、0.1〜20重量部、特に0.5〜1
5重量部であるのが、充分な架橋度を得て、耐熱軟化性
を確保する点で好ましい。また、必要に応じて、加硫促
進剤を添加してもよい。加硫促進剤としては、アルデヒ
ド・アンモニア系、グアニジン系、チアゾール系、スル
フェンアミド系、チウラム系、ジチオ酸塩系、チオウレ
ア系等の一般的な加硫促進剤を、例えばゴム100重量
部に対し0.5〜2重量部程度用いればよい。
【0025】本発明に用いられる加硫促進剤、加硫助剤
としては、ステアリン酸、ラウリル酸等の脂肪酸、これ
らの脂肪酸の亜鉛塩等の金属塩、亜鉛華等の金属酸化
物、テトラメチルチウラムモノサルファイド(TMT
M)、テトラメチルチウラムジサルファイド(TMT
D)、ジペンタメチレンチウラムテトラサルファイド
(DPTS)、ジペンタメチレンチウラムヘキササルフ
ァイド(DPTHS)等のチウラム系促進剤、ジベンゾ
ジチアジルジサルファイド等のチアゾール系促進剤、N
−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾイルスルフェンア
ミド(CBS)等のスルフェンアミド系促進剤、ジンク
ジメチルジチオカーバメイト(ZnMDC)等のジチオ
カルバミン酸塩系促進剤が例示される。また、加硫促進
助剤としては、一般的なゴム用助剤を併せて用いること
ができ、例えば、亜鉛華(ゴム100重量部に対し、5
重量部程度)、ステアリン酸やオレイン酸およびこれら
のZn塩(ゴム100重量部に対し、2〜4重量部程
度)等を用いればよい。
【0026】本発明の熱可塑性エラストマー組成物を構
成するエラストマー成分または必要に応じ樹脂成分に
は、各々又は両成分の混練後に、これ以外にも、本発明
の趣旨を損なわない範囲で、必要に応じて充填剤、カー
ボンブラック、ホワイトカーボン等の補強剤、可塑剤、
軟化剤、老化防止剤、加工助剤、顔料、着色剤、核剤、
帯電防止剤、紫外線吸収剤等を含有してもよい。特に、
軟化剤および/または可塑剤を添加すると、熱可塑性エ
ラストマー組成物の柔軟性を向上させることができるの
で好ましく、ゴム組成物中に添加する場合はEPM,E
PDMおよび/またはブチル系ゴムとの相溶性からパラ
フィン系オイル、特に耐熱性を有するパラフィン系オイ
ル等が好適に例示される。添加量は、特に限定されるも
のではないが、ゴム100重量部に対して、50〜15
0重量部が好ましい。本発明に用いられるゴム組成物に
おけるゴム分の含有量は20〜99.5重量%、より好
ましくは25〜97重量%である。
【0027】エラストマー組成物がカーボンブラック、
軟化剤、伸展油等の配合剤を含む場合には、エラストマ
ー100重量部に対して、カーボンブラック等の配合剤
を合計量で最高400重量部まで含有させることがで
き、このとき、このゴム組成物中におけるゴム分の含有
量は20重量%となる。ゴム組成物中におけるゴム分の
含有量が20重量%未満となるとき、すなわち、カーボ
ンブラック等の配合剤がゴム100重量部に対して40
0重量部を超えて配合されると、エラストマー組成物が
ゴム状弾性を失い、熱可塑性樹脂と混合しても、本発明
が目的とする柔軟性に優れた熱可塑性エラストマー組成
物を作製することが困難になってしまう。なお、ここに
おいて、加硫剤や加硫促進剤等は、ゴム分および配合剤
の量に比べて相対的に少量であるので、加硫剤等の量は
無視して計算することができる。
【0028】本発明において使用する熱可塑性エラスト
マー組成物は、熱可塑性樹脂成分(A)と未加硫のエラ
ストマー成分(B)とを2軸混練押出機等で溶融混練
し、少なくとも1部が連続相(マトリックス)を形成す
る熱可塑性樹脂中にエラストマー成分の少なくとも1部
を分散相(ドメイン)として分散させることによって製
造することができる。この際、シンジオタクチックポリ
プロピレンと残余のアイソタクチックポリプロピレンと
の混合は予め、押出機等で、混合しておいても良いし、
又、ペレットの状態でブレンドしておき、エラストマー
成分(B)との混合時に、3成分を同時に混練しても良
い。エラストマー成分(B)は、混練下で加硫剤を添加
し、常法に従って、動的加硫させる。なお動的加硫条件
は前述の一般的な条件を使用することができる。
【0029】また、熱可塑性樹脂またはエラストマー成
分への各種配合剤(加硫剤を除く)は、上記混練中に添
加しても良いが、混練の前に予め混合しておくことが好
ましい。熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混練に使用
する混練機としては、特に限定はなく、スクリュー押出
機、ニーダ、バンバリミキサー、2軸混練押出機等が挙
げられる。中でも熱可塑性樹脂とエラストマー成分の混
練およびエラストマー成分の動的加硫には2軸混練押出
機を使用するのが好ましい。さらに、2種類以上の混練
機を使用し、順次混練してもよい。溶融混練の条件とし
て、温度は熱可塑性樹脂が溶融する温度以上であれば良
い。また、混練時の剪断速度は1000〜7500Sec
-1であるのが好ましい。混練全体の時間は30秒から1
0分で加硫剤を添加した後の加硫時間は15秒から5分
であるのが好ましい。すなわち、このように製造される
熱可塑性エラストマー組成物は、熱可塑性樹脂とゴム組
成物とを素練りをしながらゴムの加硫を進行させる、い
わば、動的に加硫を進行させる動的加硫(Dynamic Cure
またはDynamic Vulcanization)により製造される熱可塑
性エラストマー組成物である。このような製法を利用す
ることにより、得られた熱可塑性エラストマー組成物
は、少なくとも一部が連続相となる熱可塑性樹脂相に少
なくとも一部が不連続相となる加硫ゴム相が微細に分散
した状態となるため、この熱可塑性エラストマー組成物
は加硫ゴムと同様の挙動を示し、かつ、少なくとも連続
相が熱可塑性樹脂相であるため、その成形加工に際して
は、熱可塑性樹脂に準じた加工が可能である。
【0030】ところで、本発明では、シンジオタクチッ
クポリプロピレンを含む熱可塑性樹脂成分の体積分率を
φm、溶融混練時の粘度をηmとし、一方、エラストマ
ー成分の体積分率をφd、同条件における溶融粘度をη
dとしたとき、α=〔φd/φm〕×〔ηm/ηd〕の
値が1より小さくなるような体積分率で、両者を混練す
る必要がある。これは製造された熱可塑性エラストマー
のミクロ構造が上記αの値が1より小さい時には、熱可
塑性樹脂成分が連続相となり、エラストマー成分が分散
相となって存在するため、熱可塑性樹脂成分の成形法に
従い、成形が出来るが、αが1以上の時には、この連続
相と分散相が逆転してしまうため、調製された熱可塑性
エラストマーは、流動性が悪く、成形不可能であるから
である。
【0031】
【実施例】以下、実施例及び比較例に従って本発明を更
に詳しく説明するが、本発明の技術的範囲をこれらの実
施例に限定するものでないことは言うまでもない。
【0032】実施例1〜8、参考例1及び比較例1〜4 1.シンジオタクチックポリプロピレンの合成 常法にしたがって合成したイソプロピルシクロペンタジ
エニル−1−フルオレンをリチウム化し、四塩化ジルコ
ニウムと反応させて再結晶することによって得られたイ
ソプロピル(シクロペンタジエニル−1−フルオレニ
ル)ジルコニウムジクロリド0.2gと、東洋アクゾ
(株)製メチルアルミノキサン(重合度16.1)30
gを用い、内容積200リットルのオートクレープで重
合圧力3kg/cm2 −G、20℃で2時間重合させ、つい
でメタノールとアセト酢酸メチルで脱灰処理し、塩酸水
溶液で洗浄し、ついで濾過して5.6kgのシンジオタク
チックポリプロピレンを得た。このポリプロピレンは13
C−NMRによればシンジオタクチックペンタッド分率
は0.935であった。
【0033】2.エラストマー成分の調製 表Iに示すマスターバッチの配合に従って、ゴム及び各
種配合剤を、密閉式バンバリーミキサーに投入し、15
0℃、5分間混合して、エラストマー成分を調製した。
その後、エラストマー成分をゴム用ロールで厚さ2.5
mmにシート出しし、さらにゴム用ペレタイザーを用いて
ペレット化し2軸混練押し出し機を使用する熱可塑性樹
脂成分との混練に供した。
【0034】
【表1】
【0035】3.熱可塑性エラストマーの調製 シンジオタクチックポリプロピレン及びその他の熱可塑
性樹脂ペレットをブレンドし、これを熱可塑性樹脂成分
として、2軸混練機の第1の投入口に投入して混練し、
次にエラストマー成分を第2の投入口から投入し、熱可
塑性樹脂成分中に添加、混練した。その後、第3の投入
口から加硫系を投入し、混練温度200℃、せん断速度
11150S-1で動的に加硫せしめた後に、先端部よ
り、ストランド状に押出しし、このストランドを水冷・
冷却した後に樹脂用ペレタイザーでペレット化して、熱
可塑性エラストマー組成物を調製した。
【0036】4.溶融粘度及び物性の測定 得られた組成物の物性を以下の方法で測定し、結果を表
IIに示した。 (1)溶融粘度 予め、小型単軸押出機でシンジオタクチックポリプロピ
レンと他の熱可塑性樹脂成分とを実施例及び比較例に示
す比率で210℃で溶融混練、ペレット化して熱可塑性
成分を製造しておいた。次に上記方法で、調製した各熱
可塑性樹脂成分、エラストマー成分(加硫系を除く)に
ついてキャピラリーレオメーターでせん断速度1150
-1、温度210℃で1mm直径×10mm長さのオリフィ
スを使用して溶融粘度(単位:ポイズ)を測定した。 (2)引張強度、伸び、引裂強度 上記で調製した熱可塑性エラストマー組成物のペレット
を単軸Tダイ押し出し機によって、1.5mm厚のシート
に成形し、その後ダンベル3号形状に打ち抜きJIS
K 6251に従って、上記物性を20℃、120℃で
測定した。
【0037】(3)変形追従試験 厚さ1.5mmのシートを内径20cmのフランジに固定
し、直径4cm×長さ15cmの鉄製円柱の片端を半径2cm
の半球状に加工した試験治具の半球に対し、シートの中
心が当たるように押しつけ、該鉄製円柱をシート表面よ
り8cm下降させ、変形追従性(先端から4cmの位置での
馴染みの程度、即ち、鉄製円柱と密着している場合は、
追従性良し、概して隙間が目視できる場合は、追従性が
悪いとし、更に、破損の有無を評価した。 評価は、×…破損。 (破壊強度低) △…破損はないが、追従性が悪い。(柔軟性悪い) ○…破損はなく、追従性は良好。 (4)融着試験 ライスター社製熱風溶接機(X10製)を使用しTダイ
押出成形されたシートを融着させた。その後、融着部分
を目視、及び指触で確認し、融着しているものを○、融
着していないものを×とした。
【0038】本発明の実施例及び比較例において使用し
た配合剤は以下の通りである。 アイソタクチックPP:MJ170(トクヤマ) エチレンプロピレン共重合体:EZ112(昭和電工) ZnO:亜鉛華3号(正同化学) イオウ:粉末イオウ(軽井沢製錬所) アルキルフェノール樹脂:タッキロール250−I(田
岡化学) DPTHS:テトリンA(デュポン社) DM:ノクセラーDM(大内新興化学) ジアルキルパーオキサイド:パーカドックス14(化薬
アクゾ) TMP:トリメチロールプロパントリメタクリレート
(三菱レイヨン) ZnSt:ステアリン酸亜鉛(正同化学)
【0039】
【表2】
【0040】比較例1のように熱可塑性樹脂成分とエラ
ストマー成分の体積比率と粘度比率の積・αが1を越え
るような場合には、作製される熱可塑性エラストマーの
相構造が逆転し、エラストマー成分が、マトリックスと
なってしまうため、動的に加硫系を添加中にエラストマ
ー成分が加硫(架橋)するいわゆる“焼け”が発生し混
練が不可能となる。一方、αが1以下の場合でも、熱可
塑性樹脂成分として、高ヤング率のアイソタクチックポ
リプロピレンのみを使用して作製された熱可塑性エラス
トマー(比較例2)はエラストマーとしては柔軟性に欠
けている。また、現在、一般的に用いられている、HD
PE、加硫EPDMシートの場合は(比較例3及び
4)、HDPEでは、シート柔軟性が不足しているこ
と、加硫EPDMシートでは、熱融着ができずに、施工
性に欠けることが、欠点である。これに対し、シンジオ
タクッチクポリプロピレンと残余のアイソタクチックポ
リプロピレンとから成る熱可塑性樹脂成分をマトリック
スとした熱可塑性エラストマー組成物は、120℃の熱
時においても引張強度で常温の50%以上を確保し、ま
た、柔軟性においても十分なレベルにあり、さらに、エ
ラストマー成分については種類の選択性がなく、熱可塑
性エラストマーを構成できるし(実施例5〜8)、その
加硫系もエラストマー成分に合ったものを使用すれば良
い。シンジオタクチックポリプロピレンのみから熱可塑
性成分を構成した場合(参考例1)、実施例8に比較し
て混練加工性(μm)や分散性(α)の改良が不十分で
ある。このように、熱可塑性樹脂成分及びエラストマー
成分は、作製される熱可塑性エラストマー組成物の用途
により必要な機能を付加すべく適宜、選択すればよい。
【0041】
【発明の効果】表IIの結果に示すように、本発明に従え
ばシンジオタクチックポリプロピレンを10重量%以上
含む熱可塑性樹脂成分とゴム成分とを混練することによ
って柔軟性と高強度、高耐熱性を有する防水シートを得
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 川口 剛 神奈川県平塚市追分2番1号 横浜ゴム 株式会社 平塚製造所内 (56)参考文献 特開 平4−226552(JP,A) 特開 平6−287368(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08L 23/12 C08L 23/16 C08L 23/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シンジオタクチック構造を有するポリプ
    ロピレン10〜95重量%と残余のアイソタクチックポ
    リプロピレンとから成る熱可塑性樹脂成分(A)と、エ
    チレン・プロピレン系共重合ゴム及び/又はブチル系ゴ
    ムから成るエラストマー成分(B)とを(A):(B)
    の重量比15:85〜90:10で含んで成り、熱可塑
    性樹脂成分の体積分率φm及び混合条件における溶融粘
    度ηm,エラストマー成分の体積分率φd及び溶融粘度
    ηdとしたとき α=(φd/φm)×(ηm/ηd) の値が1以下である熱可塑性エラストマー組成物からな
    る防水シート。
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