JP4117523B2 - ガスバリアフィルムロールおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明性、ガスバリア性、印刷性、柔軟性に優れたフィルムロールおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガスバリア性に優れたフィルムとしては、プラスチックフィルム上に金属アルミニウムを蒸着したものや、塩化ビニリデンやエチレンビニールアルコール共重合体をコーティングしたものが知られている。また近年、酸化珪素、酸化アルミニウムなどの無機酸化物薄膜を真空蒸着法やCVD(化学的気相成長)法などにより積層したものが知られるようになった。
【0003】
真空蒸着法等により無機酸化物薄膜を基材フィルムに積層したガスバリアフィルムは、蒸着直後はガスバリア性が期待したほどに発現しない場合がある。また、透明性も蒸着直後には蒸着膜の着色により黒褐色や金属色調を呈している場合がある。これは蒸着直後の無機酸化物薄膜が不完全な酸化状態であることや、未結合の部位が残っており膜密度が粗な状態にあるためと考えられている。
【0004】
これらの課題を解決する方法として、以下のような提案がなされている。
▲1▼酸化アルミニウムの反応性蒸着ガスバリア膜に対しては、蒸着後オフラインで水分を吸着させ、さらに水分を吸着させた温度以上で熱処理することによって、透明性、ガスバリア性を向上させた透明ガスバリア性フィルムを製造する方法が提案されている。(特許第2638797号公報参照)
【0005】
また、▲2▼酸化ケイ素を蒸着したプラスチックフィルムの蒸着面に、水性液体をコーティングし加熱乾燥することによって透明性、ガスバリア性を向上させた積層包装材料の製造方法が提案されている。(特開平6−56164号公報参照)
【0006】
また、▲3▼酸化ケイ素を蒸着したプラスティックフィルムの蒸着面に、過酸化水素水溶液をコーティングし、暗所もしくは所定の明るさの場所に所定温度で所定時間放置することにより透明性、ガスバリア性を向上させた酸化ケイ素蒸着フィルムおよびその製造方法が提案されている。(特開平8−197675号公報参照)
【0007】
また、▲4▼酸化アルミニウムの反応性蒸着ガスバリアフィルムを25℃、相対湿度50%RHの環境下に1週間以上放置する製造方法が提案されている。(特開2000-355070参照)
【0008】
さらに、▲5▼蒸着時、酸化アルミニウム蒸着膜が内側になるように巻き取った後、蒸着面が外側になるように巻返した蒸着フィルムを35〜45℃、相対湿度80〜100%RHの環境下に48時間以上放置する製造方法が提案されている。(特開平11−262969参照)
いずれも不完全な酸化状態にあり未結合部分を含む薄膜構造を有する無機酸化物からなるガスバリア薄膜を種々の手段により酸化度をあげたり、薄膜構造を緻密化し、透明性とガスバリア性を向上する目的と考えられる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、▲2▼や▲3▼の提案では種々水溶液をコーティングするためにグラビアコーターを通す、あるいは水浴をくぐらす等の工程が必要でありコスト的に不利であるし、またガスバリア性、とくに防湿性が十分でないうちに蒸着膜に水溶液を塗布すると水分が蒸着膜を透過し、基材が水分を吸収し、基材フィルムの膨潤によりしわの原因になったり、とくにポリアミド樹脂など吸水性の樹脂を原料とする基材フィルムの場合は吸湿寸法変化が大きく、無機酸化物のガスバリア膜にクラックが入り、ガスバリア性の低下を招く。さらにコートした水溶液を乾燥させるために熱をかけることも、基材フィルムの熱収縮によるガスバリア膜のダメージを与えることになり、ガスバリア性を悪くする懸念がある。
【0010】
また、▲1▼▲4▼▲5▼の提案において特定の温湿度、または高温高湿下に放置して、改質に必要な水分を吸着させる方法があげられているが、工業的にはロール状態のガスバリアフィルムでは、それ自身のガスバリア性のために、改質に不可欠な水分または酸素をロール内部まで均一に吸着させることはむずかしく、結果として透明性、ガスバリア性などの特性が長さ方向でばらついたフィルムとなる懸念がある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記のような問題点を解決すべく種々の検討を行った結果、巻き取り式真空蒸着法により基材ロールフィルムの少なくとも片面に無機酸化物からなるガスバリア性薄膜を蒸着したガスバリアフィルムロールを真空蒸着装置から取り出し、絶対湿度が0.008〜0.018kg/kgの環境下で、蒸着面が少なくとも一度は該環境下の空気に接触する状態で巻き返したのち、30〜60℃の恒温環境で一定期間以上保管することにより透明性とガスバリア性の向上した優れたガスバリアフィルムロールが得られるという発明にいたった。
【0012】
すなわち本発明は、巻き取り式真空蒸着法により基材ロールフィルムの少なくとも片面に、無機酸化物からなるガスバリア性薄膜を蒸着したガスバリアフィルムロールであり、該ガスバリアフィルムロールを真空蒸着装置から取り出し、絶対湿度が0.008〜0.018kg/kgの環境下で、蒸着面が少なくとも一度は該環境下の空気に接触する状態で巻き返したのち、30〜60℃の恒温環境で一定期間以上保管することを特徴とするガスバリアフイルムロールおよびその製造方法であり、該無機酸化物からなるガスバリア性薄膜が酸化アルミニウムと酸化ケイ素からなる複合酸化物であることを特徴とするガスバリアフィルムロールおよびその製造方法であり、該基材フィルムロールが2軸延伸ポリエステルフィルム、または2軸延伸ポリアミドフィルムロールであることを特徴とするガスバリアフィルムロールおよびその製造方法である。
【0013】
本発明でいう基材ロールフイルムとは、有機高分子を溶融押出し、必要に応じ長手方向および、または幅方向に延伸、冷却、熱固定を施したフイルム、あるいは溶液流延法により製膜したフィルムを巻き取ったものなどである。有機高分子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ナイロン6、ナイロン4、ナイロン66、ナイロン12、ポリ塩化ビニール、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニールアルコール、全芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキサイド、ポリカーボネート、ポリアリレートなどがあげられる。また、これらの(有機重合体)有機高分子は他の有機重合体と共重合をしたりブレンドしたりしてもよい。
【0014】
さらにこの有機高分子には、公知の添加剤、例えば、紫外線吸収剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤、着色剤などが添加されていてもよく、その透明度は特に限定するものではないが、透明ガスバリアフイルムとして使用する場合には、50%以上の透過率をもつものが好ましい。本発明の基材フィルムは、本発明の目的を損なわない限りにおいて、無機酸化物薄膜層を蒸着するのに先行して、該フイルムをコロナ放電処理、グロー放電処理、その他の表面粗面化処理を施してもよく、また、公知のアンカーコート処理、印刷、装飾が施されていてもよい。本発明の基材フイルムは、その厚さとして5〜500μmの範囲が好ましく、さらに好ましくは8〜100μmの範囲である。
【0015】
本発明でいう巻き取り式真空蒸着法とは、真空排気設備を備えた真空チャンバー内に冷却機能をもつコーティングドラムならびにフィルムロールの巻出しおよび巻取り機構などの走行系と、坩堝に入った蒸着材料を加熱蒸発させる蒸発源を有する真空蒸着機によって基材フィルムロールの少なくとも片面の長手方向に連続的に無機酸化物からなるガスバリア性薄膜層を積層する方法であり、必要に応じて開閉シャッター、プラズマ前処理機、除電設備、シワ取りロール、真空ゲージ、ガス導入ポート、膜厚モニターなどを備えてもよい。
【0016】
無機酸化物からなるガスバリア性薄膜の原料となる金属あるいは金属酸化物などの蒸着材料はカーボンや高融点金属製の坩堝に入れられ、抵抗加熱、誘導加熱あるいは電子銃により間接的あるいは直接的に加熱蒸発され、その蒸気中を冷却されたコーティングドラムに密着した基材フィルムが通過することによりフィルム上にガスバリア性の薄膜が蒸着される。抵抗加熱や誘導加熱では坩堝を加熱するため、坩堝を構成する材料の蒸着膜への混入が懸念されるが、電子銃加熱では、蒸着材料が直接加熱されるため薄膜の不純物が少ないという利点がある。また、一般的に金属酸化物の融点は、金属よりもかなり高温であるが電子銃加熱では坩堝の耐熱性という制約が無いため金属酸化物を蒸着材料とする場合このましく用いられる。また蒸着速度の観点からも電子銃による材料加熱がこのましい。
【0017】
本発明でいう無機酸化物からなるガスバリア性薄膜の原料となる金属あるいは金属酸化物などの蒸着材料としては、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、チタン、ケイ素、ゲルマニウム、ジルコニウム、亜鉛、チタン、クロム、インジウム、錫などの金属およびその金属酸化物、またはこれらの複合物を言う。ここでいう金属酸化物とは、酸化が完全でなく酸素を若干欠損したもの、例えばSiOx(x=1.0〜1.9)といった表現をする無機酸化物も含む。ガスバリア性の観点から酸化ケイ素または酸化アルミニウムが好ましく、さらに耐屈曲性の観点から酸化ケイ素と酸化アルミニウムの複合酸化物が特に好ましい。
【0018】
本発明でいう無機酸化物からなるガスバリア性薄膜の膜厚は5〜50nmが好ましく、透明性とガスバリア性と耐屈曲性のバランスから、より好ましくは10〜30nmである。膜厚が5nmより薄いと実用的なガスバリア性が得られにくく、逆に膜厚が50nm以上では、ガスバリア性薄膜の内部応力による薄膜内部のクラックや基材からの剥がれなどが発生しやすいため、膜厚相当のガスバリア性の向上効果が得られず、かえって耐屈曲性や製造コストの点で不利となる。
【0019】
上記の膜厚は、蛍光X線分析により薄膜を構成する無機酸化物の金属元素の定量分析により測定される。真空蒸着機内のコーティングドラムから巻き取り部のパスライン中のロール上で蛍光X線モニターを取り付け蒸着中にオンラインでモニタリングし、その結果にもとづき電子銃の出力を微調整しながら無機酸化物薄膜の膜厚を制御することができる。
【0020】
本発明でいうフィルムロールの巻き返しとは、真空蒸着機中の減圧下で巻き取られたフィルムロールをフィルムスリッターなどの設備を使い、無機酸化物からなるガスバリア薄膜表面を、少なくとも酸素と水蒸気の存在する空気中にさらし、さらに巻き取ることで、蒸着フィルムロールのフィルムとフィルムの層間に酸素と水蒸気を含む空気層を存在せしめる操作のことを指す。フィルムロール全体に対する空気の体積比は1〜5%程度とすることが好ましい。
【0021】
このとき、無機酸化物からなるガスバリア薄膜表面が少なくとも0.1秒間以上空気に触れることが好ましい。仮に巻き返しのライン走行速度600m/minとすると、0.1秒間にフィルムが1m走行するので、巻き出しから巻き取りまでのパスラインは少なくとも1m以上必要である。このときフィルムロールの巻き巾を変更したり、ロール端面を揃えるためのスリット操作は必要に応じてされるもので必ずしも必要というわけではない。
【0022】
本発明でいう絶対湿度とは、ある温度の空気1kg中に含まれる水蒸気の絶対量であり、単位はkg(水蒸気)/kg(空気)で表される。相対湿度とは、いわゆる「空気線図」で表わされる、ある温度において含むことのできる水蒸気限界量に対して何%の水蒸気量が含まれるかを示している。例えば1気圧(1013hPa)、23℃の空気では、限界(飽和)水蒸気量が0.0177kg/kgであり、相対湿度100%RHでは絶対湿度が0.0178Kg/kgであり、相対湿度50%RHでは絶対湿度0.0087kg/kgとなる。
【0023】
以下に実用的な温度域における相対湿度と絶対湿度の関係例をあげる。
18℃ 相対湿度65%RH=絶対湿度0.0083kg/kg
20℃ 相対湿度55%RH=絶対湿度0.0080kg/kg
25℃ 相対湿度45%RH=絶対湿度0.0089kg/kg
25℃ 相対湿度85%RH=絶対湿度0.0170kg/kg
28℃ 相対湿度35%RH=絶対湿度0.0082kg/kg
28℃ 相対湿度70%RH=絶対湿度0.0169kg/kg
30℃ 相対湿度65%RH=絶対湿度0.0174kg/kg
32℃ 相対湿度60%RH=絶対湿度0.0180kg/kg
【0024】
蒸着されたフィルムロールを巻き返す湿度環境として、絶対湿度が0.008Kg/kg以上があることが好ましく、作業環境の観点から0.008〜0.015kg/kgがより好ましい。絶対湿度が0.008kg/Kg以下では巻き返し時にフィルムロールのフィルムとフィルムの層間に取り込まれる水蒸気量が不足する。つまり、その後の30℃以上の恒温環境下での保管工程で、無機酸化物からなるガスバリア薄膜が緻密化しガスバリア性が向上するのに必要な水分量が不足する。また、巻返し時の剥離帯電による静電気による放電も絶対湿度が大きいほど起こりにくい。しかしながら、基材フィルムがポリアミド樹脂など吸湿性の樹脂からなる場合は、絶対湿度が高いと、具体的には絶対湿度が0.02kg/kg程度以上になると、吸湿膨張によるシワ、滑りにくくなることによるロール巻シワなどが発生しやすくなり、ガスバリア薄膜層へのダメージが懸念される。
【0025】
本発明の蒸着フィルムロールは、それ自身ガスバリア性のフィルムのため、真空蒸着機中の減圧下で巻き取られたフィルムロールの状態、あるいは巻き返し操作後の巻き取られたフィルムロールの状態では、外部からその内部に侵入しうる酸素や水蒸気の量は極めて少なく、本発明のように絶対湿度0.008kg/kg以上の空気中での巻き返し操作無くしてはガスバリア性の向上はあまり期待できない。
【0026】
本発明でいう30〜60℃の恒温環境とは、たとえば恒温槽内や温調設備を有した保管庫内のことを指し、設定した温度に対して少なくとも±5℃以内では管理できる能力を有していればよい。保管期間中の平均温度が30℃未満であると、無機酸化物からなるガスバリア薄膜の緻密化がほとんど進行せず、逆に60℃以上では基材フィルムの添加剤のブリードや、基材フィルム自身の軟化のため、各種物性が劣化したり、フィルム同士がブロッキングしたりするという問題がある。湿度に関しては恒温槽内や温調設備を有した保管庫内の調湿能力が備わっているほうが好ましいが、必ずしも必要ではないが結露が発生しないような構造であり、およそ20〜80%RH程度に保たれるのであれば特に問題はない。
【0027】
上記のような恒温環境下で保管する一定期間としては、7日間以上が好ましく、より好ましくは14日以上である。7日未満であると、無機酸化物からなるガスバリア薄膜の緻密化がそれほど進行せず、逆にあまり長期間保管しても、徐々にガスバリア性や透明性の向上のペースは低下していくため、実用上は、必要とされる特性と在庫管理コスト等のバランスで保管温度と保管期間は決められる。また、保管温度と保管期間はある程度トレードオフの関係があること見出されており、その他の物性を損ねない範囲において、必要に応じ保管温度を上げて、目標とするガスバリア性と透明性が得られるまで期間を短縮することは可能である。逆に温度をあげると他の物性面に影響がでる懸念のある場合は、保管温度を30℃程度にして目標とするガスバリア性と透明性が得られるまで期間を延長してもよい。
【0028】
本発明でいう光線透過率とは、分光光度計(日立製作所製 U-3500型)を用い、光線波長550nmにおける基材フィルムの光線透過率を100%とした場合の同光線波長における光線透過率を表す。
【0029】
本発明でいう酸素バリア性は、JIS K7126B法に準じ酸素透過度測定装置(米MOCON社製 OXTRAN-2/20)を用い、温度23℃、湿度65%RHの測定条件で測定した。また水蒸気バリア性はJIS K7129B法に準じ水蒸気透過度測定装置(米MOCON社製 PERMATRAN-W3/31)を用い温度40℃、湿度90%RHの測定条件で測定した。
【0030】
【実施例】
以下に実施例をあげて本発明を説明するが、本発明は特に実施例に限定されるものではない。
【0031】
(実施例1)
巻き取り式真空蒸着機内のロールフィルム巻き出し側に厚さ12μm全巾550mmの2軸延伸ポリエステルフィルムロール(東洋紡績株式会社製 商品名E5100)を取り付け、冷却ドラムに巻きつけ、巻き取り側まで通紙したのちチャンバー蓋を閉じ、10-4Pa台まで減圧した。冷却ドラム直下のカーボン製坩堝に入った酸化アルミニウムおよび酸化ケイ素を電子銃により電子ビームを走査し加熱蒸発させた。坩堝付近の圧力が10-2Pa台で安定したら、フィルムの走行速度を100m/minに加速しシャッターを開いた。酸化アルミニウムと酸化ケイ素からなる2元系無機酸化物膜をポリエステルフィルム上でインラインの蛍光X線モニターで膜厚を測定し、平均膜厚が20nm、Al元素:Si元素の重量比率が1:1になるよう電子銃出力を微調整しながら蒸着をおこなった。走行速度100m/minで2000m巻き取ったのちシャッターを閉じ、電子銃の出力を止め、フィルムの走行を停止した。真空蒸着機内を大気圧にもどし、蒸着されたフィルムロールをとりだし、スリッター巻き出し側に取り付け巻き取り側に通紙した。フィルム巻き出し点からフィルム巻取り点までのフィルムパスラインは約2mであり、フィルムはいくつかのロールと接触する箇所以外は空気と接触している。室温25度、相対湿度60%RH(絶対湿度 約0.012kg/kg)の恒温恒温環境下でフィルムをスリットしながらスリッター巻取り側に到達ライン走行速度200m/min巻き取った。
このスリットされた蒸着フィルムロールを30℃の恒温槽に7日間保管したのち、フィルムを巻き出しフィルム片の酸素透過度、水蒸気透過度、光線透過率を測定した。
【0032】
(実施例2)
スリットされた蒸着フィルムロールを40℃の恒温槽に7日間保管したこと以外は、実施例1と同様に作成したフィルムロールを巻き出しフィルム片の酸素透過度、水蒸気透過度、光線透過率を測定した。
【0033】
(実施例3)
スリットされた蒸着フィルムロールを30℃の恒温槽に14日間保管したこと以外は、実施例1と同様に作成したフィルムロールを巻き出しフィルム片の酸素透過度、水蒸気透過度、光線透過率を測定した。
【0034】
(実施例4)
基材フィルムロールとして厚さ15μm全巾550mmの2軸延伸ポリアミドフィルムロール(東洋紡績株式会社製 N4142)を使用した以外は実施例1と同様に作成したフィルムロールを巻き出し、フィルム片の酸素透過度、水蒸気透過度、光線透過率を測定した。
【0035】
(比較例1)
蒸着機から取り出した蒸着されたフィルムロールをスリットすることなしに、蒸着機から取り出したロール状態のまま、30℃の恒温槽に保管したこと以外は実施例1と同様に作成したフィルムロールを巻き出しフィルム片の酸素透過度、水蒸気透過度、光線透過率を測定した。
【0036】
(比較例2)
室温20度、相対湿度40%RH(絶対湿度 約0.006kg/kg)の恒温恒温環境下でフィルムをスリットしながらスリッター巻取り側に巻き取ったこと以外は、実施例1と同様に作成したフィルムロールを巻き出しフィルム片の酸素透過度、水蒸気透過度、光線透過率を測定した。
【0037】
(比較例3)
スリットされた蒸着フィルムロールを恒温槽などに保管することなくすぐにフィルムロールを巻き出しフィルム片の酸素透過度、水蒸気透過度、光線透過率を測定した以外は、実施例1と同様に作成した。
【0038】
(比較例4)
スリットされた蒸着フィルムロールを70℃の恒温槽に保管したこと以外は実施例1と同様に作成したフィルムロームを巻きだそうとしたが、フィルム同士がブロッキングした状態が部分的にあり実用性を損ねていた。
【0039】
(比較例5)
基材フィルムロールとして厚さ15μm全巾550mmの2軸延伸ポリアミドフィルムロール(東洋紡績株式会社製 N4142)を使用した以外は実施例1と同様に作成したフィルムロールを室温30度、相対湿度80%RH(絶対湿度 約0.022kg/kg)の恒温恒温環境下でフィルムをスリットしながらスリッター巻取り側に巻き取ろうとしたが、吸湿による巻シワが発生し実用品位を損ねてしまった。
【0040】
各実施例、比較例の酸素透過度、水蒸気透過度、光線透過率の測定結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
上記の実施例、比較例より明らかなように、巻き取り式真空蒸着法により基材ロールフィルムの少なくとも片面に無機酸化物からなるガスバリア性薄膜を蒸着したガスバリアフィルムロールを、絶対湿度が0.008〜0.018kg/kgの環境下で巻き返したのち、30〜60℃以上の恒温環境で一定期間以上保管することにより、ガスバリア性、透明性が向上させることができる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明によるガスバリアフィルムロールは、巻き取り式真空蒸着法により基材ロールフィルムの少なくとも片面に無機酸化物からなるガスバリア性薄膜を蒸着され、絶対湿度が0.008〜0.018kg/kgの環境下で蒸着面が該環境下の空気に接触する状態で巻き返したのち、30〜60℃の恒温環境で一定期間以上保管することにより、ガスバリア性、透明性が向上され、各種包装材料として優れた特性のフィルムを提供するものである。
Claims (6)
- 巻き取り式真空蒸着法により基材ロールフィルムの少なくとも片面に、無機酸化物からなるガスバリア性薄膜を蒸着したガスバリアフィルムロールであり、該ガスバリアフィルムロールを真空蒸着装置から取り出し、絶対湿度が0.008〜0.018kg/kgに調湿された空気に、前記無機酸化物からなるガスバリア性薄膜表面が0.1秒間以上接触する状態で巻き返したのち、30〜60℃の恒温環境で7日間以上保管することを特徴とするガスバリアフイルムロール。
- 巻き取り式真空蒸着法により基材ロールフィルムの少なくとも片面に、無機酸化物からなるガスバリア性薄膜を蒸着したガスバリアフィルムロールであり、該ガスバリアフィルムロールを真空蒸着装置から取り出し、絶対湿度が0.008〜0.018kg/kgに調湿された空気に、前記無機酸化物からなるガスバリア性薄膜表面が0.1秒間以上接触する状態で巻き返したのち、フィルムロール全体に対する前記空気の体積比を1〜 5 %程度とし、30〜60℃の恒温環境で7日間以上保管することを特徴とするガスバリアフイルムロール。
- 請求項1あるいは2記載の無機酸化物からなるガスバリア性薄膜が酸化アルミニウムと酸化ケイ素からなる複合酸化物であることを特徴とするガスバリアフィルムロール。
- 請求項1あるいは2記載の基材フィルムロールが2軸延伸ポリアミドフィルムロールであることを特徴とするガスバリアフィルムロール。
- 請求項1あるいは2記載の基材フィルムロールが2軸延伸ポリエステルフィルムロールであることを特徴とするガスバリアフィルムロール。
- 巻き取り式真空蒸着法により基材ロールフィルムの少なくとも片面に、無機酸化物からなるガスバリア性薄膜を蒸着したガスバリアフィルムロールであり、該ガスバリアフィルムロールを真空蒸着装置から取り出し、絶対湿度が0.008〜0.018kg/kgに調湿された空気に、前記無機酸化物からなるガスバリア性薄膜表面が0.1秒間以上する状態で巻き返したのち、30〜60℃の恒温環境で7日間以上保管することを特徴とする請求項1記載のガスバリアフイルムロールの製造方法。
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