JP5594531B2 - 金属蒸着フィルムの製造方法 - Google Patents
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Description
真空容器6は、仕切り7によりフィルム室14と蒸着室13に仕切られている。フィルム室内に設置された2のフィルム巻き出しロールより巻き出された10の高分子フィルムは、−30℃〜60℃に温度調節された3の加熱・冷却ドラムに沿って、走行しながら1のフィルム巻取ロールに巻き取られる。同時に、4の蒸発器内のルツボから金属が蒸発され、走行フィルムに積層される。金属が積層される前部分にプラズマ処理部8と気体の供給部9を設け、ここで用いられたガスを仕切り7の形成する隙間11を通して蒸着室13に導く。その後、隙間12を通過してフィルム室14に戻り、巻取ロール1に巻き取られる。シャッター5は、蒸着源4からの金属蒸気がフィルムへ飛来するのを開閉にて制御するものである。
本発明の特性値は以下の測定法による。
(1)光線透過率を、OD値(光学濃度)
マクベス社製マクベス濃度計TR−927を用いて、透過法で測定した。-log10(減衰率)の値をOD値として算出した。フィルムの巾方向3点の平均値を求めた。OD値≧1.5を良品範囲内とした。
酸素透過率(cc/m2day)をJISK7126−2(制定2006年8月20日)に準じて、モダンコントロール社製酸素透過率測定装置OX−TRAN2/20を用いて、23℃、0%RHの条件にて測定した。サンプル3点の平均値を求めた。酸素透過率≦1.2(cc/m2day)を良品範囲内とした。
水蒸気透過率(g/m2day)をJISK7129B(制定2008年3月20日)に準じて、モダンコントロール社製水蒸気透過率測定装置Permatran−W3/30を用いて、40℃、90%RHの条件にて測定した。サンプル3点の平均値を求めた。水蒸気透過率≦1.5(g/m2day)を良品範囲内とした。
JISK6911(1962年制定(1995年改訂))に準拠して、温度20℃、湿度65%RH条件下で、表面抵抗測定装置(三菱化学(株)製 ロレスタMCP−T350、センサータイプASP)を使用して測定した。サンプル3点の平均値を求めた。表面抵抗値≦2.0(Ω/□)を良品範囲内とした。
蒸着面にポリエステル2液型接着剤(東洋モートン製 主剤AD503、硬化剤CAT−10)を乾燥後の塗布厚み2μm相当をコートし、60μmの未延伸PPフィルム(東レフィルム加工社製「トレファン」(登録商標)NO3501)と、80℃に加熱したロールで1.8m/minの速度で送り出してラミネートし、18時間、40℃雰囲気でエージング後、15mm×200mmの大きさに切り出し、オリエンテック社製テンシロン万能試験機PTM−50を用いて引張り速度300mm/分でT型剥離時の密着強度として評価した(ドライラミネート強度(N/15mm))。サンプル3点の平均値を求めた。ドライラミネート強度≧2.45(N/15mm)、ウェットラミネート強度≧2.26(N/15mm)をそれぞれ良品範囲内とした。また、90°剥離時剥離界面に蒸留水を2〜3滴滴下した綿棒を当て剥離界面を濡れた状態に保ち、同様にウェットラミネート強度を評価した。いずれも、アルミニウム膜とフィルムの間で剥離したので、アルミニウム膜の密着力とみなした。
コンダクタンスCは、下記の式より算出した。
C=309(常数)×Ks×a×b2/l
参考 アルバック真空ハンドブック 2002年CD−ROM版表1・7・2 12)薄い平行2面 参照
Ks:bとlとの関係から導き出される補正係数
a:隙間の奥行き、b:隙間の幅、l:隙間の長さ隙間の奥行き、幅、長さは、定規で測定した。
フィルム室に導入するガス流量はマスフローコントローラーにより制御した。流量値は表1、表2に記載した。
蒸着室側壁に設置したペーニングゲージ(Ulvac社GI-PARY)により測定した。圧力値は表1、表2に記載した。
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製「ルミラー」(登録商標)タイプP60、厚さ12μm)を基材高分子フィルムとして、この上に真空蒸着法により、アルミニウム膜を形成した。電子ビーム加熱型真空蒸着機の蒸着室を0.3×10−2Paまで真空排気した後、フィルム室に酸素を導入し、蒸着室の圧力を1.5×10−2 Paとし、プレーナーマグネトロン電極を使用し、プラズマ処理を行い、続いて、アルミニウムの真空蒸着を行った。真空蒸着はアルミナルツボ(日本カーボンセラム(株)製)に粒状アルミニウム(真空冶金(株)製、純度99.99%)を充填して、アルミニウムを電子ビームで加熱溶融しながら蒸発せしめ、膜厚50nmのアルミニウム膜を形成した。この時のフィルム冷却ドラムの温度は−30℃であった。フィルムが蒸着室に入る隙間11は、奥行き2000mm、幅30mm、長さ150mm、コンダクタンス2.48m3/s、フィルムが蒸着後に通過する隙間12は、奥行き2000mm、幅12mm、長さ150mm、コンダクタンス0.56m3/sであった。コンダクタンスの比率は、4.4である。このアルミニウム蒸着フィルムを実施例1とした。アルミの物性値、ガスバリア性、ラミネート強度ともに良好であった。
実施例1において、酸素流量を増やして蒸着室の圧力を、4.2×10−2Paとした。
実施例1において、酸素流量を減らして蒸着室の圧力を、0.7×10−2Paとした。密着力がやや下がったが、良品内であった。
実施例1において、フィルムが蒸着室に入る隙間11を、幅50mm、長さ150mmとして、コンダクタンス5.36m3/sとした。高分子フィルムが蒸着後に通過する隙間12は、幅18mm、長さ150mm、コンダクタンス1.25m3/sとした。コンダクタンスの比率は、4.3である。酸素流量を調整して、蒸着室の圧力を、3.8×10−2Paとした。OD値がやや下がり、表面抵抗値がやや上がったが、良品内であった。
本発明をさらに効率的に実施するため、ガスを導入する隙間に拡散を防ぎコンダクタンスを下げる事ができる板15と16を設置した。これにより、高分子フィルムが蒸着室に入る隙間11を、幅25mm、長さ300mmとして、コンダクタンス1.20m3/sとした。フィルムが蒸着後に通過する隙間12は、幅10mm、長さ250mm、コンダクタンス約0.30m3/sとした。コンダクタンスの比率は、4.0である。酸素流量を調整して、圧力を、0.6×10−2Paとした。密着力がやや下がったが、良品内であった。
実施例1において、フィルムが蒸着室に入る隙間11を、幅41mm、長さ150mmとして、コンダクタンス3.60m3/sとした。フィルムが蒸着後に通過する隙間12は、幅12mm、長さ150mm、コンダクタンス約0.56m3/sとした。コンダクタンスの比率は、6.4である。酸素流量を調整して、圧力を1.2×10−2Paとした。アルミの物性値、ガスバリア性、ラミネート強度ともに良好であった。
実施例6において、酸素流量を調整して、圧力を、0.7×10−2Paとした。アルミの物性値、ガスバリア性、ラミネート強度ともに良好であった。
実施例1において、窒素ガスを流し、圧力を、1.5×10−2Paとした。密着力がやや下がったが、良品内であった。
実施例1において、アルゴンと酸素を1:1に混合したガスを流し、圧力を、1.6×10−2Paとした。密着力がやや下がったが、良品内であった。
実施例1において、プラズマ処理を行わずアルミニウム膜を作成した。密着力がやや下がったが、良品内であった。
(比較例1)
実施例1において、フィルムが蒸着後に通過する隙間12を、幅30mm、長さ150mmとし、コンダクタンスをフィルムが蒸着室に入る隙間11と同じコンダクタンスとした。コンダクタンスの比率は、1.0である。酸素流量を調整して、圧力を、1.5×10−2Paとした。アルミの物性値、ガスバリア性、ラミネート強度ともに不良となった。
実施例1において、酸素流量を調整して、圧力を、6.3×10−2Paとした。酸化により、アルミニウムの物性値が不良となった。
実施例1において、酸素流量を調整して、圧力を、0.4×10−2Paとした。ラミネート強度が不良となった。
2 巻き出しロール
3 加熱・冷却ドラム
4 蒸発器
5 シャッター
6 真空容器
7 仕切り
8 プラズマ処理部
9 ガス供給部
10 高分子フィルム
11 蒸着前の高分子フィルムが通過するとともにガスを蒸着室に供給する隙間
12 蒸着後の高分子フィルムが通過する隙間
13 蒸着室
14 フィルム室
15 ガスの導入板(フィルム入口側)
16 ガスの導入板(フィルム出口側)
17 巻き出し部でのフィルムの動く方向
18 巻取部でのフィルムの動く方向
19 ガスの流れの方向
20 金属蒸気の流れ
Claims (3)
- 真空中で金属材料を加熱し、該金属材料を蒸発させると共に、巻き出しロールから連続的に巻き出されて前記金属材料の蒸気に晒されるように走行する高分子フィルムを巻取ロールで巻き取ることにより、前記高分子フィルムの表面に前記金属材料の蒸着膜を形成する金属蒸着フィルムの製造方法であって、フィルムの巻き出しと巻き取りを行うフィルム室と、蒸着膜を形成する蒸着室とがフィルムが通る隙間でつながっており、フィルム室から蒸着室にフィルムが入る側の隙間のコンダクタンスが、蒸着室からフィルム室へフィルムが出る側の隙間のコンダクタンスの4.0倍以上、6.4倍以下であり、フィルムの巻き出しロールとフィルム室から蒸着室にフィルムが入る側の隙間の間で、金属材料と化合物を形成するガスを用いてプラズマ処理を行い、蒸着室における蒸着を開始する前の圧力が0.6×10−2〜4.2×10−2Paであることを特徴とする金属蒸着フィルムの製造方法。
- プラズマ処理に用いるガスが、酸素若しくは窒素またはこれらの混合ガス、またはこれらのガスが不活性気体との混合比にて5体積%以上含まれる混合ガスであることを特徴とする請求項1に記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
- 金属材料がアルミニウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の金属蒸着フィルムの製造方法。
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