JP4332921B2 - ガスバリア材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、食品や医薬品等の包装に適した酸素および水蒸気の透過に対して高度なガスバリア性を有する透明なガスバリア材に関するものであり、更に詳しくは、ガスバリア層が無機化合物と有機化合物との複合体からなり、変形によるガスバリア性の低下の少ないガスバリア材およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
包装材料としては内容物の保存のためにガスバリア性が重要であり、酸素や水蒸気に対するバリア性を備えた包装材料として、従来、アルミ箔やポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートが使われてきた。しかしアルミ箔は優れたガスバリア性を持つものの、不透明であるため内容物の確認ができない、内容物の金属探知器による検査が出来ない、マイクロ波が通らないため電子レンジ食品等には使えない、また焼却過程で溶融したアルミニウムが炉底にたまって炉を傷めるといった多くの問題点があった。
【0003】
一方、PVDCは透明であるもののガスバリア性が不十分であるうえに、塩素を分子内に含有し、焼却過程で有毒な塩素系ガスを排出するため環境衛生上好ましくなく、かつ塩素ガスによって焼却炉の腐食等をもたらすという問題もあった。
【0004】
上記両者の問題点を解決するものとして、最近は珪素酸化物もしくはアルミニウム酸化物からなる無機化合物をガスバリア層として高分子樹脂基材上に設けたガスバリアフィルムが開発されている。しかし、これらはアルミ箔に比べて透明であるが、ガスバリア性が低いこと、引っ張り等の応力に弱くガスバリア性が低下するため、ガスバリア材としての用途が制限されている。
【0005】
上記の無機化合物をガスバリア層とするガスバリア材での問題を解決するために、金属アルコキシドの加水分解物と水溶性高分子樹脂との複合物を無機化合物上に積層させたガスバリア材が開発されている。この複合物は透明性に優れており、またガスバリア性も向上するが、引っ張り等の応力に対するガスバリア性の低下を抑制するにはまだ不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来技術の問題点を解決するものであり、その課題とするところは、引っ張り等の応力によるガスバリア材の変形によって生じるクラックの発生を抑制してガスバリア性を維持することのできるガスバリア材およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、下記の手段によって解決できる。
【0008】
請求項1記載の発明は、ヘリウム、酸素の両方の存在下で、真空蒸着法によって基材の少なくとも片面にアルミニウム化合物からなるガスバリア層を形成した後、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂との組成物からなる塗液を用いて前記ガスバリア層を被覆した後、乾燥させることによって該層内に金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合物を均一に分布せしめ、無機と有機の複合体を形成し、前記ガスバリア層の蒸着原料であるアルミニウムの蒸発速度に対し、導入する酸素導入量がO/Alモル比換算で0.40であり、かつ、導入するヘリウム導入量がHe/Alモル比換算で0.15〜0.4であることを特徴とするガスバリア材の製造方法である。
緻密で高いガスバリア性を有する反面、柔軟性に欠ける無機化合物中に、有機成分を含み柔軟性に富む前記複合物を均一に分布せしめることによって高度のガスバリア性と柔軟性とを併せ持たせることができる。
また、緻密で高いガスバリア性を有する無機化合物としてアルミニウム化合物を用いることによって、生産性、ガスバリア性能に優れたガスバリア材が得られる。
また、緻密な無機化合物を製造する真空蒸着において、不活性ガス等を導入することによって無機化合物中に微細な欠陥(以下ポアという)を設けることができる。有機物を含む前記金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂組成物からなる複合物でポアを埋め、該複合物を均一に分布せしめることによって、無機化合物からなるガスバリア層中に有機物を分布させたガスバリア材が得られる。
【0010】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載のガスバリア材の製造方法において、前記金属アルコキシドが、金属が珪素であるアルコキシド、金属がアルミニウムであるアルコキシドのうち何れか一方または両方であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のガスバリア材の製造方法において、前記水溶性高分子樹脂が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について説明する。
本発明のガスバリア材は、高分子樹脂基材の少なくとも片面に設けた金属および/または金属化合物を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層の厚さ方向に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合物が均一に分布し、無機と有機の複合体を形成していることを特徴とする。
【0014】
上記のように、ガスバリア層を構成する無機化合物中に前記金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合物を分布せしめるに適する大きさのポアを設け、無機化合物中に前記複合物を均一に分布させることによって、引っ張り等の応力による変形に対してもガスバリアの低下を抑えることができるガスバリア材を与えるものである。
【0015】
また、無機化合物としてはアルミニウム酸化物が透明性、ガスバリア性、生産性の点から好適である。アルミニウム酸化物を高分子樹脂基材上に付着させる方法として、真空中でアルミニウム酸化物もしくはアルミニウムもしくは両者の混合物を加熱し蒸発させて基材上に付着させる真空蒸着法が利用されている。ただし蒸発材料にアルミニウムを用いる場合は、蒸発材料と基材との間に酸化剤を導入することが必要である。この真空蒸着法は無機物質などを緻密な構造で基材上に付着させるに適した方法である。
【0016】
アルミニウムを加熱し酸化剤として酸素を導入する場合、導入量を調整することによってアルミニウム酸化物の酸化度を任意に制御することができる。さらに無機化合物の酸化に要する量以上に酸素を導入することによって酸素によるポアをアルミニウム酸化物蒸着膜中に形成することができる。
【0017】
上記の方法の他に、アルミニウムもしくはアルミニウム酸化物と反応しないガス、なかでも不活性ガスを導入することによってポアを形成することができる。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン等があげられる。酸化剤として用いる酸素によってポアを形成する場合に比べ、酸素と分子径の異なるガスを用いることでポアの大きさを広範囲に選択できる。さらに、次工程で金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合物によってポアを埋めることを考慮すると、このポア界面の化学反応性がよい方が好都合である。このためアルミニウム酸化物の真空蒸着層の形成を不活性ガスを含む雰囲気中で行うことが特に望ましい。蒸着雰囲気中に不活性ガスを導入することによって、無機化合物中に不活性ガスが取り込まれるが、アルミニウム酸化物と反応しないため、前記金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合物を埋めるに適したポアを作ることができる。
【0018】
ポアを設けた無機化合物からなるガスバリア層に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂の複合物を均一に分布させることによって、ガスバリア性が向上すると共に無機化合物の脆さを克服できることから引っ張り等の応力による変形に対してもガスバリア性を維持できるガスバリア材とすることができる。
【0019】
以上のように、蒸着無機化合物からなるガスバリア層中のポアに有機化合物を埋め、分布せしめることによって、有機化合物の柔軟性で無機化合物の脆さを克服し、引っ張りによる変形に対してもガスバリア性を維持できることを見い出し本発明を完成するに至ったものである。
【0020】
本発明のガスバリア材を構成する高分子樹脂からなる基材としては、ガスバリア性フィルムの使用目的、被包装物の物性、特性等から適宜選択することができるものであり、具体的にはナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリアクリレート、ポリウレタン、セロハン、ポリエチレンテレフタレート、アイオノマー等の延伸または非延伸の樹脂フィルムを挙げることができる。また、このような基材の厚みは、ガスバリア性フィルムの使用目的、製造時の安定性等から適宜設定することができるが、例えば10〜100μm程度とすることができる。
【0021】
本発明により製造されるガスバリア材のうちアルミニウム酸化物からなる蒸着無機化合物の性質は、アルミニウム酸化物の組成AlOxのXの値、および膜厚により決定され、高分子樹脂からなる基材の搬送速度、蒸発に用いる手法、不活性ガスの流量を適正な値に設定することによって良好なアルミニウム酸化物蒸着層を形成することができる。
【0022】
また、ガスバリア材を構成する無機化合物としてのアルミニウム酸化物は、AlOx(X=1〜1.5)の薄膜、厚みは50〜5000Å、好ましくは100〜1000Å程度である。膜厚が50Åを下回るとアルミニウム酸化物でなる無機化合物層に抜けが生じ、樹脂基材上に層状にならずガスバリア性にばらつきが生じやすくなる。また5000Åを超えると蒸着無機化合物層の組成によっては透明性が低下する場合がある(AlOx:X<1.3)。従って透明性の点から、アルミニウム酸化物層はAlOx(X=1.3〜1.5)の薄膜であることが好ましい。
【0023】
真空蒸着装置中へ導入するガスは、アルミニウムの酸化剤としての酸素と共に、ポアの作成を目的としたヘリウム、ネオン、アルゴンなどを使用することができ、ガスの種類、導入量は蒸着後に塗布する金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂の複合体の物性、特性、および安定した蒸着条件等から適宜選択することができる。
【0024】
蒸着無機化合物に塗布する複合物としては、金属アルコキシドの加水分解物、例えばテトラエトキシシラン加水分解物と、水溶性高分子樹脂、例えばポリビニルアルコールの混合物を用いることができる。このときテトラエトキシシランとポリビニルアルコールの重量比率が、20:80〜95:5が好適である。このように、テトラエトキシシランとポリビニルアルコールの複合物をポアを含む蒸着無機化合物に塗布し、乾燥することによって、引っ張り応力にも強いガスバリア材とすることができる。
【0025】
次に、本発明のガスバリア材の製造方法を説明する。本発明のガスバリア材の製造に使用する真空蒸着装置の一例を示す。図1に示す巻き取り式真空蒸着装置(1)であって、内部が二つの部屋からなり、下方にあるその一つは、酸素ボンベ(10)、不活性ガスボンベ(11)からガス供給パイプ(14)を通して、酸素または不活性ガスの何れか一方または両方の混合物を供給することにより酸素雰囲気もしくは酸素と不活性ガス混合雰囲気とし、蒸発材料(2)であるアルミニウムを加熱し気化させて、高分子樹脂からなる基材表面に積層させる蒸着室である。上方にあるもう一つの部屋は、真空ポンプ(8)にて真空雰囲気とし、巻き出しロール(4)から蒸着前のフィルムを蒸着用クーリングロール(5)を介して蒸着室に送り出し、蒸着されたフィルムを巻き取る、巻き取りロール(6)を備えた巻き取り室である。
【0026】
さらに詳しくは、上記巻き取り式真空蒸着装置(1)のチャンバー内を真空ポンプ(8)により減圧して、真空度10-3〜10-8Torr、好ましくは真空度10-4〜10-8Torrとする。そして蒸着室内に酸素を酸素ボンベ(10)から、不活性ガスを不活性ガスボンベ(11)から流量調整器(13)、ガス供給パイプ(14)を通じて導入する。この時の酸素ガスの流量、不活性ガス導入の有無、不活性ガスの種類と流量は、目的とするポアの数、大きさ、および蒸着に用いる装置によって異なってくる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明の一実施例について更に具体的に説明する。
【0028】
<実施例1>
図1に示すように、高分子樹脂からなる基材として厚み12μmのポリエチレンテレフタレートフィルム原反を、巻き取り式真空蒸着装置(1)の巻出しロール(4)に装着した。次に巻き取り式真空蒸着装置(1)のチャンバー内を1×10-5Torrまで減圧した。
【0029】
続いて、電子ビーム発生部(9)に15kWの電力を供給して電子ビームを発生させ、偏向コイル(12)を用いて、るつぼ(3)内の蒸発材料(2)であるアルミニウムに照射して蒸発させた。この時ガス供給パイプ(14)を通じてアルミニウムの酸化剤として、アルミニウム蒸発速度に対し、酸素導入量がO2/Alモル比換算で0.40となるように酸素を導入、およびポア作成のためにヘリウム導入量がHe/Alモル比換算で0.15となるようにヘリウムガスを導入し、基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムを速度2m/秒で搬送して、この蒸着雰囲気中にさらすことによって、ポアを含むアルミニウム酸化物の薄膜を基材上に形成した。
【0030】
上記で得られたポアを含む蒸着無機化合物上に、テトラエトキシシラン加水分解物とポリビニルアルコールの複合物を、グラビアコーターを用いてフィルム基材を10m/分で搬送しながら塗布した後、オーブンで乾燥させることによって、前記無機化合物とテトラエトキシシラン加水分解物とポリビニルアルコールの複合物を均一に分布せしめ、ガスバリア材を作成した。
【0031】
<実施例2>
アルミニウム蒸発速度に対し、ヘリウムガス導入量をHe/Alモル比換算で0.25としたこと以外は実施例1と同条件でガスバリア材を作成した。
【0032】
<実施例3>
アルミニウム蒸発速度に対し、ヘリウムガス導入量をHe/Alモル比換算で0.40としたこと以外は実施例1と同条件でガスバリア材を作成した。
【0033】
参考例1
アルミニウム蒸発速度に対し、酸素導入量をO2/Alモル比換算で0.75とし、ヘリウムを導入しないこと以外は実施例1と同条件でガスバリア材を作成した。
【0034】
参考例2
ヘリウムガスを導入しないこと以外は実施例1と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0035】
<比較例2>
金属アルコキシドと水溶性高分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は実施例1と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0036】
<比較例3>
金属アルコキシドと水溶性高分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は実施例2と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0037】
<比較例4>
金属アルコキシドと水溶性高分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は実施例3と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0038】
<比較例5>
金属アルコキシドと水溶性高分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は参考例1と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0039】
<比較例6>
金属アルコキシドと水溶性高分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は参考例2と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0040】
上記実施例1〜3比較例2〜6、参考例1及び2で得られたガスバリア材について、以下の評価を行い、その結果を表1に示した。
【0041】
<評価方法>
(1)酸素バリア性・・温度30℃、湿度70%RHの雰囲気下で、Moc on Oxtran10/50A酸素ガス透過度測定装置(モダンコントロ ール社製)にて測定し、酸素透過度とした。
(2)水蒸気バリア性・・温度40℃、湿度90%RH雰囲気下で、Moc on PermatranW6水蒸気透過度測定装置(モダンコントロール 社製)にて測定し、水蒸気透過度とした。
(3)耐引っ張り性・・ガスバリア材(1)の試料を長さ40cm、幅14 cmに切り出し、長さ方向に定速で所定の歪み(3%、6%)まで引っ張っ た後、元に戻して酸素バリア性、水蒸気バリア性を透過度として測定した。
なお、表中の酸素透過度の単位は、cc/m2・day・atm、水蒸気透過度の単位は、g/m2・dayである。
【0042】
【表1】
Figure 0004332921
【0043】
表1より、酸素バリア性において、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムでは140cc/m2・day・atmの酸素透過度であるが、不活性ガスを導入せずにアルミニウム酸化物を蒸着した比較例6(有機化合物の塗布も無し)のガスバリア材では、アルミニウム酸化物膜厚が約200Åの時、酸素透過度が、2.5cc/m2・day・atmと少なくなり、水蒸気バリア性においても厚さ12μmのポリエチレンテレフタレートフィルムでは55g/m2・dayの水蒸気透過であるが、アルミニウム酸化物を蒸着することにより水蒸気透過度が2.8g/m2・dayと少なくなる。
【0044】
また、上記比較例6の試料に金属アルコキシドと水溶性高分子樹脂を塗布、乾燥させることによって複合物からなる被覆層を形成した比較例1のガスバリア材ではさらにガスバリア性が向上する。具体的には、酸素バリア性は0.5cc/m2・dayと少なくなり、水蒸気バリア性は0.5g/m2・dayと少なくなり、有機化合物でなる複合物の効果が伺える。
【0045】
また、比較例6の試料に対し不活性ガスとしてヘリウムを導入して蒸着した比較例2、3、4、およびヘリウムに変えて酸素を過剰に導入した比較例5では、ポアの存在によって酸素、水蒸気ともその透過度が増加する。ヘリウム導入量がもっとも少ない比較例2において酸素透過度が4.8cc/m・day・atm、水蒸気透過度も3.4g/m・dayと多くなる。これに金属アルコキシドと水溶性高分子樹脂を塗布、乾燥させて被覆層とすることによって、酸素、水蒸気とも透過度を補うことができる。すなわち参考例2に対し実施例1では、酸素透過度が0.9cc/m・day・atm、水蒸気透過度1.6g/m・dayとなりほぼ十分なガスバリア材となる。
【0046】
また、耐引っ張り性では、例えばヘリウムを導入しない無機化合物とした参考例2において3%の歪みでの酸素透過度は0.6cc/m・day・atm、水蒸気透過度9.4g/m・dayとなり、6%の歪みでの酸素透過度は5.2cc/m・day・atm、水蒸気透過度15.6g/m・dayと著しく低下するのに対し、不活性ガスを含む雰囲気中でアルミニウム酸化物の蒸着を行うことによってできた、ポアを含む蒸着無機化合物に有機化合物でなる複合物を塗布した実施例1のガスバリア材では、3%の歪みでの酸素透過度は1.1cc/m・day・atm、水蒸気透過度2.4g/m・dayとなり、6%の歪みでの酸素透過度は1.8cc/m・day・atm、水蒸気透過度2.4g/m・dayとなり、ガスバリア性の低下を抑えることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、高分子樹脂基材の少なくとも片面に設けた金属および/または金属化合物を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層の厚さ方向に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合物が均一に分布し、無機と有機の複合体を形成していることにより、ガスバリア性が向上すると共に無機化合物の脆さを克服できることから引っ張りなどの応力による変形に対してもクラックの発生を抑制し、ガスバリア性を維持することのできるガスバリア材およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリア層を形成するための真空蒸着装置を説明する模式図である。
【符号の説明】
1……真空蒸着チャンバー
2……蒸発材料
3……るつぼ
4……巻き出しロール
5……蒸着用クーリングロール
6……巻き取りロール
7……補助ロール
8……真空ポンプ
9……電子ビーム発生部
10…酸素ガスボンベ
11…不活性ガスボンベ
12…偏向コイル
13…流量調整器
14…ガス供給パイプ

Claims (3)

  1. ヘリウム、酸素の両方の存在下で、真空蒸着法によって基材の少なくとも片面にアルミニウム化合物からなるガスバリア層を形成した後、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂との組成物からなる塗液を用いて前記ガスバリア層を被覆した後、乾燥させることによって該層内に金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合物を均一に分布せしめ、無機と有機の複合体を形成し、前記ガスバリア層の蒸着原料であるアルミニウムの蒸発速度に対し、導入する酸素導入量がO/Alモル比換算で0.40であり、かつ、導入するヘリウム導入量がHe/Alモル比換算で0.15〜0.4であることを特徴とするガスバリア材の製造方法。
  2. 前記金属アルコキシドが、金属が珪素であるアルコキシド、金属がアルミニウムであるアルコキシドのうち何れか一方または両方であることを特徴とする請求項1記載のガスバリア材の製造方法
  3. 前記水溶性高分子樹脂が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする請求項1又は2記載のガスバリア材の製造方法
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