JP2000202940A - ガスバリア材およびその製造方法 - Google Patents

ガスバリア材およびその製造方法

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JP2000202940A JP11009504A JP950499A JP2000202940A JP 2000202940 A JP2000202940 A JP 2000202940A JP 11009504 A JP11009504 A JP 11009504A JP 950499 A JP950499 A JP 950499A JP 2000202940 A JP2000202940 A JP 2000202940A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】引っ張り等の応力によるガスバリア材の変形に
よって生じるクラックの発生を抑制してガスバリア性を
維持することのできるガスバリア材およびその製造方法
を提供することを目的とする。 【解決手段】 高分子樹脂基材の少なくとも片面に設け
た金属および/または金属化合物を主成分とする無機化
合物からなるガスバリア層の厚さ方向に、金属アルコキ
シドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複
合物が均一に分布し、無機と有機の複合体を形成してい
ることを特徴とするガスバリア材である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品や医薬品等の
包装に適した酸素および水蒸気の透過に対して高度なガ
スバリア性を有する透明なガスバリア材に関するもので
あり、更に詳しくは、ガスバリア層が無機化合物と有機
化合物との複合体からなり、変形によるガスバリア性の
低下の少ないガスバリア材およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】包装材料としては内容物の保存のために
ガスバリア性が重要であり、酸素や水蒸気に対するバリ
ア性を備えた包装材料として、従来、アルミ箔やポリ塩
化ビニリデン(PVDC)コートが使われてきた。しか
しアルミ箔は優れたガスバリア性を持つものの、不透明
であるため内容物の確認ができない、内容物の金属探知
器による検査が出来ない、マイクロ波が通らないため電
子レンジ食品等には使えない、また焼却過程で溶融した
アルミニウムが炉底にたまって炉を傷めるといった多く
の問題点があった。
【0003】一方、PVDCは透明であるもののガスバ
リア性が不十分であるうえに、塩素を分子内に含有し、
焼却過程で有毒な塩素系ガスを排出するため環境衛生上
好ましくなく、かつ塩素ガスによって焼却炉の腐食等を
もたらすという問題もあった。
【0004】上記両者の問題点を解決するものとして、
最近は珪素酸化物もしくはアルミニウム酸化物からなる
無機化合物をガスバリア層として高分子樹脂基材上に設
けたガスバリアフィルムが開発されている。しかし、こ
れらはアルミ箔に比べて透明であるが、ガスバリア性が
低いこと、引っ張り等の応力に弱くガスバリア性が低下
するため、ガスバリア材としての用途が制限されてい
る。
【0005】上記の無機化合物をガスバリア層とするガ
スバリア材での問題を解決するために、金属アルコキシ
ドの加水分解物と水溶性高分子樹脂との複合物を無機化
合物上に積層させたガスバリア材が開発されている。こ
の複合物は透明性に優れており、またガスバリア性も向
上するが、引っ張り等の応力に対するガスバリア性の低
下を抑制するにはまだ不十分であった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の問題点を解決するものであり、その課題とすると
ころは、引っ張り等の応力によるガスバリア材の変形に
よって生じるクラックの発生を抑制してガスバリア性を
維持することのできるガスバリア材およびその製造方法
を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題は、下記の手段
によって解決できる。
【0008】請求項1記載の発明は、高分子樹脂基材の
少なくとも片面に設けた金属および/または金属化合物
を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層の厚さ
方向に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高
分子樹脂とからなる複合物が均一に分布し、無機と有機
の複合体を形成していることを特徴とするガスバリア材
である。緻密で高いガスバリア性を有する反面、柔軟性
に欠ける無機化合物中に、有機成分を含み柔軟性に富む
前記複合物を均一に分布せしめることによって高度のガ
スバリア性と柔軟性とを併せ持たせることができる。
【0009】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載のガスバリア材において、前記無機化合物が、アルミ
ニウム化合物からなることを特徴とする。緻密で高いガ
スバリア性を有する無機化合物としてアルミニウム化合
物を用いることによって、生産性、ガスバリア性能に優
れたガスバリア材が得られる。
【0010】また、請求項3記載の発明は、請求項1又
は2記載のガスバリア材において、前記金属アルコキシ
ドが、金属が珪素であるアルコキシド、金属がアルミニ
ウムであるアルコキシドのうち何れか一方または両方で
あることを特徴とする。
【0011】また、請求項4記載の発明は、請求項1乃
至3記載のガスバリア材において、前記水溶性高分子樹
脂が、ポリビニルアルコールであることを特徴とする。
【0012】また、請求項5記載の発明は、不活性ガ
ス、酸素の何れか一方または両方の存在下で、真空蒸着
法によって前記基材の少なくとも片面に前記無機化合物
からなるガスバリア層を形成した後、金属アルコキシド
の加水分解生成物と水溶性高分子樹脂との組成物からな
る塗液を用いて前記ガスバリア層を被覆した後、乾燥さ
せることによって該層内に金属アルコキシドの加水分解
生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合物を均一に分
布せしめ、無機と有機の複合体を形成せしめることを特
徴とするガスバリア材の製造方法である。緻密な無機化
合物を製造する真空蒸着において、不活性ガス等を導入
することによって無機化合物中に微細な欠陥(以下ポア
という)を設けることができる。有機物を含む前記金属
アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂組成
物からなる複合物でポアを埋め、該複合物を均一に分布
せしめることによって、無機化合物からなるガスバリア
層中に有機物を分布させたガスバリア材が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態について
説明する。本発明のガスバリア材は、高分子樹脂基材の
少なくとも片面に設けた金属および/または金属化合物
を主成分とする無機化合物からなるガスバリア層の厚さ
方向に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高
分子樹脂とからなる複合物が均一に分布し、無機と有機
の複合体を形成していることを特徴とする。
【0014】上記のように、ガスバリア層を構成する無
機化合物中に前記金属アルコキシドの加水分解生成物と
水溶性高分子樹脂とからなる複合物を分布せしめるに適
する大きさのポアを設け、無機化合物中に前記複合物を
均一に分布させることによって、引っ張り等の応力によ
る変形に対してもガスバリアの低下を抑えることができ
るガスバリア材を与えるものである。
【0015】また、無機化合物としてはアルミニウム酸
化物が透明性、ガスバリア性、生産性の点から好適であ
る。アルミニウム酸化物を高分子樹脂基材上に付着させ
る方法として、真空中でアルミニウム酸化物もしくはア
ルミニウムもしくは両者の混合物を加熱し蒸発させて基
材上に付着させる真空蒸着法が利用されている。ただし
蒸発材料にアルミニウムを用いる場合は、蒸発材料と基
材との間に酸化剤を導入することが必要である。この真
空蒸着法は無機物質などを緻密な構造で基材上に付着さ
せるに適した方法である。
【0016】アルミニウムを加熱し酸化剤として酸素を
導入する場合、導入量を調整することによってアルミニ
ウム酸化物の酸化度を任意に制御することができる。さ
らに無機化合物の酸化に要する量以上に酸素を導入する
ことによって酸素によるポアをアルミニウム酸化物蒸着
膜中に形成することができる。
【0017】上記の方法の他に、アルミニウムもしくは
アルミニウム酸化物と反応しないガス、なかでも不活性
ガスを導入することによってポアを形成することができ
る。不活性ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン
等があげられる。酸化剤として用いる酸素によってポア
を形成する場合に比べ、酸素と分子径の異なるガスを用
いることでポアの大きさを広範囲に選択できる。さら
に、次工程で金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶
性高分子樹脂とからなる複合物によってポアを埋めるこ
とを考慮すると、このポア界面の化学反応性がよい方が
好都合である。このためアルミニウム酸化物の真空蒸着
層の形成を不活性ガスを含む雰囲気中で行うことが特に
望ましい。蒸着雰囲気中に不活性ガスを導入することに
よって、無機化合物中に不活性ガスが取り込まれるが、
アルミニウム酸化物と反応しないため、前記金属アルコ
キシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる
複合物を埋めるに適したポアを作ることができる。
【0018】ポアを設けた無機化合物からなるガスバリ
ア層に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高
分子樹脂の複合物を均一に分布させることによって、ガ
スバリア性が向上すると共に無機化合物の脆さを克服で
きることから引っ張り等の応力による変形に対してもガ
スバリア性を維持できるガスバリア材とすることができ
る。
【0019】以上のように、蒸着無機化合物からなるガ
スバリア層中のポアに有機化合物を埋め、分布せしめる
ことによって、有機化合物の柔軟性で無機化合物の脆さ
を克服し、引っ張りによる変形に対してもガスバリア性
を維持できることを見い出し本発明を完成するに至った
ものである。
【0020】本発明のガスバリア材を構成する高分子樹
脂からなる基材としては、ガスバリア性フィルムの使用
目的、被包装物の物性、特性等から適宜選択することが
できるものであり、具体的にはナイロン、ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネー
ト、ポリビニルアルコール、セルロース、ポリアクリレ
ート、ポリウレタン、セロハン、ポリエチレンテレフタ
レート、アイオノマー等の延伸または非延伸の樹脂フィ
ルムを挙げることができる。また、このような基材の厚
みは、ガスバリア性フィルムの使用目的、製造時の安定
性等から適宜設定することができるが、例えば10〜1
00μm程度とすることができる。
【0021】本発明により製造されるガスバリア材のう
ちアルミニウム酸化物からなる蒸着無機化合物の性質
は、アルミニウム酸化物の組成AlOxのXの値、およ
び膜厚により決定され、高分子樹脂からなる基材の搬送
速度、蒸発に用いる手法、不活性ガスの流量を適正な値
に設定することによって良好なアルミニウム酸化物蒸着
層を形成することができる。
【0022】また、ガスバリア材を構成する無機化合物
としてのアルミニウム酸化物は、AlOx(X=1〜
1.5)の薄膜、厚みは50〜5000Å、好ましくは
100〜1000Å程度である。膜厚が50Åを下回る
とアルミニウム酸化物でなる無機化合物層に抜けが生
じ、樹脂基材上に層状にならずガスバリア性にばらつき
が生じやすくなる。また5000Åを超えると蒸着無機
化合物層の組成によっては透明性が低下する場合がある
(AlOx:X<1.3)。従って透明性の点から、ア
ルミニウム酸化物層はAlOx(X=1.3〜1.5)
の薄膜であることが好ましい。
【0023】真空蒸着装置中へ導入するガスは、アルミ
ニウムの酸化剤としての酸素と共に、ポアの作成を目的
としたヘリウム、ネオン、アルゴンなどを使用すること
ができ、ガスの種類、導入量は蒸着後に塗布する金属ア
ルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂の複合
体の物性、特性、および安定した蒸着条件等から適宜選
択することができる。
【0024】蒸着無機化合物に塗布する複合物として
は、金属アルコキシドの加水分解物、例えばテトラエト
キシシラン加水分解物と、水溶性高分子樹脂、例えばポ
リビニルアルコールの混合物を用いることができる。こ
のときテトラエトキシシランとポリビニルアルコールの
重量比率が、20:80〜95:5が好適である。この
ように、テトラエトキシシランとポリビニルアルコール
の複合物をポアを含む蒸着無機化合物に塗布し、乾燥す
ることによって、引っ張り応力にも強いガスバリア材と
することができる。
【0025】次に、本発明のガスバリア材の製造方法を
説明する。本発明のガスバリア材の製造に使用する真空
蒸着装置の一例を示す。図1に示す巻き取り式真空蒸着
装置(1)であって、内部が二つの部屋からなり、下方
にあるその一つは、酸素ボンベ(10)、不活性ガスボ
ンベ(11)からガス供給パイプ(14)を通して、酸
素または不活性ガスの何れか一方または両方の混合物を
供給することにより酸素雰囲気もしくは酸素と不活性ガ
ス混合雰囲気とし、蒸発材料(2)であるアルミニウム
を加熱し気化させて、高分子樹脂からなる基材表面に積
層させる蒸着室である。上方にあるもう一つの部屋は、
真空ポンプ(8)にて真空雰囲気とし、巻き出しロール
(4)から蒸着前のフィルムを蒸着用クーリングロール
(5)を介して蒸着室に送り出し、蒸着されたフィルム
を巻き取る、巻き取りロール(6)を備えた巻き取り室
である。
【0026】さらに詳しくは、上記巻き取り式真空蒸着
装置(1)のチャンバー内を真空ポンプ(8)により減
圧して、真空度10-3〜10-8Torr、好ましくは真
空度10-4〜10-8Torrとする。そして蒸着室内に
酸素を酸素ボンベ(10)から、不活性ガスを不活性ガ
スボンベ(11)から流量調整器(13)、ガス供給パ
イプ(14)を通じて導入する。この時の酸素ガスの流
量、不活性ガス導入の有無、不活性ガスの種類と流量
は、目的とするポアの数、大きさ、および蒸着に用いる
装置によって異なってくる。
【0027】
【実施例】次に、本発明の一実施例について更に具体的
に説明する。
【0028】<実施例1>図1に示すように、高分子樹
脂からなる基材として厚み12μmのポリエチレンテレ
フタレートフィルム原反を、巻き取り式真空蒸着装置
(1)の巻出しロール(4)に装着した。次に巻き取り
式真空蒸着装置(1)のチャンバー内を1×10-5To
rrまで減圧した。
【0029】続いて、電子ビーム発生部(9)に15k
Wの電力を供給して電子ビームを発生させ、偏向コイル
(12)を用いて、るつぼ(3)内の蒸発材料(2)で
あるアルミニウムに照射して蒸発させた。この時ガス供
給パイプ(14)を通じてアルミニウムの酸化剤とし
て、アルミニウム蒸発速度に対し、酸素導入量がO2
Alモル比換算で0.40となるように酸素を導入、お
よびポア作成のためにヘリウム導入量がHe/Alモル
比換算で0.15となるようにヘリウムガスを導入し、
基材であるポリエチレンテレフタレートフィルムを速度
2m/秒で搬送して、この蒸着雰囲気中にさらすことに
よって、ポアを含むアルミニウム酸化物の薄膜を基材上
に形成した。
【0030】上記で得られたポアを含む蒸着無機化合物
上に、テトラエトキシシラン加水分解物とポリビニルア
ルコールの複合物を、グラビアコーターを用いてフィル
ム基材を10m/分で搬送しながら塗布した後、オーブ
ンで乾燥させることによって、前記無機化合物とテトラ
エトキシシラン加水分解物とポリビニルアルコールの複
合物を均一に分布せしめ、ガスバリア材を作成した。
【0031】<実施例2>アルミニウム蒸発速度に対
し、ヘリウムガス導入量をHe/Alモル比換算で0.
25としたこと以外は実施例1と同条件でガスバリア材
を作成した。
【0032】<実施例3>アルミニウム蒸発速度に対
し、ヘリウムガス導入量をHe/Alモル比換算で0.
40としたこと以外は実施例1と同条件でガスバリア材
を作成した。
【0033】<実施例4>アルミニウム蒸発速度に対
し、酸素導入量をO2/Alモル比換算で0.75と
し、ヘリウムを導入しないこと以外は実施例1と同条件
でガスバリア材を作成した。
【0034】<比較例1>ヘリウムガスを導入しないこ
と以外は実施例1と同様の条件でガスバリア材を作成し
た。
【0035】<比較例2>金属アルコキシドと水溶性高
分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は実施例
1と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0036】<比較例3>金属アルコキシドと水溶性高
分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は実施例
2と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0037】<比較例4>金属アルコキシドと水溶性高
分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は実施例
3と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0038】<比較例5>金属アルコキシドと水溶性高
分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は実施例
4と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0039】<比較例6>金属アルコキシドと水溶性高
分子樹脂からなる複合物を塗布しないこと以外は比較例
1と同様の条件でガスバリア材を作成した。
【0040】上記実施例1〜4および比較例1〜6で得
られたガスバリア材について、以下の評価を行い、その
結果を表1に示した。
【0041】<評価方法> (1)酸素バリア性・・温度30℃、湿度70%RHの
雰囲気下で、Mocon Oxtran10/50A酸
素ガス透過度測定装置(モダンコントロール社製)にて
測定し、酸素透過度とした。 (2)水蒸気バリア性・・温度40℃、湿度90%RH
雰囲気下で、Mocon PermatranW6水蒸
気透過度測定装置(モダンコントロール社製)にて測定
し、水蒸気透過度とした。 (3)耐引っ張り性・・ガスバリア材(1)の試料を長
さ40cm、幅14cmに切り出し、長さ方向に定速で
所定の歪み(3%、6%)まで引っ張った後、元に戻し
て酸素バリア性、水蒸気バリア性を透過度として測定し
た。 なお、表中の酸素透過度の単位は、cc/m2・day
・atm、水蒸気透過度の単位は、g/m2・dayで
ある。
【0042】
【表1】
【0043】表1より、酸素バリア性において、厚さ1
2μmのポリエチレンテレフタレートフィルムでは14
0cc/m2・day・atmの酸素透過度であるが、
不活性ガスを導入せずにアルミニウム酸化物を蒸着した
比較例6(有機化合物の塗布も無し)のガスバリア材で
は、アルミニウム酸化物膜厚が約200Åの時、酸素透
過度が、2.5cc/m2・day・atmと少なくな
り、水蒸気バリア性においても厚さ12μmのポリエチ
レンテレフタレートフィルムでは55g/m2・day
の水蒸気透過であるが、アルミニウム酸化物を蒸着する
ことにより水蒸気透過度が2.8g/m2・dayと少
なくなる。
【0044】また、上記比較例6の試料に金属アルコキ
シドと水溶性高分子樹脂を塗布、乾燥させることによっ
て複合物からなる被覆層を形成した比較例1のガスバリ
ア材ではさらにガスバリア性が向上する。具体的には、
酸素バリア性は0.5cc/m2・dayと少なくな
り、水蒸気バリア性は0.5g/m2・dayと少なく
なり、有機化合物でなる複合物の効果が伺える。
【0045】また、比較例6の試料に対し不活性ガスと
してヘリウムを導入して蒸着した比較例2、3、4、お
よびヘリウムに変えて酸素を過剰に導入した比較例5で
は、ポアの存在によって酸素、水蒸気ともその透過度が
増加する。ヘリウム導入量がもっとも少ない比較例2に
おいて酸素透過度が4.8cc/m2・day・at
m、水蒸気透過度も3.4g/m2・dayと多くな
る。これに金属アルコキシドと水溶性高分子樹脂を塗
布、乾燥させて被覆層とすることによって、酸素、水蒸
気とも透過度を補うことができる。すなわち比較例1に
対し実施例1では、酸素透過度が0.9cc/m2・d
ay・atm、水蒸気透過度1.6g/m2・dayと
なりほぼ十分なガスバリア材となる。
【0046】また、耐引っ張り性では、例えばヘリウム
を導入しない無機化合物とした比較例1において3%の
歪みでの酸素透過度は0.6cc/m2・day・at
m、水蒸気透過度9.4g/m2・dayとなり、6%
の歪みでの酸素透過度は5.2cc/m2・day・a
tm、水蒸気透過度15.6g/m2・dayと著しく
低下するのに対し、不活性ガスを含む雰囲気中でアルミ
ニウム酸化物の蒸着を行うことによってできた、ポアを
含む蒸着無機化合物に有機化合物でなる複合物を塗布し
た実施例1のガスバリア材では、3%の歪みでの酸素透
過度は1.1cc/m2・day・atm、水蒸気透過
度2.4g/m2・dayとなり、6%の歪みでの酸素
透過度は1.8cc/m2・day・atm、水蒸気透
過度2.4g/m2・dayとなり、ガスバリア性の低
下を抑えることができる。
【0047】
【発明の効果】本発明によれば、高分子樹脂基材の少な
くとも片面に設けた金属および/または金属化合物を主
成分とする無機化合物からなるガスバリア層の厚さ方向
に、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子
樹脂とからなる複合物が均一に分布し、無機と有機の複
合体を形成していることにより、ガスバリア性が向上す
ると共に無機化合物の脆さを克服できることから引っ張
りなどの応力による変形に対してもクラックの発生を抑
制し、ガスバリア性を維持することのできるガスバリア
材およびその製造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガスバリア層を形成するための真空蒸
着装置を説明する模式図である。
【符号の説明】
1……真空蒸着チャンバー 2……蒸発材料 3……るつぼ 4……巻き出しロール 5……蒸着用クーリングロール 6……巻き取りロール 7……補助ロール 8……真空ポンプ 9……電子ビーム発生部 10…酸素ガスボンベ 11…不活性ガスボンベ 12…偏向コイル 13…流量調整器 14…ガス供給パイプ
フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AA02B AA19B AA19C AA20C AB01B AH02C AH06C AH08C AK01A AK01C AK21C AK42 AL05C BA03 BA05 BA06 BA07 BA10A BA10C BA13 EH462 EH661 EJ581 EJ591 EJ601 EJ862 GB23 GB66 JB09C JD02B JK14 JK17

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高分子樹脂基材の少なくとも片面に設けた
    金属および/または金属化合物を主成分とする無機化合
    物からなるガスバリア層の厚さ方向に、金属アルコキシ
    ドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とからなる複合
    物が均一に分布し、無機と有機の複合体を形成している
    ことを特徴とするガスバリア材。
  2. 【請求項2】前記無機化合物が、アルミニウム化合物か
    らなることを特徴とする請求項1記載のガスバリア材。
  3. 【請求項3】前記金属アルコキシドが、金属が珪素であ
    るアルコキシド、金属がアルミニウムであるアルコキシ
    ドのうち何れか一方または両方であることを特徴とする
    請求項1又は2記載のガスバリア材。
  4. 【請求項4】前記水溶性高分子樹脂が、ポリビニルアル
    コールであることを特徴とする請求項1乃至3記載のガ
    スバリア材。
  5. 【請求項5】不活性ガス、酸素の何れか一方または両方
    の存在下で、真空蒸着法によって前記基材の少なくとも
    片面に前記無機化合物からなるガスバリア層を形成した
    後、金属アルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子
    樹脂との組成物からなる塗液を用いて前記ガスバリア層
    を被覆した後、乾燥させることによって該層内に金属ア
    ルコキシドの加水分解生成物と水溶性高分子樹脂とから
    なる複合物を均一に分布せしめ、無機と有機の複合体を
    形成せしめることを特徴とするガスバリア材の製造方
    法。
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