JPH10315384A - 塗膜を形成したフィルム及びその製造方法 - Google Patents

塗膜を形成したフィルム及びその製造方法

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JPH10315384A
JPH10315384A JP14454397A JP14454397A JPH10315384A JP H10315384 A JPH10315384 A JP H10315384A JP 14454397 A JP14454397 A JP 14454397A JP 14454397 A JP14454397 A JP 14454397A JP H10315384 A JPH10315384 A JP H10315384A
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JP
Japan
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film
resin
vapor deposition
coating film
layer
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JP14454397A
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English (en)
Inventor
Yoshiro Wada
与志郎 和田
Kenichi Yamaguchi
健一 山口
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Dai Nippon Printing Co Ltd
Original Assignee
Dai Nippon Printing Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 蒸着層がストレス等によるクラックの発生に
より、塗膜としての機能が低下することを防止する。 【解決手段】 基材フィルムに、金属またはシリカ、酸
化アルミニウム等からなる蒸着層が設けられ、前記蒸着
層に、さらに、ポリモノクロロパラキシリレン樹脂また
はポリパラキシリレン樹脂の塗膜を設けた塗膜を形成し
たフィルムであり、前記フィルムの面に凹凸が形成さ
れ、該凹凸が形成された面に前記塗膜を形成する場合を
ふくむ。また、基材フィルムに、蒸着層を設け、前さら
に、CVD法によりポリモノクロロパラキシリレン樹脂
またはポリパラキシリレン樹脂の塗膜を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】単体のフィルム材料が有する
物性を改良するために設けられた蒸着層等の保護を含む
バリア性の安定化の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】各種のプラスチックフィルムは、それぞ
れに固有の物性を有している。その用途によって、その
まま使用可能なものもあるが、他の材料と貼り合わせる
ことによって、個々のフィルムの持つ欠点を補完しあう
ことも行われている。また、フィルム材表面に、各種の
塗布層を形成させることにより、フィルム材の物性の改
良を計る場合もある。例えば、ポリ塩化ビニリデン等の
溶液またはエマルジョンを塗布して、乾燥することによ
って、水蒸気または酸素をはじめとする各種ガスバリア
性を付与することがある。ポリ塩化ビニリデン樹脂層を
形成したフィルムは、通常のレベルの性能は得られるが
高度のバリアー性を付与させるためには、その塗布膜の
厚さを大きくしなくてはならず、コスト上昇の要因とな
る。また、ストレスクラックによる物性の低下もある。
また、前記ガスバリア性を備えた包材として、従来より
基材にアルミニウム(以下、アルミと記載する)箔を積
層した包材が使用されている。しかし、このような包材
は、安定したガスバリア性が得られるものの、バリアー
層としてのアルミ箔を積層しているため焼却適性が劣
り、使用後の廃棄処分が容易でないという問題があっ
た。また、アルミニウム箔層を備えているため、透明性
を有する包材は得られない、さらに、電子レンジで使用
できないといった問題もあった。また、ガスバリアー性
を有する樹脂としてエチレンビニルアルコール共重合体
(EVOH)を用いることがある。基材フィルムにEV
OHを積層した包材は、酸素透過性が低く、かつ、香味
成分の吸着性が低いという長所があるものの、水蒸気に
接触するとガスバリアー性が低下してしまうという問題
があった。このため、バリアー層であるEVOHを水蒸
気から遮断するために、前記包材をさらに複雑な積層構
造とする必要があり、製造コストの増大を来していた。
【0003】そして、近年、高いガスバリアー性と保香
性を安定して発揮する。基材フィルムに、アルミ、亜
鉛、銀、鉄等の金属またはシリカ、酸化アルミ等からな
る蒸着層が設けられたフィルムが開発されている。これ
らの蒸着フィルムは、基材フィルムに高度なバリアー性
を賦与できる特徴を有する。特に、珪素酸化物、シリカ
の薄膜からなるバリアー層を備えたバリアー性フィルム
は、蒸着材料である珪素酸化物を真空蒸着により基材中
に付着させることにより形成され、その高バリア性から
包装材料として利用されることが増え、また、使用後の
廃棄時における環境上の問題もなく、またバリアー性の
湿度依存性もないものである。しかし、前記シリカをは
じめ金属や無機酸化物等の蒸着層には、ピンホールが存
在し、また、加工時やその後の工程、あるいは、流通段
階におけるストレスによりクラックが発生するという問
題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フィルム表面に設けた
蒸着層がストレス等によるクラックの発生により、塗膜
としての機能が低下することを防止し、さらに、物性が
改良されたフィルムおよびその製造方法に関する技術を
提供する。
【0005】
【課題を解決する手段】基材フィルムに、アルミニウ
ム、亜鉛、銀、鉄等の金属またはシリカ、酸化アルミニ
ウム等からなる蒸着層が設けられ、前記蒸着層に、さら
に、ポリモノクロロパラキシリレン樹脂またはポリパラ
キシリレン樹脂からなる0.02μm〜 120μmの厚さの塗
膜を設けた塗膜を形成した蒸着フィルムであり、前記蒸
着フィルムの、少なくとも前記蒸着層を設けた面に凹凸
が形成され、該凹凸が形成された面に前記塗膜を形成す
る場合を含む。また、基材フィルムに、アルミニウム、
亜鉛、銀、鉄等の金属またはシリカ、酸化アルミニウム
等からなる蒸着層を設け、前記蒸着層に、さらに、CV
D法によりポリモノクロロパラキシリレン樹脂またはポ
リパラキシリレン樹脂からなる0.02μm〜 120μmの厚
さの塗膜を設けることを特徴とする塗膜を形成したフィ
ルムの製造方法であり、前記蒸着フィルムの、少なくと
も前記蒸着層を設けた面に凹凸が形成され、該凹凸が形
成された面に前記塗膜を形成する製造方法を含む。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、アルミニウム、亜鉛、
銀、鉄等の金属またはシリカ、酸化アルミニウム等を蒸
着した蒸着層を設けたフィルムの、前記蒸着層に、さら
に、ポリモノクロロパラキシリレン樹脂またはポリパラ
キシリレン樹脂(以下、ポリパラキシリレン樹脂等と記
載する)からなる塗膜層を設けるものである。図1は、
本発明の塗膜を形成したフィルムの実施例を示す断面図
(a)、さらに他の樹脂層を設けた場合の断面図(b)
である。図2は、本発明の塗膜を形成したフィルムの別
の実施例を示す断面図(a)、さらに他の樹脂層を設け
た場合の断面図(b)である。図3は、本発明の塗膜を
形成するために用いるCVD装置の概念図である。
【0007】本発明の塗膜5を設けるための基材フィル
ム2としては、ポリエチレンおよびエチレン系共重合
体、ポリプロピレン及びポリプロピレン系共重合体等の
オレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂層、塩化ビニ
リデン−塩化ビニル共重合体等の塩化ビニリデン系樹
脂、ポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチ
レンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、ポリテト
ラフルオロエチレン等のフッ素樹脂等の樹脂よりなる単
層または多層のフィルムが挙げられる。これらの基材フ
ィルムは未延伸のもの、あるいは一軸または二軸に延伸
したもの、いずれであってもよい。本発明は、前記各種
基材フィルム2に予め、アルミニウム、亜鉛、銀、鉄等
の金属またはシリカ、酸化アルミニウム等からなる蒸着
層3が設けられているフィルム(以下、蒸着フィルムと
記載する)に、ポリパラキシリレン樹脂等の塗膜5を形
成するものである。
【0008】前記蒸着層3を形成する物質としては、ア
ルミ、亜鉛、銀等の金属、あるいは、珪素、アルミ、マ
グネシウムなどの酸化物が挙げられる。これらの蒸着層
3を形成する方法としては、物理的蒸着法または化学的
蒸着法のいずれの方法による蒸着であってもよい。
【0009】また、前記蒸着フィルム4の蒸着層3の上
にポリパラキシリレン樹脂等の塗膜5を形成する面に、
予め、アンカーコート6を施したフィルムとしてもよ
い。該アンカーコート6は、蒸着層3に対するポリパラ
キシリレン樹脂等の塗膜5をより強固に接着させること
を目的とするもので、前記蒸着層3を形成する材質等に
よって選択される。具体的には、有機チタン系、ポリエ
チレンイミン系、イソシアネート系のアンカーコート剤
等を挙げることができる。
【0010】また、前記蒸着層が、珪素酸化物( Si
Ox )であり、かつ、その蒸着層が化学蒸着層により形
成される場合に原料として有機珪素化合物を用いるが、
この際、蒸着層表面に有機物が残留することがあり、ポ
リパラキシリレン樹脂等の塗膜の接着を阻害することが
ある。そこで、CVD法による形成された珪素化合物層
に本発明のポリパラキシリレン樹脂等の塗膜を形成する
場合には、該珪素化合物の蒸着層表面にシランカップリ
ング剤溶液をグラビア印刷法あるいはロールコーティン
グ法により塗布する、又は、真空蒸着槽内においてシラ
ンカップリング剤を加熱蒸発せしめて蒸着することによ
り、前記接着阻害を防ぐことができる。前記シランカッ
プリング剤の層を設ける前又は設けた後に前記アンカー
コート剤の塗布をしても良い。
【0011】本発明の塗膜5を形成したフィルム1は、
前記蒸着層3を設けた蒸着フィルム2の前記蒸着層3の
上に、化学気相成長法( 以下CVD法と記載する)によ
り、ポリモノクロロパラキシリレン樹脂又は、ポリパラ
キシリレン樹脂の塗膜5をCVD法により形成すること
である。前記基材フィルム2に設けられた蒸着層3の上
にさらにポリパラキシリレン樹脂等からなる塗膜5を形
成することにより、該ポリパラキシリレン樹脂等の塗膜
5の有するバリア性によるフィルムの物性の改良ととも
に、前記蒸着層3の屈曲等によるストレスクラック等の
防止に効果を示し、包装材料として安定したフィルムと
して使用することができる。
【0012】本発明は、前述の通り前記蒸着フィルム4
に設けられた蒸着層3の面に、CVD法によって、ポリ
パラキシリレン樹脂等からなる塗膜5を形成するもので
ある。その方法は、例えば、ジパラキシリレン(DP
X,ダイマー)を原料として、CVD法により、熱分解
してラジカルパラキシリレン(PX,ラジカルモノマ
ー)を生成させ、真空チャンバー内において、走行させ
たフィルムの表面に前記ラジカルパラキシリレンを重合
して、ポリパラキシリレン樹脂を生成させると同時に付
着させて塗膜を形成するものである。必要により、前記
付着過程において、プラズマなどにより放電させて重合
させて被着体の表面にポリパラキシリレンポリマーを膜
として生成させることができる。本発明においては、予
め、アルミ、銀、亜鉛等の金属あるいは SiOx または酸
化アルミ等の無機酸化物を蒸着法によりフィルム材表面
に蒸着層を形成(以下蒸着層と記載する)後、該蒸着層
の上にCVD法により、ポリパラキシリレン樹脂等から
なる塗膜5を設けることである。
【0013】一般に金属又は無機酸価物等を物理蒸着法
(PVD法)により蒸着したフィルムの蒸着面は、ミク
ロ的に観察すると、その表面は平滑ではない。本発明に
よる蒸着へのポリパラキシリレン樹脂等の塗膜を形成す
ることにより、前記蒸着層の表面の均等なレベリングと
同時に、形成されたポリパラキシリレン樹脂等からなる
塗膜5も高度な防湿性を示すことが特徴電子レンジあ
る。また、前記蒸着層は、振動や屈曲により、ピンホー
ルを発生しやすいという問題があり、内容物を水蒸気や
酸素から保護する必要のある場合には、別の方法、例え
ばアルミ箔のような材料を積層する等の対策をしてい
た。しかし、アルミ箔等を積層することは、製造コスト
の上昇となるばかりでなく、使用後の廃棄処理の際に、
燃焼し難い等の別のトラブルの原因となる。
【0014】本発明者らは、前記蒸着層が、振動や屈曲
によるピンホールの発生を防止し、さらにバリア性を向
上させるために、前記蒸着層の上にポリパラキシリレン
樹脂等を形成することにより格段の効果を示すことを確
認した。
【0015】本発明により形成されるポリパラキシリレ
ン樹脂等の塗膜5の厚さの範囲は、0.02μm〜 120μm
であり、より好ましくは、0.05μm〜80μmである。前
記塗膜5の厚さが0.02μm未満であると、目的とする蒸
着層3のバリア性低下を防止することができず、また、
前記塗膜5の厚さが 120μmを超えても、塗膜形成のた
めの効率が悪く、また、塗膜5を設けた効果としても、
その厚さとしての格別の効果を示さない。
【0016】本発明のポリパラキシリレン樹脂等からな
る塗膜5は、フィルム表面のいかなる形状にも追随して
付着して塗膜5を形成するので、前記蒸着層3の塗膜の
薄い部分や始めから存在している微小なクラック部分に
も入り込んで均一に塗膜を形成しうる。塗膜は、柔軟性
を有するので、従来、蒸着により形成されたフィルムの
バリア層等が振動や屈曲等による損傷による性能低下を
も防止する。すなわち、本発明による塗膜を形成したフ
ィルムとしては、常に安定したバリア性を保持しうる。
【0017】また、前記蒸着層を設けたフィルムが、少
なくともその蒸着層を含む面が凹凸を有する場合には、
その凹凸が前記蒸着層の形成の前に凹凸加工された場合
であっても、又、蒸着後に凹凸加工された場合であって
も、凹凸のないフラット面に設けられた蒸着層と比較し
て、その物性は著しく低下するものである。本発明のコ
ーティング法による塗膜は、後述のCVDによる塗膜の
形成方法と相まって、フィルムの表面の形状に追随し
て、どの部位においても一定の膜厚さに形成されるの
で、得られる塗膜を形成したフィルムとしては優れた物
性のものとすることができる。
【0018】以下、本発明の塗膜を形成したフィルムの
製造方法を、塗膜としてポリパラキシリレン樹脂を形成
するケースについて説明する。図3は本発明のプラズマ
CVD法の装置11を説明するための概念図であり、ま
ず、基材フィルム2に蒸着層3を設けて、蒸着フィルム
4の巻取りとした蒸着フィルムを用意し、CVD法の装
置11の減圧部12(以下チャンバーと記載する)内の
原反(蒸着フィルム)供給ロール13及び巻取ロール1
4にセットする。この場合、蒸着フィルム4の前記蒸着
層3にポリパラキシリレン樹脂5等が付着するようにセ
ットする。本発明の方法で蒸着フィルム4上にポリパラ
キシリレン樹脂5等を付着する場合、枚葉のバッチ式で
も可能であるが、量産性、製品の安定を考慮した際、前
記のような巻取式の連続付着方式が好ましい。チャンバ
ー12内を真空ポンプ18により減圧する。真空度は0.
05〜1.0torr程度で、好ましくは 0.8〜 1.5torrであ
る。蒸着フィルム4の蒸着層3を設けた面にポリパラキ
シリレン樹脂5等を形成する場合は、原料のジパラキシ
リレンを、1.0torr 、180 ℃の原料揮発供給装置21で
揮発させ、該揮発成分を供給ノズルから熱分解室24内
に導入する。前記熱分解室24は0.5torr 、690 ℃に保
たれ、此の中において、前記ジパラキシリレンは、熱分
解され、ラジカルパラキシリレンに分解される。該ラジ
カルパラキシリレンは常温に冷却された上、0.1torr に
減圧したチャンバー内に導入され、重合するとともに、
走行している蒸着フィルムの蒸着面3に付着して、ポリ
パラキシリレン樹脂等の塗膜3を形成する。この場合、
被着体への密着性を必要とする場合には、チャンバー内
にプラズマを発生させてポリパラキシリレン樹脂等の塗
膜を形成しても良い。ポリパラキシリレン樹脂等の塗膜
を形成した後、前記チャンバー内を冷却し、かつ、高真
空状態(例えば、0.001tprr)にして、脱臭し、前記塗膜
3を形成したフィルムを巻き上げると共に、塗膜3を安
定化させ、次いで、チャンバー内圧力を常圧に戻し、チ
ャンバー12内から、巻取として取り出す。
【0019】ここで形成される膜の組成はポリパラキシ
リレン樹脂であり、又、原料としてモノクロロパラキシ
リレンを用いた場合に形成される膜の組成はポリモノク
ロロパラキシリレン樹脂であるがいずれも無色透明であ
る。
【0020】以上説明したように、ポリパラキシリレン
樹脂等の塗膜の形成過程は、チャンバー内にセットした
蒸着フィルムの供給ロール13から蒸着フィルムを繰り
出し、巻取りロール14によりフィルムを巻取るが、蒸
着フィルムを一定速度で走行させる際、チャンバー内に
導入されたラジカルパラキシリレンが前記フィルム表面
において重合付着して塗膜を形成するため、緻密であ
り、かつ、均一な厚さの膜となることが特徴である。そ
の際、蒸着フィルムの蒸着層を構成する物質により、密
着性の悪い場合には、電極板上及びプラズマ中において
前記塗膜を形成することができる。前記ポリパラキシリ
レン樹脂等の塗膜の性質は主として、膜の組成、膜厚に
よって決定される。膜の厚さは塗膜の形成条件のパラメ
ーターとして、チャンバー内の真空度、フィルムの走行
速度、プラズマを使用する場合には、プラズマ発生時の
電気的パワー等を適正化することで良好な膜が成膜され
る。ポリパラキシリレン樹脂等がフィルムの蒸着層の表
面に付着する時のチャンバー中の真空度は、0.05〜1.5t
orr 程度が好ましい。また、フィルムの走行速度は5 〜
200m/ 分程度であり、より好ましくは10〜100m/ 分であ
る。前記真空度及びフィルムの走行速度は、形成させる
塗膜の厚さ等により設定される。そして、フィルム上に
形成されるポリパラキシリレン樹脂等の塗膜の厚さは0.
02〜120 μmであり、好ましくは0.05〜80μmである。
【0021】プラズマCVDを用いる場合は、プラズマ
は低温状態で励起されて、ラジカルパラキシリレンをさ
らに活性化して被着体への密着性を良くする効果を示
す。
【0022】本発明の塗膜を形成したフィルムは、単体
として用いてもよいが、他のフィルムとラミネートした
複合材料として用いることができる。例えば、図1
(b)に示すように、包装材料として、基材フィルム2
にポリパラキシリレン樹脂等を本発明のCVD法により
形成し、該ポリパラキシリレン樹脂層5に接着剤7を介
してヒートシール性を有する積層樹脂層8を設けること
により、ヒートシール性のある包装材料とすることがで
きる。この他、図示はしないけれども、使用する目的に
より、本発明のポリパラキシリレン樹脂等の塗膜面側に
他の各種のフィルムをラミネートすることができる。本
発明の塗膜を形成したフィルムと他のフィルムの積層方
法としては、塗膜を形成したフィルムに接着剤を塗布
し、前記他のフィルムとドライラミネートすることによ
って積層しても良いし、又、熱可塑性樹脂を溶融押出し
しながら、該熱可塑性樹脂を接着層として積層する方
法、いわゆるサンドイッチラミネーションによる方法で
あってもよい。また、本発明の塗膜を形成したフィルム
に積層する積層樹脂層8としては、用途によって、各種
の樹脂またはフィルムを選択する事ができ、その厚み
も、10〜100 μm程度とすることができる。
【0023】例えば、ポリパラキシリレン樹脂の塗膜の
形成過程は、チャンバー内にセットした基材フィルムの
供給ロール13から基材フィルムを繰り出し、巻取ロー
ル14によりフィルムを巻き取るが、その際基材フィル
ムを、電極板上及びプラズマP中を一定速度で走行させ
る。フィルム走行時にプラズマP中でラジカルパラキシ
リレンが重合反応して、ポリパラキシリレン樹脂を生成
すると同時に前記蒸着フィルムの蒸着面に付着し、塗膜
が連続的に形成される。前記ポリパラキシリレン樹脂等
の塗膜の性質は主として、膜の組成、膜厚によって決定
される。膜の厚さは作成条件のパラメーターとして、チ
ャンバー内の真空度、フィルムの走行速度、プラズマ発
生時の電気的パワー、原料ガスの混合比を適正化するこ
とで良好な膜が成膜される。ポリパラキシリレン樹脂等
が蒸着フィルムの蒸着層に付着する時のチャンバー中の
真空度は、0.1 〜1.0torr が好ましい。また、蒸着フィ
ルムの走行速度は5〜200m/ 分であり、好ましくは10〜1
00m/ 分である。また、蒸着層の上に形成されるポリパ
ラキシリレン樹脂等の塗膜の厚さは、0.02〜120 μmで
あり、好ましくは0.05〜80μmである。
【0024】プラズマCVD法によれば、プラズマは低
温状態で励起されて、ラジカルパラキシリレンを活性化
して化学反応を起こす。従って蒸着フィルムに対して熱
的ダメージを与えることなく安定した塗膜の形成ができ
る。
【0025】ポリパラキシリレン樹脂等の塗膜5の形成
過程は、実際には巻取りロール14によりフィルムを巻
取り、電極板上及びプラズマ中を一定速度で走行させ
る。フィルム走行時にでポリパラキシリレン樹脂が重合
され、フィルムの蒸着層3の上に付着される。ポリパラ
キシリレン樹脂の塗膜5の性質は主として、塗膜5の組
成や膜厚によって決定される。これらは、作成条件のパ
ラメーターとして、チャンバー中の真空度、フィルムの
走行速度、プラズマ発生時の電気的パワー、原料ガスの
混合比を適正化することで良好な膜が成膜される。ポリ
パラキシリレン樹脂等の塗膜5の付着時のチャンバー1
2中の真空度は、0.05〜1.5 torrが好ましい。原反フィ
ルムの走行速度は5 〜200m/ 分であり、好ましくは10〜
100m/ 分となる。また、フィルム上のポリパラキシリレ
ン樹脂等からなる塗膜の厚さは、0.02〜 120μmであ
り、好ましくは 0.05 〜80μmである。
【0026】フィルムには、滑り性を向上させる目的
で、その表面を凹凸にすることがある。フィルムがその
使用時に金属やプラスチック等の表面との滑り性が望ま
れることがあり、そのために、フィルム表面にエンボス
加工等により前記凹凸を賦型することがある。しかし、
表面に凹凸が賦型されたフィルムは、バリア性の低下を
示すことがある。本発明のポリパラキシリレン樹脂等
を、図2(a)に示すように前記蒸着フィルム4の蒸着
層3を含む凹凸面9にCVD法を用いて塗膜5を形成し
たフィルムとすることによって、前記フィルムの蒸着層
本体のバリア性の低下を防止し、また、ポリパラキシリ
レン樹脂等の塗膜5が有するバリア性が寄与することに
より、フィルムとしては、高度に安定したバリア性を示
すことになる。このように、凹凸9を有する蒸着面3に
形成されたポリパラキシリレン樹脂等からなる塗膜5
は、滑り性もよく、その結果、エンボス面へのコーティ
ングを施すことにより、エンボスによるスベリ性の特徴
はそのままにして、防湿性、バリア性等を改良する。
【0027】本発明の塗膜を形成したフィルムは、バリ
アー性を必要とする各種の用途に用いることができる。
その具体的な例としては、バリアー性を必要とする内容
物を包装する場合の容器、例えばゲーベルトップタイプ
あるいはブリックタイプの紙容器、紙カップ容器、バッ
グインボックスの内袋、パウチ、ラミネートチューブ、
真空成形等に用いる積層シート等が挙げられ、これらの
包装容器の製袋、あるいは成形用の材料として利用する
ことができる。
【0028】
【実施例】
〔実施例1〕基材フィルムとしてポリエチレンテレフタ
レート12μmを用い、片面に SiOxをPVD法により蒸
着した蒸着フィルムの前記 SiOx 層にポリパラキシリレ
ン樹脂を本発明の方法により蒸着した。前記、 SiOx
厚さは、200 Åであり、また、ポリパラキシリレン樹脂
の塗膜の厚さは20μであった。得られた塗膜を形成した
フィルムの、塗膜を形成していない面に直鎖状低密度ポ
リエチレン40μmのフィルムをイソシアネート系接着剤
を用いてドライラミネートして複合フィルムとした。 〔比較例1〕前記実施例におけるポリパラキシリレン樹
脂の塗膜を形成する前のフィルムを比較例1とした。す
なわち、SiO x の蒸着層200 Åが設けられた12μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルムである。前記蒸着層
が設けられていない面に直鎖状低密度ポリエチレン40μ
mのフィルムをイソシアネート系接着剤を用いてドライ
ラミネートして複合フィルムとした。 <比較実験>前記実施例1と比較例1のフィルムから、
内寸で横110mm 、縦150mm の四方シール袋を製袋( シー
ル巾は縦横共に7mm 巾) して、中に水を120cm3充填し、
各20袋ずつを所定の段ボールに収納後、次の条件に設定
して振動試験器にかけ、その後、袋を解体して、フラッ
ト状態にしてサンプルを作成し、酸素透過度を測定し
た。測定した結果は表1の通りであった。酸素透過度試
験は、JIS K 7126により測定した。(測定には、MOCON
社製、OXYTRAN 2/20を用いた。) 振動試験条件 JIS Z 032 の方法Bにより、上下方向
の振動とし、振動数10/s、加速度1Gとして、1 時間振動
させた。 (以下余白)
【0029】
【発明の効果】本発明の塗膜を形成したフィルムを、基
材フィルムに蒸着層が設けられた蒸着フィルムの前記蒸
着層に対して、ポリパラキシリレン樹脂等を、その製造
方法としてCVDを用いて実施した場合、ポリパラキシ
リレン樹脂等の安定した塗膜が得られると共に、前記蒸
着層がストレス等によるクラックを発生したとしても、
前記ポリパラキシリレン樹脂等の塗膜により、バリア性
等の性能の低下が無くなった。すなわち、バリア性に優
れ、かつ、前記塗膜を形成したフィルムが屈曲等により
ストレスを受けても、クラックの発生もなく、安定した
バリア性を示す。また、凹凸に賦型された表面を有する
フィルムの蒸着層の上にポリパラキシリレン樹脂等から
なる塗膜を形成することにより、凹凸によるバリア性の
低下を防止すると共に、ポリパラキシリレン樹脂自体の
バリア性が機能して、優れたバリアフィルムとすること
ができる。又、この塗膜は、滑り性も良好であり、包装
適性等において必要とされる滑り性を保持し、バリア性
の確保をも可能とした優れたフィルムとすることができ
た。前記ポリパラキシリレン樹脂等の塗膜は、CVD法
を用いて設けることにより安定して塗布することが可能
になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗膜を形成したフィルムの実施例を示
す断面図(a)、さらに他の樹脂層を設けた場合の断面
図(b)
【図2】本発明の塗膜を形成したフィルムの別の実施例
を示す断面図(a)、さらに他の樹脂層を設けた場合の
断面図(b)
【図3】本発明の塗膜を形成するために用いるCVD装
置の概念図
【符号の説明】
1 塗膜を形成したフィルム 2 基材フィルム 3 蒸着層 4 蒸着フィルム 5 ポリパラキシリレン樹脂等又はその塗膜 6 アンカーコート層 7 接着層 8 積層樹脂層 9 凹凸 11 CVD装置 12 チャンバー 13 供給ロール 14 巻取ロール 15 冷却・電極ドラム 16 ガイドロール 17 電源 18 真空ポンプ 19 原料供給ノズル 21 原料揮発供給装置 23 電極板 P プラズマ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23C 14/20 C23C 14/20 A 16/50 16/50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材フィルムに、アルミニウム、亜鉛、
    銀、鉄等の金属またはシリカ、酸化アルミニウム等から
    なる蒸着層が設けられた蒸着フィルムの前記蒸着層に、
    さらに、ポリモノクロロパラキシリレン樹脂またはポリ
    パラキシリレン樹脂からなる0.02μm〜 120μmの厚さ
    の塗膜が設けられたことを特徴とする塗膜を形成したフ
    ィルム。
  2. 【請求項2】 前記蒸着フィルムの、少なくとも前記蒸
    着層を設けた面に凹凸が形成され、該凹凸が形成された
    面に前記塗膜が形成されたことを特徴とする請求項1記
    載の塗膜を形成したフィルム。
  3. 【請求項3】 基材フィルムに、アルミニウム、亜鉛、
    銀、鉄等の金属またはシリカ、酸化アルミニウム等から
    なる蒸着層を設けて蒸着フィルムとし、前記蒸着層に、
    さらに、CVD法によりポリモノクロロパラキシリレン
    樹脂またはポリパラキシリレン樹脂からなる0.02μm〜
    120μmの厚さの塗膜を設けることを特徴とする塗膜を
    形成したフィルムの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記蒸着フィルムの、少なくとも前記蒸
    着層を設けた面に凹凸が形成され、該凹凸が形成された
    面に前記塗膜を形成することを特徴とする請求項3記載
    の塗膜を形成したフィルムの製造方法。
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