JP4116869B2 - 耐熱性接着剤組成物及びこれを用いた積層体、並びにフレキシブルプリント基板 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高耐熱性を要するフレキシブルプリント基板等の電子機器部材に用いて好適な耐熱性接着剤組成物に係り、特に、十分な機械的強度と接着強度と成膜性を有しつつ、高耐熱性及び高耐圧性を有し、比較的低温で加工可能な、低コストの耐熱性接着剤組成物に関するものである。また、該接着剤組成物を用いて得られる積層体及びフレキシブルプリント基板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化、薄型化、多機能化に伴い、各種電子部品にも小型化、高集積化が必要となっており、これを実現するべく多くの高密度実装技術が開発されている。かかる背景下、電子機器に使用される接着剤組成物にも、多様化する実装技術に対応した各種物性の最適化と作業条件の最適化(すなわち信頼性と作業性の両立)が求められている。
【0003】
例えば、液晶装置(LCD)の駆動用IC(半導体集積回路)やICと配線装置の接合に用いられるインターポーザーの一部に採用されているTCP(Tape Carrier Package)方式は、小型化やICの多出力化の要求に伴いファインピッチ化する傾向にある。ここで、ファインピッチ化に対応した実装形態としては、フリップチップ接合によるICチップとフレキシブルプリント基板との接合が提案されている。この接合方式は高温高圧下にて実施されることが多いため、フレキシブルプリント基板に用いられる接着剤組成物には高耐熱性及び高耐圧性が要求される。
【0004】
従来、フレキシブルプリント基板に用いられる接着剤組成物としては、以下のような接着剤組成物が提案されている。
例えば、特許文献1には、マレイミド化合物と(メチル)アリルフェノール化合物とを配合した耐熱性樹脂組成物が開示されている。しかしながら、この組成物は耐衝撃性に劣るという問題があった。
特許文献2には、特定のポリエーテルケトンとマレイミド化合物とアリルフェノール化合物とを配合した樹脂組成物が開示されており、この組成物によれば、耐熱性等を損なわずに耐衝撃性を向上できるとされている。しかしながら、ポリエーテルケトンはその剛直な構造に起因して成膜性が乏しいという欠点があり、これを配合した組成物は、成膜に必要な靭性や延性が不十分であり、フレキシブル基板の用途には不適である。
また、耐熱性に優れた樹脂として、ガラス転移温度Tgが400℃超の高Tg熱可塑性ポリイミド樹脂を使用すると、耐熱性の向上が図られるものの、該樹脂は溶剤に難溶でしかもTgが高いため加工温度を高くする必要があり、作業性や取り扱い性に難がある。加えて、これを塗工する下地上への接着性が悪いという問題もある。なお、ポリイミド前駆体を下地上に塗工してからイミド化させる方法もあるが、イミド化に際して、高い加工温度と高価な設備、高度な制御技術が必要であり、製品を安価にかつ安定して製造することは難しい。
【0005】
【特許文献1】
特公昭55−39242号公報
【特許文献2】
特開2001−302715号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、十分な機械的強度と接着強度と成膜性を有しつつ、高耐熱性及び高耐圧性を有し、比較的低温で加工可能な、低コストの耐熱性接着剤組成物を提供することを目的とする。また、該組成物を用いることにより、信頼性が高く加工性が良好な積層体やフレキシブルプリント基板を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記課題を解決するべく検討を行い、以下の耐熱性接着剤組成物を発明した。
本発明の耐熱性接着剤組成物は、可溶性ポリアミドイミド樹脂(A)と、少なくとも2個のマレイミド基を有する熱硬化性化合物(B)と、成分(B)と反応し得る官能基を有する化合物(C)とを含有し、前記可溶性ポリアミドイミド樹脂(A)が、3又は4価の芳香環に1又は2個のイミド基が主鎖結合したものと、2価の芳香環に2個のアミド基が主鎖結合したものとを繰り返し単位とする直鎖状ポリマであり、前記化合物(C)が、アリルフェノール樹脂誘導体であることを特徴とするものである。
この本発明の耐熱性接着剤組成物を用いることにより、支持体の少なくとも一面に、本発明の耐熱性接着剤組成物からなる接着剤層が積層形成されたことを特徴とする積層体や、金属箔の少なくとも一面に、本発明の耐熱性接着剤組成物からなる接着剤層が積層形成されたことを特徴とする積層体を提供することができる。また、本発明の耐熱性接着剤組成物を用いることにより、絶縁層が、本発明の耐熱性接着剤組成物からなることを特徴とするフレキシブルプリント基板を提供することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳述する。
[耐熱性接着剤組成物]
本発明の耐熱性接着剤組成物は、少なくとも1個のイミド基を有する熱可塑性樹脂(A)と、少なくとも2個のマレイミド基を有する熱硬化性化合物(B)と、成分(B)と反応し得る官能基を有する化合物(C)とを含有することを特徴とするものである。
【0009】
(成分(A))
本発明で用いる成分(A)としては、繰り返し単位中に少なくとも1個のイミド基を有し、熱可塑性を発現するものであれば特に限定されず、一般に市販され入手可能なものや化学合成可能なものを用いることができる。具体的には、熱可塑性ポリイミド樹脂、熱可塑性ポリアミドイミド樹脂、熱可塑性ポリエーテルイミド樹脂、熱可塑性ポリエステルイミド樹脂、熱可塑性ポリシロキサンイミド樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いて良いし、2種以上を併用しても良い。
【0010】
中でも、溶剤に可溶な可溶性樹脂であり、かつ樹脂単独で成膜可能なものが好ましく用いられる。かかる樹脂としては、可溶性ポリイミド樹脂、可溶性ポリアミドイミド樹脂、可溶性シロキサン変性ポリイミド樹脂等が挙げられる。特に、可溶性ポリアミドイミド樹脂が好適であり、さらに、3又は4価の芳香環に1又は2個のイミド基が主鎖結合したものと、2価の芳香環に2個のアミド基が主鎖結合したものを繰り返し単位とする直鎖状ポリマであって、実質的イミド化状態でも溶剤に可溶なポリアミドイミド樹脂が特に好適である。
【0011】
成分(A)のガラス転移温度Tgは特に限定されないが、200℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましく、300℃以上であることが特に好ましい。成分(A)のTgが200℃未満では、得られる組成物の耐熱性が不十分となる恐れがあるため、好ましくない。また、成分(A)のTgは400℃以下であることが好ましい。Tgが400℃超では、溶剤に対する溶解性が低下すると共に、高い加工温度が必要となり、作業性や加工性が低下するため、好ましくない。
【0012】
(成分(B))
本発明で用いる成分(B)は、少なくとも2個のマレイミド基を有する熱硬化性化合物であれば特に限定されないが、その具体例としては、N,N'-エチレンビスマレイミド、N,N'-ヘキサメチレンビスマレイミド、N,N'-ドデカメチレンビスマレイミド、N,N'-m-キシリレンビスマレイミド、N,N'-p-キシリレンビスマレイミド、N,N'-1,3-ビスメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N'-1,4-ビスメチレンシクロヘキサンビスマレイミド、N,N'-2,4-トリレンビスマレイミド、N,N'-2,6-トリレンビスマレイミド、N,N'-3,3'-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、3,3'-ジフェニルスルホンビスマレイミド、4,4'-ジフェニルスルホンビスマレイミド、N,N'-4,4'-ジフェニルスルフィドビスマレイミド、N,N'-p-ベンゾフェノンビスマレイミド、N,N'-ジフェニルエタンビスマレイミド、N,N'-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N'-(メチレン-ジテトラヒドロフェニル)ビスマレイミド、N,N'-(3-エチル)4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'-(3,3'-ジメチル)4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'-(3,3'-ジエチル)ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'-(3,3'-ジクロロ)-4,4'-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N'-トリジンビスマレイミド、N,N'-イソホロンビスマレイミド、N,N'-p,p-ジフェニルジメチルシリルビスマレイミド、N,N'-ベンゾフェノンビスマレイミド、N,N'-ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N'-ナフタレンビスマレイミド、N,N'-p-フェニレンビスマレイミド、N,N'-m-フェニレンビスマレイミド、N,N'-4,4'-(1,1-ジフェニル-シクロヘキサン)-ビスマレイミド、N,N'-3,5-(1,2,4-トリアゾール)ビスマレイミド、N,N'-ビリジン-2,6-ジイルビスマレイミド、N,N'-5-メトキシ-1,3-フェニレンビスマレイミド、1,2-ビス(2-マレイミドエトキシ)-エタン、1,3-ビス(3-マレイミドプロポキシ)プロパン、N,N'-(2,2'-ジエチル-6,6'-ジメチル-4,4'-メチレンジフェニレン)ビスマレイミド、N,N'-4,4'-ジフェニルメタン-ビス-ジメチルマレイミド、N,N'-ヘキサメチレン-ビス-ジメチルマレイミド、N,N'-4,4'-(ジフェニルエーテル)-ビス-ジメチルマレイミド、N,N'-4,4'-ジフェニルスルホン-ビス-ジメチルマレイミド、4,4'-ジアミノ-トリフェニルホスフェートのN,N'-ビスマレイミド、4,4'-ジアミノ-トリフェニルチオホスフェートのN,N'-ビスマレイミド、2,2-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-クロロ-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-ブロモ-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-エチル-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-プロピル-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-イソプロピル-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-ブチル-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-sec -ブチル-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔3-メトキシ-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1-ビス〔3-メチル-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1-ビス〔3-クロロ-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1-ビス〔3-ブロモ-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕エタン、1,1-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1-ビス〔3-メチル-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1-ビス〔3-クロロ-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、1,1-ビス〔3-ブロモ-4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕メタン、3,3-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕ペンタン、1,1-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス〔4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス〔3-5-ジメチル-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス〔3-5-ジブロモ-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2,2-ビス〔3-5-メチル-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル〕プロパン等が挙げられる。これらは1種を単独で用いて良いし、2種以上を併用しても良い。
【0013】
(成分(C))
本発明で用いる成分(C)は、上記の成分(B)と反応し得る官能基を有する化合物であれば特に限定されないが、その具体例としては、ビニル化合物、(メチル)アリル化合物、ナジイミド化合物、マレイミド化合物、ジエン類等の不飽和結合を有する化合物や、アミノ基を有する化合物等が挙げられる。これらは1種を単独で用いて良いし、2種以上を併用しても良い。また、成分(C)としては、これらのうち少なくとも1種と、カチオン類、有機過酸化物等とを併用することも好適である。
【0014】
中でも、得られる組成物の耐熱性を損なうことなく、良好な靭性や延性(すなわち良好な成膜性)を付与できることから、フェノール樹脂、(イソ)フタレート樹脂、(イソ)シアヌレート樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、かつアリル基及び/又はメタリル基を少なくとも2個有する樹脂が好適に用いられる。
【0015】
ここで、アリル基及び/又はメタリル基を少なくとも2個有するフェノール樹脂(アリルフェノール樹脂誘導体)としては特に限定されるものではなく、原料のフェノール樹脂誘導体のフェノール性水酸基に対してオルト位及び/又はパラ位がアリル基及び/又はメタリル基で置換されたものが挙げられる。なお、アリルフェノール樹脂誘導体としては1種を単独で用いて良いし、2種以上を併用しても良い。
アリルフェノール樹脂誘導体の原料となるフェノール樹脂誘導体としては、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クロロフェノール、p-クロロフェノール、o-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール、p-アミノフェノール、o-メトキシフェノール、p-メトキシフェノール、p-アセトキシフェノール、p-アセチルフェノール、2,4-ジメチルフェノール、2,5-ジメチルフェノール等の一価フェノール類、カテコール、ヒドロキノン、ビフェノール、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔すなわちビスフェノールA〕、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン〔すなわちビスフェノールF〕、4,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、4,4-ジヒドロキシフェニルスルホン、3,9-ビス(2-ヒドロキシフェニル)-2,4,8,10- テトラオキサスピロ[5.5] ウンデカン、3,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5.5] ウンデカン、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ- 2,2-ビス(p-ヒドロキシフェニル)プロパン〔すなわちヘキサフルオロビスフェノールA〕等の二価フェノール類、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、サリチリアルデヒドとフェノール又はクレゾールとを酸触媒下で反応させて得られるポリフェノール、p-ヒドロキシベンズアルデヒドとフェノール又はクレゾールとを酸触媒下で反応させて得られるポリフェノール、テレフタルアルデヒドとフェノール、クレゾール又はブロムフェノールとを酸触媒下で反応させて得られるポリフェノール等の多価フェノール等が挙げられ、中でも、二価以上のフェノール類、特にノボラック型、パラキシリレン変性ノボラック型、メタキシリレン変性ノボラック型、オルトキシリレン変性ノボラック型、ビスフェノール型、ビフェニル型、レゾール型、フェノールアラルキル型、ビフェニル骨格含有アラルキル型、ナフタレン環含有型、ジシクロペンタジエン変性型等が好適に用いられる。
【0016】
アリル基及び/又はメタリル基を少なくとも2個有する(イソ)フタレート樹脂としては特に限定されず、オルトタイプ、イソタイプ、パラタイプのいずれを用いても良いが、例えば、ジアリルフタレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルテレフタレート、ジ(メチルアリル)フタレート、ジ(メチルアリル)イソフタレート、ジ(メチルアリル)テレフタレート等が好ましく用いられる。これらは1種を単独で用いて良いし、2種以上を併用しても良い。
【0017】
アリル基及び/又はメタリル基を少なくとも2個有する(イソ)シアヌレート樹脂としては特に限定されず、オルトタイプ、イソタイプ、パラタイプのいずれを用いても良いが、例えば、ジアリルシアヌレート、ジアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジ(メチルアリル)シアヌレート、ジ(メチルアリル)イソシアヌレート、トリ(メチルアリル)シアヌレート、トリ(メチルアリル)イソシアヌレート等が好ましく用いられる。これらは1種を単独で用いて良いし、2種以上を併用しても良い。
【0018】
本発明においては、上記の成分(B)と成分(C)の混合物のTgが、成分(A)のTgより高いことが好ましく、具体的には成分(A)のTgより30℃以上高いことが好ましく、50℃以上高いことが特に好ましい。成分(B)と成分(C)の混合物のTgが、成分(A)のTgより低いと、得られる組成物の耐熱性が不十分となる恐れがあるため、好ましくない。
【0019】
本発明の耐熱性接着剤組成物において、成分(A)の含有量は、全固形分量100質量%に対して15〜85質量%であることが好ましく、20〜80質量%であることが特に好ましい。成分(A)の含有量が15質量%未満では、靭性や延性(成膜性)が不十分となる恐れがあり、85質量%超では、低温加工性や耐熱性が不十分となる恐れがあり、好ましくない。
さらに、成分(B)の官能基1モル当量に対する成分(C)の官能基当量が2.0〜0.1当量であることが好ましく、1.5〜0.1当量であることが特に好ましい。成分(B)の官能基1モル当量に対する成分(C)の官能基当量が2.0当量超では、耐熱性が不十分となる恐れがあり、0.1当量未満では、靭性や延性(成膜性)が不十分となる恐れがあり、好ましくない。
【0020】
(その他の成分)
本発明の耐熱性接着剤組成物には、上記成分(A)〜(C)の他、必要に応じて他の成分を配合することができる。
例えば、乾燥時又は加熱硬化時における反応を促進させるために、反応促進剤(D)を配合することや、金属との接着強度を高めるために、カップリング剤(E)を配合することは好適である。また、表面平滑性を付与したり、流動性を抑えて熱寸法安定性を高めたりすることを目的として、フィラー(F)を配合することは好適である。
【0021】
<成分(D)>
反応促進剤(D)としては特に限定されないが、例えば、有機過酸化物、アミン類、イミダゾール類、トリフェニルフォスフィン等が挙げられ、中でも反応性に優れることから、有機過酸化物が特に好ましい。
反応促進剤(D)として好適な有機過酸化物としては、ジアザビシクロオクタン、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセトンパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−シクロヘキサン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、t−ブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジ−イソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、ジ−クミルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、α,α'−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、スクシニックアシッドパーオキサイド、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m−トルオイルパーオキサイド、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−ミリスティルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−メトキシイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、ジ−アリルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオデカネート、クミルパーオキシネオデカネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサネート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、クミルパーオキシオクテート、t−ヘキシルパーオキシネオデカネート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシネオヘキサネート、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアリルカーボネート等が挙げられる。これらは1種を単独で用いて良いし、2種以上を併用しても良い。
【0022】
<成分(E)>
カップリング剤(E)としては特に限定されないが、シラン系、チタン系、アルミニウム系等が挙げられる。
ここで、シラン系カップリング剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、N−(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−[2−(ビニルベンジルアミノ)エチル]−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、N,N'−ビス[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン等が挙げられる。
チタン系カップリング剤としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)ホスファイトチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミドエチル・アミノエチル)チタネート、ジクミルフェニルオキシアセテートチタネート、ジイソステアロイルエチレンチタネート等が挙げられる。
アルミニウム系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
これらカップリング剤の中でも、接着強度向上効果が高いことから、特にシラン系カップリング剤が好ましく用いられる。
【0023】
<成分(F)>
フィラー(F)としては特に限定されず、無機フィラー、有機フィラーのいずれを用いても良いが、シリカ、石英粉、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、ダイヤモンド粉、マイカ、フッ素樹脂、ジルコン等の無機フィラーが好ましく用いられる。
その粒径も特に限定されないが、平均粒径5μm以下のフィラーが好ましく用いられる。平均粒径が5μm超では、樹脂組成物への分散性が低下すると共に、得られる組成物の成膜性が悪化する恐れがある。
フィラー(F)の添加量も特に限定されないが、本発明の耐熱性接着剤組成物の全固形分の0.1〜70質量%が好ましく、0.5〜60質量%がより好ましく、1〜50質量%が特に好ましい。添加量が0.1質量%未満では、フィラーの添加による効果(表面平滑性もしくは寸法安定性の向上効果)が不十分となる恐れがあり、70質量%超では、靭性や延性(成膜性)が不十分となる恐れがある。
【0024】
本発明の耐熱性接着剤組成物は以上のように構成されており、かかる構成を採用することによって、十分な機械的強度と接着強度と成膜性を有しつつ、高耐熱性及び高耐圧性を有し、比較的低温で加工可能な、低コストの耐熱性接着剤組成物を提供することができる。
本発明の耐熱性接着剤組成物は、高耐熱性を要するフレキシブルプリント基板等の電子機器部材に用いて好適なものである。
【0025】
[積層体、フレキシブルプリント基板]
上記の本発明の耐熱性接着剤組成物を用いることにより、支持体の少なくとも一面に、本発明の耐熱性接着剤組成物からなる接着剤層が積層形成されたことを特徴とする積層体や、金属箔の少なくとも一面に、本発明の耐熱性接着剤組成物からなる接着剤層が積層形成されたことを特徴とする積層体を提供することができる。これら積層体はフレキシブルプリント基板用等として好適に用いることができる。
また、上記の本発明の耐熱性接着剤組成物を用いることにより、絶縁層が本発明の耐熱性接着剤組成物からなることを特徴とするフレキシブルプリント基板を提供することができる。
本発明の積層体及びフレキシブルプリント基板は、本発明の耐熱性接着剤組成物を用いて構成されたものであるので、信頼性が高く加工性が良好なものである。
【0026】
本発明の耐熱性接着剤組成物を成膜する場合、成膜方法や用いる支持体は特に限定されるものではなく、樹脂フィルム、金属箔、金属板、あるいはこれらの複合体等の片面もしくは両面に成膜することができる。また、直接塗布しても良いし貼り合わせても良く、これらのうちいずれかの操作を繰り返し行うことで成膜しても良い。樹脂フィルムとしては特に限定されないが、耐熱性の高い樹脂フィルムが好適である。その具体的な材質としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド、ポリオレフィン、ポリエーテルサルフォン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。金属箔、金属板の材質も特に限定されないが、金、銀、銅、りん青銅、鉄、ニッケル、ステンレス、チタン、あるいはこれらを含む合金等が挙げられ、中でも、銅あるいは銅を含む合金が好ましい。支持体の厚さは特に限定されるものではないが、3〜200μmが好ましく、5〜150μmがより好ましい。
【0027】
また、本発明の耐熱性接着剤組成物の用途や形態は特に限定されるものではなく、耐熱性を要する部位の接着や被覆等の用途に用いることができる。本発明の耐熱性接着剤組成物は、高耐熱性を要する電子機器部材、特に絶縁層及び導体回路から構成される半導体集積回路の製造用途に用いて好適であり、さらに高耐熱性を要するフレキシブルプリント基板の絶縁層として用いて好適である。
【0028】
本発明の耐熱性接着剤組成物の製造方法は特に限定されるものではないが、溶剤に溶解して調製することが好ましい。用いる溶剤は特に限定されず一般に市販されているものを用いることができるが、成分(A)が溶解し易い非プロトン性溶剤が好適に用いられる。その具体例としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ニトロベンゼン、グリコールカーボネート等が挙げられる。また、成分(B)及び成分(C)を溶解可能で、非プロトン性溶剤と相溶する溶剤を併用することも好ましい。成分(B)及び成分(C)を溶解可能な溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤や、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン化合物、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン、ポリエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル化合物等が挙げられ、これらを好適に用いることができる。
また、本発明の耐熱性接着剤組成物を加熱硬化させる条件は、特に限定されるものではないが、200〜350℃が好ましく、230〜350℃がより好ましい。また、加熱硬化中は雰囲気ガスを窒素等の不活性ガス等で置換することが好ましい。
【0029】
【実施例】
次に、本発明に係る実施例及び比較例について説明する。
<接着剤組成物の調製>
(実施例1〜7)
成分(A)である可溶性ポリアミドイミド樹脂(東洋紡社製「バイロマックスHR16NN」、Tg330℃)を、固形分濃度が14質量%となるようにN−メチル−2ピロリドン(NMP)に溶解させた溶液(1)と、成分(B)であるビスマレイミド樹脂(ケイアイ化成社製「BMI−70」)を、固形分濃度が40質量%となるようにNMPに溶解させた溶液(2)と、成分(C)であるアリルフェノール樹脂(明和化成社製「MEH−8000H」)を、固形分濃度が40質量%となるようにNMPに溶解させた溶液(3)とを、表1に示す固形分配合比率(質量比)となるように混合し、本発明の耐熱性接着剤組成物を調製した。
【0030】
(比較例1)
成分(A)である可溶性ポリイミド樹脂(Tg160℃)を、特開平12−63788号公報の合成例2に記載の方法にて合成し、これを固形分濃度が14質量%となるようにNMPに溶解させ、比較用の接着剤組成物を調製した。
【0031】
(比較例2)
成分(A)である可溶性ポリアミドイミド樹脂(東洋紡社製「バイロマックスHR16NN」、Tg330℃)を、固形分濃度が14質量%となるようにNMPに溶解させた溶液(1)と、成分(B)であるビスマレイミド樹脂(ケイアイ化成社製「BMI−70」)を、固形分濃度が40質量%となるようNMPに溶解させた溶液(2)とを、表1に示す固形分配合比率(質量比)となるように混合し、比較用の接着剤組成物を調製した。
【0032】
各実施例、比較例において調製した接着剤組成物の各成分の固形分配合比率を表1に示す。また、表1には、成分(B)の官能基1モル当量に対する成分(C)の官能基当量についても合わせて記載してある。
【0033】
【表1】
【0034】
<積層体の調製>
各実施例、比較例において得られた接着剤組成物を、厚さ12μmの電解銅箔(三井金属鉱業社製「TQ‐VLP」)の粗化処理面に塗布した後、150℃で10分間加熱乾燥してBステージ状に硬化させ、接着剤層を形成した。次いで、窒素雰囲気下にて300℃で3時間加熱することにより、接着剤層を完全に硬化させ、厚さ20μmの積層体を得た。
【0035】
<評価項目及び評価方法>
得られた積層体について以下の評価を行った。
(a)動的弾性率、及び接着剤組成物の硬化後のTg
得られた積層体より金属箔をサブトラクティブ法にてエッチング除去し、接着剤層を取り出した。この接着剤層の300℃及び350℃における動的弾性率を、強制振動非共振型粘弾性測定器(オリエンテック社製 レオバイブロン)にて下記条件で測定した。また、測定データのtanδのピークトップからTgを求めた。
測定条件
加振周波数:11Hz
静的張力:3.0gf
サンプルサイズ:0.5mm(幅)×30mm(長さ)
昇温速度:3℃/min
雰囲気:空気中
【0036】
(b)接着強度
得られた積層体の金属箔をサブトラクティブ法にてエッチングし、幅5mmの銅パターンを形成した。次いで、接着強度として、下記条件で接着剤層の銅パターンからの剥離強度を測定した。
測定条件
引張り速度:50mm/min
引き剥がし角度:90°
【0037】
(c)耐熱性
得られた積層体の金属箔をサブトラクティブ法にてエッチングし、フリップチップボンディング用の回路を形成した。次いで、23℃で相対湿度55%に72時間調湿した環境下にて、フリップチップボンダー(澁谷工業社製、商品名:DB200)を用い、下記条件にてフリップチップ接合を行った。接合後の接着剤層の外観、及び接合部の断面を観察し、下記基準にて評価を行った。
接合条件
最高到達温度:400℃
最高到達温度保持時間:2.5秒
印加荷重:200N/cm2
判定基準
○:接着剤層の外観に変化がなく、しかも、接合部に変形や剥離が観察されなかった。
△:接着剤層の外観に若干の変化が観察されたか、若しくは接合部に若干の変形や剥離が観察された。
×:接着剤層の外観に変化が観察され、しかも接合部に著しい変形や剥離が観察された。
【0038】
(d)成膜性
得られた積層体の金属箔をサブトラクティブ法にてエッチングし、接着剤層の単層膜を作製した。得られた単層膜を観察し、下記基準にて評価を行った。
判定基準
○:金属箔上に成膜可能で、かつ金属箔を除去しても膜形態を維持している。
△:金属箔上に成膜可能であるが、金属箔を除去すると欠けや割れを生じやすい。
×:金属箔上に成膜可能であるが、金属箔を除去すると膜形態を維持できない。
【0039】
(結果)
得られた結果を表2に示す。
表2に示すように、少なくとも1個のイミド基を有する熱可塑性樹脂(A)と、少なくとも2個のマレイミド基を有する熱硬化性化合物(B)と、成分(B)と反応し得る官能基を有する化合物(C)とを配合すると共に、成分(A)の含有量を全固形分量100質量%に対して15〜85質量%として、接着剤組成物を調製した実施例1〜5では、得られた組成物を用いて銅箔上に比較的低温で簡易にしかも良好に成膜を行うことができた。また、得られた組成物の硬化後のTgが340〜355℃と高く、高耐熱性を有する接着剤層を形成することができた。そして、組成物の硬化後のTgを超えた温度でも何ら問題なくフリップチップ接合を行うことができた。さらに、形成された接着剤層が成分(A)のTgを超えた温度域でも高い動的弾性率を保持していることから、得られた組成物が硬化後に高温下でも十分な機械的強度を有し、高耐圧性を有するものであることが判明した。しかも、得られた組成物は、熱可塑性樹脂(A)を単独で用いた比較例1に比べて、銅箔への接着強度が著しく優れることが判明した。
【0040】
なお、成分(A)〜(C)を配合しても、成分(A)の含有量を全固形分量100質量%に対して15質量%未満とした実施例6では、耐熱性や加工性、機械的強度(弾性率)では実施例1〜5と同様の結果が得られたものの、実施例1〜5に比較すると接着強度及び成膜性がやや劣る結果となった。但し、実用上問題のない程度であった。
また、成分(A)〜(C)を配合しても、成分(A)の含有量を全固形分量100質量%に対して85質量%超とした実施例7では、成膜性や加工性、機械的強度(弾性率)、接着強度では実施例1〜5と同様の結果が得られたものの、フリップチップ接合部の回路や接着剤層に若干の変形が観察され、実施例1〜5に比較すると耐熱性がやや劣る結果となった。但し、実用上問題のない程度であった。
これらの結果から、成分(A)〜(C)を配合すると共に、成分(A)の含有量を全固形分量100質量%に対して15〜85質量%とすることが特に好ましいことが判明した。
【0041】
これに対して、熱可塑性樹脂(A)を単独で用いて接着剤組成物を調製した比較例1において得られた組成物は、耐熱性が不良であり、これを用いた積層体に対してフリップチップ接合を行うと接合部に著しい変形が生じ、組成物の硬化後のTgを超えた温度での接合に全く耐え得るものではなかった。しかも、実施例1〜7に比べて、形成された接着剤層は動的弾性率が著しく低くフレキシビリティに欠けた脆いものであり、回路形成時やボンディング時にクラックや剥離が生じやすいものであった。
【0042】
また、成分(A)と(B)のみを配合して接着剤組成物を調製した比較例2において得られた組成物は、耐熱性及び成膜性が不良であり、これを用いた積層体に対してフリップチップ接合を行うと接合部に著しい剥離が生じ、組成物の硬化後のTgを超えた温度での接合に全く耐え得るものではなかった。しかも、比較例1と同様、実施例1〜7に比べて、形成された接着剤層はフレキシビリティに欠けた脆いものであり、回路形成時やボンディング時にクラックや剥離が生じやすいものであった。
【0043】
【表2】
【0044】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、十分な機械的強度と接着強度と成膜性を有しつつ、高耐熱性及び高耐圧性を有し、比較的低温で加工可能な、低コストの耐熱性接着剤組成物を提供することができる。また、この耐熱性接着剤組成物を用いることにより、信頼性が高く加工性が良好な積層体やフレキシブルプリント基板を提供することができる。
Claims (8)
- 可溶性ポリアミドイミド樹脂(A)と、少なくとも2個のマレイミド基を有する熱硬化性化合物(B)と、成分(B)と反応し得る官能基を有する化合物(C)とを含有し、
前記可溶性ポリアミドイミド樹脂(A)が、3又は4価の芳香環に1又は2個のイミド基が主鎖結合したものと、2価の芳香環に2個のアミド基が主鎖結合したものとを繰り返し単位とする直鎖状ポリマであり、
前記化合物(C)が、アリルフェノール樹脂誘導体であることを特徴とする耐熱性接着剤組成物。 - 成分(A)の含有量が、全固形分量100質量%に対して15〜85質量%であることを特徴とする請求項1に記載の耐熱性接着剤組成物。
- 成分(B)の官能基1モル当量に対する成分(C)の官能基当量が2.0〜0.1当量であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の耐熱性接着剤組成物。
- 成分(C)が、フェノール樹脂、(イソ)フタレート樹脂、(イソ)シアヌレート樹脂から選ばれる少なくとも1種であり、かつアリル基及び/又はメタリル基を少なくとも2個有することを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の耐熱性接着剤組成物。
- 成分(A)のガラス転移温度が200℃以上であることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の耐熱性接着剤組成物。
- 支持体の少なくとも一面に、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の耐熱性接着剤組成物からなる接着剤層が積層形成されたことを特徴とする積層体。
- 金属箔の少なくとも一面に、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の耐熱性接着剤組成物からなる接着剤層が積層形成されたことを特徴とする積層体。
- 絶縁層が、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の耐熱性接着剤組成物からなることを特徴とするフレキシブルプリント基板。
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