JP4114005B2 - 研磨用水性被覆組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の範囲の分子量を有し、特定のカルボキシル基含有量のカルボキシル基含有アクリル乳化重合体を必須成分として含んで成る、サンドペーパー等による塗膜の研磨作業性に優れた水性被覆組成物に関する。更には、乳化重合体中に含まれるカルボキシル基と架橋反応をし得る金属架橋成分を含有する研磨用水性被覆組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より家具、調度品、玩具等の木製品に使用される木部基材表面の導管部、即ち、木目を塗装剤で塗りつぶした後、サンドペーパー等で表面を研磨し、表面の平滑性、外観、更には上塗り塗装剤の仕上がり外観を向上させる事が一般に行われており、かかる塗装剤はサンディングシーラーと呼ばれている。
当該用途の塗装剤としては、研磨のし易さが必須であり、塗膜の硬さ、脆さのバランス等の考慮から、従来、例えば短油アルキド樹脂と硝化綿による所謂硝化綿ラッカーや、ポリエステルポリオールとポリイソシアネートによる2液架橋系の溶剤系の塗料が多用されてきた。
【0003】
近年、環境問題が顕在化し、その対策が社会要請となる状況で、溶剤系塗装剤の水性化が切望されているが、研磨作業性が良好な水系塗装剤は未だ皆無である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、良好な研磨作業性を有する水性被覆組成物を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、従来技術の問題点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定の範囲の分子量を有し、且つ特定のカルボキシル基含有量のカルボキシル基含有アクリル乳化重合体を含む水性被覆組成物が、所望の研磨作業性を有することを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0006】
すなわち本発明は、カルボキシル基含有アクリル乳化重合体(A)を主要バインダーとして含んでなり、テトラヒドロフラン媒体を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全固形分中20重量%未満であって、前記カルボキシル基含有アクリル乳化重合体(A)を構成する重合単位の6〜18重量%がカルボキシル基含有単量体に由来することを特徴とする研磨用水性被覆組成物、
【0007】
あるいは、さらに、前記カルボキシル基含有アクリル乳化重合体(A)が有するカルボキシル基と金属架橋しうる金属類をも含む研磨用水性被覆組成物を提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明について詳細に説明する。
まず、カルボキシル基含有アクリル乳化重合体について説明する。基本的には乳化剤存在下、水中で後述の重合性単量体類をラジカル開始剤を用いて重合せしめることができる。
【0009】
カルボキシル基は、後述するカルボキシル基含有単量体を共重合させることで容易に乳化重合体に導入することができる。乳化重合体に含まれるカルボキシル基は得られる塗膜の硬さや、更には基材付着性の確保の観点より必須のものであり、その含有量は、これら塗膜の硬さや脆さ、更には耐水性等のバランスから、乳化重合に使用する全重合性単量体中6〜18重量%の範囲で使用する必要がある。6重量%未満では配合にもよるが、得られる塗膜の研磨作業性が劣るようになり、逆に18重量%を超える量を使用すると、得られる塗膜の耐水性、造膜性が劣るようになる。より好ましくは8から15重量%の範囲である。
【0010】
次に、カルボキシル基含有アクリル乳化重合体に含有される低分子量成分(オリゴマー成分)について述べる。
【0011】
重合反応過程で生成しするオリゴマー成分は、得られる塗膜の研磨作業性や耐水性等を大幅に損ねるのでその含有量を極力減少させることが必要である。
研磨作業性の観点から、研磨用塗装剤には、以下のような性能が要求される。すなわち、研磨用塗装剤が形成された基材をサンドペーパーにより研磨した際に、基材自体を大きく傷つけることなく余剰の塗膜が研磨、削除できることが必要であり、このため研磨用塗装剤からなる塗膜には、適度な硬度を有することが要求される。また、研磨の際に発生する摩擦熱により、塗膜の硬度が低下することなく、塗膜、研磨面の塗膜及び研磨された塗膜屑(以下、研磨屑と称する)の粘着性が低く保持されることが必要である。
【0012】
更には、研磨屑が微粉化しサンドペーパーの研磨面から脱落して研磨面を目詰まりさせないことが必要である。かかる観点から、カルボキシル基含有アクリル乳化重合体中のオリゴマー成分含有量を極力低減させることが必要である。
【0013】
これらの見地より良好な研磨作業性を有する塗膜を得るには、乳化重合体は、テトラヒドロフラン(THF)を媒体とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によるポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全固形分中20重量%未満であることが必要であり、より好ましくは15重量%未満である。
【0014】
ここで乳化重合により製造されたカルボキシル基含有アクリル乳化重合体は、高分子量であるためTHF等の有機溶剤には全量溶解しない場合が多々あるが、このようなTHF等有機溶剤不溶物の大部分は検出限界以上の超高分子量成分であることから、THF等有機溶剤不溶物を検出限界以上の超高分子量成分と見なしても事実上支障なく、本明細書における低分子量成分の量の計算も、そのような取扱いで行っている。
【0015】
この分子量条件を満たすカルボキシル基含有アクリル乳化重合体を得るには、乳化重合に用いる乳化剤の使用量を低減させる必要もあるが、重合中の系内に存在するエチレン性不飽和単量体に対し重合開始剤由来のラジカル発生数を低くすることが最も効果的である。
【0016】
この観点より、▲1▼重合開始剤の使用量を低減させる、▲2▼低温、特に60℃以下の重合温度で所謂レドックス開始剤を用いて重合する、▲3▼重合時間を延長する、等の手法の何れか、又は組み合わせが有効である。
【0017】
ただし工業的に乳化重合を行うには、エチレン性不飽和単量体中に含まれる重合禁止剤の影響を考慮しなければならない。すなわち、多量の重合禁止剤存在下で、ラジカル重合開始剤使用量を過度に低減させると重合反応が進行し難くなるからである。この場合、例えば事前にモレキュラシーブにより、エチレン性不飽和単量体中の重合禁止剤を吸着除去したり、或いは反応系中の溶存酸素を低下せしめて重合禁止剤の活性を低下させる等の公知の方法が有効である。
また、反応点を同一分子内に二個以上有する、いわゆる架橋性モノマーの使用も低分子量成分生成に対する抑制効果があるが、過度の使用は樹脂全体の分子量が高くなり過ぎ、造膜性が損なわれ易くなるので好ましくない。
【0018】
かくして得られた低分子量のセグメントが少ないカルボキシル基含有アクリル乳化重合体は、上記したように、得られる塗膜の耐久性が優れ、優れた研磨作業性を有する。
【0019】
次ぎに、本発明を構成するカルボキシル基含有アクリル乳化重合体を重合する際に使用する重合性単量体類について説明する。
まず、カルボキシル基含有単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、クロトン酸等の一塩基酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の二塩基酸及びこれらの半エステル類が挙げられ、一種もしくは二種以上の混合物として所望の塗膜性能が得られるような使用量で使用することができる。これらカルボキシル基含有単量体のうち、得られる研磨用水性被覆組成物の研磨作業性、塗膜性能のバランスより、メタクリル酸を多用するのが好ましい。
【0020】
また、上記のカルボキシル基含有単量体と共重合可能な重合性単量体類を、研磨用水性被覆組成物を用いて得られる皮膜の硬さ、耐久性、極性等を調整する目的で適宜選択して使用することができる。
【0021】
例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
【0022】
スチレン、ビニルトルエン等の芳香族単量体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベオバ(シェル社製バーサチック酸ビニルエステル)等のビニルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等のハロゲン含有単量体類;
【0023】
その他に、官能基含有単量体として、グリシジル(メタ)アクリレート、α−メチル−グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基含有単量体類;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の含窒素単量体類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体類;
【0024】
トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、γ−プロポキシエチルメタクリロイルトリメトキシシラン等のシラン含有単量体類;ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングルコールメタクリレート等の多官能単量体類が挙げられ、一種もしくは二種以上を併用して使用することができる。
【0025】
上記した官能基含有単量体のうち、特にトリエトキシビニルシラン等のビニルシラン類を全単量体中1重量%未満範囲で極少量使用すると、得られる塗膜の造膜性を損なわずに、研磨作業性、耐水性等の耐久性を向上させることが可能な場合がある点で好ましい。
【0026】
さらに、得られる乳化重合体の低分子量セグメントを少なくするためには、重合方法のみならず、重合性単量体の重合反応性が良好なものを選択して使用することが必要である。かかる観点から、前述のカルボキシル基含有単量体、炭素数4以下のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステル類を主体に使用し、必要に応じて全単量体中35重量%以下のスチレン、及び2重量%以下の官能基含有不飽和単量体類を組み合わせて使用するのが特に好ましい。
【0027】
次に、本発明を構成するカルボキシル基含有アクリル乳化重合体を重合する際に使用する乳化剤について述べる。
当該乳化剤としては、公知慣用のアニオン乳化剤、カチオン乳化剤、ノニオン乳化剤、反応性乳化剤類の使用が可能であり、通常、アニオン乳化剤、ノニオン乳化剤、及び必要に応じ反応性乳化剤を組み合わせて使用することができる。特にノニオン乳化剤の過多の使用は、得られる塗膜の粘着性の原因に成り易く、研磨作業性を低下させるので注意を要する。
【0028】
全乳化剤の使用量は得られる塗膜の性能を勘案し、全重合性単量体100重量部に対し6重量%未満が好ましく、更に4重量%未満がより好ましい。これら乳化剤類は環境ホルモンの問題より、アルキルフェノールの構造を有さないものを選択して使用することが特に好ましい。
【0029】
その他に、重合開始剤、反応方法等は特に制限されるものではなく、公知慣用の物と手段を使用することができるが、前述した分子量範囲になるように考慮が必要である。得られる乳化重合体のTgは、特に制限はないものの、得られる塗膜の耐久性、硬さ、造膜性等を考慮して、示差熱天秤によるTgが30℃〜65℃の範囲のものが好ましい。また乳化重合体の固形分は特に制限はないものの、得られる被覆組成物の乾燥性、塗装作業性を考慮して、30〜55%の範囲が好ましく、35〜50%の範囲がより好ましい。
【0030】
本発明の研磨用水性被覆組成物は、前述した特定の分子量を有するカルボキシル基含有アクリル乳化重合体と、例えば塗膜の滑性を向上させるための水分散ワックス、塗膜の硬度を向上させるためのスチレンマレイン酸樹脂やフェノール樹脂等の樹脂類、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、造膜助剤類、凍結防止剤類、アンモニア水等のpH調整剤、防腐・防黴剤、消臭剤等公知慣用の添加剤を、公知の手法によって混合することにより得ることができる。
【0031】
更には、カルボキシル基含有アクリル乳化重合体のカルボキシル基と架橋反応し得る多価金属溶液、例えば炭酸性亜鉛アンモニウム溶液や酢酸カルシウム溶液等を研磨用水性被覆組成物に配合することは、得られる塗膜の研磨作業性が更に向上するので特に好ましい。この場合、過度の使用は得られる塗膜の耐水性等が損なわれる場合があり、カルボキシル基含有乳化重合体の固形分100重量部に対し金属塩固形分で4重量部未満の量で使用することが好ましい。
【0032】
本発明の研磨用水性被覆組成物には、上記の各種添加剤以外にも、例えばコロイダルシリカ、内部ゲル化ポリスチレンやポリメチルメタクリレートビーズ、ウレタンビーズ等の有機、無機の微粒子類も、得られる塗膜の研磨作業性の調整に必要に応じて使用することができる。
【0033】
かくして得られる本発明の研磨用水性被覆組成物は、サンディングシーラーとして、木部基材に直接、或いは、その表面に顔料又は染料および固着剤としての樹脂よりなる、いわゆるステインと称される着色剤を塗布したものの上に塗装される。塗装は公知慣用の、刷毛、スプレー、クロス、ローラー等で塗装することができる。乾燥方法も常温乾燥の他、強制乾燥も可能である。
【0034】
【実施例】
以下実施例において、本発明について具体的に説明する。なお、特に断わりののない限り、「部」は重量基準である。
【0035】
〔本発明で使用する乳化重合体の調製例1〕
攪拌機、窒素導入管、温度計、乾留冷却器を備えた3リットル反応器に窒素を導入しつつ、煮沸し脱気したイオン交換水900部、ネオペレックスF−25(花王社製の固形分25%のアニオン乳化剤)20部、ニューコール707(日本乳化剤社製の固形分100%のノニオン乳化剤)5部を仕込み、攪拌を開始し、65℃まで昇温した。
【0036】
過硫酸ナトリウム0.5部を仕込み、反応温度を65〜67℃に保ちつつ、別途調整した脱気したイオン交換水220部、ニューコール707SF(日本乳化剤社製の固形分30%のアニオン乳化剤)67部、n−ブチルアクリレート250部、n−ブチルメタクリレート150部、メチルメタクリレート470部、メタクリル酸130部を攪拌乳化せしめた単量体乳化プレミックスを4時間かけて滴下せしめた。滴下終了後80度に昇温し、過硫酸カリウム0.3部を加え更に同温度で4時間保持し室温まで冷却した。25%アンモニア水を用いてpHを6.5に調整し、イオン交換水を加え固形分を45%に調整した。
【0037】
得られた乳化重合体は固形分45%、pH6.5、Tg45℃、THF媒体によるゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる分子量測定でポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全体の8%であった。これをA−1と略称する。
【0038】
〔本発明で使用する乳化重合体の調製例2〕
上記と同様の反応装置に窒素導入下、イオン交換水900部、ネオゲンRK(第一工業製薬社製の固形分60%のアニオン乳化剤)8部を仕込み、攪拌下45℃に昇温した。ピロ亜硫酸ナトリウム2部と酸化第二鉄の0.1%水溶液1部を加え、更に別途調整したイオン交換水220部、ネオペレックスF-25(前記アニオン乳化剤、固形分25%)40部、エレミノールJS−2(三洋化成社製の固形分40%のアニオン乳化剤)12.5部、レオノールTD−70(ライオン社製の固形分100%のノニオン乳化剤)10部とn−ブチルアクリレート300部、スチレン100部、メチルメタクリレート480部、メタクリル酸120部を攪拌乳化せしめた単量体乳化プレミックスと、別途調整した過硫酸アンモニア2をイオン交換水50部に溶解したものを、反応温度43〜47℃に保持しつつ、同時に4時間かけて滴下せしめた。
【0039】
滴下終了後同温度で1時間保持し、ピロ亜硫酸ナトリウム1部と過硫酸アンモニア1部をそれぞれイオン交換水5部に溶解したものを加え、更に同温度で3時間保持せしめた。室温まで冷却後、pH、固形分を前記したA−1の調製例と同様に調整した。
【0040】
得られた乳化重合体は固形分45%、pH6.5、Tg48℃、THF媒体によるゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる分子量測定でポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全体の7%であった。これをA−2と略称する。
【0041】
〔本発明で使用する乳化重合体の調製例3〕
上記と同様の反応装置に窒素導入下、イオン交換水900部、ネオペレックスF−25(前記アニオン乳化剤)20部、エマルゲンA−90(花王社製固形分100%のノニオン乳化剤)5部を仕込み、攪拌を開始し、75℃まで昇温した。過硫酸0.5部を仕込み、反応温度を73〜77℃に保ちつつ、別途調整したイオン交換水220部、ニューコール707SF(前記のアニオン乳化剤)67部、ブチルアクリレート150部、エチルアクリレート200部、シクロヘキシルメタクリレーチ200部、メチルメタクリレート350部、メタアクリル酸100部を攪拌乳化せしめた単量体乳化プレミックスと、過硫酸カリウム1部をイオン交換水50部に溶解したものとを10時間かけて滴下せしめた。
【0042】
滴下終了後80度に昇温し、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート0.5部を加え更に同温度で3時間保持し室温まで冷却した。その後A−1の調製例と同様の手法により、固形分、pHを調整した。得られた乳化重合体は固形分45%、pH6.5、Tg46℃、THF媒体によるゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる分子量測定でポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全体の12%であった。これをA−3と略称する。
【0043】
〔比較用乳化重合体の調製例1〕
攪拌機、窒素導入管、温度計、乾留冷却器を備えた3リットル反応器に窒素を導入しつつ、イオン交換水850部、ネオペレックスF−25(前記のアニオン乳化剤、固形分25%)20部、ニューコール707(前記のノニオン乳化剤、固形分100%)5部を仕込み、攪拌を開始し、80℃まで昇温した。
【0044】
過硫酸ナトリウム1部を仕込み、反応温度を78〜83℃に保ちつつ、別途調整したイオン交換水220部、ニューコール707SF(前記したアニオン乳化剤、固形分30%)67部、n−ブチルアクリレート250部、n−ブチルメタクリレート150部、メチルメタクリレート470部、メタクリル酸130部を攪拌乳化せしめた単量体プレミックスと、過硫酸ナトリウム5部をイオン交換水50部に溶解したものを、それぞれ3時間かけて同時に滴下せしめた。
【0045】
滴下終了後同温度で、過硫酸カリウム0.3部を加え更に同温度で3時間保持し室温まで冷却した。その後A−1と同様の手法により固形分、pHを調整した。 得られた乳化重合体は固形分45%、pH6.5、Tg41℃、THF媒体によるゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる分子量測定でポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全体の25%であった。これをB−1と略称する。
【0046】
〔比較用乳化重合体の調製例2〕
前記の比較用乳化重合体の調製例1で、用いる単量体組成をn−ブチルアクリレート300部、スチレン100部、メチルメタクリレート480部、メタクリル酸120部、ラウリルメルカプタン3部に変えた以外、比較用の乳化重合体の調整例1と同様の手法を繰り返し、比較用乳化重合体を得た。固形分45%、pH6.5、Tg37℃、THF媒体によるゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる分子量測定でポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全体の45%であった。これをB−2と略称する。
【0047】
〔比較用乳化重合体の調製例3〕
前記の乳化重合体A−1の調整例で、用いる単量体組成をn−ブチルアクリレート150部、n−ブチルメタクリレート250部、メチルメタアクリレート560部、メタクリル酸40部に置き換えた以外、本発明の乳化重合体の調整例1と同様の手法を繰り返した。
【0048】
得られた乳化重合体は、固形分45%、pH6.5、Tg45℃、THF媒体によるゲルパーミュエーションクロマトグラフィーによる分子量測定でポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全体の7%であった。これをB−3と略称する。
【0049】
〔 GPC測定条件〕
機種:東ソー製 HLC−8120GPC
カラム:東ソー製 TSKgel GMH−H(30)
【0050】
〔測定条件〕
カラム温度;40℃、溶媒;THF、検知器;RI、
試料;乳化重合体を固形分換算で0.4%に溶解マイクロフィルターで濾過後200μl注入(不溶解分は検知限界以上の高分子と見なす)
標準;PS、データ処理;東ソーSC−8010
【0051】
〔応用実施例及び比較例〕
かくして得られた、本発明を構成する乳化重合体A−1、A−2、A−3、及び本発明外の比較用の乳化重合体B−1、B−2、B−3の組成等を表−1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】
BA :n−ブチルアクリレート
BMA :n−ブチルメタクリレート
EA :エチルアクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
ST :スチレン
MMA :メチルメタクリレート
MAA :メタクリル酸
LSH :ラウリルメルカプタン
【0054】
〔塗料の調製〕
調製した各種乳化重合体を用いて、表−2に記載する配合に従い組成物を配合した。
【0055】
【表2】
【0056】
上記配合物は全て固形分35%で、アンモニア水にてpH8.5に調整。
造膜助剤 :ジプロピレンモノ−n−ブチルエーテル
消泡剤 :SNディフォーマー373(サンノプコ社製消泡剤)の10%水稀釈物
Zn :ジョンキュアー90(ジョンソンポリマー社製炭酸性亜鉛アンモニウム水溶液25%)を固形分5%に水稀釈した物
Ca :酢酸カルシウムの5%水溶液
Al :酢酸アルミニウムの5%水溶液
【0057】
*溶剤系:従来同用途に主用されている溶剤系塗料。配合は下記の通り。
▲1▼ベッコゾール1323(大日本インキ社製 固形分60%の短油アルキド樹脂)
▲2▼ベッカサイト1111(大日本インキ社製 固形分100%の変性マレイン酸樹脂)
▲3▼1/4秒ニトロセルロース
▲4▼シンナー(トルエン、n−ブタノール、酢酸エチル、メチルイソブチルケトンの50/20/20/10部の混合物)
▲1▼、▲2▼、▲3▼をそれぞれ固形分重量比で65:20:15に混合し、▲4▼にて固形分35%に調整
【0058】
〔塗膜性能の評価〕
調製した各種塗料を用いて、塗膜の性能評価を行った。結果を表−3及び表−4に示す。
【0059】
〔応用試験方法〕
基材: 楢合板(10×20×0.5cm)
塗装: それぞれの配合物(固形分35%に調整)をそれぞれの基材表面に2.5g刷毛にて塗装。
【0060】
乾燥(強制乾燥) :塗装直後、塗装試片を60℃のオーブンに入れ20分間乾燥し、20℃、65%RH下で一時間放冷し、各種試験に供した。
乾燥(常温乾燥) :塗装後、塗装試片を20℃、65%RH下で24時間乾燥し、各種試験に供した。
【0061】
〔応用評価方法〕
1.乾燥性
乾燥後の塗膜の乾燥性を指触にて評価。
○ ;粘着性がほとんどない物
△ ;粘着性が若干有る物
× ;粘着する物
【0062】
2.付着性
乾燥後の塗膜にカッターナイフにて基材までクロスカットを入れ、セロファンテープにて塗膜剥離を行い、基材付着性を評価。
○ ;殆ど剥離なし
△ ;若干の剥離有り
× ;全面或いは殆ど剥離する
【0063】
3.耐水性
乾燥後の塗膜を試片ごと60℃の温水浴に1時間浸漬し、塗膜の白化を目視評価。
○ ;殆ど白化がない物、
△ ;若干白化がある物、
× ;白化が著しい物
【0064】
4.研磨性
乾燥後の塗膜を耐水サンドペーパー#320(日本研紙社製、C−Cw P−320)で研磨し、切削屑の形状と研磨面の目詰まりの状態を評価。
【0065】
切削屑、
○ ;微粉状
△ ;塊状でやや粘着
× ;ゴム状で粘着
【0066】
目詰まり、
○ ;目詰まり無し
△ ;やや目詰まり
× ;目詰まりが著しい
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】
本発明の水性被覆組成物は、従前の溶剤系ラッカーに匹敵するか、更に優れた塗膜性能を有することが知れる。
Claims (3)
- カルボキシル基含有アクリル乳化重合体(A)を主要バインダーとして含んでなり、テトラヒドロフラン媒体を用いたゲルパーミエーションクロマトグラフィー測定によるポリスチレン換算分子量10万以下の低分子量セグメントが全固形分中20重量%未満であって、前記カルボキシル基含有アクリル乳化重合体(A)を構成する重合単位の6〜18重量%がカルボキシル基含有単量体に由来することを特徴とする、研磨用水性被覆組成物。
- カルボキシル基含有アクリル乳化重合体(A)が有するカルボキシル基と金属架橋しうる金属類を含む、請求項1に記載の研磨用水性被覆組成物。
- 請求項1又は2に記載の研磨用水性被覆組成物が塗装された木製品。
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