JPH10110125A - 耐ハジキ性に優れているカチオン電着塗料組成物 - Google Patents

耐ハジキ性に優れているカチオン電着塗料組成物

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JPH10110125A
JPH10110125A JP28470696A JP28470696A JPH10110125A JP H10110125 A JPH10110125 A JP H10110125A JP 28470696 A JP28470696 A JP 28470696A JP 28470696 A JP28470696 A JP 28470696A JP H10110125 A JPH10110125 A JP H10110125A
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幸嗣 伊藤
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勝彦 杉本
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐ハジキ効果においてすぐれ、同時にPVC
シーラーや上塗り塗膜との密着性にすぐれているカチオ
ン電着塗料組成物を提供する。 【解決手段】 電着可能なカチオン性フィルム形成樹脂
とその硬化剤を含んでいるカチオン電着塗料組成物にお
いて、ハジキ防止剤として、1000乃至50000の
範囲の数平均分子量を有する、カルボキシル基を含有し
酸価1乃至50のアクリル樹脂を、固形分として該組成
物全体の樹脂固形分の1乃至20重量%に相当する量で
含んでいることを特徴とするカチオン電着塗料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はカチオン電着塗料組
成物に関し、より具体的には耐ハジキ性、およびPVC
シーラー及び上塗り塗膜との密着性に優れたカチオン電
着塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】カチオン電着塗料は高い防錆性を示すた
め、自動車ボディーの下塗り塗装を始めとして広く工業
的に利用されている。しかしながら硬化した後の塗膜の
表面に欠陥、特にハジキと呼ばれるクレーターが生じる
ことがしばしば認められる。クレーターは塗料中に含ま
れる低表面張力の有機化合物や顔料中の不純物または焼
付け過程における炉内のほこりや車体の合わせ目等から
飛散した油等が核となり発生するものと考えられてい
る。このためこれまで塗膜中の顔料/樹脂比率増加、バ
インダー樹脂の高分子量化などにより焼付時の塗膜のフ
ロー性を低く抑える方策が取られて来たが同時に塗膜の
平滑性が損なわれてしまうという欠点があった。これま
でハジキ防止を目的として多くの添加剤が報告されてい
る。特開平2−4826にはポリオキシアルキレンポリ
アミンを利用した添加剤が記載されている。特開平6−
184471にはフッ素含有コポリマーが記載されてい
る。これらの材料はハジキ防止の効果を十分に発現させ
た場合、電着塗膜表面に塗布されるPVCシーラーや上
塗り塗膜との密着性が損なわれてしまうという欠点があ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】これまでの方策はハジ
キ防止効果において必ずしも満足ではなく、耐ハジキ効
果を満足させようとするとPVCシーラーや上塗り塗膜
との密着性が低下するなどの不都合が見られた。そこで
本発明の目的は、耐ハジキ効果においてすぐれ、同時に
PVCシーラーや上塗り塗膜との密着性にすぐれている
カチオン電着塗料組成物を提供することである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、ハジキ防止剤
としてここに規定する、酸価1〜50のカルボキシル基
含有アクリル樹脂を使用する。従って、本発明は、電着
可能なカチオン性フィルム形成樹脂とその硬化剤を含ん
でいるカチオン電着塗料組成物において、ハジキ防止剤
として、1000乃至50000の範囲の数平均分子量
を有する、カルボキシル基を含有し酸価1乃至50のア
クリル樹脂を、固形分として該組成物全体の樹脂固形分
の1乃至20重量%に相当する量で含んでいることを特
徴とするカチオン電着塗料組成物である。
【0005】A.カルボキシル基含有アクリル樹脂 アクリル樹脂中へのカルボキシル基の導入方法として
は、カルボキシル基を含有するモノマーをカルボキシル
基を含有しないモノマーと共重合させることによってポ
リマー鎖中にランダムに導入する方法、水酸基を有する
モノマーとカルボキシル基も水酸基も含有しないモノマ
ーとの重合体と酸無水物とのハーフエステル化反応によ
ってカルボキシル基を導入する方法、そして分子内にカ
ルボキシル基を有する重合開始剤を用いてアクリル樹脂
を合成することによって分子の末端にカルボキシル基を
導入する方法等がある。以下、それぞれを共重合法、開
環法、そして重合開始剤法として説明する。
【0006】(1)共重合法 共重合させるためのカルボキシル基を含有するモノマー
としては、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸およ
びイタコン酸等が挙げられる。
【0007】一方、カルボキシル基を含有しないモノマ
ーとしては、カルボキシル基も水酸基も含有しないモノ
マーを使用することができる。カルボキシル基も水酸基
も含有しないモノマーとしては例えば、メチル(メタ)
アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロ
ピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アク
リレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチ
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、
ドデシル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル
(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)ア
クリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレ
ート等のアクリルモノマー、及びスチレン、ビニルトル
エン、α−メチルスチレン、(メタ)アクリロニトリ
ル、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニル等の非アクリ
ルモノマーを挙げることができる。
【0008】また、カルボキシル基を含有しないモノマ
ーとして、上記のカルボキシル基も水酸基も含有しない
モノマーは必須であるが、これに加えて水酸基を含有す
るアクリルモノマーを併用することができる。水酸基を
含有するモノマーとしては例えば、2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)ア
クリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレー
ト、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、そして
ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとε−カ
プロラクトンとの反応生成物又はヒドロキシアルキルモ
ノ(メタ)アクリレートと六員環カーボネートとの反応
生成物等を挙げることができる。
【0009】重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキ
サイド、t−ブチルパーベンゾエート、t−ブチルヒド
ロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t
−ブチルパーオクテート等の有機過酸化物またはアゾビ
スイソブチロニトリル、アゾイソ酪酸ニトリル等のアゾ
化合物等を使用することができる。重合開始剤は一種類
でもよいし、二以上の複数のものを適宜組み合わせて使
用してもよい。重合開始剤の量はモノマー混合物に対し
て0.1〜15重量%が好ましい。
【0010】(2)開環法 水酸基を有するモノマーとカルボキシル基も水酸基も含
有しないモノマーとの重合体と酸無水物との開環反応を
使用する。
【0011】水酸基を有するモノマーはさまざまなもの
が使用できるが、例えば、(1)共重合法において既に
説明した水酸基を含有するモノマーを使用することがで
きる。この場合、水酸基を含有するモノマーのみではな
く、カルボキシル基も水酸基も含有しないモノマーを併
用する。このカルボキシル基も水酸基も含有しないモノ
マーもさまざまなものが使用できるが、例えば、(1)
共重合法において既に説明したカルボキシル基も水酸基
も含有しないモノマーを使用することができる。
【0012】酸無水物としては、無水フタル酸、無水コ
ハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水
フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無
水フタル酸、無水ハイミック酸、無水マレイン酸等が使
用できる。
【0013】(3)重合開始剤法 分子内にカルボキシル基を有する重合開始剤としては、
4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、7,7’−
アゾビス(7−シアノカプリル酸)、6,6’−アゾビ
ス(6−シアノ−6−シクロヘキシルカプロン酸)、
2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)、2,
2’−アゾビス(2−エチル−4−メトキシ吉草酸)、
2,2’−アゾビス(2−ベンジルプロピオン酸)等が
挙げられる。また、これらカルボキシル基を有する重合
開始剤とチオグリコール酸等のような分子内にカルボキ
シル基を有する連鎖移動剤を使用すれば、より効果的に
末端にカルボキシル基を導入することができる。
【0014】これらのカルボキシル基を有する重合開始
剤はアミンで中和して使用するのが好ましく、特に第三
アミンとともに使用することが好ましい。第三アミンと
しては、ピリジン、イソキノリン、キノリン、N,N−
ジメチルシクロヘキシルアミン、α−ピコリン、N,N
−ジメチルベンジルアミン、トリ−n−ブチルアミン、
トリエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−エ
チルモルホリン、N−エチル−3,5−ジメチルモルホ
リン等が使用できる。
【0015】重合開始剤は一種類でもよいし、二以上の
複数のものを適宜組み合わせて使用してもよい。重合開
始剤の量はモノマー混合物に対して0.1〜15重量%
が好ましい。
【0016】用いるモノマーとしては、特に制限はない
が、カルボキシル基も水酸基も含有しないモノマー、例
えば(1)共重合法において既に説明したカルボキシル
基も水酸基も含有しないモノマーを使用することができ
る。また、必須のカルボキシル基も水酸基も含有しない
モノマーに加えて任意に水酸基を含有するモノマー、例
えば(1)共重合法において既に説明した水酸基を含有
するアクリルモノマーを併用することができる。また、
前記のカルボキシルを有する重合開始剤を用いる方法で
用いるモノマーとしては、前述したカルボキシル基を含
有するモノマーを所定の酸価となるように使用すること
ができる。
【0017】上記の(1)〜(3)の3つのいずれかの
方法は、このうち2つを組み合わせて、または3つの方
法全てを用いて所定の酸価となるようにアクリル樹脂を
合成してもよい。
【0018】上記の(1)〜(3)の3つのいずれの方
法においても、反応において溶剤を使用することができ
る。反応に用いる溶剤としては、トルエン、キシレン等
のような芳香族系炭化水素、メチルイソブチルケトン、
シクロヘキサノン、イソホロン等のようなケトン類等
の、実施される反応を阻害しない溶媒であればよい。溶
剤は一種類または複数を組み合わせた混合物のいずれで
使用されてもよい。
【0019】上記の(1)〜(3)の3つのいずれの方
法においても、反応温度は50°C〜170°Cが好ま
しく、さらに好ましくは80°C〜150°Cである。
【0020】カルボキシル基含有アクリル樹脂は100
0乃至50000の数平均分子量を有するのが好まし
い。分子量があまり小さいとクレーターの発生抑制効果
が不十分であり、一方大きすぎると塗膜表面の平滑性が
損なわれるが、この範囲でそれらが満足にバランスす
る。分子量の調節は反応条件によって行うことができる
が、ドデシルメルカプタンやチオグリコール酸2−エチ
ルヘキシル等の連鎖移動剤を使用して行うこともでき
る。
【0021】カルボキシル基含有アクリル樹脂の酸価は
1〜50が好ましい。さらに好ましくは3〜20とする
方が良い。酸価があまり小さいと密着性が不十分であ
り、一方大きすぎると塗膜の耐水性、耐食性に悪影響を
及ぼしたり、塗膜の平滑性を著しく損なったりするが、
この範囲でそれらが満足にバランスする。
【0022】B.塗料組成物 塗料組成物はカルボキシル基含有アクリル樹脂以外にバ
インダー樹脂、硬化剤および顔料等を含む。 (1)バインダー樹脂 バインダー樹脂はアミン化エポキシ樹脂またはアミン化
ポリブタジエンの他、カチオン性のポリウレタン樹脂、
アクリル樹脂等が使用できるが、特にアミン化エポキシ
樹脂が好ましい。アミン化エポキシ樹脂はエポキシ樹脂
と一級及び/または二級アミンとを反応させることによ
って得られる。使用されるエポキシ樹脂としては、ビス
フェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポ
キシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂等のようなポリフ
ェノールのポリグリシジルエーテルの他に複素環含有エ
ポキシ樹脂および脂肪族エポキシ樹脂等である。また、
アミンを反応させる前に、エポキシ基の一部を予めアル
コール類、フェノール類、モノカルボン酸、ポリカルボ
ン酸、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオー
ル、ポリアミド、ポリウレタン等の活性水素化合物と反
応させておくこともできる。
【0023】(2)硬化剤 バインダー樹脂に応じた必要な硬化剤を配合することが
できる。硬化剤の例としては、ブロックイソシアネート
やエーテル化メラミン樹脂等が挙げられる。バインダー
樹脂に対する硬化剤の配合量は固形分で10〜40重量
%の範囲が好ましい。
【0024】(3)顔料 顔料としては、酸化チタン、カーボン等の着色顔料、ク
レー、シリカ、タルク等の体質顔料、塩基性珪酸鉛、ジ
ンククロメート、ストロンチウムクロメート等の防錆顔
料等を使用することができ、顔料分散液として添加する
ことが好ましい。
【0025】(4)カルボキシル基含有アクリル樹脂 カルボキシル基含有アクリル樹脂の量は、固形分として
カチオン電着塗料全体の樹脂固形分の1〜20重量%で
あることが好ましい。カルボキシル基含有アクリル樹脂
があまり少ないとクレーターの発生抑制効果が不十分で
あり、一方多すぎると塗膜の耐水性、耐食性に悪影響を
及ぼしたり、塗膜の平滑性を損なったりするが、この範
囲でそれらが満足にバランスする。
【0026】塗料の調製は、上記の各成分を適宜配合し
てなされる。バインダー樹脂は酸中和により水溶化また
は水中に分散される。カルボキシル基含有アクリル樹脂
は、バインダー樹脂を水溶化または水中分散する前にあ
らかじめバインダー樹脂中に混合しても、また水溶化ま
たは水中分散の途中で加えてもよい。この酸中和には、
酢酸、乳酸、蟻酸等が使用される。該塗料中の固形分濃
度は10〜30重量%が好ましい。また、該塗料中のp
Hは5.0〜9.0が好ましい。
【0027】水性媒体は水か、または水と水混和性有機
溶剤との混合物である。必要に応じ水性媒体は水不混和
性有機溶剤を含んでいてもよい。水混和性有機溶剤の例
には、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチル
セロソルブ、エチレングリコールジメチルエーテル、ジ
アセトンアルコール、4−メトキシ−4−メチルペンタ
ン−2−オン、メチルエチルケトンなどがある。また、
水不混和性有機溶剤の例には、キシレン、トルエン、メ
チルイソブチルケトン、2−エチルヘキサノールなどが
ある。
【0028】本発明の塗料組成物は、塗料の不揮発分を
10〜30%程度に調節し、好ましくはリン酸亜鉛また
はクロメート処理した鋼板に、浴温15〜35℃,負荷
電圧100〜400Vの条件で被塗物を陰極として乾燥
膜厚10〜50μm,好ましくは20〜40μmに電着
し、その後100〜200℃,好ましくは140〜18
0℃にて10〜30分間焼付けし、ハジキのないPVC
シーラーや上塗り密着性にすぐれた硬化塗膜を得ること
ができる。
【0029】
【実施例】本発明をこれから実施例によって例示して詳
述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】以下の製造例、実施例および比較例におい
て部および%は特別に断らない限り重量基準による。
【0031】製造例1 攪拌器、温度計、デカンター、還流冷却器、窒素導入管
および滴下ロートを備えた反応容器にブチルセロソルブ
1050部を仕込み、窒素ガスを導入しつつ120°C
に昇温し、メタクリル酸メチル347部、アクリル酸−
n−ブチル258部およびメタクリル酸−2−ヒドロキ
シエチル394部の混合物およびアゾビスシアノ吉草酸
15部を含む水溶液を3時間かけて等速滴下した。滴下
終了後3時間さらに120°Cで反応後冷却しカチオン
電着塗料用クレーター防止剤(カルボキシル基含有アク
リル樹脂)を得た。得られた樹脂は不揮発分50%で数
平均分子量8000および酸価5であった。
【0032】製造例2〜5および比較製造例1 製造例1と同様の方法により表1に示す配合割合でカチ
オン電着塗料用クレーター防止剤(カルボキシル基含有
アクリル樹脂)を得た。
【0033】製造例6(顔料ペーストの製造) エポキシ系4級アンモニウム塩型顔料分散樹脂(固形分
50%)19.1部、二酸化チタン30.4部、カオリ
ン14.0部、塩基性珪酸鉛1.4部、カーボンブラッ
ク0.9部、イオン交換水34.3部の混合物をサンド
グラインドミルで分散し、粒度10μm以下まで粉砕し
た顔料ペースト(固形分56%)を調製した。
【0034】製造例7(ポリウレタン架橋剤の調製) 攪拌装置、温度計、冷却管および窒素導入管を備えた反
応容器にヘキサメチレンジイソシアネート840部を入
れ、メチルイソブチルケトン609部で希釈した後ジブ
チルスズジラウレート0.9部を加え、50°Cに昇温
後、トリメチロールプロパン223.5部を樹脂温度が
60°Cを超えないように徐々に加えた。次いでメチル
エチルケトオキシム435部を樹脂温度が70°Cを超
えないように加えた。赤外吸収スペクトルによりイソシ
アネート基の吸収が実質上消滅するまで70°Cで1時
間保持し、その後、n−ブタノール32部で希釈した。
【0035】実施例1 攪拌装置、窒素導入管、冷却管および温度計を備えた反
応容器にエポキシ当量(以下、「EE」という。)が9
50のビスフェノールA型エポキシ樹脂(東都化成社製
エポトートYD−014)950部をメチルイソブチル
ケトン237.5部と共に100°Cに加熱し完全に溶
解させた。次いで、N−メチルエタノールアミン60
部、ジエチレントリアミンのメチルイソブチルジケチミ
ン73%メチルイソブチルケトン溶液73部を添加しこ
の混合物を120°Cで1時間保温しカチオン性樹脂を
得た。このカチオン性樹脂1320部に、製造例7のポ
リウレタン架橋剤570部、製造例1のクレーター防止
剤90部、エチレングリコールモノヘキシルエーテル1
00部を混合し、氷酢酸34部、イオン交換水479部
の混合液中に加え十分攪拌した後、さらにイオン交換水
2215部をゆっくりと加えた。次いで、これを固形分
36%になるまで減圧下で有機溶媒を除去しメインエマ
ルションを得た。イオン交換水2016部、メインエマ
ルション1556部、製造例6の顔料ペースト429部
を混合し、カチオン電着塗料を得た。
【0036】得られたカチオン電着塗料は、りん酸亜鉛
処理鋼板に対して焼付け後の膜厚が20μmになるよう
に電着塗装し、160°Cで15分間焼付けを行った。
得られた電着塗装鋼板は目視にてクレーターの評価を行
った後、PVCシーラー(日本特殊塗料社製 商品名
「シールトップ」)を3mmの厚さで塗布し、150°
Cで25分間焼付けを行った。接着性は電着塗膜からP
VCシーラーを負荷をかけて剥離させた時の状態により
判断した。接着性の評価は○、△および×の3段階で行
った。それぞれの評価基準は以下の通りである。 ○:電着塗膜からの剥離は起こらず、PVCシーラーが
凝集破壊する。 △:剥離されるが電着塗膜上にPVCシーラーが一部残
る。 ×:容易に剥離し、PVCシーラーが電着塗膜上に全く
残らない。 得られた試験結果を表2に示す。
【0037】実施例2〜5および比較例1 クレーター防止剤の種類を変更した他は実施例1と同様
の方法によりカチオン電着塗料を製造し、同様の試験を
行った。実施例2〜5について得られた試験結果を表2
に示し、比較例1について得られた試験結果を表3に示
す。
【0038】実施例6 クレーター防止剤の量を90部から540部に変更し、
エチレングリコールモノヘキシルエーテルの量を100
部から20部に変更した他は実施例1と同様の方法によ
りカチオン電着塗料を製造し、同様の試験を行った。得
られた試験結果を表2に示す。
【0039】比較例2 クレーター防止剤を加えない他は実施例1と同様の方法
によりカチオン電着塗料を製造し、同様の試験を行っ
た。得られた試験結果を表3に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
【0042】
【表3】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 勝彦 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内 (72)発明者 仲野 伸司 大阪府寝屋川市池田中町19番17号 日本ペ イント株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】電着可能なカチオン性フィルム形成樹脂と
    その硬化剤を含んでいるカチオン電着塗料組成物におい
    て、ハジキ防止剤として、1000乃至50000の範
    囲の数平均分子量を有する、カルボキシル基を含有し酸
    価1乃至50のアクリル樹脂を、固形分として該組成物
    全体の樹脂固形分の1乃至20重量%に相当する量で含
    んでいることを特徴とするカチオン電着塗料組成物。
  2. 【請求項2】該アクリル樹脂が、カルボキシル基を含有
    するモノマーとカルボキシル基も水酸基も含有しないモ
    ノマーとの共重合、またはカルボキシル基を含有するモ
    ノマーと水酸基を含有するモノマーとカルボキシル基も
    水酸基も含有しないモノマーとの共重合によって製造さ
    れるものである、請求項1に記載のカチオン電着塗料組
    成物。
  3. 【請求項3】該アクリル樹脂が、水酸基を含有するモノ
    マーとカルボキシル基も水酸基も含有しないモノマーと
    の重合体と酸無水物を反応させたものである、請求項1
    に記載のカチオン電着塗料組成物。
  4. 【請求項4】該アクリル樹脂が、カルボキシル基も水酸
    基も含有しないモノマーをカルボキシル基を含有する重
    合開始剤を用いて重合したもの、またはカルボキシル基
    も水酸基も含有しないモノマーと水酸基を含有するモノ
    マーとをカルボキシル基を含有する重合開始剤を用いて
    重合したものである、請求項1に記載のカチオン電着塗
    料組成物。
  5. 【請求項5】該アクリル樹脂が、(A)カルボキシル基
    を含有するモノマーとカルボキシル基も水酸基も含有し
    ないモノマーとを共重合させる方法、またはカルボキシ
    ル基を含有するモノマーと水酸基を含有するモノマーと
    カルボキシル基も水酸基も含有しないモノマーとを共重
    合させる方法、(B)水酸基を含有するモノマーとカル
    ボキシル基も水酸基も含有しないモノマーとの重合体と
    酸無水物を反応させる方法、そして(C)カルボキシル
    基も水酸基も含有しないモノマーをカルボキシル基を含
    有する重合開始剤を用いて重合させる方法、またはカル
    ボキシル基も水酸基も含有しないモノマーと水酸基を含
    有するモノマーとをカルボキシル基を含有する重合開始
    剤を用いて重合させる方法、のうち(A)と(B)、
    (A)と(C)、(B)と(C)、または(A)と
    (B)と(C)のいずれかの組み合わせられた方法によ
    って製造されるものである、請求項1に記載のカチオン
    電着塗料組成物。
  6. 【請求項6】該カルボキシル基を含有するモノマーが、
    アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、そしてイタコ
    ン酸よりなる群より選ばれる、請求項2または5に記載
    のカチオン電着塗料組成物。
  7. 【請求項7】該水酸基を含有するモノマーが、2−ヒド
    ロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプ
    ロピル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル
    (メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)
    アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)
    アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)
    アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリル
    アミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミ
    ド、そしてヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレー
    トとε−カプロラクトンとの反応生成物またはヒドロキ
    シアルキルモノ(メタ)アクリレートと六員環カーボネ
    ートとの反応生成物よりなる群より選ばれるものであ
    る、請求項2乃至6のいずれかに記載のカチオン電着塗
    料組成物。
  8. 【請求項8】該カルボキシル基も水酸基も含有しないモ
    ノマーが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
    タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
    ト、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
    (メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレー
    ト、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル
    ヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アク
    リレート、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチ
    レン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルア
    ミド、酢酸ビニル、2−メトキシエチル(メタ)アクリ
    レート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テ
    トラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エトキシ
    エチル(メタ)アクリレート、プロポキシエチル(メ
    タ)アクリレート、ヘキシルブチルオキシエチル(メ
    タ)アクリレート、2−エチルヘキシルオキシブチル
    (メタ)アクリレート、フルフリル(メタ)アクリレー
    トよりなる群より選ばれるものである、請求項2乃至7
    のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成物。
  9. 【請求項9】該酸無水物が、無水フタル酸、無水コハク
    酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタ
    ル酸、テトラブロモ無水フタル酸、テトラクロロ無水フ
    タル酸、無水ハイミック酸、無水マレイン酸よりなる群
    より選ばれるものである、請求項3、7および8のいず
    れかに記載のカチオン電着塗料組成物。
  10. 【請求項10】該カルボキシル基を含有する重合開始剤
    が、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、7,
    7’−アゾビス(7−シアノカプリル酸)、6,6’−
    アゾビス(6−シアノ−6−シクロヘキシルカプロン
    酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン
    酸)、2,2’−アゾビス(2−エチル−4−メトキシ
    吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−ベンジルプロピオ
    ン酸)よりなる群より選ばれるものである、請求項4、
    7および8のいずれかに記載のカチオン電着塗料組成
    物。
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