JP4113699B2 - ガス遮断器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開極時の機械的圧縮とアークの熱エネルギーによる昇圧作用とを併用してガス圧力を上昇させて高圧のガス流を発生させ、これを接触子間のアークに吹き付けて電流を遮断するガス遮断器に係り、特に、駆動エネルギーの低減化を図るためのガスの放出弁及び吸入弁を備えたガス遮断器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、送電系統や配電系統には系統システムの保護を目的として線路の地絡故障電流や線間短絡故障電流を遮断するガス遮断器が用いられている。例えば、現在72kV以上の高電圧送電系統には、構造が単純で信頼性が高くかつ優れた遮断性能を有するパッファ形ガス遮断器が広く使用されている。このガス遮断器では、可動接触子と直結したパッファシリンダーによってSF6ガスなどの消弧性ガスを圧縮して高圧のガス流を発生させ、これを接触子間に生じたアークに吹き付けて電流を遮断することができる。このとき、高い遮断性能を得るためにはガスを高圧化させることが重要であり、これを実現するには開極動作に必要な駆動エネルギーを高めなくてはならない。しかし、駆動エネルギーの増大は機器の大形化を招くことになるので、これを抑えつつ高い圧力上昇を得る方法が種々試みられている。
【0003】
具体的な従来例としては、特公昭57−54886号公報及び米国特許第4139752号公報に記載のガス遮断器が知られている。これらのガス遮断器では、消弧性ガスを圧縮する圧縮室と、この圧縮室前方にアークによる高温ガスを流入させて昇圧する熱昇圧室とを設け、さらに熱昇圧室と圧縮室を仕切る壁に圧縮室から熱昇圧室方向へのガス流のみ可能とする逆止弁を設置している。このようなガス遮断器によれば、大電流遮断時に機械的にガスを圧縮させるだけではなくアークの熱エネルギーを利用して熱昇圧室にてガス圧力を十分に上昇させることができるため、非常に高圧なガス流をアークに吹き付けることができる。しかも、逆止弁が熱昇圧室から圧縮室へのガス流入を防ぐため、圧縮室の圧力上昇は低い値に保つことができ、開極動作時の駆動エネルギーを低く抑えることが可能となる。
【0004】
更に、上記ガス遮断器を改良して、より効果的に低駆動エネルギー化を達成する方式として、特公平7−109744号公報に記載の技術が公知となっている。この方式のガス遮断器の従来例について図14を参照して具体的に説明する。図14では、中心線の下部半断面が閉極時の状態を示し、上部半断面が開極時(遮断動作完了時)の状態を示している。図14に示すように固定接触子部1及び可動接触子部2が対向配置されている。これらの接触子部1,2は消弧性のガスが充填された図示されていない容器内に収納されている。なお、可動接触子部2の位置関係についての説明を簡略化する観点から、可動接触子部2における固定接触子部1側の方向を前方、その反対方向を後方と定義する。すなわち図14では左方向を前方、右方向を後方とする。
【0005】
図14において、固定接触子部1は、固定アーク接触子3と、その周囲に配置された固定通電接触子4とから構成されている。一方、可動接触子部2は、中空の操作ロッド5、前端面6a及び後端面6bを有する可動熱昇圧シリンダー6、中空かつ指状の可動アーク接触子7、可動通電接触子8、絶縁性のノズル9といった基本部材から構成されている。
【0006】
操作ロッド5は、図示されていない駆動装置によって軸方向に往復動可能とされている。操作ロッド5の前端部にはフランジ部が形成され、このフランジ部によりピストン部5aが構成されている。操作ロッド5のピストン部5aには複数個の貫通穴5dが形成されており、それを後述する熱昇圧室S1側から閉じる逆止弁部11が設けられる。この逆止弁部11は一個の円盤状などからなる逆止弁11aを有しており、これが図示されていないバネなどでピストン部5aに押し付けられていて、熱昇圧室S1からのガス流出を阻止し、その逆向きのガス流を可能とするようになっている。また、操作ロッド5の後部位置には、その中空部とガス雰囲気中を連通する排気口5bが設けられている。さらに、操作ロッド5の外周面の二箇所に軸方向に伸びる溝5e,5fが形成されている。溝5eは閉極状態おいては、図14の下半断面に示すように全長が、後述する圧縮室S2内にあり、開極動作終了時においては、図14の上半断面に示すように圧縮室S2をガス雰囲気中に連通するように構成されている。溝5fは閉極時において圧縮室S2とガス雰囲気中を連通するように構成されている。
【0007】
可動熱昇圧シリンダー6及び可動アーク接触子7は、操作ロッド5のピストン部5a前方に連結されている。可動熱昇圧シリンダー6はその後端面6bがピストン部5aの前面側に接して固定されており、内部には容積が一定である熱昇圧室S1が形成される。可動アーク接触子7の中空部は操作ロッド5の中空部に連通されている。
【0008】
可動通電接触子8及びノズル9は、可動熱昇圧シリンダー6の前端面6a前方に配置されている。ノズル9は可動アーク接触子7を包囲するようにして可動通電接触子8の内径部に固定されている。さらに、可動アーク接触子7の外周部とノズル9の内周部の間には熱昇圧室S1からのガス流を固定アーク接触子3の側に導くガス流路が形成されている。
【0009】
ところで、可動熱昇圧シリンダー6の外周面がほぼ気密に摺動するようにして固定シリンダー15は配置されている。固定シリンダー15の前端部には集電コンタクト15aが設けられており、可動熱昇圧シリンダー6と固定シリンダー15間の摺動通電が可能となるように構成されている。固定シリンダー15の後端部は基底支持部材18に固定されている。固定シリンダー15において、基底支持部材18寄りには開口部15eが形成されており、この開口部15eを介して固定シリンダー15の内部と容器(図示せず)内のガス雰囲気とが連通されている。
【0010】
また、固定シリンダー15には可動熱昇圧シリンダー6の後端面6b及び操作ロッド5のピストン部5aの後方で、かつ開口部15eの前方には半径方向に延びる隔壁部15bが形成されている。そして、固定シリンダー15の内部には圧縮室S2が形成されている。より詳しくは、隔壁部15b及び固定シリンダー15の内周部と、可動熱昇圧シリンダー6の後端面6b及び操作ロッド5のピストン部5a、さらには操作ロッド5外周面に囲まれることにより圧縮室S2が形成される。ここで、隔壁部15bは圧縮室S2とガス雰囲気とを隔てる部材となり、圧縮室S2内の空間は操作ロッド5のピストン部5aの前後動により容積が増減するようになっている。なお、前述したピストン部5aに設置された逆止弁11部は熱昇圧室S1からこの圧縮室S2へのガス流出を阻止し、その逆向きのガス流を可能とするものである。
【0011】
さらに、固定シリンダー15の隔壁部15bには貫通穴15c,15dが形成されている。このうち、貫通穴15cには吸入弁12bが設けられている。吸入弁12bは、閉極動作時における圧縮室S2の圧力低下を防止するための逆止弁であり、ガス雰囲気中から圧縮室S2へのガス流入を可能とし、逆に圧縮室S2からガス雰囲気中へのガス流出を防止するように構成されている。
【0012】
また、貫通穴15dの後面側には板状の放出弁12aが取り付けられており、放出弁12aにはこれを前方に押し付ける放出弁用バネ13が設置されている。放出弁12aは、開極動作時における圧縮室S2の過大な圧力上昇を防止するための弁であり、圧縮室S2の圧力上昇が放出弁用バネ13の強さで定められる値を越えたとき、圧縮室S2のガスをガス雰囲気中に放出するようになっている。
【0013】
次に、以上の図14の従来例における開極動作について説明する。ガス遮断器が開極動作を開始すると、下半分断面の矢印Dの方向に操作ロッド5が移動し、この操作ロッド5を含む可動部、すなわち可動熱昇圧シリンダー6、可動アーク接触子7、可動通電接触子8、ノズル9が、矢印Dの方向に操作ロッド5と一体的に移動する。可動熱昇圧シリンダー6の移動に伴って圧縮室S2の容積が縮小し、圧縮室S2内のガス圧力が上昇する。逆止弁11aは開極動作の初期、可動部の加速度により急速に開の状態となり、その後、圧縮室S2のガス圧力の上昇により逆止弁11aの開状態は保たれ、圧縮室S2から熱昇圧室S1へガスが流れる。それによって熱昇圧S1内のガス圧力が僅かに高められ、前記ノズル9と可動アーク接触子7の間の流路を通ってガス流が固定アーク接触子3の方向に流れる。
【0014】
一方、開極動作によって固定アーク接触子3と可動アーク接触子7が開離すると、両アーク接触子3,7間にアークが発生する。この時、遮断電流が1kA程度、あるいはそれ以下の小さい時、その影響による熱昇圧室S1の圧力上昇は低いので、上記に述べた圧縮室S2から熱昇圧室S1へガスが流れる状態が維持され、アークにガスが吹き付けられ、遮断に至ることとなる。
【0015】
これに対し、数10kAに達する大電流を遮断する場合には、アークからの高温ガスがノズル9及び可動アーク接触子7の間のガス流路を逆流して熱昇圧室S1に流入し、熱昇圧室S1内のガスを加熱してそのガス圧力を高める。その圧力上昇は上記の電流を遮断しない時及び小電流遮断する時に比べて格段に高くなる。電流零点でこの高い圧力によるガス流がノズル9から固定アーク接触子3に向かって噴出し、アークを冷却してそれを電流零点で消滅させる。このように両アーク接触子3,7間に大電流のアークが発生した後、しばらくの時間が経過し、熱昇圧室S1のガス圧力が高められた状態では逆止弁11aは閉となり、熱昇圧室S1から圧縮室空間S2へのガス流出は阻止される。従って、温度上昇したガスの流入による圧縮室S2の圧力上昇は防止される。
【0016】
しかしながら、圧縮室S2から熱昇圧室S1へのガス流出も無くなるので、圧縮室S1の圧力上昇は無負荷開極動作時や小電流遮断の開極動作時に比べて格段に高くなるように働く。そこで、圧縮室S2の圧力上昇が放出弁用バネ13の強さで定められる値を越えたとき、放出弁12aが開く。このため、圧縮室S2のガスを貫通穴15dから外部に放出し、圧縮室S2の圧力上昇を所定の低い値に保つことができる。さらに、開極動作の最終段階では、図14の上半断面から解るように、溝5eにより圧縮室S2はガス雰囲気中に連通しており、圧縮室S2の圧力上昇値の低下は確実となる。このようにして圧縮室S2における過大な圧力上昇を抑えることができ、小駆動力で開極動作を実施可能とする。これにより大電流遮断の性能と低駆動エネルギー化を達成することができる。
【0017】
なお、閉極動作を行う場合には、操作ロッド5を含む可動部が矢印D方向と反対方向に移動する。可動熱昇圧シリンダー6の移動に伴って圧縮室S2の容積が増大しそのガス圧力が低下すると、吸入弁12bが開き、ガス雰囲気中から圧縮室S2へガスを流入する。これにより、圧縮室S2が減圧することを防止でき、閉極動作の後直ちに遮断動作を行う場合の遮断性能を確保することができる。また、溝5fは圧縮室S2とガス雰囲気中を連通するため、閉極動作の終了段階での圧縮室S2へのガス流入を確実ならしめている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、以上述べた従来のガス遮断器においては、次のような問題点があった。すなわち、大電流遮断開極動作時に放出弁12aの動作により圧縮室S2からガスを放出することが、低駆動エネルギー化達成の決め手となっており、閉極動作時に吸入弁12bの動作により圧縮室S2にガスを吸入させることが、優れた遮断性能を発揮する決め手となっている。このため、固定シリンダー15の隔壁部15bには、放出弁12aと、吸入弁12bという2つの弁が不可欠である。このとき、各弁12a,12bが所望のガス流断面積を確保する必要上、貫通穴15c,15dはある程度大きくならざるを得ない。この結果、貫通穴15c,15dを形成する隔壁部15bは大径化を余儀なくされることになり、ガス遮断器の大形化および製造コストの高騰を招いていた。特に近年ではガス遮断器の小形化が強く要請されており、構成部材の大径化による機器の大形化は早急に解消すべき技術的課題となっている。
【0019】
本発明は、以上の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、熱昇圧室と圧縮室を有するガス遮断器において、ガス流断面積が十分に大きい放出弁と吸入弁を一体化することにより部材の大径化を回避して小形化・低コスト化を図ると共に、圧縮室におけるガスの放出及び吸入を確実に実施して低い駆動エネルギーで高い遮断性能を得ることができるガス遮断器を提供することにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、消弧性ガスが封入された容器内に、固定接触子部及び可動接触子部を対向して配置し、前記固定接触子部は少なくとも固定アーク接触子を有し、可動接触子部は、固定接触子部方向を前方、その反対方向を後方と定義した場合に、中空の操作ロッドと、前記操作ロッドの周囲に配置されてその前端部で操作ロッドに取り付けられる可動熱昇圧シリンダーと、前記可動熱昇圧シリンダーの前方に取り付けられる中空で指状の可動アーク接触子と、前記可動アーク接触子を包囲する絶縁性のノズルと、前記可動熱昇圧シリンダーを包囲しその内径部を可動熱昇圧シリンダーの外径部が摺動する固定シリンダーとを有し、かつ、前記可動熱昇圧シリンダー内に内部のガスをアークの熱により昇圧させる熱昇圧室を形成し、前記固定シリンダー内に開極動作時に可動熱昇圧シリンダーの移動により容積を縮小させて内部のガスを圧縮する圧縮室を形成し、前記熱昇圧室と前記圧縮室とを仕切る仕切り部を設置し、この仕切り部に前記圧縮室から前記熱昇圧室へのガス流のみ可能とする逆止弁を設け、電流遮断時に熱昇圧室の高圧ガスを固定アーク接触子と可動アーク接触子間に発生するアークに吹き付けて電流を遮断するように構成したガス遮断器において、次のような技術的な特徴を有している。
【0021】
請求項1の発明は、前記固定シリンダーの後方に、前記圧縮室と圧縮室の外部であるガス雰囲気とを隔てる隔壁部を設け、前記隔壁部はその内径部に前記操作ロッドの外径部が摺動するように構成し、前記圧縮室に面した前面部側に複数の小径穴を形成すると共に、後面部側に前記小径穴と連通する溝を形成し、前記溝に弁部を設置し、この弁部は、前記溝を後方から塞ぐ板状の放出弁と、前記放出弁を前方に押し付ける放出弁用バネと、前記放出弁に設けられ前記溝と連通する複数個の貫通穴と、この貫通穴を前方から塞ぐ板状の吸入弁と、前記吸入弁を後方に押し付ける吸入弁用バネとからなる、前記放出弁と前記吸入弁を一体化した構成であり、開極動作時に前記圧縮室内のガス圧力値が前記放出弁用バネの力で定められる値を越えたとき、前記放出弁が開いて前記圧縮室内のガスが前記小径穴及び前記溝を通ってガス雰囲気へ放出し、閉極動作時に前記圧縮室内のガス圧力がガス雰囲気中のガス圧力より低下し、その圧力差により前記吸入弁に働く力が前記吸入弁用バネの力よりも大きくなったとき、前記吸入弁が開いてガス雰囲気中のガスが前記貫通穴、前記溝及び前記小径穴を通って前記圧縮室内に吸入するように構成したことを特徴とする。
【0022】
以上のような請求項1の発明では、熱昇圧室と、それに逆止弁を介して連通する圧縮室とを有するガス遮断器において、開極動作時における圧縮室の過大な圧力上昇を防止する放出弁と、閉極動作時における圧縮室の圧力低下を防止する吸入弁とを一体化した弁部とし、これを圧縮室とガス雰囲気とを隔てる隔壁部に設置している。このため、隔壁部を小径化しても放出弁及び吸入弁は十分に大きいガス流断面積を確保することができる。従って、ガス遮断器の小形化・低コスト化を実現しつつ、圧縮室はガス放出作用とガス吸入作用を確実に実施可能である。これにより、開極時に圧縮室のガス圧力が過度に上昇することを防止して駆動エネルギーの低減を達成すると同時に、閉極時に圧縮室のガス圧力がガス雰囲気よりも低くなることを防いで優れた遮断性能を発揮することができる。
【0023】
請求項2の発明は、請求項1に記載のガス遮断器において、前記仕切り部に貫通部を設け、この貫通部に挿通可能な小径ピストンを配置し、前記小径ピストンは、開極動作時に可動熱昇圧シリンダーとの相対位置関係において熱昇圧室内に突出して熱昇圧室内のガスを圧縮する構成とし、前記操作ロッドには操作ロッド中空部内のガスをガス雰囲気へ排気する排気口を形成し、前記排気口は、開極動作の前半では前記小径ピストンの前方で熱昇圧室内に位置して可動アーク接触子及び操作ロッドの中空部と熱昇圧室とを連通し、開極動作の後半では前記小径ピストンの後方に位置して可動アーク接触子及び操作ロッドの中空部がガス雰囲気に連通するように配置したことを特徴とする。
以上の請求項2の発明では、開極動作の前半では操作ロッドの排気口を介して可動アーク接触子及び操作ロッドの中空部と熱昇圧室とが連通しているため熱昇圧室内にアークによる高温ガスを効率良く取り入れることができる。しかも、開極動作時には熱昇圧室を小径ピストンで圧縮している、請求項1の持つ作用効果に加えて、幅広いアーク時間にわたり熱昇圧室にて高い圧力上昇を得ることが可能となる。また、開極動作の後半では操作ロッドの排気口を介して可動アーク接触子及び操作ロッドの中空部がガス雰囲気に連通しているため、アークによる高温ガスをガス雰囲気に迅速に排気することができる。なお、小径ピストンは受圧面積が小さいため、受ける反対力も小さく、駆動エネルギーの増大を引き起こす心配はない。
【0024】
請求項3の発明は、請求項1または2に記載のガス遮断器において、前記熱昇圧室は前方から後方に向かって拡がる傾斜部を備えたことを特徴とする。
以上の請求項3の発明では、傾斜部を設けたことで、大電流遮断時に発生した高温ガスが熱昇圧室にスムーズに流入するため、高温ガス流が偏在することなく、熱昇圧室内にあらかじめ存在した低温ガスと効率良く混合する。従って、高圧のガスをアークに吹き付けて消弧するとき、常に高圧のガス流を噴出することができ、遮断性能を発揮することができる。
【0025】
請求項4の発明は、請求項2または3に記載のガス遮断器において、前記仕切り部は前記圧縮室側に突起する突起部を有し、この突起部に前記小径ピストンが挿通する貫通部を形成し、閉極状態では前記小径ピストンの前端部が前記突起部に位置するように構成したことを特徴とする。
以上の請求項4の発明では、熱昇圧室と圧縮室とを仕切る仕切り部に圧縮室側に突起する突起部を形成し、閉極時において小径ピストンの前端部が突起部に位置させることで、熱昇圧室の前後方向の長さ寸法を実質的に短くすることができる。熱昇圧室の前後方向の長さ寸法が短ければ、大電流遮断時に発生した高温ガスが熱昇圧室にスムーズに流入するため、熱昇圧室内の低温ガスと効率良く混合する。従って、前記請求項3の発明と同様、高圧のガスをアークに吹き付けて消弧するとき、常に高圧のガス流を噴出することができ、遮断性能を発揮することができる。
【0026】
請求項5の発明は、請求項2〜4のいずれか一項に記載のガス遮断器において、閉極状態での前記操作ロッドの排気口は前記小径ピストン前端部にて塞がれるように配置したことを特徴とする。
以上のような請求項5の発明では、閉極状態において操作ロッドの排気口は小径ピストン前端部にて塞がれるため、操作ロッドの中空部と熱昇圧室とは連通しておらず、アークによる高温ガスが操作ロッドの中空部から熱昇圧室内に流入することなく、前記高温ガスを操作ロッドの中空部内に速やかに引き込むことができる。したがって、可動アーク接触子付近からアークによる高温ガスを素早く逃がすことができ、可動アーク接触子の消耗を抑えることができる。
【0027】
請求項6の発明は、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス遮断器において、閉極状態での前記操作ロッドの排気口は前記操作ロッドの中空部がガス雰囲気に連通するように配置したことを特徴とする。
以上の請求項6の発明では、閉極状態において操作ロッドの排気口を介して操作ロッドの中空部とガス雰囲気とが連通しているため、アークによる高温ガスを操作ロッドの中空部から速やかに排出することができる。したがって、上記請求項5の発明と同様に、可動アーク接触子付近からアークによる高温ガスを素早く逃がすことができ、可動アーク接触子の消耗を抑止できる。
【0028】
請求項7の発明は、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス遮断器において、前記隔壁部の後面部側に形成した溝に代えて、前記小径穴に連通する大径穴を複数設けたことを特徴とする。
このような請求項7の発明では、放出弁が塞ぐ部分は1つの溝形状ではなく、複数の大径穴なので、凹部が連続している溝に比べて受圧面積を小さくすることができる。したがって、放出弁を押えるためのバネの力を低減することができ、弁部の構成をいっそう簡略化することができる。
【0029】
請求項8の発明では、請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス遮断器において、前記可動熱昇圧シリンダーの後端部に後方に伸びる伸長部を設け、この伸長部の内径部に前記隔壁部の外径部が摺動させて前記圧縮室を構成したことを特徴とする。
このような請求項8の発明では、可動熱昇圧シリンダーに設けた伸長部の内径部に隔壁部の外径部に摺動させることで圧縮室を構成しているため、熱昇圧室と圧縮室との内径寸法は同じになる。したがって、熱昇圧室の外側にシリンダーを配置して圧縮室を形成した場合に比べて、機器の機器の小径化を進めることができる。外側に構成の簡略化を進めることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明によるガス遮断器の複数の実施の形態について、図1〜図13により具体的に説明する。なお、以下の説明においても、請求項1に記載した可動接触子部の方向に関する定義に従い、図中左側方向を前方、右側を後方とする。また、図14に示した従来例と同一の部材に関しては同一の符号を付して説明は省略する。
【0031】
(1)第1の実施の形態
[1−1:構成]
本発明によるガス遮断器の第1の実施の形態は請求項1に記載の発明を適用したガス遮断器であり、図1〜図4は第1の実施の形態の断面図である。図1の下半分は閉極状態を、図1の上半分は開極状態を、図2は大電流遮断開極動作の初期状態を、図3は大電流遮断開極動作の後期状態を、図4は開極動作時の状態をそれぞれ示している。
【0032】
図1に示すように、第1の実施の形態において、固定シリンダー15はその内径部に可動熱昇圧シリンダー6が摺動自在に配置され、支持部材14にボルト17などで連結されることを介して基底支持部材18に固定されている。支持部材14には前方に小径の外径部14aが設けられ、後方に支持部材14内部とガス雰囲気とを連通させる開口部14bが形成されている。なお、符号5cは操作ロッド5の排気口5bに隣接する内壁部である。
【0033】
本実施の形態の構成上のポイントは、固定シリンダー15の隔壁部15bに放出弁と吸入弁を兼ねた弁部12が形成されていることにある。ここで弁部12の構成について詳しく説明する。隔壁部15bはその内径部に操作ロッド5の外径部が摺動されており、圧縮室S2に面した前面部側に複数の小径穴15b2が形成されると共に、後面部側に小径穴15b2と連通する溝15b1が形成されている。この溝15b1に弁部12が設置されている。弁部12には溝15b1を後方から塞ぐ中空円盤状の放出弁12aが設けられている。放出弁12aはその内径部が支持部材14の外径部14aを摺動可能に配置されている。
【0034】
また、放出弁12aの後方には放出弁12a前方に押し付ける放出弁用バネ13が取り付けられており、この放出弁用バネ13は支持部材14の外径部14aにつづく段部にて支持されている。さらに、放出弁12aのセンターピッチ円付近には前記溝15b1と連通する貫通穴12a1が複数個形成されており、これを閉じるようにして中空円盤状の吸入弁12bが配置されている。吸入弁12bは固定ネジ12dと吸入弁用バネ12cにより後方に押し付けられるように構成されている。吸入弁用バネ12cと固定ネジ12dは3〜4組で十分であり、図に示すように溝15b1の内部に収納されている。
【0035】
ところで、開極動作時において圧縮室S2内のガス圧力値が放出弁用バネ13の力で定められる値を越えたとき、放出弁12Aが開いて圧縮室S2内のガスが小径穴15b2及び溝15b1を通ってガス雰囲気へ放出するようになっている。一方、閉極動作時において圧縮室S2内のガス圧力がガス雰囲気中のガス圧力より低下し、その圧力差により吸入弁12bに働く力が吸入弁用バネ12cの力よりも大きくなったとき、吸入弁12bが開いてガス雰囲気中のガスが貫通穴12a1、溝15b1及び小径穴15b2を通って圧縮室S2内に吸入するようになっている。
【0036】
[1−2:作用]
以上の構成を有する第1の実施の形態の作用について、図1〜図4を用いて説明する。先ず、図1の下半分の図に示す閉極状態において、電流は固定接触子部1の固定通電接触子4から可動通電接触子部2の可動通電接触子8に流れ、更に、集電コンタクト15aを介して固定シリンダー15に流れている。このような閉極状態で、図示していない駆動装置からの駆動力が矢印Dの方向に働き、操作ロッド5が矢印方向に移動すると、可動部、すなわち、操作ロッド5とそれに連結された可動熱昇圧シリンダー6、可動アーク接触子7、可動通電接触子8及びノズル9が矢印Dの方向に一体的に移動し、圧縮室S2の容積が減少する。
【0037】
従って、圧縮室S2内のガス圧力が上昇し、開極動作の初期では逆止弁部11が可動部の加速度により開口状態となっているので、逆止弁部11を通じて圧縮室S2からのガスが熱昇圧室S1に流入する。また、上記の開極動作により、最初に固定通電接触子4と可動通電接触子8が開離し、遅れて固定アーク接触子3と可動アーク接触子7が開離する。その結果、図2に示すように、固定アーク接触子3と可動アーク接触子7との間にアーク20が発生する。
【0038】
送電系統の短絡電流のような大電流を遮断するとき、図2に示す開極後の初期の状態では、ノズル9の内部でアーク20が大きく広がり、図に示すような3方向のガス流21a,21b,21cが発生する。このうちガス流21a、21bは、ノズル9の外部に噴出するが、ガス流21cは可動熱昇圧シリンダー6内の熱昇圧室S1に流入する。容積が不変である熱昇圧室S1は、このような高温ガス流21cの混合によって加熱され、高い圧力上昇となる。そのため、熱昇圧室S1と圧縮室S2の間にある逆止弁11aは後方に移動し逆止弁部11は閉止状態となる。従って、熱昇圧室S1のガスは圧縮室S2に流出しない。
【0039】
しかしながら、圧縮室S2のガスも熱昇圧室S1に流出せず、圧縮室S2の圧力上昇も高い値になろうとする。その圧力上昇により放出弁12aに作用する力が放出弁用バネ13の力を上回ると、図2に示すように放出弁12aが支持部材14の外径部14a面を摺動して支持部材14に当たって止められるまで後方に移動し、溝15b1が開口する。これにより、圧縮室S2内のガスがガス流22aとなって放出される。従って、圧縮室S2内の過大な圧力上昇が防止され、ピストン部5aへの反力(駆動力と逆向きの力)は低く抑えられる。
【0040】
その後、開極動作が進み、ノズル9のスロート部が十分に開口し、電流値も小さくなると、ノズル9のスロート付近に充満していた高温ガスが消失し、図3に示すように、熱昇圧S1から出てノズル9と可動アーク接触子7間のガス流路を流れるガス流21bもノズル9の出口向きに流れる。このガス流21bは熱昇圧S1から出ると2つのガス流21a,21cになる。このうち、ガス流21aはノズル9の外部に噴出する。一方、ガス流21cは可動アーク接触子7の中空部と操作ロッド5の中空部を経て操作ロッド5の排気口5bを抜け、支持部材14の開口部14bを通ってガス雰囲気中に排出される。これら二つのガス流21a,21cにより、アーク20は電流ゼロ点で消滅せられ、電流が遮断される。
【0041】
前記弁部12において、放出弁12aは高い圧力上昇が発生し得る時間だけ開口状態を保ち、反力を低い状態に保つので、電流が遮断されるまでのスムーズな開極動作を維持させる。そのあとの開極動作の終了時には、前述した図1の上半分の断面に示す状態となり、ピストン部5aと固定シリンダー15の隔壁部15bが衝突しない安全な距離L20を保って停止する。この状態で短い時間が経過すれば、圧縮室S2の圧力上昇は低くなり、放出弁12aに働く力が放出弁用バネ13の力より十分に小さくなり、放出弁12aが溝15b1を閉じる初期状態に復帰する。
【0042】
一方、ガス遮断器を閉極するときの状態を図4に示す。操作ロッド5に閉極の駆動力が働き操作ロッド5が矢印Dの向きに移動しているとする。このとき圧縮室S2の容積が増加するので、そのガス圧力が低下する。そのため吸入弁12bに働く力が吸入弁用バネ12cによる力よりも大きくなって吸入弁12bが前方に移動し、放出弁12aの貫通穴12a1を開口する。従って、ガス雰囲気中からガス流23が圧縮室S2に流入する。それにより圧縮室S2内のガス密度が高められ、閉極動作の後直ちに遮断動作を行う場合の遮断性能が確保される。なお、閉極動作のとき、操作ロッド5のピストン部5aに設置された逆止弁11aは閉極加速度と圧縮室S2内の減圧により閉止状態となる。
【0043】
[1−3:効果]
以上述べたように第1の実施の形態では、大電流遮断時には熱昇圧室S1の高い圧力上昇が確保され、かつ圧縮室S2は放出弁12aの確実な動作により低い圧力上昇に保たれる。従って、開極時において圧縮室S2のガス圧力が過度に上昇することを防止でき、駆動エネルギーの低減を達成する。また、吸入弁12bの動作により閉極動作の際の圧縮室S2へのガス吸入も確実である。従って、圧縮室S2が減圧することがなく、閉極動作の後直ちに遮断動作を行う場合の遮断性能を確保することができる。
【0044】
更に第1の実施の形態における効果としては、弁部12にて放出弁12aと吸入弁12bを一体化しているため、簡単な構成にて過圧防止のガス放出機能と減圧防止のガス吸入機能を果たすことができる。これにより、隔壁部15bを大径化させることなく、製造コストを抑えることができる。しかも、放出弁12a及び吸入弁12bは十分に大きいガス流断面積を確保することができ、圧縮室S2はガス放出作用とガス吸入作用を確実に実施可能である。このような第1の実施の形態によれば、小形・低コストであり、遮断性能に優れ、且つ低駆動エネルギーのガス遮断器を提供することができる。
【0045】
(2)第2の実施の形態
[2−1:構成]
第2の実施の形態は請求項2に記載した発明を適用したものである。ここで図5は遮断器の閉極時の閉極状態を、図6は大電流遮断開極動作の初期状態を、図7は大電流遮断開極動作の後期状態をそれぞれ示す断面図である。第2の実施形態において、固定接触子部1の構成及び可動接触子部2における可動アーク接触子7、可動通電接触子8、ノズル9、逆止弁部11の構成は図1に示す第1の実施の形態と同じである。
【0046】
第2の実施の形態では固定の小径ピストン10が設けられている。第2の実施の形態における固定シリンダー15には隔壁部15bがなく、これに代えて小径ピストン10に隔壁部10bが一体的に形成されている。この隔壁部10bに前記第1の実施の形態と同じ構成でガス放出機能およびガス吸入機能を有する弁部12が設置されている。但し、圧縮室S2側から加工される複数個の小径穴は10b2、これと反対側であるガス雰囲気側から小径穴15b2に連通する溝10b1となる。小径ピストン10は可動熱昇圧シリンダー6後端面6bの内径部に挿通自在に配置されており、開極動作時に可動熱昇圧シリンダー6との相対位置関係において熱昇圧室S1内に前端部10aが突出して熱昇圧室S1内のガスを圧縮するように構成されている。このような小径ピストン10を備えた点が第2の実施の形態における第1の特徴である。
【0047】
また、第2の実施の形態における第2の特徴は、操作ロッド5の排気口5bの配置構成にある。すなわち、排気口5bは閉極時及び開極動作の前半は、小径ピストン10の前端部10aの前方で、かつ熱昇圧室S1内にあり、可動アーク接触子7及び操作ロッド5の中空部と熱昇圧室S1とを連通させている(図5、図6参照)。また、開極動作の後半では、排気口5bは小径ピストン10の後方に開口して可動アーク接触子7及び操作ロッド5の中空部とガス雰囲気とを連通させている(図7参照)。
【0048】
さらに、第2の実施の形態では、操作ロッド5のピストン部5aは可動熱昇圧シリンダー6の前端面6aと接するようになっている。このため、熱昇圧室S1と圧縮室S2とを仕切る仕切り部は可動熱昇圧シリンダー6の後端面6bのみから構成され、後端面6bに形成される取付穴6cに逆止弁部11が配置されている。なお、圧縮室S2は可動熱昇圧シリンダー6の後端面6b、小径ピストン10の外径部、隔壁部10bの前面、固定シリンダー15の内径部から構成される。
【0049】
[2−2:作用]
以上の構成を有する第2の実施の形態の作用について図5〜図7を用いて説明する。図5に示す閉極状態では、第1の実施の形態における図1の下半分の図と同様、電流は固定接触子部1の固定通電接触子4から可動通電接触子部2の可動通電接触子8に流れ、更に、集電コンタクト15aを介して固定シリンダー15に流れている。その状態で、駆動装置からの開極駆動力が働き、操作ロッド5を含む可動部が矢印Dの方向に移動すると、圧縮室S2の容積が減少する。従って、圧縮室S2内のガス圧力が上昇し、開極動作の初期では逆止弁部11が可動部の加速度により開口状態となっているので、逆止弁部11を通じて圧縮室S2からのガスが熱昇圧室S1に流入する。第2の本実施の形態では、それと同時に図6に示すように、小径ピストン10の前端部10aが熱昇圧室S1内に突出して、熱昇圧室S1内の容積を縮小し、熱昇圧室S1内のガスを圧縮する。
【0050】
また、このような開極動作により、固定通電接触子4と可動通電接触子8の開離にやや遅れて、固定アーク接触子3と可動アーク接触子7が開離し、図6に示すように、固定アーク接触子3と可動アーク接触子7の間にアーク20が発生する。大電流を遮断するとき、開極後の初期の状態で、ノズル9の内部でアーク20が大きく広がり、図6に示すように3方向のガス流21a,21b,21cが発生する。このうちガス流21a、ノズル9の外部に噴出するが、ガス流21b、21cは可動熱昇圧シリンダー6内の熱昇圧室S1に流入する。熱昇圧室S1は、このような高温ガス流21cの混合により加熱されると同時に、前記の小径ピストン10による熱昇圧室S1内のガス圧縮作用により、ガス圧力がより効果的に高められることになり、長いアーク時間の電流ゼロ点においても高い圧力上昇が得られる。
【0051】
第2の実施の形態においても上記第1の実施の形態と同様、熱昇圧室S1の圧力上昇が高くなった状態では、熱昇圧室S1と圧縮室S2の間にある逆止弁11aは後方に移動し逆止弁部11は閉止状態となる。従って、熱昇圧室S1のガスは圧縮室S2に流出しない。しかしながら、圧縮室S2のガスも熱昇圧室S1に流出せず、圧縮室S2の圧力上昇も高い値になろうとする。その圧力上昇により放出弁12a作用する力がバネ13の力を上回り、図6に示すように放出弁12aが後方に移動して溝10b1が開口状態となり、圧縮室S2内のガスがガス流22aとなって放出される。従って、圧縮室S2内の過大な圧力上昇が防止され、ピストン部5aへの反力(駆動力と逆向きの力)は低く抑えられる。また、小径ピストン10の前端部10aの受圧面積は小さく、受ける反力は小さいので、駆動エネルギーの増大を引き起こすおそれがない。
【0052】
その後、開極が進み、ノズル9のスロート部が十分に開口し、電流値も小さくなると、ノズル9のスロート付近に充満していた高温ガスが消失し、図7に示すように、圧縮室S1から出てノズル9と可動アーク接触子7間のガス流路を流れるガス流21bもノズルの出口向きに流れる。このガス流21bはノズル9の外部に噴出するガス流21aと、可動アーク接触子7及び操作ロッド5の中空部、さらに操作ロッド5の排気口5bを経て支持部材14の開口部14baを通り、ガス雰囲気中に排出されるガス流21cとなる。これら二つのガス流21a,21cにより、アーク20は電流ゼロ点で消滅せられ、電流が遮断される。
【0053】
前記弁部12において、放出弁12aは圧力上昇が高くなり得る時間だけ開口状態を保ち、開極動作の終了まで反力を低い状態に保つので、スムーズな開極動作を維持させる。そのあとの開極動作が終了して短い時間が経過すれば、圧縮室S2の圧力上昇は低くなり、放出弁12aに働く力が放出弁用バネ13の力よりも十分に小さくなって、放出弁12aが溝10b1を閉じる初期状態に復帰する。
【0054】
なお、ガス遮断器を閉極するときの状態は図4に示した第1の実施形態と同じである。すなわち、第2の実施の形態においても、圧縮室S2の容積が増加により、そのガス圧力が低下して、吸入弁12bに働く力が吸入弁用バネ12cによる力より大きくなると、逆止弁12bが前方に移動し、放出弁12a部の貫通穴12a1を開口する。従って、ガス雰囲気中からガスが圧縮室S2に流入する。それにより圧縮室S2内のガス密度が高められ、閉極動作の後直ちに遮断動作を行う場合の遮断性能が確保される。また、第2の実施の形態においても、閉極の加速度とS2内の減圧により逆止弁部11は閉止状態となる。
【0055】
[2−3:効果]
第2の実施の形態においても、放出弁12aと吸入弁12bを一体化した簡単な構成の弁部12により、大形化とコストの増大を抑えつつ、圧縮室S2における過圧防止のガス放出機能と減圧防止のガス吸入機能を確実に実現できる。また、第2の実施の形態では小径ピストン10の圧縮作用により、大電流遮断時、第1の実施の形態に比べて熱昇圧室S1に高い圧力上昇を得ることができる。特に長いアーク時間の電流ゼロ点において高い圧力上昇が得られるので、広い時間幅で優れた遮断性能を獲得できる。しかも、第2の実施の形態においては、開極動作の後半で操作ロッド5の排気口5bを介して可動アーク接触子7及び操作ロッド5の中空部がガス雰囲気に連通しているため、アークによる高温ガスをガス雰囲気に迅速に排気することができるといった利点がある。
【0056】
(3)第3の実施の形態
[3−1:構成]
図8は、本発明によるガス遮断器の第3の実施の形態として、請求項3記載の発明を適用したガス遮断器を示す図であり、閉極状態を示している。本実施の形態に係る可動熱昇圧シリンダー6には、操作ロッド5のピストン部5aに取り付けられる部分の径が小さく、後方に進むにつれ径が大きくなる傾斜部6dが設けられている。なお、図8において、可動熱昇圧シリンダー6以外の部材は図5〜図7に示した第2の実施形態と同じである。
【0057】
[3−2:作用]
第3の実施の形態における弁部12の作用は図5〜図7に示す本発明第2の実施の形態の場合と同じであり、大電流遮断開極時において、圧縮室S2からガスを放出し、閉極動作時においては圧縮室S2へガスを吸入させる。また、小径ピストン10により、幅広いアーク時間にわたって高い圧力上昇が得られる長所は第2の実施の形態と同じである。
【0058】
これに加えて、第3の実施の形態では、可動熱昇圧シリンダー6は傾斜部6dを有しているため、前記第2の実施の形態における図6での大電流開極動作の初期において熱昇圧室S1に流入する高温ガス流(図8では点線矢印21b、21cにて想像する)が熱昇圧室S1内で偏在せず、熱昇圧室S1中によく混合される。従って、その後、熱昇圧室S1内のガスがノズル9から流出してアーク20を消滅させるとき、偏在した高温ガスが噴出すことがなく、常に高圧のガス流を噴出することができ、遮断性能の向上に貢献する。
【0059】
[3−3:効果]
第3の実施の形態においても、放出弁12aと吸入弁12bとを一体化した弁部12を備えたことにより、小形化の実現とコストの低減を達成すると同時に、圧縮室S2における過圧と減圧を確実に防止することができ、遮断性能が優れ、且つ低駆動エネルギーのガス遮断器を提供できる。また、第3の実施の形態では、小径ピストン10の圧縮作用により、大電流遮断時、熱昇圧室S2に高い圧力上昇が得られ、特に長いアーク時間において高い遮断性能が得られる。さらに第3の実施の形態においては、これらの効果に加えて、可動熱昇圧シリンダー6に傾斜部6dを設けたことで、熱昇圧室S1への高温ガスの良好な混合が可能となり、遮断性能がいっそう向上する。
【0060】
(4)第4の実施の形態
[4−1:構成]
図9は、本発明によるガス遮断器の第4の実施の形態として、請求項4に記載の発明を適用したガス遮断器を示す図であり、閉極状態を示す断面図である。本実施の形態では、第2及び第3実施の形態において、可動熱昇圧シリンダー6の後端面6bの内径部において後方への突起部6eが形成され、閉極状態では小径ピストン10の前端部10aが突起部6eに位置するように構成されている。
【0061】
小径ピストン10の後方には放出弁12aを支持するのための支持部10cが設けられている。また、小径ピストン10は最後部の支持部材18に直接取り付けられ、固定されている。さらに、第4の実施の形態では、固定シリンダー15と共に圧縮室S2を形成するための小径ピストン10の隔壁部10bは、分離した一つの部材として構成されており、小径ピストン10の径を拡大した部分に取り付けられている。ガス放出及びガス吸入機能を有する弁部12はこの隔壁部10bに構成される。なお、本実施の形態における他の構成要素は第2の実施の形態,及び第3の実施の形態と同じである。
【0062】
[4−2:作用]
図9に示す第4の実施の形態における弁部12の作用は図5〜図8に示した第2及び第3の実施の形態の場合と同じであり、大電流遮断開極時において、圧縮室S2からガスを放出し、閉極動作時においては、圧縮室S2へガスを吸入させる。また、小径ピストン10により幅広いアーク時間にわたって高い圧力上昇が得られる長所も第2及び第3の実施の形態と同じである。
【0063】
また、第4の実施の形態では、熱昇圧室S1と圧縮室S2との仕切り部である可動熱昇圧シリンダー6の後端面6bに後方への突起部6eを形成し、閉極時には小径ピストン10の前端部10aを突起部6eに位置させることにより、熱昇圧室S1の実質的な内部長さLs1を、操作ロッド5のピストン部5aと小径ピストン10の前端部10aとの距離Lpcよりも短くすることができる。一般に、熱昇圧室S1の長さが大きいと流入したアークによる高温ガスと熱昇圧室S1内にあらかじめ存在した低温ガスとの混ざり方が悪くなり、高い遮断性能が得られない。
【0064】
これに対して第4の実施の形態では熱昇圧室S1の実質的な長さLs1を小さくしているため、大電流遮断時に発生した高温ガスが熱昇圧室S1にスムーズに流入し、熱昇圧室S1内の低温ガスと効率良く混合する。従って、前記第3の実施の形態と同じく、高圧のガスをアークに吹き付けて消弧するとき、常に高圧のガス流を噴出することができ、遮断性能を発揮することができる。
【0065】
[4−3:効果]
第4の実施の形態においても、単純な構成で放出弁12aと吸入弁12bとを一体化でき、小形化・低コスト化を図りつつ、圧縮室の過圧を防止するガス放出機能と圧縮室の減圧を防止するガス吸入機能を確実に実施できる。また、第4の実施の形態において、小径ピストン10の圧縮作用により、大電流遮断時に熱昇圧室S1に高い圧力上昇を得て遮断性能を高めることができる。さらには、熱昇圧室S1への高温ガスの良好な混合によりいっそう遮断性能が向上する。
【0066】
(5)第5の実施の形態
[5−1:構成]
図10は、本発明によるガス遮断器の第5の実施の形態として、請求項5及び6に記載の発明を適用したガス遮断器を示す図であり、閉極状態を示す断面図である。第5の実施の形態では、第2から第4までの実施の形態において、閉極状態での操作ロッド5の排気口5bの位置が小径ピストン10の前端部10aの厚さ(前後方向の長さ寸法)の中にあるように構成されていて、排気口5bが前端部10aにて塞がれるように配置されている。これにより、閉極状態では操作ロッド5の中空部と熱昇圧室S1とは連通していないことになる。また、第5の実施の形態は、図示していないが、閉極状態での操作ロッド5の排気口5bの位置が小径ピストン10の前端部10aの厚さの後方にあり、操作ロッド6の中空部がガス雰囲気に連通している構成も含む。
【0067】
[5−2:作用]
図10に示す第5の実施の形態における弁部12の作用は図5〜図9に示す第2の実施の形態から第5の実施の形態と同じであり、大電流遮断開極時において、圧縮室S2からガスを放出し、閉極動作時には圧縮室S2へガスを吸入させる。また、小径ピストン10により、幅広いアーク時間にわたって高い圧力上昇が得られる長所は第2の実施の形態と同じである。
【0068】
第5の実施の形態では、閉極状態において操作ロッド5の排気口5bは小径ピストン10前端部10aにて塞がれているため、操作ロッド5の中空部と熱昇圧室S1とは連通しておらず、アークによる高温ガスが操作ロッド5の中空部から熱昇圧室S1内に流入することがない。従って、前記高温ガスを操作ロッド5の中空部内に速やかに引き込むことができる。例えば、50%以下の短絡電流遮断では可動接触子部2側においてアークが早く可動アーク接触子7の中空部に引き込まれることになる。つまり、前記第2から第4の実施の形態に比べ、可動アーク接触子7及び操作ロッド5の中空部の高温ガスを早く排気することができる。これにより、可動アーク接触子7の消耗を抑止することが可能となる。
【0069】
[5−3:効果]
第5の実施の形態においても、弁部12にて放出弁12aと吸入弁12bとを一体化でき、簡単な構成にて、圧縮室S2の過圧並びに減圧を防止するためのガス放出機能及び吸入機能を実現できる。また、第5の実施の形態においては、中程度の遮断電流でアークを早く可動アーク接触子7の中空部に引き込むことができ、アークによる可動アーク接触子7の消耗を少なくできる。従って、第5の実施の形態によれば、製造コストが低く、小形で遮断性能が優れ、しかも接触子消耗量の少ない低駆動エネルギーでのガス遮断器を提供できる。
【0070】
(6)第6の実施の形態
[6−1:構成]
第6の実施の形態は請求項7に記載の発明を適用したガス遮断器である。図11において下半分は遮断器の閉極時の状態を示し、上半分は開極時の状態を示す。また、図12の(A)は図11におけるX−X´矢視図、(B)は放出弁12aの平面図である。第6の実施の形態の特徴は、固定シリンダー15の隔壁部15bに形成した溝15b1に代えて、小径穴15b2に連通する大径穴15b3を複数設けた点にある。また、第6の実施の形態では図示してないが、必要に応じて放出弁12aが回転しないような構成が設けられる。なお、ノズルなど上記した以外の部材は第1から第5までの実施の形態の中で対応する部材と同じ構成である。
【0071】
[6−2:作用]
第6の実施の形態における弁部12の作用は図1から図10に示す第1の実施の形態から第6の実施の形態と同じであり、大電流遮断開極時において、圧縮室S2からガスを放出し、閉極動作時には圧縮室S2へガスを吸入させる。更に第6の実施の形態では大径穴10b3の合計面積を第1から第5の実施の形態における溝15b1の面積より小さくできる。このため、放出弁用バネ13の力を弱くすることができる。
【0072】
[6−3:効果]
第6の実施の形態では、放出弁12aが塞ぐ部分は凹部が連続した溝形状ではなく、複数の大径穴15b3なので受圧面積を小さくすることができ、放出弁12aを押えるためのバネ13の力を低減することができる。従って、放出弁用バネ13の小形化することが可能であり、弁部12の構成をいっそう簡略化することができる。なお、第6の実施の形態においても、放出弁12aと吸入弁12bを一体化した弁部12により、大電流遮断開極動作時の圧縮室の過圧防止のためのガス放出と、閉極動作時の圧縮室の減圧防止のためのガス吸入を確実に実現できる点は上述した実施の形態と同様である。
【0073】
(7)第7の実施の形態
[7−1:構成]
図13は、本発明によるガス遮断器の第7の実施の形態として、請求項8に記載の発明を適用したガス遮断器を示す図であり、下半分は遮断器の閉極時の状態を示し、上半分は開極時の状態を示す。この第7の実施の形態では、可動熱昇圧シリンダー6において後端面6bの後方に前方と同一外径で中空に引き伸ばされる伸長部6fが設けられている。また、伸長部6fの後方には伸長部6fの内径部とほぼ気密に摺動する固定の隔壁部16が設けられる。この隔壁部16がピストンとなって、前記圧縮シリンダー部6cと共に圧縮室S2が構成される。また、隔壁部16には互いに連通する小径穴16a及び溝16bが形成され、溝16bに弁部12が設置されている。
【0074】
さらに、可動熱昇圧シリンダー6を包囲し、かつそれに近接して集電シリンダー17が設けられる。集電シリンダー17の先端部には集電コンタクト17aが設けられ、可動熱昇圧シリンダー6の外径部と集電シリンダー17の内径部とが接触して両者を通電可能にしている。なお、ノズル9など上記した以外の部材は第1から第6までの実施の形態の中で対応する形態と同じ構成である。
【0075】
[7−2:作用]
以上のような第7の実施の形態では、可動熱昇圧シリンダー6に伸長部6fを設け、この伸長部6f内径部に隔壁部16の外径部に摺動させることで圧縮室S2を構成しているため、圧縮室S2の内径寸法を熱昇圧室S1の内径寸法と同じにすることができ、熱昇圧室S1の外側にシリンダーを配置して圧縮室S2を形成した場合に比べて、機器の小径化を進めることができる。なお、弁部12の作用は、図1から図12に示す本発明第1から第6の実施の形態と同じであり、大電流遮断開極時において、圧縮室S2からガスを放出し、閉極動作時には圧縮室S2へガスを吸入している。
【0076】
[7−3:効果]
第7の実施の形態においても、放出弁12aと吸入弁12bを一体化した弁部12を有することで、大電流遮断開極動作時には圧縮室S2からガスの放出を行い、閉極動作時には圧縮室S2へガスの吸入を実施することができる。しかも、第7の実施の形態によれば、圧縮室S2と熱昇圧室S1との内径寸法が同じであるため、機器の小径化を進めることができ、ガス遮断器の小形化に貢献することが可能となる。
【0077】
(8)他の実施の形態
なお、本発明は、各実施の形態に限定されるものでなく、多種多様な形態を実施可能である。例えば、各実施の形態の複数の形態を適宜組み合わせることも可能である。また、熱昇圧室と圧縮室の大きさの比を任意に設定することも可能である。更に、各部に設ける排気口、溝などの数や形状、寸法などは自由に設定可能である。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のガス遮断器によれば、熱昇圧室と圧縮室を有するガス遮断器において、ガス流断面積が十分に大きい放出弁と吸入弁を一体化することにより部材の大径化を回避して小形化・低コスト化を図ると共に、圧縮室におけるガスの放出及び吸入を確実に実施して低い駆動エネルギーで高い遮断性能を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のガス遮断器を示す断面図であり、下半分は閉極状態、上半分は開極状態を示す。
【図2】第1の実施の形態の大電流遮断開極動作初期の状態を示す断面図。
【図3】第1の実施の形態の大電流遮断開極動作後期の状態を示す断面図。
【図4】第1の実施の形態の閉極動作時の状態を示す断面図。
【図5】本発明に係る第2の実施の形態の閉極状態を示す断面図。
【図6】第2の実施の形態の大電流遮断開極動作初期の状態を示す断面図。
【図7】第2の実施の形態の大電流遮断開極動作後期の状態を示す断面図。
【図8】本発明に係る第3の実施の形態の閉極状態を示す断面図。
【図9】本発明に係る第4の実施の形態の閉極状態を示す断面図。
【図10】本発明による第5の実施の形態の閉極状態を示す断面図。
【図11】本発明に係る第6の実施の形態のガス遮断器を示す断面図であり、下半分は閉極状態、上半分は開極状態を示す。
【図12】第6の実施の形態において、(A)は図11におけるX−X´矢視図、(B)は放出弁12aの平面図。
【図13】本発明による第7の実施の形態のガス遮断器を示す図であり、下半分は閉極時の状態を示す断面図、上半分は開極時の状態を示す断面図である。
【図14】従来のガス遮断器の一例を示す断面図であり、その開極動作途中の状態を示す。
【符号の説明】
2…可動接触子部
4…固定通電接触子
5…操作ロッド
5a…ピストン部
5b…排気口
6…可動熱昇圧シリンダー
7…可動アーク接触子
8…可動通電接触子
9…ノズル
10…小径ピストン
10b,15b,16…隔壁部
10b1,15b1,16b…溝
10b2,15b2,16a…小径穴
11…逆止弁部
12…弁部
12a…放出弁
12a1…小径穴
12b…吸入弁
12c…吸入弁用バネ
12d…止めネジ
13…放出弁用バネ
14…支持部材
15…固定シリンダー
18…基底支持部材
20…アーク
21a,21b,21c,22a…ガス流
S1…熱昇圧室
S2…圧縮室

Claims (8)

  1. 消弧性ガスが封入された容器内に、固定接触子部及び可動接触子部を対向して配置し、前記固定接触子部は少なくとも固定アーク接触子を有し、可動接触子部は、固定接触子部方向を前方、その反対方向を後方と定義した場合に、中空の操作ロッドと、前記操作ロッドの周囲に配置されてその前端部で操作ロッドに取り付けられる可動熱昇圧シリンダーと、前記可動熱昇圧シリンダーの前方に取り付けられる中空で指状の可動アーク接触子と、前記可動アーク接触子を包囲する絶縁性のノズルと、前記可動熱昇圧シリンダーを包囲しその内径部を可動熱昇圧シリンダーの外径部が摺動する固定シリンダーとを有し、かつ、前記可動熱昇圧シリンダー内に内部のガスをアークの熱により昇圧させる熱昇圧室を形成し、前記固定シリンダー内に開極動作時に可動熱昇圧シリンダーの移動により容積を縮小させて内部のガスを圧縮する圧縮室を形成し、前記熱昇圧室と前記圧縮室とを仕切る仕切り部を設置し、この仕切り部に前記圧縮室から前記熱昇圧室へのガス流のみ可能とする逆止弁を設け、電流遮断時に熱昇圧室の高圧ガスを固定アーク接触子と可動アーク接触子間に発生するアークに吹き付けて電流を遮断するように構成したガス遮断器において、
    前記固定シリンダーの後方に、前記圧縮室と圧縮室の外部であるガス雰囲気とを隔てる隔壁部を設け、
    前記隔壁部はその内径部に前記操作ロッドの外径部が摺動するように構成し、前記圧縮室に面した前面部側に複数の小径穴を形成すると共に、後面部側に前記小径穴と連通する溝を形成し、
    前記溝に弁部を設置し、
    この弁部は、前記溝を後方から塞ぐ板状の放出弁と、前記放出弁を前方に押し付ける放出弁用バネと、前記放出弁に設けられ前記溝と連通する複数個の貫通穴と、この貫通穴を前方から塞ぐ板状の吸入弁と、前記吸入弁を後方に押し付ける吸入弁用バネとからなる、前記放出弁と前記吸入弁を一体化した構成であり、
    開極動作時に前記圧縮室内のガス圧力値が前記放出弁用バネの力で定められる値を越えたとき、前記放出弁が開いて前記圧縮室内のガスが前記小径穴及び前記溝を通ってガス雰囲気へ放出し、
    閉極動作時に前記圧縮室内のガス圧力がガス雰囲気中のガス圧力より低下し、その圧力差により前記吸入弁に働く力が前記吸入弁用バネの力よりも大きくなったとき、前記吸入弁が開いてガス雰囲気中のガスが前記貫通穴、前記溝及び前記小径穴を通って前記圧縮室内に吸入するように構成したことを特徴とするガス遮断器。
  2. 前記仕切り部に貫通部を設け、この貫通部に挿通可能な小径ピストンを配置し、前記小径ピストンは、開極動作時に可動熱昇圧シリンダーとの相対位置関係において熱昇圧室内に突出して熱昇圧室内のガスを圧縮する構成とし、前記操作ロッドには操作ロッド中空部内のガスをガス雰囲気へ排気する排気口を形成し、前記排気口は、開極動作の前半では前記小径ピストンの前方で熱昇圧室内に位置して可動アーク接触子及び操作ロッドの中空部と熱昇圧室とを連通し、開極動作の後半では前記小径ピストンの後方に位置して可動アーク接触子及び操作ロッドの中空部がガス雰囲気に連通するように配置したことを特徴とする請求項1に記載のガス遮断器。
  3. 前記熱昇圧室は前方から後方に向かって拡がる傾斜部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガス遮断器。
  4. 前記仕切り部は前記圧縮室側に突起する突起部を有し、この突起部に前記小径ピストンが挿通する貫通部を形成し、閉極状態では前記小径ピストンの前端部が前記突起部に位置するように構成したことを特徴とする請求項2または3に記載のガス遮断器。
  5. 閉極状態での前記操作ロッドの排気口は前記小径ピストン前端部にて塞がれるように配置したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか一項に記載のガス遮断器。
  6. 閉極状態での前記操作ロッドの排気口は前記操作ロッドの中空部がガス雰囲気に連通するように配置したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス遮断器。
  7. 前記隔壁部の後面部側に形成した溝に代えて、前記小径穴に連通する大径穴を複数設けたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス遮断器。
  8. 前記可動熱昇圧シリンダーの後端部に後方に伸びる伸長部を設け、この伸長部の内径部に前記隔壁部の外径部が摺動させて前記圧縮室を構成したことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のガス遮断器。
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