JP2005276614A - ガス遮断器 - Google Patents

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Abstract

【課題】 駆動エネルギーに対する遮断性能を向上させることにより、エネルギー効率に優れた高性能のガス遮断器を提供する。
【解決手段】 消弧性ガスが充填された密閉容器内に、可動接触子部1と対向接触子部2が対向して配置される。可動アーク接触子11と対向アーク接触子21は、遮断動作時には相対移動により開離する。両アーク接触子11,21間のアーク空間で発生するアークを消弧するために、可動接触子部1のシリンダ16に、機械的圧縮室31と熱的昇圧室32が形成され、室間の隔壁19に室間開口部33が設けられる。アーク空間と熱的昇圧室31は上流側ガス流路41により接続され、アーク空間と下流空間3は下流側ガス流路42,43により接続される。室間開口部33の熱的昇圧室32側に、浮動の逆止弁51が設けられ、逆止弁51は、弾性体101により閉方向である隔壁19側に常時付勢される。
【選択図】 図1

Description

本発明は、電流遮断時に接触子間のアーク空間に発生するアークを消弧するガス流を発生させるための蓄圧空間として、機械的圧縮作用により蓄圧される第1蓄圧室と加熱昇圧作用により蓄圧される第2蓄圧室を備えたガス遮断器に関するものであり、特に、蓄圧室におけるガス損失を抑制して、駆動エネルギーに対する遮断性能向上を図ったガス遮断器に関する。
従来、遮断電流の大きい大容量ガス遮断器において、特に、駆動エネルギーを増大させることなしに遮断性能を向上するために改良を施したガス遮断器として、図9〜図11に示すような形態のガス遮断器が存在している。ここで、図9の(a)は、遮断動作前の投入状態を示す断面図、図9の(b)は、遮断動作初期の状態を示す断面図、図10の(a)は、遮断動作が進み、開極後の大電流期間における状態を示す断面図、図10の(b)は、さらにストロークが進んだ大電流機関における状態を示す断面図、図11は、さらに遮断動作が進み、電流零点に至った状態を示す断面図である。
[従来のガス遮断器の構成]
図9〜図11に示すように、絶縁媒体として消弧性のガスが充填された図示していない密閉容器内には、可動接触子部(第1接触子部)1と固定接触子部(第2接触子部)が対向配置されている。なお、以下には、可動接触子部1の各部における位置関係について、対向接触子部2側の方向を前方、その反対側を後方と定義して説明する。また、ここで、消弧性ガスは消弧性を有する任意のガスである。
可動接触子部1は、まず、中空かつ指状の可動アーク接触子(第1アーク接触子)11とその周囲に配置された可動通電接触子12、可動アーク接触子1を包囲し、スロート部13aを有する絶縁ノズル13を備えている。これらの部材11〜13は、フランジ14の前方に連結されている。フランジ14は、中空の操作ロッド15の前端部に連結されており、フランジ14の後方には、操作ロッド15を包囲するシリンダ16が連結されている。
このシリンダ16内部における操作ロッド15の外周部分には、円環平板状の固定ピストン17が挿入されており、この固定ピストン17は、その後方に一体的に設けられて操作ロッド15と同軸方向に伸びるピストン支持部18により、図示していない密閉容器に固定されている。この固定ピストン17は、その内周面で操作ロッド15の外周面に対して摺動すると共に、その外周面でシリンダ16の内周面に対して摺動するように構成されており、これにより、固定ピストン17およびピストン支持部18に対して可動アーク接触子11からシリンダ16に至る一体的な動作部分が軸方向に相対移動できるようになっている。
また、可動アーク接触子11からシリンダ16に至る一体的な動作部分に対する駆動力は、操作ロッド15に連結された図示していない駆動装置によって与えられる。すなわち、駆動装置から操作ロッド15に駆動エネルギーを伝達して往復動作させることにより、可動アーク接触子11からシリンダ16に至る一体的な動作部分を固定ピストン17およびピストン支持部18に対して軸方向に往復動作させるようになっている。
一方、対向接触子部2は、棒状の対向アーク接触子(第2アーク接触子)21とその周囲に配置された対向通電接触子22、および、これらの部材21,22を固定するフランジ23を備えている。
以上のような可動接触子部1のうち、シリンダ16における軸方向中央部分には、シリンダ16内部の空間を前後に分離する隔壁19が設けられており、シリンダ16内部における隔壁19と後方の固定ピストン17との間には機械的圧縮室31が形成され、隔壁19と前方のフランジ14との間には熱的昇圧室32が形成されている。これらの機械的圧縮室31および熱的昇圧室32は、両アーク接触子11,21の間のアーク空間で発生するアークを消弧するためのガス流を発生する蓄圧空間である。
ここで、機械的圧縮室31は、遮断動作時において機械的圧縮作用により蓄圧される蓄圧室であり、本発明における第1蓄圧室に相当する。また、熱的昇圧室32は、遮断動作時において、アーク空間から取りこまれる熱ガスによる加熱昇圧作用により蓄圧される蓄圧室であり、本発明における第2蓄圧室に相当する。さらに、隔壁19には、機械的圧縮室31と熱的昇圧室32とを連通する室間開口部33が設けられている。
また、両アーク接触子11,21間で発生するアークに消弧性ガスを吹付けることにより発生する熱ガスは、可動接触子部1および対向接触子部2の内部空間、すなわち、可動接触子部1における操作ロッド15の中空部、機械的圧縮室31および熱的昇圧室32内の内部空間と、固定接触子部2における通電接触子22の中空部内の内部空間を通過して両接触子部1,2の外部空間に放出されるようになっている。この場合、両接触子部1,2の外部空間は、図示していない密閉容器内の充填圧と同圧力であるが、熱ガスの流れに着目した場合には、下流に位置するため、以下の説明中では、両接触子部1,2の外部空間を下流空間と称している。図9〜図11においては、この下流空間を符号「3」により示している。
さらに、可動接触子部1において、可動アーク接触子11と絶縁ノズル13の間には、フランジ14に設けられた上流側開口部34を介して両アーク接触子11,21間のアーク空間と熱的昇圧室31とを接続する上流側ガス流路41が形成されており、この上流側ガス流路41を通じて、機械的圧縮室31と熱的昇圧室32で形成された圧縮ガスをガス流としてアーク空間に噴出するようになっている。
一方、操作ロッド15における軸方向中央部分には、操作ロッド15の中空部を下流空間3と接続する複数の下流側開口部35が設けられており、この下流側開口部35および操作ロッド15の中空部を介して両アーク接触子11,21間のアーク空間と下流空間3とを接続する第1の下流側ガス流路42が形成されている。そして、この第1の下流側ガス流路42を通じて、アーク空間からの熱ガスを下流空間3に放出するようになっている。
また、対向接触子部2においても、その内部空間、すなわち、対向通電接触子22の中空部を下流空間3と接続するために、フランジ23に対向側開口部36が設けられており、この対向側開口部36を介して、アーク空間と下流空間3とを接続する第2の下流側ガス流路43が形成されている。そして、この第2の下流側ガス流路43を通じて、アーク空間からの熱ガスを下流空間3に放出するようになっている。
さらに、機械的圧縮室31および熱的昇圧室32を接続する室間開口部33の熱的昇圧室32側には、浮動の逆止弁51が設けられており、この逆止弁51の動作は、熱的昇圧室32内に設けられたストッパ52と隔壁19により制限されるようになっている。また、固定ピストン17には、機械的圧縮室31と下流空間3とを接続する放圧用開口部37が設けられ、この放圧用開口部37の下流空間3側には、放圧弁61が設けられており、バネ62によって閉方向に常時付勢されている。
[従来のガス遮断器の作用]
次に、以上のような構成を有する図9〜図11のガス遮断器の遮断動作について説明する。
まず、図9の(a)に示すような投入状態から図9の(b)に示すように遮断動作が開始すると、後方の操作ロッド15が移動し、この操作ロッド15を含む一体的な動作部分(部材11〜16)が、遮断方向である図中右方向に一体的に移動する。これにより、固定ピストン17に対して、操作ロッド15とシリンダ16が一体的に移動するため、シリンダ16と固定ピストン17が相対移動し、シリンダ16内部の後方に形成された機械的圧縮室32が圧縮される。
また、図9の(b)に示すように遮断動作が開始すると、浮動の逆止弁51は、慣性力により、可動接触子部1の一体的な動作部分(部材11〜16)と一体的には動作せず、その結果、逆止弁51は隔壁19に対して相対的に図中左方向に動作するため、室間開口部33が開口する。さらに、機械的圧縮室31が圧縮されることで昇圧するため、機械的圧縮室31から室間開口部33を経て熱的昇圧室32に至るガス流71が発生し、機械的圧縮室31内のガスが熱的昇圧室32に供給される。
次に、図10の(a)に示すように、遮断動作が進行し、可動アーク接触子11と対向アーク接触子21が開離すると、両アーク接触子11,21間のアーク空間には、大電流アーク4が発生する。このとき、大電流アーク4により、両アーク接触子11,21間のアーク空間は高温高圧の状態にある。例えば、大電流アーク4の電流が50kAの場合、その温度は、容易に10000K以上に達する。
このため、アーク空間の圧力は、熱的昇圧室32よりも上昇し、アーク空間から可動アーク接触子11と絶縁ノズル13との間の上流側ガス流路41を経て熱的昇圧室32に至るガス流72が発生する。この場合、大電流アーク4のエネルギーの一部が、熱的昇圧室32に取り込まれることになる。そして、このような大電流アーク4のエネルギーの取込みにより、熱的昇圧室32は著しく昇圧し、その結果、熱的昇圧室32と機械的圧縮室31の間に差圧が発生するため、ガス流72の一部はさらに、室間開口部33を経て機械的圧縮室31に向かうガス流73となる。また、熱的昇圧室32と機械的圧縮室31の差圧により、逆止弁51には、後方(閉方向)への力が作用する。
そして、図10の(a)の状態からさらにストロークが進むと、図10の(b)に示すように、熱的昇圧室32と機械的圧縮室31の間に生じる差圧により、逆止弁51は閉じようとするが、完全な閉状態には至っていないため、この段階では、熱的昇圧室32から機械的圧縮室31に至るいくらかのガス流73が残存している。一方、放圧弁61は、機械的圧縮室31の過剰な圧力上昇により開状態となり、機械的圧縮室31から放圧用開口部37を経て下流空間3に至るガス流74が発生する。
さらに、図11に示すように、電流零点に達すると、大電流アーク4は減衰し、残留アークプラズマ状態となって、圧力、密度、および温度が減少する。これにより、絶縁ノズル13のスロート部13aは十分に開口するため、2方向のガス流75,76が生じる。ここで、一方のガス流75は、可動アーク接触子11と絶縁ノズル13との間の上流側ガス流路41からアーク空間を通過し、さらに第2の下流側ガス流路43、すなわち、対向通電接触子22の中空部および対向側開口部36を経て下流空間3に至るガス流である。また、他方のガス流76は、アーク空間から第1の下流側ガス流路42、すなわち、可動アーク接触子11の中空部、操作ロッド15の中空部、下流側開口部35を経て下流空間3に至るガス流76が発生する。そして、これらの2方向のガス流75,76によって、大電流アーク4は相乗的に冷却されて消弧され、電流遮断が達成される。
このような図9〜図11に示すガス遮断器においては、機械的圧縮室31と熱的昇圧室32が相補的に作用する。すなわち、アークエネルギーが小さく、熱的昇圧室32の圧力上昇が期待できない場合には、機械的圧縮室31からガス流が供給される。また、強力な吹付けが必要な大電流遮断時には、熱的昇圧室32の圧力が極めて高くなり、強力なガス流が供給される。この際、熱的昇圧室32は逆止弁51により、機械的圧縮室31から切り離されるため、熱的昇圧室32は効率的に昇圧する。また、機械的圧縮室31へのアークエネルギーの流入が抑制されるため、機械的圧縮室31の昇圧もある程度抑制され、遮断動作を妨げる反力を抑制することができる。なお、熱的昇圧室32において、その構成部材に作用する圧力は相殺されるため、遮断動作を妨げることはない。
特開2003−22737公報 特開2003−197076公報 特開2001−67996公報
しかしながら、上記のような図9〜図11に示す従来のガス遮断器には、熱的昇圧室32内のガス損失が増大してしまうという問題点がある。すなわち、大電流遮断の際、開極後、熱的昇圧室32の圧力は急激に上昇するため、熱的昇圧室32から機械的圧縮室31に至るガス流73が急激に発生し、このガス流73により、逆止弁51が閉状態に至るまでの時間(逆止弁51の質量によって規定される時間)に、熱的昇圧室32からかなりの量のガスが失われてしまう可能性がある。これにより、熱的昇圧室32の昇圧効率が低下してしまうと共に、機械的圧縮室31については無駄に昇圧することになり、十分な遮断性能が得られなくなる可能性がある。
図12は、図9〜図11に示すガス遮断器の遮断動作時におけるタイムチャートであり、遮断電流、可動接触子部1(の一体的な動作部分)のストローク(トラベル)、逆止弁51のストローク、室間開口部33におけるガス流量、熱的昇圧室32のガス圧力、を示している。なお、室間開口部33のガス流量については、機械的圧縮室31から熱的昇圧室32へのガス流量を正、その逆のガス流量を負として示している。
この図12において、遮断動作開始時、逆止弁51は、慣性力により可動接触子部1の一体的な動作部分(部材11〜16)に対して相対動作して、開状態となる。可動接触子部1の動作により機械的圧縮室31が昇圧すると、機械的圧縮室31から熱的昇圧室32にガスが供給されるため、ガス流量は正となる。さらに、遮断動作が進行し、両アーク接触子11,21間に発生した大電流アーク4のエネルギーにより、熱的昇圧室32が昇圧し、機械的圧縮室31の圧力を上回ると、熱的昇圧室32から機械的圧縮室31にガスが供給されるため、ガス流量が負となる一方で、逆止弁51は差圧により閉方向に動作する。
この場合、ガス流量が負となってから逆止弁51が完全な閉状態に至るまでの時間は、逆止弁51の質量と両側の室31,32間の差圧により規定される有限時間tである。この時間tの間に、熱的昇圧室32から機械的圧縮室31に至る急激なガス流73が発生してガス損失が増大し、熱的昇圧室32のガス密度が低下するため、熱的昇圧室32の効率的な昇圧が期待できなくなる。その結果、アークに吹付けるガス流のガス密度が低下し、吹付け流量が少なくなってしまうため、駆動エネルギーに対する遮断性能が低下してしまう。
また、図9〜図11に示す従来のガス遮断器には、機械的圧縮室31内のガス損失が増大してしまうという問題点もある。すなわち、熱的昇圧室32から機械的圧縮室31に至るガス流73により機械的圧縮室31が昇圧し、放圧弁61が動作すると、特に、OCO(遮断→投入→遮断)動作において、十分な遮断性能が得られない可能性がある。
図13は、図9〜図11に示すガス遮断器の遮断動作時において、図12とは異なる時間帯のタイムチャートであり、遮断電流、可動接触子部1(の一体的な動作部分)のストローク(トラベル)、放圧弁61のストローク、室間開口部33におけるガス流量、熱的昇圧室32のガス圧力、機械的圧縮室31のガス圧力、機械的圧縮室31のガス密度、を示している。
この図13において、機械的圧縮室31の圧力が上昇し、駆動エネルギーにより規定される放圧弁動作圧力に達すると、放圧弁61が動作して開状態となる。この場合に、放圧弁61は、一旦開き出すと、その受圧面積が増大するため、放圧弁61のストロークは急激に増加する。このため、機械的圧縮室31の圧力が規定圧力以下に低下しても、放圧弁61が閉状態とならず、機械的圧縮室31内のガス損失が増大し、その結果、遮断動作後、機械的圧縮室31のガス密度は遮断動作前に比べて大きく低下してしまう。
このような機械的圧縮室31のガス密度の低下は、遮断性能を低下させ、特に、OCO(遮断→投入→遮断)動作における2回目の遮断動作に影響する。すなわち、2回目の遮断動作時には、初期の段階で機械的圧縮室31のガス密度が低下しているため、機械的圧縮室31における十分な圧力上昇と吹付け流量が得られず、遮断性能が低下する可能性がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、駆動エネルギーに対する遮断性能を向上させることにより、エネルギー効率に優れた高性能のガス遮断器を提供することである。
本発明は、上記のような目的を達成するために、室間開口部に設けた逆止弁を、弾性体により閉状態に常時付勢することにより、遮断動作時に熱的昇圧室の圧力が機械的圧縮室を上回った後、弾性体の付勢力により逆止弁を早期に閉状態として、熱的昇圧室から機械的圧縮室に至るガス流のガス流量を低減し、熱的昇圧室内におけるガス損失を抑制できるようにしたものである。
請求項1の発明はまず、次のような基本的な構成を有している。すなわち、消弧性ガスが充填された密閉容器内に、第1接触子部および第2接触子部が対向して配置される。そして、第1接触子部は、連結された駆動手段により遮断動作時および投入動作時に動作するように構成される。また、第1接触子部および第2接触子部に、第1アーク接触子および第2アーク接触子がそれぞれ設けられ、両接触子部は、通常運転時には接触導通状態にあり、遮断動作時には相対移動により開離すると共に、両接触子間のアーク空間にアークを発生するように構成される。さらに、第1接触子部には、アークを消弧するためのガス流を発生する蓄圧空間として、遮断動作時において少なくとも機械的圧縮作用により蓄圧される第1蓄圧室と、この第1蓄圧室と室間開口部を介して連通され、遮断動作時において少なくともアーク空間から取り込まれる熱ガスによる加熱昇圧作用により蓄圧される第2蓄圧室が設けられる。また、アーク空間と第2蓄圧室とを接続する上流側ガス流路と、密閉容器内の充填圧と同圧力の下流空間をアーク空間と接続する下流側ガス流路が設けられる。
請求項1の発明は、以上のような基本的な構成を有するガス遮断器において、逆止弁と逆止弁用弾性体を備えたことを特徴としている。ここで、逆止弁は、室間開口部に設けられて、第2蓄圧室から第1蓄圧室に向かうガス流を抑制する手段である。また、逆止弁用弾性体は、逆止弁を閉状態とする方向に常時付勢する手段である。
この発明によれば、遮断動作時において、開極後、アークエネルギーを取り込んだ熱的昇圧室(第2蓄圧室)の圧力が急激に上昇して機械的圧縮室(第1蓄圧室)の圧力を上回った後、熱的昇圧室から機械的圧縮室に至るガス流が発生した場合に、弾性体の付勢力により逆止弁を強制的に閉状態として、逆止弁が完全に閉状態となるまでの時間を短縮できる。その結果、逆止弁が完全に閉状態となるまでに熱的昇圧室から機械的圧縮室に至るガス流のガス流量を低減し、熱的昇圧室内におけるガス損失を抑制できるため、熱的昇圧室を効率よく昇圧してアークに吹付けるガス流のガス密度を向上し、吹付け流量を増大させることができる。したがって、駆動エネルギーに対する遮断性能を向上させることができる。
以上のように、本発明によれば、室間開口部に設けた逆止弁を、弾性体により閉状態に常時付勢することにより、駆動エネルギーに対する遮断性能を向上できるため、エネルギー効率に優れた高性能のガス遮断器を提供することができる。
以下には、本発明を適用したガス遮断器の実施形態について、図面を参照して具体的に説明する。なお、説明の簡略化の観点から、前述した従来技術と同一部分には同一符号を付している。
[第1の実施形態]
図1、図2は、本発明を適用したガス遮断器の第1の実施形態を示す図である。ここで、図1の(a)は、遮断動作前の投入状態を示す断面図、図1の(b)は、遮断動作初期の状態を示す断面図、図2の(a)は、遮断動作が進み、開極後の大電流期間における状態を示す断面図、図2の(b)は、さらに遮断動作が進み、電流零点に至った状態を示す断面図である。
[第1の実施形態の構成]
図1、図2に示す本実施形態のガス遮断器の基本的な構成は、前述した従来技術と同様である。すなわち、絶縁媒体として消弧性を有する任意のガスが充填された図示していない密閉容器内には、可動接触子部(第1接触子部)1と固定接触子部(第2接触子部)が対向配置されている。以下には、従来技術と同様に、可動接触子部1の各部における位置関係について、対向接触子部2側の方向を前方、その反対側を後方と定義して説明する。
可動接触子部1の基本的な構成は、前述した従来技術と同様である。すなわち、可動接触子部1において、可動アーク接触子(第1アーク接触子)11、可動通電接触子12、絶縁ノズル13、フランジ14、操作ロッド15、シリンダ16が一体的に連結され、この一体的な動作部分が、図示していない駆動装置から伝達される駆動エネルギーによって固定ピストン17およびピストン支持部18に対して軸方向に往復動作するようになっている点は、図9〜図11に示す従来技術と全く同様である。
また、対向接触子部2の基本的な構成も、図9〜図11の従来技術と同様である。すなわち、対向接触子部2は、対向アーク接触子(第2アーク接触子)21、対向通電接触子22、フランジ23を備えている。
また、両アーク接触子11,21の間のアーク空間で発生するアークを消弧するためのガス流を発生する蓄圧空間として、可動接触子部1のシリンダ16に、機械的圧縮室31および熱的昇圧室32が形成されている点、これらの室間を分離する隔壁19に室間開口部33が設けられている点も、図9〜図11の従来技術と全く同様である。
また、可動アーク接触子11と絶縁ノズル13の間に、上流側開口部34を介してアーク空間と熱的昇圧室31を接続する上流側ガス流路41が形成されている点も、図9〜図11の従来技術と全く同様である。そして、操作ロッド15の中空部と下流側開口部35を介してアーク空間と下流空間3を接続する第1の下流側ガス流路42が形成され、対向通電接触子22の中空部と対向側開口部36を介してアーク空間と下流空間3とを接続する第2の下流側ガス流路43が形成されている点も、図9〜図11の従来技術と全く同様である。
一方、機械的圧縮室31および熱的昇圧室32を接続する室間開口部33の熱的昇圧室32側に、浮動の逆止弁51が設けられている点は、図9〜図11の従来技術と同様であるが、本実施形態においては、本発明に従い、逆止弁51を、弾性体101により閉方向である隔壁19側に常時付勢している点が従来と異なる。この場合、図1、図2においては、一例として、板バネ状の弾性体101を示しているが、本発明において使用する弾性体101の具体的な構成は適宜選択可能であり、例えば、コイルバネやゴム等、必要な弾性力が得られる各種の弾性体を自由に使用することができる。
また、弾性体101により逆止弁51に作用する弾性力は、遮断動作開始時に逆止弁51に作用する慣性力を上回らないように設定されている。すなわち、可動接触子部1の可動質量をM、逆止弁51の質量をm、遮断動作開始時の駆動力をFmとした場合、弾性力Fsは、次の式(1)で表される。
Figure 2005276614
なお、固定ピストン17に、機械的圧縮室31と下流空間3とを接続する放圧用開口部37が設けられ、この放圧用開口部37に、放圧弁61が設けられ、バネ62によって閉方向に常時付勢されている点、および、対向接触子部2において、対向通電接触子22の中空部を下流空間3と接続するために、フランジ23に対向側開口部36が設けられている点は、図9〜図11の従来技術と全く同様である。
[第1の実施形態の作用]
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態に係るガス遮断器の遮断動作について説明する。なお、本実施形態において、ガス遮断器の遮断動作の基本的な流れは、図9〜図11の従来技術と同様であるため、以下には、従来技術と異なる動作について詳細に説明すると共に、従来技術と同様の動作については適宜省略して説明する。
まず、図1の(a)に示すような投入状態から図1の(b)に示すように遮断動作が開始すると、操作ロッド15を含む一体的な動作部分(部材11〜16)が、遮断方向である図中右方向に一体的に移動することにより、シリンダ16と固定ピストン17が相対移動し、シリンダ16内部の後方に形成された機械的圧縮室32が圧縮される。このような可動接触子部1の相対移動は、図9〜図11の従来技術と同様である。
また、図1の(b)に示すように遮断動作が開始すると、浮動の逆止弁51は、慣性力により、可動接触子部1の一体的な動作部分(部材11〜16)と一体的には動作せず、その結果、逆止弁51は隔壁19に対して相対的に図中左方向に動作するため、室間開口部33が開口する。すなわち、本実施形態において、浮動の逆止弁51は、弾性体101により閉方向である隔壁19側に常時付勢されているが、弾性体101により逆止弁51に作用する弾性力は、遮断動作開始時に逆止弁51に作用する慣性力を上回らないように設定されているため、逆止弁51は、弾性体101を使用していなかった従来技術と同様に、慣性力により隔壁19に対して相対的に動作することができる。さらに、機械的圧縮室31が圧縮により昇圧し、機械的圧縮室31から室間開口部33を経て熱的昇圧室32に至るガス流71が発生する点は、図9〜図11の従来技術と同様である。
次に、図2の(a)に示すように、遮断動作が進行し、両アーク接触子11,21が開離して両アーク接触子11,21間のアーク空間に大電流アーク4が発生する。この時点で、大電流アーク4により、アーク空間は高温高圧の状態にある、例えば、大電流アーク4の電流が50kAの場合、その温度が容易に10000K以上に達する点は、図9〜図11の従来技術と同様である。
この場合、アーク空間の圧力が熱的昇圧室32よりも上昇し、アーク空間から上流側ガス流路41を経て熱的昇圧室32に至るガス流72が発生して、大電流アーク4のエネルギーの一部が熱的昇圧室32に取り込まれる点、および、このような大電流アーク4のエネルギーの取込みにより、熱的昇圧室32が著しく昇圧し、熱的昇圧室32と機械的圧縮室31の間に差圧が発生する点は、図9〜図11の従来技術と同様である。
そして、熱的昇圧室32と機械的圧縮室31の差圧により、逆止弁51に後方(閉方向)への力が作用する点も、従来技術と同様であるが、弾性体101を使用していない従来技術においては、逆止弁51に加わる閉方向への力は、この差圧による力だけであったため、短時間で逆止弁51を閉状態とすることはできなかった。これに対して、本実施形態においては、弾性体101により逆止弁51を閉方向に常時付勢しているため、差圧による閉方向への力との相乗効果により、逆止弁51を極めて短時間で強制的に閉状態とすることができる。そのため、差圧により、熱的昇圧室32から室間開口部33を経て機械的圧縮室31に至るガス流が発生しても、弾性体の付勢力により逆止弁を強制的に閉状態として、逆止弁が完全に閉状態となるまでの時間を短縮できるため、熱的昇圧室32内のガス損失を従来に比べて抑制することができる。
さらに、図2に示すように、電流零点に達すると、大電流アーク4は減衰し、残留アークプラズマ状態となって、圧力、密度、および温度が減少する点、および、これにより、絶縁ノズル13のスロート部13aが十分に開口し、上流側ガス流路41からアーク空間、第2の下流側ガス流路43を経て下流空間3に至るガス流75と、アーク空間から第1の下流側ガス流路42を経て下流空間3に至るガス流76が発生する点は、図9〜図11の従来技術と同様である。
しかし、本実施形態においては、上記のように、熱的昇圧室32内のガス損失を抑制することができるため、上流側ガス流路41からアーク空間に向かって流れ、大電流アーク4に吹付けるガス流75のガス密度を向上し、吹付け流量を増大させることができる。これに伴い、アーク空間から第1の下流側ガス流路42を経て下流空間3に至るガス流76についても、ガス密度を向上し、流量を増大させることができる。したがって、これらの2方向のガス流75,76によって、大電流アーク4は、相乗的にかつ従来よりも強力に冷却されて消弧され、電流遮断が確実に達成される。
[第1の実施形態の効果]
上記のような第1の実施形態に係るガス遮断器によれば、熱的昇圧室32内のガス損失を抑制することができるため、熱的昇圧室32の昇圧効率を向上でき、また、機械的圧縮室31を無駄に昇圧することもなしに、十分な遮断性能を得ることができる、という優れた効果が得られる。以下には、この効果について、図3を参照して説明する。
図3は、このような本実施形態の効果を明確にするために、本実施形態に係るガス遮断器と、逆止弁周辺以外は同一の構成とした従来技術に係るガス遮断器の遮断動作時におけるタイムチャートを比較して示す図であり、遮断電流、可動接触子部1(の一体的な動作部分)のストローク(トラベル)、逆止弁51のストローク、室間開口部33におけるガス流量、熱的昇圧室32のガス圧力、を示している。
なお、室間開口部33のガス流量については、機械的圧縮室31から熱的昇圧室32へのガス流量を正、その逆のガス流量を負として示している。また、この図3においては、本実施形態に係るガス遮断器のデータを図中実線で示し、従来技術に係るガス遮断器のデータを図中破線で示しており、この破線で示すデータは、図12中に実線で示すデータと同一のデータである。
この図3において、遮断動作開始時、逆止弁51は、慣性力により可動接触子部1の一体的な動作部分(部材11〜16)に対して相対動作して、開状態となる。可動接触子部1の動作により機械的圧縮室31が昇圧すると、機械的圧縮室31から熱的昇圧室32にガスが供給されるため、ガス流量は正となる。さらに、遮断動作が進行し、両アーク接触子11,21間に発生した大電流アーク4のエネルギーにより、熱的昇圧室32が昇圧し、機械的圧縮室31の圧力を上回ると、熱的昇圧室32から機械的圧縮室31にガスが供給されるため、ガス流量が負となる一方で、逆止弁51には差圧により閉方向への力が加わると共に、弾性体101の弾性力が閉方向への付勢力として常時加わっているため、これらの力の相乗効果により、逆止弁51は、極めて短時間で強制的に閉状態となる。
この場合、ガス流量が負となってから逆止弁51が完全な閉状態に至るまでの時間は、弾性体101を用いていない従来技術では、逆止弁51の質量と両側の室31,32間の差圧により規定されるが、弾性体101を用いた本実施形態においては、逆止弁51の質量と両側の室31,32間の差圧、および弾性体101の弾性力により規定される有限時間tとなる。本実施形態においては、弾性体101の弾性力により逆止弁51を極めて短時間で閉状態とすることができるため、時間tは従来に比べて大幅に短縮されており、その間に熱的昇圧室32から機械的圧縮室31に至るガス流の流量を抑制することができる。
以上のように、本実施形態によれば、熱的昇圧室から機械的圧縮室へのガス流によるガス損失を抑制することができるため、熱的昇圧室を効率よく昇圧してアークに吹付けるガス流のガス密度を向上し、吹付け流量を増大させることができる。また、機械的圧縮室を無駄に昇圧することもないため、機械的圧縮室の過度の圧力上昇とそれによる遮断動作に対する反力を抑制することができる。したがって、駆動エネルギーに対する遮断性能を向上させることができるため、エネルギー効率に優れた高性能のガス遮断器を提供することが可能となる。
[第1の実施形態の変形例]
上述した第1の実施形態において、逆止弁51の開口断面積は適宜選択可能であるが、具体的には、逆止弁51の開口断面積を、機械的圧縮室31の圧縮断面積の15%以上となるように構成することが考えられる。
逆止弁51の開口断面積をこのように構成した場合には、熱的昇圧室32を効率よく昇圧することができる。以下には、このような逆止弁51の開口断面積による作用効果について、図4を参照して説明する。ここで、図4は、機械的圧縮室の圧力上昇最大値に対する熱的昇圧室の圧力上昇最大値を、機械的圧縮室の圧縮断面積に対する逆止弁51の開口断面積の関数として表したグラフである。この図4から、逆止弁51の開口断面積を、機械的圧縮室31の圧縮断面積の15%以上とした場合に、熱的昇圧室32において機械的圧縮室31の90%以上の圧力上昇が得られる。これにより、熱的昇圧室32を効率よく昇圧して、駆動エネルギーに対する遮断性能をさらに向上させることが可能となる。
[第2の実施形態]
図5は、本発明を適用したガス遮断器の第2の実施形態として、特に、放圧弁の形状を工夫した形態における放圧弁の周辺のみを示している。この図5において、(a)は、放圧弁61によって開閉する複数の放圧用開口部37を設けた固定ピストン17を示す平面図、(b)は、放圧弁61の平面図、(c)は、放圧弁61の閉状態を示す模式的断面図、(d)は、放圧弁61の開状態を示す模式的断面図である。
この図5に示すように、本実施形態において、個々の放圧用開口部37は、円形状とされ、複数の放圧用開口部37が操作ロッド15の周囲に円環状に等間隔で配置されている。そして、放圧弁61は、円形状の放圧用開口部37を閉じる側の受圧面に、個々の放圧用開口部37の径に一致する幅を有する円環状の溝201を設けたものである。なお、他の部分の構成は、前記第1の実施形態と同様とされている。
このような構成を有する第2の実施形態においては、前記第1の実施形態の作用効果に加えて、さらに、放圧弁61における閉状態と開状態との間の受圧面積の差を小さくすることで、遮断動作時に機械的圧縮室内のガス損失を抑制できるため、遮断動作を繰り返し行う場合でも遮断性能を維持できる、という作用効果が得られる。以下には、この作用効果について説明する。
すなわち、放圧弁61の受圧面に、本実施形態のような溝201を設けず、単純な平面とした場合には、放圧弁が閉状態の場合の受圧面積は、放圧用開口部37の面積の和となり、放圧弁が開状態の場合の受圧面積は、放圧弁の受圧平面全体の面積となり、閉状態における受圧面積との間には大きな格差が生じることになる。これに対して、本実施形態においては、図5の(c)に示すように、放圧弁61が閉状態にある場合には、放圧弁61の受圧面積は、円環状の溝201の底面積に等しい。これに対して、図5の(d)に示すように、放圧弁61が開状態にある場合には、放圧弁61の受圧面積は、円環状の溝201の底面積に溝201の側面部分の面積を加えたものとなり、閉状態における受圧面積との差はわずかとなる。
本実施形態においては、このように、放圧弁61における閉状態と開状態の受圧面積の差がわずかであることから、放圧弁の開放時に急激な動作を生じることなく、比較的短時間で閉状態に復帰できる。したがって、遮断動作時に放圧弁の受圧面積の急激な増加に伴う放圧弁の急激な動作と閉状態への復帰の遅れに起因する機械的圧縮室内のガス損失を抑制できるため、遮断動作を繰り返し行う場合でも遮断性能を維持できる。
図6は、このような本実施形態の効果を明確にするために、本実施形態に係るガス遮断器と、逆止弁周辺と放圧弁の形状以外は同一の構成とした従来技術に係るガス遮断器の遮断動作時におけるタイムチャートを比較して示す図である。すなわち、この場合、従来技術に係るガス遮断器は、本実施形態のような受圧面に溝を形成した放圧弁ではなく、受圧面が単純な平面の放圧弁を用いたガス遮断器である。また、この図6においては、遮断動作時における具体的なデータとして、遮断電流、可動接触子部1(の一体的な動作部分)のストローク(トラベル)、放圧弁61のストローク、室間開口部33におけるガス流量、熱的昇圧室32のガス圧力、機械的圧縮室31のガス圧力、機械的圧縮室31のガス密度、を示している。また、この図6においては、本実施形態に係るガス遮断器のデータを図中実線で示し、従来技術に係るガス遮断器のデータを図中破線で示しており、この破線で示すデータは、図13中に実線で示すデータと同一のデータである。
この図6に示すように、従来技術に係る単純な平面の放圧弁を用いたガス遮断器においては、放圧弁が一旦開状態となると、急激に受圧面積が増加するため、放圧弁のストロークは急激に増大し、その結果、機械的圧縮室31から多くのガスが失われ、機械的圧縮室31の圧力およびガス密度が低下することが分かる。これに対して、本実施形態に係る溝付きの放圧弁61を用いたガス遮断器においては、放圧弁61の受圧面積が、開放後も急激に増加することはなく、比較的短時間で閉状態に復帰するため、機械的圧縮室31から失われるガスの量を最低限に抑制することができ、機械的圧縮室31の圧力およびガス密度の低下を抑制できることが分かる。
本実施形態では、このように、機械的圧縮室31のガス密度の低下を抑制できるため、遮断性能を向上することができる。特に、遮断動作に引き続き、CO(投入→遮断)動作が行われる場合、1回目の遮断動作でガス密度を低下させることなく、2回目の遮断動作を行うことができるため、2回目の遮断動作時にも、十分なガス密度が確保されており、機械的圧縮室31における十分な圧力上昇と吹付け流量を得ることができるため、遮断性能を向上することができる。
[第2の実施形態の変形例]
上述した第2の実施形態の変形例として、受圧面に溝201を設ける代わりに、放圧弁201を付勢するバネ62を複数の小径のバネに分割し、バネ62の固有振動数を0.5kHz以上に設定してもよい。このようなバネ62を用いた場合には、受圧面を単純な平面の受圧面を有する放圧弁61を使用しても、第2の実施形態と同様に、放圧弁を比較的短時間で閉状態に復帰させることができる。
すなわち、放圧弁61を付勢するバネ62を複数の小径のバネに分割した場合には、次の式(2)で表されるバネの固有周波数を大きくすることができる。
Figure 2005276614
すなわち、放圧弁61を付勢するバネ62を分割することにより、バネ径を小さくしてバネ定数を大きくすること、または、バネ質量を小さくすることが可能となる。
そして、放圧弁61を付勢するバネ62の固有振動数を、0.5kHz以上とすることにより、機械的圧縮室31の放圧弁61が開放動作しても、バネ62の応答性がよいため、機械的圧縮室31の圧力が低下すると、速やかに放圧弁61が閉状態に復帰する。そのため、遮断動作時に放圧弁の急激な動作と閉状態への復帰の遅れに起因する機械的圧縮室内のガス損失を抑制できるため、第2の実施形態と同様に、遮断動作を繰り返し行う場合でも遮断性能を維持できる。
[第3の実施形態]
図7、図8は、本発明を適用したガス遮断器の第3の実施形態を示す図である。ここで、図7の(a)は、遮断動作前の投入状態を示す断面図、図7の(b)は、遮断動作途中の状態を示す断面図、図8は、さらに遮断動作が進んだ状態を示す断面図である。
図7、図8に示すように、本実施形態においては、固定ピストン17には、その内周部を後方に延長した形で、固定ピストン17後方部分の操作ロッド15を包囲するシリンダ部301が設けられている。このシリンダ部301は、固定ピストン17と同様に、その内周面で操作ロッド15の外周面に対して摺動するように構成されている。なお、他の部分の構成は、前記第1の実施形態と同様とされている。
このような構成を有する第3の実施形態においては、シリンダ部301により、次のようにして操作ロッド15の下流側開口部35の開閉を制御することができる。すなわち、図7の(a)に示すような投入状態においては、下流側開口部35は、シリンダ部301により閉状態とされている。このような投入状態から遮断動作が進むと、図7の(b)に示すように、絶縁ノズル13のスロート部13aから対向アーク接触子21が引き出されるため、両アーク接触子11,21間のアーク空間を、対向通電接触子22の中空部および対向側開口部36を介して下流空間3と接続する第2の下流側ガス流路43が確保される。
図7の(b)に示す状態からさらに遮断動作が進み、図8の状態に達すると、下流側開口部35は、シリンダ部301から開離して開口するため、下流側開口部35を介して操作ロッド15の中空部と下流空間3を接続する第1の下流側ガス流路42が確保される。
このように、本実施形態においては、第1の下流側ガス流路42が、遮断動作の初期の段階で閉鎖されるため、第1の下流側ガス流路42を通じて下流空間3に無駄に失われるガス量を抑制することができる。そのため、本実施形態においては、遮断電流零点まで、熱的昇圧室32のガス密度を比較的高く維持することが可能となり、熱的昇圧室32を効率よく圧力上昇させることができ、それによって遮断性能をさらに向上することができる。
[他の実施形態]
なお、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で他にも多種多様な変形例が実施可能である。例えば、第1〜第3の実施形態やその変形例は、自由に選択して組合せることが可能であり、その場合には、個々の形態や変形例の効果を加算した相乗的な効果が得られる。
また、前記実施形態においては、接触子部の一方が固定されており、一方が駆動されるタイプを例として説明したが、本発明は、両側の接触子部が同時に相対駆動するタイプのガス遮断器にも同様に適用可能であり、同様に優れた作用効果が得られるものである。
本発明を適用したガス遮断器の第1の実施形態を示す図であり、(a)は、遮断動作前の投入状態を示す断面図、(b)は、遮断動作初期の状態を示す断面図。 図1に示すガス遮断器において遮断動作がさらに進んだ状態を示す図であり、(a)は、開極後の大電流期間における状態を示す断面図、(b)は、さらに遮断動作が進み、電流零点に至った状態を示す断面図。 図1、図2に示すガス遮断器と、逆止弁周辺以外は同一の構成とした従来技術に係るガス遮断器の遮断動作時におけるタイムチャートを比較して示す図。 機械的圧縮室の圧力上昇最大値に対する熱的昇圧室の圧力上昇最大値を、機械的圧縮室の圧縮断面積に対する逆止弁の開口断面積の関数として表したグラフ。 本発明を適用したガス遮断器の第2の実施形態として、特に、放圧弁の形状を工夫した形態における放圧弁の周辺のみを示す図であり、(a)は、放圧弁によって開閉する複数の放圧用開口部を設けた固定ピストンを示す平面図、(b)は、放圧弁の平面図、(c)は、放圧弁の閉状態を示す模式的断面図、(d)は、放圧弁の開状態を示す模式的断面図。 図1、図2に示す逆止弁周辺構成および図5に示す放圧弁を有するガス遮断器と、逆止弁周辺と放圧弁の形状以外は同一の構成とした従来技術に係るガス遮断器の遮断動作時におけるタイムチャートを比較して示す図。 本発明を適用したガス遮断器の第3の実施形態を示す図であり、(a)は、遮断動作前の投入状態を示す断面図、(b)は、遮断動作途中の状態を示す断面図。 図7に示すガス遮断器において遮断動作がさらに進んだ状態を示す断面図。 従来のガス遮断器の一例を示す図であり、(a)は、遮断動作前の投入状態を示す断面図、(b)は、遮断動作初期の状態を示す断面図。 図9に示すガス遮断器において遮断動作がさらに進んだ状態を示す図であり、(a)は、開極後の大電流期間における状態を示す断面図、(b)は、さらにストロークが進んだ大電流機関における状態を示す断面図。 図9、図10に示すガス遮断器において遮断動作がさらに進み、電流零点に至った状態を示す断面図。 図9〜図11に示すガス遮断器の遮断動作時におけるタイムチャート。 図9〜図11に示すガス遮断器の遮断動作時において、図12とは異なる時間帯のタイムチャート。
符号の説明
1…可動接触子部(第1接触子部)
2…対向接触子部(第2接触子部)
3…下流空間
4…大電流アーク
11…可動アーク接触子(第1アーク接触子)
12…可動通電接触子
13…絶縁ノズル
13a…スロート部
14…フランジ
15…操作ロッド
16…シリンダ
17…固定ピストン
18…ピストン支持部
19…隔壁
21…対向アーク接触子(第2アーク接触子)
22…対向通電接触子
23…フランジ
31…機械的圧縮室(第1蓄圧室)
32…熱的昇圧室(第2蓄圧室)
33…室間開口部
34…上流側開口部
35…下流側開口部
36…対向側開口部
37…放圧用開口部
41…上流側ガス流路
42…第1の下流側ガス流路
43…第2の下流側ガス流路
51…逆止弁
52…ストッパ
61…放圧弁
62…バネ
71〜76…ガス流
101…弾性体
201…溝
301…シリンダ部

Claims (6)

  1. 消弧性ガスが充填された密閉容器内に、第1接触子部および第2接触子部が対向して配置され、
    前記第1接触子部は、連結された駆動手段により遮断動作時および投入動作時に動作するように構成され、
    前記第1接触子部および前記第2接触子部に、第1アーク接触子および第2アーク接触子がそれぞれ設けられ、両接触子部は、通常運転時には接触導通状態にあり、遮断動作時には相対移動により開離すると共に、両接触子間のアーク空間にアークを発生するように構成され、
    前記第1接触子部には、前記アークを消弧するためのガス流を発生する蓄圧空間として、前記遮断動作時において少なくとも機械的圧縮作用により蓄圧される第1蓄圧室と、この第1蓄圧室と室間開口部を介して連通され、遮断動作時において少なくとも前記アーク空間から取り込まれる熱ガスによる加熱昇圧作用により蓄圧される第2蓄圧室が設けられ、
    前記アーク空間と前記第2蓄圧室とを接続する上流側ガス流路と、前記密閉容器内の充填圧と同圧力の下流空間を前記アーク空間と接続する下流側ガス流路が設けられたガス遮断器において、
    前記室間開口部に設けられて、前記第2蓄圧室から前記第1蓄圧室に向かうガス流を抑制する逆止弁と、
    前記逆止弁を閉状態とする方向に常時付勢する逆止弁用弾性体、
    を備えたことを特徴とするガス遮断器。
  2. 前記逆止弁用弾性体は、前記逆止弁の閉状態におけるこの逆止弁用弾性体の弾性力が、遮断動作初期に逆止弁に作用する慣性力と同等あるいはそれ以下となるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載のガス遮断器。
  3. 前記逆止弁の開口断面積は、前記第1蓄圧室の圧縮断面積の15%以上となるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス遮断器。
  4. 前記第1蓄圧室と前記下流空間を連通する放圧用開口部と、
    前記放圧用開口部に設けられて、前記第1蓄圧室から前記下流空間に向かうガス流を制御する放圧弁と、
    前記放圧弁を閉状態とする方向に常時付勢する放圧弁用弾性体を備え、
    前記放圧弁用弾性体は、前記第1蓄圧室内の圧力が予め設定された規定圧力を上回った場合に、前記放圧弁を開状態とするように構成され、
    前記放圧弁は、閉状態において前記第1蓄圧室の圧力を受ける受圧面積を、前記放圧用開口部の開口面積と独立に設定できるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のガス遮断器。
  5. 前記放圧弁用弾性体は、固有周波数が0.5kHz以上となるように構成されている、
    ことを特徴とする請求項4に記載のガス遮断器。
  6. 前記下流側ガス流路は、第1の下流側ガス流路および第2の下流側ガス流路から構成され、
    前記第2の下流側ガス流路は、投入状態から遮断動作初期には、前記第1アーク接触子または前記第2アーク接触子により閉状態に保たれ、予め設定された規定ストロークを経過した後に開状態となって前記アーク空間と前記下流空間を連通するように構成され、
    前記第1の下流側ガス流路は、投入状態から遮断動作初期には閉状態となり、前記第2の下流側ガス流路が開状態となった後に開状態となって前記アーク空間と前記下流空間を連通するように構成されている、
    ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載のガス遮断器。
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