JPH11120876A - パッファ形ガス遮断器 - Google Patents

パッファ形ガス遮断器

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JPH11120876A
JPH11120876A JP28367197A JP28367197A JPH11120876A JP H11120876 A JPH11120876 A JP H11120876A JP 28367197 A JP28367197 A JP 28367197A JP 28367197 A JP28367197 A JP 28367197A JP H11120876 A JPH11120876 A JP H11120876A
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JP
Japan
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chamber space
movable
gas
compression chamber
piston
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JP28367197A
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English (en)
Inventor
Hitoshi Mizoguchi
均 溝口
Tadashi Mori
正 森
Hiromichi Kono
広道 河野
Katsumi Suzuki
克巳 鈴木
Mitsuru Toyoda
充 豊田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電流零点における熱昇圧室圧力上昇値の低下
を防止すると共に、遮断後の密度低下を防止し、かつ高
い遮断性能を得ることにある。 【解決手段】 消弧性ガスが封入された容器内に対向配
置された固定接触子部10及び可動接触子部20を有し、固
定接触子部10は固定アーク接触子1を有し、可動接触子
部20は操作ロッド3、可動シリンダ4、可動アーク接触
子5、ノズル7及び小径ピストン部8dと大径ピストン部
8aを有し、可動シリンダ4の軸方向の中間に中間小内径
部4aが設けられ、その前方部に熱昇圧室空間S1 、後方
部圧縮室空間S2 が形成され、熱昇圧室空間をアークか
らの高温ガスの流入により加熱昇圧するとともに、小径
ピストン部で圧縮し、同時に圧縮室空間を大径ピストン
部で圧縮し、かつ圧縮室空間内径部の軸方向に適性な長
さの溝4bを設け、開極動作の途中で圧縮室空間のガス流
を放出し、開極動作終了時に再圧縮するように構成す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、送電系統や配電系
統を保護するために線路の地絡故障や線間短絡故障など
による電流を遮断するガス遮断器に係わり、特に開極時
の機械的圧縮とアークの熱エネルギーによる昇圧作用と
を併用して可動シリンダー内の圧力を上昇させ、接触子
間に発生するアークにガスを吹き付けて電流を遮断する
ように構成されたパッファ形ガス遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】現在72kV以上の高電圧送電系統の保
護用遮断器として、構造が単純で信頼性が高く、かつ優
れた遮断性能を有するパッファ形ガス遮断器が広く使用
されている。このパッファ形ガス遮断器では、可動接触
子と直結した可動シリンダーによってSF6 ガスなどの
消弧性ガスを圧縮して、高圧のガス流を発生させアーク
に吹付けて遮断性能を得ているため、可動シリンダ内の
圧力上昇によって遮断性能が決まっている。従って、高
い圧力上昇を得れば高い遮断性能が得られる。
【0003】しかしながら、圧力上昇が機械的駆動力の
反力として働くため、高い遮断性能を得るためには大き
な駆動エネルギが必要となっていた。そこで、従来では
小さい駆動エネルギーによって高い圧力上昇を得、高い
遮断性能のガスしゃ断器を得ることが種々試みられてい
る。その一つとして、圧縮室の前方にアークからの高温
ガスの流入によって昇圧する熱昇圧室空間を設け、この
熱昇圧室空間と圧縮室空間を仕切る壁に熱昇圧室空間か
ら圧縮室空間へのガス流入を阻止する逆止弁を設けて、
両室空間を連通し、大電流遮断時に熱昇圧室空間から圧
縮室空間への高温ガスの流入を防ぎ、圧縮室空間の圧力
上昇を低い値に保って駆動エネルギを低下させる方式
が、例えば特許公報昭57-54886、米国特許第4139752 及
び米国特許第4139734 にも見られるように知られてい
る。
【0004】さらに、その改良により一層効果的に低駆
動エネルギ化を達成する方式として、特許公報平7-1097
44が知られている。図10はこの公報に示されているパ
ッファ形ガス遮断器を示すもので、以下その構成につい
て説明する。
【0005】図10では中心線の下部半断面が閉極状態
を示し、上部半断面が遮断動作完了状態を示す。図10
において、図示していない消弧性のガスが封入された容
器内に固定接触子部10と可動接触子部20が対向配置
されている。なお、以下説明を簡略化する観点から、可
動接触子部20の位置関係について、固定接触子部10
側の方向を前方、その反対側を後方と定義する。
【0006】まず、固定接触子部10は、固定アーク接
触子1とその周囲に配置された固定通電接触子2から構
成されている。一方、可動接触子部20は前端部にフラ
ンジ部3aを有する中空の操作ロッド3とその操作ロッ
ド3の周囲に配置されてフランジ部3aに連結された可
動シリンダ4、この可動シリンダ4に固定され、中空か
つ指状の可動アーク接触子5とその周囲に配置された可
動通電接触子6、可動アーク接触子5を包囲する絶縁性
のノズル7、可動シリンダ4内後部に挿入された固定ピ
ストン8から構成されている。
【0007】上記可動シリンダ4内は中間仕切板4bに
より、前方の熱昇圧室空間S1 、及び後方の圧縮室空間
2 に分けられており、中間仕切板4bには熱昇圧室空
間S1 から圧縮空間室S2 へのガス流を阻止し、その逆
向きのガス流を可能とする逆止弁16が設けられてい
る。また、可動アーク接触子5とノズル7との間には、
熱昇圧室空間S1 からのガスを固定アーク接触子1側に
導くためのガス流路が形成されている。
【0008】この可動接触子部20において、操作ロッ
ド3は図示していない駆動装置によって、その軸方向に
往復動するように構成されており、その後部に中空部と
ガス封入雰囲気空間を連通する複数の排気孔3bが設け
られている。
【0009】更に固定ピストン8は、ロッド挿通穴を有
する円板状の大径ピストン部8aが形成され、そのロッ
ド挿通穴の周面を操作ロッド3の外周面が摺動すると共
に、その外周面を可動シリンダ−4が圧縮室空間S2
形成する部分の内周面が摺動するように構成されてい
る。この場合、固定ピストン8は、大径ピストン部8a
の後方に一体的に設けられて軸方向に伸びる中空のピス
トン支持管部8aを有し、このピストン支持管部8bに
よって図示していない支持絶縁部材を介して図示してい
ない容器内に固定される。
【0010】そして、このように固定された固定ピスト
ン8に対し、操作ロッド3と可動シリンダ−4が一体的
に移動することにより、可動シリンダー4と大径ピスト
ン部8aが相対移動し、それによって可動シリンダ−4
の内部に形成される空間S1が圧縮されるようになって
いる。
【0011】なお、ピストン支持管部8bの後部には、
その中空部とガス封入雰囲気中を連通する複数個の排気
孔8cが設けられている。また、大径ピストン部8aに
は、大電流を遮断する開極動作時に圧縮室空間S1 の圧
力上昇が所定の値を越えたときに圧縮室空間S1 の圧力
上昇が所定値を越えたときに圧縮室空間S1 のガスをガ
ス充気雰囲気中から圧縮室空間S1 へのガス流入を可能
として圧縮室空間S1 の減圧を防止する逆止弁17が取
り付けられている。
【0012】更に操作ロッド3の外周面の二つの位置に
軸方向に伸びる複数個の溝3d及び3eが加工されてい
る。溝3dは閉極状態においては図8の下半断面に示す
ように全長が圧縮室空間S2 をガス充気雰囲気中に連通
するように構成されている。また、溝3eは閉極状態に
おいて、圧縮室空間S2 とガス充気雰囲気中に連通する
ように構成されている。
【0013】溝3dの作用は、開極動作の最終段階での
圧縮室空間S2 の圧力上昇の低下を確実にし、低駆動エ
ネルギ化の達成に寄与することにあるとされており、溝
3eの作用は閉極動作時の終了段階で圧縮室空間S2
のガスの流入を確実にしている。
【0014】次にこのような構成のパッファ形ガス遮断
器における開極動作を説明する。まず、開極動作途中の
初期状態においては、図10に示すように矢印Dの方向
に操作ロッド3が移動しており、この操作ロッド3を含
む可動部、すなわち、操作ロッド3とこれに連結された
可動シリンダ−4、可動アーク接触子5、可動通電接触
子6およびノズル7が、矢印Dの方向に一体的に移動し
ている。
【0015】従って。可動シリンダ4における中間仕切
板4bより後方部分と大径ピストン部8aによって形成
される圧縮室空間S2 の容積が縮小し、S2 内の圧力が
上昇する。
【0016】逆止弁16は開極動作の初期、可動部の加
速度により急速に開の状態となり、その後圧縮室空間S
2 の圧力の上昇により逆止弁16の開状態は保たれ、圧
縮室空間S2 から熱昇圧室S1 へガス流が流れる。それ
によって、熱昇圧室S1 内の圧力が僅かに高められ、ノ
ズル7と可動アーク接触子5間の流路を通ってガス流が
固定アーク接触子1の方向へ流れる。
【0017】一方、このような開極動作によってまず固
定通電接触子2と可動通電接触子6が開離し、遅れて固
定アーク接触子1と可動アーク接触子5が開離する。従
って、量アーク接触子1と5の間にアークが発生する。
【0018】遮断電流が1kA程度、あるいはそれ以下
の小さいときその影響による熱昇圧空間S1 の圧力上昇
は低いので、上記に述べた熱昇圧空間S1 から圧縮室空
間S2 へガスが流れる状態が維持され、アークにガスが
吹付けられて遮断に至ることになる。
【0019】これに対し、数10KAに及ぶ大電流を遮
断するときには、アークからの高温ガスが前記ノズル7
と可動アーク接触子5間の流路を逆流して熱昇圧室空間
1に流入し、この熱昇圧室空間S1 内のガスを加熱し
て高い値にまで昇圧する。
【0020】電流零点でこの高い圧力によるガス流がノ
ズル7から固定アーク接触子1に向って流れ、アークを
冷却して電流零点で消滅させる。このように熱昇圧室空
間S1 の圧力が高められた状態では逆止弁16は閉とな
り、熱昇圧室空間S1 から圧縮室空間S2 へのガス流出
は防止される。しかしながら、圧縮室空間S2 から熱昇
圧室空間S1 へのガスの流出もなくなるので、圧縮室空
間S2 の圧力上昇は無負荷開極動作時や小電流遮断の開
極動作時に比べて格段に高くなるように働く。また、こ
のとき放圧弁18が動作して圧縮室空間S2 の圧力上昇
を所定の低い値に保つ。更に開極動作の最終段階では、
図10の上半部断面から分かるように溝3dにより圧縮
室空間S2 はガス充気雰囲気中に連通して圧縮室空間S
2 の圧力上昇値の低下は確実になる。このようにして、
大電流遮断の性能と低駆動エネルギ化が達成される。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このよ
うな従来のパッファ形のガス遮断器においては、図11
に示すように短絡事故の大電流を遮断する時、電流波高
値付近を過ぎて電流値が小さくなると、圧力上昇値が急
激に低下し、圧力上昇波高値に比べて電流零点の圧力上
昇値が著しく低下する。
【0022】この圧力上昇の顕著な低下は電流値が減少
すると、熱昇圧室空間S1 へのアークからの高温ガスの
流入がなくなること、及びアーク付近の高温ガス体積が
急激に縮小することによって引起こされ、圧縮作用のな
い熱昇圧室空間S1 の現象として必然性がある。遮断性
能には電流零点の圧力が大いに関係する。
【0023】このような電流零点における圧力低下はア
ーク時間が長くなるほど著しく、遮断性能の確保を困難
にしている。例え遮断性能を確保したとしても、このよ
うな大幅な圧力上昇低下時における遮断が非効率的であ
ることは明白である。
【0024】また、大電流遮断時の熱昇圧室空間S1
圧力上昇は、圧力や圧縮室空間S2からのガス流入によ
る密度増加によらず、アークからの高温ガスによる温度
上昇によって得られているため、電流遮断後温度上昇が
維持している状態でノズル7からガスが流出し、圧力が
ガス充気雰囲気と同じ値まで低下したとき、熱昇圧室空
間S1 のガス密度は初期の値(ガス充気雰囲気中のガス
密度と同じ)より著しく低下している。
【0025】電力系統での事故後の安定な送電を維持す
るため、遮断器には規格において遮断後直ちに再閉極し
て再び直ちに遮断を行う、高速再閉極遮断の責務が要求
されている。一度遮断した後、熱昇圧室空間S1 のガス
密度が著しく低下していると、直ちに再遮断を行う行う
とき十分な圧力上昇値を得ることが困難になる上、圧力
が上昇しても低い密度のガスをアークに吹付けることに
なり、遮断性能が低下する。高速再閉極遮断性能の低下
は大きな問題であり、遮断器設計の際、対応策として大
型化や駆動エネルギの増加を必要とする。
【0026】更に、図10の構成ではパッファ形ガス遮
断器の減速装置への負担が大きくなり、減速装置が大型
化し易いという問題点がある。一般にガスしゃ断器では
開極動作終了の直前に可動部の速度を減じて低衝撃での
停止を行うように油圧などによる減速装置が使用されて
いる。
【0027】可動シリンダでガスを圧縮するパッファ形
ガス遮断器における過度な圧力上昇は駆動エネルギを増
大させるので有用ではないが、開極動作終了直前におけ
る圧縮室の圧力上昇に限れば、それが減速のために有用
であり、減速装置への負担を軽くするという効果を持っ
ている。
【0028】また、圧縮室S2 の圧力上昇は放圧弁で制
限された上、終盤には溝3dによりさらに低下されて開
極動作終了時には圧力上昇はほぼ零となる。従って、圧
縮室2 の圧力上昇による可動部の減速効果は期待でき
ず、取り付ける減速装置で全て担うことになり、減速装
置を大きくすることが必要となる。
【0029】このように遮断性能低下の問題、及び付帯
装置の大型化の問題を解決するためには、駆動装置を含
むしゃ断器全体大きさを大きくして性能を向上させるこ
とが必要となり、製造及びその運用時の経済性の低下を
招き、好ましくない。
【0030】本発明は、上記のような問題点を解決する
ためになされたものであり、その目的は電流遮断時に遮
断性能に影響する熱昇圧室空間では高い圧力上昇を得る
一方、圧縮室空間の圧力上昇を必要最低限まで低下し、
かつ開極動作終了の直前効果的に減速することを可能と
し、高遮断性能で小型低駆動エネルギの経済性の高いパ
ッファ形ガス遮断器を提供することである。
【0031】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
目的を達成するために、ピストンに小径ピストン部と大
径ピストン部を設け、大径ピストン部と可動シリンダと
の相互作用により、開極動作時に圧縮空間のガスを圧縮
すると同時に、小径ピストン部を昇圧室空間に挿入し
て、小断面積で熱昇圧室空間のガスを圧縮するように構
成して、大電流遮断時の電流零点での圧力上昇値の低下
を防止するものである。
【0032】また、圧縮室空間を形成する可動シリンダ
の内径面の軸方向の一部に溝を設け、圧縮室空間のガス
を開極動作の途中の一時期にガス充気雰囲気中に放出し
て、その圧力上昇値を低下し、駆動力に対する圧力を低
下させて駆動エネルギの低下を可能とするものである。
加えて、開極動作終了の直前、前記可動シリンダ内径面
の溝を閉じ、圧縮室からのガス放出を止めて圧縮室のガ
ス圧力を再び上昇させ、圧縮室事態による効率的な減速
効果を発揮させるものである。
【0033】請求項1に対応する発明は、消弧性ガスが
封入された容器内に、固定接触子部およびこの固定接触
子部に対して軸方向に移動可能に対向配置された可動接
触子部を有し、前記固定接触子部は固定アーク接触子
と、固定通電接触子とを備え、前記可動接触子部は一部
に排気孔を有する中空の操作ロッドと、この操作ロッド
の周囲に配置され、且つその前方端部が前記操作ロッド
に取付けられ、軸方向中間部に内部を熱昇圧室空間と圧
縮室空間に分割する中間小内径部を有する可動シリンダ
ーと、この可動シリンダの前方に取付けられた中空の可
動アーク接触子と、この可動アーク接触子を包囲するよ
うに設けられた絶縁性のノズル及び前記可動通電接触子
と、前記可動シリンダ内に配置され、小径ピストン部と
大径ピストン部を有し、小径ピストン部の外径部が前記
可動シリンダの中間小内径部に挿入されて摺動し、かつ
大径ピストン部が前記可動シリンダ後部の圧縮室空間を
形成する内径部に挿入されて摺動するピストンとを備
え、前記可動シリンダの中間小内径部の後方で圧縮室空
間を構成する可動シリンダ内径面に軸方向に、開極動作
の途中、前記圧縮室空間とガス充気雰囲気中で連通し、
開極動作終了の直前にその連通を閉じる長さを有する複
数個の溝を設け、また前記可動シリンダの中間小内径部
には前記圧縮室空間から前記熱昇圧室空間へのガス流を
可能とし、その逆向きのガス流を阻止する逆止弁を設け
ると共に、前記ピストンの大径ピストン部にはガス充気
雰囲気中から前記圧縮室空間へのガス流を可能とし、そ
の逆向きのガス流を阻止する逆止弁を設ける構成とし、
開極動作時に前記可動シリンダと前記ピストンの相対移
動により前記圧縮室空間のガスを圧縮すると同時に、大
電流遮断時にアークからの高温ガスの流入による加熱昇
圧作用に前記小径ピストン部による圧縮作用を加えて、
前記熱昇圧室空間のガス圧力を効果的に高めて前記ノズ
ル内にガス流を発生させ、このガス流を前記固定アーク
接触子と前記可動アーク接触子間に発生するアークに吹
付けて電流を遮断するようにしたものである。
【0034】請求項2に対応する発明は、請求項1に対
応する発明において、前記操作ロッドの排気孔を開極動
作の初期には操作ロッドの中空部とガス圧縮室空間を連
通させ、開極動作の後期には操作ロッドの中空部をガス
充気雰囲気中に連通させる位置に設けたものである。
【0035】以上のような構成を有する請求項1及び請
求項2に対応する発明のパッファ形ガス遮断器によれ
ば、次のような作用効果が得られる。すなわち、開極動
作の初期には可動シリンダとピストンの相対移動により
可動シリンダの中間小径部の前方部とピストンの小径ピ
ストン部などで形成される熱昇圧室空間はピストンの小
径ピストン部によって圧縮され僅かに圧力上昇する。
【0036】一方このとき可動シリンダの中間小径部の
後方部と大径ピストン部で構成される圧縮室空間は大径
ピストン部によって圧縮され、その圧力が上昇する。圧
縮室空間の圧力上昇は熱昇圧室空間の圧力上昇に比べて
高く、このとき中間小径部に設けられた逆止弁は可動部
の加速度により開の状態になっているため、圧縮室空間
から熱昇圧室空間にガスが流入し、熱昇圧室空間の初期
密度が高められる。
【0037】開極動作が進行し、固定アーク接触子と可
動アーク接触子が開離し、その間に大電流によるアーク
が発生すると、それによって生ずる高温ガスが熱昇圧室
空間に流入し始め、その温度が上昇し、圧縮室空間の圧
力より高い圧力となる。このような状態になると、可動
シリンダの中間小内径部にある逆止弁は閉じられる。一
方、圧縮室空間では熱昇圧室空間へのガス流出が阻止さ
れたことにより、圧力がより上昇しようとする。
【0038】しかしながら、その付近で可動シリンダの
中間小内径部の後方の内径部に設けられた溝が圧縮室空
間とガス充気雰囲気中を連通する。従って、圧縮室空間
のガス圧力は急激に低下し、圧力上昇は低い値に保たれ
る。その作用により、駆動力に対する反力が低いレベル
に保たれ、低駆動エネルギ化が達成される。
【0039】また、図10に示す従来の方式では、電流
波高値を過ぎた付近から熱昇圧室空間の圧力上昇値が急
激に低下し、電流零点の圧力上昇値は圧力上昇波高値に
比べ格段に低い値になっていたが、請求項1に対応する
発明では、熱昇圧室空間が小ピストン部の小さい断面積
で圧縮し続けられるので、この圧力上昇値の低下は抑制
され、電流零点での圧力上昇値は圧力上昇波形値に近い
高い値に持たれ、高い遮断性能が得られる。
【0040】さらに開極動作が進行して、開極動作終了
位置に近付くと溝の長さの設定により、圧縮室空間とガ
ス充気雰囲気中の連通が閉じられ、圧縮室空間の圧力が
再び急激に上昇し、熱昇圧室空間の圧力より高くなる。
そのため、可動シリンダの中間小内径部に設けられた逆
止弁が開き、圧縮室空間から熱昇圧室空間にガスが流入
する。この作用により、遮断後の熱昇圧室空間の密度低
下が上昇し、高速再閉極遮断性能の低下が防止される。
また、この圧力上昇により可動部が減速されるので、装
着される減速装置の小形化が可能となる。
【0041】また、請求項1に対応する発明において
は、開極動作の時アークから操作ロッド中空部に至るガ
スは開極動作の初期、熱昇圧室空間に流入し、その温度
に上昇させるので、熱昇圧室空間内の圧力は効率的に高
められる。
【0042】請求項3に対応する発明は、請求項1に対
応する発明において、前記ピストンの小径ピストン部を
後退させた閉極状態の位置のとき、前記小径ピストン部
と前記可動シリンダの中間小内径部との間に間隙を存
し、開極動作の初期に前記小径ピストン部が前記可動シ
リンダの中間小内径部に挿入されるように構成したもの
である。
【0043】上記のような構成を有する請求項3に対応
する発明のガス遮断器によれば、請求項1に対応する発
明の作用と同様に熱昇圧室空間において、電流零点での
圧力上昇値の低下が少なく高い圧力上昇特性が得られ、
かつ低駆動エネルギ化が達成され、開極動作の終了の直
前から圧縮室空間の圧力を急上昇させて圧縮室空間から
熱昇圧室空間へガスを流入させることにより、熱昇圧室
空間の密度低下を防ぐことが可能である。また、圧縮室
空間事態の圧力上昇により可動部を効率的に減速する特
性が得られる。これらに加え、小径ピストン部を後退さ
せた距離だけ可動シリンダの長さを短くでき、ガスしゃ
断器の全長を短くできる。
【0044】請求項4に対応する発明は、請求項1に対
応する発明において、前記可動シリンダの中間小内径部
を後方に突出させ、前記ピストンの小径ピストン部を後
退させた閉極状態の位置のとき、前記ピストンの小内径
部を前記中間小内径部の後方突出部に挿入されるように
構成したものである。
【0045】上記のような構成を有する請求項4に対応
する発明のパッファ形ガス遮断器によれば、請求項1に
対応する発明の作用と同様に低駆動エネルギ化が達成さ
れ、電流零点で熱昇圧室空間の圧力上昇値の低下が少な
い特性が得られ、かつ熱昇圧室空間の密度低下を防ぐこ
とが可能となり、圧縮室空間自体の圧力上昇によ可動部
を減速する特性が得られる。
【0046】また、請求項3に対応する発明と同様に小
径ピストン部を後退させた距離だけ可動シリンダの長さ
を短くでき、ガス遮断器の全長を短くできる。さらに、
可動シリンダの小内径部の内径と小ピストン部の外径と
の差を最小限にできるので、熱昇圧室空間から圧縮室空
間へのガス漏れを最小にできる。
【0047】請求項5に対応する発明は、請求項1に対
応する発明において、開極動作中前記操作ロッドの排気
孔は少なくとも固定アーク接触子と可動アーク接触子が
開離する直後までに前記ピストンの小径ピストン部の後
方に達し、少なくとも固定アーク接触子と可動アーク接
触子が開離する直後以前の開極動作初期より前記操作ロ
ッドの中空部がガス封入雰囲気中に連通する位置に設け
られたものである。
【0048】上記のような構成を有する請求項5に対応
する発明のバッファ形ガス遮断器によれば、固定、可動
のアーク接触子が開離して、アークが発生した時から、
アークからの高温ガスは前記可動アーク接触子の中空部
と前記操作ロッド中空部を経てガス充気雰囲気中に排出
される。
【0049】従って、熱エネルギにより熱昇圧室空間の
圧力上昇は請求項1乃至請求項4に対応する発明より低
くなる。しかしながら、電流零点で熱昇圧室空間の圧力
上昇値の低下が少なくなり、低駆動エルネギ化が達成さ
れ、大電流遮断時の開極動作の終了時に熱昇圧室空間の
密度が低下することを防止でき、圧縮室空間自体の圧力
上昇により可動部を効率的に減速する特性が得られる作
用効果は請求項1乃至請求項4に対応する発明と同様で
ある。
【0050】請求項6に対応する発明は、消弧性ガスが
封入された容器内に、固定接触子部およびこの固定接触
子部に対して軸方向に移動可能に対向配置された可動接
触子部を有し、前記固定接触子部は固定アーク接触子
と、固定通電接触子とを備え、前記可動接触子部は一部
に排気孔を有する中空の操作ロッドと、この操作ロッド
の周囲に配置され、且つその前方端部が前記操作ロッド
に取付けられ、軸方向中間部に内部を熱昇圧室空間と圧
縮室空間に分割する中間小内径部を有する可動シリンダ
ーと、この可動シリンダの前方に取付けられた中空の可
動アーク接触子と、この可動アーク接触子を包囲するよ
うに設けられた絶縁性のノズル及び前記可動通電接触子
と、前記可動シリンダ内に配置され、小径ピストン部と
大径ピストン部を有し、小径ピストン部の外径部が前記
可動シリンダの中間小内径部に挿入されて摺動し、かつ
大径ピストン部が前記可動シリンダ後部の圧縮室空間を
形成する内径部に挿入されて摺動するピストンとを備
え、前記可動シリンダの中間小内径部の後方で圧縮室空
間を構成する可動シリンダ内径面に軸方向に、開極動作
中は前記圧縮室空間とガス充気雰囲気中で連通し、開極
動作終了の直前にその連通を閉じる長さを有する複数個
の溝を設け、また前記ピストンの小径ピストン部の先端
部から後方にかけて軸方向に伸びる複数の溝を設けて熱
昇圧室空間と圧縮室空間とを連通可能な構成とすると共
に、前記ピストンの大径ピストン部にはガス充気雰囲気
中から前記圧縮室空間へのガス流を可能とし、その逆向
きのガス流を阻止する逆止弁を設ける構成とし、開極動
作時に前記可動シリンダと前記ピストンの相対移動によ
り前記圧縮室空間のガスを圧縮すると同時に、大電流遮
断時にアークからの高温ガスの流入による加熱昇圧作用
に前記小径ピストン部による圧縮作用を加えて、前記熱
昇圧室空間のガス圧力を効果的に高めて前記ノズル内に
ガス流を発生させ、このガス流を前記固定アーク接触子
と前記可動アーク接触子間に発生するアークに吹付けて
電流を遮断するようにしたものである。
【0051】上記のような構成を有する請求項6に対応
する発明のバッファ形ガス遮断器によれば、可動シリン
ダの中間小径部に逆止弁を設ける必要がなく、請求項1
に対応する発明と同様に電流零点で熱昇圧室空間の圧力
上昇値の低下が少ない特性が得られる。また、圧縮室空
間の圧力上昇が低く抑えられることにより、低駆動エネ
ルギ化が達成される。
【0052】さらに、開極動作の終了の直前のガス補給
により熱昇圧室空間の密度低下を防止することが可能と
なる。また、圧縮室空間自体の圧力上昇により可動部を
効率的に減速する特性を得ることが可能である。
【0053】
【発明の実施の形態】以下本発明によるパッファ形ガス
遮断器の実施の形態を図面を参照して説明する。図1乃
至図3は、本発明によるパッファ形ガス遮断器の第1の
実施の形態の構成を示すものであり、図1(a)は閉極
状態を示す断面図、(b)は(a)のZ−Z矢視断面
図、図2(a),(b)は開極動作の初期及び中期の各
状態を示す断面図、図3(a),(b)は開極動作の後
期及び開極動作完了の各状態を示す断面図である。
【0054】図1乃至図3に示すように、消弧性のガス
が封入された図示していない容器内には、固定接触子部
10と可動接触子部20か対向配置されている。そのう
ち、固定接触子部10は、固定アーク接触子1とその周
囲に配置された固定通電接触子2から構成されている。
【0055】一方、可動接触子部20は前端部にフラン
ジ部3aを有する中空の操作ロッド3と、この操作ロッ
ド3の周囲に配置されてフランジ部3aの前方に連結さ
れ、軸方向の中間部に中間小径部4bを有する可動シリ
ンダ4、操作ロッド3のフランジ部3a前方に連結され
た中空かつ指状の可動アーク接触子5とその周囲に配置
された可動通電接触子6、可動アーク接触子5を包囲す
る絶縁性のノズル7、可動シリンダー4の内側に配置さ
れ、小径ピストン部8dとその支持管部8e及び大径ピ
ストン部8aとその支持管部8bを有するピストン8、
可動シリンダ4の外側に配置され、内径部に集電接触子
11を有し、支持部材12に固定される集電シリンダー
9より構成されている。
【0056】この可動接触子部20において、ピストン
8の小径ピストン部8dの内径は操作ロッド3の外径d
rとほぼ同じに(僅かに小さく)され、小径ピストン部
8dの外径dspは、可動シリンダ4の中間小内径部4
aととほぼ同じに(僅かに小さく)され、閉極状態から
小径ピストン部8dは可動シリンダ4の中間小内径部4
aの内径部に挿入され、開極動作時に中間小内径部4a
の内径面を操作ロッド3の外径部が摺動すると共に、可
動シリンダ4の中間小内径部4aの内径部が小径ピスト
ン部8d及びその支持管部8eの外径部を摺動するよう
に構成されている。
【0057】また、大径ピストン部8aの外径は可動シ
リンダの中間小内径部4aより後部の可動シリンダ4の
内径dccとほぼ同じに(僅かに小さく)され、大径ピ
ストン部8aは中間小内径部4aより後部の可動シリン
ダ4の内径部に挿入され、開極動作時に大径ピストン部
8aの外径部を可動シリンダ4後部の内径部が摺動され
るように構成されている。
【0058】上記構成により、操作ロッドのフランジ部
3a、中間小内径部4aより前方の可動シリンダ4、可
動シリンダの中間小内径部4a、ピストンの小径ピスト
ン部8d、操作ロッド3の外径部に包囲された熱昇圧室
空間S1 及び可動シリンダの中間小内径部4a、大径ピ
ストン部8a、小径ピストン部の支持管部4bに包囲さ
れた圧縮室空間S2 が形成される。
【0059】また、可動シリンダの中間小内径部4aに
は、圧縮室空間S2 から熱昇圧室空間S1 へのガス流を
可能とし、その逆向きのガス流を阻止する逆止弁16が
設けられ、大径ピストン部8aには、ガス充気雰囲気中
から圧縮室空間S2 へのガス流を可能とし、その逆向き
のガス流を阻止する逆止弁17が設けられ、かつ圧縮室
空間S2 を構成する中間小内径部4aの後方の可動シリ
ンダ4の内径部には、その軸方向の一部に複数個の溝4
bが設けられる。
【0060】この溝4bはしゃ断器の開極動作中、固定
アーク接触子と可動アーク接触子が開離した後短い時間
(図1に示すように可動部の移動距離がX1になる位
置)で圧縮室空間S2 とガス充気雰囲気中を連通し、開
極動作終了に近い位置(移動距離がX2になる位置)で
連通を閉じるようにその設置位置と長さが調整されてい
る。
【0061】ここで、操作ロッド3は図示していない駆
動装置によってその軸方向に往復運動するように構成さ
れており、その排気孔3bは図10の従来例より前方に
設けられている。すなわち、操作ロッド3の排気孔3b
はピストン8の小径ピストン部8dより前方に配置され
ており、図1(a)に示す開極状態においては可動アー
ク接触子5の中間部及び操作ロッド3の中間部と熱昇圧
室空間S1 とを連通させるように構成されている。
【0062】さらに、この操作ロッド3の排気孔3b
は、図3(a)に示す開極動作後期においては、可動ア
ーク接触子5の中間部及び操作ロッド3の中間部を小径
ピストン部8dの中間部とその排気孔8c及び集電シリ
ンダ9の排気孔9aを介してガス充気雰囲気中に連通し
ている。また、操作ロッド3の排気孔3bの直後には、
ガス流閉止部材3cが設けられている。このガス流閉止
部材3cは、操作ロッド3の前方からのガス流の後方へ
の流路を遮断し、排気孔3bからのガス流の排出を導く
ために設けられている。
【0063】さらに、このような可動シリンダを有する
パッファ形ガス遮断器の一般的構成として、可動シリン
ダ4を包囲する集電シリンダ9はその内径部に設けられ
る集電接触子11を介して可動シリンダ4の外径面と摺
動接触している。
【0064】次に上記のように構成された第1の実施の
形態のパッファ形ガス遮断器の作用について図1乃至図
4を用いて説明する。まず、図1に示す閉極状態におい
て、電流は固定接触子部10の固定通電接触子2から可
動通電接触子部20の可動通電接触子6に流れ、更に集
電接触子11を介して集電シリンダ−9に流れている。
このような閉極状態で、図2に示すように図示していな
い駆動装置からの駆動力が矢印Dの方向に働き、操作ロ
ッド3が矢印方向に移動すると、操作ロッド3を含む可
動部、すなわち、操作ロッド3とそれに連結された可動
シリンダ−4、可動アーク接触子5、可動通電接触子6
およびノズル7が矢印Dの方向に一体的に移動する。
【0065】このような開極動作により、圧縮室空間S
2 は圧縮断面積π(dcc2 −dsp2 )/4で圧縮さ
れ、熱昇圧室空間S1 は圧縮断面積π(dsp2 −dr
2 )/4で圧縮される。
【0066】開極動作の時、最初に固定通電接触子2と
可動通電接触子6が開離し、遅れて固定アーク接触子1
と可動アーク接触子5が開離し、固定アーク接触子1と
可動アーク接触子5の間にアークが発生する。
【0067】図2(a)は固定アーク接触子1と可動ア
ーク接触子5が開離する瞬間を示している。開極動作が
始まって図2(a)の状態になるまで、可動部に大きな
加速度が働いているので、逆止弁16は開となってい
る。また、圧縮室空間S2 の圧縮断面積π(dcc2
dsp2 )/4は熱昇圧室空間S1 の圧縮断面積π(d
sp2 −dr2 )/4より大きく、かつ熱昇圧室空間S
1 における“初期容積/小径ピストン8dの全移動距離
により減少する容積”を圧縮室空間S2 における“初期
容積/大径ピストン8aの全移動距離により減少する容
積”より大きく設定しておけば、図2(a)の矢印24
に示すように開極動作の初期、圧縮室空間S2 から熱昇
圧室空間S1 にガスが流れ、熱昇圧室空間S1 の初期ガ
ス密度が増加する。
【0068】開極動作が進行して、図2(b)のように
固定アーク接触子1と可動アーク接触子5の距離が大き
いなり、電流瞬時値も大きいとアーク21は大きなエネ
ルギを持ち、多量の高温ガスを発生する。図2(b)に
示すようにノズル7が開口していなければ、アークから
の高温ガス流23aとなってノズル7の外部に吹き出す
一方、ノズル7と可動アーク接触子5との管の流路を通
る22c、及び可動アーク接触子5と操作ロッド3の中
空部を通る22bとなって熱昇圧室空間S1 に流入し、
その温度を高め圧力に上昇させる。
【0069】小径ピストン部8dによる圧縮と相俟って
熱昇圧室空間S1 の圧力上昇は、短い時間に圧縮室空間
2 の圧力上昇より高くなる。このとき圧縮室空間S2
の圧力上昇による反力で可動部の加速度は小さくなって
いる。
【0070】従って、図2(b)に示すように逆止弁1
6は容易に閉となって、圧縮室空間S2 から熱昇圧室空
間S1 へのガス流出を阻止する。図2(b)に示す状態
より開極動作が進行して操作ロッド3の排気孔3bが小
径ピストン部8dの後部に出た状態になっても電流瞬時
値が大きければ、高温ガス流22cの熱昇圧室空間S1
への流入は持続し、熱昇圧室空間S1 の圧力は高められ
続ける。
【0071】一方、アーク21により圧縮室空間S2
圧力上昇が急激に大きくなるのに合せて、図2(b)に
示すように中間小内径部4aの後方の可動シリンダ4の
内面に設けられた溝4bが大径ピストン部8aの後方に
達し(可動部の移動距離がX1となり)、圧縮室空間S
2 をガス充気雰囲気中に連通する。そのため、圧縮室空
間S2 のガスは矢印25となってガス充気雰囲気中に放
出され、圧縮室空間S2 の圧力が急激に低下する。従っ
て、駆動力に対する反力が低下し、小さな駆動エネルギ
で開極動作の進行が可能となる。
【0072】更に、開極動作が進行し、開極動作の終了
直前の状態を図3(a)に示す。この状態ではノズル7
は十分に開口しているし、操作ロッド3の排気孔3bが
小径ピストン部8dの後部に開口しているので、電流瞬
時値が小さくなれば、ノズル7のスロート付近に充満し
ていた高温ガスが消失し、ガス流は熱昇圧室空間S1
ら23となって流れ出し、23aとなってノズル7から
噴出すると共に、23bとなって可動アーク接触子5の
中空部と操作ロッド3の中空部を通ってガス充気雰囲気
中に吹き出す。従って、アーク21は二方向のガス流に
よって強力に冷却されて電流零点で消滅され、遮断に至
らしめられる。
【0073】なお、図3(a)は遮断可能状態を典型的
に示したものであり、第1の実施の形態の構成では図3
(a)状態の前からノズル7は十分に開口し、排気孔3
bも小径ピストン部8dの後部に開口するので、その時
点で遮断が可能となる。
【0074】このような遮断可能な状態になる以前に、
熱昇圧室空間S1 の圧力上昇は前述のように主因である
アーク21からの高温ガスの流入による温度上昇に加
え、開極動作初期の密度上昇と小径ピストン部8dによ
る圧力作用により十分に高められている。また、第1の
実施の形態では図10に示す従来例と異なり、熱昇圧室
空間S1 が小径ピストン部8dにより圧縮されている効
果により、電流波高値付近で最大に達した圧力上昇値
(圧力上昇波高値)から電流零点までの圧力上昇値の低
下が小さい。従って、これらの作用により、高い遮断性
能が得られる。
【0075】また、図3(a)に示す開極動作終了の直
前の状態で、中間小内径部4aより後方の可動シリンダ
4の内径部に設けられた溝の前方端部が図に示すように
大径ピストン部8aに達し(可動部の移動距離が図1に
示すX2 となり)、圧縮室空間S2 とガス充気雰囲気中
との連通が閉じられる。従って、その後圧縮室空間S2
の圧力は再び急上昇する。
【0076】更に開極動作が進行し、開極動作の終了位
置に達した状態を図3(b)に示す。このとき熱昇圧室
空間S1 における操作ロッドのフランジ部3aとピスト
ン8の小径ピストン部8dとの距離はLce1 、圧縮室空
間S2 における可動シリンダの中間小径部4aとの距離
はLce2 であり、両距離は衝突を防ぐ機械的な余裕を確
保する最小値以上に設定される。
【0077】図3(a)の状態で電流が遮断されて以
後、熱昇圧室空間S1 のガスはノズル7から流出し続け
る。従って、その圧力はガス充気雰囲気中の圧力に近付
き、その密度が低下するが、再び圧縮され始めた圧縮室
空間S2 の圧力上昇値が熱昇圧室空間S1 の圧力上昇値
より高くなったとき、図3(b)に示すように逆止弁1
6が開いて圧縮室空間S2 のガスが熱昇圧室空間S1
流入する。従って、熱昇圧室空間S1 の密度が回復す
る。
【0078】この作用により、最初の遮断後直ちに閉極
して更に直ちに遮断を行う高速再閉極遮断の性能を高め
ることができる。また、開極動作終了直前の圧縮室空間
2の圧力上昇は可動部の減速に有効である。
【0079】第1の実施の形態において、開極動作時の
トラベル、熱昇圧室空間S1 の圧力上昇及び圧縮室空間
2 の圧力上昇を計算した結果の例を図4に示す。二つ
のアーク接触子が開離する直後まで、圧縮室空間S2
圧力上昇が熱昇圧室空間S1の圧力上昇より高く、圧縮
室空間S2 から熱昇圧室空間S1 にガスが供給され、ア
ークの発生後、熱昇圧室空間S1 の圧力が急激に上昇
し、圧縮室空間S2 の圧力上昇は溝4bによる圧縮室空
間S2 とガス充気雰囲気中の連通により低い値まで低下
している。
【0080】また、アーク時間は20msと長いが、熱昇
圧室空間S1 における電流零点の圧力上昇値は圧力上昇
波高値から著しく降下していない。また、開極動作終了
直前に圧縮室空間S2 の圧力が急激に上昇し、熱昇圧室
空間S1 にガスを供給する状況も明確に現れている。
【0081】なお、図3(b)に示す開極動作終了の状
態、逆止弁17が開き、圧縮室空間S2 にガス充気雰囲
気中よりガスが吸入されて圧縮室空間S2 の圧力低下が
防止される。また、熱昇圧室空間S1 の圧力が低下しよ
うとすると逆止弁16が開き、熱昇圧室空間S1 に圧縮
室空間S2 からガスが吸入され、熱昇圧室空間S1 の圧
力低下が防止される。
【0082】このように第1の実施の形態においては、
アークの熱エネルギによる昇圧効果に開極動作初期の密
度増加の効果と小径ピストン部による圧縮効果を加える
ことにより、圧縮室空間S2 において高い圧力上昇を得
ることができる。特に小径ピストン部による圧縮作用の
追加により、電流零点における圧力上昇の低下を抑制で
きることは有効であり、高い遮断性能を得ることができ
る。
【0083】また、図2(b)に示した位置以後、開極
動作終了の直前まで、圧縮室空間S2 の圧力上昇を低い
値に保つことができ、駆動力に対する反力を低減でき
る。従って、熱昇圧室空間S1 の高い圧力上昇による高
い遮断性能を得ながら駆動エネルギを低減できる。
【0084】図5は本発明によるパッファ形ガス遮断器
の第2の実施の形態を示す閉極状態の断面図である。な
お、図1と同一部品には同一符号を付してその説明を省
略し、ここでは異なる点について述べる。
【0085】第1の実施の形態の作用で述べたように、
開極動作の初期、圧縮室空間S2 から熱昇圧室空間S1
にガスを送り込むため、可動シリンダの中間小内径部4
aに設けられた逆止弁16は開となっていなければなら
ない。従って、圧縮室空間S2 と熱昇圧室空間S1 との
境界である可動シリンダの中間小内径部4aは固定的構
造として開状態となっていても差支えない。
【0086】そこで、第2の実施の形態では、ピストン
の小径ピストン部8dを後退させ、可動シリンダの中間
小内径部4aとの間に間隙Lpiを持たせ、開極動作の
初期に上記圧縮室空間S2 と熱昇圧室空間S1 との境界
部が開状態になるようにしている。
【0087】ここで、図5に示す小径ピストン部8dと
操作ロッドのフランジ部3aとの距離L1c は第1の実
施の形態と同じであり、操作ロッドのフランジ部3aと
可動シリンダの中間小内径部4aとの距離Lhcは小径
ピストン部8dが後退した長さだけ前記第1の実施の形
態より短く構成されている。
【0088】この場合、第2の実施の形態においては開
極動作の初期に小径ピストン部8dが可動シリンダの中
間小内径部4aに挿入される。従って、挿入時の衝突を
避けるため、可動シリンダの中間小内径部4aの内径d
cmと小径ピストン部8dの外径dcpとの差は、第1の
実施の形態よりやや大きくしてある。
【0089】それ以外の構成は第1の実施の形態と同じ
である。このような構成の第2の実施の形態において、
熱昇圧室空間S1 はピストンの小径ピストン部8dによ
って圧縮され、圧縮室空間S2 は大径ピストン部8aに
よって圧縮される。また、第2の実施の形態において
は、開極動作の初期、圧縮室空間S2 から逆止弁16を
通じて熱昇圧室空間S1 へガスが流入すると同時に、可
動シリンダの中間小内径部4aと小径ピストン部8dと
の間隙Lpiを通じてもガスが流入する。開極動作中に
おいて、固定アーク接触子1と可動アーク接触子5が開
離する付近で可動シリンダの中間小内径部4aに小径ピ
ストン部8dが挿入される。
【0090】第2の実施の形態では、遮断動作における
アーク接触子の開離とアークの発生から、遮断、遮断動
作の終了に至る熱昇圧空間S1 と圧縮室空間S2 の圧力
上昇の経過、逆止弁16の動作、閉極動作時における逆
止弁16,17の動作は図2に示す第1の実施の形態と
同様に図3に示す圧力上昇の特性が得られる。すなわ
ち、第1の実施の形態と同様に、アークの熱エネルギに
よる昇圧効果に開極動作初期の密度増加の効果と小径ピ
ストン部による圧縮効果が加えられることにより、熱昇
圧室空間S1 に高い圧力上昇を得ることができ、かつ電
流零点における圧力上昇の低下を抑制できる。
【0091】これらのことにより、高い遮断性能を得る
ことができる。また、溝4dの作用により開極動作終了
の直前まで、圧縮室空間S2 の圧力上昇を低い値に保っ
て駆動力に対する反力を低減できる。従って、熱昇圧室
空間S1 の高い圧力上昇による高い遮断性能を得なが
ら、駆動エネルギを低減できる。
【0092】更に第1の実施の形態と同様に、開極動作
終了の直前に圧縮室空間S2 の圧力を高め、逆止弁16
を開いて、圧縮室空間S2 のガスを熱昇圧室空間S1
流入させ、この熱昇圧室空間S1 の密度を回復させて高
速再閉極遮断の性能を高めることができる。また、開極
動作終了直前の圧縮室空間S2 の圧力上昇を可動部の減
速に利用できることも同様である。
【0093】図5に示す第2の実施の形態における特徴
的効果は、ガス遮断器の可動接触子部の長さを短くでき
ることである。前述した構成で述べたように第2の実施
の形態では、小径ピストン部8dを後退させたことによ
り、操作ロッドのフランジ部3aと可動シリンダの中間
小内径部4aとの距離Lhcを短くできる。
【0094】従って、第1の実施の形態に比べて可動シ
リンダ4の全長を縮小でき、それにより可動接触子部の
全長を短くでき、ガスしゃ断器の小形化を容易にでき
る。図6は本発明によるパッファ形ガス遮断器の第3の
実施の形態を示す閉極状態の断面図である。なお、図1
と同一部品には同一符号を付してその説明を省略し、こ
こでは異なる点について述べる。
【0095】第3の実施の形態では、可動シリンダ4の
中間小内径部4aの内径部を後方に突起させ、第2の実
施の形態で後退させた小径ピストン部8dの外径部が、
閉極状態において可動シリンダの中間小内径部4aの内
径部に挿入される構成とするものである。
【0096】このような構成は第1の実施の形態と同じ
なので、可動シリンダの中間小径部4aの内径と小径ピ
ストン部の外径との差は小さくて済み、摺動に必要な値
に設計される。また、可動シリンダの中間小内径部4a
の突出に対応して大径ピストン部8aに凹部が設けられ
る。
【0097】なお、以上の可動シリンダ中間小内径部4
a及びピストンの大径ピストン部8aの周辺の部分以外
の部分については、第2の実施の形態と同様に構成され
ている。
【0098】上記のような構成の第3の実施の形態によ
れば、第1の実施の形態及び第2の実施の形態と全く同
様の作用効果となる。第3の実施の形態においては、第
1の実施の形態と同様に可動シリンダの中間小径部4a
の内径と小径ピストン部の外径との差が小さく、熱昇圧
室空間S1 がアークにより高い圧力に昇圧されたとき、
その部分からのガス漏れを最小限にできる。従って、遮
断性能向上のために熱昇圧室空間S1 のガスを有効に使
用できる。このことはガスしゃ断器の小形化に有効であ
る。
【0099】図7及び図8は本発明によるパッファ形ガ
ス遮断器の第4の実施の形態を示すもので、図7(a)
は閉極状態を示す断面図、図7(b)は(a)のZ−Z
線に沿う矢視断面図、図8は開極動作終了時の状態を示
す断面図である。なお、図1と同一部品には同一符号を
付してその説明を省略し、ここでは異なる点について述
べる。
【0100】第4の実施の形態では、第1の実施の形態
において可動シリンダの中間小内径部4aに設けられて
いた逆止弁16が取り除かれ、ピストンの小径ピストン
部8dの外径部からその支持管部8eの外径部の先端に
伸びる複数個の溝8eを設ける。また、小径ピストン支
持管部8eの外径部における大径ピストン部8aの直近
部に軸方向に伸びる複数個の溝8gが設けられている。
【0101】ここで、第1の実施の形態と構成上の差異
について比較してみるに、第1の実施の形態では逆止弁
16が開極動作の初期には開となり、中期には閉とな
り、開極動作終了の直前、または終了後再び開となる。
これに対して第4の実施の形態では、図7(a)のよう
に可動シリンダの中間小内径部4aから逆止弁を取り除
いて小径ピストン部8eの軸方向の2か所に溝8fを設
けたことにより、開極動作の初期に可動部の移動距離が
X3となった位置で圧縮室空間S2 と熱昇圧室空間S1
を連通し、その後の開極動作の中期に閉、動作終了の直
前、可動部の移動距離がX4になった位置で閉となる。
【0102】このような構成は第2の実施の形態及び第
3の実施の形態についても適用可能である。なお、第4
の実施の形態における可動シリンダの中間小内径部4
a、小径ピストン部8d及びその支持管部8eの周辺以
外の部分については第1の実施の形態と同様に構成され
ている。
【0103】このような構成の第4の実施の形態におい
ては、開極動作の初期、小径ピストン部8dの外径部か
らその支持管部8eの先端の外径部にかけての溝8fを
通じて圧縮空間S2 から熱昇圧室空間S1 にガスが流れ
る。可動部の移動距離がX3となった以後の開極動作の
中期には圧縮室空間S2 と熱昇圧室空間S1 との連通は
閉じられている。また、開極動作終了の直前、可動部の
移動距離X4となった位置から終了までは図8に示すよ
うに小径ピストン部の支持管部8eに設けられた溝8g
を通じて圧縮空間室S2 から熱昇圧室空間S1 にガスが
供給される。熱昇圧室空間S1 のガス密度が高められ、
高速再閉極遮断に備えられる。
【0104】第4の実施の形態におけるアーク接触子の
開極とアークの発生から、遮断、遮断動作の終了に至る
熱昇圧室空間S1 と圧縮室空間S2 の圧力上昇の経過、
閉極動作時における逆止弁16,17の動作は図2に示
す第1の実施の形態と同様であり、図3に示す圧力上昇
の特性が得られる。すなわち、第1の実施の形態と同様
にアークの熱エネルギによる昇圧効果に、開極動作初期
の密度増加の効果と小径ピストン部による圧縮効果が加
えられることにより、熱昇圧室空間S1 において高い圧
力上昇を得ることができ、更に電流零点における圧力上
昇の低下を抑制することができる。
【0105】その作用により、高い遮断性能を得ること
ができる。また、溝4bにより開極動作終了の直前ま
で、圧縮室空間S2 の圧力上昇を低い値に保って駆動力
に対する反力を低減できる。従って、熱昇圧室空間S1
の高い遮断性能を得ながら、駆動エネルギを低減でき
る。
【0106】更に、第1の実施の形態と同様に開極動作
狩猟の直前に圧縮室空間S2 の圧力を高め、逆止弁16
を開いて、圧縮室空間S2 のガスを熱昇圧室空間S1
流入させ、この熱昇圧室空間S1 の密度を回復させて高
速再閉極遮断の性能を高めることができる。また、開極
動作終了直前の圧縮室空間S2 の圧力上昇を可動部の減
速に利用できることも同様である。
【0107】図7及び図8に示す第4の実施の形態にお
ける特徴的効果は、可動シリンダの中間小内径部4aに
逆止弁を取付けないで済むことである。これにより構造
の簡単化が達成され、製造コストの低減化が可能とな
る。
【0108】図9は本発明によるパッファ形ガス遮断器
の第5の実施の形態の閉極状態を示す断面図である。な
お、図1と同一部品には同一符号を付してその説明を省
略し、ここでは異なる点について述べる。
【0109】第5の実施の形態では、操作ロッド3の排
気孔3bが閉極状態のときから小径ピストン部8dの後
方に位置するか、または開極動作中少なくとも固定アー
ク接触子1と可動アーク接触子5が開離する直後までに
小径ピストン部8dの後方に達し、操作ロッド3の中空
部とガス充気雰囲気中を通過するように構成したもので
ある。
【0110】図9において、操作ロッド3の周辺以外は
第1の実施の形態と同様に構成されているが、図9に示
す第5の実施の形態は第2の実施の形態乃至4の実施の
形態に同様に適用可能である。
【0111】このような構成の第5の実施の形態におい
て、固定アーク接触子1と可動アーク接触子5の開離後
発生するアークから可動アーク接触子5の中空部を経
て、操作ロッド3の中空部に流れる高温ガスが熱昇圧室
空間S1 に流入せず、直ちに操作ロッド3の排気孔3b
からピストン支持部22の中空部に排出され、ピストン
支持管部8bの排気孔8cを通じてガス充気封入雰囲気
中に排気される。
【0112】従って、アークの熱による熱昇圧室空間S
1 の昇圧効果は第1乃至第4の実施の実施の形態より低
く、圧力上昇も低くなる。しかしながら、開極動作によ
り固定アーク接触子1と可動アーク接触子5が開離して
両接触子間にアークが発生子、アークが消滅し、開極終
了位置に達するまでの作用は第1の実施の形態と同様で
ある。
【0113】また、熱昇圧室空間S1 に電流零点での低
下が少ない高い圧力上昇が得られる一方、圧縮室空間S
2 の圧力は低く抑えられるので、高い遮断性能が得られ
るにも関わらず、駆動エネルギを低減できること、及び
開極動作の終了時に圧縮室空間S2 から熱昇圧空間S1
にガスが供給され、高速再閉極遮断の性能が高められる
ことの効果も第1の実施の形態と同様である。
【0114】なお、本発明は各実施の形態に限定される
ものではなく、多種多用な形態で実施することが可能で
ある。例えば、各実施の形態の複数の形態を適宜組合せ
ることも可能である。また、ピストンにおける小径ピス
トン部と大径ピストン部の具体的構成及びその断面積の
比率、熱昇圧室空間と圧縮室空間における初期容積と最
終容積の比率は、適宜選択可能である。更に、各部に設
ける逆止弁、溝などの数や形状、寸法などは自由に設計
可能である。
【0115】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、前
方部に熱昇圧室空間、後方部に圧縮室空間を有し、その
境界の仕切部に圧縮室空間から熱昇圧室空間の方向のみ
ガスの流れを可能とする逆止弁を有する可動シリンダ内
に小径ピストン部と大径ピストン部を有するピストンを
設け、熱昇圧室空間をアークからの高温ガスの流入によ
り加熱昇圧すると共に小径ピストン部で圧縮し、同時に
圧縮室空間を大径ピストン部で圧縮し、かつ圧縮室空間
内径部の軸方向に適正な長さの溝を設け、開極動作の途
中圧縮室空間のガスを放出し、開極動作終了時に再圧縮
するように構成したので、従来に比べて圧縮室の圧力上
昇を低い値に保ちながら、熱昇圧室の圧力を高め、かつ
電流零点での圧力低下を小さくし、更に開極動作の終了
時に圧縮室から熱昇圧室へガスを流入させて熱昇圧室の
ガス密度低下を防止することにより、駆動エネルギが小
さく、優れた遮断性能のパッファ形ガス遮断器を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態のパッファ形ガ
ス遮断器の構成を示すものであり、(a)は閉極状態を
示す断面図、(b)は(a)のZ−Z線に沿う矢視図断
面図。
【図2】(a)は図1のパッファ形ガス遮断器の開極動
作の初期の状態を示す上半部の断面図、(b)は開極動
作の中期の状態を示す断面図。
【図3】(a)は図1のパッファ形ガス遮断器の開極動
作の後期の状態を示す断面図、(b)は開極動作の終了
状態を示す上半部の断面図。
【図4】同実施の形態のパッファ形ガス遮断器の遮断電
流及び開極トラベルと圧力上昇特性を示す曲線図。
【図5】本発明による第2の実施の形態のパッファ形ガ
ス遮断器の閉極状態を示す断面図。
【図6】本発明による第3の実施の形態のパッファ形ガ
ス遮断器の閉極状態を示す断面図。
【図7】本発明による第4の実施の形態のパッファ形ガ
ス遮断器の構成例を示すもので、(a)は閉極状態を示
す断面図、(b)は(a)のZ−Z線に沿う矢視断面
図。
【図8】同実施の形態のパッファ形ガス遮断器の開極動
作終了の状態を示す上半部の断面図。
【図9】本発明による第5の実施の形態のパッファ形ガ
ス遮断器の閉極状態を示す断面図。
【図10】従来のパッファ形ガス遮断器の一例を示すも
ので、中心線から下はその閉極状態を示す半断面図、中
心線から上は遮断動作終了状態を示す半断面図。
【図11】従来のパッファ形ガス遮断器の遮断電流と開
極ストロークおよび熱昇圧室空間の圧力上昇の経時的な
関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1……固定アーク接触子 2……固定通電接触子 3……操作ロッド 3a……フランジ部 3b……排気孔 3c……ガス流閉止部 4……可動シリンダ 4a……中間小内径部 4b……溝 5……可動アーク接触子 6……可動通電接触子 7……ノズル 8……ピストン 8a……大径ピストン部 8b……ピストン支持管部 8c……排気孔 8d……小径ピストン部 8f,8g……溝 9……集電シリンダ 10……固定接触子部 11……集電接触子 12…………支持部材 16,17……逆止弁 20……可動接触子部 21……アーク 22a,22b,22c……高温ガス流 23,23a,23b,24,25,26……ガス流 S1 ……熱昇圧室空間 S2 ……圧縮室空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 克巳 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 豊田 充 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消弧性ガスが封入された容器内に、固定
    接触子部およびこの固定接触子部に対して軸方向に移動
    可能に対向配置された可動接触子部を有し、 前記固定接触子部は固定アーク接触子と、固定通電接触
    子とを備え、 前記可動接触子部は一部に排気孔を有する中空の操作ロ
    ッドと、この操作ロッドの周囲に配置され、且つその前
    方端部が前記操作ロッドに取付けられ、軸方向中間部に
    内部を熱昇圧室空間と圧縮室空間に分割する中間小内径
    部を有する可動シリンダーと、この可動シリンダの前方
    に取付けられた中空の可動アーク接触子と、この可動ア
    ーク接触子を包囲するように設けられた絶縁性のノズル
    及び前記可動通電接触子と、前記可動シリンダ内に配置
    され、小径ピストン部と大径ピストン部を有し、小径ピ
    ストン部の外径部が前記可動シリンダの中間小内径部に
    挿入されて摺動し、かつ大径ピストン部が前記可動シリ
    ンダ後部の圧縮室空間を形成する内径部に挿入されて摺
    動するピストンとを備え、 前記可動シリンダの中間小内径部の後方で圧縮室空間を
    構成する可動シリンダ内径面に軸方向に、開極動作の途
    中、前記圧縮室空間とガス充気雰囲気中で連通し、開極
    動作終了の直前にその連通を閉じる長さを有する複数個
    の溝を設け、また前記可動シリンダの中間小内径部には
    前記圧縮室空間から前記熱昇圧室空間へのガス流を可能
    とし、その逆向きのガス流を阻止する逆止弁を設けると
    共に、前記ピストンの大径ピストン部にはガス充気雰囲
    気中から前記圧縮室空間へのガス流を可能とし、その逆
    向きのガス流を阻止する逆止弁を設ける構成とし、開極
    動作時に前記可動シリンダと前記ピストンの相対移動に
    より前記圧縮室空間のガスを圧縮すると同時に、大電流
    遮断時にアークからの高温ガスの流入による加熱昇圧作
    用に前記小径ピストン部による圧縮作用を加えて、前記
    熱昇圧室空間のガス圧力を効果的に高めて前記ノズル内
    にガス流を発生させ、このガス流を前記固定アーク接触
    子と前記可動アーク接触子間に発生するアークに吹付け
    て電流を遮断するようにしたことを特徴とするパッファ
    形ガス遮断器。
  2. 【請求項2】 請求項1記載のパッファ形ガス遮断器に
    おいて、前記操作ロッドの排気孔を開極動作の初期には
    操作ロッドの中空部とガス圧縮室空間を連通させ、開極
    動作の後期には操作ロッドの中空部をガス充気雰囲気中
    に連通させる位置に設けたことを特徴とするパッファ形
    ガス遮断器。
  3. 【請求項3】 請求項1記載のパッファ形ガス遮断器に
    おいて、前記ピストンの小径ピストン部を後退させた閉
    極状態の位置のとき、前記小径ピストン部と前記可動シ
    リンダの中間小内径部との間に間隙を存し、開極動作の
    初期に前記小径ピストン部が前記可動シリンダの中間小
    内径部に挿入されるように構成したことを特徴とするパ
    ッファ形ガス遮断器。
  4. 【請求項4】 請求項1記載のパッファ形ガス遮断器に
    おいて、前記可動シリンダの中間小内径部を後方に突出
    させ、前記ピストンの小径ピストン部を後退させた閉極
    状態の位置のとき、前記ピストンの小内径部を前記中間
    小内径部の後方突出部に挿入されるように構成したこと
    を特徴とするパッファ形ガス遮断器。
  5. 【請求項5】 請求項1記載のパッファ形ガス遮断器に
    おいて、開極動作中前記操作ロッドの排気孔は少なくと
    も固定アーク接触子と可動アーク接触子が開離する直後
    までに前記ピストンの小径ピストン部の後方に達し、少
    なくとも固定アーク接触子と可動アーク接触子が開離す
    る直後以前の開極動作初期より前記操作ロッドの中空部
    がガス封入雰囲気中に連通する位置に設けられたことを
    特徴とするパッファ形ガス遮断器。
  6. 【請求項6】 消弧性ガスが封入された容器内に、固定
    接触子部およびこの固定接触子部に対して軸方向に移動
    可能に対向配置された可動接触子部を有し、 前記固定接触子部は固定アーク接触子と、固定通電接触
    子とを備え、 前記可動接触子部は一部に排気孔を有する中空の操作ロ
    ッドと、この操作ロッドの周囲に配置され、且つその前
    方端部が前記操作ロッドに取付けられ、軸方向中間部に
    内部を熱昇圧室空間と圧縮室空間に分割する中間小内径
    部を有する可動シリンダーと、この可動シリンダの前方
    に取付けられた中空の可動アーク接触子と、この可動ア
    ーク接触子を包囲するように設けられた絶縁性のノズル
    及び前記可動通電接触子と、前記可動シリンダ内に配置
    され、小径ピストン部と大径ピストン部を有し、小径ピ
    ストン部の外径部が前記可動シリンダの中間小内径部に
    挿入されて摺動し、かつ大径ピストン部が前記可動シリ
    ンダ後部の圧縮室空間を形成する内径部に挿入されて摺
    動するピストンとを備え、 前記可動シリンダの中間小内径部の後方で圧縮室空間を
    構成する可動シリンダ内径面に軸方向に、開極動作中は
    前記圧縮室空間とガス充気雰囲気中で連通し、開極動作
    終了の直前にその連通を閉じる長さを有する複数個の溝
    を設け、また前記ピストンの小径ピストン部の先端部か
    ら後方にかけて軸方向に伸びる複数の溝を設けて熱昇圧
    室空間と圧縮室空間とを連通可能な構成とすると共に、
    前記ピストンの大径ピストン部にはガス充気雰囲気中か
    ら前記圧縮室空間へのガス流を可能とし、その逆向きの
    ガス流を阻止する逆止弁を設ける構成とし、開極動作時
    に前記可動シリンダと前記ピストンの相対移動により前
    記圧縮室空間のガスを圧縮すると同時に、大電流遮断時
    にアークからの高温ガスの流入による加熱昇圧作用に前
    記小径ピストン部による圧縮作用を加えて、前記熱昇圧
    室空間のガス圧力を効果的に高めて前記ノズル内にガス
    流を発生させ、このガス流を前記固定アーク接触子と前
    記可動アーク接触子間に発生するアークに吹付けて電流
    を遮断するようにしたことを特徴とするパッファ形ガス
    遮断器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011222247A (ja) * 2010-04-08 2011-11-04 Toshiba Corp ガス遮断器
US10395855B2 (en) 2016-04-28 2019-08-27 Mitsubishi Electric Corporation Switch

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011222247A (ja) * 2010-04-08 2011-11-04 Toshiba Corp ガス遮断器
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