JPH09213180A - ガス遮断器 - Google Patents

ガス遮断器

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JPH09213180A
JPH09213180A JP1459496A JP1459496A JPH09213180A JP H09213180 A JPH09213180 A JP H09213180A JP 1459496 A JP1459496 A JP 1459496A JP 1459496 A JP1459496 A JP 1459496A JP H09213180 A JPH09213180 A JP H09213180A
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piston
floating piston
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JP1459496A
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Inventor
Hitoshi Mizoguchi
均 溝口
Tadashi Mori
正 森
Takeshi Shinkai
健 新海
Toshikazu Sato
敏和 佐藤
Katsumi Suzuki
克巳 鈴木
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 開極動作後半の高い圧力上昇によって生じる
反力を低減し、小さい駆動エネルギーで安定した高い遮
断性能を得る。 【解決手段】 消弧性のガスが充填された容器内に、固
定接触子部10と可動接触子部20が対向配置される。
固定接触子部10は、固定アーク接触子1を有し、可動
接触子部20は、操作ロッド3、シリンダ4、可動アー
ク接触子5、ノズル7、およびピストン部を有する。シ
リンダ4の軸方向中央部に、内側に突出する中間小径部
4aが設けられる。シリンダ4内の内側に固定ピストン
21が設けられる。固定ピストン21に固定されたピス
トンパイプ22の外側に浮動ピストン23が設けられ
る。浮動ピストン23は、バネ24によって前方に付勢
され、固定ピストン21によって位置規制される。浮動
ピストン23は、開極動作途中で中間小径部4aに係合
し、その後はシリンダ4と一体的に動作する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、送電系統や配電系
統を保護するために線路の地絡故障や線間短絡故障など
による電流を遮断するガス遮断器に係り、特に、開極時
の機械的圧縮とアークの熱エネルギーによる昇圧作用と
を併用してシリンダ内の圧力を上昇させ、接触子部間に
発生するアークにガスを吹き付けて電流を遮断するよう
に構成されたパッファ形のガス遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、72kV以上の高電圧送電系統の
保護用開閉器として、構造が単純で信頼性が高く、かつ
優れた遮断性能を有するパッファ形のガス遮断器が広く
使用されている。このパッファ形のガス遮断器では、可
動接触子と直結したシリンダによってSF6 ガスなどの
消弧性のガスを圧縮して高圧のガス流を形成しているた
め、その遮断性能はシリンダの圧力上昇特性によって大
きな影響を受けることになる。これに対し、従来から小
さいシリンダと小さい駆動力によって高い圧力上昇を得
る方法が種々試みられている。
【0003】図11は、そのような昇圧方法の一つを採
用した従来のガス遮断器の一例を示す図であり、特に、
開極動作途中の状態を示す断面図である。この図11に
示すように、消弧性のガスが充填された図示していない
容器内には、固定接触子部10と可動接触子部20が対
向配置されている。なお、以下には、記載の簡略化の観
点から、可動接触子部20の位置関係について、固定接
触子部10側の方向を前方、その反対側を後方と定義し
て説明する。
【0004】まず、固定接触子部10は、固定アーク接
触子1とその周囲に配置された固定通電接触子2から構
成されている。一方、可動接触子部20は、前端部にフ
ランジ部3aを有する中空の操作ロッド3とこの操作ロ
ッド3の周囲に配置されてフランジ部3aに連結された
シリンダ4、フランジ部3aの前方に連結された中空か
つ指状の可動アーク接触子5とその周囲に配置された可
動通電接触子6、可動アーク接触子5を包囲する絶縁性
のノズル7、およびシリンダ4内に挿入された固定ピス
トン8から構成されている。
【0005】以上のような可動接触子部20のうち、操
作ロッド3は、図示していない駆動装置によって、その
軸方向に往復動するように構成されており、その後部
に、その中空部と充填ガス雰囲気空間とを連通する複数
の排気孔3bを有している。また、可動アーク接触子5
とノズル7との間には、シリンダ4内部の圧縮空間S1
で圧縮されたガスを高圧のガス流として固定アーク接触
子1側に導くためのガス流路が形成されている。
【0006】さらに、固定ピストン8は、円形平板状に
形成されており、その内周面で操作ロッド3の外周面に
対して摺動すると共に、その外周面でシリンダ4の内周
面に対して摺動するように構成されている。この場合、
固定ピストン8は、その後方に一体的に設けられて軸方
向に伸びるパイプ部8aを有し、このパイプ部8aによ
って、図示していない容器内に固定されている。そし
て、このように固定された固定ピストン8に対し、操作
ロッド3とシリンダ4が一体的に移動することにより、
シリンダ4と固定ピストン8とが相対移動し、それによ
って、シリンダ4内部に形成される空間S1 が圧縮され
るようになっている。なお、パイプ部8aの後部には、
その中空部と充填ガス雰囲気空間とを連通する複数の排
気孔8bが設けられている。
【0007】以上のような構成を有する図11のガス遮
断器における開極動作について、次に説明する。まず、
開極動作途中の初期状態においては、図11に示すよう
に、矢印Dの方向に操作ロッド3が移動しており、この
操作ロッド3を含む可動部、すなわち、この操作ロッド
3とそれに連結されたシリンダ4、可動アーク接触子
5、可動通電接触子6、およびノズル7が、矢印Dの方
向に一体的に移動している。この図11は、このような
開極動作によって固定アーク接触子1と可動アーク接触
子5が開離した直後の状態を示しており、両アーク接触
子1,5間にはアーク11が発生している。
【0008】ここで、図11は、電流値の大きい瞬時の
状態を示しており、アークの体積は大きくなっている。
このような状態において、アーク11によって加熱され
た周囲のガスは、大別して3方向の高温のガス流12
a,12b,12cとなる。ここで、ガス流12aは、
固定アーク接触子1に沿ってノズル7外部に流出するガ
ス流である。そして、ガス流12bは、可動アーク接触
子5の中空部から操作ロッド3の中空部内に流入し、排
気孔3bを介して充填ガス雰囲気空間に排出されるガス
流である。また、ガス流12cは、可動アーク接触子5
とノズル7との間のガス流路からシリンダ4内部に流入
するガス流である。したがって、シリンダ4内部の空間
1 の圧力は、シリンダ4とピストン8との相対移動に
よる機械的な圧縮作用に加えて、このガス流12cによ
って伝達されるアークの熱エネルギーによっても昇圧さ
れることになる。
【0009】このような開極動作の初期状態から開極が
進むと、シリンダ4内部の空間S1の圧力は、遮断する
のに十分な高さまで昇圧される。このように空間S1
十分に昇圧された状態で、ノズル7のスロート部が十分
に開口すると、可動アーク接触子5とノズル7との間の
ガス流路から固定アーク接触子1に向かって流れる高圧
のガス流が発生する。すなわち、前述したガス流12c
と逆向きのガス流が発生する。その一方で、可動アーク
接触子5の中空部では、開極動作の初期から前述したよ
うなガス流12bが発生しているため、アーク11は、
このような2方向のガス流によって、相乗的に強力に冷
却されて消弧され、電流遮断が達成される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、以上の
ような従来のパッファ形のガス遮断器においては、開極
動作の後半にシリンダ4内の圧力上昇が過大になると、
その反力のために開極速度が減速され、圧力が急激に低
下してしまい、その結果、遮断性能が低下してしまう可
能性がある。この点について、図12を参照して具体的
に説明する。
【0011】ここで、図12は、遮断電流と開極ストロ
ーク、およびシリンダ内部の圧力上昇の経時的な関係を
示すグラフである。この図12の実線Xに示すように、
遮断電流のアーク時間が長い場合には、開極終了位置に
達する前に圧力上昇の反力によって開極動作が停止に至
り、さらには逆行することもある。
【0012】このように、開極動作が停止し、さらには
逆行した場合でも、シリンダ内部のガスは流出している
ため、シリンダ内部の圧力は低下する。そして、このよ
うなシリンダ内部の圧力の低下によって、駆動力が反力
より大きくなれば、可動部には開極方向に加速度が加わ
るが、このような加速度が加わっても、物体の慣性があ
るため、可動部がすぐに動作を開始したり、動作方向を
すぐに逆転することは困難である。一方、このようにガ
スを流出した時点で、シリンダ内部の容積は小さくなっ
ているため、圧縮作用がない状態ではその圧力は急激に
低下する。その結果、図12に示すように、長いアーク
時間での電流零点の圧力が低下してガスの吹き付けが弱
くなり、遮断性能が低下して必要な遮断アーク時間幅が
得られなくなる場合がある。
【0013】このような長いアーク時間での圧力低下を
防止する一つの方法は、駆動エネルギーと可動部の質量
を大きくすることである。そうすることにより、図12
に点線X´で示すように、可動部の慣性力が大きくなる
ため、開極動作が停止することがなくなり、圧力上昇に
ついても、点線で示すように、電流零点での値は十分に
高く維持され、十分に長い遮断アーク時間幅が得られ
る。しかしながら、このように駆動エネルギーを大きく
するためには、そのような駆動エネルギーに耐え得るだ
けの強度が必要となり、遮断器全体の寸法の大型化につ
ながる。このような遮断器の大型化は、製造と使用の両
方のコストを上昇させてしまうため、好ましくない。
【0014】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
開極動作の後半の高い圧力上昇による反力を低減するこ
とにより、小さい駆動エネルギーで安定した高い遮断性
能を得ることが可能な、優れたガス遮断器を提供するこ
とである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、以上のような
目的を達成するために、シリンダ内部に固定と浮動の2
種類のピストンを設け、シリンダ内部の空間を、開極動
作の初期には両方のピストンによって圧縮し、開極動作
の途中からは固定ピストンのみによって圧縮するように
構成することにより、開極動作後半の圧縮断面積を縮小
して可動部の受ける反力を低減し、駆動エネルギーの低
減を可能にするものである。
【0016】本発明のガス遮断器は、まず、次のような
構成を有することを前提としている。すなわち、ガス遮
断器は、消弧性のガスが充填された容器内に、対向配置
された固定接触子部および可動接触子部を有する。この
うち、固定接触子部は、固定アーク接触子を有する。一
方、可動接触子部は、前記固定接触子部側の方向を前
方、その反対側を後方と定義した場合に、その一部に排
気孔を有する中空の操作ロッドとこの操作ロッドの周囲
に配置されてその前端部で操作ロッドに取り付けられた
シリンダ、このシリンダの前端部の前方に取り付けられ
た中空の可動アーク接触子とそれを包囲する絶縁性のノ
ズル、および前記シリンダ内に挿入されたピストンを有
する。そして、ガス遮断器は、開極動作時には、前記シ
リンダと前記ピストンとの相対移動によりガスを圧縮し
て前記可動アーク接触子と前記ノズルの間を流れる高圧
のガス流を発生させ、この高圧のガス流を両アーク接触
子間に発生するアークに吹き付けて電流を遮断し、開極
動作の後期には、前記アークによって加熱された前記操
作ロッドの中空部内のガスを前記排気孔を介して充填ガ
ス雰囲気空間中に排出するように構成される。
【0017】請求項1記載の発明は、以上のようなガス
遮断器において、シリンダとピストンおよびその周辺部
分が次のように構成されることを特徴としている。すな
わち、請求項1記載の発明において、シリンダは、その
軸方向中央部に、内側に突出する中間小径部を有し、ピ
ストンは、前記シリンダ内部の内側と外側にそれぞれ設
けられた固定ピストンと浮動ピストンである。このう
ち、固定ピストンは、その後方に固定されて軸方向に伸
びるピストンパイプ部を有する。そして、固定ピストン
は、前記操作ロッドの外径とほぼ等しい内径と、前記シ
リンダの前記中間小径部の内径以下の外径を有し、前記
操作ロッドに対して摺動すると共に、前記シリンダの前
記中間小径部の内側を通過できるように構成される。
【0018】また、浮動ピストンは、前記シリンダ内部
における前記中間小径部の後方部分の、ピストンパイプ
部の外側に設けられる。さらに、この浮動ピストンを前
方に付勢するバネと、浮動ピストンの前進位置を規制す
る位置規制構造が設けられる。そして、浮動ピストン
は、前記シリンダの前記中間小径部の後方部分の内径と
ほぼ等しい外径を有し、前記シリンダに対して摺動する
と共に、開極動作時には、途中で前記シリンダの前記中
間小径部に係合し、その後は前記シリンダと一体的に動
作するように構成される。
【0019】以上のような構成を有する請求項1記載の
発明によれば、次のような作用効果が得られる。すなわ
ち、開極動作の初期には、浮動ピストンがバネと位置規
制構造によって所定の前進位置に固定されているため、
操作ロッドとシリンダを含む可動部の動作に伴うシリン
ダとピストンとの相対移動により、シリンダ内部の空間
は、固定ピストンと浮動ピストンの両方によって圧縮さ
れる。この場合、固定ピストンは、シリンダ内部におけ
る中間小径部の前方に形成される第1の空間を直接的に
圧縮し、浮動ピストンは、シリンダの中間小径部との間
に形成される第2の空間を圧縮することで、この第2の
空間から第1の空間にガスを送り込むように作用する。
【0020】このような開極動作の途中において、浮動
ピストンは、第2の空間内のガスを全て放出し、シリン
ダの中間小径部に係合する。この係合後、浮動ピストン
は、シリンダの中間小径部に押圧され、バネの付勢力に
逆らう形で固定ピストンのピストンパイプ部上を摺動す
るため、シリンダ内部の第1の空間は、固定ピストンの
みによって圧縮されることになる。
【0021】したがって、開極動作後半の圧縮断面積を
開極動作初期に比べて浮動ピストンの圧縮断面積の分だ
け縮小することができる。その結果、このような圧縮断
面積の縮小分だけ可動部の受ける反力を低減することが
でき、駆動エネルギーを低減することができる。
【0022】請求項2記載の発明は、請求項1記載の発
明において、固定ピストンが次のように構成されること
を特徴としている。すなわち、請求項2記載の発明にお
いて、固定ピストンは、その外周部に、前記シリンダ内
部における前記中間小径部と前記浮動ピストンとの間に
形成される空間と前記中間小径部の前方の空間とを連通
する複数の溝を有する。
【0023】以上のような構成を有する請求項2記載の
発明によれば、請求項1記載の発明の作用効果に加え
て、さらに次のような作用効果が得られる。すなわち、
遮断器の開極動作は高速であるため、シリンダの中間小
径部に浮動ピストンが当接した際には大きな衝撃力が加
わるが、この衝撃力により、シリンダの中間小径部と浮
動ピストンの間に間隙を生じる可能性がある。この場合
には、この間隙部分に残された高圧のガスによってシリ
ンダの中間小径部と浮動ピストンとの密着性が低下し、
圧縮断面積を縮小できなくなってしまう。
【0024】これに対して、本発明においては、固定ピ
ストンの外周部に設けた複数の溝によって、シリンダの
中間小径部と浮動ピストンの間の間隙内のガスを確実に
第1の空間に送り込むことができるため、シリンダの中
間小径部と浮動ピストンとの密着性を向上することがで
きる。したがって、圧縮断面積の縮小動作の信頼性を向
上して可動部の受ける反力を確実に低減することがで
き、駆動エネルギーを確実に低減することができる。
【0025】請求項3記載の発明は、請求項1または2
記載の発明において、操作ロッドの排気孔が次のように
構成されることを特徴としている。すなわち、請求項3
記載の発明において、前記操作ロッドの前記排気孔は、
開極動作の初期において、前記可動アーク接触子の中空
部および前記操作ロッドの中空部を前記シリンダ内部の
前記固定ピストンおよび前記浮動ピストンによって構成
される圧縮空間と連通し、開極動作の後期において、前
記可動アーク接触子の中空部および前記操作ロッドの中
空部を充填ガス雰囲気空間と連通するように構成され
る。
【0026】以上のような構成を有する請求項3記載の
発明によれば、請求項1または2記載の発明の作用効果
に加えて、さらに次のような作用効果が得られる。すな
わち、開極動作の初期において、両アーク接触子間で発
生したアークで加熱された高温のガスのうち、可動アー
ク接触子とノズルの間のガス流路を介してシリンダ内に
流入するガス流に加えて、さらに、可動アーク接触子の
中空部から操作ロッドの中空部内に流入するガス流を
も、排気孔を介してシリンダ内に流入させることができ
る。その結果、シリンダ内に伝達されるアークの熱エネ
ルギー量を増大させることができる。したがって、シリ
ンダ内の空間の圧力上昇効率を向上することができ、遮
断性能を向上できる。
【0027】請求項4記載の発明は、請求項1〜3のい
ずれか一つに記載の発明において、シリンダが次のよう
に構成されることを特徴としている。すなわち、請求項
4記載の発明において、前記シリンダ内部における前記
中間小径部の後方部分の内径は、前記中間小径部の前方
部分の内径よりも大きくされる。
【0028】以上のような構成を有する請求項4記載の
発明によれば、請求項1〜3のいずれか一つに記載の発
明の作用効果に加えて、さらに次のような作用効果が得
られる。すなわち、浮動ピストンとシリンダの中間小径
部との間に形成される第2の空間の容積を大きくするこ
とができるため、開極動作の初期にこの第2の空間から
第1の空間に送り込まれるガス量を増大することができ
る。したがって、第1の空間の圧力上昇効率を向上する
ことができ、遮断性能を向上できる。
【0029】請求項5記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか一つに記載の発明において、浮動ピストンの位置
規制構造が次のように構成されることを特徴としてい
る。すなわち、請求項5記載の発明において、前記位置
規制構造は、前記固定ピストンの外周部に設けられた係
止部を有し、この係止部の後方に前記浮動ピストンの内
周部を係止することによってこの浮動ピストンの前進位
置を規制する構造である。
【0030】以上のような構成を有する請求項5記載の
発明によれば、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発
明の作用効果に加えて、さらに次のような作用効果が得
られる。すなわち、固定ピストンの外周部に設けた係止
部で浮動ピストンの内周部を係止することによって浮動
ピストンの前進位置を規制することができるため、特別
な位置規制用の部材を設ける必要がなく、構成を簡略化
できる。
【0031】請求項6記載の発明は、請求項1〜4のい
ずれか一つに記載の発明において、浮動ピストンとその
位置規制構造が次のように構成されることを特徴として
いる。すなわち、請求項6記載の発明において、前記浮
動ピストンの内径は、前記シリンダの前記中間小径部の
内径とほぼ等しくされる。この場合、前記位置規制構造
は、前記浮動ピストンの後部に設けられた係合部とその
係止手段とを有し、係止手段で係合部を係止することに
よって、浮動ピストンの前進位置を規制する構造であ
る。
【0032】以上のような構成を有する請求項6記載の
発明によれば、請求項1〜4のいずれか一つに記載の発
明の作用効果に加えて、さらに次のような作用効果が得
られる。すなわち、浮動ピストンの内径をシリンダの中
間小径部の内径とほぼ等しくしているため、浮動ピスト
ンがシリンダの中間小径部に係合した後、シリンダ内の
高い圧力が浮動ピストンに作用することがない。その結
果、バネの付勢力を小さくしても、シリンダの中間小径
部と浮動ピストンとの密着性を向上することができる。
したがって、付勢力の小さなバネを使用しながら、しか
も、圧縮断面積の縮小動作の信頼性を向上して可動部の
受ける反力を確実に低減することができ、駆動エネルギ
ーをより効率的に低減することができる。
【0033】請求項7記載の発明は、請求項1〜6のい
ずれか一つに記載の発明において、浮動ピストンが次の
ように構成されることを特徴としている。すなわち、請
求項7記載の発明において、前記浮動ピストンは、前記
シリンダ内部における前記中間小径部とこの浮動ピスト
ンとの間に形成される空間と充填ガス雰囲気空間とを連
通する複数の小径の連通孔を有する。
【0034】以上のような構成を有する請求項7記載の
発明によれば、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発
明の作用効果に加えて、さらに次のような作用効果が得
られる。すなわち、前述したように、シリンダの中間小
径部に浮動ピストンが当接した際の大きな衝撃力によ
り、シリンダの中間小径部と浮動ピストンの間に間隙を
生じる可能性がある。これに対して、本発明において
は、浮動ピストンに設けた複数の小径の連通孔によっ
て、シリンダの中間小径部と浮動ピストンとの間の間隙
内のガスを確実に充填ガス雰囲気中に放出することがで
きるため、シリンダの中間小径部と浮動ピストンとの密
着性を向上することができる。したがって、圧縮断面積
の縮小動作の信頼性を向上して可動部の受ける反力を確
実に低減することができ、駆動エネルギーを確実に低減
することができる。
【0035】請求項8記載の発明は、請求項1〜6のい
ずれか一つに記載の発明において、シリンダが次のよう
に構成されることを特徴としている。すなわち、請求項
8記載の発明において、前記シリンダは、その前記中間
小径部の後方部分の内周面に、前記浮動ピストンの厚さ
を越える長さの複数の溝を有する。
【0036】以上のような構成を有する請求項8記載の
発明によれば、請求項1〜6のいずれか一つに記載の発
明の作用効果に加えて、さらに次のような作用効果が得
られる。すなわち、前述したように、シリンダの中間小
径部に浮動ピストンが当接した際の大きな衝撃力によ
り、シリンダの中間小径部と浮動ピストンの間に間隙を
生じる可能性がある。これに対して、本発明において
は、シリンダに設けた複数の溝によって、シリンダの中
間小径部と浮動ピストンとの間の間隙内のガスを浮動ピ
ストンの外周面に沿って確実に充填ガス雰囲気中に放出
することができるため、シリンダの中間小径部と浮動ピ
ストンとの密着性を向上することができる。したがっ
て、圧縮断面積の縮小動作の信頼性を向上して可動部の
受ける反力を確実に低減することができ、駆動エネルギ
ーを確実に低減することができる。
【0037】請求項9記載の発明は、請求項7または8
記載の発明において、さらに、シリンダの中間小径部と
浮動ピストンが次のように構成されることを特徴として
いる。すなわち、請求項9記載の発明において、前記シ
リンダの前記中間小径部は、その内周部に、後方に突出
する突起部を有する。そして、前記浮動ピストンにおけ
る前記中間小径部の前記突起部との当接部分に、緩衝材
が取り付けられる。
【0038】以上のような構成を有する請求項9記載の
発明によれば、請求項7または8記載の発明の作用効果
に加えて、さらに次のような作用効果が得られる。すな
わち、すなわち、前述したように、遮断器の開極動作は
高速であるため、シリンダの中間小径部に浮動ピストン
が当接した際には衝撃力を生じるが、本発明によれば、
開極動作時には、シリンダの中間小径部に設けた突起部
が浮動ピストンに設けた緩衝材に当接するため、この緩
衝材によって衝撃力を低減し、浮動ピストンとシリンダ
の中間小径部との密着性を向上することができる。この
場合、シリンダの中間小径部における突起部の外周側
の、浮動ピストンとの間には、微小の間隙が発生する
が、この微小の間隙内に残る高圧のガスは、浮動ピスト
ンの連通孔やシリンダの溝によって確実に充填ガス雰囲
気中に放出することができるため、この点からも、シリ
ンダの中間小径部と浮動ピストンとの密着性を向上する
ことができる。したがって、請求項7または8記載の発
明に比べて、圧縮断面積の縮小動作の信頼性をより向上
して可動部の受ける反力をより確実に低減することがで
き、駆動エネルギーをより確実に低減することができ
る。
【0039】請求項10記載の発明は、請求項1〜8の
いずれか一つに記載の発明において、浮動ピストンとシ
リンダの中間小径部が次のように構成されることを特徴
としている。すなわち、請求項10記載の発明におい
て、前記浮動ピストンと前記シリンダの前記中間小径部
との当接部分の中から選択された部分に、緩衝材が取り
付けられる。
【0040】以上のような構成を有する請求項10記載
の発明によれば、請求項1〜8のいずれか一つに記載の
発明の作用効果に加えて、さらに次のような作用効果が
得られる。すなわち、前述したように、遮断器の開極動
作は高速であるため、シリンダの中間小径部に浮動ピス
トンが当接した際には衝撃力を生じるが、本発明によれ
ば、この当接部分に緩衝材を取り付けているため、衝撃
力を低減することができる。その結果、衝撃力に起因し
てシリンダの中間小径部と浮動ピストンの間に生じる間
隙の発生を防止できるため、シリンダの中間小径部と浮
動ピストンとの密着性を向上することができる。したが
って、圧縮断面積の縮小動作の信頼性を向上して可動部
の受ける反力を確実に低減することができ、駆動エネル
ギーを確実に低減することができる。
【0041】
【発明の実施の形態】以下には、本発明によるガス遮断
器の複数の実施の形態について、図1〜図10を参照し
て具体的に説明する。なお、以下の説明においては、請
求項1に記載した可動接触子部の方向に関する定義に従
い、可動接触子部20の固定接触子部10側の方向を前
方、その反対側を後方として説明する。
【0042】[1.第1の実施の形態] [1−1.構成]図1および図2は、本発明によるガス
遮断器の第1の実施の形態として、特に、請求項1〜
3,5に記載の各発明を適用したガス遮断器の一つの実
施の形態を示す図である。ここで、図1の(A)は閉極
状態を示す断面図、(B)は(A)のZ矢視図である。
また、図2の(A)〜(C)は、開極動作の初期、中
期、および後期の状態を段階的に示す断面図である。
【0043】図1の(A)に示すように、消弧性のガス
が充填された図示していない容器内には、固定接触子部
10と可動接触子部20が対向配置されている。このう
ち、固定接触子部10は、固定アーク接触子1とその周
囲に配置された固定通電接触子2から構成されている。
一方、可動接触子部20は、前端部にフランジ部3aを
有する中空の操作ロッド3とこの操作ロッド3の周囲に
配置されてフランジ部3aに連結されたシリンダ4、フ
ランジ部3aの前方に連結された中空かつ指状の可動ア
ーク接触子5とその周囲に配置された可動通電接触子
6、可動アーク接触子5を包囲する絶縁性のノズル7、
およびシリンダ4内に挿入されたピストン部から構成さ
れている。
【0044】この可動接触子部20においては、本発明
に従い、シリンダ4の軸方向中央部に、内側に突出する
中間小径部4aが設けられると共に、ピストン部が、固
定ピストン21、ピストンパイプ22、浮動ピストン2
3、およびバネ24から構成されている。
【0045】すなわち、シリンダ4内部における操作ロ
ッド3の周囲の空間の内側部分には、円形平板状の固定
ピストン21が挿入され、この固定ピストン21は、そ
の後方に固定された軸方向に伸びるピストンパイプ22
によって、図示していない容器内に固定されている。こ
のように、固定ピストン21とピストンパイプ22が別
部材として設けられているのは、後述するように、固定
ピストン21の外周の突起部21bによって浮動ピスト
ン23の内周部を係止する関係から、ピストンパイプ2
2の外周に浮動ピストン23を装着するための製作上の
理由による。
【0046】ここで、固定ピストン21の内径は、操作
ロッド3の外径drとほぼ等しくされ、固定ピストン2
1の外径は、シリンダ4の中間小径部4aの内径以下に
設定されている。すなわち、固定ピストン21は、その
内周面で操作ロッド3の外周面に対して摺動すると共
に、その外周部が中間小径部4aに衝突することなくそ
の内側を円滑に通過できるように構成されている。ま
た、ピストンパイプ22の外径は、固定ピストン21の
外径よりも小さくされており、したがって、シリンダ4
の中間小径部4aの内径よりも小さくされている。
【0047】そして、ピストンパイプ22の外側には、
浮動ピストン23が配置されている。ここで、浮動ピス
トン23の内径は、ピストンパイプ22の外径とほぼ等
しくされ、浮動ピストン23の外径は、シリンダ4の中
間小径部4aの後方部分の内径とほぼ等しくされてい
る。すなわち、浮動ピストン23は、その内周面でピス
トンパイプ22の外周面に対して摺動すると共に、その
外周面でシリンダ4の内周面に対して摺動するように構
成されている。
【0048】この場合、この浮動ピストン23は、ピス
トンパイプ22との間に設けられたバネ24によって前
方に付勢されると共に、固定ピストン21によって前進
位置を規制されるようになっている。すなわち、図1の
(B)に示すように、固定ピストン21の外周部には、
複数の溝21aが設けられている。そして、この複数の
溝21aの加工によって、隣接する溝21aの間には、
突起部(係止部)21bが形成されており、浮動ピスト
ン23は、この突起部21bの後方に係止されるように
なっている。
【0049】また、固定ピストン21の溝21aは、図
1の(A)に示すように、シリンダ4内部における中間
小径部4aの前方に形成される第1の空間S1 と中間小
径部4aと浮動ピストン23との間に形成される第2の
空間S2 とを連通するために設けられている。したがっ
て、固定ピストン21の実質的な圧縮面は、この溝21
aの内側部分となるが、このような固定ピストン21の
圧縮面の外径は、ピストンパイプ22の外径と等しくさ
れている。
【0050】さらに、図1の(A)に示す閉極状態にお
いて、シリンダ4の中間小径部4aと浮動ピストン23
とは、予め設定された距離Lc1 を保持している。な
お、ピストンパイプ22の後部には、その中空部と充填
ガス雰囲気空間とを連通する複数の排気孔22aが設け
られている。
【0051】一方、操作ロッド3は、図示していない駆
動装置によって、その軸方向に往復動するように構成さ
れているが、その排気孔3bは、図11の従来例よりも
前方に設けられている。すなわち、操作ロッド3の複数
の排気孔3bは、シリンダ4の中間小径部4aよりも前
方部分に配置されており、図1の(A)に示す閉極状態
において、可動アーク接触子5の中空部および操作ロッ
ド3の中空部をシリンダ4内の第1の空間S1 と連通す
るようになっている。また、この操作ロッド3の排気孔
3bは、図2の(C)に示す開極動作の後期において、
可動アーク接触子5の中空部および操作ロッド3の中空
部を、ピストンパイプ22の中空部と連通し、それによ
って、ピストンパイプ22の排気孔22aを介して充填
ガス雰囲気空間と連通するようになっている。
【0052】さらに、操作ロッド3の複数の排気孔3b
の直後には、ガス流閉止部材3cが設けられている。こ
のガス流閉止部材3cは、操作ロッド3の中空部の前方
で発生したガス流の後方への流路を遮断し、排気孔3b
からのガス流の排出をガイドするために設けられてい
る。なお、これらの操作ロッド3、シリンダ4、および
ピストン部分以外については、図11に示した従来例と
同様に構成されている。
【0053】[1−2.作用]以上のような構成を有す
る第1の実施の形態の作用は次の通りである。まず、図
1に示すような閉極状態において、電流は固定接触子部
10の固定通電接触子2から可動接触子部20の可動通
電接触子6に流れている。このような閉極状態で、図示
していない駆動装置からの開極駆動力が矢印Dの方向に
作用し、操作ロッド3がこの矢印Dの方向に移動する
と、この操作ロッド3を含む可動部、すなわち、この操
作ロッド3とそれに連結されたシリンダ4、可動アーク
接触子5、可動通電接触子6、およびノズル7が、矢印
Dの方向に一体的に移動する。このような矢印Dの方向
への移動により、最初に固定通電接触子2と可動通電接
触子6とが開離し、遅れて固定アーク接触子1と可動ア
ーク接触子5が開離する。その結果、固定アーク接触子
1と可動アーク接触子5との間にアーク11が発生す
る。
【0054】この場合、シリンダ4内のガスは、固定ピ
ストン21と浮動ピストン23の両方により、シリンダ
4の内径dc1 と操作ロッドの外径drとの差による断
面積、すなわち、π(dc1 2 −dr2 )/4の断面積
で圧縮され、シリンダ4内の圧縮空間の容積は、断面積
×移動距離だけ減少する。
【0055】そして、このような開極動作の移動距離が
シリンダ4の中間小径部4aと浮動ピストン23との間
の閉極状態における距離Lc1 となると、図2の(A)
に示すように、シリンダ4の中間小径部4aが浮動ピス
トン23に当接する。その後、さらに矢印Dの方向に開
極動作が進むと、図2の(B)に示すように、浮動ピス
トン23は、シリンダ4の中間小径部4aに押圧され、
バネ24を圧縮しながらシリンダ4と一体的に動作す
る。したがって、固定ピストン21の実質的な圧縮面の
外径(=ピストンパイプ22の外径)をdpとした場合
に、図2の(A)の状態以後におけるシリンダ4内の圧
縮断面積は、π(dp2 −dr2 )/4となり、開極動
作初期の圧縮断面積より縮小される。
【0056】ところで、このように圧縮断面積を確実に
縮小するためには、シリンダ4の中間小径部4aと浮動
ピストン23との間の密着性が不可欠であるが、前述し
たように、シリンダ4の中間小径部4aと浮動ピストン
23との間には、当接時の衝撃力により間隙を生じる可
能性がある。これに対し、本実施の形態においては、固
定ピストン21の外周部に複数の溝21aを設けている
ため、この溝21aによって、シリンダ4の中間小径部
4aと浮動ピストン23との間の第2の空間S2 内のガ
スを、中間小径部4aの前方の第1の空間S1 内に確実
に送り込むことができるため、浮動ピストン23とシリ
ンダ4の中間小径部4aとの間の密着性を向上すること
ができる。
【0057】一方、図2の(A)の状態から図2の
(B)の状態に達する時点で、電流値が大きい場合には
アーク11が大きく広がり、このアーク11によって加
熱された周囲のガスは、大別して3方向の高温のガス流
12a,12b,12cとなる。このうち、ガス流12
aは、固定アーク接触子1に沿ってノズル7外部に流出
するが、ガス流12bとガス流12cは、共に、シリン
ダ4内の第1の空間S1 内に流入する。すなわち、ガス
流12bは、可動アーク接触子5の中空部から操作ロッ
ド3の中空部内に流入し、排気孔3bを介してシリンダ
4内の第1の空間S1 内に流入し、ガス流12cは、可
動アーク接触子5とノズル7との間のガス流路からシリ
ンダ4内の第1の空間S1 内に流入する。
【0058】したがって、シリンダ4内部の空間S1
圧力は、固定ピストン21および浮動ピストン23(こ
の時点では固定ピストン21のみ)による機械的圧縮に
加えて、このようなガス流12b,12cによって伝達
されるアークの熱エネルギーによっても十分に昇圧され
ることになる。そのため、図2の(B)の状態の付近で
は、シリンダ4内の圧力上昇値は極めて高くなる。
【0059】その後、さらに開極が進み、図2の(C)
に示すように、ノズル7のスロート部が十分に開口する
と、可動アーク接触子5とノズル7との間のガス流路か
ら固定アーク接触子1と可動アーク接触子5との間のア
ーク11に向かって流れる高圧のガス流13が発生す
る。この高圧のガス流13は、固定アーク接触子1に沿
ってノズル7外部に流出するガス流13aと、可動アー
ク接触子5の中空部から操作ロッド3の中空部内に流入
するガス流13bとに分かれ、アーク11を強力に冷却
する。
【0060】なお、このような図2の(C)に示す時点
では、操作ロッド3の排気孔3が固定ピストン21の後
方に移動し、ピストンパイプ22の中空部と連通するた
め、ガス流13bは、操作ロッド3の排気孔3aからピ
ストンパイプ22の中空部とその排気孔22aを介し
て、充填ガス雰囲気空間中に排出される。
【0061】[1−3.効果]前述したように、第1の
実施の形態においては、図2の(A)に示した位置以
後、シリンダ4内の圧縮断面積は初期の値より縮小され
る。そのため、図2の(A)に示した位置以後の開極動
作後半においては、圧力上昇値を高くしながらしかも可
動部の受ける反力を低減することができる。このように
開極動作後半の反力を低減できるため、駆動エネルギー
を低減しても、開極動作後半の減速度を低減でき、可動
部は、図2の(C)に示すように操作ロッド3の端板3
aと固定ピストン21との距離がLo1 となる最終位置
まで無負荷開極に近い速度で動作する。その結果、駆動
エネルギーを低減しても、シリンダ4内の圧力上昇値を
長い時間に亘って高く維持することができる。したがっ
て、本実施の形態によれば、小さい駆動エネルギーで安
定した高い遮断性能を得ることができる。
【0062】[2.第2の実施の形態] [2−1.構成]図3は、本発明によるガス遮断器の第
2の実施の形態として、特に、請求項1〜5に記載の各
発明を適用したガス遮断器の一つの実施の形態を示す図
であり、閉極状態を示す断面図である。この第2の実施
の形態においては、シリンダ4の中間小径部4aの後方
部分の内径dc1 が前方部分の内径dc2 よりも大きく
されている。なお、このシリンダ4以外の部分について
は、前記第1の実施の形態と全く同様に構成されてい
る。
【0063】[2−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第2の実施の形態においては、シリンダ4の中
間小径部4aと浮動ピストン23との間に形成される第
2の空間S2 の容積を大きくすることができるため、開
極動作の初期にこの第2の空間S2 から中間小径部4a
よりも前方の第1の空間S1 内に送り込まれるガス量を
増大することができる。したがって、シリンダ4内の第
1の空間S1 内の圧力上昇効率を向上することができ、
前記第1の実施の形態と同様に、小さい駆動エネルギー
で安定した高い遮断性能を得ることができる。
【0064】[3.第3の実施の形態] [3−1.構成]図4は、本発明によるガス遮断器の第
3の実施の形態として、特に、請求項1,2,5に記載
の各発明を適用したガス遮断器の一つの実施の形態を示
す図であり、閉極状態を示す断面図である。この第3の
実施の形態においては、操作ロッド3の複数の排気孔3
aが、固定ピストン21よりも後方に設けられており、
閉極状態からすでに、可動アーク接触子5の中空部およ
び操作ロッド3の中空部をピストンパイプ22の中空部
と連通し、それによって、ピストンパイプ22の排気孔
22aを介して充填ガス雰囲気空間と連通するようにな
っている。そして、操作ロッド3の複数の排気孔3bの
直後に、ガス流閉止部材3cが設けられている。なお、
この操作ロッド3の排気孔3bとガス流閉止部材3c以
外の部分については、前記第1の実施の形態と全く同様
に構成されている。
【0065】[3−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第3の実施の形態においては、可動アーク接触
子5の中空部から操作ロッド3の中空部に流れるガス流
が、シリンダ4内の圧縮空間には流入せず、開極動作の
最初から充填ガス雰囲気中に排出される。そのため、こ
のガス流をシリンダ4内の第1の空間S1 内に送り込ん
でいた第1の実施の形態に比べ、このシリンダ4内の第
1の空間S1 の圧力上昇は、第1の実施の形態より低く
なる。しかしながら、開極動作の途中から、ガスの圧縮
断面積を縮小する作用とその効果については、前記第1
の実施の形態と同様である。したがって、本実施の形態
によれば、図11の従来例に比べて、格段に小さい駆動
エネルギーで安定した高い遮断性能を得ることができ
る。
【0066】[4.第4の実施の形態] [4−1.構成]図5は、本発明によるガス遮断器の第
4の実施の形態として、特に、請求項1〜3,6に記載
の各発明を適用したガス遮断器の一つの実施の形態を示
す図である。ここで、図5の(A)は閉極状態を示す断
面図、(B)は(A)のZ矢視図である。
【0067】図5の(A)に示すように、この第4の実
施の形態において、固定ピストン8は、その後方に一体
的に設けられて軸方向に伸びるパイプ部8aを有してお
り、固定ピストン8の外径とパイプ部8aの外径は等し
くされている。さらに、浮動ピストン23の内径は、シ
リンダ4の中間小径部4aの内径とほぼ等しくされてお
り、これらの内径と、固定ピストン8およびパイプ部8
aの外径とはほぼ等しくされている。すなわち、本実施
の形態においては、このように固定ピストン8の外径が
浮動ピストン23の内径とほぼ等しくされていることか
ら、固定ピストン8の外周にそのまま浮動ピストン23
を装着することが可能であり、固定ピストン8とパイプ
部8aとを別部材に分ける必要がないため、両者が一体
的に設けられているのである。
【0068】そして、固定ピストン8のパイプ部8aの
後部には、複数の排気孔8bが設けられており、また、
図5の(B)に示すように、固定ピストン8の外周部の
前方の角部には、複数の溝8cが設けられている。この
複数の溝8cは、第1の実施の形態における固定ピスト
ン21の溝21aと同様に、シリンダ4内部における中
間小径部4aの前方に形成される第1の空間S1 と中間
小径部4aと浮動ピストン23との間に形成される第2
の空間S2 とを連通するために設けられている。
【0069】一方、図5の(A)に示すように、浮動ピ
ストン23も、その後方に一体的に設けられて軸方向に
伸びるパイプ部23aを有している。そして、このパイ
プ部23aの後端部には、停止板(係合部)25が取り
付けられると共に、浮動ピストン23を付勢するバネ2
4の一端を固定するバネ台26が設けられている。この
バネ台26は、停止板25を係止して浮動ピストン23
の前進位置を規制するように構成されており、本発明の
係止手段に相当する。また、このバネ台26の後部に
は、複数の排気孔26aが設けられている。なお、以上
のようなピストン部分周辺以外の部分については、前記
第1の実施の形態と全く同様に構成されている。
【0070】[4−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第4の実施の形態においては、浮動ピストン2
3の内径とシリンダ4の中間小径部4aとの内径がほぼ
等しくされているため、浮動ピストン23がシリンダ4
の中間小径部4aに当接した後、シリンダ4内の高い圧
力が浮動ピストン23に作用することがなく、浮動ピス
トン23とシリンダ4の中間小径部4aとの密着性を向
上することができる。
【0071】すなわち、前記第1の実施の形態において
は、浮動ピストン23の内径がシリンダ4の中間小径部
4aの内径よりも小さくされており、浮動ピストン23
の内周部がシリンダ4の中間小径部4aの内周面よりも
内側に突出している。したがって、前記第1の実施の形
態において、浮動ピストン23がシリンダ4の中間小径
部4aに押圧されて移動する際、浮動ピストン23に
は、このようなシリンダ4の中間小径部4aの内径dc
3 と浮動ピストン23の内径(=固定ピストン21の実
質的な圧縮面の外径dp)との差に応じた断面積:π
(dc3 2 −dp2)/4に対して、シリンダ4内の第
1の空間S1 の圧力上昇による力が作用し、浮動ピスト
ン23が後方に押圧される。したがって、このような浮
動ピストン23に加わる力を考慮して、バネ24の付勢
力を十分に強くしておかないと、浮動ピストン23がシ
リンダ4の中間小径部4aから離れてしまう可能性があ
る。
【0072】これに対して、本実施の形態においては、
シリンダ4の中間小径部4aの内径dc3 と浮動ピスト
ン23の内径が等しくされている。その結果、シリンダ
4の中間小径部4aが浮動ピストン23に当接した後
に、この浮動ピストン23に対して、シリンダ4内の第
1の空間S1 の圧力上昇による力が作用することはない
ため、バネ24の付勢力を小さくしても、浮動ピストン
23をシリンダ4の中間小径部4aに安定に密着して動
作させることができる。
【0073】したがって、本実施の形態によれば、第1
の実施の形態と同様の作用・効果が得られることに加え
て、特に、付勢力の小さなバネ24を使用しながら、し
かも、圧縮断面積の縮小動作の信頼性を向上して可動部
の受ける反力を確実に低減し、駆動エネルギーをより効
率的に低減することができるため、第1の実施の形態に
比べてより小さい駆動エネルギーでより安定した高い遮
断性能を得ることができる。
【0074】[5.第5の実施の形態] [5−1.構成]図6は、本発明によるガス遮断器の第
5の実施の形態として、特に、請求項1〜3,5,7に
記載の各発明を適用したガス遮断器の一つの実施の形態
を示す図であり、閉極状態を示す断面図である。この第
5の実施の形態においては、浮動ピストン23に、複数
の小径の連通孔23bが設けられている。この浮動ピス
トン23の複数の小径の連通孔23bは、シリンダ4の
中間小径部4aとこの浮動ピストン23との間に形成さ
れる第2の空間S2 と充填ガス雰囲気空間とを連通する
ために設けられている。なお、この浮動ピストン23以
外の部分については、前記第1の実施の形態と全く同様
に構成されている。
【0075】[5−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第5の実施の形態においては、浮動ピストン2
3に設けた複数の小径の連通孔23bによって、シリン
ダ4の中間小径部4aと浮動ピストン23との間の第2
の空間S2 内のガスを、充填ガス雰囲気空間中に確実に
排出することができるため、浮動ピストン23とシリン
ダ4の中間小径部4aとの間の密着性をより向上するこ
とができる。
【0076】すなわち、前述したように、シリンダ4の
中間小径部4aと浮動ピストン23との間には、当接時
の衝撃力によって間隙(第2の空間S2 )を生じる場合
があるが、この第2の空間S2 中のガスを固定ピストン
21の外周部の溝21aのみによって排出しようとする
と、排出先である第1の空間S1 の圧力が高いため、排
出に時間を要したり、あるいは十分に排出できない可能
性がある。これに対して、本実施の形態においては、浮
動ピストン23に設けた複数の小径の連通孔23bによ
って、第2の空間S2 中のガスを、圧力の低い充填ガス
雰囲気空間中に短時間に確実に排出できる。そのため、
前記第1の実施の形態に比べて、浮動ピストン23とシ
リンダ4の中間小径部4aとの間の密着性を一層向上す
ることができる。
【0077】したがって、本実施の形態によれば、第1
の実施の形態と同様の作用・効果が得られることに加え
て、特に、圧縮断面積の縮小動作の信頼性を向上して可
動部の受ける反力を確実に低減することができるため、
より安定した高い遮断性能を得ることができる。
【0078】[6.第6の実施の形態] [6−1.構成]図7は、本発明によるガス遮断器の第
6の実施の形態として、特に、請求項1〜3,5,8に
記載の各発明を適用したガス遮断器の一つの実施の形態
を示す図である。ここで、図7の(A)は閉極状態を示
す断面図、(B)は開極動作の初期の状態を示す断面
図、(C)は(A)のZ矢視図である。この第6の実施
の形態においては、シリンダ4の中間小径部4aの後方
部分の内周面に、浮動ピストン23の厚さを越える長さ
の複数の溝4bが設けられている。なお、このシリンダ
4の溝4b以外の部分については、前記第1の実施の形
態と全く同様に構成されている。
【0079】[6−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第6の実施の形態においては、シリンダ4の中
間小径部4aの後方部分に設けた複数の溝4bによっ
て、シリンダ4の中間小径部4aと浮動ピストン23と
の間の第2の空間S2 内のガスを、充填ガス雰囲気空間
中に確実に排出することができるため、浮動ピストン2
3とシリンダ4の中間小径部4aとの間の密着性をより
向上することができる。
【0080】すなわち、前述したように、シリンダ4の
中間小径部4aと浮動ピストン23との間には、当接時
の衝撃力によって間隙(第2の空間S2 )を生じた場合
に、本実施の形態においては、シリンダ4の中間小径部
4aの後方部分に設けた複数の溝4bによって、第2の
空間S2 中のガスを、圧力の低い充填ガス雰囲気空間中
に短時間に確実に排出できる。そのため、前記第5の実
施の形態と同様に、前記第1の実施の形態に比べて、浮
動ピストン23とシリンダ4の中間小径部4aとの間の
密着性を一層向上することができる。
【0081】したがって、本実施の形態によれば、前記
第5の実施の形態と同様に、圧縮断面積の縮小動作の信
頼性を向上して可動部の受ける反力を確実に低減するこ
とができるため、第1の実施の形態に比べてより安定し
た高い遮断性能を得ることができる。
【0082】[7.第7の実施の形態] [7−1.構成]図8は、本発明によるガス遮断器の第
7の実施の形態として、特に、請求項1〜3,5,10
に記載の各発明を適用したガス遮断器の一つの実施の形
態を示す図であり、浮動ピストンを示す構成図である。
この第7の実施の形態においては、浮動ピストン23の
シリンダ4の中間小径部4aとの当接部分に、緩衝材2
3cが設けられている。なお、図示していないが、この
浮動ピストン23以外の部分については、前記第1の実
施の形態と全く同様に構成されている。
【0083】[7−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第7の実施の形態においては、浮動ピストン2
3の当接部分に設けた緩衝材23cによって、シリンダ
4の中間小径部4aと浮動ピストン23とが当接する際
の衝撃力を低減することができる。その結果、衝撃力に
起因してシリンダ4の中間小径部4aと浮動ピストン2
3の間に生じる間隙の発生を防止できるため、シリンダ
4の中間小径部4aと浮動ピストン23との密着性を向
上することができる。
【0084】したがって、本実施の形態によれば、前記
第5、第6の実施の形態と同様に、圧縮断面積の縮小動
作の信頼性を向上して可動部の受ける反力を確実に低減
することができるため、第1の実施の形態に比べてより
安定した高い遮断性能を得ることができる。
【0085】[8.第8の実施の形態] [8−1.構成]図9は、本発明によるガス遮断器の第
8の実施の形態として、特に、請求項1〜3,5,8〜
10に記載の各発明を適用したガス遮断器の一つの実施
の形態を示す図であり、前記第6の実施の形態の変形例
に相当する。ここで、図9の(A)は閉極状態を示す断
面図、(B)は開極動作の初期の状態を示す断面図であ
る。この第8の実施の形態においては、まず、前記第6
の実施の形態と同様に、シリンダ4の中間小径部4aの
後方部分の内周面に、浮動ピストン23の厚さを越える
長さの複数の溝4bが設けられている。さらに、本実施
の形態においては、シリンダ4の中間小径部4aの内周
部に、後方に突出する突起部4cが設けられると共に、
浮動ピストン23におけるこの中間小径部4aの突起部
4cとの当接部分には緩衝材23dが設けられている。
なお、他の部分については、前記第1の実施の形態と全
く同様に構成されている。
【0086】[8−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第8の実施の形態において、開極動作時には、
シリンダ4の中間小径部4aの突起部4cが浮動ピスト
ン23に設けた緩衝材23dに当接するため、前記第7
の実施の形態と同様に、この緩衝材23dによって衝撃
力を低減し、浮動ピストン23とシリンダ4の中間小径
部4aとの間の密着性を向上することができる。この場
合、本実施の形態においては、シリンダ4の中間小径部
4aの内周部に設けた突起部4cのみが浮動ピストン2
3との当接部分となるため、中間小径部4aの突起部4
cの外周側の部分と浮動ピストン23との間には、微小
の間隙Lsが生じる。この微小の間隙Ls内に残る高圧
のガスは、前記第6の実施の形態と同様に、シリンダ4
の溝4bによって速やかに充填ガス雰囲気空間中に排出
されるため、浮動ピストン23とシリンダ4の中間小径
部4aとの間の密着性が確保される。
【0087】したがって、本実施の形態によれば、浮動
ピストン23に設けた緩衝材23dによる衝撃力の低減
と、シリンダ4の溝4bによるガスの排出作用との相乗
効果によって、前記第5、第6、第7の実施の形態より
もさらに、圧縮断面積の縮小動作の信頼性を向上して可
動部の受ける反力を確実に低減することができるため、
より安定した高い遮断性能を得ることができる。
【0088】[9.第9の実施の形態] [9−1.構成]図10は、本発明によるガス遮断器の
第9の実施の形態として、特に、請求項1〜3,5,
7,9,10に記載の各発明を適用したガス遮断器の一
つの実施の形態を示す図であり、前記第5の実施の形態
および前記第8の実施の形態の変形例に相当する。ここ
で、図10の(A)は閉極状態を示す断面図、(B)は
開極動作の初期の状態を示す断面図である。この第9の
実施の形態においては、まず、前記第5の実施の形態と
同様に、浮動ピストン23に、シリンダ4の中間小径部
4aとこの浮動ピストン23との間に形成される第2の
空間S2 と充填ガス雰囲気空間とを連通する複数の小径
の連通孔23bが設けられている。さらに、本実施の形
態においては、前記第8の実施の形態と同様に、シリン
ダ4の中間小径部4aの内周部に、後方に突出する突起
部4cが設けられると共に、浮動ピストン23における
この中間小径部4aの突起部4cとの当接部分には緩衝
材23dが設けられている。なお、他の部分について
は、前記第1の実施の形態と全く同様に構成されてい
る。
【0089】[9−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第9の実施の形態において、開極動作時には、
シリンダ4の中間小径部4aの突起部4cが浮動ピスト
ン23に設けた緩衝材23dに当接するため、前記第8
の実施の形態と同様に、この緩衝材23dによって衝撃
力を低減し、浮動ピストン23とシリンダ4の中間小径
部4aとの間の密着性を向上することができる。この場
合、本実施の形態においては、第8の実施の形態と同様
に、中間小径部4aの突起部4cの外周側の部分と浮動
ピストン23との間に微小の間隙Lsが生じる。この微
小の間隙Ls内に残る高圧のガスは、前記第5の実施の
形態と同様に、浮動ピストン23の小径の貫通孔23b
によって速やかに充填ガス雰囲気空間中に排出されるた
め、浮動ピストン23とシリンダ4の中間小径部4aと
の間の密着性が確保される。
【0090】したがって、本実施の形態によれば、浮動
ピストン23に設けた緩衝材23dによる衝撃力の低減
と、浮動ピストン23の貫通孔23bによるガスの排出
作用との相乗効果によって、前記第8の実施の形態と同
様に、圧縮断面積の縮小動作の信頼性を向上して可動部
の受ける反力を確実に低減することができるため、前記
第5、第6、第7の実施の形態に比べてより安定した高
い遮断性能を得ることができる。
【0091】[10.他の実施の形態]なお、本発明は
前記各実施の形態に限定されるものではなく、他にも多
種多様な形態を実施可能である。例えば、前記各実施の
形態の中の複数の形態を適宜組み合わせることも可能で
ある。また、固定ピストンと浮動ピストンの具体的な構
成は、シリンダ内の断面積に対するピストンの圧縮断面
積の比率を含め、適宜選択可能である。さらに、各部に
設ける排気孔や連通孔、溝などの数や形状、寸法などは
自由に設計可能である。
【0092】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
シリンダ内部に固定と浮動の2種類のピストンを設け、
シリンダ内部の空間を、開極動作の初期には両方のピス
トンによって圧縮し、開極動作の途中からは固定ピスト
ンのみによって圧縮するように構成することにより、開
極動作の後半の高い圧力上昇による反力を従来に比べて
低減することができるため、小さい駆動エネルギーで安
定した高い遮断性能を得ることが可能な、優れたガス遮
断器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による第1の実施の形態のガス遮断器を
示す図であり、(A)は閉極状態を示す断面図、(B)
は(A)のZ矢視図。
【図2】図1のガス遮断器の開極動作の状態を段階的に
示す図であり、(A)は開極動作の初期の状態を示す断
面図、(B)は開極動作の中期の状態を示す断面図、
(C)は開極動作の後期の状態を示す断面図。
【図3】本発明による第2の実施の形態のガス遮断器の
閉極状態を示す断面図。
【図4】本発明による第3の実施の形態のガス遮断器の
閉極状態を示す断面図。
【図5】本発明による第4の実施の形態のガス遮断器を
示す図であり、(A)は閉極状態を示す断面図、(B)
は(A)のZ矢視図。
【図6】本発明による第5の実施の形態のガス遮断器の
閉極状態を示す断面図。
【図7】本発明による第6の実施の形態のガス遮断器を
示す図であり、(A)は閉極状態を示す断面図、(B)
は開極動作の初期の状態を示す断面図、(C)は(A)
のZ矢視図。
【図8】本発明による第7の実施の形態のガス遮断器に
おいて、特に、浮動ピストンを示す構成図。
【図9】本発明による第8の実施の形態のガス遮断器を
示す図であり、(A)は閉極状態を示す断面図、(B)
は開極動作の初期の状態を示す断面図。
【図10】本発明による第9の実施の形態のガス遮断器
を示す図であり、(A)は閉極状態を示す断面図、
(B)は開極動作の初期の状態を示す断面図。
【図11】従来のガス遮断器の一例を示す図であり、特
に、開極動作途中の状態を示す断面図。
【図12】従来のガス遮断器の遮断電流と開極ストロー
ク、およびシリンダ内部の圧力上昇の経時的な関係を示
すグラフ。
【符号の説明】
1:固定アーク接触子 2:固定通電接触子 3:操作ロッド 3a:フランジ部 3b:排気孔 3c:ガス流閉止部材 4:シリンダ 4a:中間小径部 4b:溝 4c:突起部 5:可動アーク接触子 6:可動通電接触子 7:ノズル 8:固定ピストン 8a:パイプ部 8b:排気孔 8c:溝 10:固定接触子部 11:アーク 12a〜12c:ガス流 13,13a,13b:ガス流 21:固定ピストン 21a:溝 21b:突起部 22:ピストンパイプ 22a:排気孔 23:浮動ピストン 23a:パイプ部 23b:連通孔 23c,23d:緩衝材 24:バネ 25:停止板 26:バネ台 26a:排気孔 S1 :第1の空間 S2 :第2の空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 敏和 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 鈴木 克巳 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消弧性のガスが充填された容器内に、対
    向配置された固定接触子部および可動接触子部を有し、
    前記固定接触子部は、固定アーク接触子を有し、前記可
    動接触子部は、前記固定接触子部側の方向を前方、その
    反対側を後方と定義した場合に、その一部に排気孔を有
    する中空の操作ロッドとこの操作ロッドの周囲に配置さ
    れてその前端部で操作ロッドに取り付けられたシリン
    ダ、このシリンダの前端部の前方に取り付けられた中空
    の可動アーク接触子とそれを包囲する絶縁性のノズル、
    および前記シリンダ内に挿入されたピストンを有し、開
    極動作時には、前記シリンダと前記ピストンとの相対移
    動によりガスを圧縮して前記可動アーク接触子と前記ノ
    ズルの間を流れる高圧のガス流を発生させ、この高圧の
    ガス流を両アーク接触子間に発生するアークに吹き付け
    て電流を遮断し、開極動作の後期には、前記アークによ
    って加熱された前記操作ロッドの中空部内のガスを前記
    排気孔を介して充填ガス雰囲気空間に排出するように構
    成されたガス遮断器において、 前記シリンダは、その軸方向中央部に、内側に突出する
    中間小径部を有し、 前記ピストンは、前記シリンダ内部の内側と外側にそれ
    ぞれ設けられた固定ピストンと浮動ピストンであり、 前記固定ピストンは、その後方に固定されて軸方向に伸
    びるピストンパイプ部を有し、 前記固定ピストンは、前記操作ロッドの外径とほぼ等し
    い内径と、前記シリンダの前記中間小径部の内径以下の
    外径を有し、前記操作ロッドに対して摺動すると共に、
    前記シリンダの前記中間小径部の内側を通過できるよう
    に構成され、 前記浮動ピストンは、前記シリンダ内部における前記中
    間小径部の後方部分の、前記ピストンパイプ部の外側に
    設けられ、 前記浮動ピストンを前方に付勢するバネと、前記浮動ピ
    ストンの前進位置を規制する位置規制構造が設けられ、 前記浮動ピストンは、前記シリンダの前記中間小径部の
    後方部分の内径とほぼ等しい外径を有し、前記シリンダ
    に対して摺動すると共に、開極動作時には、途中で前記
    シリンダの前記中間小径部に係合し、その後は前記シリ
    ンダと一体的に動作するように構成されていることを特
    徴とするガス遮断器。
  2. 【請求項2】 前記固定ピストンは、その外周部に、前
    記シリンダ内部における前記中間小径部と前記浮動ピス
    トンとの間に形成される空間と前記中間小径部の前方の
    空間とを連通する複数の溝を有することを特徴とする請
    求項1記載のガス遮断器。
  3. 【請求項3】 前記操作ロッドの前記排気孔は、開極動
    作の初期において、前記可動アーク接触子の中空部およ
    び前記操作ロッドの中空部を前記シリンダ内部の前記固
    定ピストンおよび前記浮動ピストンによって構成される
    圧縮空間と連通し、開極動作の後期において、前記可動
    アーク接触子の中空部および前記操作ロッドの中空部を
    充填ガス雰囲気空間と連通するように構成されているこ
    とを特徴とする請求項1または請求項2記載のガス遮断
    器。
  4. 【請求項4】 前記シリンダ内部における前記中間小径
    部の後方部分の内径は、前記中間小径部の前方部分の内
    径よりも大きくされていることを特徴とする請求項1か
    ら請求項3までのいずれか一つに記載のガス遮断器。
  5. 【請求項5】 前記位置規制構造は、前記固定ピストン
    の外周部に設けられた係止部を有し、この係止部の後方
    に前記浮動ピストンの内周部を係止することによってこ
    の浮動ピストンの前進位置を規制する構造であることを
    特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか一つに
    記載のガス遮断器。
  6. 【請求項6】 前記浮動ピストンの内径は、前記シリン
    ダの前記中間小径部の内径とほぼ等しくされ、 前記位置規制構造は、前記浮動ピストンの後部に設けら
    れた係合部とその係止手段とを有し、係止手段で係合部
    を係止することによって浮動ピストンの前進位置を規制
    する構造であることを特徴とする請求項1から請求項4
    までのいずれか一つに記載のガス遮断器。
  7. 【請求項7】 前記浮動ピストンは、前記シリンダ内部
    における前記中間小径部とこの浮動ピストンとの間に形
    成される空間と充填ガス雰囲気空間とを連通する複数の
    小径の連通孔を有することを特徴とする請求項1から請
    求項6までのいずれか一つに記載のガス遮断器。
  8. 【請求項8】 前記シリンダは、その前記中間小径部の
    後方部分の内周面に、前記浮動ピストンの厚さを越える
    長さの複数の溝を有することを特徴とする請求項1から
    請求項6までのいずれか一つに記載のガス遮断器。
  9. 【請求項9】 前記シリンダの前記中間小径部は、その
    内周部に、後方に突出する突起部を有し、 前記浮動ピストンにおける前記シリンダの前記中間小径
    部の前記突起部との当接部分に、緩衝材が取り付けられ
    ていることを特徴とする請求項7または請求項8記載の
    ガス遮断器。
  10. 【請求項10】 前記浮動ピストンと前記シリンダの前
    記中間小径部との当接部分の中から選択された部分に、
    緩衝材が取り付けられていることを特徴とする請求項1
    から請求項8までのいずれか一つに記載のガス遮断器。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2012138174A (ja) * 2010-12-24 2012-07-19 Toshiba Corp ガス遮断器
JP2014225467A (ja) * 2014-07-25 2014-12-04 株式会社東芝 ガス遮断器
CN114068241A (zh) * 2020-08-07 2022-02-18 国家电网有限公司 一种灭弧室及断路器

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