JPH1131443A - ガス遮断器 - Google Patents

ガス遮断器

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JPH1131443A
JPH1131443A JP18674897A JP18674897A JPH1131443A JP H1131443 A JPH1131443 A JP H1131443A JP 18674897 A JP18674897 A JP 18674897A JP 18674897 A JP18674897 A JP 18674897A JP H1131443 A JPH1131443 A JP H1131443A
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gas
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JP18674897A
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Hitoshi Mizoguchi
均 溝口
Tadashi Mori
正 森
Katsumi Suzuki
克巳 鈴木
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Toshiba Corp
Original Assignee
Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 低い駆動エネルギーで、高い遮断性能を得る
ガス遮断器を提供する。 【解決手段】 集電シリンダ21の内部に、バネ24に
よって前方に付勢される浮動ベース23を配置し、可動
シリンダ4の後端小内径部4b及びピストン部8と、集
電シリンダ21とにより、圧縮空間S2 を形成する。こ
の圧縮空間S2 の軸方向の長さL2cは、開極動作時のト
ラベル長とほぼ同じ長さとする。開極動作のとき、圧縮
空間S2 の容積減少によりその圧力が上昇し、ガスが熱
昇圧空間S1 に送り込まれる。圧縮空間S2 の圧力上昇
が過大となると浮動ベース23が後退して集電シリンダ
21の連通孔21dを開き、圧縮空間S2 のガスを外部
のガス充填雰囲気中に放出させ、その圧力を低下させ
る。このような構成により、熱昇圧空間S1 では高い圧
力上昇を得る一方、圧縮空間S2 の圧力上昇が低く保た
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、送電系統や配電系
統を保護するために線路の地絡故障や線間短絡故障など
による電流を遮断するガス遮断器に係り、特に、開極時
の機械的圧縮とアークの熱エネルギーによる昇圧作用と
を併用して可動シリンダ内の圧力を上昇させ、接触子間
に発生するアークにガスを吹き付けて電流を遮断するよ
うに構成されたガス遮断器に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、72kV以上の高電圧送電系統の
保護用遮断器として、構造が単純で信頼性が高く、かつ
優れた遮断性能を有するパッファ形ガス遮断器が広く使
用されている。このパッファ形ガス遮断器では、可動接
触子と直結した可動シリンダによってSF6 ガスなどの
消弧性のガスを圧縮して高圧のガス流を発生させ、可動
接触子と固定接触子の間に発生したアークに吹き付けて
遮断性能を得ている。この方式のガス遮断器の遮断性能
は、上記可動シリンダ内の圧力上昇によって決まり、高
い圧力上昇を得る程高い遮断性能が得られる。しかしな
がら、圧力上昇は機械的駆動力に対する反力として働く
ため、高い遮断性能を得るためには大きな駆動エネルギ
ーが必要となっていた。
【0003】これに対し、従来から、小さい駆動エネル
ギーによって高い圧力上昇を得、高い遮断性能を得る方
法が種々試みられている。その1つとして、圧縮空間の
前方にアークからの高温ガスの流入によって昇圧する熱
昇圧空間を設け、熱昇圧空間と圧縮空間を仕切る壁に、
圧縮空間から熱昇圧空間へのガス流入を可能とする一
方、熱昇圧空間から圧縮空間へのガス流入を阻止する逆
止弁を設ける方法が提案されている。このような逆止弁
を設けることにより、大電流遮断時に熱昇圧空間から圧
縮空間への高温ガスの流入を防ぎ、圧縮空間の圧力上昇
を低い値に保ち、駆動エネルギーを低く押さえることが
できる。このような方法は、特公昭57−54886号
公報及び米国特許第4139752号公報等に記載され
ている。
【0004】更に、そのような方法を改良して、より効
果的に低駆動エネルギー化を達成する方法として、図6
に示す特公平7−109744号記載の発明が知られて
いる。以下に、図6に示すガス遮断器の構成について説
明する。
【0005】図6では、中心線から下半断面が閉極状態
を示し、上半断面が遮断動作完了状態を示している。図
6に示すガス遮断器は、消弧性のガスが充填された図示
しない容器内に、固定接触子部10と可動接触子部20
とが対向配置されてなる。なお、以下の説明を簡略化す
るため、可動接触子部20の位置関係について、固定接
触子部10側の方向を前方、その反対側を後方と定義す
る。
【0006】図6において、固定接触子部10は、固定
アーク接触子1とその周囲に配置された固定通電接触子
2から構成されている。一方、可動接触子部20は、前
端部にピストン部8を有する中空の操作ロッド3と、そ
の操作ロッド3の周囲に配置されピストン部8に連結さ
れる可動シリンダ4と、上記ピストン部8の前方に連結
された中空かつ指状の可動アーク接触子5と、可動シリ
ンダ4の前端小内径部4aに固定され、可動アーク接触
子5を包囲する絶縁性のノズル7と、ノズル7の後端部
近傍を包囲して配置される可動通電接触子6とから構成
されている。また、可動接触子部20は、上記可動シリ
ンダ4を包囲し、軸方向の中間部分であって可動シリン
ダ4の後方に中間小内径部21aを有し、後方部で固定
される集電シリンダ21を有している。
【0007】また、図6において、一定容積である可動
シリンダ4内は、熱昇圧空間S1 を形成している。更
に、可動シリンダ4の後方の後端小内径部4b及びピス
トン部8と、集電シリンダ21の内周部と、集電シリン
ダ21の中間小内径部21aとにより、圧縮空間S2
形成している。
【0008】また、可動シリンダ4の後端小内径部4b
には、熱昇圧空間S1 から圧縮空間S2 へのガス流出を
阻止し、その逆向きのガス流を可能とする逆止弁26が
設けられている。一方、可動アーク接触子5の外周部と
ノズル7の内周部の間には、熱昇圧空間S1 からのガス
を固定アーク接触子1の側に導くためのガス流路30が
形成されている。また、集電シリンダ21の中間小内径
部21aには、ガス充填雰囲気中からガス圧縮空間S2
へのガス流出を可能とし、ガス圧縮空間S2 からガス充
填雰囲気中へのガス流出を防止する逆止弁27が設けら
れている。更に、集電シリンダ21の中間小内径部21
aには、ガス圧縮空間S2 の圧力上昇が所定の値を越え
たとき、ガス圧縮空間S2 内のガスをガス充填雰囲気中
に放出する放圧弁29が取り付けられている。
【0009】また、操作ロッド3の後部位置には、その
中空部とガス充填雰囲気中を連通する複数の排気孔3a
が設けられている。更に、操作ロッド3の外周面の2つ
の位置には、軸方向に伸びる複数個の溝3c、及び3d
が加工されている。溝3cは、閉極状態においては、図
6の下半断面に示すように全体が圧縮空間S2 内に位置
するようになっており、開極動作終了時においては、図
6の上半断面に示すように圧縮空間S2 とガス充填雰囲
気中とを連通するように構成されている。一方、溝3d
は、閉極状態において、圧縮空間S2 とガス充填雰囲気
中に連通するように構成されている。
【0010】ここで、上記溝3cは、開極動作の最終段
階での圧縮空間S2 の圧力上昇の低下を確実ならしめ、
低駆動エネルギー化の達成に寄与するために設けられて
いる。また、溝3dは、閉極動作時の終了段階で圧縮空
間S2 へのガスの流入を確実ならしめるために設けられ
ている。
【0011】また、図6において、集電シリンダ21の
先端内径部に集電コンタクト22が設けられており、こ
の集電コンタクト22が可動シリンダ4の外周面と摺動
して通電するようになっている。更に、可動シリンダ4
の外周面は、集電シリンダ21の内周面をほぼ気密に摺
動するようになっている。
【0012】次に、図6の構成において、開極動作によ
り電流を遮断する動作について説明する。同図に示す可
動接触子部20において、操作ロッド3は、図示しない
駆動装置によって、その軸方向に往復動するように構成
されている。また、操作ロッド3は、開極動作中、下半
断面に示す矢印D方向に移動し、この操作ロッド3を含
む可動部、すなわち、操作ロッド3とそれに連結された
可動シリンダ4、可動アーク接触子5、可動通電接触子
6、及びノズル7が、矢印D方向に一体的に移動する。
従って、図6の上半断面に示すように、可動シリンダ4
及び操作ロッド3のピストン部8と集電シリンダ21の
内周部、及びその中間小内径部21aとによって形成さ
れる圧縮空間S2 の容積が縮小し、圧縮空間S2 内の圧
力が上昇する。
【0013】このとき、逆止弁26は開極動作の初期に
おいて、上記可動部の加速度により急速に開の状態とな
り、その後圧縮空間S2 の圧力の上昇により開状態が保
持され、圧縮空間S2 から熱昇圧空間S1 へガスが流れ
る。それによって、熱昇圧空間S1 内の圧力が僅かに高
められ、ノズル7と可動アーク接触子5の間のガス流路
30を通ってガス流が固定アーク接触子1の方向に流れ
る。
【0014】一方、このような開極動作によって先ず固
定通電接触子2と可動通電接触子6が開離し、遅れて固
定アーク接触子1と可動アーク接触子5が開離する。従
って、固定アーク接触子1と可動アーク接触子5の間に
アークが発生する。そして、遮断電流が1kA程度、あ
るいはそれ以下の小さい値である時、その影響による熱
昇圧空間S1 の圧力上昇が低いため、上述した圧縮空間
2 から熱昇圧空間S1 へガスが流れる状態が維持さ
れ、上記アークにガスが吹き付けられて遮断に至ること
となる。
【0015】これに対し、数10kAに及ぶ大電流を遮
断するときには、アークからの高温ガスがノズル7と可
動アーク接触子5の間のガス流路30を逆流して熱昇圧
空間S1 に流入し、熱昇圧空間S1 内のガスを加熱して
その圧力を上昇させる。この圧力上昇は、上述したよう
な電流を遮断しない時、及び小電流を遮断する時に比べ
て格段に高くなる。
【0016】そして、電流零点でこの高い圧力によるガ
ス流がノズル7から固定アーク接触子1に向かって流
れ、アークを冷却し、電流零点で消滅させる。このよう
に2つのアーク接触子1,5間に大電流のアークが発生
した後しばらくの時間が経過すると、熱昇圧空間S1
圧力が高められた状態で逆止弁26は閉となり、熱昇圧
空間S1 から圧縮空間S2 へのガスの流出は阻止され
る。従って、高温ガスの流入による圧縮空間S2 の圧力
上昇は防止される。しかしながら、圧縮空間S2 から熱
昇圧空間S1 へのガス流出も無くなるので、圧縮空間S
2 の圧力上昇は、無負荷開極動作時や小電流遮断の開極
動作時に比べて格段に高くなる。そのため、放圧弁29
が動作し、圧縮空間S2 の圧力上昇を所定の低い値に保
つ。更に、開極動作の最終段階では、図6の上半断面か
ら解るように、溝3cにより、圧縮空間S2 はガス充気
雰囲気中に連通する。そのため、圧縮空間S2 の圧力上
昇値の低下は確実となり、小さな駆動力での開極動作が
可能となる。このようにして、大電流遮断の性能と低駆
動エネルギー化が達成されるようになっている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した従
来のガス遮断器においては、遮断動作の完了時に操作ロ
ッド3のピストン部8と、集電シリンダ21の中間小内
径部21a及びそこに設けられる逆止弁27の構成部材
との衝突を避けるため、以下のような構成となってい
る。すなわち、図6の下半断面に示す閉極状態におい
て、圧縮空間S2 の軸方向の長さL2cは、開極動作時の
トラベル長、すなわち開極トラベル長Ltrより長くなっ
ており、図6の上半断面に示すように、開極動作の終了
時において、長さL2oが確保されるようになっている。
【0018】上述したように、開極動作の初期に圧縮空
間S2 から熱昇圧空間S1 へ流入するガスが、大電流遮
断時に高い遮断性能を得るために有効に働くようになっ
ている。従って、より多量のガスを送り込むことができ
れば、高い圧力上昇が長時間維持され、高い遮断性能が
得られることとなる。しかしながら、図6に示す従来例
では、上述したように、閉極状態での圧縮空間S2 の長
さL2cが開極トラベル長Ltrより十分に長くなっている
ため、開極動作の初期の圧縮空間S2 の圧力上昇が低
く、開極動作の初期に熱昇圧空間S1 に送り込まれるガ
ス量が少なくなっている。そのため、熱昇圧空間S1
高い圧力上昇は長時間持続しない。
【0019】ここで、図7は、図6に示す従来のガス遮
断器における遮断電流と開極ストローク、及び可動シリ
ンダ4内部の圧力上昇の経時的な関係を示すグラフであ
る。この図において、ΔPS1は熱昇圧空間S1 の圧力上
昇を示し、ΔPS2は圧縮空間S2 の圧力上昇を示す。図
7に示すように、短絡事故による大電流を遮断する時、
電流波高値付近を過ぎて電流値が小さくなると、圧力上
昇値が急激に低下し、圧力上昇波高値に比べて電流零点
の圧力上昇値が著しく低下する。この状況は論文CIG
REレポート,SC13−No110−1994,p
6,Fig11にも示されている。
【0020】このような圧力上昇の顕著な低下は、電流
値が減少すると、熱昇圧空間S1 へアークによる高温ガ
スの流入が無くなることに加え、上述したように熱昇圧
空間S1 のガス密度が十分に大きくないことによって引
き起こされる。しかしながら、ガス遮断器における遮断
性能には、電流零点の圧力が大きく影響する。更に、こ
のような電流零点における圧力低下は、アーク時間が長
くなるほど著しくなり、長いアーク時間での遮断性能の
確保を困難にするという問題があった。一方、遮断性能
を確保しようとすると、そのときの圧力上昇の波高値が
一層高くなり、大きな駆動力が必要となる。従って、駆
動エネルギーが大きくなり、ガス遮断器の経済性が著し
く低下するという問題があった。
【0021】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解決するために提案され、遮断性能に影響する熱昇圧
空間では高い圧力上昇を得る一方、圧縮空間の圧力上昇
を必要最小限とすることにより、遮断性能が向上すると
共に、駆動エネルギーが低下し経済性の高いガス遮断器
を得ることを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、請求項1記載の発明によるガス遮断器は、消弧性
のガスが充填された容器内に、対向配置された固定接触
子部および可動接触子部を有し、前記固定接触子部は、
固定アーク接触子を有し、前記可動接触子部は、前記固
定接触子部側の方向を前方、その反対側を後方と定義し
た場合に、その一部に排気孔を有すると共に前端部にピ
ストン部を有する中空の操作ロッドとこの操作ロッドの
周囲に配置されて前記ピストン部の前方に連結された可
動シリンダ、前記可動シリンダの前端部の前方に取り付
けられた中空の可動アーク接触子とそれを包囲する絶縁
性のノズル、および前記可動シリンダを包囲し、その内
周部を前記可動シリンダの外周部が摺動するように構成
された集電シリンダを有し、開極動作時には、前記可動
シリンダが前記ピストン部と共に前記集電シリンダ内部
を後方に摺動することにより該ガスを圧縮し、その圧縮
されたガスを前記可動シリンダ内に送り込み、前記可動
アーク接触子と前記ノズルの間を流れる高圧のガス流を
発生させ、この高圧のガス流を両アーク接触子間に発生
するアークに吹き付けて電流を遮断するように構成され
たガス遮断器において、前記集電シリンダ内部であって
前記可動シリンダ及び前記ピストン部の後方に、該集電
シリンダの内径部と前記操作ロッドの外径部とを摺動可
能に配置され、前記可動シリンダの後端部及び前記ピス
トン部と前記集電シリンダの内径部と共に圧縮空間を形
成する浮動ベースが挿入され、前記集電シリンダ内に
は、前記浮動ベースを前方に付勢するバネと、前記浮動
ベースの前方位置を、開極動作の終了時に前記ピストン
部と接する位置に規制する位置規制構造が設けられ、前
記集電シリンダの前記浮動ベースの外径部に接する部分
に、連通孔が設けられ、前記浮動ベースが、開極動作時
に前記圧縮空間内の圧力が上昇すると後方に移動し、前
記連通孔により該圧縮空間と外部のガスが充填された空
間とが連通するように構成されたことを特徴としてい
る。
【0023】以上のような請求項1記載の発明によれ
ば、次のような作用効果が得られる。すなわち、開極動
作のとき、操作ロッドと可動シリンダを含む可動部の動
作により、可動シリンダとピストン部とが集電シリンダ
内部を後方に摺動する。これによって、圧縮空間の容積
が縮小し、その内部のガスは圧縮されて圧力が高められ
る。この圧縮されたガスは、可動シリンダ内に送り込ま
れる。また、このとき、固定アーク接触子と可動アーク
接触子との間でアークが発生する。ここで、電流値が大
きい場合、アークによって加熱されたガスは可動シリン
ダ内に流入する。これによって可動シリンダ内の圧力が
上昇し、圧縮空間から可動シリンダ内へのガスの流出が
停止する。
【0024】このように、圧縮空間から可動シリンダ内
へのガスの流出が無くなることにより、圧縮空間内の圧
力が高められる。これによって、浮動ベースが後方に移
動し、集電シリンダに設けられた連通孔を開くこととな
る。そのため、圧縮空間と外部の空間とが連通し、圧縮
空間内のガスが外部に流出して圧縮空間の圧力上昇が低
下する。このような動作により、圧縮空間内のガス圧力
の過大な上昇を防ぎ、可動部の受ける反力が低減され、
駆動エネルギーの低減化を実現することができる。
【0025】また、本発明では、浮動ベースの前方位置
が、開極動作の終了時にピストン部と接する位置に規制
されており、開極動作の終了時の圧縮空間の容積は零に
近くなる。すなわち、閉極時の圧縮空間の前後方向の長
さは、ピストン部を含む可動部の開極動作時のトラベル
長とほぼ等しくなっている。従って、開極動作初期の圧
縮効率が高く、圧縮空間の圧力上昇が高くなり、多量の
ガスを可動シリンダ内に送り込むことができる。このた
め、大電流を遮断する際に、長時間高い圧力上昇を持続
することができ、高い遮断性能を得ることができる。従
って、上述したようにガス遮断器の低駆動エネルギー化
を図ると同時に、高い遮断性能を得ることができる。
【0026】また、請求項2記載の発明によるガス遮断
器は、消弧性のガスが充填された容器内に、対向配置さ
れた固定接触子部および可動接触子部を有し、前記固定
接触子部は、固定アーク接触子を有し、前記可動接触子
部は、前記固定接触子部側の方向を前方、その反対側を
後方と定義した場合に、その一部に排気孔を有すると共
に前端部にピストン部を有する中空の操作ロッドとこの
操作ロッドの周囲に配置されて前記ピストン部の前方に
連結された可動シリンダ、前記可動シリンダの前端部の
前方に取り付けられた中空の可動アーク接触子とそれを
包囲する絶縁性のノズル、および前記可動シリンダを包
囲し、その内周部を前記可動シリンダの外周部が摺動す
るように構成された集電シリンダを有し、開極動作時に
は、前記可動シリンダが前記ピストン部と共に前記集電
シリンダ内部を後方に摺動することにより該ガスを圧縮
し、その圧縮されたガスを前記可動シリンダ内に送り込
み、前記可動アーク接触子と前記ノズルの間を流れる高
圧のガス流を発生させ、この高圧のガス流を両アーク接
触子間に発生するアークに吹き付けて電流を遮断するよ
うに構成されたガス遮断器において、前記集電シリンダ
内部であって前記可動シリンダ及び前記ピストン部の後
方に、該集電シリンダの内径部を摺動可能に配置され、
前記可動シリンダの後端部及び前記ピストン部と前記集
電シリンダの内径部と共に圧縮空間を形成する浮動ベー
スが挿入され、前記集電シリンダを固定する部材であっ
て、前記浮動ベースの内径部と前記操作ロッドとの間に
介挿された前方突出部を有し、該浮動ベースが該前方突
出部の外径部を摺動可能であるように構成された支持部
材が設けられ、前記集電シリンダ内には、前記浮動ベー
スを前方に付勢するバネと、前記浮動ベースの前方位置
を、開極動作の終了時に前記ピストン部と接する位置に
規制する位置規制構造が設けられ、前記集電シリンダの
前記浮動ベースの外径部に接する部分に、連通孔が設け
られ、前記浮動ベースが、開極動作時に前記圧縮空間内
の圧力が上昇すると後方に移動し、前記連通孔により該
圧縮空間と外部のガスが充填された空間とが連通するよ
うに構成されたことを特徴としている。
【0027】以上のような構成を有する請求項2記載の
発明によれば、請求項1記載の発明と同様の作用効果が
得られると共に、以下の効果が得られる。すなわち、浮
動ベースは、固定された部材である集電シリンダの内径
部と支持部材の前方突出部の外径部とを摺動するため、
機械的に安定する。また、浮動ベースの受圧面積を小さ
く調整することが可能となり、それによって、浮動ベー
スを支持するバネの力を小さくすることが可能となり、
バネの寸法を小さくすることができる。
【0028】また、請求項3記載の発明によるガス遮断
器は、消弧性のガスが充填された容器内に、対向配置さ
れた固定接触子部および可動接触子部を有し、前記固定
接触子部は、固定アーク接触子を有し、前記可動接触子
部は、前記固定接触子部側の方向を前方、その反対側を
後方と定義した場合に、その一部に排気孔を有すると共
に前端部にピストン部を有する中空の操作ロッドとこの
操作ロッドの周囲に配置されて前記ピストン部の前方に
連結された可動シリンダ、前記可動シリンダの前端部の
前方に取り付けられた中空の可動アーク接触子とそれを
包囲する絶縁性のノズル、および前記可動シリンダを包
囲し、その内周部を前記可動シリンダの外周部が摺動す
るように構成された集電シリンダを有し、開極動作時に
は、前記可動シリンダが前記ピストン部と共に前記集電
シリンダ内部を後方に摺動することにより該ガスを圧縮
し、その圧縮されたガスを前記可動シリンダ内に送り込
み、前記可動アーク接触子と前記ノズルの間を流れる高
圧のガス流を発生させ、この高圧のガス流を両アーク接
触子間に発生するアークに吹き付けて電流を遮断するよ
うに構成されたガス遮断器において、前記集電シリンダ
内部であって前記可動シリンダ及び前記ピストン部の後
方に、該集電シリンダの内径部と前記操作ロッドの外径
部とを摺動可能に配置され、前記可動シリンダの後端部
及び前記ピストン部と前記集電シリンダの内径部と共に
圧縮空間を形成する浮動ベースが挿入され、前記集電シ
リンダ内には、前記浮動ベースを前方に付勢するバネ
と、前記浮動ベースの前方位置を、開極動作の終了時に
前記ピストン部と接する位置に規制する位置規制構造が
設けられ、前記集電シリンダの前記浮動ベースの外径部
に接する部分より後方に、連通孔が設けられ、前記浮動
ベースが、開極動作時に前記圧縮空間内の圧力が上昇す
ると前記連通孔より後方に移動し、前記連通孔により該
圧縮空間と外部のガスが充填された空間とが連通するよ
うに構成されたことを特徴としている。
【0029】以上のような構成を有する請求項3記載の
発明によれば、請求項1記載の発明と同様の作用効果が
得られると共に、以下の効果が得られる。すなわち、圧
縮空間内のガス圧力が上昇し、浮動ベースが後方に移動
する際に、移動開始から一定の遅れ時間をもって圧縮空
間が外部のガス充填雰囲気中に連通することとなる。そ
のため、連通孔の位置により、圧縮空間の圧力を低下す
る時間を調整することができるため、より多量のガスを
熱昇圧空間に送り込むことが可能となる。
【0030】また、請求項4記載の発明によるガス遮断
器は、請求項1乃至3のいずれか1項記載の発明におい
て、前記位置規制構造が、前記集電シリンダの前方部分
の内径が後方部分の内径より小さくなっており、前記浮
動ベースが、前記後方部分に配置され、前記前方部分の
後端部によって係止される構造であることを特徴として
いる。以上のような構成を有する請求項4記載の発明に
よれば、簡単な構成で、浮動ベースの前方位置を規制す
ることができる。
【0031】
【発明の実施の形態】以下に、本発明によるガス遮断器
の具体的な実施の形態について、図面を参照して説明す
る。なお、上述した従来技術と同一の部材については同
一の符号を付し、その説明は省略する。また、従来技術
において定義したように、固定接触子部10側の方向を
前方、その反対側を後方として説明する。
【0032】[1.第1の実施の形態] [1−1.構成]図1および図2は、本発明によるガス
遮断器の第1の実施の形態として、特に、請求項1及び
請求項4に記載の発明を適用したガス遮断器の一つの実
施の形態を示す図である。ここで、図1は閉極状態を示
す断面図であり、図2の(A)〜(D)は、開極動作の
初期、中期、後期、及び終了時を段階的に示す断面図で
ある。
【0033】図1に示すように、消弧性のガスが充填さ
れた図示しない容器内には、固定接触子部10と可動接
触子部20が対向配置されている。このうち、固定接触
子部10は、固定アーク接触子1とその周囲に配置され
た固定通電接触子2から構成されている。
【0034】一方、可動接触子部20は、前端部にピス
トン部8を有する操作ロッド3と、可動シリンダ4と、
中空かつ指状の可動アーク接触子5と、絶縁性のノズル
7と、可動通電接触子6と、集電シリンダ21と、浮動
ベース23とから構成されている。上記操作ロッド3
は、支持部材25の前端の小内径部25bにより摺動支
持されており、可動シリンダ4は、上記操作ロッド3の
ピストン部8に固定されている。また、可動アーク接触
子5は、ピストン部8の前方に連結されており、ノズル
7は、可動シリンダ4の前方の前端小内径部4aに固定
されている。また、可動通電接触子6は、ノズル7の後
端部近傍を包囲しており、それを可動シリンダ4の前端
小内径部4aに固定するように構成されている。更に、
集電シリンダ21は、可動シリンダ4を包囲して配置さ
れ、支持部材25に固定されており、浮動ベース23
は、集電シリンダ21内に配置され、バネ24によって
前方に付勢されている。
【0035】また、上記可動接触子部20においては、
集電シリンダ21の前端部分に装着される集電コンタク
ト22を介して、可動シリンダ4と集電シリンダ21が
摺動可能に接触している。
【0036】更に、集電シリンダ21は、板厚が前方部
分の方が後方部分よりも厚みがあり、そのために前方部
分の内径が小さくなって小内径部21bを形成し、後方
部分の内径がそれより大きくなって大内径部21cを形
成している。一方、上記浮動ベース23は、外径が集電
シリンダ21の上記大内径部21cの内径よりも僅かに
小さく、内径が操作ロッド3の外径よりもわずかに大き
くなっている。そのため、浮動ベース23は、集電シリ
ンダ21の大内径部21cと操作ロッド3の外径部とを
摺動可能に支持されている。そして、浮動ベース23
は、上記のようにバネ24によって前方に付勢され、集
電シリンダ21の小内径部21bの後端部によって係止
されて前方位置が規制されている。
【0037】また、可動シリンダ4内の一定容積の空間
1 は、熱昇圧空間を形成しており、操作ロッド3のピ
ストン部8、集電シリンダ21、及び浮動ベース23に
よって囲まれる空間S2 は、開極動作によりその容積を
縮小する圧縮空間を形成している。
【0038】更に、集電シリンダ21の後方の大内径部
21cにおいて、浮動ベース23の外径部に接する部分
に、集電シリンダ21の板厚を貫通する連通孔21dが
設けられている。また、可動シリンダ4の後端小内径部
4bには、圧縮空間S2 から熱昇圧空間S1 へのガス流
を可能とし、その逆のガス流を阻止する逆止弁26が設
けられている。更に、浮動ベース23には、ガス充填雰
囲気中から圧縮空間S2 へのガス流入を可能とし、圧縮
空間S2 からガス流出を阻止する逆止弁27が設けられ
ている。
【0039】また、操作ロッド3の後方部分には、その
中空部とガス充填雰囲気中を連通する排気孔3aが設け
られており、その直近後方には、操作ロッド3の中空部
における前方から後方へのガス流路を遮断し、排気孔3
aからのガス流の排出を導くためのガス閉止部材3bが
設けられている。
【0040】また、図1に示す閉極状態において、圧縮
空間S2 の軸方向の長さL2cは、開極動作時のトラベル
長、すなわち図2(D)に示す開極トラベル長Ltrとほ
ぼ同じ長さとなっている。すなわち、図2(D)に示す
ように、浮動ベース23の係止位置は、開極動作の終了
時に操作ロッド3のピストン部8が停止する位置とほぼ
同じ位置となっている。また、浮動ベース23と支持部
材25との距離L3 は、図2(A)〜(C)に示すよう
に、浮動ベース23のトラベル長、すなわち浮動ベース
23が後方に移動可能な長さとして設定されている。
【0041】[1−2.作用]以上のような構成を有す
る第1の実施の形態の作用は、以下の通りである。ま
ず、図1に示す閉極状態において、電流は固定接触子部
10の固定通電接触子2から可動通電接触子部20の可
動通電接触子6に流れ、更に、集電コンタクト22を介
して集電シリンダ21に流れている。このような閉極状
態で、図示しない駆動装置からの駆動力が矢印Dの方向
に作用し、操作ロッド3がこの矢印D方向に移動する
と、操作ロッド3を含む可動部、すなわち、操作ロッド
3とそれに連結された可動シリンダ4、可動アーク接触
子5、可動通電接触子6、及びノズル7が矢印Dの方向
に一体的に移動する。
【0042】このような矢印D方向への移動により、圧
縮空間S2 の容積が減少し、ガスが圧縮されて圧縮空間
2 の圧力が上昇する。このとき、可動シリンダ4の後
端小内径部4bに設けられた逆止弁26は、可動部の加
速度のため開状態となっている。従って、図2の(A)
に示すように、圧縮空間S2 から熱昇圧空間S1 にガス
が流入する(ガス流12)。
【0043】また、上記移動により、最初に固定通電接
触子2と可動通電接触子6とが開離し、遅れて固定アー
ク接触子2と可動アーク接触子5が開離する。その結
果、図2の(A)に示すように、固定アーク接触子1と
可動アーク接触子5の間にアーク11が発生する。
【0044】一方、図1の(A)の状態から図2の
(B)の状態に達する時点で、電流値が大きい場合には
アーク11が大きく広がり、このアーク11によって加
熱された周囲のガスは、大別して3方向の高温のガス流
13a、13b、13cとなる。このうち、ガス流13
aは、固定アーク接触子1に沿ってノズル7の外部に噴
出し、ガス流13bは、図2の(B)に示すように、可
動アーク接触子5の中空部から操作ロッド3の中空部内
に流出し、排気孔3aを介してガス充填雰囲気中に排出
される。また、ガス流13cは、図2の(A)に示すよ
うに、可動アーク接触子5とノズル7との間のガス流路
30から可動シリンダ4内の熱昇圧空間S1内に流入す
る。
【0045】従って、可動シリンダ4内の熱昇圧空間S
1 の圧力は、圧縮空間S2 からのガス流入に加え、この
高温のガス流13cによる熱エネルギーによっても十分
に昇圧されることとなる。そして、開極動作の進行に伴
い、圧縮空間S2 の圧力上昇により可動部に働く加速度
が小さくなり、かつ熱昇圧空間S1 の圧力上昇が圧縮空
間S2 の圧力上昇より高くなると、図2の(B)に示す
ように、逆止弁26が閉じられ、熱昇圧空間S1 から圧
縮空間S2 へのガス流出は阻止される。これにより、図
2の(B)に示すような状態で、可動シリンダ4内の圧
力上昇値は遮断に十分な値にまで高められる。
【0046】その後、更に開極が進み、図2の(C)に
示すように、ノズル7のスロート部が十分に開口し、電
流値も小さくなると、ノズル7のスロート付近に充満し
ていた高温ガスが消失し、ガス流15が可動シリンダ4
内の熱昇圧空間S1 から可動アーク接触子5とノズル7
との間のガス流路30に流れる。このガス流15は、ノ
ズル7の外部に噴出するガス流15aと、可動アーク接
触子5の中空部から操作ロッド3の中空部へ流出するガ
ス流15bとに分かれる。このガス流15bは、操作ロ
ッド3の中空部から排気孔3aを通り、支持部材の排気
孔25aを経てガス充填雰囲気中に排出される。このよ
うな図2の(C)に示す時点では、アーク11は2方向
のガス流によって冷却される。そして、圧力は十分に高
い値となっているため、消弧力が強く、アークは消滅せ
られ、電流が遮断される。
【0047】一方、図2(B)に示すような状態以降、
圧縮空間S2 から熱昇圧空間S1 へのガス流出がなくな
ることにより、圧縮空間S2 の圧力がより早く高められ
る。このとき、バネ24の付勢力により、浮動ベース2
3に対して後向きに働く力が大きくなると、浮動ベース
23は後方に移動し始め、短時間で、図2(C)に示す
ように、集電シリンダ21に設けられた連通孔21dの
位置よりも後退する。そのため、圧縮空間S2 が連通孔
21dによってガス充填雰囲気中に連通するようにな
り、ガス流14が流出して圧縮空間S2 の圧力上昇は低
下する。その後、圧縮空間S2 の圧力が設定値より低下
すると、再び浮動ベース23は前進し、連通孔21dを
閉じる。そのため、圧縮空間S2 のガスは再び圧縮され
て適度な値に保たれ、熱昇圧空間S1 の圧力上昇が低く
なったとき再びガスを送り込めるようになる。
【0048】更に、開極動作が進み、可動部が図2の
(D)に示す開極トラベル長LTR分を移動すると、開極
動作は終了する。そのとき、操作ロッド3のピストン部
8と浮動ベース23との距離はほぼ零となり、両者はほ
ぼ密着する。
【0049】ここで、図3に、本実施の形態のガス遮断
器における遮断電流と開極ストローク(開極動作時のト
ラベル)、及び熱昇圧空間S1 の圧力上昇ΔPS1及び圧
縮空間S2 の圧力上昇ΔPS2の経時的な関係を示す。同
図に示すように、2つのアーク接触子1,5が開離する
直後まで、圧縮空間S2 の圧力上昇が熱昇圧室空間S1
の圧力上昇より高くなっている。すなわち、この間、圧
縮空間S2 から熱昇圧室空間S1 に向かってガスが流出
している。また、アークの発生後、熱昇圧空間S1 の圧
力は急激に上昇している。その後、浮動ベース23の後
退により、集電シリンダ21に設けられた連通孔21d
が開口して、圧縮空間S2 からガスが放出され、圧縮室
空間S2 の圧力上昇は低い値に低下している。また、ア
ーク時間が20msと長いにもかかわらず、熱昇圧空間
1 における圧力上昇波高値から電流零点までの圧力上
昇値の降下の度合いは小さく、図7に示す従来のガス遮
断器の場合に比べ電流零点での圧力上昇値は高く保たれ
ている。
【0050】[1−3.効果]以上のように、第1の実
施の形態によれば、以下のような効果が得られる。すな
わち、圧縮空間S2 の長さL2cが開極動作のトラベル長
TRとほぼ同じであるため、従来のガス遮断器に比べて
圧縮効率が高く、開極動作の初期における熱昇圧空間S
1 の圧力上昇が高くなる。そのため、開極動作の初期
に、多量のガスが熱昇圧空間S1 へ送り込まれる。従っ
て、本実施の形態では、大電流遮断時の圧力上昇が長時
間高い値に保たれ、電流零点で高い圧力上昇が得られる
ため、安定した高い遮断性能が得られる。また、圧縮空
間S2 のガス圧力が低く抑えられることにより、駆動力
が半分に低減され、ガス遮断器の低駆動エネルギー化が
達成される。
【0051】[2.第2の実施の形態] [2−1.構成]図4は、本発明によるガス遮断器の第
2の実施の形態として、特に、請求項2及び請求項4に
記載の発明を適用したガス遮断器の一つの実施の形態の
要部を示す図であり、閉極状態を示す断面図である。
【0052】この第2の実施形態においては、浮動ベー
ス23の内径が操作ロッド3の外径より大きくなってい
る。また、集電シリンダ21を支持する支持部材25の
内側部分である前方突出部25cが、前方に突出して、
浮動ベース23の内径部と操作ロッド3の外径部との間
に挿入されている。このため、浮動ベース23の内径部
が支持部材25の前方突出部25bの外径部を摺動する
ようになっている。更に、浮動ベース23の内径部は後
方に突出部23aを有し、その突出部23aの先端と支
持部材25との間隔L3が、浮動ベース23のトラベル
長となっている。なお、この浮動ベース23及び支持部
材25以外の部分については、上述した第1の実施の形
態と全く同様に構成されている。
【0053】[2−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第2の実施の形態の作用は、以下の通りであ
る。すなわち、上述したように、浮動ベース23は、固
定された部材である集電シリンダ4の内径部と支持部材
25の前方突出部25bの外径部とを摺動する。従っ
て、機械的な安定性を確保することができる。また、浮
動ベース23の受圧面積を小さく調整することができ
る。それにより、圧縮空間S2 の圧力上昇により浮動ベ
ース23に働く力を小さくすることができるため、後方
より支持するバネ24の力を小さくすることが可能とな
1、バネ24の寸法を小さくできる。
【0054】なお、熱昇圧空間S1 の圧力上昇を高くす
ることができると共に、圧縮空間S2 の圧力上昇を低い
値に保持することができ、高い遮断性能を得ながらガス
遮断器の低駆動エネルギー化を達成することができる作
用効果については、第1の実施の形態と同様である。
【0055】[3.第3の実施の形態] [3−1.構成]図5は、本発明によるガス遮断器の第
3の実施の形態として、特に、請求項3及び請求項4に
記載の発明を適用したガス遮断器の一つの実施の形態を
示す図であり、閉極状態を示す断面図である。
【0056】この第3の実施形態においては、集電シリ
ンダ21の後方部分の大内径部21cに設けられた連通
孔21dが、図1に示す第1の実施の形態における連通
孔21dより後方に配置されている。なお、この浮動ベ
ース23、集電シリンダ21、及び連通孔21d以外の
部分については、上述した第1の実施の形態と全く同様
に構成されている。
【0057】[3−2.作用・効果]以上のような構成
を有する第3の実施の形態の作用は、以下の通りであ
る。すなわち、連通孔21dが後方に位置しているた
め、圧縮空間S2 の浮動ベース23が後方に移動したと
き、移動開始から一定の遅れ時間を経て、圧縮空間S2
がガス充填雰囲気中に連通するようになる。そのため、
圧縮空間S2 の圧力が低下する時間を調整することがで
きる。このような調整を有効に実施することにより、圧
縮空間S2 の圧力上昇を最適に制御することができ、よ
り多量のガスを熱昇圧空間S1 に送り込むことができ
る。従って、ガス遮断器の遮断性能を高めることができ
る。
【0058】なお、熱昇圧空間S1 の圧力上昇を高くす
ることができると共に、圧縮空間S2 の圧力上昇を低い
値に保持することができ、高い遮断性能を得ながらガス
遮断器の低駆動エネルギー化を達成することができる作
用効果については、第1及び第2の実施の形態と同様で
ある。
【0059】[4.他の実施の形態]なお本発明は、各
実施の形態に限定されるものでなく、多種多様な形態を
実施可能である。例えば、集電シリンダを内径の小さい
小内径部と内径の大きい大内径部とで構成することによ
って浮動ベースの位置を規制するのではなく、集電シリ
ンダに、その内側に突出する中間小径部を設け、それに
よって規制するようにしてもよい。
【0060】また、各実施の形態の複数の形態を適宜組
み合わせるようにしてもよい。また、操作ロッド、可動
シリンダ、浮動ベース、集電シリンダなどの具体的構成
は、可動シリンダ内の容積に対する圧縮空間の容積の比
率や浮動ベースの断面積を含め、適宜選択可能である。
更に、各部に設ける排気孔の数や形状、寸法などは自由
に設計可能である。
【0061】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
集電シリンダ内に前方にバネ支持される浮動ベースを設
け、その浮動ベースと操作ロッド前端のピストン部と、
集電シリンダの内径部とにより圧縮空間を形成させ、そ
の圧縮空間の前後方向の長さを可動部のトラベル長とほ
ぼ同じとし、かつ、圧縮空間の圧力上昇が設定値を越え
たとき浮動ベースが後退して集電シリンダに設けられた
連通孔を開口し、圧縮空間のガスを放出して過大な圧力
上昇を防ぐ構成とすることにより、可動シリンダ内の圧
力上昇を長い時間高く持続させることができ、かつ、圧
縮空間の圧力上昇を低い値に保つことが可能となる。従
って、本発明により、高い遮断性能で、かつ、低駆動エ
ネルギーのガス遮断器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるガス遮断器の
構成を示す断面図である。
【図2】同実施の形態のガス遮断器の開極動作の状態を
段階的に記す図であり、(A)は開極動作の初期の状態
を示す断面図、(B)は開極動作の中期の状態を示す断
面図、(C)は開極動作の後期の状態を示す断面図であ
る。
【図3】同実施の形態によるガス遮断器の遮断電流と開
極ストローク、及び熱昇圧空間S1 及び圧縮空間S2
圧力上昇の経時的な関係を示すグラフである。
【図4】本発明の第2の実施の形態によるガス遮断器に
おいて、閉極状態の要部を示す断面図である。
【図5】本発明による第3の実施の形態によるガス遮断
器において、閉極状態の要部を示す断面図である。
【図6】従来のガス遮断器の一例を示す図であり、その
開極動作途中の状態を示す断面図である。
【図7】従来のガス遮断器の遮断電流と開極トラベル、
及び熱昇圧空間S1 及び圧縮空間S2 内の圧力上昇の経
時的な関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1…固定アーク接触子 2…固定通電接触子 3…操作ロッド 3a…排気孔 3b…ガス閉止部材 4…可動シリンダ 4a…前端小内径部 4b…後端小内径部 5…可動アーク接触子 6…可動通電接触子 7…ノズル 8…ピストン部 10…固定接触子部 11…アーク 12,13,13a,13b,13c,14,15,1
5a,15b…ガス流 20…可動接触子部 21…集電シリンダ 21b…小内径部 21c…大内径部 21d…連通孔 22…集電コンタクト 23…浮動ベース 24…バネ 25…支持部材 25a…排気孔 25b…小内径部 25c…前方突出部 26,27…逆止弁 S1 …熱昇圧空間 S2 …圧縮空間 ΔPS1…熱昇圧空間の圧力上昇 ΔPS2…圧縮空間の圧力上昇 Ltr…開極トラベル長

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 消弧性のガスが充填された容器内に、対
    向配置された固定接触子部および可動接触子部を有し、
    前記固定接触子部は、固定アーク接触子を有し、前記可
    動接触子部は、前記固定接触子部側の方向を前方、その
    反対側を後方と定義した場合に、その一部に排気孔を有
    すると共に前端部にピストン部を有する中空の操作ロッ
    ドとこの操作ロッドの周囲に配置されて前記ピストン部
    の前方に連結された可動シリンダ、前記可動シリンダの
    前端部の前方に取り付けられた中空の可動アーク接触子
    とそれを包囲する絶縁性のノズル、および前記可動シリ
    ンダを包囲し、その内周部を前記可動シリンダの外周部
    が摺動するように構成された集電シリンダを有し、開極
    動作時には、前記可動シリンダが前記ピストン部と共に
    前記集電シリンダ内部を後方に摺動することにより該ガ
    スを圧縮し、その圧縮されたガスを前記可動シリンダ内
    に送り込み、前記可動アーク接触子と前記ノズルの間を
    流れる高圧のガス流を発生させ、この高圧のガス流を両
    アーク接触子間に発生するアークに吹き付けて電流を遮
    断するように構成されたガス遮断器において、 前記集電シリンダ内部であって前記可動シリンダ及び前
    記ピストン部の後方に、該集電シリンダの内径部と前記
    操作ロッドの外径部とを摺動可能に配置され、前記可動
    シリンダの後端部及び前記ピストン部と前記集電シリン
    ダの内径部と共に圧縮空間を形成する浮動ベースが挿入
    され、 前記集電シリンダ内には、前記浮動ベースを前方に付勢
    するバネと、前記浮動ベースの前方位置を、開極動作の
    終了時に前記ピストン部と接する位置に規制する位置規
    制構造が設けられ、 前記集電シリンダの前記浮動ベースの外径部に接する部
    分に、連通孔が設けられ、 前記浮動ベースは、開極動作時に前記圧縮空間内の圧力
    が上昇すると後方に移動し、前記連通孔により該圧縮空
    間と外部のガスが充填された空間とが連通するように構
    成されたことを特徴とするガス遮断器。
  2. 【請求項2】 消弧性のガスが充填された容器内に、対
    向配置された固定接触子部および可動接触子部を有し、
    前記固定接触子部は、固定アーク接触子を有し、前記可
    動接触子部は、前記固定接触子部側の方向を前方、その
    反対側を後方と定義した場合に、その一部に排気孔を有
    すると共に前端部にピストン部を有する中空の操作ロッ
    ドとこの操作ロッドの周囲に配置されて前記ピストン部
    の前方に連結された可動シリンダ、前記可動シリンダの
    前端部の前方に取り付けられた中空の可動アーク接触子
    とそれを包囲する絶縁性のノズル、および前記可動シリ
    ンダを包囲し、その内周部を前記可動シリンダの外周部
    が摺動するように構成された集電シリンダを有し、開極
    動作時には、前記可動シリンダが前記ピストン部と共に
    前記集電シリンダ内部を後方に摺動することにより該ガ
    スを圧縮し、その圧縮されたガスを前記可動シリンダ内
    に送り込み、前記可動アーク接触子と前記ノズルの間を
    流れる高圧のガス流を発生させ、この高圧のガス流を両
    アーク接触子間に発生するアークに吹き付けて電流を遮
    断するように構成されたガス遮断器において、 前記集電シリンダ内部であって前記可動シリンダ及び前
    記ピストン部の後方に、該集電シリンダの内径部を摺動
    可能に配置され、前記可動シリンダの後端部及び前記ピ
    ストン部と前記集電シリンダの内径部と共に圧縮空間を
    形成する浮動ベースが挿入され、 前記集電シリンダを固定する部材であって、前記浮動ベ
    ースの内径部と前記操作ロッドとの間に介挿された前方
    突出部を有し、該浮動ベースが該前方突出部の外径部を
    摺動可能であるように構成された支持部材が設けられ、 前記集電シリンダ内には、前記浮動ベースを前方に付勢
    するバネと、前記浮動ベースの前方位置を、開極動作の
    終了時に前記ピストン部と接する位置に規制する位置規
    制構造が設けられ、 前記集電シリンダの前記浮動ベースの外径部に接する部
    分に、連通孔が設けられ、 前記浮動ベースは、開極動作時に前記圧縮空間内の圧力
    が上昇すると後方に移動し、前記連通孔により該圧縮空
    間と外部のガスが充填された空間とが連通するように構
    成されたことを特徴とするガス遮断器。
  3. 【請求項3】 消弧性のガスが充填された容器内に、対
    向配置された固定接触子部および可動接触子部を有し、
    前記固定接触子部は、固定アーク接触子を有し、前記可
    動接触子部は、前記固定接触子部側の方向を前方、その
    反対側を後方と定義した場合に、その一部に排気孔を有
    すると共に前端部にピストン部を有する中空の操作ロッ
    ドとこの操作ロッドの周囲に配置されて前記ピストン部
    の前方に連結された可動シリンダ、前記可動シリンダの
    前端部の前方に取り付けられた中空の可動アーク接触子
    とそれを包囲する絶縁性のノズル、および前記可動シリ
    ンダを包囲し、その内周部を前記可動シリンダの外周部
    が摺動するように構成された集電シリンダを有し、開極
    動作時には、前記可動シリンダが前記ピストン部と共に
    前記集電シリンダ内部を後方に摺動することにより該ガ
    スを圧縮し、その圧縮されたガスを前記可動シリンダ内
    に送り込み、前記可動アーク接触子と前記ノズルの間を
    流れる高圧のガス流を発生させ、この高圧のガス流を両
    アーク接触子間に発生するアークに吹き付けて電流を遮
    断するように構成されたガス遮断器において、 前記集電シリンダ内部であって前記可動シリンダ及び前
    記ピストン部の後方に、該集電シリンダの内径部と前記
    操作ロッドの外径部とを摺動可能に配置され、前記可動
    シリンダの後端部及び前記ピストン部と前記集電シリン
    ダの内径部と共に圧縮空間を形成する浮動ベースが挿入
    され、 前記集電シリンダ内には、前記浮動ベースを前方に付勢
    するバネと、前記浮動ベースの前方位置を、開極動作の
    終了時に前記ピストン部と接する位置に規制する位置規
    制構造が設けられ、 前記集電シリンダの前記浮動ベースの外径部に接する部
    分より後方に、連通孔が設けられ、 前記浮動ベースは、開極動作時に前記圧縮空間内の圧力
    が上昇すると前記連通孔より後方に移動し、前記連通孔
    により該圧縮空間と外部のガスが充填された空間とが連
    通するように構成されたことを特徴とするガス遮断器。
  4. 【請求項4】 前記位置規制構造は、前記集電シリンダ
    の前方部分の内径が後方部分の内径より小さくなってお
    り、前記浮動ベースが、前記後方部分に配置され、前記
    前方部分の後端部によって係止される構造であることを
    特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載のガス遮
    断器。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104201049A (zh) * 2013-08-22 2014-12-10 河南平高电气股份有限公司 压气缸-主触头装置及使用该装置的动端和断路器灭弧室

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104201049A (zh) * 2013-08-22 2014-12-10 河南平高电气股份有限公司 压气缸-主触头装置及使用该装置的动端和断路器灭弧室

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