JPS6367297B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、可動接触子の開離動作に追従する
ピストンにより消弧性流体を圧縮すると共に、発
生するアークによりこの消弧性流体を昇圧し、こ
の消弧性流体の吹出しにより消弧するようにした
電力開閉装置に関する。

しや断器など、この種のパツフア形の開閉装置
は、従来第１図に縦断面図で示すものがあつた。
図は投入状態を示し、１は固定部（図示してな
い）に支持されていて流通孔１ａがあけられた端
子板、２はこの端子板に固着された筒状体で、後
半部がシリンダ部２ａを形成している。３は筒状
体２内に固着された固定接触子で、例えばチユー
リツプ形をなしている。４は筒状体２の前端部に
はめ込み固着された絶縁ノズルで、内径部４ａの
外端側はラツパ状に広がつた開口部４ｂが形成さ
れている。５はシリンダ部２ａ内にしゆう動自在
にはめられたピストンで、ピストン棒部５ａの前
端はアーク接触部となつている。ピストン５はば
ね部材６により固定接触子３側に押圧されるが、
図では投入状態であり、後方に押込まれている。
この押込まれたピストン５によりシリンダ部２ａ
内に圧縮室７が形成され、筒状体２内の前部側に
は蓄圧室８が形成される。９は他方の端子板（図
示は略す）に電気接触され、図示してない作動機
構により矢印Ａ方向の投入移動及び矢印Ｂ方向の
開離移動される可動接触子で、図では絶縁ノズル
４の内径部４ａを通り固定接触子３に差込まれて
電気接触し、ピストン５を押込んでいる。

上記筒状体２及び可動接触子９部は図示を略し
た密封容器内に収められてあり、密封容器内には
消弧性流体、例えばSF₆ガス、空気、絶縁油など
が封入されている。

上記従来の開閉装置において、第１図の投入状
態のとき、引外し信号を与えると、作動機構によ
り可動接触子９は矢印Ｂ方向に移動される。する
と、ピストン５もばね部材６の押圧力によつて追
従し、圧縮室７の消弧性流体を圧縮して蓄圧室８
に押込め固定接触子３の後端部で受止められる。
固定接触子３から開離された可動接触子９は、停
止したピストン５のピストン棒部５ａの前端から
も開離してアーク１０が発生し、第２図の状態に
なる。このアーク１０の高熱により、蓄圧室８の
消弧性流体はさらに昇圧され、可動接触子９の先
端部が絶縁ノズル４の開口部４ｂから遠ざかり始
め、双方間のすき間が拡大されると蓄圧室８内の
高圧力流体が高速で噴出し、なおも引延ばされて
いるアーク１０に吹付けて冷却する。これによ
り、アーク１０は消弧され、第３図に示すよう
に、開路状態となる。

しかしながら、上記従来の開閉装置では、大電
流のしや断時に蓄圧室８内の消弧性流体がアーク
１０熱により過大な圧力になつたり、過度な温度
になつたりし、しや断不能になるおそれがあつ
た。このため、蓄圧室８を大きくする必要があ
り、外形が大きくなつていた。一方大きい蓄圧室
にすると、ピストンの圧縮効率が下り、また、小
電流のしや断時には、発生アーク熱が小さく蓄圧
室８内の消弧性流体の昇圧が不足し、しや断性能
が低下する欠点があつた。

この発明は、筒状体のシリンダ部の外周に調整
室を設け、この調整室は可動接触子が開離すると
追従するピストンにより蓄圧室との連通が断たれ
ており、蓄圧室内の消弧性流体の圧力が所定値以
上になるとピストンが押込まれて連通が開かれ、
蓄圧室の消弧性流体の一部が調整室に流動するよ
うにし、比較的小さい蓄圧室とピストンにより、
大電流しや断時に蓄圧室内の消弧性流体の圧力や
温度が過大になることが防止され、十分なしや断
性能が得られ、小電流であつても優れたしや断性
能をもつた電力開閉装置を提供することを目的と
している。

第４図はこの発明の一実施例による電力開閉装
置の一実施例であり、１，１ａ，３，４，４ａ，
４ｂ，５，５ａ，７〜９は上記従来装置と同一の
ものであり、説明は略する。１１は端子板１に固
着された筒状体で、後半部がシリンダ部１１ａを
形成している。１２はシリンダ部１１ａの外周に
固着された囲い体で、内部に調整室１３を形成
し、図のようにピストン５が押込まれた状態で
は、シリンダ部１１ａに設けられた連通穴１１ｂ
により圧縮室７を経て蓄圧室８に連通している。
ばね部材１４は上記従来のばね部材６よりばね常
数を小さくしてあり、しや断時に可動接触子５の
開離に追従して圧縮移動したピストン５が、蓄圧
室８の消弧性流体の過度の昇圧のときは押込まれ
るようになつている。

次に、上記一実施例の装置の作用を説明する。
投入状態では、第４図に示すように、可動接触子
９は固定接触子３に接触し、先端はピストン棒部
５ａの前端に当接してピストン５を押込んでい
て、連通穴１１ｂは圧縮室７側に通じている。し
や断動作により可動接触子９が矢印Ｂ方向に移動
を始めると、ピストン５もばね部材１４の押圧力
によつて追従し、圧縮室７の消弧性流体を圧縮し
て蓄圧室８に押込め固定接触子３の後端部で受止
められる。固定接触子３から開離した可動接触子
９は、第５図に鎖線で示すように、停止したピス
トン５のピストン棒部５ａの前端から開離し、ア
ーク１０が発生する。このアーク１０が大電流の
場合、高温のアーク熱により蓄圧室８の消弧性流
体は昇圧される。この消弧性流体が所定圧力以上
になると、ピストン５はばね圧に抗して実線のよ
うに押込まれる。これにより、連通穴１１ｂが蓄
圧室８側に通じ、高圧力流体の一部は矢印Ｃのよ
うに、調整室１３内に流動し、蓄圧室８内の消弧
性流体の過大な昇圧や昇温が防止される。引続き
可動接触子９が移動して、第５図に実線で示すよ
うに、絶縁ノズル４の開口部４ｂとのすき間が拡
大されていくと、蓄圧室８内及び調整室１３内の
高圧力流体が高速で噴出し、引伸ばされていくア
ーク１０ａに吹付けて冷却し消弧する。矢印Ｄは
調整室１３の高圧力流体の流出を示す。

こうして、第６図に示すように、開路状態とな
り、ピストン５はばね圧により再び固定接触子３
側に押戻されている。

第７図はこの発明の他の実施例による電力開閉
装置の縦断面図で、投入状態を示す。１５は筒状
体１１のシリンダ部１１ａの外周に固着された囲
い体で、内部に調整室１３を形成している。シリ
ンダ部２ａに設けられた連通穴１１ｃの位置は、
投入動作による可動接触子９で、ピストン５が押
込まれても、調整室１３と蓄圧室８側とが連通さ
れない箇所にしてある。

第７図において、可動接触子９が開離動作に入
ると、ピストン５がばね圧により追従して消弧性
流体を圧縮し、蓄圧室８に押込める。この場合、
連通穴１１ｃは圧縮室７側とは閉じられているの
で、ピストン５は効率よく圧縮作用がされる。続
いて可動接触子９が第８図に鎖線で示すように、
開離しアーク１０が発生すると、そのアーク熱に
より蓄圧室８内の消弧性流体が昇圧し、所定以上
の過大な圧力になると、鎖線のように受止められ
ていたピストン５を実線で示すように押込める。
これにより、蓄圧室８内の高圧力流体の一部は矢
印Ｃのように連通穴１１ｃを通り調整室１３内に
流動し、蓄圧室８の消弧性流体の過大な昇圧や昇
温が防がれる。引続く可動接触子９の移動によ
り、第８図に実線で示すように、開口部４ｂとの
すき間が拡大され、蓄圧室８内及び調整室１３内
の高圧力流体が高速で噴出し、引伸ばされていく
アーク１０ａに吹付けて消弧する。こうして、第
９図に示す開路状態になる。

また、蓄圧室８は比較的小さくてよいので、比
較的小さいピストン５で効率よく圧縮されて加圧
され、小電流のしや断の場合は、アーク１０の熱
量は小さく蓄圧室８内の消弧性流体の昇圧は大き
くはなく、ピストン５は押込まれず、適度な圧力
の高圧力流体の噴出で小電流のアークを消弧する
ことができる。

なお、この発明による電力開閉装置は、しや断
器、開閉器、接触器、断路器及びノーヒユーズブ
レーカなどに適用することができるものである。

以上のように、この発明によれば、筒状体のシ
リンダ部の外周に調整室を設け、可動接触子の開
離により発生したアークで、蓄圧室内の圧力消弧
性流体の圧力が所定値以上になるとピストンが押
込まれ、蓄圧室側が調整室に連通して消弧性流体
の一部が調整室に流動するようにしているので、
比較的小さい蓄圧室とピストンにより、大電流し
や断時に蓄圧室内の消弧性流体の圧力や温度の過
大上昇が防止されて性能よくしや断され、小電流
であつても十分なしや断能力が得られる。

【図面の簡単な説明】

第１図は従来の電力開閉装置の投入状態の縦断
面図、第２図及び第３図は第１図の装置の開離中
及び開路の状態の縦断面図、第４図はこの発明の
一実施例による電力開閉装置の投入状態の縦断面
図、第５図及び第６図は第４図の電力開閉装置の
開離中及び開路の状態の縦断面図、第７図はこの
発明の他の実施例による電力開閉装置の投入状態
の縦断面図、第８図及び第９図は第７図の装置の
開離中及び開路の状態の縦断面図である。 ３……固定接触子、４……絶縁ノズル、５……
ピストン、８……蓄圧室、９……可動接触子、１
０……アーク、１１……筒状体、１１ａ……シリ
ンダ部、１１ｂ，１１ｃ……連通穴、１２……囲
い体、１３……調整室、１４……ばね部材、１５
……囲い体。なお、図中同一符号は同一又は相当
部分を示す。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 前端部に絶縁ノズルが固着された筒状体の内
   部には、後部側にピストンがそう入され、前部側
   に固定接触子が固着され、かつ、蓄圧室が形成さ
   れてあり、可動接触子が上記絶縁ノズルを貫通し
   上記固定接触子に差込まれた投入状態では、この
   可動接触子により上記ピストンがばね部材のばね
   圧に抗して押込まれており、可動接触子の開離移
   動により上記ピストンが追従して消弧性流体を上
   記蓄圧室内に圧縮加圧し、上記可動接触子の開離
   により発生したアークによつて上記消弧性流体を
   さらに昇圧し、この圧力流体を上記絶縁ノズル
   から吹出して消弧するようにした開閉装置におい
   て、上記筒状体の後部側のシリンダ部の外周を囲
   つて設けられ内部に調整室を形成した囲い体と、
   上記シリンダ部にあけられ内方と外部の上記調整
   室とを連通して設けられ、上記ピストンが所定位
   置以上押込まれると、上記調整室と上記蓄圧室側
   とを通じる位置にされた連通穴とを備え、上記蓄
   圧室の流体圧力が所定値以上になると、上記ピス
   トンがばね圧に抗して押込まれて上記連通穴を通
   じて蓄圧室の圧力流体の一部を上記調整室に流
   動するようにした電力開閉装置。