JP4113680B2 - テトラチアフルバレン誘導体及びそれらの製造方法 - Google Patents
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- Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、薄膜材料、例えばダイオード、トランジスター、電極材料、配線材料、回路形成材料、EL材料等として好適である、磁気異方性ユニットとなる芳香環及びチオール基又はジスルフィド基を有する新規なテトラチアフルバレン誘導体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
テトラチアフルバレン(TTF)は強力な電子供与体であることが知られており、電子受容体であるテトラシアノキノジメタン(TCNQ)と電荷移動錯体を形成して55K以上で金属的な導電性を持つことが知られている。また、超導電性を示すビスエチレンジチオテトラチアフルバレン(BEDT−TTF)のような機能性有機分子を電子デバイスとして組み込むことやその分子認識能を利用した応答性素子として利用する等の実用性デバイスとしての応用に関する研究も近年盛んに行われている。
また、金属や半導体表面における分子認識や分子集合体の構造に関する研究も盛んであり、有機分子の機能を最大限に発現させる実用デバイスを作るために必須となる、配向が制御された有機超薄膜を作製することが数多く研究されている。
一方、TTF骨格にアルカンチオール基を導入したTTF誘導体について平滑な金基板上、あるいは金コロイド上に自己組織化膜(SAM:Self−Assembled Monolayer)を形成するという研究も行われている(Chem.Commun.1999,737.;Langmuir,1999,15,8574)。しかしながら、高密度,高配向の有機薄膜を形成するまでには至っておらず、自己組織化膜材料として更なる展開が必要である。
一方、有機分子として、ベンゼンや、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレン、ペリレンなどの多環芳香族化合物は、通常のものと比較して大きな磁気異方性を有することが知られている。また、これらの化合物については光導電性等の機能を持つことも知られおり、半導体などとして電子デバイスに応用しようとする試みも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
このような事実からすれば、ベンゼン環などの芳香族化合物とTTF骨格の両方を兼ね備えた化合物は、光学的、電気的機能などの複合機能を同時に発現できることが期待され、また芳香環の磁気異方性を利用し、磁場中で薄膜を作製することにより、高密度、高配向の超薄膜が形成されることが期待される。
そこで、本発明の目的は、磁気異方性ユニットとなる芳香環、及びチオール基又はジスルフィド基を組み込んだ新規なテトラチアフルバレン誘導体を提供することにあり、更にそれを薄膜材料として用いることにより磁場中で高密度、高配向な薄膜を作製する方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するため、本発明(請求項1)は、
一般式(2)
【化6】
で表わされるチオン類又はケトン類(以下「化合物(2)」という)と、
一般式(3)
【化7】
(以下「化合物(3)」という)
又は
【化8】
で表わされるケトン類(以下「化合物(4)」という)をを反応させ、
一般式(1)
【化5】
(式(1)中、芳香族環はベンゼン環、或いは縮合芳香族環を示し、R1はプロトン、アルキル基、アルコキシ基のいずれかであり、R2、R3はプロトン、アルキル、メルカプトアルキル基、メルカプトオリゴエチレンジオキシエチル基のいずれかを示し、かつR2、R3は互いに同一であるか或いは異なっていてもよい)
で表わされるテトラチアフルバレン誘導体の製造方法である。
また、本発明(請求項2)は、
一般式(1)
【化5】
(式(1)中、芳香族環は縮合芳香族環を示し、縮合芳香族環がナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、トリフェニレンのいずれかであり、R1はプロトン、アルキル基、アルコキシ基のいずれかであり、R2、R3はプロトン、アルキル、メルカプトアルキル基、メルカプトオリゴエチレンジオキシエチル基のいずれかを示し、かつR2、R3は互いに同一であるか或いは異なっていてもよい)
で表わされるテトラチアフルバレン誘導体である。
【0005】
また、本発明(請求項3)は、基板上に請求項2に記載のテトラチアフルバレン誘導体を被覆した磁気異方性を有することを特徴とするテトラチアフルバレン誘導体の薄膜体である。
また、本発明(請求項4)は、
一般式(1)
【化5】
(式(1)中、芳香族環はベンゼン環を示し、R1はプロトン、アルキル基、アルコキシ基のいずれかであり、R2、R3はプロトン、アルキル、メルカプトアルキル基、メルカプトオリゴエチレンジオキシエチル基のいずれかを示すもので、R2、R3のいずれかはメルカプトアルキル基、メルカプトオリゴエチレンジオキシエチル基であり、基板上に前記テトラチアフルバレン誘導体を被覆した磁気異方性を有することを特徴とするテトラチアフルバレン誘導体の薄膜体である。
また、本発明(請求項5)は、請求項3または4に記載のテトラチアフルバレン誘導体の薄膜を作製するに際し、薄膜の作成を一定方向の磁場をかけて行うことを特徴とするテトラチアフルバレン誘導体の薄膜の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の態様】
本発明のテトラチアフルバレン誘導体(以下本発明化合物という)は、上記化合物(1)で表わされるが、当該一般式(1)中の芳香族環とは式
【化9】
で表わされ、置換基としてR1を有するベンゼン環或いは、縮合芳香族環であることを意味し、このような縮合芳香族環としては例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン等が挙げられる。
また、芳香族環に置換しているR1としては、プロトン、メチル基・エチル基等のアルキル基、メトキシ基・エトキシ基等のアルコキシが挙げられ、これらが、当該一般式(1)中の芳香族環に複数個置換していてもよい。
【0007】
本発明の請求項1、請求項2の化合物の具体例としては、例えば以下のようなもの等が挙げられる。
【化10】
【化11】
(以下「化合物(5)」という)
【化12】
【化13】
(以下「化合物(6)」という)
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
(以下「化合物(7)」という)
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【0008】
本発明化合物は、一般式(2)で表わされるチオン類又はケトン類と、一般式(3)又は一般式(4)で表わされるケトン類を反応させることにより得られる。
反応は芳香族炭化水素溶媒、THF、アセトニトリル、DMF、二流化炭素、水、トリエチルホスファイト、酢酸、クロロホルム等のハロゲン化水素溶媒、アルコール系溶媒など適切な溶媒を用い、開放系もしくは不活性ガス気流下で行ったものである。好適反応温度は−30℃ないし250℃、より好ましくは0℃ないし150℃である。
原料化合物の一般式(2)で表されるチオン類は、一般式
【化66】
で表わされる芳香族チオール化合物を二硫化炭素と反応させることにより得られ、縮合芳香環を持つものは新規化合物であり、また原料化合物の一般式(3)で表されるケトン類は、一般式
【化67】
で表わされるチオン類を酢酸水銀等の酸化剤と反応させることにより得られる。
【0009】
また、本発明は、前記一般式(1)のテトラチアフルバレン誘導体を基板上に被覆した薄膜体を提供するものである。
このような薄膜体は、ダイオード、トランジスター、電極材料、配線材料、回路形成材料、EL材料等として好適である。
薄膜の製造方法としては、前記一般式(1)の化合物を真空蒸着する気相法や、溶液にする湿式法での自己組織化による方法などが挙げられる。
また、前記一般式(1)のテトラチアフルバレン誘導体を用いて薄膜を製造するにあたり、一定方向の磁場中で行うのが高密度、高配向のものが得られるので好ましい。
【0010】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、なお本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。
【0011】
原料化合物の一般式(2)で表されるチオン類の合成について示す。
[合成例1]
枝付き500mlのナスフラスコに窒素気流下N,N,N´,N´−テトラメチレンジアミン111ml(744mmol)、n−ヘキサン300mlを加え攪拌し、n−ブチルリチウム300ml(744mmol)を加えて更に攪拌した。0℃に冷却したこのリアクターに、窒素気流下、枝付きジョイント付き200mlフラスコ中のチオフェノール34.11ml(338mmol)のn−ヘキサン溶液150mlをキャヌラーで滴下した。滴下後室温にて24時間攪拌した。次いで0℃に冷却した後、単体硫黄23.86g(744mmol)を添加して室温にて12時間攪拌した。ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した後、予備乾燥したTHF200mlに溶解し、0℃に冷却してリチウムアルミニウムハイドライド10gで還元し、そのまま油浴にて還流した。2時間後、溶液を氷水の入ったビーカーにゆっくり注ぎ込み、エーテルおよび濃塩酸にて洗浄し、酸性条件下で抽出を行い、水相を除去した。分液ロートに残った有機相に水酸化ナトリウム水溶液(1N)を加え塩基性条件下で抽出を行った。この際、分離した水相を500mlのナスフラスコに加え水酸化ナトリウム6gと二硫化炭素80mlを加えて浴温60℃で還流した。6時間後浴温を100℃まで上げて、分別還流リアクターのコックを開いて二硫化炭素を完全に除去した。室温まで冷却した後、吸引ろ過にて結晶をろ別し、水で赤みが消えるまで洗浄した。吸引ポンプにて100℃で4時間乾燥し水を除去して1,3−ベンゾジチオール−2−チオン55.84g(90%)を黄色粉末として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:165.3−166.2℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ7.38−7.50(m,4H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ121.8,127.4,141.3,211.8;
UV(CHCl3)(λmax(logε)):291.0nm(4.11),365.5nm(4.76).
【0012】
[合成例2]
乾燥した金属マグネシウム1.094g(45mmol)を窒素置換した100mlの三口フラスコに入れ、無水THF8mlを加えて超音波にかけた。開始剤となるエチレンジブロミドを数滴加え反応確認後、窒素置換した50mlの枝付きフラスコに準備した9−ブロモフェナントレン7.784g(30mmol)のTHF溶液30mlをキャヌラーにて滴下した。反応終了後、0℃に冷却し単体硫黄1.455g(45mmol)を添加し12時間室温にて攪拌した。氷水の入ったビーカーに注ぎ込み、濃塩酸にて残ったマグネシウムを溶解した。吸引ろ過により沈殿を分離し、ろ液は塩化メチレンで抽出し硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過してロータリーエバポレーターにより濃縮し、ろ塊と一緒に予備乾燥したTHF150mlに溶解した。0℃に冷却し、リチウムアルミニウムハイドライド2gを加え2時間還流して、氷水の入ったビーカーに注ぎ込み濃塩酸にてpH1にしてエーテルとTHFの混合溶媒で抽出し、水相を除去した。得られた有機相に1Nの水酸化ナトリウム水溶液を適当量加えて抽出し、有機相を除去した。分離した水相に再び濃塩酸を加え、塩化メチレンにて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、クロロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=5.0cm,h=3cm)により分離精製して9−メルカプトフェナントレン5.04g(80%)を無色粉末として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:97.0−98.0℃;
1HNMR(60MHz,CDCl3):δ3.61(s,1H,SH),7.48−7.85(m,6H,Ar−H),8.14−8.36(m,1H,Ar−H),8.45−8.83(m,2H,Ar−H);
IR(KBr):2566(SH)cm−1
【0013】
枝付きジョイントを組み込んだ500mlのナスフラスコに窒素気流下9−メルカプトフェナントレン14.72g(70mmol)、c−ヘキサン250mlおよびN,N,N’,N’−テトラメチレンジアミン23.1ml(154mmol)を加え攪拌し、0℃に冷却した後、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶液62.6ml(154mmol)を加えて室温にて24時間攪拌した。更に0℃に冷却した後、単体硫黄4.94g(154mmol)を添加して室温にて12時間攪拌した。ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した後、予備乾燥したTHF300mlに溶解し0℃に冷却してリチウムアルミニウムハイドライド10.0gで還元し、そのまま油浴にて還流した。2時間後、氷水の入ったビーカーにその溶液をゆっくり注ぎ込み、エーテルおよび濃塩酸にて洗浄し、酸性条件下で抽出を行い、水相を除去した。分液ロートに残った有機相に水酸化ナトリウム水溶液(5N)を加え塩基性条件下で抽出した。この際、分離した水相を500mlのナスフラスコに加え水酸化ナトリウム6gと二硫化炭素80mlを加えて浴温60℃で還流した。2時間後浴温を100℃まで上げて、分別還流リアクターのコックを開いて二硫化炭素を完全に除去した。このことにより水相に黄色の結晶が析出するので吸引ろ過にて結晶をろ別し、水で充分に洗浄した。吸引ポンプにて100℃で2時間乾燥し、水を除去した。クロロホルムを加えて懸濁溶液にし、吸引ろ過にて結晶をろ別し、クロロホルムで充分に洗浄した。この操作で回収したろ液は濃縮して数回同様の方法にて結晶を取り出した。分離した結晶は大量のジクロロメタンを加え懸濁中でろ過カラム処理を行った。濃縮・乾燥してフェナントロ[9,10−d]1,3−ジチオーレン−2−チオン1.05g(12%)を黄色粉末として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:245.9−246.5℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ7.65−7.75(m,6H,Ar−H),8.68−8.70(m,2H,Ar−H);
1HNMR(400MHz,CDCl3:CS2=1:10(vol)):δ7.59−7.69(m,6H,Ar−H),8.59−8.62(m,2H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3:CS2=1:10(vol)):δ67.4,123.3(2C),125.4(2C),125.7,127.4(2C),127.7(2C),129.1(2C),136.7(2C);
IR(KBr):1605,1562,1490,1432,1262,1058,803,732,717,559,519,439,436cm−1;
MSm/z284(M+);Anal.Calcd.forC15H8S3:C,63.34;H,2.84%.Found:C,63.63;H,2.81%。
【0014】
原料化合物の一般式(3)で表されるケトン類の合成について示す。
[合成例3]
窒素置換したフラスコに、ナトリウム4.6g(200mmol)と二硫化炭素36ml(772mmol)を加え30分還流してナトリウムを活性化した後、DMF40mlを加えて再び2時間還流した後、60℃以下の油浴で減圧蒸留して溶媒を除去した。次いで生成物をメタノール120mlと水60mlに溶解し、塩化亜鉛4g(29.4mmol)とアンモニア水75mlを加え、臭化テトラエチルアンモニウム10.6g(50.4mmol)の水溶液を加えて、室温で12時間攪拌し、吸引ろ過して得た生成物を80℃で12時間減圧乾燥してビス(テトラエチルアンモニウム)ビス(2−チオキソ−1,3−ジチオール−4,5−ジチオレート)ジンケート15.95g(88%)を暗赤色結晶として得た。この亜鉛錯体化合物の物性を以下に示す。
融点:198.7−200.1℃;
IR(KBr):2979,1458,1417,1182,1059,1038,996,888,785cm−1
【0015】
アセトニトリル25mlに、上記亜鉛錯体化合物1.44g(2mmol)と3−ブロモプロピオニトリル1.34g(10mmol)を加え1時間還流した。次いで室温まで冷やし、吸引ろ過により黒色の沈殿を除去し、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去した後、再び塩化メチレンに溶かして抽出した。乾燥剤にて残留水分を除去し、乾燥剤をろ別してロータリーエバポレーターにて濃縮した。塩化メチレン/n−ヘキサンにて再結晶して、吸引ろ過したものを吸引ポンプで30分乾燥して4,5−ビス(2−シアノエチルチオ)−1,3−ジチオール−2−チオン1.01g(83%)を赤色針状晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点82.4−83.3℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ2.81(t,J=6.9Hz,4H,CH2),3.17(t,J=6.9Hz,4H,CH2);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ19.0,31.8,117.1,135.8,209.1;
IR(KBr):2977,2248,1458,1411,1290,1071,894cm−1
【0016】
上記4,5−ビス(2−シアノエチルチオ)−1,3−ジチオール−2−チオンをアセトニトリルに溶解した溶液に、水酸化セシウム1.26g(8.4mmol)をメタノール12mlに溶解した溶液を攪拌しながらゆっくりと滴下しさらに攪拌した。滴下終了後30分経過した後、ヨウ化メチル11.36g(40mmol)を加え再び30分攪拌した。過剰のヨウ化メチルを除去するため、窒素を30分間吹き込みロータリーエバポレーターにて濃縮した。この濃縮物を塩化メチルに溶かして抽出し、乾燥剤を加えて残りの水を除去したのち、ろ別した。次いでロータリーエバポレーターにて濃縮し、クロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=5.5cm,h=16cm)により分離精製して4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−チオン1.78g(84%)を黄色針状晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点90.0−91.1℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ2.56(s,3H,CH3),2.75(t,J=7.1Hz,2H,CH2),3.09(t,J=7.1Hz,2H,CH2);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ18.8,18.9,31.8,117.1,126.0,144.9,209.9;
IR(KBr):2247,1464,1438,1416,1318,1276,1054,953,900cm−1
【0017】
[合成例4]
4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−チオン1.59g(6mmol)を窒素置換し、クロロホルム/酢酸(3:1)の混合溶媒25mlに溶かし、これに固体添加装置を用いて窒素置換した酢酸水銀5g(16mmol)を加え、16時間攪拌後、吸引ろ過によりろ液を分離した。これをビーカーに注ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、分液ロートで抽出した。乾燥剤にて残りの水を除去し、ろ別した。ロータリーエバポレーターにて濃縮し、吸引ポンプで乾燥して4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−オン1.57gを定量的に黄色針状晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点61.8−62.5℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ2.52(s,3H,CH3),2.74(t,J=7.1 Hz,2H,CH2),3.07(t,J=7.1Hz,2H,CH2);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ18.8,19.1,31.6,117.2,118.0,135.6,188.7;
IR(KBr):2922,2246,1777,1661,1618,1413,1274,957,899,747cm−1
【0018】
[合成例5]
4,5−ビス(2−シアノエチルチオ)−1,3−ジチオール−2−チオン0.913g(3mmol)を窒素置換し、クロロホルム/酢酸(3:1)混合溶媒25mlに溶かした。酢酸水銀2.500g(8mmol)を固体添加装置を用いて加え、16時間攪拌後、吸引ろ過によりろ液を分離した。これをビーカーに注ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中和後、分液ロートで抽出した。乾燥剤にて残りの水を除去し、これをろ別した。ロータリーエバポレーターにて濃縮し、吸引ポンプで乾燥して4,5−ビス(2−シアノエチルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン0.921gを定量的に深黄色針状晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:62.8−64.2℃;
1NMR(400MHz,CDCl3):δ2.80(t,J=6.9Hz,4H,CH2),3.14(t,J=6.9Hz,4H,CH2);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ19.0,31.6,117.2,127.4,187.6;
IR(KBr):2951,2249,1775,1666,1615,1420,1283,1156,886,741cm−1
【0019】
[実施例1]
合成例1で得た1,3−ベンゾジチオール−2−チオン0.92g(5mmol)と合成例4で得た4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−オン1.42g(5mmol)を窒素置換し、トリエチルホスファイト6.4mlを加えて120℃で1.5時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷やし、結晶を吸引ろ過により分離してメタノールで洗浄した。クロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.0cm,h=3cm)により分離精製して4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−ベンゾテトラチアフルバレン1.06g(68%)を橙色針状晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
尚、一般式(2)で表される1,3−ベンゾジチオール−2−オンと合成例4で得た4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−オンとの反応でも、同様に4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオベンゾテトラチアフルバレンを18%の収率で得ることができる。
融点128.5−129.4℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ2.48(s,3H,CH3),2.70(t,J=7.2Hz,4H,CH2),3.03(t,J=7.2Hz,4H,CH2),7.11−7.27(m,4H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ18.7,19.1,31.2,108.5,113.4,117.5,120.0,121.91,121.93,126.02,126.03,135.1,136.2,136.3;
IR(KBr):2920,2246,1493,1444,1415,1272,1120,896,774,741,731,674cm−1
MSm/z385(M+);
Anal.Calcd.forC14H11NS6:C,43.60;H,2.88;N,3.63%.Found:C,43.24;H,2.87;N,3.67%.
【0020】
上記4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−ベンゾテトラチアフルバレン771mg(2mmol)のTHF溶液20mlに1,8−ジブロモオクタン1.84ml(10mmol)を加え、水酸化セシウム450mg(3mmol)をメタノール10mlに溶かした溶液を攪拌しながら滴下し3時間室温にて攪拌した。塩化メチレンに溶かして抽出し、乾燥剤を加えて残りの水を除去しろ別した。引き続きロータリーエバポレーターにて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサン(=1:2)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.5cm,h=10cm)およびゲルろ過クロマトグラフィーにより分離精製して4−(8−ブロモオクチルチオ)−5−メチルチオ−ベンゾテトラチアフルバレン890mg(85%)を橙色油状物として得た。この化合物の物性を以下に示す。
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ1.30−1.86(m,12H,CH2),2.43(s,3H,CH3),2.81(t,J=7.2Hz,2H,CH2),3.39(t,J=6.8Hz,2H,CH2),7.10−7.25(m,4H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ19.2,28.0,28.2,28.6,28.8,30.0,32.7,34.0,36.2,110.1,111.3,121.9,125.8,125.9,136.48,136.53;
IR(neat):2927,2853,1447,774,559cm−1;
MSm/z523(M+);
Anal.Calcd.forC19H23BrS6:C,43.58;H,4.43%.Found:C,43.53;H,4.69%.
【0021】
上記4−(8−ブロモオクチルチオ)−5−メチルチオ−ベンゾテトラチアフルバレン262mg(0.5mmol)のTHF溶液20mlを玉突き冷却環を備えた50ml枝付きフラスコに加え、さらにチオ尿素191mg(2.5mmol)の水溶液5mlを加えて24時間還流した後、さらに水酸化ナトリウム300mg(15mmol)の水溶液5mlを加え2時間還流した。生成物を塩化メチレンに溶かして酸性条件下で有機相を抽出し、乾燥剤を加えて残りの水を除去してろ別した。引き続きロータリーエバポレーターにて濃縮し、クロロホルム:n−ヘキサン(1:2)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.0cm,h=5cm)およびゲルろ過カラムクロマトグラフィーにより分離精製して4−(8−メルカプトオクチルチオ)−5−メチルチオ−ベンゾテトラチアフルバレン151mg(63.3%)を橙色油状物として得た。この化合物の物性を以下に示す。
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ1.29−1.66(m,13H,CH2,SH),2.43(s,3H,CH3),2.51(q,J=7.2Hz,2H,CH2),2.82(t,J=7.2Hz,2H,CH2),7.10−7.26(m,4H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ19.2,24.6,28.2,28.3,28.88,28.91,29.6,34.0,36.2,96.1,110.2,111.3,121.9,125.9,129.3,136.51,136.55;
IR(neat):2925,2852,2563,1446,774,559cm−1;
MSm/z476(M+);
Anal.Calcd.forC19H24NS7:C,47.86;H,5.07%.Found:C,47.57;H,5.11%.
【0022】
[実施例2]
合成例1で得た1,3−ベンゾジチオール−2−チオン0.922g(5mmol)と合成例5で得た4,5−ビス(2−シアノエチルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン1.422g(5mmol)とを窒素置換し、トリエチルホスファイト6.4mlを加えて120℃で1.5時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷やし、結晶を吸引ろ過により分離してメタノールで洗浄した。クロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.0cm,h=3cm)により分離精製して4,5−ビス(2−シアノエチルチオ)−ベンゾテトラチアフルバレン0.829g(39%)を橙色針状晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:147.2−148.0℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ2.74(t,J=7.1Hz,4H,CH2),3.09(t,J=7.1Hz,4H,CH2),7.13−7.28(m,4H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ18.8,31.2,106.9,115.4,117.4,122.0,126.1,127.9,136.1;
IR(KBr)2925,2251,1426,1119,892,735cm−1;
MSm/z424(M+);
Anal.Calcd.forC16H12N2S6:C,45.25;H,2.85;N,6.60%.Found:C,45.04;H,2.81;N,6.52%.
【0023】
上記4,5−ビス(2−シアノエチルチオ)−ベンゾテトラチアフルバレン425mg(1mmol)のTHF溶液30mlに1,8−ジブロモオクタン3.68ml(20mmol)を加え、メタノール5mlに溶かした水酸化セシウム330mg(5mmol)を攪拌しながら滴下し2時間室温にて攪拌した。塩化メチレンに溶かして抽出し,乾燥剤を加えて残りの水を除去してろ別した。引き続きロータリーエバポレーターにて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサン(=1:2)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.5cm,h=10cm)およびゲルろ過クロマトグラフィーにより分離精製して4,5−ビス(8−ブロモオクチルチオ)−ベンゾテトラチアフルバレン541mg(77%)を橙色油状物として得た。この化合物の物性を以下に示す。
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ1.32−1.87(m,24H,CH2),2.88(t,J=7.3Hz,4H,CH2),3.38(t,J=6.8Hz,4H,CH2),7.09−7.26(m,4H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ28.1,28.4,28.7,28.9,29.8,32.8,34.0,36.5,121.87,121.91,125.9,126.0,131.7,136.5,136.6;
MSm/z700(M+);
Anal.Calcd.forC26H36Br2S6:C,44.56;H,5.18%.Found:C,44.37;H,5.44%.
【0024】
上記4,5−ビス(8−ブロモオクチルチオ)−ベンゾテトラチアフルバレン701mg(1mmol)のTHF20ml溶液に、チオ尿素761mg(5mmol)の水溶液5mlを加え、80℃の油浴で24時間攪拌した後、水酸化ナトリウム1.2mg(30mmol)の水溶液10mlを加え2時間還流を行った。ロータリーエバポレーターにてある程度濃縮した後、酸性条件下で塩化メチレンに溶かして抽出し、乾燥剤を加えて残りの水を除去してろ別した。この塩化メチレン反応溶液50mlをヨウ素、及びトリエチルアミンの塩化メチレン溶液を滴下して酸化し、亜硫酸水素ナトリウム水溶液にて抽出した。ロータリーエバポレーターにて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサン(1:3)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.5cm,h=10cm)および、クロロホルム:メタノールにより再結晶して分離精製し、化合物(6)(n=8)で示されるベンゾテトラチアフルバレン誘導体74mg(12%)を橙色針状晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:83.9−84.2℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ1.32−1.71(m,24H,CH2),2.66(t,J=7.3Hz,4H,SS−CH2),3.39(t,J=7.3Hz,4H,CS−CH2),7.10−7.26(m,4H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ28.16,28.24,28.8,28.9,29.0,29.6,36.2,40.0,110.3,111.3,121.9,125.9,128.0,136.5;
IR(KBr):2922,2847,1463,1444,1259,1120,889,773,734,675,416,cm−1;
MSm/z604(M+);
Anal.Calcd.forC16H12N2S8:C,51.61;H,6.00%.Found:C,51.29;H,5.85%.
【0025】
[実施例3]
冷却環を備えた枝付きフラスコ50mlに窒素気流下トリエチルホスファイト25mlを加えて油浴で120℃まで加熱した。このリアクターに合成例3で得たフェナントロ[9,10−d]1,3−ジチオレン−2−チオン1.422g(5mmol)と合成例4で得た4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−オン1.327g(5mmol)を一気に添加し、油浴で1.5時間攪拌した。反応溶液を室温まで冷やして吸引ろ過し、メタノールで洗浄した。100℃で吸引ポンプにより乾燥し、クロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=5.0cm,h=10cm)により分離精製して4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−フェナントロテトラチアフルバレン1.105g(46%)を橙色結晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:183.5−184.2℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ2.53(s,3H,CH3),2.74(t,J=7.2Hz,4H,CH2),3.72(t,J=7.2Hz,4H,CH2),7.63−7.66(m,6H,Ar−H),8.64−8.66(m,4H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ18.7,19.1,31.3,108.8,112.9,117.6,120.1,123.3(2C),125.77,125.82,126.71,126.74,126.9(2C),127.69,127.73,129.4(2C),130.96,131.05,135.3;
IR(KBr):3652,3055,2920,2248(CN),1606,1575,1488,1447,1427,1348,1319,1280,1223,1148,1043,963,913,899,777,750,716,647,620,525cm−1;
MSm/z485(M+);
Anal.Calcd.forC22H15NS6:C,54.40;H,3.11;N,2.88%.Found:C,54.41;H,3.13;N,2.88%.
【0026】
4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−フェナントロテトラチアフルバレン145mg(0.3mmol)のTHF溶液10mlに1,8−ジブロモオクタン0.92ml(5mmol)を加え、水酸化セシウム75mg(0.5mmol)をメタノール5mlに溶解した溶液を攪拌しながら滴下しさらに2時間室温にて攪拌した。塩化メチレンにより抽出し、乾燥剤を加えて残りの水を除去してろ別した。ロータリーエバポレーターにて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサン(=1:3)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.5cm,h=15cm)およびゲルろ過クロマトグラフィーにより分離精製して4−(8−ブロモオクチルチオ)−5−メチルチオ−フェナントロテトラチアフルバレン165mg(88%)を橙色結晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:100.1−100.7℃
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ1.29−1.86(m,12H,CH2),2.47(s,1H,S−CH3),2.86(t,J=7.3Hz,2H,S−CH2),3.37(t,J=6.9Hz,2H,Br−CH2),7.59−7.62(m,6H,Ar−H),8.58−8.61(m,2H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ19.3,28.1,28.3,28.6,28.9,30.0,32.7,34.0,36.2,108.9,123.3(2C),125.8(2C),126.0,126.6(2C),126.8(2C),127.6(2C),129.3,129.5,131.08,131.13;
IR(KBr):2929,2853,1607,1576,1487,1467,1427,1294,1246,1043,968,912,897,776,747,715,644,525,427cm−1;
Anal.Calcd.forC19H23BrS6:C,51.99;H,4.36%.Found:C,52.22;H,4.61%.
【0027】
玉突き冷却環を備えた50ml枝付きフラスコに4−(8−ブロモオクチルチオ)−5−メチルチオ−フェナントロテトラチアフルバレン0.499g(0.8mmol)のTHF溶液20mlを加え、さらにチオ尿素0.304g(2.5mmol)の水溶液5mlを加えて24時間還流した後、さらに水酸化ナトリウム0.480g(12mmol)の水溶液5mlを加え2時間還流した。次いで塩化メチレンに溶解して有機相を抽出し(pH1)、乾燥剤を加えて残りの水を除去してろ別した。引き続きロータリーエバポレーターにて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサン(1:2)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.0cm,h=5cm)およびゲルろ過カラムクロマトグラフィーにより分離精製して4−(8−メルカプトオクチルチオ)−5−メチルチオ−フェナントロテトラチアフルバレン0.383g(83.0%)を橙色結晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。
融点:80.9−81.8℃;
1HNMR(400MHz,CDCl3):δ1.29−1.70(m,13H,CH2,SH),2.45−2.49(m,5H,CH3,S−CH2),2.86(t,J=7.3Hz,2H,S−CH2),7.61−7.63(m,6H,Ar−H),8.60−8.62(m,2H,Ar−H);
13CNMR(101MHz,CDCl3):δ19.3,24.6,28.25,28.33,28.90,28.93,29.67,30.4,34.0,36.3,110.3,110.8,123.3(2C),125.8(2C),126.1,126.6(2C),126.9(2C),127.6(2C),129.4,129.5,131.10,131.15,136.4;
IR(neat)3055,2923,2851,2553(SH),1607,1575,1488,1462,1447,1428,1294,1239,1221,1044,966,912,892,776,748,715,646,620,524,427cm−1;
MSm/z577(M+);
Anal.Calcd.forC19H24NS7:C,56.21;H,4.89%.Found:C,56.11;H,4.90%.
【0028】
[実施例4]
化合物(5)(n=8,m=0)で示されるテトラチアフルバレン誘導体の1mmol/l塩化メチレン溶液に作用極となる金電極を12時間浸漬し、塩化メチレン、アセトンで洗浄し、アルゴンガスで乾燥した。この修飾電極を、過塩素酸テトラ‐n‐ブチルアンモニウムの0.1mol/lベンゾニトリル溶液に、対電極として白金電極、参照電極としてAg/AgNO3電極と共に浸漬した。比較電極に対して作用電極に−0.2Vから+0.8Vの範囲で、走引速度は500mV/secで電位を走引しサイクリックボルタングラフィーによる測定を行った。得られたサイクリックボルタモグラムより、本化合物は電位走査に伴い可逆な独立した二電子酸化・還元過程を示した。その酸化還元電位を表1に示す。
また、比較例として、「Langmuir、1999,15,8574−8576」に記載の化合物の酸化還元電位も示す。
【0029】
[実施例5]
テトラチアフルバレン誘導体として化合物(6)(n=8)で示されるものを用いた以外は実施例4と同様にして電気化学的測定を行った。その酸化還元電位を表1に示す。
【0030】
[実施例6]
テトラチアフルバレン誘導体として化合物(7)(n=8,m=0)で示されるものを用い、走引速度を100mV/secとした以外は実施例4と同様にして電気化学的測定を行った。その酸化還元電位を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】
本発明化合物の新規テトラチアフルバレン誘導体は、薄膜材料として有効であり、ダイオード、トランジスター、電極材料、配線材料、回路形成材料、EL材料等として好適である。
本発明化合物を用いた薄膜の製造法において、それを特に一定方向の磁場中で行うことにより、芳香環の磁気異方性に由来する配向制御を容易に発現させることができ、高密度、高配向の超薄膜を形成することができる。
Claims (5)
- 基板上に請求項2に記載のテトラチアフルバレン誘導体を被覆した磁気異方性を有することを特徴とするテトラチアフルバレン誘導体の薄膜体。
- 請求項3または4に記載のテトラチアフルバレン誘導体の薄膜を作製するに際し、薄膜の作成を一定方向の磁場をかけて行うことを特徴とするテトラチアフルバレン誘導体の薄膜の製造方法。
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