JP2002265466A - テトラチアフルバレン誘導体及びそれらの製造方法 - Google Patents

テトラチアフルバレン誘導体及びそれらの製造方法

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JP2002265466A
JP2002265466A JP2001070020A JP2001070020A JP2002265466A JP 2002265466 A JP2002265466 A JP 2002265466A JP 2001070020 A JP2001070020 A JP 2001070020A JP 2001070020 A JP2001070020 A JP 2001070020A JP 2002265466 A JP2002265466 A JP 2002265466A
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薫 小川
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則之 吉本
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  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気異方性ユニットとなる芳香環、及びチオ
ール基又はジスルフィド基を組み込んだ新規なテトラチ
アフルバレン誘導体を提供する。 【解決手段】一般式 【化1】 (式中、芳香族環はベンゼン環、或いは縮合芳香族環を
示し、R1はプロトン、アルキル基、アルコキシ基のい
ずれかであり、R2、R3はプロトン、アルキル、メル
カプトアルキル基、メルカプトオリゴエチレンジオキシ
エチル基のいずれかを示し、かつR2、R3は互いに同
一であるか或いは異なっていてもよい)で表わされるテ
トラチアフルバレン誘導体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜材料、例えば
ダイオード、トランジスター、電極材料、配線材料、回
路形成材料、EL材料等として好適である、磁気異方性ユ
ニットとなる芳香環及びチオール基又はジスルフィド基
を有する新規なテトラチアフルバレン誘導体及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】テトラチアフルバレン(TTF)は強力
な電子供与体であることが知られており、電子受容体で
あるテトラシアノキノジメタン(TCNQ)と電荷移動
錯体を形成して55K以上で金属的な導電性を持つこと
が知られている。また、超導電性を示すビスエチレンジ
チオテトラチアフルバレン(BEDT−TTF)のよう
な機能性有機分子を電子デバイスとして組み込むことや
その分子認識能を利用した応答性素子として利用する等
の実用性デバイスとしての応用に関する研究も近年盛ん
に行われている。また、金属や半導体表面における分子
認識や分子集合体の構造に関する研究も盛んであり、有
機分子の機能を最大限に発現させる実用デバイスを作る
ために必須となる、配向が制御された有機超薄膜を作製
することが数多く研究されている。一方、TTF骨格に
アルカンチオール基を導入したTTF誘導体について平
滑な金基板上、あるいは金コロイド上に自己組織化膜
(SAM:Self−Assembled Monol
ayer)を形成するという研究も行われている(Ch
em.Commun.1999,737.;Langm
uir,1999,15,8574)。しかしながら、
高密度,高配向の有機薄膜を形成するまでには至ってお
らず、自己組織化膜材料として更なる展開が必要であ
る。一方、有機分子として、ベンゼンや、ナフタレン、
アントラセン、フェナントレン、トリフェニレン、ピレ
ン、ペリレンなどの多環芳香族化合物は、通常のものと
比較して大きな磁気異方性を有することが知られてい
る。また、これらの化合物については光導電性等の機能
を持つことも知られおり、半導体などとして電子デバイ
スに応用しようとする試みも行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】このような事実からす
れば、ベンゼン環などの芳香族化合物とTTF骨格の両
方を兼ね備えた化合物は、光学的、電気的機能などの複
合機能を同時に発現できることが期待され、また芳香環
の磁気異方性を利用し、磁場中で薄膜を作製することに
より、高密度、高配向の超薄膜が形成されることが期待
される。そこで、本発明の目的は、磁気異方性ユニット
となる芳香環、及びチオール基又はジスルフィド基を組
み込んだ新規なテトラチアフルバレン誘導体を提供する
ことにあり、更にそれを薄膜材料として用いることによ
り磁場中で高密度、高配向な薄膜を作製する方法を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
め、本発明は、一般式(1)
【化5】 (式(1)中、芳香族環はベンゼン環、或いは縮合芳香
族環を示し、R1はプロトン、アルキル基、アルコキシ
基のいずれかであり、R2、R3はプロトン、アルキ
ル、メルカプトアルキル基、メルカプトオリゴエチレン
ジオキシエチル基のいずれかを示し、かつR2、R3は
互いに同一であるか或いは異なっていてもよい)で表わ
されるテトラチアフルバレン誘導体を提供するものであ
る。
【0005】このテトラチアフルバレン誘導体は文献未
載の新規化合物であり、一般式(2)
【化6】 で表わされるチオン類又はケトン類(以下「化合物
(2)」という)と、一般式(3)
【化7】 (以下「化合物(3)」という)又は
【化8】 で表わされるケトン類(以下「化合物(4)」という)
を反応させることにより得られる。
【0006】
【発明の実施の態様】本発明のテトラチアフルバレン誘
導体(以下本発明化合物という)は、上記化合物(1)
で表わされるが、当該一般式(1)中の芳香族環とは式
【化9】 で表わされ、置換基としてR1を有するベンゼン環或い
は、縮合芳香族環であることを意味し、このような縮合
芳香族環としては例えば、ナフタレン、アントラセン、
フェナントレン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン等
が挙げられる。また、芳香族環に置換しているR1とし
ては、プロトン、メチル基・エチル基等のアルキル基、
メトキシ基・エトキシ基等のアルコキシが挙げられ、こ
れらが、当該一般式(1)中の芳香族環に複数個置換し
ていてもよい。
【0007】本発明の請求項1、請求項2の化合物の具
体例としては、例えば以下のようなもの等が挙げられ
る。
【化10】
【化11】 (以下「化合物(5)」という)
【化12】
【化13】 (以下「化合物(6)」という)
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】 (以下「化合物(7)」という)
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【化53】
【化54】
【化55】
【化56】
【化57】
【化58】
【化59】
【化60】
【化61】
【化62】
【化63】
【化64】
【化65】
【0008】本発明化合物は、一般式(2)で表わされ
るチオン類又はケトン類と、一般式(3)又は一般式
(4)で表わされるケトン類を反応させることにより得
られる。反応は芳香族炭化水素溶媒、THF、アセトニ
トリル、DMF、二流化炭素、水、トリエチルホスファ
イト、酢酸、クロロホルム等のハロゲン化水素溶媒、ア
ルコール系溶媒など適切な溶媒を用い、開放系もしくは
不活性ガス気流下で行ったものである。好適反応温度は
−30℃ないし250℃、より好ましくは0℃ないし1
50℃である。原料化合物の一般式(2)で表されるチ
オン類は、一般式
【化66】 で表わされる芳香族チオール化合物を二硫化炭素と反応
させることにより得られ、縮合芳香環を持つものは新規
化合物であり、また原料化合物の一般式(3)で表され
るケトン類は、一般式
【化67】 で表わされるチオン類を酢酸水銀等の酸化剤と反応させ
ることにより得られる。
【0009】また、本発明は、前記一般式(1)のテト
ラチアフルバレン誘導体を基板上に被覆した薄膜体を提
供するものである。このような薄膜体は、ダイオード、
トランジスター、電極材料、配線材料、回路形成材料、
EL材料等として好適である。薄膜の製造方法として
は、前記一般式(1)の化合物を真空蒸着する気相法
や、溶液にする湿式法での自己組織化による方法などが
挙げられる。また、前記一般式(1)のテトラチアフル
バレン誘導体を用いて薄膜を製造するにあたり、一定方
向の磁場中で行うのが高密度、高配向のものが得られる
ので好ましい。
【0010】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、なお本発明はこれらの例によって何ら限定さ
れるものではない。
【0011】原料化合物の一般式(2)で表されるチオ
ン類の合成について示す。 [合成例1]枝付き500mlのナスフラスコに窒素気
流下N,N,N´,N´−テトラメチレンジアミン11
1ml(744mmol)、n−ヘキサン300mlを
加え攪拌し、n−ブチルリチウム300ml(744m
mol)を加えて更に攪拌した。0℃に冷却したこのリ
アクターに、窒素気流下、枝付きジョイント付き200
mlフラスコ中のチオフェノール34.11ml(33
8mmol)のn−ヘキサン溶液150mlをキャヌラ
ーで滴下した。滴下後室温にて24時間攪拌した。次い
で0℃に冷却した後、単体硫黄23.86g(744m
mol)を添加して室温にて12時間攪拌した。ロータ
リーエバポレーターにて溶媒を除去した後、予備乾燥し
たTHF200mlに溶解し、0℃に冷却してリチウム
アルミニウムハイドライド10gで還元し、そのまま油
浴にて還流した。2時間後、溶液を氷水の入ったビーカ
ーにゆっくり注ぎ込み、エーテルおよび濃塩酸にて洗浄
し、酸性条件下で抽出を行い、水相を除去した。分液ロ
ートに残った有機相に水酸化ナトリウム水溶液(1N)
を加え塩基性条件下で抽出を行った。この際、分離した
水相を500mlのナスフラスコに加え水酸化ナトリウ
ム6gと二硫化炭素80mlを加えて浴温60℃で還流
した。6時間後浴温を100℃まで上げて、分別還流リ
アクターのコックを開いて二硫化炭素を完全に除去し
た。室温まで冷却した後、吸引ろ過にて結晶をろ別し、
水で赤みが消えるまで洗浄した。吸引ポンプにて100
℃で4時間乾燥し水を除去して1,3−ベンゾジチオー
ル−2−チオン55.84g(90%)を黄色粉末とし
て得た。この化合物の物性を以下に示す。 融点:165.3−166.2℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ7.38
−7.50(m,4H,Ar−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ12
1.8,127.4,141.3,211.8; UV(CHCl)(λmax(logε)):29
1.0nm(4.11),365.5nm(4.7
6).
【0012】[合成例2]乾燥した金属マグネシウム
1.094g(45mmol)を窒素置換した100m
lの三口フラスコに入れ、無水THF8mlを加えて超
音波にかけた。開始剤となるエチレンジブロミドを数滴
加え反応確認後、窒素置換した50mlの枝付きフラス
コに準備した9−ブロモフェナントレン7.784g
(30mmol)のTHF溶液30mlをキャヌラーに
て滴下した。反応終了後、0℃に冷却し単体硫黄1.4
55g(45mmol)を添加し12時間室温にて攪拌
した。氷水の入ったビーカーに注ぎ込み、濃塩酸にて残
ったマグネシウムを溶解した。吸引ろ過により沈殿を分
離し、ろ液は塩化メチレンで抽出し硫酸マグネシウムで
乾燥し、ろ過してロータリーエバポレーターにより濃縮
し、ろ塊と一緒に予備乾燥したTHF150mlに溶解
した。0℃に冷却し、リチウムアルミニウムハイドライ
ド2gを加え2時間還流して、氷水の入ったビーカーに
注ぎ込み濃塩酸にてpH1にしてエーテルとTHFの混
合溶媒で抽出し、水相を除去した。得られた有機相に1
Nの水酸化ナトリウム水溶液を適当量加えて抽出し、有
機相を除去した。分離した水相に再び濃塩酸を加え、塩
化メチレンにて抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ
過し、ロータリーエバポレーターにより濃縮して、クロ
ロホルムを展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(φ=5.0cm,h=3cm)により分離精
製して9−メルカプトフェナントレン5.04g(80
%)を無色粉末として得た。この化合物の物性を以下に
示す。 融点:97.0−98.0℃; HNMR(60MHz,CDCl):δ3.61
(s,1H,SH),7.48−7.85(m,6H,
Ar−H),8.14−8.36(m,1H,Ar−
H),8.45−8.83(m,2H,Ar−H); IR(KBr):2566(SH)cm−1
【0013】枝付きジョイントを組み込んだ500ml
のナスフラスコに窒素気流下9−メルカプトフェナント
レン14.72g(70mmol)、c−ヘキサン25
0mlおよびN,N,N’,N’−テトラメチレンジア
ミン23.1ml(154mmol)を加え攪拌し、0
℃に冷却した後、n−ブチルリチウム/n−ヘキサン溶
液62.6ml(154mmol)を加えて室温にて2
4時間攪拌した。更に0℃に冷却した後、単体硫黄4.
94g(154mmol)を添加して室温にて12時間
攪拌した。ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去し
た後、予備乾燥したTHF300mlに溶解し0℃に冷
却してリチウムアルミニウムハイドライド10.0gで
還元し、そのまま油浴にて還流した。2時間後、氷水の
入ったビーカーにその溶液をゆっくり注ぎ込み、エーテ
ルおよび濃塩酸にて洗浄し、酸性条件下で抽出を行い、
水相を除去した。分液ロートに残った有機相に水酸化ナ
トリウム水溶液(5N)を加え塩基性条件下で抽出し
た。この際、分離した水相を500mlのナスフラスコ
に加え水酸化ナトリウム6gと二硫化炭素80mlを加
えて浴温60℃で還流した。2時間後浴温を100℃ま
で上げて、分別還流リアクターのコックを開いて二硫化
炭素を完全に除去した。このことにより水相に黄色の結
晶が析出するので吸引ろ過にて結晶をろ別し、水で充分
に洗浄した。吸引ポンプにて100℃で2時間乾燥し、
水を除去した。クロロホルムを加えて懸濁溶液にし、吸
引ろ過にて結晶をろ別し、クロロホルムで充分に洗浄し
た。この操作で回収したろ液は濃縮して数回同様の方法
にて結晶を取り出した。分離した結晶は大量のジクロロ
メタンを加え懸濁中でろ過カラム処理を行った。濃縮・
乾燥してフェナントロ[9,10−d]1,3−ジチオ
ーレン−2−チオン1.05g(12%)を黄色粉末と
して得た。この化合物の物性を以下に示す。 融点:245.9−246.5℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ7.65
−7.75(m,6H,Ar−H),8.68−8.7
0(m,2H,Ar−H); HNMR(400MHz,CDCl:CS=1:
10(vol)):δ7.59−7.69(m,6H,
Ar−H),8.59−8.62(m,2H,Ar−
H);13 CNMR(101MHz,CDCl:CS
1:10(vol)):δ67.4,123.3(2
C),125.4(2C),125.7,127.4
(2C),127.7(2C),129.1(2C),
136.7(2C); IR(KBr):1605,1562,1490,14
32,1262,1058,803,732,717,
559,519,439,436cm−1; MSm/z284(M);Anal.Calcd.f
orC15:C,63.34;H,2.84
%.Found:C,63.63;H,2.81%。
【0014】原料化合物の一般式(3)で表されるケト
ン類の合成について示す。 [合成例3]窒素置換したフラスコに、ナトリウム4.
6g(200mmol)と二硫化炭素36ml(772
mmol)を加え30分還流してナトリウムを活性化し
た後、DMF40mlを加えて再び2時間還流した後、
60℃以下の油浴で減圧蒸留して溶媒を除去した。次い
で生成物をメタノール120mlと水60mlに溶解
し、塩化亜鉛4g(29.4mmol)とアンモニア水
75mlを加え、臭化テトラエチルアンモニウム10.
6g(50.4mmol)の水溶液を加えて、室温で1
2時間攪拌し、吸引ろ過して得た生成物を80℃で12
時間減圧乾燥してビス(テトラエチルアンモニウム)ビ
ス(2−チオキソ−1,3−ジチオール−4,5−ジチ
オレート)ジンケート15.95g(88%)を暗赤色
結晶として得た。この亜鉛錯体化合物の物性を以下に示
す。 融点:198.7−200.1℃; IR(KBr):2979,1458,1417,11
82,1059,1038,996,888,785c
−1
【0015】アセトニトリル25mlに、上記亜鉛錯体
化合物1.44g(2mmol)と3−ブロモプロピオ
ニトリル1.34g(10mmol)を加え1時間還流
した。次いで室温まで冷やし、吸引ろ過により黒色の沈
殿を除去し、ロータリーエバポレーターにて溶媒を除去
した後、再び塩化メチレンに溶かして抽出した。乾燥剤
にて残留水分を除去し、乾燥剤をろ別してロータリーエ
バポレーターにて濃縮した。塩化メチレン/n−ヘキサ
ンにて再結晶して、吸引ろ過したものを吸引ポンプで3
0分乾燥して4,5−ビス(2−シアノエチルチオ)−
1,3−ジチオール−2−チオン1.01g(83%)
を赤色針状晶として得た。この化合物の物性を以下に示
す。 融点82.4−83.3℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ2.81
(t,J=6.9Hz,4H,CH),3.17
(t,J=6.9Hz,4H,CH);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ19.
0,31.8,117.1,135.8,209.1; IR(KBr):2977,2248,1458,14
11,1290,1071,894cm−1
【0016】上記4,5−ビス(2−シアノエチルチ
オ)−1,3−ジチオール−2−チオンをアセトニトリ
ルに溶解した溶液に、水酸化セシウム1.26g(8.
4mmol)をメタノール12mlに溶解した溶液を攪
拌しながらゆっくりと滴下しさらに攪拌した。滴下終了
後30分経過した後、ヨウ化メチル11.36g(40
mmol)を加え再び30分攪拌した。過剰のヨウ化メ
チルを除去するため、窒素を30分間吹き込みロータリ
ーエバポレーターにて濃縮した。この濃縮物を塩化メチ
ルに溶かして抽出し、乾燥剤を加えて残りの水を除去し
たのち、ろ別した。次いでロータリーエバポレーターに
て濃縮し、クロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルカ
ラムクロマトグラフィー(φ=5.5cm,h=16c
m)により分離精製して4−(2−シアノエチルチオ)
−5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−チオン
1.78g(84%)を黄色針状晶として得た。この化
合物の物性を以下に示す。 融点90.0−91.1℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ2.56
(s,3H,CH),2.75(t,J=7.1H
z,2H,CH),3.09(t,J=7.1Hz,
2H,CH);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ18.
8,18.9,31.8,117.1,126.0,1
44.9,209.9; IR(KBr):2247,1464,1438,14
16,1318,1276,1054,953,900
cm−1
【0017】[合成例4]4−(2−シアノエチルチ
オ)−5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−チオ
ン1.59g(6mmol)を窒素置換し、クロロホル
ム/酢酸(3:1)の混合溶媒25mlに溶かし、これ
に固体添加装置を用いて窒素置換した酢酸水銀5g(1
6mmol)を加え、16時間攪拌後、吸引ろ過により
ろ液を分離した。これをビーカーに注ぎ、飽和炭酸水素
ナトリウム水溶液で中和後、分液ロートで抽出した。乾
燥剤にて残りの水を除去し、ろ別した。ロータリーエバ
ポレーターにて濃縮し、吸引ポンプで乾燥して4−(2
−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ−1,3−ジチ
オール−2−オン1.57gを定量的に黄色針状晶とし
て得た。この化合物の物性を以下に示す。 融点61.8−62.5℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ2.52
(s,3H,CH),2.74(t,J=7.1 H
z,2H,CH),3.07(t,J=7.1Hz,
2H,CH2);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ18.
8,19.1,31.6,117.2,118.0,1
35.6,188.7; IR(KBr):2922,2246,1777,16
61,1618,1413,1274,957,89
9,747cm−1
【0018】[合成例5]4,5−ビス(2−シアノエ
チルチオ)−1,3−ジチオール−2−チオン0.91
3g(3mmol)を窒素置換し、クロロホルム/酢酸
(3:1)混合溶媒25mlに溶かした。酢酸水銀2.
500g(8mmol)を固体添加装置を用いて加え、
16時間攪拌後、吸引ろ過によりろ液を分離した。これ
をビーカーに注ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で中
和後、分液ロートで抽出した。乾燥剤にて残りの水を除
去し、これをろ別した。ロータリーエバポレーターにて
濃縮し、吸引ポンプで乾燥して4,5−ビス(2−シア
ノエチルチオ)−1,3−ジチオール−2−オン0.9
21gを定量的に深黄色針状晶として得た。この化合物
の物性を以下に示す。 融点:62.8−64.2℃; NMR(400MHz,CDCl):δ2.80
(t,J=6.9Hz,4H,CH),3.14
(t,J=6.9Hz,4H,CH);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ19.
0,31.6,117.2,127.4,187.6; IR(KBr):2951,2249,1775,16
66,1615,1420,1283,1156,88
6,741cm−1
【0019】[実施例1]合成例1で得た1,3−ベン
ゾジチオール−2−チオン0.92g(5mmol)と
合成例4で得た4−(2−シアノエチルチオ)−5−メ
チルチオ−1,3−ジチオール−2−オン1.42g
(5mmol)を窒素置換し、トリエチルホスファイト
6.4mlを加えて120℃で1.5時間攪拌した。反
応溶液を室温まで冷やし、結晶を吸引ろ過により分離し
てメタノールで洗浄した。クロロホルムを展開溶媒とし
てシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.0c
m,h=3cm)により分離精製して4−(2−シアノ
エチルチオ)−5−メチルチオ−ベンゾテトラチアフル
バレン1.06g(68%)を橙色針状晶として得た。
この化合物の物性を以下に示す。尚、一般式(2)で表
される1,3−ベンゾジチオール−2−オンと合成例4
で得た4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオ
−1,3−ジチオール−2−オンとの反応でも、同様に
4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチルチオベンゾ
テトラチアフルバレンを18%の収率で得ることができ
る。 融点128.5−129.4℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ2.48
(s,3H,CH),2.70(t,J=7.2H
z,4H,CH),3.03(t,J=7.2Hz,
4H,CH),7.11−7.27(m,4H,Ar
−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ18.
7,19.1,31.2,108.5,113.4,1
17.5,120.0,121.91,121.93,
126.02,126.03,135.1,136.
2,136.3; IR(KBr):2920,2246,1493,14
44,1415,1272,1120,896,77
4,741,731,674cm−1 MSm/z385(M); Anal.Calcd.forC1411NS
C,43.60;H,2.88;N,3.63%.Fo
und:C,43.24;H,2.87;N,3.67
%.
【0020】上記4−(2−シアノエチルチオ)−5−
メチルチオ−ベンゾテトラチアフルバレン771mg
(2mmol)のTHF溶液20mlに1,8−ジブロ
モオクタン1.84ml(10mmol)を加え、水酸
化セシウム450mg(3mmol)をメタノール10
mlに溶かした溶液を攪拌しながら滴下し3時間室温に
て攪拌した。塩化メチレンに溶かして抽出し、乾燥剤を
加えて残りの水を除去しろ別した。引き続きロータリー
エバポレーターにて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキ
サン(=1:2)を展開溶媒としたシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(φ=3.5cm,h=10cm)お
よびゲルろ過クロマトグラフィーにより分離精製して4
−(8−ブロモオクチルチオ)−5−メチルチオ−ベン
ゾテトラチアフルバレン890mg(85%)を橙色油
状物として得た。この化合物の物性を以下に示す。 HNMR(400MHz,CDCl):δ1.30
−1.86(m,12H,CH),2.43(s,3
H,CH),2.81(t,J=7.2Hz,2H,
CH),3.39(t,J=6.8Hz,2H,CH
),7.10−7.25(m,4H,Ar−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ19.
2,28.0,28.2,28.6,28.8,30.
0,32.7,34.0,36.2,110.1,11
1.3,121.9,125.8,125.9,13
6.48,136.53; IR(neat):2927,2853,1447,7
74,559cm−1;MSm/z523(M); Anal.Calcd.forC1923BrS
C,43.58;H,4.43%.Found:C,4
3.53;H,4.69%.
【0021】上記4−(8−ブロモオクチルチオ)−5
−メチルチオ−ベンゾテトラチアフルバレン262mg
(0.5mmol)のTHF溶液20mlを玉突き冷却
環を備えた50ml枝付きフラスコに加え、さらにチオ
尿素191mg(2.5mmol)の水溶液5mlを加
えて24時間還流した後、さらに水酸化ナトリウム30
0mg(15mmol)の水溶液5mlを加え2時間還
流した。生成物を塩化メチレンに溶かして酸性条件下で
有機相を抽出し、乾燥剤を加えて残りの水を除去してろ
別した。引き続きロータリーエバポレーターにて濃縮
し、クロロホルム:n−ヘキサン(1:2)を展開溶媒
としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.
0cm,h=5cm)およびゲルろ過カラムクロマトグ
ラフィーにより分離精製して4−(8−メルカプトオク
チルチオ)−5−メチルチオ−ベンゾテトラチアフルバ
レン151mg(63.3%)を橙色油状物として得
た。この化合物の物性を以下に示す。HNMR(40
0MHz,CDCl):δ1.29−1.66(m,
13H ,CH,SH),2.43(s,3H,CH),
2.51(q,J=7.2Hz,2H,CH),2.
82(t,J=7.2Hz,2H,CH),7.10
−7.26(m,4H,Ar−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ19.
2,24.6,28.2,28.3,28.88,2
8.91,29.6,34.0,36.2,96.1,
110.2,111.3,121.9,125.9,1
29.3,136.51,136.55; IR(neat):2925,2852,2563,1
446,774,559cm−1; MSm/z476(M+); Anal.Calcd.forC1924NS
C,47.86;H,5.07%.Found:C,4
7.57;H,5.11%.
【0022】[実施例2]合成例1で得た1,3−ベン
ゾジチオール−2−チオン0.922g(5mmol)
と合成例5で得た4,5−ビス(2−シアノエチルチ
オ)−1,3−ジチオール−2−オン1.422g(5
mmol)とを窒素置換し、トリエチルホスファイト
6.4mlを加えて120℃で1.5時間攪拌した。反
応溶液を室温まで冷やし、結晶を吸引ろ過により分離し
てメタノールで洗浄した。クロロホルムを展開溶媒とし
てシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ=3.0c
m,h=3cm)により分離精製して4,5−ビス(2
−シアノエチルチオ)−ベンゾテトラチアフルバレン
0.829g(39%)を橙色針状晶として得た。この
化合物の物性を以下に示す。 融点:147.2−148.0℃; 1HNMR(400MHz,CDCl):δ2.74
(t,J=7.1Hz,4H,CH),3.09
(t,J=7.1Hz,4H,CH),7.13−
7.28(m,4H,Ar−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ18.
8,31.2,106.9,115.4,117.4,
122.0,126.1,127.9,136.1; IR(KBr)2925,2251,1426,111
9,892,735cm −1; MSm/z424(M+); Anal.Calcd.forC1612
C,45.25;H,2.85;N,6.60%.Fo
und:C,45.04;H,2.81;N,6.52
%.
【0023】上記4,5−ビス(2−シアノエチルチ
オ)−ベンゾテトラチアフルバレン425mg(1mm
ol)のTHF溶液30mlに1,8−ジブロモオクタ
ン3.68ml(20mmol)を加え、メタノール5
mlに溶かした水酸化セシウム330mg(5mmo
l)を攪拌しながら滴下し2時間室温にて攪拌した。塩
化メチレンに溶かして抽出し,乾燥剤を加えて残りの水
を除去してろ別した。引き続きロータリーエバポレータ
ーにて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサン(=1:
2)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(φ=3.5cm,h=10cm)およびゲルろ過
クロマトグラフィーにより分離精製して4,5−ビス
(8−ブロモオクチルチオ)−ベンゾテトラチアフルバ
レン541mg(77%)を橙色油状物として得た。こ
の化合物の物性を以下に示す。 HNMR(400MHz,CDCl):δ1.32
−1.87(m,24H,CH),2.88(t,J
=7.3Hz,4H,CH),3.38(t,J=
6.8Hz,4H,CH),7.09−7.26
(m,4H,Ar−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ28.
1,28.4,28.7,28.9,29.8,32.
8,34.0,36.5,121.87,121.9
1,125.9,126.0,131.7,136.
5,136.6; MSm/z700(M+); Anal.Calcd.forC2636Br
:C,44.56;H,5.18%.Foun
d:C,44.37;H,5.44%.
【0024】上記4,5−ビス(8−ブロモオクチルチ
オ)−ベンゾテトラチアフルバレン701mg(1mm
ol)のTHF20ml溶液に、チオ尿素761mg
(5mmol)の水溶液5mlを加え、80℃の油浴で
24時間攪拌した後、水酸化ナトリウム1.2mg(3
0mmol)の水溶液10mlを加え2時間還流を行っ
た。ロータリーエバポレーターにてある程度濃縮した
後、酸性条件下で塩化メチレンに溶かして抽出し、乾燥
剤を加えて残りの水を除去してろ別した。この塩化メチ
レン反応溶液50mlをヨウ素、及びトリエチルアミン
の塩化メチレン溶液を滴下して酸化し、亜硫酸水素ナト
リウム水溶液にて抽出した。ロータリーエバポレーター
にて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサン(1:3)
を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(φ=3.5cm,h=10cm)および、クロロホル
ム:メタノールにより再結晶して分離精製し、化合物
(6)(n=8)で示されるベンゾテトラチアフルバレ
ン誘導体74mg(12%)を橙色針状晶として得た。
この化合物の物性を以下に示す。 融点:83.9−84.2℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ1.32
−1.71(m,24H,CH),2.66(t,J
=7.3Hz,4H,SS−CH),3.39(t,
J=7.3Hz,4H,CS−CH),7.10−
7.26(m,4H,Ar−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ28.
16,28.24,28.8,28.9,29.0,2
9.6,36.2,40.0,110.3,111.
3,121.9,125.9,128.0,136.
5; IR(KBr):2922,2847,1463,14
44,1259,1120,889,773,734,
675,416,cm−1; MSm/z604(M); Anal.Calcd.forC1612
C,51.61;H,6.00%.Found:C,5
1.29;H,5.85%.
【0025】[実施例3]冷却環を備えた枝付きフラス
コ50mlに窒素気流下トリエチルホスファイト25m
lを加えて油浴で120℃まで加熱した。このリアクタ
ーに合成例3で得たフェナントロ[9,10−d]1,
3−ジチオレン−2−チオン1.422g(5mmo
l)と合成例4で得た4−(2−シアノエチルチオ)−
5−メチルチオ−1,3−ジチオール−2−オン1.3
27g(5mmol)を一気に添加し、油浴で1.5時
間攪拌した。反応溶液を室温まで冷やして吸引ろ過し、
メタノールで洗浄した。100℃で吸引ポンプにより乾
燥し、クロロホルムを展開溶媒としてシリカゲルカラム
クロマトグラフィー(φ=5.0cm,h=10cm)
により分離精製して4−(2−シアノエチルチオ)−5
−メチルチオ−フェナントロテトラチアフルバレン1.
105g(46%)を橙色結晶として得た。この化合物
の物性を以下に示す。 融点:183.5−184.2℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ2.53
(s,3H,CH),2.74(t,J=7.2H
z,4H,CH),3.72(t,J=7.2Hz,
4H,CH),7.63−7.66(m,6H,Ar
−H),8.64−8.66(m,4H,Ar−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ18.
7,19.1,31.3,108.8,112.9,1
17.6,120.1,123.3(2C),125.
77,125.82,126.71,126.74,1
26.9(2C),127.69,127.73,12
9.4(2C),130.96,131.05,13
5.3; IR(KBr):3652,3055,2920,22
48(CN),1606,1575,1488,144
7,1427,1348,1319,1280,122
3,1148,1043,963,913,899,7
77,750,716,647,620,525cm
−1; MSm/z485(M); Anal.Calcd.forC2215NS
C,54.40;H,3.11;N,2.88%.Fo
und:C,54.41;H,3.13;N,2.88
%.
【0026】4−(2−シアノエチルチオ)−5−メチ
ルチオ−フェナントロテトラチアフルバレン145mg
(0.3mmol)のTHF溶液10mlに1,8−ジ
ブロモオクタン0.92ml(5mmol)を加え、水
酸化セシウム75mg(0.5mmol)をメタノール
5mlに溶解した溶液を攪拌しながら滴下しさらに2時
間室温にて攪拌した。塩化メチレンにより抽出し、乾燥
剤を加えて残りの水を除去してろ別した。ロータリーエ
バポレーターにて濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサ
ン(=1:3)を展開溶媒としたシリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(φ=3.5cm,h=15cm)およ
びゲルろ過クロマトグラフィーにより分離精製して4−
(8−ブロモオクチルチオ)−5−メチルチオ−フェナ
ントロテトラチアフルバレン165mg(88%)を橙
色結晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。 融点:100.1−100.7℃ HNMR(400MHz,CDCl):δ1.29
−1.86(m,12H,CH),2.47(s,1
H,S−CH),2.86(t,J=7.3Hz,2
H,S−CH),3.37(t,J=6.9Hz,2
H,Br−CH),7.59−7.62(m,6H,
Ar−H),8.58−8.61(m,2H,Ar−
H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ19.
3,28.1,28.3,28.6,28.9,30.
0,32.7,34.0,36.2,108.9,12
3.3(2C),125.8(2C),126.0,1
26.6(2C),126.8(2C),127.6
(2C),129.3,129.5,131.08,1
31.13; IR(KBr):2929,2853,1607,15
76,1487,1467,1427,1294,12
46,1043,968,912,897,776,7
47,715,644,525,427cm−1; Anal.Calcd.forC1923BrS
C,51.99;H,4.36%.Found:C,5
2.22;H,4.61%.
【0027】玉突き冷却環を備えた50ml枝付きフラ
スコに4−(8−ブロモオクチルチオ)−5−メチルチ
オ−フェナントロテトラチアフルバレン0.499g
(0.8mmol)のTHF溶液20mlを加え、さら
にチオ尿素0.304g(2.5mmol)の水溶液5
mlを加えて24時間還流した後、さらに水酸化ナトリ
ウム0.480g(12mmol)の水溶液5mlを加
え2時間還流した。次いで塩化メチレンに溶解して有機
相を抽出し(pH1)、乾燥剤を加えて残りの水を除去
してろ別した。引き続きロータリーエバポレーターにて
濃縮して、クロロホルム:n−ヘキサン(1:2)を展
開溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィー(φ
=3.0cm,h=5cm)およびゲルろ過カラムクロ
マトグラフィーにより分離精製して4−(8−メルカプ
トオクチルチオ)−5−メチルチオ−フェナントロテト
ラチアフルバレン0.383g(83.0%)を橙色結
晶として得た。この化合物の物性を以下に示す。 融点:80.9−81.8℃; HNMR(400MHz,CDCl):δ1.29
−1.70(m,13H,CH,SH),2.45−
2.49(m,5H,CH,S−CH),2.86
(t,J=7.3Hz,2H,S−CH),7.61
−7.63(m,6H,Ar−H),8.60−8.6
2(m,2H,Ar−H);13 CNMR(101MHz,CDCl):δ19.
3,24.6,28.25,28.33,28.90,
28.93,29.67,30.4,34.0,36.
3,110.3,110.8,123.3(2C),1
25.8(2C),126.1,126.6(2C),
126.9(2C),127.6(2C),129.
4,129.5,131.10,131.15,13
6.4; IR(neat)3055,2923,2851,25
53(SH),1607,1575,1488,146
2,1447,1428,1294,1239,122
1,1044,966,912,892,776,74
8,715,646,620,524,427c
−1; MSm/z577(M); Anal.Calcd.forC1924NS
C,56.21;H,4.89%.Found:C,5
6.11;H,4.90%.
【0028】[実施例4]化合物(5)(n=8,m=
0)で示されるテトラチアフルバレン誘導体の1mmo
l/l塩化メチレン溶液に作用極となる金電極を12時
間浸漬し、塩化メチレン、アセトンで洗浄し、アルゴン
ガスで乾燥した。この修飾電極を、過塩素酸テトラ‐n
‐ブチルアンモニウムの0.1mol/lベンゾニトリ
ル溶液に、対電極として白金電極、参照電極としてAg
/AgNO電極と共に浸漬した。比較電極に対して作
用電極に−0.2Vから+0.8Vの範囲で、走引速度
は500mV/secで電位を走引しサイクリックボル
タングラフィーによる測定を行った。得られたサイクリ
ックボルタモグラムより、本化合物は電位走査に伴い可
逆な独立した二電子酸化・還元過程を示した。その酸化
還元電位を表1に示す。また、比較例として、「Lan
gmuir、1999,15,8574−8576」に
記載の化合物の酸化還元電位も示す。
【0029】[実施例5]テトラチアフルバレン誘導体
として化合物(6)(n=8)で示されるものを用いた
以外は実施例4と同様にして電気化学的測定を行った。
その酸化還元電位を表1に示す。
【0030】[実施例6]テトラチアフルバレン誘導体
として化合物(7)(n=8,m=0)で示されるもの
を用い、走引速度を100mV/secとした以外は実
施例4と同様にして電気化学的測定を行った。その酸化
還元電位を表1に示す。
【0031】
【表1】
【0032】
【発明の効果】本発明化合物の新規テトラチアフルバレ
ン誘導体は、薄膜材料として有効であり、ダイオード、
トランジスター、電極材料、配線材料、回路形成材料、
EL材料等として好適である。本発明化合物を用いた薄膜
の製造法において、それを特に一定方向の磁場中で行う
ことにより、芳香環の磁気異方性に由来する配向制御を
容易に発現させることができ、高密度、高配向の超薄膜
を形成することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉本 則之 岩手県盛岡市上田四丁目3−5 岩手大学 工学部材料物性工学科内 (72)発明者 広井 佳臣 岩手県盛岡市上田四丁目3−5 岩手大学 工学部応用化学科内 Fターム(参考) 4C071 AA01 BB01 CC25 EE12 FF26 GG04 JJ07 KK11 LL05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) 【化1】 (式(1)中、芳香族環はベンゼン環、或いは縮合芳香
    族環を示し、R1はプロトン、アルキル基、アルコキシ
    基のいずれかであり、R2、R3はプロトン、アルキ
    ル、メルカプトアルキル基、メルカプトオリゴエチレン
    ジオキシエチル基のいずれかを示し、かつR2、R3は
    互いに同一であるか或いは異なっていてもよい)で表わ
    されるテトラチアフルバレン誘導体。
  2. 【請求項2】 縮合芳香族環がナフタレン、アントラセ
    ン、フェナントレン、ピレン、ペリレン、トリフェニレ
    ンのいずれかである請求項1記載のテトラチアフルバレ
    ン誘導体。
  3. 【請求項3】 一般式(2) 【化2】 で表わされるチオン類又はケトン類と、一般式(3) 【化3】 又は 【化4】 で表わされるケトン類を反応させることを特徴とする請
    求項1または2に記載のテトラチアフルバレン誘導体の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 基板上に請求項1または2に記載のテト
    ラチアフルバレン誘導体を被覆した薄膜体。
  5. 【請求項5】 請求項1または2に記載のテトラチアフ
    ルバレン誘導体を用いて基板に薄膜を作製するに際し、
    薄膜の作成を一定方向の磁場をかけて行うことを特徴と
    する薄膜の製造方法。
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